■『ロボット刑事』感想まとめ4■
“ブローアップ!!”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『ロボット刑事』
感想の、まとめ4(21話〜26話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕
- ◆第21話「恐怖デンネツマン マザー爆沈!!」◆ (監督:内田一作 脚本:中山昌一)
なぜ、枕元に、日本刀常備。
そして寝室にブルータスの石像。
そんな男がバドーの怪ロボット・デンネツマンに焼き殺され、更に現場に向かっていた警官2人も感電死させられる。
「片は付いた! 今日は俺の勝ちだぁ!」
ジェット噴射で飛び去る電熱マン、非常に豪快な勝ち逃げ宣言(笑)
二つの事件は、バドーに逆らった一族への報復、そして警察への挑戦だった。バドーは特別科学捜査室との決戦を望む挑戦状を送りつけてくる、
という急展開。
ところでK、地獄耳平の事は「耳平」呼ばわりなのか(笑)
怪しい船員風の男から挑戦状を預かった地獄耳の証言を元に、モンタージュ写真を作ったKと新條は聞き込みを開始するが、
罠にはめられた新條は電熱マンの襲撃を受けてしまう。
「新條刑事! 一騎打ちだぁ!!」
バドーが直接攻撃を仕掛けてくると、戦力差が違いすぎるのが、なかなか厳しい所。
発信器でKを呼ぶ新條だが電熱マンのチェーンに捕まり、じわじわと電圧を上げていたぶられてしまう。
「苦しめぇ、へっぽこぉ、刑事ぃうわぁっ?!」
新條を助ける為にひっそり降りてきたジョーカー、背後から電熱マンの後頭部を踏む。
「卑怯者! 一騎打ちの約束ではなかったのか?!」
また、面白怪人だぞ(笑)
激しい肉弾戦の末に、電熱マンはジェット噴射で逃亡。飛行能力の強化に容量を使ってしまったのか…………弱い。
しかし新條は、電熱攻撃の負傷により、もはや癖になっているレベルで入院してしまう。
「おい、K、俺の覚悟が決まった。俺はバドーをやっつけるぞ」
「それは前から新條さんが……私も言った筈です」
「馬鹿。おまえ達に言われなくても俺がずっと考えていた事だ」
なんかちょっと怪しい(笑) とはいえ、芝刑事は基本、頑迷な所はあるが鋭い、というキャラクターですので、この辺りは、
急展開のあおりで何か端折られたのか。
バドーを倒す為には、個別の事件を幾ら解決しても埒が明かず、その本拠を叩くしかない。如何にすればバドーの本拠を叩けるのか……
とその時、地獄耳が問題の船員風の男を捕まえてくる。バドーの島から脱走しようとししたが脅迫されてメッセンジャーになったという男の案内で、
Kと新條は、バドーが密かに利用する無人島へと向かう。
「ところで、この辺で、決着を付けておきたい事があるんだがな」
怪しさ120%の男がバドーの工作員だとさすがに見破っていた芝刑事は地下の秘密基地に案内させるが、結局は捕まってしまう。
そして遂に、人型のシルエットを見せるバドー首領。
「ロボット刑事K、ならびに芝刑事。よく来てくれた」
2人をバドーの手下として改造してやる、と告げる首領だったが、K、ジェット噴射で強引に脱出(笑)
冒頭の電熱マンとの戦いの際にまたも両目を潰されているので、その修理をマザーから受けている時に「ねえマザー、
今度の相手はジェット噴射で空を飛んで逃げるから、僕もジェットで飛べるようになりたいんだよ〜」とおねだりしたに違いありません。
新しいレシピを閃いたのか、ついでにマザーは火力も強化してくれたようで、左腕に追加装備でマシンガンを装着して、
戦闘員を蜂の巣にしていくK。だが乱戦の中で芝が銃弾に倒れ、Kはマザーに助けを求め、浮上したマザーは芝を体内に吸収。
――次回、バドーの凶弾に倒れた芝刑事は、マザーの改造手術を受け、ロボット刑事として甦る。
「警視庁特別科学捜査室刑事部長・機動刑事シバン!
対バドー法第一条・機動刑事シバンは、バドーとの契約書を根拠に、犯人を逮捕する事が出来る。
第二条・機動刑事シバンは、相手がバドーと認めた場合、自らの判断で奪われた金品を爆破することが出来る。
第二条補足――場合によっては抹殺する事も許される」
Kとシバン、2人のロボット刑事は、果たしてバドーを倒す事が出来るのか?!
芝の安否が色々な意味で心配される中、マザーはバドーの砲撃を浴び、遂にミサイルの直撃を受けて海に沈んでしまう。
怒りのKは猛然と敵を蹴散らし、電熱マンを滅殺。Kはバドー首領を追い詰めるべく基地内部へと乗り込むが、
シルエットの首領は囮に過ぎず、アジトも世界中に組織を持つバドーのごく末端に過ぎなかった。Kを仕留めるべく、
自爆装置で吹き飛ぶアジト。果たしてKは、マザーは、そして芝刑事の運命は?!
クライマックス突入で、正統派の続きもの。新條が早々にリタイアした事で、芝がKとコンビを組み、お陰で瀕死の重傷に。
オヤジさんに関しては当初から、クライマックス展開で殺されそうな雰囲気はひしひしと漂っていたので心配な所がありましたが、
今回の展開なら、命までは取られずに済みそうか。
この期に及んでKがどの程度マザーの事を秘密にする意識があるのかわからないのが難ですが、
Kが芝刑事の為に必死にマザーを呼ぶというのは、なかなか熱い。
次回……次回…………次回、なんか、トテツモナイ事ニ。
- ◆第22話「恐悪ミサイルマン バドーの正体!!」◆ (監督:内田一作 脚本:中山昌一)
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アジトの爆発により海に沈んでいたKは、新たな怪ロボット・ミサイルマンの探知機に見つかってミサイルをぶちこまれるが、
逆襲に転じる。
「ミサイルでも水爆でも一向にかまわん! 叩きのめしてやる!」
前回に続きキレ気味のKさんに怯えたミサイルマンは一当たりして、撤退。ジェット飛行機能を付けた結果、
戦闘力が激減してしまった電熱マンの反省を踏まえたのか、或いはKのジョーカーを参考に製造されたのか、
ミサイルマンは自分で飛ぶのではなく、ジェットミサイルタンクに乗っているのがお洒落。戦車に乗った状態で登場したので、
最初は下半身タンクのロボットなのかと思いましたが、普通の人型で、タンクは愛車でした。
バドーはKの電子頭脳を手に入れるべく、芝家の娘2人を誘拐。これまで何があっても蚊帳の外だった姉妹が、
初めて物語の本筋に関わってくる展開。
囚われの妹は、出された食事に口をつけるのを拒否。
「おい、食べんと死ぬぞ」
「死んでもいい」
「おまえが良くてもこっちが困る!」
一方、折檻を受ける姉。
「ただKに手紙を書きさえすれば、痛い目にも遭わず、おいしいものを食べさせてやると言ってるのに!」
相変わらず、どこか親切なバドー。
マザーとの交信が途絶え涙を流すKは、新條からの連絡で姉妹が人質になった事を知り、脅迫状で指定された黒蛇湖へと向かう。
取引条件はKの電子頭脳と姉妹の交換の筈だったが、「俺はKと一騎打ちがしたかったんだ」と、
いきなり至近距離からミサイルを撃ち込んでくるミサイルマン(笑)
ミサイルマンは愛車からの砲撃の他、着ぐるみの胸部から直接?火薬でミサイルを飛ばすという素敵ギミックを搭載。
飛び出すミサイルは通常時と別ですが、本体はミニチュアではなく着ぐるみままで、普通に熱かった、とかこの時代だとありそうで怖い。
「ロボット刑事! 勝負は預けたぞ!」
体勢不利と見るや場を戦闘員に任せて逃亡するミサイルマン。
えーと、人質は……? 取引は……?
Kが戦闘員を機関銃で蹴散らすと、バドーの声が響き渡り、改めて取引を要求。姉妹は別々の所に人質にされており、
1人を救えばその瞬間にもう1人が殺される、と丁寧に説明。
「新條さん、私はどうすればいいんです」
「くそおっ」
そこへマザーが復活し、吸い込まれた2人は、マザーの中で 改造された 治療を受けた芝刑事と再会する。
「マザー? 何者ですいったい?」
「霧島博士のお嬢さんだ。このマザーロボットを作った、偉大な科学者のな。お嬢さんの名はサオリさんといって、
霧島博士の設計図によって、あのKを作った」
娘2人がさらわれた事を知った芝は、聞いたばかりのマザーの秘密をぽろっと新條に喋った事を、
壁の奥から椅子に座ったまま姿を見せた妙齢の女性にたしなめられる。その女性こそがマザー=霧島サオリであった!
これまでの見せ方などから、マザーはなにがしかの超存在かと思っていたのですが、中で人間が操る巨大ロボットだったというのは、
逆に盲点でした。劇中基準の超科学にしてもオーバースペックですし(笑) なお、普通に人が乗っていた事やその態度などから、
どうもKはマザー(サオリ)から存在を秘密にするように言い含められていただろう事は推測されます。後ここは、
サオリに素直に謝る芝刑事が面白い(笑)
「マザー、どうか私に、新しい力をお与えください」
メンテナンスを終えたKは、バドーと戦う為、より強い力を求める。ここでいきなり、どこか超然としたマザーに、
K一人に重荷を背負わせて、なぜこの科学力でバドーと戦わないのか、と突っかかる新條。
今回は完全に如何にもヒーロー物の展開ではありますが、ここは少し踏み越えすぎたというか、
新條が刑事としてのスタンスを崩してしまったのは、いただけない所。Kの為を思って、という形にしてはいますが、
どうしても他力本願に聞こえてしまい、あくまで刑事として自分達の力で悪に立ち向かうという一線は守ってほしかった。
「バドーは気が狂っています。病気です。私はその病気が治る日まで、待ってやりたいのです」
バドーを知っている事を匂わせながらもマザーはKの改造は承諾し、3人を外へと送り出す。マザーは何故、バドーの悪を見過ごし、
全面対決を行わないのか、それは――
「バドーは、私の弟です」
そう言い残して、姿を消すマザー。衝撃の事実に戸惑いながらも、芝姉妹を救う為に、バドーから渡されたパネルで、
3人はミサイルマンに呼び出しをかける。
「どうだ、覚悟は決まったか!」
ジェットミサイル戦車で飛んでくるミサイルマンの画は、今作にしてはスピード感のある特撮。
「決まった!」
「ようし、では電子頭脳を渡せ。姉妹は無事にうちに送り届けてやる」
「早とちりをするな!」
「なに?」
「反対に決まったのだ!」
「な、なんだと?!」
「おまえ達は、残らず倒す! ブローアップ!!」
宙を舞うジャケット! その下から現れたのは、真紅のボディ!!
「マザーの手で、新しく生まれ変わったKだ! 来い!」
頭部に三つの砲身、肩と腰にはミサイルと、最初に全身の追加装備をハッチフルオープンで見せ、
人間から異形のシルエットを強調すると共に、「やっちまった……」という衝撃を強くするという見せ方は非常に秀逸。
ハッチを閉めたKは格闘戦に入り、強化されたボディはミサイルすら弾き返すと、次々と戦闘員を屠り去っていく。
「おい、気でも狂ったのか?! 俺がボタンを押せば、あの姉妹は一瞬に命を絶たれるんだぞ!」
「承知だ! だがそうはさせん!」
「おのれぇ!」
ミサイルマンは人質を始末するべく誘導ミサイルを放つが、
「俺の力を見ろ! ミサイル爆破光線!」
Kの頭から放たれた光線により、ミサイルは空中で爆散。
「逃げられると思うか、ミサイルマン。俺の特殊ミサイルが、貴様たちの息の手を止めてやる! 行け! 追え!
由美さんと奈美さんの居る所へ。二つの俺のミサイル弾よ!」
K フォー デストロイ!
逃げだそうとしたミサイルマンはKの放ったミサイルの直撃を受けて汚い花火となり、
特殊ミサイルはミサイルマンが放っていたミサイルの航跡をシミュレートして、2人の人質を閉じ込めていたアジトに突入。
芝と新條が姉妹を無事に助け出し、新たな力を得たKは圧倒的な暴力で、バドーの人質作戦を粉砕するのであった。
作品として刑事である事に重点が置かれていた為、どちらかといえば“あまり強くないヒーロー”だったKですが、
活劇要素の強化から徐々にバージョンアップしていき、遂にパワーアップとともに真紅の鬼畜化。
全身の追加武装を制御する為か、どう考えてもOSから書き換えられています(笑)
シナリオとしては、その場その場の都合で敵方の行動が全く首尾一貫していないという典型的なグダグダ展開だったのですが、
ミサイルマンのお洒落タンクが全編でいい味を出し、クライマックスで衝撃のブローアップ! と、なかなか面白くまとまりました。
演出が頑張った。
芝家を救う為に、自ら、より人間から遠ざかる道を選んだK。だがバドーを倒す事は、
Kにとって唯一の家族と呼べるマザーの肉親を倒す事であった……娘2人が無事に帰って祝杯を挙げる芝家の茶の間と、
海辺で黄昏れるK、そんなKを呼べない事情について言葉を濁す芝と新條、という対比が渋い。
また、ミサイルマンを取引に呼び出す前に芝刑事がKに「すまんな」と告げるのですが、これはいっけん、
娘達とKの身柄を交換する事への謝罪のようですが、実際にはその後「反対に決まったのだ!」となるので、
これは娘達を救う為にKが更なる異形への改造を選択した事に対する「すまんな」と受け止めていいのかと思います。
そしてその改造に対して一切の躊躇の無いKの姿に、真の意味で芝刑事はKの人格を理解する。
そこで、最後の茶の間での芝刑事の台詞も、これまでとはニュアンスが違ってくる。
マザーの正体は、超存在や宇宙人でこそ無かったものの、ほぼ、宇宙人だった、と変わらないような内容ではありましたが、
しっかりとKとマザーとバドーの関係を繋げて物語をまとめてくれそうではあるので、そこは期待。
しかしいい加減、姉と新條さんはフラグ立つのかと思ったのに、全く立たなかった!!
なお今回、芝家の姉妹の事が終始「きょうだい」と言われていますが、「姉妹」と書いて「きょうだい」と読むのは、
特に間違いというわけではありません。今の感覚だと、凄く違和感ありますが(^^;
- ◆第23話「センスイマン 水中の恐怖!!」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:中山昌一)
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いきなり浜辺に現れ子供を驚かすセンスイマン、次はダイバーを襲い、パトロール中のKと新條がこれに遭遇。
Kと潜水マンはしばらく殴り合いになるが、逃げられてしまう。殺されたダイバーは、城南大学の戸田教授の教え子達であり、
事件は教授の研究を狙うバドーの陰謀であった……。
これまでになく意味の無い戦闘シーンが増え、水から飛び出し、再び飛び込む映像が何度も繰り返されたりと、
全体的に露骨な尺稼ぎの匂いの漂うシーンが目立つなど、前回の今回でひどく大雑把な単発エピソード(^^;
見所は、取り逃がした潜水マンの行方を、何故かマザーに問うK。
「K、それはあなたの勤めです。あなたが自分で探すのです」
仕事しなさい。
「マザー! 私には、貴女がわからない。バドーは本当に、貴女の弟なのですか」
「そうです。ジョージという、弟です」
そしてその流れで脈絡なくねじ込まれる、物語の背景。
サオリとジョージの父、霧島博士はマザーロボットを作ってしまうぐらいの天才科学者だったが、その為に犯罪組織に殺されてしまう。
ジョージは父の復讐の為、残された研究成果を用いてバドーを生み出すと、その憎しみを人類全てに向け、人間を苦しめる為に活動開始。
それを憂えたサオリはKを作り出したのだった。
それがどうして警察に預けられたのかは謎ですが、確実に言えるのは、
霧島サオリは警察上層部の黒いネタを握っているに違いありません。
かくして、弟を止めたいとは思いつつも決定的な手段を取る覚悟の決まらないサオリは対処療法としてのKを警察に預けるが、
警察は警察でKの扱いに困り、しかしサオリの頼みを撥ねつける事も出来ずにKを受け入れる……
この両者のやる気の無い思惑が一致した所に生まれた島流し部署、それこそが、特別科学捜査室!
クライマックスでは、珍しく、歌入りの主題歌で戦闘。OPに3番がある事が判明しました。「アリバイ」とか、
そんな概念があった頃が懐かしい(笑) 最後は全砲門フルバーストで滅殺。
- ◆第24話「バクライマン 焦熱作戦!!」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:中山昌一)
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深夜に炎上するビル……それはバドーの怪ロボット・バクライマンによる犯行であった。
バドーは証拠を残さずに意図的にビル火災を起こせる力をアピールすると、
「多額の保険金を支払う羽目になりたくなければ100億円よこせ」と、あちこちの火災保険会社を直接脅迫する。
不可能犯罪をとうとう自分達の利益の為に単独で行うと、バドーも相当、資金繰りが厳しくなっている模様。
作品コンセプトから考えると少々残念ですが、あくまで間接的な収入を狙うなど、発想の転換としては面白い。
多くの火災保険会社がバドーを恐れて脅迫に屈する中、特別科学捜査室への情報提供者が現れる。
慎重な捜査を約束する芝だが……かつて内密に捜査を進められた事があっただろうか。
案の定、秘書が既に工作員に入れ替わっており、警察への情報提供を知られてしまう社長。
毎度、本物がロッカーの中に押し込められているのが笑えます(笑)
情報提供者の会社が保険を請け負っていたビルが炎上した事から、バドーに勘づかれた事を危惧した芝と新條は、
最初に炎上したビルの生き残りである警備員から証言を得ようとするが、担当医もバドーの工作員に入れ替わられていた。
「先生はしばらく物置の中で休んでもらっている」
いちいち面白いぞ、工作員M5(笑)
火災の原因は謎のロボットではなく居眠りによる不注意である……と過失を認めてくれれば大金を払う、と工作員は取引を要求。
とりあえず金で口封じをしようとするのはバドーの面白みが出ました。
警備員の親子はその取引を断って殺されそうになるが、そこへKが飛び込んできて、逃げ出す工作員M5。
真面目にロープで窓から脱出する所を撮影してしまった為、逃走に手間取る。
M5と強力して仕事にあたる爆雷マンが、ブローアップしたKと激突。同じ長めの戦闘でも、
資材置き場での戦闘など前回よりシチュエーションにも凝って殺陣もしっかりしており、前回は本当に何だったのか(^^;
工作員M5は、バック転したり、Kに体当たりして爆雷マンを救ったり、謎の大活躍(笑)
偽装フィルムを剥がすと真っ黒な肌のサイボーグ、とここ数回で突然フィーチャーされたバドー工作員ですが、
今回はやたらに目立って面白い。
爆雷マンは気球を膨らませて急上昇する緊急脱出機能でM5と共に逃亡し、見せしめに殺されてしまう情報提供者の社長。
警察の介入に苛立ったバドー首領は、とうとう特別科学捜査室に「もう東京まるごと燃やしてやるぜ」と直接コール。
そして爆雷マンが芝家に手榴弾を投げ込むが、ガードに回っていたKさんが、
それを片っ端から拾っては消化液をかけて無効化するという大活躍。
逃亡する爆雷マンとM5を追い、K、ブローアップ。爆雷マンにチェーンを引っかけられるが、
右手からドリルが生えた! ドリルでチェーンを切断し、マシンガンでM5を蜂の巣にすると、
逃げようとする爆雷マンの気球も爆破し、落下した所をフルバーストでミサイルの藻屑に。かくして警備員の過失であるという疑いも晴れ、
大団円。
バドーがだいぶバタバタしているものの、それでかえって事件の背後関係が割とスッキリした為か、ここに来て、
1話完結エピソードでは割と悪くない出来でした。前回が酷すぎたという印象の問題もありますが(^^; バドーの路線変更が、
何となく組織として追い詰められている感じに見えるのも、結果的には良かった。
……にしても、21−22話でブローアップとマザーの正体が判明して一気にクライマックス編になるのかと思いきや、
ごく普通に1話完結エピソードが2話続きましたが、割とどさくさ紛れで終わってしまうのかなぁ……心配になってきました。
- ◆第25話「凶悪ガトリングマンのバドービールス作戦!!」◆ (監督:内田一作 脚本:中山昌一)
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突然発生した奇妙な伝染病……それは感染者を麻薬中毒のようにする効果があり、
バドーはそれを利用してバドー組織に忠実な奴隷を大量に作り出そうとしていた。
事件を追っていた二人の刑事がガトリングマンに殺害され、ワクチンを開発した二人の医師もバドーによって拉致されてしまう。
いよいよ人手も足りなくなってきたバドー、隠密に事を進めたいのか、派手に人間社会と敵対したいのか、
段々やる事が支離滅裂になってきています(^^;
怪ロボット・ガトリングマンは、ガトリング砲が頭の上についているせいで、射撃体勢が、うつぶせ。
さすがにそれだけだとまずいと思ったのか、接近戦用の武装として右手がカッターになっているのですが、そのデザインが、
その辺りの文房具屋で売っている工作用カッターそのままな為、段々と頭部のデザインもアラビックヤマト糊のように見えて来ます(笑)
警護に当たっていた医師をまんまと誘拐されたKと新條は、芝刑事から、おまえらは幼女より役に立たない、
とお叱りを受ける。
子供が都合良く全てを見ていたり(1回ならいいけど2回も)、子供が都合良くワクチンを持っていたりと、万事、非常に適当。
捕まっていた筈の子供が何故かバドーアジトのどんでん返しの仕掛けを使って助けに来たり、とにかく適当。
台詞の端々で、一応、バドーが追い詰められている事になっているのですが、エピソードが適当すぎてどうにも盛り上がりません(^^;
話数的に、ブローアップとバドーの正体判明から一気にクライマックスに突入する段取りだと思っていたのですが、その後3話、
ほぼ平常運行。Kのパワーアップと、新條さんの相手をするサイボーグ工作員路線で、本来はもう少し続く予定だったのが、
急に終わる事になったりしたのでしょうか(^^; 或いは、伊上勝の脚本が間に合わなかったのかとでも疑いたくなります。
ガトリングマンは移動用の台車と合体してタンクモードでKを攻撃するが、ナチュラルに転ぶ。
Kは右腕に装着したKロケットでガトリングを追い詰め、これに匍匐前進しながら全力射撃で反撃するガトリング。
見るからに弱点な上部を取ったKはKミサイルを放ち、
全身をバラバラにして逃れようとするガトリングマンだったが、全てのパーツを撃ち落とされて力尽きるのであった。
最後にナレーションで「バドーの大攻勢迫る」と前振りして煽りますが、非常に杜撰かつグダグダな残念回。
せっかくブローアップ編で盛り上げたのに、これはこのままダラダラ終わってしまうパターンだろうか、
と絶望しかけたのですが……次回予告。
「その頃バドーは、既に火星へ飛んだ」
どうしてーーーーーーーーーーーー?!
この次回予告で、全てどうでもよくなりました(笑) いやもう、次回は、面白いとか面白くないとか既に関係ない領域で、この予告だけでなんというか、勝った。
次回、驚天動地の最終回、
「火星の原野に繰り広げられる、Kとバドーの大決戦」
に刮目せよ!!
- ◆第26話「バドー火星に死す!!」◆ (監督:内田一作 脚本:伊上勝)
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あらゆる水を大爆発させる最終兵器を完成させたバドーは、その完全な運用の為に原子力限定機を狙い、
その警備を任されていた芝刑事を拉致。芝を助けに向かうKと新條の前には、バドー最強にして自称世界最強のロボット、
ハグルマンが立ちはだかる。
その名の通り、歯車に変形して飛行や攻撃をしてくるハグルマンは、全身各所に歯車があしらわれているというなかなか凝った造形にして、
乳白色のカラーリングが面白い。そして戦いながら、Kにバドーへの降参と従属を求めてくると、少々変わった性格。
「俺がそんな口車にのると思うか」
なるほど、歯車だけに……。
バドーは芝刑事に最終兵器のデモンストレーションを見せつけると、限定機を手に入れる為に、2人の娘を誘拐。
奪還の為に後を追う新條が、怪我で病院に担ぎ込まれた筈なのに、病院の2階から飛び降りバイクによる「スーパージャンプ!」
で車の屋根の上に飛び乗ったりと、好き放題。
しかし新條が制圧した車輌は囮で、既に娘2人は運び出されてしまっていた。Kもハグルマンの足止めを受け、
身柄を奪われてしまう姉妹。バドーは日本への全面降伏を要求し、各地で燃え上がる水。
芝は限定機と世界の運命を賭けてバドーとの交渉に臨み、Kと新條はバドーのアジトを探る。
「地球などバドーにとっては一つの星に過ぎないのだ」
バドーが求め続けてきた自分自身と、芝一家の交換を求めるKだったが、既にバドーは地球を滅ぼす意志を固めていた。
地球を滅ぼして宇宙探検の旅に出るというのもロマン溢れすぎて支離滅裂ですが、もはやバドー首領は完全に狂っているから仕方がない、
という事なのか(^^;
「おまえはバカだが素晴らしい奴だ。もう会う事は無いと思う。はぐるまーん!」
妙に男らしい歯車がアジトの灯台に乗り込むと、なんと、灯台がロケットに!
灯台ロケットは囚われの芝一家と乗り込んだ新條を乗せたまま宇宙へと飛び立ってしまい、Kは慌ててマザーを呼ぶと、
マザー、宇宙へ。
予告から、せいぜい逃げ出したバドー首領とKが宇宙に出るぐらいかと思っていたのですが、まさかの、
みんな揃って宇宙へ。
しかし平然と大気圏突破したマザーロボットですが、元々のトンデモデザインが、宇宙ロケットだと思うと妙にしっくり来る不思議。
そもそもマザーロボットは人類に絶望した霧島博士が未知の宇宙文明との接触を求めて作り上げた地球脱出用ロケットであった!
とか言われても納得してしまいます。そう考えると、地球を滅ぼしたバドー首領が父の意志を継いで宇宙へ向かおうとする、
というのも繋がるので、そういう事にしてもいい気がしてきました(笑)
バドーロケットとマザーは火星に降り立ち、ロケット内部では、新條が最後の大暴れで構成員を蹴散らしていく。
Kも乗り込んできて芝一家は救い出され、マザーに拾われる4人。そしてKは、雌雄を決するべく、歯車との戦いに挑む。
「火星に、重力と気圧を合わせないといかん!」
という台詞と調整の描写が入るのは、ここに来て渋い。
Kvs歯車マン、火星の荒野を舞台に、ちぎっては投げちぎっては投げの最後の激しいプロレスが展開し、火を噴くKミサイル。だが、
歯車マンはその爆撃に耐えてみせる。
「K、見事だ。世界一のロボット。俺は、俺はバドーと共に死ぬぞ。さらばぁ!」
やたらに潔い歯車マンは、敗北を認めロケットの中へ。
「来るな……来るなハグルマン。来るな、来るな!」
何故か、特に雑に扱ったわけでもない部下に追い詰められる首領(笑)
「おまえを地獄への道連れにしてやる。バドー! 最期の時だ!」
びしばしと鞭を振るって抵抗するバドー首領だったが、ハグルマンに組み付かれ、マザーの悲痛な叫びも虚しく自爆の巻き添えとなり、
爆死。バドーロケットも大爆発し、ここにバドー犯罪組織は、火星で壊滅するのであった……。
突然の火星へ、から、まさかの心中爆死。
……まあ、バドー首領が一応人間だった為、Kの速射破壊銃で木っ端微塵、というわけには行かなかったのでしょうが、それにしても、
どうして、歯車マンと(笑)
バドー首領が自らを改造するわけでなく、最後まで人間だった、というのは今作らしさとは思えますが。
組織が落ち目になって、給料の支払い滞納とかしていたのだろうか。
さすがにもう一つ、説明のつく成り行きが欲しかった所です。
それはKさんも、ミサイル伸ばしたまま、呆然と固まります。
――とにかくまあ、悪は滅びた。
地球に戻った5人はテーブルを囲み、芝はついに、Kという刑事を認める。
「K、いつまでも一緒にやってくれよな」
「お父さん、何を今更」
「もうガミガミ言わない?」
「…………はい」
「いやぁ、早く元気になって、ガミガミ言ってもらった方がいいですよ。なあK?」
君たち、ポンコツだからな!
「そうです。そうですとも。それじゃ、乾杯!」
初めて全員が揃って囲む祝杯シーンで、Kの音頭で乾杯して和やかにエンド。
かくしてロボット刑事Kはこれからも、世の中の悪から人々を守る為に、捜査を続けるのであった……走れK! 飛べジョーカー!
バドーが壊滅した今、歩くオーバーキルという気もするけれど!!
最後は、細かい事は放り投げて大団円となりましたが、Kが受け入れられるという、これはこれで良いかな、と。
限定機を欲しがっていた筈のバドーが芝家と一緒に宇宙へ脱出するなどシナリオは終始しっちゃかめっちゃかなのですが、火星へ飛ぶ、
というトンデモ展開により、無理矢理最終回っぽくしているという文字通りの離れ業。
結局、生のバドー首領と劇中で対面したのがハグルマンだけとか、色々凄い(笑) どう考えても、ハグルマン、
バドー首領の愛人なのですけど、深くツッコミ出すと地獄の蓋が開きそうなので以下略。
しかしまあ、人間を憎み、身の回りを怪ロボットとサイボーグで固めていたバドー首領が性的倒錯者であったという可能性は捨てがたい
(やめなさい)。
最終的に、“人間とロボットの関係”や“人間の心の中の悪”など、テーマ的な部分が掘り下げられなかったのは、残念でした。
前半、丁寧に盛り込んでいた要素だったけに、終盤になって怪ロボットと一緒にくるくる放り投げられてしまったのは、勿体なかったです。
ブローアップ編で垣間見えた悲哀も消化してほしかった……など物語としては惜しい要素が多々あるのですが、
特撮刑事ドラマとしての面白さ、後半のロボットプロレスの見応え、魅力的なコンセプト、などなど、
各エピソードの出来不出来にバラツキはあるものの、予想外に楽しめた作品でありました。
- ★後半戦まとめ★
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前半は、伊上勝か上原正三の前後編と、中山昌一による1話完結を2本、を繰り返していましたが、後半はやや変則的になり、
上原×2−中山×2−上原×2−中山×5−伊上
で、中山昌一がブローアップ編の前後編も担当。伊上勝は最終回だけ締めました。前半のローテーションや脚本家の担当からいっても、
ブローアップ編は伊上勝が書く方が自然な流れだった筈なのですが、何かあったのかなかったのか。
最終的な担当回数は、〔伊上勝:5本 上原正三:8本 中山昌一:13本〕。
今作オリジナルの魅力が最も出ているのは間違いなく伊上脚本回なのですが、終わってみれば中山脚本回が約半分。
全編を伊上ー上原回のテイストでやったらどうだったろう、と思う所はあるのですが、それはそれで、
後半に思いっきり路線修正が入ってぐだぐだに、とかあったのかなぁ(^^;
どういう企図だったのか正確にはわかりませんが、保険めいた如何にもヒーロー物の1話完結エピソードと、
刑事ドラマ色の強い意欲的な前後編を交互に放送する、という構成は独特の作風を生み出すに至りました。……もうちょっと、
互いのキャラの扱いなどの整合性が高ければ良かったのですが(^^;
そんな事情もあり、総合的な完成度は決して高くないのですが、伊上−上原編で展開するドラマは非常に魅力的で、
繰り返しますが、持っているポテンシャルの高い作品。
また、本文でも述べましたが、JAC初の単独アクション担当作品という事で、
後半どんどん力の入ったロボットプロレスは今見てもかなり出来が良く、奇抜な怪ロボットのデザインと相まって、
バトルの魅力もかなり大きい作品でした。ここは、かなり良かったです。
好きな怪ロボットは、コシカケマン(9話)、ロッカーマン(11話)、ガンリキマン(14話)、ノコギリマン(15話)、
タイホウマン(16話)、モグルマン(17話)、カラテマン(20話)、ミサイルマン(22話)、ハグルマン(26話)。
バドー怪ロボットは、名前はあれだしデザインはつまらないしで最初はどうなる事かと思ったのですが、
そのまんますぎて面白くなったコシカケマンとロッカーマン辺りからデザインがぐっと冴えたのに加え、
後半になるにつれて、どんどん頭がおかしくなっていき、終わってみれば非常に印象深い軍団となりました。
「貴方も無一文では強盗をした甲斐がなかろう。次の仕事の資金として、これを与えよう」
素晴らしい(笑)
ところで今回のHTML化作業まで実はずっと、赤Kへの変身台詞を「グローアップ!」(成長する?)
だと思いこんでいたのですが、色々確認したら、「ブローアップ!」だそうで、全面的に修正しました(^^;
どういう意味かと思ったら
「blow up」:爆発する、激怒する、膨らむ、など
だそうで、つまり…………「怒る!」
て、ここから取っていたのかもしかして??
色々惜しい佳作でしたが、発見が多く、楽しめた作品でした。
もしかしたら『仮面ライダークウガ』(2001)が、そうだった、と言ってもいいのかもしれませんが、
非常に00年代的な要素を内包している作品なので、精神的後継作品を今だからこそ見てみたいなーと思う一作。
今作の持っていたテーマ性を描ききった結実が、見てみたい、そんな作品。
以上、『ロボット刑事』感想、お付き合いいただきありがとうございました。
「芝刑事、これは人間の仕業ではありません」
「またかよK」
「昨日運び込まれた椅子が無いんですよ」
「馬鹿! 椅子が人殺しをするか」
(2015年2月24日)
(2017年6月5日 改訂)
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