■『ロボット刑事』感想まとめ3■


“捕らえろ バドーのロボットマン
走れ 走れ K.K ロボット刑事 K.K.K!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『ロボット刑事』 感想の、まとめ3(15話〜20話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ4〕


◆第15話「標的は原子番号79?!」◆ (監督:折田至 脚本:上原正三)
 政府が南アフリカから時価40億円相当の金塊を購入し、特別科学捜査室は空港から日本銀行までの警護を命じられる。 芝刑事の嫌な胸騒ぎが当たり、マシンガンを持った賊の襲撃を受ける現金輸送車。逃げた賊の車を追ったKは浮かび上がるマザーに 「追跡を中止して帰れ」と促されるが、芝刑事の指示を優先し、追跡を続行。
 犯人逮捕に意気込むKは、飛翔するジョーカーで逃亡する車に空中からの体当たりを繰り返し、結果、犯人の車はハンドル操作を誤り、 電柱にぶつかって大爆発。
 「あ……」
 大爆発。
 「しまった……。秘密を守る為に自爆してしまったんだ」

 違うよ!!

 どう見ても刑事事件ですが、あまりにも自然にそんな事実など無かった事になっていて、恐るべし、ロボット刑事。Kさんはそろそろ、 爆破して良い物と悪い物の区別を学習してほしい。
 一方、後方に待機していた現金輸送車は、バドーの強盗ロボット・ノコギリマンの強襲を受ける。ノコギリマンは、 腰の前に左右に丸ノコのついた装置を抱えているという、斬新なデザイン。その丸ノコの回転で銃弾を弾き返すのは、 ちょっと格好良かった(笑)
 芝と新條をガスで追い払ったノコギリマンは輸送車を強奪。すぐに検問が張られるがそれには引っかからず、 空っぽの輸送車が港で発見される。果たして、犯人と金塊はどこに消えたのか……かつてない大失敗で懲戒免職3秒前の危機に陥った3人は、 手分けして周辺を捜査する……。
 まあ、窓際部署の特別科学捜査室に持ち込まれるにしては重要すぎる案件ですし、警備の数はやる気が見られないし、 輸送ルートも明らかに事前に漏れているし、この後特に失職の危機という話も出ないので、本当はもっと大きな取引額だったのだけど、 表向きの目くらましと囮に利用された疑惑。
 金塊の運び込まれた倉庫では、
 「ちゃんと山の工場まで運べ」「いや、警察の検問が厳しくて……」「契約書通りにやってくれ」「そんな事言われても……」
 と、ノコギリマンが困っていた(笑)
 契約を盾に、かつてなく責められる怪ロボット・ノコギリマンはバドー首領に助力を仰ぎ、首領によって「タンクローリー作戦」 が提案される。タンクローリー作戦、それは、金を液状にした上でタンクローリーの中に詰めて運びだそうという作戦!
 「バドー様の計画に間違いはないのだ」
 一安心(笑)
 地獄耳からの情報で怪しい工場を探った刑事達は一足違いも、Kのセンサーによりタンクローリーを追い、Kはノコギリマンと激突する。
 ……あれ、ベルトのKのマーク、大きくなった?
 飛び道具として放たれるノコギリマンの丸ノコを機関銃で破壊するKだったが、そこへ、バドーの粉砕ロボット・タイホウマンが姿を現す。 今回のロボットが撃破される前から次回のロボットが登場するという、これまでと違う構成。
 大砲マンの助力を制止し、男らしくプライドを懸けた一騎打ちをKに挑むノコギリだったが、 いかんせん武器が腰の左右についているというデザインの為、接近戦が得意では無かった!
 「ぬぅ、我慢ならん」
 「タイホウマン! 仲間を殺すのか!」
 「力無き者は死あるのみ。それがバドーの掟だ!」
 戦いを見ているのが面倒くさくなった大砲がまとめて砲撃し、バラバラに砕け散るノコギリ。何とか直撃は避けたKだが、 問答無用の破壊力の前に果たして勝機はあるのか、そして、特別科学捜査室は金塊を奪い返す事が出来るのか?!
 いつもより早く次回の怪ロボットが登場した為、怪ロボット同士が絡むという、珍しい展開。用途別の趣が強めの怪ロボットですが、 やはりそこは悪の組織、強い者が偉いというのは大原則である模様(笑) 哀れノコギリマンは、 味方にとどめを刺された怪ロボットになってしまいました。……まああれだ、ノコギリの位置が悪かった。

◆第16話「バドーから奪え!!」◆ (監督:折田至 脚本:上原正三)
 K、新條、芝を吹っ飛ばした大砲マンは、再びタンクローリーを入手して逃走。重傷を負った芝刑事は病院へ運ばれる事になる。 新條も病院に向かい、Kは損傷した左目を修理する為にマザーの元へ。
 3回目となるKの視覚損傷ですが、両目だと、ロボットだし……という感じになるのに、片目だけの損傷表現だと妙にエグく見えるのは、 面白い。
 治療を終え、安静状態の芝を見舞う新條。
 「Kはどうした?」
 「あれ以来戻りません」
 「……あの鉄屑野郎が」
 本当に、鉄屑野郎ですね!
 「お父さん、どうしてKさんの事そんな風に言うの? そんなにロボットが憎いの?」
 「そうよ、もっと優しくすべきよ」
 「うるさいっ」
 「オヤジさんはね、長官からKを預かってるんだ。だからオヤジさんは、早くKを一人前にしようと思って」
 「新條、一人前にしようと思っているのはKだけじゃねえぞ」
 新條さんの脳天を、巨大なブーメランが直撃した!!(笑)
 それにしてもKは、マザーの事を意識的に秘密にしている感じではなく、マザーの所で修理してくると連絡した方がいい事を素でわかっていない感じが、 本当に困ったロボット刑事です。
 あと、長官に「押しつけられた」「預けられた」にすり替わっていますが、新條なので、 素で誤解している可能性もなくはない。
 今回は、そんな新條強(効果音がおかしい)が、修理中のKに代わってアクション面で大活躍。
 やはり、全体としてアクション強化の指示が出たのか、現金強奪グループのチンピラ達を相手に、大立ち回り。敵が1人、 鎖分銅を振り回していて、昭和、恐ろしい。チンピラ達を叩きのめし、奥多摩に秘密のアジトがある事を聞き出した新條は、 オフロードバイクで奥多摩へと向かう。金塊を山分けしていたバドーと強奪犯・赤松は、これを迎撃に出るが、そこへやってくるK。 ジョーカーから飛び降りて、空中脱衣!
 「鉄砲で大砲に勝てると思っているのか」
 速射機関銃を弾き返す大砲マンだったが、調子に乗って砲撃しすぎ、土砂崩れに飲み込まれて自爆(笑)
 Kと新條は赤松の逮捕に成功して20億の金塊を取り戻すのに成功するが、残りの20億は既にバドーの手に渡っていた。 芝刑事の叱咤を受けた2人は残り20億を取り戻すべく、赤松を外に連れ出して、わざと大砲マンの手で救出させる。
 「よく助けてくれました。礼を言います」
 「分け前は貰ったのに貴方が留置場じゃあ、気の毒だからな」
 素晴らしい組織だ、バドー!!(笑)
 更に大砲マンは、バドーの取り分から金の延べ棒を一本プレゼント。
 「貴方も無一文では強盗をした甲斐がなかろう。次の仕事の資金として、これを与えよう」

 なんて素晴らしい組織なんだ、バドー!!

 若干のやりすぎ感はありますが、この前後編、契約を大事にし、クライアントの利益が自分達の利益になる事をよく理解し、 共存共栄の良い関係を築いていこうとするバドーの描き方が非常に面白い(笑)  オーバーテクノロジーを駆使する悪魔的な謎の組織であるバドーの方が誠実であり、 報酬を渋った結果として破滅するのはむしろ人間の方である、というのは意図的なものと思われますが、 今作において「悪」がどこに置かれているのか、非常に特徴的な所です。
 赤松の所持品に付けていた装置の反応から後を追っていたKと新條は、バドーのアジトを発見して無事に金塊を回収するも束の間、 特ダネを求めて2人の後をつけていた地獄耳を人質にされ、3人まとめて捕まってしまう。時限爆弾で木っ端微塵の危機に、 何とか2人を救おうと、高圧電流の檻に突撃しようとするK。
 「私は、どうなってもいいんです」
 「K! ロボットだからって、命を粗末にしちゃいけねえよ」
 「新條さん……」
 芝ほど嫌悪を剥き出しにしていなかった新條は、ここまでの話の流れで何となくKを認めてはいましたが、ハッキリと同僚として (それも人間のように)認めるような発言は初。爆発の時間が迫り、少しでも衝撃を和らげようと2人に覆い被さるK。その時、 松葉杖姿の芝が駆けつけ、ギリギリで時限爆弾を解除する。
 「オヤジさん!」
 「甘ったれてる場合か。金を追うんだ、金を。地獄の底まで追いかけろ」
 刑事達は逃亡した大砲マンと赤松を追い詰め、Kと大砲マンは三度目の激突。
 「死にに来たかロボット刑事」
 「いや。決着をつけに来たのだ」
 Kは大砲マンの弱点を突き、インファイトでその砲撃を封じ込める。背中にそのまんま大砲を背負っている、 というとてもアクション向きではない大砲マンは、まさかの、体をひねって背中の砲身で殴打。よろけるKだったが、最後は、 追加アタッチメントのミサイルを大砲マンの砲身に直接叩き込む事で、消し飛ばすのだった。
 ……マザーが順調に、息子を戦鬼へと改造していきます。
 これまでの基本が、「バドーの怪ロボット撃破」&「証拠を見つけて犯人逮捕」だったのに対し、 「犯人逮捕」&「バドーから金塊回収」という、やや変則の構成。
 政府の40億円を奪われて「このままじゃ署に帰れねぇ」レベルの話しか出ないのは幾ら何でもという所でしたが、 どうもこの件自体がくさいというか、ロボット刑事の運用に関して、深い深い闇を感じずに居られません(笑)
 またラスト、芝刑事が助けに来た根拠が全く無かったのは、残念な所。場の盛り上げと勢いで誤魔化してしまいましたが、 今作としては、ワンポイント、欲しかった所です。
 総じて筋の雑さが目立ちましたが、随所に台詞の面白さは光る前後編でした。
 ED飛ばしがちなので初めて気付いたけど、助監督に長石多可男の名前を発見。

◆第17話「魔の泡に消されるな?!」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:中山昌一)
 見所は、体を張りまくるモグルマン。
 公園の砂場に突如現れたバドーの怪ロボット・モグルマンは、遊んでいた子供達と、 通りすがりの幼稚園バスを溶解泡で溶かし去ってしまう。それを目撃した、これも通りすがりの芝家長女は科学捜査室に電話をするが、
 「そんな馬鹿な! いい加減な事を言うんじゃない」
 →(条件反射)
 「本当よお父さん! 娘の言うこと信じないの?!」
 「むむ、夢みたいな話だが、おまえが言うんだ、すぐ調べに行く」
 →(反省)
 ……お父さん(笑)
 幼稚園や保護者からは確かに行方不明の届け出が出ており、跡形もなく消失したバスは、いかなる手段で消されてしまったのか。
 「またバドーロボットの仕業か……」
 「なんですってオヤジさん?」
 「何も言っとらん、向こうを見てこい」
 Kは公園で、溶けたスコップとバケツを発見。
 「これはやっぱり……」
 「バドーの仕業だって言うんだろ? ……オヤジさんもそう言ってた」
 両者の間で、ニヤニヤする新條さんがいいポジション。
 「芝刑事が? 本当ですか?」
 「口先じゃガミガミ言ってるけどな。オヤジさんは……」
 「何を喋ってるんだ。何か掴めたらすぐ報告するんだ」
 「ははっ、あのこれ、バドーの……」
 「馬鹿! バドーと決まったわけじゃない」
 ここまで物語が進んできて未だにバドーを認めないとその方がおかしいわけですが、芝刑事の変化を、やや遠回しに入れているのが秀逸。 今回、中山脚本にしては、芝刑事の使い方が面白い。また、微妙な台詞回しの巧さは、ベテランの役者さんがさすがの味。
 モグルマンによる大量殺人……それは、銀行強盗を企む2人組への売り込みの為のデモンストレーションであった。
 「さあ、この契約書に、サインするのだ」
 「も、もし、断ったら?」
 「バドーの存在を知ったおまえ達を、殺す」
 おい(笑)
 まあ、首領とモグルマンの登場前に、2人組が既にバドーの話をしていたので、もともと興味はあったようですが。
 モグルマンは間抜けな名前ながら、頭部のドリルがちゃんと回転するなど、割と凝った造形。
 今回もKと怪ロボットの戦いは、アクション盛りだくさん。
 Kが車のボンネットの上で鞍馬の要領で体をひねりながら、両足で潜るマンの首を挟み込んで投げに行くとか、凄い。その後、 戦場を移すわけでもカメラ位置が大きく変わるわけでもないのに、不自然な繋ぎでカットが切り替わるのですが、 ヘッドシザーズ・ホイップが綺麗に決まりすぎて、着ぐるみに不具合でも出たのか?(^^;
 Kは潜るマンの溶解泡を全身に浴びせられるが、両手から出すジェット水流でこれを洗い流す。 切り札を破られた潜るマンはドリル攻撃を繰り出した後、地面を掘って逃走。翌日、目撃者の少年を思いっきり囮に使ったKは、 再び潜るマンと激突する。
 30秒ぐらい解説インターバルを挟んで、結局またひたすら殴り合いの投げ飛ばし合いという、凄い構成(笑)
 ただ、後半戦からのアクション特盛りはかなり力が入っていて、凝った見せ方。派手な武装もCGエフェクトも無い中、ひたすら、 殴る・蹴る・投げる・回る・転がる・飛ぶによる一騎打ちを追求しており、 40年前ながらなかなかの見応えです。
 子供の声援を受けてKが根性見せるという、子供のヒーローアピールが入り、潜るマンを海へ放り投げるK。
 本気で辛そうな感じの潜るマンは何とか岸に這い上がると、再びドリルで逃走するのであった。
 ……かつてここまで、Kに好き放題に叩きのめされた怪ロボットが居ただろうか。
 Kは依頼人を突き止める為に探知装置で潜るマンを追い、新條と犯人グループを追い詰める事に。
 「我々とはなんだ、我々とは。あの機械野郎は人間並みに勘定するんじゃねえと、俺がいつも言ってるだろ」
 Kを「我々」と呼んで同列に扱い、一緒に犯人を捕まえるという新條に対し、心の狭い所を見せる芝刑事(笑) 前半、 Kに寄りすぎた反作用かと思われます。
 目撃者の抹殺に失敗し、チンピラ達のアジトに逃げ帰った潜るマンは、次の襲撃予定地の近くに、 水が無いかを気にしていた(笑)
 「水に濡れると、俺の泡は効かなくなるんでな」
 「やに引っ込み思案の事をおっしゃるが、あの子供の始末だけは、確かにつけていただけたんでしょうね」
 「うむ、それは大丈夫だ」
 嘘ついたーーー(笑)
 「本当ですね?」
 「俺を信用せんのか!」
 念を押されて、逆ギレ(笑)
 「モグルマン! 嘘をつくな」
 だがその時、顔を覗かせた新條が、外から容赦ないツッコミを入れる。
 「これは一体どういう事です。約束が違うじゃありませんか?」
 「心配するな。俺についてこい」
 これは駄目だオーラを全身から放ちながら、警察の囲みを強行突破しようとする潜るマンに浴びせられる警官隊の放水、 そして登場するK。溶解泡を封じられた潜るマンは逃げるのが精一杯で、チンピラ2人は敢えなく新條らによって逮捕される。
 潜るマンがあまりにアレなので達成感が今ひとつですが、これは珍しく、K&新條&一般警察がチームワークで犯人逮捕、 という事でいいのか。アクション大重視の中山回で、こういうシチュエーションを入れてきたのは、面白い。
 Kは潜るマンの逃げた穴に爆弾を放り込み、川の堰でのROUND3、スタート!
 さすがに長尺の戦闘が1話で3回目になると、少々厳しくなってきます(^^; あと、よくある話ですが、川での戦いは、 結局動きが重くなって、あまり面白くならない。また、敢えて?川の音を入れたかったのか、途中BGM無しでの戦闘なのですが、 盛り上がりに限度があります(前座ならまだしも、クライマックスでは特に)。BGM、大事。
 激しい攻防は続き、Kと潜るマンは全力で川の中を走った後、そのまま土手(割と傾斜が急)を駆け上り、 同カットのまま続けて殴り合いに突入。
 両者ちょっとへろへろして見えますが、多分、気のせいではない(笑)
 本当に、プロレスの終盤みたいな事に。
 最後は、またも地中脱出しようとした潜るマンが地面にドリルを突き立てた所を、速射機関銃で爆殺。
 ナレーション「ようやくにして倒した、強力モグルマン」
 ……いや、かつてなく嬲り殺しだったよーな。
 ナレーション「だが、バドーを倒さぬかぎり、悪ロボットの出現は絶える事がない。Kの目に、厳しい決意があった」
 と、散々バトルに尺を取った挙げ句に、今作では珍しく、後始末シーン無しでそのままエンディング突入。また、 公式には「悪ロボット」と呼称されるらしい事が判明しました。
 物語に酷い破綻は無かったし、さすがにやりすぎでしたがアクションは見応えあったし、 前半の芝−新條−Kのやり取りは良かったしで、中山脚本回としては割と秀作。 ……デモンストレーションの為だけに幼稚園児大量虐殺は、無駄に酷かったけど(^^;
 で、OPのクレジット見てちょっと気になっていたので確認したのですが、Kの中の人は金田治かー!(通常時は中島律)  そしてバドーロボットには、山岡淳二(主に)。後に東映ヒーロー作品のアクション監督として一時代を築く2人の、 振り返れば超豪華マッチアップでした。今作は1970年に結成されたJACの、初の単独アクション担当作品だったそうで、 肉弾戦への力の入り具合はその辺りも影響したのか。

◆第18話「バドーの冷凍作戦!!」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:中山昌一)
 あらゆるものを瞬時に凍らせるが、3時間後には溶け去って痕跡の残らない冷凍ガスにより、資産家の孫兄弟が狙われ、 兄は死亡するが弟は生き残る。弟の目撃証言により、バドーの怪ロボット・レイトーマンを追う科学捜査室だが、その魔手は、 資産家本人に迫っていた……!
 K、冷凍マンを轢く。
 最近、毒ガスに苦しんでいた記憶はありますが、冷凍ガスは無効なKは、冷凍マンを痛めつけると発信器を取り付ける事に成功。 新條刑事と一緒に冷凍マンを廃車置き場に追い詰めるが、発信器はぬいぐるみに付け替えられていた!
 毎度便利に使われていた発信器、遂に見破られる(笑)
 Kと新條がまんまと罠に引っかかっている間、冷凍マンによって殺されてしまう資産家。 Kと新條はまたも芝家のお茶の間で正座して反省。
 ……ああ、40億円の金塊を奪われた際に芝刑事(科学捜査室そのもの)を叱責する立場の警察上層部が居ないのが気になっていたのですが (1話でだけ上司が出てきますが)、その辺りのキャスティングの都合で、Kと新條がミスした時にも、 芝刑事が内輪で説教するしかないのか。
 それがどうしてお茶の間かというと、なんだかんだで毎度登場する娘2人の出番確保という身も蓋もない理由かとは思われますが(^^;
 「新條……俺がいつも言ってるだろ。人間の勘を大事にしろって。機械野郎なんか当てにするんじゃねえって」
 久々に青い瞳になるKを見て、速攻でフォローに入る娘達(笑)
 とうとう次女から
 「お父さんなんか大っ嫌い!」
 発言を受ける。
 追い打ちで長女からも
 「いいえ、私もお父さんの考えに反対です」
 と告げられ、お父さん、大ピンチ。
 芝刑事は慌てて娘2人を追い、他人の家のお茶の間で正座したまま取り残される刑事2人。
 「K、俺はオヤジさんとは違うぞ。俺は、おまえを機械だなんて思ってない。おまえは人間だ。俺の友達だ」
 新條さんにも裏切られたーーー(笑)
 まあ前々回あたりからどうも、これまでなし崩しだったKと新條の相棒関係を補強しようとしている感じであり、その一環と思われます。 少々、芝刑事が(表面上)憎まれ役になりすぎましたが(^^; この辺り、「人間とロボット」というテーマ性に関しては、 置いてはいるけど、それほど踏み込んでもいなかったりはしますが。
 冷凍マンは生き残りの少年を狙って病院を襲撃するが、立ち直ったKの指先からファイヤーによって阻止される。 殺人の依頼者は遺産を独り占めしようとする資産家の若い後妻……だとカミナリマンの回と被りすぎると思ったのか、 後妻は半強制的に契約を迫られたのであり、少年の殺害を止めようとし、自首しようとする、と一ひねり。
 犯人側を単純な悪人にせずにドラマを肉付けしたのは良かったのですが、強引に契約を迫った上に、 契約解除を求められて依頼人を始末しようとするなど、バドーがごく普通の悪の秘密結社になってしまったのは、いただけなかった所。 首領自ら、「おまえの資産をいただくぞ」と宣告に来たりしていましたが、Kの活躍で、少し資金繰りが苦しいのか、バドー(^^;
 前回がさすがに長すぎたと思ったのか、戦闘シーンはやや短め。冷凍マンの花火攻撃を冷凍マン主観映像で撮ったり、 Kのラッシュで画面右手に冷凍マンが押し込まれていくのを、カメラ移動しながらワンカットで撮り続けたりなど、 クライマックスバトルではちょっと面白いカメラワーク。
 次回、沖縄編、なのか、言っているだけで、フェリーの上で終わるのか。

◆第19話「沖縄の海に謎を追え!!」◆ (監督:折田至 脚本:上原正三)
 沖縄民謡とハイビスカスの花から始まる、沖縄編。
 のどかな情景から一転、海岸を逃げる男達が次々とバドー戦闘員の銃火を浴びて倒れるが、 1人の青年だけが小舟に乗って流されて一命を取り留める。
 その頃、東京上空にはバドーマークのついた謎の気球が飛来し、謎の女・リンがそれを手にしていた。漂流の末に定期船に救助され、 病院に運び込まれた青年の話を聞く科学捜査室。
 「奴等は、どでかい計画を立てている。恐るべき、計画だ」
 看護婦に変装したリンが青年を抹殺しようとし、それを追うKと新條のシーンは、演出といい音楽といいスパイアクション風味。
 そしてほぼ背景に近い所で、凄くナチュラルにパトカーの屋根を飛び越えて乗り込むというアクションを披露する新條(笑)  あまりに普通にやるので、思わず笑ってしまいました。
 Kはリンの召喚に応じて現れたバドーの用心棒ロボット・ギョライマンと激突し、「私は泳げる!」と力強く宣言するが、 塩水を吸うと締まる鎖を巻かれて海に落とされ、魚雷攻撃を受けてしまう。
 リンが沖縄行きのフェリーに乗り込んだのを目撃した芝と新條は、そんなKを捨て置いてフェリーへ。 そしてそのフェリーには病室から姿を消した青年も乗り込んでいた。
 バドーが割のいい工事現場の募集で、労働者を集めて作成していたもの。それは、水爆を積んで東京を目指す飛行船だった。 東京に飛来した謎の気球の正体は、沖縄→東京間の気流を確かめる、テスト飛行だったのである。
 新條は水着姿でのんびり船旅を楽しんでいたリンを発見。中国人?ぽい片言喋りのリン役の方はどうもアクションは得手ではないらしく、 凄くおぼつかない殺陣を、無理矢理「やるぞ」みたいに持ち上げる新條。リンは再び魚雷マンを召喚し、 そこにマザーによって海底から救出されたKが駆けつける。
 さすがにフェリー上では戦闘する場所も限られる為か、比較的短めの戦闘の果て、魚雷マンはざっくりと速射機関銃の餌食に。 そしてKは、「私は、女とは戦わない。たとえアンドロイドでもね」と急に紳士機能発動を発動し、リンの身柄を拘束するのであった。
 一方、芝家では娘達が父の誕生日ケーキを用意して待ちぼうけ。
 ……携帯電話も無い時代ですが、一切連絡無しに沖縄行ったのか(笑)
 東京を狙う水爆作戦を阻止しなくてはならない……三線の音に迎えられ、沖縄の地に降り立った一行を待ち受けていたのは、 青年の父が行方を絶ったという知らせであった。隙を突いて逃げ出したリンを追うKと新條だが、 バドーの怪ロボット・カラテマンに阻まれる。果たして科学捜査室は、恐るべき陰謀を食い止める事が出来るのか?!
 沖縄だけに空手マンは、片肌抜いた空手着姿に、頭部は握り拳モチーフという、素晴らしいデザイン。
 次回、「Kのブレザーが沖縄の空に舞う」というナレーションは、格好良かった。

◆第20話「水爆飛行船東京へ!」◆ (監督:折田至 脚本:上原正三)
 道を横断する牛に追跡を中断されるK(笑)
 「うまく、逃げられました」
 って、敵が上手だったみたいに誤魔化した!
 芝と新條は作業員に扮して敵の懐へ潜入をはかり、それを追跡するKだったが見事にまかれてしまう。潜入作戦を見破られ、 囚われた芝と新條は、今回の事件の黒幕、秘密結社ゼロの存在を知る。バドーの協力を得たゼロは、 水爆を積んだ飛行船を東京上空に浮かべ、日本政府に1兆円の支払いを要求しようとしていたのだった!
 沖縄ロケ編という事で多国籍感を出したかったのか、バドーの諜報アンドロイド・リンは中国系、 秘密結社ゼロの幹部は白人男性なのですが、色々おぼつかなく、少々キャスティングに無理があった感じ(^^;
 リンを追ったKは空手マンのマッハチョップを受けて倒れるが、それは死んだフリ。アジトへ帰る空手マンとリンを、 上空からジョーカーで追跡する。
 前回のフェリー追跡に続き、この前後編はやけにジョーカーが大活躍。そして、割と派手な威力の爆弾を積んでいる事が発覚しました。 とても都内では使える雰囲気の無い威力の爆弾でしたが、米軍に撃墜されても言い訳効きそうにないぞ、K。
 アジトに乗り込もうとするも、青年の姉弟を人質にされて捕まったKは、アジトごと木っ端微塵だと時限爆弾を仕掛けられるが、 前回の紳士機能発動が功を奏し、ときめきゲージがぎゅんぎゅん上昇していたリンの裏切りによって助けられる。だが、 空手マンのチョップを受けて機能を停止するリン。
 「これが……アンドロイドの、宿命よ」
 リンが倒れた途端に、マネキンになって首が外れたのは、恐らく意図した以上のショッキング演出に(^^;
 正直かなり強引な展開かつ、人型アンドロイドの愛と死も唐突ですが、Kは割とモテるので、機能の一つとしては納得できない事はない(笑)
 発進した水爆飛行船を止めようとするKの前に立ちふさがる空手マン。ブレザーを脱ぎ捨てるKに対し、空手マンも胴着を脱ぎ捨て、 激突する、全裸vs半裸!
 面白くなりそうな空手マン戦でしたが、この後飛行船を止めないといけない都合上それほど長くはならず、 空手マンの必殺マッハチョップを、脈絡なく取り出した鞭のようもので弾き返す「マッハチョップ返し!」から速射機関銃で滅殺。 ジョーカーで飛行船を追ったKは、東京上空で起爆装置の解除に成功。ここに、秘密結社ゼロの恐るべき計画は失敗に終わるのであった。
 東京で、飛行船を気にするカップルの男役は、大葉健二か?
 最後は折角なので、沖縄の海で水着を披露。
 ……芝刑事と新條刑事が(笑)
 意味が、わかりませんよ!
 40年前だけど全力で抗議したい(笑)
 何故かKも東京上空から沖縄へ戻り、青い海を楽しんで大団円。これまでかなり強引に出番を確保していた芝姉妹が全く出てこなかったのは、初めてか。
 うーん……沖縄から秘密結社が東京に向けて風船爆弾で水爆を飛ばす、というプロットは物凄かったですが、 沖縄に行った所で力尽きたような、雑な出来(^^; 散漫でまとまりが悪く、水爆停止のサスペンスも盛り上がりませんでした。 沖縄民謡を随所に被せた、情緒的な演出はちょっと面白かったですが。
 ちょっと調べた所、本作放映の前年(1972年)に、沖縄が本土復帰。どうやらそれを記念して、 沖縄ロケを行いつつ沖縄出身の上原正三を地元へ連れて行く、という一種の慰労企画回であった模様。
 次回、まさかのサブタイトルでマザー爆沈。

→〔その4へ続く〕

(2015年2月24日)
(2017年6月5日 改訂)
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