■『動物戦隊ジュウオウジャー』感想まとめ5■


“森林の王者、ジュウオウエレファント!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『動物戦隊ジュウオウジャー』 感想の、まとめ5(25話〜30話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕 ・  〔まとめ4〕
〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕


◆第25話「アンハッピー・カメラ」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:田中仁)
 前回の出来事を引きずり、ちょっとアンニュイな大和くんを元気づけようとするレオだが、 そこに飛び込んできたさわおが大事な釣り竿を大和にプレゼントしようとし、だいぶ引く大和と、 ずけずけ否定するレオが混ざって一悶着。
 精一杯大和を元気づけようとするも空回りして失敗に終わったさわおは、街で無料試供されている、 撮ると幸せになるカメラなるものを発見。脳内フレンズ会議が「怪しい、だがしかし、写真が人を笑顔にするのは確か」という結論を出し、 カメラを手に取ったさわおは森家へ戻ると、セラ&アム、タスク、大和、をそれぞれパチリ。
 背後で、次は俺の番かな〜とポーズを取るも、ナチュラルに無視されるレオ(笑)
 「おい?! なんで俺だけ撮らないんだよ? なんか俺だけ仲間外れみてぇじゃねえか」
 「いや、そんな、つもりは……」
 さわおが大和とタスクに助けを求めて振り返ると何故か4人は消えており、街に出現するデスガリアン反応。 さわおが手にしたカメラはチームクバルのカメラ怪人の能力をコピーしたものであり、そのカメラに撮影された人間は、 写真の中に閉じ込められてしまうのだった!
 一方、正式採用を断って退職したバングレイにクバルが直接攻撃を仕掛け、しばらくクバル久々の本気戦闘。
 「おまえ……どこまで記憶を読み取れるんだ」
 「知りたいか。大した事ねぇよ。せいぜいおまえの星が、あいつに滅ぼされたって事ぐらいだ」
 「! やはり消えてもらいましょう」
 「まあまあ、折角だから楽しくやろうじゃねぇか」
 この後、両者の戦いは決着までは描かれず、クバルは帰還。バングレイが引き下がったのか、 はたまた両者の間に何らかの「取引」が成立したのか。クバルのアップの背後でジニス様がニヤニヤしているという思わせぶりなカットもあり、 「あいつ」は十中八九ジニス様の事とは思われますが、ここは断定されずに引っ張られました。
 勿論、1年物としての予定変更も視野に入れて曖昧に濁した要素だと思いますが、果たしてクバルは復讐者なのか。 中間地点でデスガリアン側に波乱要素を入れてきたのは、後半に向けて期待したい布石です。
 その頃、カメラの正体を知って落ち込むさわおを引きずって何とか一時撤退したレオは、 デスガリアン反応もわからないのに怪人を探しに行くというさわおに対し、イライラを募らせていた。
 「ホントわけわかんねえよお前」
 「俺は……俺なりに考えて……」
 「どんなに考えても相手に伝わんなきゃ意味ねぇんだよ!」
 レオ、ずばっと一刀両断。そこから次々と繰り出されるレオの直言に、拳を握りしめたさわおは、思い切って腹の内を絞り出す。
 「……じゃあほっといてくれよ! 俺だって、こんな自分は嫌いだ! おまえみたいに、思った事をすぐ口に出来れば違うかもしれない、 でも、俺はお前じゃないから無理なんだよ!! なのに、おんなじようにしろなんてあんまりじゃないか! 強引過ぎる……俺だって、 お前みたいな奴だいっ嫌いだ!! …………?!……すまん、言い過ぎた」
 「出来んじゃねえかよ」
 さわおのストレートな感情をぶつけられたレオは、ニカリと笑ってそれを受け入れ、時には本音でぶつかり合う関係もある、 と学ぶさわお。
 レオの怒りの種はさわおの感情の種類ではなく、さわおが内にこもって外を向かない(特に自分と正対しようとしない)という事にあり、 それをやってのけたさわおの言葉なら、たとえ「嫌い」と言われても受け止める。
 「それでいいんだよ。よし……じゃあ、嫌いな者コンビで、いっちょ行くかぁ!」
 落ち込んだり怒りをぶつけたらむしろレオが器の大きさを見せる、というのはスナイパー爺回のレオ×タスクと似たような構造になってしまいましたが、 レオと男キャラの絡みだと、基本こうなってしまう気はします(^^;
 エピソードの面白い面白くないで言えば、妄想フレンズはこちらで使ってくれた方が面白かったとは思うのですが、 序盤の割とどうでもいい選択で登場した妄想フレンズが、ここでは出てこないというのは、さわおの心理描写としては面白い要素。
 肩を組んだ二人は再びカメラ怪人に立ち向かい、フレームに収めた生き物しか写真に閉じ込められない、 という怪人の弱点を突いて肩のカメラを破壊する事で全員を解放。
 「よーし、どこ狙うかわかってるよな」
 「ああ、勿論」
 から、それぞれ別の所を攻撃し、
 「俺達にはアイコンタクトは無理だったな……」
 は、一ひねりが効いて面白かったです(笑)
 揃い踏みしたジュウオウジャーに対して怪人が振り回す近接武器は何かと思ったら三脚で、 その三脚に乗せた怪人をぐるぐる回して一斉射撃とか、けっこう酷いフィニッシュ(^^;
 ロボット戦でもレオとサワオが揉めるも、お互いにストレートに罵倒し合う関係から見事な連続攻撃を決め、最後はサイストライク。 戦い終わり、さわおから釣りを教わるレオ。
 「距離が縮まるきっかけなんてわからないものだ」
 ……タスクは多分、自分が急に懐かれている理由を、まだわかっていない(笑)
 「もしかしたらレオくんのやり方が正しいのかもね」
 さわおを操縦しているアムが言うと、凄く、重いです。
 仲良くなったのかと思われた二人、だがしかし、落ち着きのないレオに釣りが向くわけなく大騒ぎに……でオチ。
 単品としてはぼちぼち程度の出来でしたが、コミュニケーション方法は人それぞれだし、人と人の関係に絶対の正解なんてない、 というテーマは『ジュウオウジャー』らしくまとめました。今回だけだと、ハッキリものを言うのが良い関係、 とだけ受け止めれそうな部分が少々強くなりすぎた感はありますが、作品全体としては、 大事なのは相手に対してちゃんと向かい合えるかどうか、という大きなテーゼの中に収まっているかと思います。
 そういう点ではやはり、どこかでアムが誰かのスイッチを押し間違えて、セラか大和辺りに怒られる、 みたいなエピソードは必要かもなーと思うのですが、さてそこまで盛り込めるかどうか。
 にしても、釣りのシーンでさわおが凄いイラストの入ったジャンパー着てるのですが……魚拓?
 ED、最近始まった投稿ダンスコーナーに、またしれっとあの人達が投稿してくるのではないか、 と思って気にしていたのですが……やはり来ました、レジェンドヒーローズ。画面の大きさの関係で、 隊長と餃子職人しか認識できませんでしたが、締めの所で各自がポーズ決めるのが格好良くてズルい。
 次回、セラ×さわお回…………じゃなかった(笑) てっきり、夏のバラエティエピソード的にレオ×さわお、 セラ×さわおを片付けるのかと思っていたのですが、またも割とシリアスな大和回の予感。まあ、大和のニンゲン社会での元々の繋がり、 というのは押さえておきたい要素ですし、ここまでコスプレ要素低めだったので、お洒落回も欲しい所ではあったのですが。

◆第26話「大切な日を守りたい」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:田中仁)
 「なんか……しょっぱい」
 「なぜ泣いている?」
 「こんな風に、友達とお茶する日が来るなんて、俺は、このパフェの味を、一生忘れない」
 冒頭からさわおが重い直球を放り込み、「こいつ面倒くさい」と言いつつもやや楽しげなレオ、という変化が描写。 オープンカフェでジューマン達とお茶していた大和は、大学時代の友人・林大地と久々に再会し、大地を家に招く事に。
 その頃、デスガリアンを去ったバングレイは何かの手がかりを探して釣り人の記憶を探っていたが、空振り。
 ここで防波堤に佇むバングレイの姿を、背後の高い位置にあるカメラで大きくズームアウトしていき海と一緒に見せるのが印象的なカットなのですが、 バングレイの探すものは海に関係しているという示唆でしょうか。
 まあ、巨大生物といえば、秘境か海中がお約束ではありますが。…………タイミング的には、探しているのはゴ○ラ?
 「まったく、どこに居んのかねぇ。しゃあねぇ、つまみ食いでもすっか」
 その様子をチェックしている、宇宙弓矢基地。
 「ジニス様。バングレイはこの星で何をする気なのでしょう?」
 「さあねぇ。しかし、予想できないコマがあった方が、ゲームは面白いじゃないか」
 「しかし……! バングレイに記憶を読まれた、クバルの様子も……」
 「言っただろう、ナリア。予想できないコマがあるから面白い。それが、敵であれ、味方であれね」
 すっかり機嫌の良くなったジニス様……この人ホントに、飽きていただけだ!
 ジニス様に関しては、こういう路線の方が好みなので、このまま進んでほしいです(笑)
 森家では大和の過去話が語られ、そういえば動物学者だった事を久々にアピール。大地は結婚を控えており、 大和に連絡を取ろうとしていたが着信拒否されていたとの事ですが、これは招待状を実家に送ったけど大和の元まで届いていないという解釈でいいのか。
 「この人達と、一緒に住んでるのか?」という台詞も、大和の現住所を知らなかった事を窺わせ、 大和父がらみの含みが入っているような気はします。大和くんのやたら高いサバイバル能力を鑑みるに、学生時代から、 気がつくと住所不定音信不通になっていた可能性も十分にありそうですが。
 「お嫁さんは、どんな人なの?」
 「同じ会社の子。会った時はまさか結婚するなんて思わなかったけど。人の縁てのはわからないもんだよな」
 「そうだね……出会いってどこにでもあって、繋がりはどんどん生まれてく。凄いよね」
 「はは、大げさだなぁ」
 「んー、そんな事ないって。最近特にそう思う。――だから、守りたいんだ」
 同じテーマ性を持った台詞を、ヒーローと、一般社会に帰属する男と、それぞれの言葉で表現して、 ヒーローと社会を繋いだこのやり取りは秀逸。
 だがそんな2人を、バングレイが見ていた。
 「ふぅん……いい事思いついたぜ。ははははは」
 つまみ食いって何をするのかと思ったら大和へのつきまといで、すっかりストーカー化しているぞ、バングレイ。
 結婚式当日、ニンゲン界の結婚式に興味津々のおめかしジューマンズ&友達として不毛なライバル心を燃やすさわおも、参席を主張。 当然、招待客に入っていない5人は、許可を得て教会の2階から見学する事に。
 「あ〜、素敵ー」
 「ここで永遠の愛を誓うのね〜」
 「なーに乙女みてぇな事言ってんだよ」
 「乙女よっ」
 珍しくアムときゃっきゃうふふするセラ、いいパンチが入りました。
 しかし式の途中でデスガリアン反応が感知され、5人は大和に告げずに反応の元へ向かうが、そこに居たのはバングレイ。
 「デスガリアンじゃなくててめぇか!」
 「あ〜、なるほど、おまえらも招待されてたのか」
 「……なんのつもり?」
 「ああ、俺の知り合いの、結婚式でねぇ。お祝いに、ぶっ壊してやろうかなぁって」
 完全に、タチの悪いストーカーです。
 「ほら、風切大和って、記憶の繋がりを切っただけじゃ、壊れなかったじゃん。だから――今度は現実の繋がりを切ってやろうかなーって。 ははははははははは」
 大和の友人・大地を殺す、と宣言するバングレイの前に、立ち並ぶ5人の仲間達。
 「守るぞ、大和と大地の繋がりを!」
 この構図は、ジューマン達が鳥男と戦っている間に大和が独りギフトに立ち向かった第11話の裏返しと見えますが、 ジュウオウジャーの関係性が、良い形でまとまりました。
 「やっぱ邪魔すんの? じゃあ、狩るしかねぇな」
 「俺達を――」
 「「「「「なめるなよ!!」」」」」
 仲間達の不在に気付き結婚式場で落ち着かない大和と、ジュウオウジャーvsバングレイの戦いが交互に展開。 5人がスクラムを組んでバングレイを押し返すというのは、物語としての意味と絵としての格好良さが合わさって、とても良いアクション。
 だが難敵バングレイはアンカーサンダー範囲攻撃で反撃し、野生解放して立ち向かうジュウオウジャーは次々と変身解除に追い込まれていく。
 指輪交換の最中、遂に式を退席した大和は仲間達を探し、望遠視力で戦闘を発見。ハッキリと厳しい選択を突きつけるような事まではしませんでしたが、 二つの繋がりの間で揺れる大和の人間的部分から、ヒーローとしての特殊能力を活かす展開に繋げたのは鮮やか。
 「惜しかったなぁ、おまえは戦いにムラが有りすぎんぜ」
 野生大解放したサワオも、至近距離で頭にメガバングレイ光線を浴びて、変身解除。……これでリタイアしないサワオ、本当にハイスペック(^^;
 生身の5人にバングレイが迫ったその時、駆けつけた大和は怒りのゴリラ変身からバーンナックル。
 「狙うなら、俺だけにしろぉ!!」
 「おまえを倒してもおまえの心は壊れねぇだろ? 俺はおまえが信じる繋がりが切れて、絶望する姿が見たいんだよ!」
 バングレイはレオの記憶からパラリラ怪人を具現化すると時間稼ぎに用いて、式場へ。ここで、 あの体型でバック転を決めているゴリラ凄い。ゴリラはパラリラを撃破するとイーグルに覚醒し、 バングレイの凶刃が大地に振り下ろされる直前、天空から降り立ってそれを阻む!
 「バングレイ! 新しく生まれた繋がり! 絶対に俺が守る!!」
 挿入歌とともに激怒のイーグル鬼畜タイムが始まり、鞭剣で捕らえたバングレイを風車に叩きつけた上で落下ダメージを与え、 更に連続攻撃。イーグルの格好良さが光りますが、バングレイは、飛行属性と相性が悪いのか。
 「おいおい、こりゃ、バリまず」
 泡を食ったバングレイはイーグルの記憶から巨大槍怪人を生んで逃走し、ここで、 大和がジューマン達と大きな繋がりを持った第2話の敵、というチョイスも良かったです。槍怪人はサイキングでさくっと撃破し、 教会のチャペルが鳴り響く中、無事に新郎新婦の門出を祝う大和達。
 「今日はありがとな、大和。おまえが守ってくれた繋がり、大切にするよ」
 「……え?!」
 一応誤魔化す大和、やはり友人に、仮面のヒーロー活動は知られたくないのか。
 その頃……王者の資格を手にした鳥男は、その反応を頼りに?、地面に埋まっていたジュウオウキューブ(チーター?) を掘り返していた。その背にかけられる、懐かしい声。
 「何をしてるんだい? ……大和が言っていた鳥男とは、やっぱり君だったんだね、バド」
 「ラリーさん、お久しぶりです」
 まさかの、さん付け!
 鳥男とラリーが久々に登場し、2人が旧知の仲である事、そして鳥男が王者の資格で何かをしようとしている事が判明。 鳥男が出ると物語の仕掛けが動くので、OPクレジットで先に登場を知ってしまうのがどうも、悩ましい(笑)  しかも今回はラリーまで付きましたが散りばめた伏線も徐々に繋がってきて、転がし方がますます楽しみです。
 大和の大学時代の友人を登場させる事で、人間としての大和とヒーローとしての大和という二つの面を描いて揺らし、 バングレイの悪辣さ・仲間達との絆・繋がりを守る為に戦うヒーロー降臨! と要素を綺麗に繋げて面白いエピソードでした。
 田中さんがこのレベルを持ってきてくれると、今後も非常に有り難いです。
 赤&サワオとジューマンズとの戦力格差がじわじわ深刻な問題になりつつある気はしますが、これが勢いではなく、 先を見越した意図的な描写だったら良いなぁ。
 なお今回の教訓は、ヒーローはみだりにフルネームを名乗ってはいけないです!
 次回――意外にも、セラ×タスク回。そして予告の感じからすると、夏の微妙に総集編風味?

◆第27話「本物はどっちだ」◆ (監督:杉原輝昭 脚本:荒川稔久)
 夏の終わりの総集編風味ですが、荒川さんクラスの人が、『ゴースト』コラボ回に続き総集編にも参上してくれるという引き続きのサポートぶり。
中日ドラゴンズが色々あれな感じの今日この頃ですが、お陰で香村さんの負担を減らしつつ田中さんに色々なタイプの話を書いてもらって、 と良い布陣が構築されています。ちょうど配信で見ていた『オーズ』などで助監督に名前のある杉原さんは、今回が監督デビュー?
 キレた大和くんの鬼畜ラッシュから風車クラッシュそして凶器は地球のコンボを受け、とうとう酒に走ってしまったバングレイは、 新たな嫌がらせを思いつくと、買い出し帰りのセラとタスクを襲撃。2人を叩きのめすと、 2人の記憶から“偽のセラとタスク”を具現化し、更に本物と偽物合わせて4人に高性能爆弾ベストを装着させる。 制限時間以内に正体を見破って偽物を倒さなければ爆弾がドカン、無理矢理外そうとしても爆弾がドカン。 見た目も言動もまるで区別の付かない4人を見分ける為に大和達が思いついた手段――それは、 クイズ・ヒントで連想アタックショック面白ダービーリーグ総本家発見選手権さま〜っ!
 というわけで、クイズの問題という形で回想シーンを見せていくという趣向なのですが、 爆発まで30分も無いのにクイズにノリノリすぎる大和くんは、少々悪ふざけの領域に入ってしまった感じ。 総集編はどうしても絵が地味になってしまいますし、見た目明るく楽しくしたかったのはわかるのですが、 なにぶん失敗すると大爆死なので、天秤のバランスが悪かったように思えます(^^;
 一人二役×2の面倒な撮影は、途中から片方がジューマンになる事で今作の特色を活かして解決。 クイズの結果はジューマン顔チームが勝利し、追い詰められて逃げ出す人間顔チーム。だが、後を追った大和達が偽物として示したのは、 あまりにも記憶が完璧すぎ、仲間の引っかけ問題に1ミリも動揺しない、ジューマン顔チームであった!
 「ごめんね2人とも、追い込んじゃって」
 ……ぜんぶアムの罠か。
 後は偽物を倒すだけ……しかし、
 「いや、俺達は倒さない!」
 セラとタスクの記憶から生まれた存在を消し去って終わりにはしたくない……大和達がクイズで時間を掛けていたのは、 見極めた偽物の救済手段を考える為でもあった……というものの、結局、何も思いついていないのですが(^^;
 偽物はジュウオウジャーの姿に心打たれ、自ら消滅。本物の爆弾は解除され、ジュウオウジャーは改めて、 バングレイに怒りを燃やすのであった……でつづく。
 理想を掲げても全く実現できない、という点では非常に困ったオチなのですが、まあこのメンバー、 愚かでもなければ覚悟が決まってないわけでもないので、本当にギリギリになったら間違いなく殺ったであろう、 という面での謎の安心感はあります。逆に言えば、その積み重ねがあってこそのこのソフトランディングというか。 出来ればこの失敗(目の前で誰かを救えなかった事)が、一つの挫折として後の糧になるような展開があると良いのですが…… そう考えると、偽物の消滅はいっそもっと重く描いてしまった方が、筋は通ったのかも。
 個人的にオチ以上に凄く引っかかったのは、
 「恐らく偽物は見分けるだろう。だがその時こそ、地獄への入り口だ」
 「そろそろクライマックスだな。幾ら繋がりが大事とか言ってようが、自分が助かる為なら、仲間と同じ姿のヤツでも、 殺すしかねぇんだよ」
 と、いちいち事前に入る、バングレイの過剰解説。
 脚本段階からあったのか演出段階で足したのか何ともですが、完全に、これからこういう事が起こります (そしてそれをひっくり返します)、というのを台詞で先に言わせてしまう下策で、もっと映像を信じて欲しかったです。
 今回、スーツアクターさんも大胆にお休みで、変身して戦うのは青と緑だけなのですが、その分、 冒頭のバトルには短いながら力が入っており、
 〔バングレイに剣を絡め取られる青 → 緑、その剣を軸に自分の剣を回転させてパス → 緑の剣を受け取った青、 バングレイに切りつける → バングレイが下がった隙に、緑、青の剣を取り戻して攻撃〕
 とか、思わずスロー再生で動きを確認してしまいました(笑)
 青が切りつける所でカットは割っているものの、回転パスからキャッチまでは実際に一連の動作で凄い。
 まあ、戦力の差は如何ともしがたく、結局さくっと叩きのめされてしまうわけですが、誰か、ジューマンズに力を。
 EDには「ちまたでウワサの宇宙海賊たち」からビデオが投稿されているのですが、 タスクがかわいく見えるレベルでアイム姫の踊りが異常にやる気無いのですが、純粋に苦手なのですか、姫。 それとも本当にやる気がないのですか、姫! 一方、鎧は画面4分の1でも十分に鬱陶しかった。
 次回、夏休みの割に物語が進んでいたのは、このスペシャルコラボが控えていた為だった! 戦隊シリーズ2000回記念に、 海賊戦隊登場。過去作コラボは一種の麻薬みたいなものだと思っているのでTVシリーズではあまり濫用してほしくないのですが、 2000回記念ではやむを得ないところか。プロデューサー・監督・脚本と『ゴーカイジャー』に関わっていたスタッフなので、 その辺り、巧くバランスを取って見せてくれる事に期待したいです。

◆第28話「帰ってきた宇宙海賊」◆ (監督:加藤弘之 脚本:香村純子)
 見所1は、
 「マーベラスは、抱き方雑なんだよな〜」
 「うるせぇぞ鳥」
 相変わらず、一番フラグ立っているのは鳥。
 見所2は、
 「自分勝手すぎる……」
 マベちゃんに炸裂する、大和くんの真人間ツッコミ。
 見所3は、
 巨大怪人を妨害され、飛んでいる2人を走って追いかけるバングレイ。
 冒頭クイズから豪華に特別ゲスト登場でしたが、スーパー戦隊通算2000回記念ゴーカイジャー登場スペシャル前後編の前振り1999回という事で、 戦闘シーンと後編への引きネタが多く、エピソードとしてはやや消化不良な内容。
 海賊戦隊の地球再訪、鎧の土下座回り、マベちゃんの妙な様子に気付いている感じのイーグル棒立ち (お宝持ってわざわざバングレイに突っかかっている所でしょうが)、とこの辺りのもやもやは、 後編でゴーカイジャーの行動理由にしっかり繋げてくるのだろうとは思いますが、次回スッキリ面白くしてくれる事に期待したいです (そういう点で、コラボエピソードとしての評価は次回次第な所あり)。
 細かいポイントは色々あったのですが、一番驚いたのは、これといって仕掛けも説明もなく、 ごく当たり前のように登場したキャプテン・マーベラス。
 さすが海賊、やりたい事をやるだけです。
 そしてあっさり、『トッキュウジャー』の重大なネタバレ(^^;
 まあ、『ゴーカイジャー』は本編でも『シンケンジャー』最大のネタバレを豪快に撃ち込んでいたので、戦隊シリーズとしては、 あまりそういうのは気にしないというスタンスなのでしょうが、一応、宇都宮プロデューサーの担当作品という所は、仁義と配慮なのか。
 ジュウオウジャーサイドでは、突然のお宝、突然のご先祖様、突然のジューランド誕生の秘密、と誰も聞いていない事がどどっと解説されましたが、 クジラ大王の人格と合わせて、いきなり語られる過去そのものが胡散臭いという新しいボール。
 隠されていたビデオメッセージという最低のフラグが、更にそれに輪を掛けます(笑)
 ジューランド、何かトンデモないものを犠牲にして作られた異世界なのでは。
 バングレイの目的もそれに絡んで判明し、次回大盤振る舞いの模様ですが、コラボ回で撃破までやると忙しそうなので、 もう1週ぐらい生き延びそうなものの、そろそろ退場が近そうか。
 一番気になったのは、
 「あんなものは侮辱の内に入らんよ。……本当の侮辱というのは――」
 という思わせぶりなジニス様の台詞。
 祭を派手に仕込みつつ、祭の後の展開も、かなり楽しみになって参りました。
 特別エンディングは、この為に新規映像まで合わせる豪華さで、アニバーサリーEDとしてとても良かったです。都合により、 オリジナルよりえらい早口になっていましたが(笑) 次回、『ゴーカイ』後の戦隊も加えたバージョンになるのでしょうから、 そちらも楽しみです。

◆第29話「王者の中の王者」◆ (監督:加藤弘之 脚本:香村純子)
 突然地球に姿を見せた宇宙海賊キャプテン・マーベラスが、リンクキューブの中に隠されていた大王者の資格を発見。 そこに込められていたクジラ大王のメッセージにより、何故か闇に埋もれていた初代ジュウオウジャーとジューランド誕生の歴史を知る大和達だったが、 宇宙からの外敵を撃退したジュウオウホエールと対になるキューブホエールこそが、バングレイが探し求める伝説の巨獣であった!
 ホエールを召喚する為に大王者の資格を奪おうとするバングレイと、それを阻止しようとするジュウオウジャー、 第一発見者に所有権があると譲らないゴーカイレッドによる三つ巴の争いとなり、 レッドホークにゴーカイチェンジして逃げるマーベラスを追うジュウオウイーグルと、バングレイ。一方、ジュウオウジャーの前には、 更に4人の宇宙海賊達が、立ちふさがる……。
 前回、色の都合により、ゴーカイイエローに対してジュウオウライオンが真っ当に戦っているのにやや違和感があったのですが、 今回はゴーカイイエローvsジュウオウシャークにマッチアップが変更され、お互いの腹に膝蹴りから頭突き、 という実に適性のあったバトルに(笑)
 その後も睨み合いから突き飛ばし、会話シーンでルカとアイムの肩に手を回すレオに対して同時アタック、と、 短いながらこの二人の絡みが非常に面白かったです。
 「俺一人、余ってしまった…………また仲間外れ?」
 「余ってませんよ〜」
 ロボ戦を終えて駆けつけたサワオは一人あぶれて落ち込むが、そこにゴーカイシルバーが登場し、更なるバトル……ではなく、 この混乱した状況を仲裁。
 「俺達は、皆さん達、すーーーーーぱーー戦隊の、あ、先輩なんですーーっ!」
 「「「「スーパー戦隊?」」」」
 あまりの鬱陶しい押しの強さに全員の足が止まるという、シルバーの存在感、時々便利。
 変身を解いたゴーカイジャーとジュウオウジャーは一度マリオ家に集合し、前半で一切省いていた説明を、がつっと説明。
 「貴方たちの言う事が正しいなら、どうしてあのマーベラスという男は、大王者の資格を盗むんだ」
 BGMがコミカルになり、微妙に硬直するジョー(笑)
 (正直、説明できない船長ですまん)
 「そうそう。地球のヒーローなんでしょ?」
 「お前達こそ、どうしてそんなに欲しがるんだ?」
 話題ずらして誤魔化したーーーーー。
 実際の所、これまで全く気付いていなかった歴史の暗部なのでその点を突かれると痛いも、 大王者の資格が種族にとってどれだけ大切な物かを口にするジューマン達の言葉に、頷く宇宙海賊。
 「全てを繋ぐ、始まりの宝……素敵ですね」
 「君達も、歴史を実感しちゃったんだね」
 「ホントこの星の人は、めんどくさい事背負うの好きよね」
 「だが……嫌いじゃない」
 一方、大王者の資格を巡り、二人の赤は激しく肉体言語を駆使していた。
 ゴーカイチェンジ:アカレンジャーのレッドビュートとイーグルの鞭剣の対決は、40年間の歴史のクロスとして、凄く良かったです。 最後はドロップキックでゴーカイレッドを蹴り倒すも、変身の解けたマーベラスに撃たれて同じく変身の解ける大和だったが、 マーベラスの手の傷を目にとめ、応急処置。
 「すみません、やりすぎました」
 「は? いや……お前、甘すぎるだろ」
 大王者の資格はしっかり脇に抱えているマーベラスに対し、前回、わざとバングレイに突っかかった事を大和は指摘する。
 「観察は得意なんです。これでも俺、動物学者だから」
 「俺は動物か」
 「……人間だって、動物です」
 第1話と綺麗に繋げているのですが、どちらかというと、まずは実力行使で大人しくさせた後、 怪我を治療しながら距離を詰めるというアプローチは、半ば野生動物の扱いではないでしょうか。大和くん、ときどき鬼畜だから。
 大王者の資格を求める大和に対して、再び銃を向けるマーベラス、だが……
 「あなたは撃たない」
 「なめんなよ。俺は、全宇宙を敵に回した海賊だ」
 「そんなの関係ない。俺は自分の目で見たものを信じる」
 「……頑固な野郎だ。でもま、お前は紛れもなく40番目のスーパー戦隊だ」
 「え? スーパー戦隊?」
 「ああ。地球にはお前みたいな馬鹿が、39組居たって事だ」
 さらりと、自分たちが“馬鹿”に入っているのが、『ゴーカイ』本編への愛があって素敵な台詞。
 銃を下ろすマーベラスだったが、そこに飛んでいく2人を一生懸命走って追いかけていたバングレイがようやく到着。 変身した2人と戦闘になり、バングレイはゴーカイレッドの記憶から、怒濤のラスボス軍団を召喚する。
 「バングレイは、人の記憶を実体化できるんです」
 「先に言え」
 サーベルの腹でごつんと頭はたくのが、一気に先輩後輩の距離が縮まっていて楽しい。
 ラスボス軍団は『ゴセイ』〜『トッキュウ』までのボスキャラ勢揃いという大盤振る舞いなのですが、 ブレドランはさすがに背中の翼無し。
 負傷もあって追い詰められるダブル赤だが、バングレイ反応に気付いた仲間達が駆けつけ、一旦退却。
 「おい大和。バングレイの狙いは大王者の資格だ。俺達がこいつを持って地球から離れりゃ、 あのヤバい奴等をまとめて宇宙に連れ出せる。それでもこのお宝が欲しいか」
 「勿論」
 「つか、そもそも俺等のなんだよ」
 ヤバい奴等がまとめて出てきたの、そこの人のせいですしね!
 「だから私たちが絶対守る」
 「大王者の資格も、この星も」
 「初代ジュウオウジャーの、ケタスさんの想いも」
 「地球を守ってきた、沢山の先輩達の想いも」
 「全部繋がってるから……全部守る!」
 本筋にがっちり関わる強化編と、お祭りコラボ編をまとめてやってしまう、という事でどこまで世界の融合をはかるの期待と不安が半々といった所でしたが、 今作のキーワードである「繋がる」を用いて、“今作における歴史”と、メタ的な“戦隊の歴史”、それぞれの蓄積の意味を重ねるという形で着地。
 ハードル設定の高い『ジュウオウジャー』としての大ジャンプはなりませんでしたが、『ジュウオウジャー』本編の世界を壊さない範囲で、 至高のスーパー戦隊賛歌である『ゴーカイジャー』の延長にある世界線と交差させるという作りは、コラボ編としては良くまとめたと思います。
 たぶん『ゴーカイ』世界は、あらゆるスーパー戦隊の世界に対し、斜めに交差する線として繋がっているのです。
 「――なら好きにしろ」
 とうとう大和はマーベラスから大王者の資格を受け取り、そこから流れ込んでくるエネルギーを感じる。
 (この暖かい力、ケタスさんのジューマンパワー?)
 現状、クジラ大王の信用度が5(100点満点)なので、その力を受け取ってしまっていいのか、すっごく心配です!
 そこへ追いつく、バングレイと極悪な仲間達。
 「さあ、とっとと大王者の資格をよこしな!」
 「うっさいばーーーか!」
 単純に監督か脚本が好きだったのかもしれませんが、現在、M・A・O名義で声優として大活躍中の影響なのか、今回全体的に、 ルカが贔屓されているような。
 「断る。これはこの星を、守る為のものだ」
 「は! だったら殺して奪うまでだ」
 戦意満々になるバングレイ軍団に対し、進み出る宇宙海賊達。
 「さて、帰る前に俺達も一暴れするか」
 「あれはうちの船長の記憶から出たゴミなんでしょ?」
 マベちゃんはホント、5年経っても縦横無尽のツッコまれ力で、キャラクター強度がつくづく高い(笑)
 「掃除はきっちりしていかないと」
 「私たちも、この星が好きですから」
 「大きな困難には、みんなの力を合わせて立ち向かう。それが俺達、スーパー戦隊ですから!」
 二つの戦隊が一つの意志となって頷き合い、真ん中に進み出る2人のレッド、が格好いいカット。

「いつもより派手に行くぜ!」
「「「「「「ゴーカイチェンジ!」」」」」」 「「「「「本能覚醒!」」」」」

 そして大和は、ホエール砲を用いて単独の新変身。
 「王者の中の王者・ジュウオウホエール!」
 クジラの歯をモチーフにした頭部が特徴的なジュウオウホエールですが、どうして、背中強調した見返り美人ポーズ……(笑)  大和くんはなんだかんだ、筋肉とか筋肉とか自分をアピールするのが好きな本音がたまに浮かび上がります。
 「やれぇ!」
 「スーパー戦隊を、なめるなよ!!」
 12vs7の大バトルは、ジュウオウパート、ゴーカイパート、ダブル赤、に分けての3部構成。初お目見えのホエールは、 体捌きを駆使していなす系のアクションに変えてきているのですが、腰回りのひらひらと合わせて、これがなかなか格好いい。 そして発動するホエールキャノンで月の表面が削れたのですが、これは、味皇様が巨大化するようなマンガ的表現という事でいいのか(^^;
 ホエールキャノンは、四角がスライドすると銃になるというギミックは好きなのですが、 ホエールの左手にすっぽりはまってしまっているのは気になります。今回、物凄い反動は描写されましたが、今後、 仲間が背中を押さえて撃つ形になるのかどうか……大和の更なる強化で、ジューマンズの戦力的存在感の軽さがますます目立つので、 必殺技ぐらい皆で撃っても良いかと思うのですが。……まあその場合、左右に2人ずつで反動抑えるとサワオが余るのですが…… サワオは、ホエールの隣で必殺技のポーズを取っている感じでどうか。
 コピー軍団を壊滅させられたバングレイは、シルバーの記憶から、巨大ゴクドスギルを実体化して逃走。 ジュウオウジャーはサイキングを召喚し、それにゴーカイジャーも乗り込む事に。
 「こいつを回せばいいんだな」
 ガレオンも大雑把に回してましたしね!
 「大和!」
 「わかってます!」
 「ど派手に行くぜ!」「ど派手に行きましょう!」
 サイキングは適当にレンジャーキーをキューブに差し込んで必殺攻撃を決め、 最後は40周年アニバーサリー2000回スペシャル光線で撃破。ここまで力入っていた事もあり、ロボ戦は割とてきとー(笑)
 そして、地球を去る事を告げる海賊達。
 「お宝が手に入らねぇ星に用はねぇからな」
 「あの……もしかして皆さん、最初から俺達に、大王者の資格を届ける為に?」
 「んなわけねぇだろ。俺達は宇宙海賊だ。……じゃあな」
 あばよ涙 よろしく勇気だ
 (※『海賊戦隊ゴーカイジャーvs宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』は傑作なので超お薦めです)
 「俺は、自分で見たものを信じますから」
 ゴーカイガレオンに乗って去って行く海賊達の背に大和は呟き、その頃、森家に忘れられたナビィに、 マリオおじさんの魔手が迫っていた……その運命は3000回記念で! でオチ。
 『ゴーカイジャー』がオリジナルキャストで全員出演という豪華コラボ回でしたが、 プロデューサー・脚本・監督が全員参加していたという事で、コラボ元に愛の深いスペシャル編となりました。 その分ゴーカイジャーに関する説明不足がやや気になりましたが、現行戦隊とのバランスも悪くなく、 お祭りコラボとしてはよくまとまったと思います。
 渡辺監督は『ゴースト』に参加中、中澤監督は『エグゼイド』のパイロットに、その他ローテの都合なども色々あるのでしょうが、 前回今回が、戦隊職人・竹本監督ではなく、現行ローテ陣の中では最若手の加藤監督に任されたというのは、 今後の戦隊を引っ張っていってほしい、という制作サイドの意識なのかなぁと思う所。個人的に加藤監督は、 作品によって良い悪いが激しい、という印象なのですが、そろそろ、次作のパイロットとかの話も出ていたりするのかも。
 次回、満を持してのセラ×サワオ×海で、果たしてそこに友情は生まれるのか?!

◆第30話「伝説の巨獣」◆ (監督:竹本昇 脚本:香村純子)
 長らく先送りにされてきたセラ×サワオ回ですが…………二人揃って特に見せ場も無いまま、 砂浜に打ち上げられてピクピクしている内に終わりました!
 まあ、新アニマル登場と同時進行ですし、そんな事だと思ってましたよ、ええ、思っていましたとも……。
 注目は、映像には映っているのに、マベちゃんの存在について一切触れずに進行するオープニングナレーション(笑)
 そんなわけで、もしかしたら宇宙の海からやってきた面倒くさい海賊船長の力など借りずに自力で見つけだしたのかもしれない (歴史は常に勝者によって捏造されるのです)大王者の資格を手にした大和は、さっそくキューブホエールを呼び出そうとしてみるが、 不発。
 キューブホエールはいったい何処に居るのか……頭を悩ませるジュウオウジャーは、 潮髭海岸で謎の巨大水柱が目撃されたというニュースを知り、向かってみる事に。いよいよ海ならば自分のターン、 と探索を買って出るセラだが、ホエール召喚失敗の頃から妙に考え込んでいたさわおが、 それを押しのける勢いで気合いの入ったアクアラング姿で登場。
 「うるさい! 俺が、俺が俺が……キューブホエールを見つけてみせる」
 「なんであいつが張り切ってんの?」
 「わからない……」
 ところがそこに、TVの取材クルーの記憶からこの水柱の情報を得たバングレイが乱入し、戦いに。 テンションの有り余るサワオはいきなりの野生大解放を発動するもあっさり回避されたり、流れ弾を味方に当てたり、と散々な空回り。
 大王者の資格は変身状態で手元に一発召喚できる事がわかり、イーグルがホエールに二段変身すると、 それに反応するかのように海中から吹き上がる巨大な水柱。シャーク、バングレイ、ホエールは次々と海へ飛び込み、 バングレイを妨害しようとふぃーーーーっしゅするサワオだが、見事にシャークを釣り上げてしまう。……このネタは、 きっといつかやるだろうと思っていました(笑)
 ここから愛が芽生えたりは…………しなさそうですが。
 「巨大クジラちゃ〜ん、とっとと出ておいで〜」
 日に日に言動の変態度が上がっていくバングレイを止めようとするホエールだが、姿を見せたキューブホエールに、 尾びれの一撃で両者まとめて海岸まで吹き飛ばされてしまう。どうしたらキューブホエールに仲間だと認めてもらえるのか…… セラがキューブシャークでの接触を提案し、やけに思い詰めた様子のさわおがワニで同行する事に。
 ……ジュウオウホエールとキューブホエールがホエール表記で被って書いていて面倒くさいのですが、 以前にさやまきさんがコメントされていた「ジュウオウホエールの頭部がリーゼントに見える」というのが確かにその通りだと思ったら、 腰回りのひらひらが段々長ランに見えてきたので、ジュウオウホエールは、ジュウオウ番長でいいか!(おぃ)
 一方、バングレイの前にはクバルが姿を見せ、以前の戦いの折に、クバルはバングレイの目的を助け、代わりにバングレイはジニス打倒に手を貸す、 と取引をしていた事が発覚。クバルはかつてブラッドゲームの被害者側であり、ジニスに対して二心あり、というのが明確に。 アザルドの何も考えていない感が激しく加速しますが、ここに来て、デスガリアンサイドに波乱の種が立て続けに蒔かれたのは、 終盤へ向けての良い布石だと思います。
 シャークとクロコダイルは、クバルが海中に撒き散らした毒で大ピンチになり、ホエールの浮上を待つバングレイは、 復刻怪人で地上に残ったジュウオウジャー4人を足止め。巨大三角怪人に対し、黄緑白は4356のジュウオウワイルド下駄バージョンを発動し、 クマックスを追加投入。
 「クマ! もっぺん根性見せてみろー!」
 「頼む!」
 「よっしゃ根性見せろー」
 「クマさーん!」
 クマがパンダに変わって大喜びする3人ですが、キューブ使用時にクリティカルが出るとパンダに強化されるとか、 そういう仕組みだったのか(^^;
 巨大三角はパンダアックスからワイルドパンチで撃破し、花怪人と大口怪人は番長が一人で粉砕するが、その時、 海中にばらまかれた毒を浄化しながらキューブクジラが浮上。
 「いいじゃん。バリバリ面白いじゃん! こりゃあ、予想以上の大物だぜー! ははは、そうでなくっちゃなぁ。覚悟しやがれ!」 
 クジラに腹ビームを撃ち込み、それが弾かれると錨を振り回して海へ飛び込もうとするバングレイを止める番長。……というかバングレイ、 生身でキューブホエールに立ち向かう気だったの?!
 てっきりチェンジ・ハンティングするのかと思っていた宇宙船はクバルにレンタルしてしまいましたし、 いきなり自ら巨大化する様子も無いですし、体一つと武装だけで数々の巨獣に挑み続けてきた宇宙のハンターなのかと思ったら、 初めてバングレイへの好感度が上がってしまいました(笑)
 ……いやまあ、実際の所は記憶実体化能力で色々出すのでしょうが。
 ところがその時、襲来するデスガリアン戦闘機部隊。
 「ふふふ、伝説の巨獣が居ると聞いたら、興味が湧いてねぇ。一体どれ程の力を持つのか」
 ジニスがバングレイを泳がせていた理由……それは、バングレイが求める伝説の巨獣を横からかっさらう事にあった!
 襲撃を受けたホエールは手当たり次第に周辺を爆撃し、デスガリアン戦闘機どころかワイルドキング、 更には番長も巨獣ハンターも区別なく吹き飛ばすと、その巨体を見せつけながら空の向こうへ飛び去っていく……。
 「いいねぇ……尊大で圧倒的なパワーだ。気に入った」
 全編、キューブホエールの巨大さを見せつける演出が続き、劇中これまでの理屈を越えた存在としては、なかなかの迫力。
 果たしてジュウオウジャーは、この伝説の存在と意思を交わす事が出来るのか。そして、 砂浜でひくひくしている二人に友情は芽生えるのか。次回――夜空の星が輝く影で 悪の笑いが木霊する 星から星に泣く人の 涙背負って宇宙の始末 銀河旋風ブ○イガー お呼びとあらば即参上!

→〔その6へ続く〕

(2019年6月11日)

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