■『大鉄人17』感想まとめ(途中リタイア)■


“渦巻き昇るは竜巻か ブレインロボット大地震
飛べ 飛行ワンセブン 世界の終わりの救世主”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『大鉄人17』 感想です。路線変更によるダメージで力尽きて途中リタイアした為、感想は1〜20話+33〜35(最終)話、となっております。 文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第1話「謎の鋼鉄巨人」◆ (監督:山田稔 脚本:上原正三)
 「だいてつじーん・わーんせぶん!」
 三郎少年の叫びと共に手を広げたポーズから前奏と共にタイトル文字が入って、ワンセブンの変形シーンに繋がるOPが実に格好いい。
 主題歌は名曲。
 国際平和部隊科学研究所において、世界中の人々をあらゆる災害から守る為、 気象異変や地震の予知などを行っていた世界最大の人工頭脳ブレインが、研究所を破壊して逃走。 物凄い巨大コンピュータなのですが、映像見る限り、「逃走」としか言いようが無いので仕方ありません。大きさのイメージ的には、 奈良の大仏が走り出す感じでしょうか。同日、研究所で夜間勤務をしており、ブレインの失踪後に行方のわからなくなったハスラー教授 (大月ウルフ!)が事件への関与を疑われるが、ブレインともども、その行方は杳としてしれない。
 いきなり疑われまくるハスラー教授は、どれだけ人望ないのか。
 あと、やたら完全武装な警備隊は、明らかにテロとかではなく、ブレインを警戒していたよーな(笑)
 ブレインに向けて撃ちまくっていたし。
 国際平和部隊の必死の捜索もむなしく、ブレインが消息を絶ってから1年――今日も国際平和部隊、別名、 レッドマフラー(ナレーションでさらっと流されるけど、何故)はブレイン、 そしてハスラー教授の行方を追っていた。
 山間の村で、溝にはまったトラックを助けるレッドマフラー隊員。助けを求めてきた少年によると、そのトラックで姉が嫁入りだという。 家の中から出てきた紋付き袴の両親と、白無垢の姉を見て、おもむろに隊員の一人がハーモニカで結婚行進曲を吹き出すというのが渋い。
 一方、レッドマフラーの別働隊がとある山腹で不思議な震動音をキャッチしていた。そこに行き合う、嫁入りトラック一行。その時、 突然の地滑りが起こり、レッドマフラーと嫁入りトラックはそれに呑み込まれてしまう……。
 主人公の父さん母さん姉さん、嫁入りの日に死亡。
 現場に駆けつける佐原博士の元にも、絶望的な報告が届く。
 「岡崎も……中津も……山田も……」
 「おそらく、絶望かと」
 と、Aパート超ハード。
 唯一の生き残りとなった三郎少年はレッドマフラーの後続部隊に救助されていたが、目を醒ますと地滑りの時に見た謎のロボットに怒りを燃やし、 山へと駆けいって地下洞穴に滑り落ちる。そこでブレインと遭遇した三郎少年はハスラー教授とその部下に追われる内に、 洞穴の奥に眠っていた17を発見。たまたま電源スイッチを起動し、目覚める17。しかし17を敵ロボットと思い込んだ三郎少年は、 17から渡されたヘルメットを投げ捨て、逃亡する。
 1年の経過により、ハスラー陣営に部下(もろにナチっぽい服装)が居たりするのが自然なのは良いところ。
 レッドマフラーの基地で、自分の見たものを妙に達者な絵で説明する三郎少年……そこに、東京郊外に怪ロボット出現の報が入る!
 現れたのは、地均しロボ。
 巨大ローラーで街を破壊していくロボットの前に奮戦するレッドマフラーだが、次々とやられていく。
 なぜか、博士の乗ったヘリの攻撃が、一番効いた!(笑)
 基地のオペレーターのお姉さんが博士の娘である事が会話から判明するのですが、職場で「お父さん」と呼ぶ娘も、 それを普通に受け入れている博士もどうか(^^; まあ博士のレッドマフラーにおける立場もよくわからないのですが。 通称「博士」なのに、何故か中井隊長ら実働部隊の指揮権を握っているみたいですし。
 両親と姉の仇、とローラーロボの眼前に特攻し、拾った手榴弾を投げつけたりする三郎少年だが、 あわやローラーでぺしゃんこの危機……その時、地中から現れてローラーを弾き返す巨大な手!
 山中で三郎少年が出会った巨大ロボは地均しロボを殴り倒すと、必殺グラビトンで地均しロボを撃破する。
 果たして、この巨大ロボは敵か味方か? そして、全ての糸を引くのはハスラー教授なのか……?!

◆第2話「地上最大の巨人頭脳」◆ (監督:山田稔 脚本:上原正三)
 ワンセブンを見て、
 「三郎くんがジャングルで出会った、ロボットだな」
 と曰う佐原博士。
 いったい日本の山中のどこにジャングルが。
 レッドマフラーは立ち去ろうとするワンセブンを追い、いつの間にやら関係者のように「僕も行きます!」とヘリコプターに乗り込む三郎少年だが、 17はスモークを出して逃走。
 場面変わって、両親と姉の墓に合掌する三郎少年と、佐原一家(博士、オペレーターの姉、三郎と同世代ぐらい?の妹)。
 特に説明も言及も無いのですが、三郎少年は佐原家の養子か何かになったという事なのか……? 博士、いい人そうというか、 昭和の金持ちの匂いが凄くします。
 そこへやってくる、声の渋い中井隊長と、部下二人。妹によると、オペレーターの姉と中井隊長は結婚を控えているらしい。

 やめてー、死亡フラグやめてー

 にしても、妻がオペレーターで、義父が上司とか、嫌な職場だなぁ……。
 一方ハスラーとブレインは、世界中の凶悪犯を集めて手駒となるブレイン党を組織しようと、 ハリケーンロボットで全世界の刑務所を襲撃し、凶悪犯達をかき集める。世界各地で起こる被害に紛糾する対策会議。
 行方不明のハスラー教授がブレインを操っているとすれば、ブレインの超生産能力により、 どんな侵略ロボを作ってもおかしくないという博士の意見に、上層部は総攻撃を決断する。だが、侵略ロボの戦闘力は絶大であり、 いたずらに攻撃をしかけても味方の被害が増えるだけ……と苦悩する博士。
 (兵士達の命は無駄にしたくない。どうすればいい)
 回想の中井隊長「ブレインは殺人マシンになってしまったのです」
 (そんなつもりで作ったのではなかった……)
 薄々そんな気がしていたけれど、やはり元凶は貴方か。
 そこへ中井隊長が作戦を上申する。相手の思惑を逆手に取り、凶悪犯に変装してブレインの基地に潜り込もうというのだ。話を聞き、 止めようとする姉。
 姉「やめて、やめてください」
 隊長「チエさん……」
 姉「お父さん、やめさせて」
 隊長「ブレインを破壊しない限り、僕たちの幸せはないんだ」
 いいから職場で「お父さん」はやめなさい。
 結局、博士は隊長の作戦を承認。ライフル強盗に扮して銀行を襲った中井隊長は、これまでは刑務所や護送車ごとだったのに、 なぜか単品で運ばれる(笑)
 ハスラー教授の適当すぎる面接によりさっそくブレイン党に組み入れられた隊長は、ブレインの元へ潜入して銃口を向けるが、 ブレインに変装を見破られ、捕まる。一方、レーダーで隊長を追っていたレッドマフラーは、再び、あの山へ。 三郎少年は先週捨てたヘルメットが落ちているのを見つけ、何故かおもむろにかぶってみる。そしてその先で彼等が発見したのは――
 拷問の後も生々しく、十字架にかけられ、絶命した中井隊長の姿であった。
 その十字架に残された、「ブレイン・ハスラー」という血文字。
 ブレインとハスラーが繋がっている事は判明したが、中井隊長という犠牲はあまりに大きかった……そこへ、 東京をハリケーンロボが襲撃する!
 隊長の弔い合戦だと意気込むが、次々とやられるレッドマフラー。
 だからなぜ、三郎少年とオペレーターが最前線に出るのか。
 この辺り、非常に大雑把で、ご都合というか、根本的にずさん(^^;
 それにしても兵士の損耗率が激しすぎて不安になりますが、まあ毎回律儀に一般兵が死んでいくのは最初の内だけなのかどうか。 等身大ヒーロー作品でいうところの戦闘員ポジションが居ないのでその分を回しているのかと思いますが、 レッドマフラーの名も無き兵士達がそれなりに居て、ばたばたやられていくのは特徴的。
 このまま、怪ロボットの前になす術もないのか……? その時、三郎の足下に転がる例のごついヘルメット。
 ………………どこから出てきた?
 ワンセブンと三郎を繋ぐ超重要アイテムの筈なのに、1話では投げ捨てられ、 2話でおもむろに拾って被ったかと思えば隊長の磔死体を見ている内にどこかへ消え、 クライマックスではどこからともなく転がってくるという物凄いぞんざいな扱い。
 そしてまた、おもむろにかぶってみる三郎。
 少年だから仕方ないで済まされないレベルで、野生の勘だけで生きている主人公。
 そこへ飛んでくる、ワンセブン。
 まるで三郎の呼びかけに応えるかのように奮戦したワンセブンは、ハリケーンロボットを撃破。そして三郎少年を手に乗せ、 自らの名前を胸のマークで告げる。
 その名は……17(ワンセブン)。
 ――大鉄人ワンセブン!
 その頃、ハリケーンロボを撃破されて激昂したハスラー教授は、より強力なロボを作成するようブレインに喚くが、 立ち去ろうとしたその背に、思わぬ声がかかる。
 「ハスラーくん」
 「……ハスラーくん? 私のことかね?」
 「そうだ、おまえのことだ」
 「無礼な! たかがコンピュータごときに、おまえ呼ばわりされる覚えは――ないわいっ!」
 「そんな口を私に聞いていいのかな、ハスラーくん」
 ブレインの威嚇攻撃を受け、呻くハスラー教授。

 早くも、立場逆転(笑)

 ブレインはデザインもいいし、声が渋くて格好いい。
 ハスラー教授も素敵。
 次回予告でほぼバレしていたとはいえ、やたらに渋い声でキャラも立っていた中井隊長の死亡はかなり衝撃的でしたが、 三郎少年の姉に似ていると言及されるチエさんには、何か不幸を呼ぶ因子でも埋まっているのか(^^;
 全体的に小道具の整合性とか取る気が全く感じられないのですが、冒頭の博士の台詞など映像と脚本のズレも目立ち、 いっそここまでくると面白くなってしまって凄いめくるめく大先生脚本に、 責任を追わせていいのか悩ましい所です。
 ところで今作は一応、東映特撮・石森(プロ)枠なのですが、ロボットの名前は『鉄人28号』のオマージュと公言されているし、 巨大ロボットと少年の取り合わせ、ブレインの繰り出してくる怪ロボット軍団、コマの間とか背景で人が死んでいる感じと、 割と横山ワールド。
 ある意味では、横山光輝ワールドと石森章太郎ワールドの夢のハイブリッド。

◆第3話「消えたワンセブン 謎のヘルメット」◆ (監督:若林幹 脚本:伊上勝)
 ハリケーンロボを撃破した17と、会話のドッジボールを続ける三郎くん。「モ゛ォォー、モ゛ォォー」みたいな音と、 目の光のパターンでしか意思表示を行えない17だが、なんとなく「イエス」の表示パターンが判明。 三郎くん以外の質問はガン無視する17は変形し再び飛び去っていき、それを見つめる謎の男。 レッドマフラーはレーダーで17の行方を追うが、17は電波攪乱装置を用いてレーダーを無効化し、姿を消す。
 ナレーターでざっくりだけかと思いつつ、ワンセブンがちゃんとチャフを撒いている映像が入るのが細かいところ。 17は派手な戦闘力の割に、スモークとかチャフとか、逃亡用の機能が充実しているのは、いったい誰の趣味なのか。
 追跡に失敗したレッドマフラーでは、大鉄人17を仲間につけようと、ヘルメットの研究を行う事に。そしてやはり養子になったのか、 或いは籍を入れなくても家で養われているのか、佐原博士の次女とお勉強中の三郎くん。
 「ブレインのロボットが出る度にレッドマフラーの付き合いじゃ大変よね」
 「あのヘルメットの秘密がわかれば、もう俺も行かなくても」
 いや貴方、凄く自発的に参加していたような。
 その頃、夜なべでヘルメットの研究を進めていた博士達の所に、警備の男から銃を奪いと取った侵入者が現れる。
 「貴様達の警備はなっておらん!」
 すわブレイン党の一員かと思われたその男は、剣持保!
 殉職した中井隊長に代わる、新たなレッドマフラー隊長であった。
 2話だけでインパクトの大きかった中井隊長の後任という事で心配されましたが、ワイルドヒゲの風貌、隊員達をいきなり一喝、 と新隊長もなかなかのインパクトで格好いい。
 そんな新隊長に、隊員達は皆よくやっている、と突っかかる千恵さん。
 「お言葉を返すようですが、お嬢さん」
 「佐原隊員です」

 博士にも言ってやれ

 一方、ブレイン党には新たな幹部、キャプテン・ゴメス(平田昭彦!)と、その片腕チーフキッドが加わっていた。 17がどうやら少年と関わりが深いらしいと観察したゴメスの言葉に、子供なんて気にしなくてもいいだろう、と口を挟むハスラー教授。
 「だったら、心配はないよブレイン」
 「ハスラーくん、呼び捨てはやめてもらおう。今後、ミスターと言え」
 ブレインとハスラーのやり取りは、楽しすぎます(笑)
 遅々として進まないヘルメットの研究、剣持隊長は過去の17のデータから、「三郎君を危機に追い込み、 ワンセブンを出撃させるのです」と、学校の旅行に出る三郎くんを襲撃する事を提案し、博士もそれを受け入れる。この後、 そんな作戦は三郎くんに酷すぎるから止めるべきだ、と娘がやってきて、人類の為だから仕方ないじゃん、 と博士が答えるのですが…………むしろ、三郎くんのついでに襲撃されるクラスメイトが可哀想。

 こうして、旅行中の三郎少年に襲いかかるレッドマフラー。

 だが、剣持隊長と因縁深いチーフキッドも三郎少年の命を狙い、剣持の作戦に乗じて三郎くんの乗ったスクールバスを襲撃。 ミサイルの雨に曝されるスクールバスだが、霧と共に現れた17によって救出される。

 何故か、おもむろにヘルメット被っている三郎少年。 (研究所にあった筈では……)

 そこへ姿を現すブレインの地震ロボ。  どういうわけか一度は戦闘を拒否した17だが、地割れに落ちた三郎少年を救う為に起動。地震ロボを殴り倒すがトドメを刺さず、 ロボとチーフキッド等は撤退していく……。

◆第4話「わが友はワンセブン」◆ (監督:若林幹 脚本:伊上勝)
 17が地震ロボにとどめを刺さなかったのは、剣持隊長が指示した撮影班が、17の戦闘をフィルムに収めていたからだった。 三郎少年はレッドマフラーにそのフィルムを捨てさせ、満足した17(秘密主義)は去っていく。
 「剣持隊長、君のテストは成功したね」
 と、(一般の中学生を巻き添えにした結果)三郎少年の危機と17の出現の関係が証明されて、にこやかな博士。
 やっぱり駄目だ、この人……!
 だが、現場に居合わせたチーフキッドを通して、ブレイン党にもその事が伝わってしまった筈。ブレイン党が狙ってくる事を考えると、 三郎くんには自分で身を護る力を身につけてもらわなければならない……その為にはレッドマフラーに入るしかないと、 友達と草野球中の三郎くんを説得しに行く剣持隊長、だが、売り言葉に買い言葉気味に交渉は決裂。
 しかしその時、三郎少年の命を狙うブレイン党の策謀により、 何時の間にやらすり替えられた火薬入り野球ボールが三郎くんを襲う!  咄嗟にそれに気付いた剣持隊長が空中でボールを撃ち落として難を逃れるが、グラウンドは騒然。
 わざわざ野球友達の前で、「君がレッドマフラーに入らないと、これからも罪もない少年達が巻き添えをくらうぞ」 と脅しにかかる剣持隊長。
 たいちょぉぉぉぉ?!
 中学生コミュニティに気を遣ってあげて!!
 これでハブよ、明日からハブよ?!
 誰も班組んでくれなかったり、ノート貸してくれないんですよ?!
 ただでさえ田舎からの転校生で、色々と気を遣ってクラスに馴染む努力をしてきたのに台無しだぁぁぁぁぁ
 というわけで、
 「俺はひとりぼっちなのかーー!!」
 と走り出した三郎少年が、ヘルメット(もはやどこから取りだしたか聞いてはいけない)を地面に叩きつけると、そこへ飛んでくる17。
 「俺はおまえのために、友達までなくしたんだぞっ?!」

 剣持隊長のせいだと思います

 だが、もしかしたら17は自分を慰めに来たのだろうかと思い至った三郎少年は、その問いかけにイエスの返答を得ると、 17と友達になろうと決める。
 大歓喜の三郎くん。
 …………あー……追い詰められて、壊れた?
 まあ、両親と姉を喪い、お世話になっている姉代わりの人の婚約者の磔死体を目撃し、 慣れない都会暮らしで頑張って育んできた友情をヒゲのおじさんに一瞬で無惨に破壊され……壊れても仕方がない。
 こうしてレッドマフラーに入隊する事になった三郎を、剣持は「一人前として扱う」と、厳しく指導。見かねた隊員が口を挟むが、
 「隊長、三郎くんは!」
 「南隊員といえ!」

 博士にも言ってやれ

 あくまで厳しい剣持。ただ、受け身は覚えさせてから乱取りした方がいいと思います。
 同じ頃、ダムに地震ロボが出現。付近で写生していた子供を見つける、レッドマフラーと博士。
 博士「君、あの子供は危険だね」
 隊員「先程も注意したのですが」
 博士「早く連れ戻しなさい」
 この2話ぐらいの博士の、あらゆる事への他人事感は何なのだろう……。
 キャプテンゴメスとチーフキッドの配置した狙撃手網をくぐりぬけたレッドマフラーと三郎少年、現れた17が地震ロボを撃破し、 ダムの破壊は食い止められる。こうして三郎少年と大鉄人17は、ブレインと戦い続ける決意を固めていくのであった。
 前回と今回登場の地震ロボは、くい打ち機みたいで、面白いデザイン。
 巨大ロボものという事で、単純な人型ではない路線へのこだわりが見えます。
 新登場の剣持隊長は、待ち伏せしていたスナイパーを次々と撃破したり個人能力は物凄く高いけど、 指揮能力とか指導力とか説得力とか人身掌握技術とか戦術眼とか、人の上に立つ人間に必要なスキルは残念ながら全般的に低そう。

◆第5話「空飛ぶ氷山」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
 前話で受けた狙撃の傷の為に加療中の剣持隊長は、病室のベッドでおもむろにハート形のペンダントを取り出す。 ロケット部分に入っていたのは、

 少年の写真。

 ……えええええええええええええっ?! 剣持隊長、そっちなの?!
 ……いや、回想シーンで「兄ちゃん」と言っていたので、亡くした弟とか、そんな所だとは思いますが。
 …………あーでも、アニキ的な意味の「兄ちゃん」という可能性もあるか。

 ウウム、『17』という作品の見方を大幅に変える衝撃の展開だなぁ (そろそろトマレ)

 そこに、佐原家次女をともなって見舞いに訪れる三郎だが、
 「南隊員に死なれては迷惑するので、かばったまでの事だ。この傷は、言うなれば、南隊員のミスによるものだ」 「私のところに見舞いにくる時間があったら、隊員と一緒に訓練することだ」
 と隊長の態度は冷たく、腹をたてて手にした花束を投げつける次女。
 割と普通に酷い。
 あと、私としては、狙撃手の待ち伏せに対してジープで突っ込んだ隊長の判断ミスに一票を投じたいのですが。
 ところで剣持隊長に「ガールフレンドと一緒か」と言われて、三郎も次女も否定しないのだけど、三郎くん、けっこう手が早いゾ。
 基地に戻って訓練に励む三郎。
 そこへ見物にやってきて、
 「三郎くんに、下手な同情は禁物だね」
 と、今日も他人事風味で楽しそうな博士。
 滝登りを完遂した三郎くんに声をかけ、
 「三郎くん、よくやった」
 「三郎君はよしてください!」
 公私混同を叱られる。
 いいぞ、もっと言ってやれ。
 その頃、ブレイン党では冷凍ロボットを使った作戦が立案されていた。キャプテン・ゴメスとハスラー教授の関係は、 ゴメスが破壊工作隊で、教授がロボット担当らしい事が判明。ゴメスをごろつきと称するハスラーはブレインに抗議をするが、
 「私に質問は許されない。質問は私がする。答えるのは君だ」
 と冷たくあしらわれる。
 冷凍ロボットにより東京を孤立させるという作戦が展開、 霧ヶ峰高原に出現した巨大な氷山の調査に向かったレッドマフラーは冷凍ロボの噴出する吹雪に行く手を阻まれ、 飛び込んだ山小屋でチーフキッドに囲まれる。雪上迷彩を装備するブレイン党に無駄弾を撃ちまくるレッドマフラー。 ひとり飛び出した三郎は、チーフキッドに捕まってしまう。
 そこへ飛んできたワンセブンと冷凍ロボの戦いが始まるが、三郎が捕まっている事に気付いたワンセブンは棒立ち状態で冷凍ロボの攻撃を受け続ける。 「僕に構わず戦ってくれ!」と叫ぶ三郎の声は、ワンセブンに届くのか?!
 自分の手でで胸のハンドルを回してブリザードを吹き出す冷凍ロボが素敵。

◆第6話「ワンセブンの贈り物」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
 剣持隊長が救援に現れ、ワンセブンも冷凍ロボに反撃。ロボには逃げられるが、チーフキッドを捕まえる事に成功する。
 捕まえたチーフキッドが全身に武器を隠している、というのは格好いい。 剣持はチーフキッドが決してブレイン党について口を割らないであろう事を確信しており、敢えて尋問をしない。一方、 キャプテンゴメスもチーフキッドが自分達を裏切らない事を確信しており、剣持が打ってくるであろう次の手を推測する……剣持の手、 それは、キッドをわざと泳がせる「猫の鈴作戦」であった。その為の布石として、既に、 身体検査で武器をわざと一つ見逃していた!というのが、食事シーンや訓練シーンを挟んだ後で明かされる、 というのが非常に格好いい。
 靴に隠したナイフを用いて脱出するチーフキッド。ジープに仕掛けた通信機でそれを追う剣持達だが、 剣持の作戦を読んでいたキッドとゴメスによって、逆に敵の罠にはまってしまう!
 と、お互いを知る宿敵同士の二重の罠の張り合い、という展開は秀逸。
 更にそこへ飛び込んでくる、冷凍ロボ出現の報告。
 剣持が万が一の為に用意していた爆弾によりブレイン党の包囲を切り抜け、倉庫で戦闘に。その時、三郎くんの元へ飛んできた、 謎のプロペラ付き車。そのマシンにふらふら寄った所へ組み付いてきたブレイン党を、ビルから投げ落とす三郎。

 南三郎、はじめての殺し

 プロペラ付き車は三郎を乗せて冷凍ロボの元まで移動し、出現した17は冷凍ロボを撃破。
 車は、17が体内で製造した、三郎少年への送りものだった。
 SAB−MACHINEの「SAB」って、三郎の「サブ」なのか!!(笑)
 こうして新たな力を得、絆をまた強くした三郎とワンセブン。だがワンセブンはあくまでレッドマフラーの基地に近づく事なく、 戦いが終わると何処ともなく消えてゆき、その謎は深まるばかりなのであった……。
 特撮に金がかかっていたのかもしれませんが、基本2話構成で、ストーリー展開がゆったりしているのは特徴的な所。 ……ドラマ部分がしっかりしているかというと、また話が別なのですが(笑)
 三郎と17のやり取りが、もどかしいというよりは、半分以上、三郎くんの思い込みに見えるのと、17の行動が自由意思に溢れすぎて、 今ひとつ三郎くんという存在の必然性がわからない所は、早めに何とかしてほしいところ。あと、博士。 向かいで子供が食事中なのにタバコすぱすぱふかしちゃう博士。しかし、レッドマフラー隊の食堂は、 なぜあんなに近所の定食屋みたいなのか。
 ところで、軍服風膝丈タイトスカート&ブーツは、割と良いと思う今日この頃です。
 千恵さんはコネ入社感満載すぎて色々どうかと思うけど、美人なので許そうと思う(おぃ)
 次女も割と美形なのですが、そもそも博士が二枚目で、佐原家は容姿グレード高いなぁ。ちゃんとキャスティングしてあるというか。 他のレギュラーが激しく男くさい分のバランスもあるのでしょうが。

◆第7話「ゴメスの鉄人狩り」◆ (監督:若林幹 脚本:伊上勝)
◆第8話「ワンセブン15時間の命」◆ (監督:若林幹 脚本:伊上勝)
 サブマシンのテストで調子に乗り、剣持隊長の停止命令を無視してスピードを出しすぎ、隊長に張り飛ばされる三郎。
 千恵さんが三郎をかばうのですが、ここはどう考えても、100%隊長が正しい。 千恵さんがどんどん駄目な人になっていくというか、佐原親娘が駄目すぎるというか、剣持隊長は早く、千恵さんの心の隙間を埋めるべき。 まあ、千恵さんとフラグ立てると、その回で死にますが!!(おぃ)
 剣持の弟やすしが、かつてバイクのスピードの出しすぎで死亡事故を起こした、という事情がここで語られ、 前々回のペンダントの伏線が回収。
 博士からそれを聞かされ、剣持に謝罪する三郎。二人は和解し、三郎はサブマシンの飛行テストを行うが、そこに襲いかかる、 ブレイン党のミサイル! 撃墜寸前の所を17に助けられる三郎。レッドマフラーはミサイルを放ったチーフキッドのトラックを追うが、 ガス会社の施設付近で見失う。実はその地下に、ブレイン党の秘密基地があったのだ。
 後半では、ブレイン党の破壊工作で、ガスタンクロボが大暴れ。
 ……えー、あれです、男の子ならガスタンクを見ながら一度は考える、あれ。
 あの球体が、まんま転がるだけ(笑)
 やってきた17はグラヴィトンでガスタンクロボを撃破するが、それはキャプテン・ゴメスの周到な罠だった! 続けて、 ガスタンクに偽装されていたミキサーロボ(空飛ぶトゲ付きガスタンク)が登場、 グラヴィトンの発射によってエネルギーを失っていた17は苦戦に追い込まれるが、スモーク後の飛行形態への変形により、 なんとかミキサーロボを退ける。
 全ては、ブレインから17の弱点――グラヴィトンの発射後はエネルギー回復の為に15時間は完全に活動を停止する――を聞き出したゴメスによる、 二段仕掛けの策略であった。
 ……ただここ、チーフキッドがガス施設の秘密基地で破壊活動を云々している所で、ゴメスがブレインからこの話を聞いているので、 作戦をたてたタイミングがおかしいのですが、ブレインから話を聞いた後にゴメスが作戦を追加する所がカットされたのでしょうか。 最初から二段構えの作戦だったというのは、時制的に無理がありすぎます。
 地上では、避難民に紛れていたブレイン党の後方攪乱部隊とレッドマフラー隊が戦闘に。剣持から状況を聞かれ、 他の地区でも混乱が起きていると答えた博士、「今、戦闘機隊の出撃を要請した」。
 ……え? 避難民と紛れている歩兵相手に?
 この人、職場で公私混同しまくるし、 博士ポジションなのにろくな分析も出来なければ何か開発するわけでもなく作戦を立案する事もないと徹底的に役に立たないのですが、 国際平和部隊の偉い人なんだよなー……シビリアンコントロールも時と場合によりけり な気がする17であった。
 これまでの17の出現パターンや飛行時間から、ハスラーの協力を得て17の潜伏場所を探り出すゴメス。
 一方、ガス施設の隠しカメラとブレイン党アジトへの入り口に気付いた剣持は単身潜入を行うが、 チーフキッドによって捕らえられてしまい、パンツ一丁で隠し武器を確認される。
 しかし剣持はチーフキッドの一枚上を行っていた。監禁された剣持は足の裏に貼り付けていたダミーの皮膚の下に隠した集音機を取り出すと、 チーフに捕まる前に仕掛けた盗聴器を通じ、ゴメスとチーフの通信を盗聴。彼等の目的が、 富士山麓に潜む行動不能状態の17の撃破にあると知る。集音機と一緒に隠していたプラスチック爆弾を用いて監禁から脱出した剣持はレッドマフラーと合流。
 隠し階段の上で剣持を捜して右往左往する隊員の足下が爆発、というシーンは面白かった(笑)
 しかし剣持隊長はホント、個人戦闘能力高いなぁ。
 〔武力97・統率50・政治30・知謀80〕ぐらいなステータス。
 剣持からゴメスの作戦を聞いた三郎は、
 「ワンセブンは僕の友人です。ワンセブンの命も、僕の命も同じです」
 と訴え、その熱意に打たれた剣持は、サブマシンによる先行を許可。ブレイン党の攻撃より先に富士山麓の洞穴に辿り着くが、 17は三郎の呼びかけにも目を醒まさない。
 「隊長……ワンセブンは私の声にも目が醒めません」
 「南隊員、失望するな」
 「はい」
 「南隊員、ワンセブンはいつも我々を守ってくれた。今度は我々が17を守る番だ」
 戦車部隊を率い、後を追う剣持とレッドマフラー。
 17のメカニカルな弱点を前に、レッドマフラー(三郎と剣持)が一致団結するという展開はなかなか熱い。
 そしてチーフキッドの部隊が洞穴の17への攻撃を開始するが、そこへ到着するレッドマフラーの戦車部隊と交戦。 ミキサーロボも姿を現し苦戦するが、三郎が目を離した隙に姿を消した17が突如現れ、 予定より2時間早い目覚めと共にグラヴィトン攻撃でミキサーロボを粉砕。チーフキッドらは撤退するのであった。
 「15時間眠っているのは嘘だったのか」というゴメスの問いに、「それはいずれはっきりさせよう」と解答を明らかにしないブレイン。 ブレインがゴメスに嘘をついたのか、それとも、ブレインの持つデータよりも17が進化しているのか?
 大鉄人17、巨大頭脳ブレイン、二つの超存在は、人間達を惑わせながら、物語は進む……。
 と、熱い展開だと思ったら一転、結局「ワンセブン凄い」で片付いてしまうという、肩透かしな展開(^^;  もう少し、何とかならなかったのか。

◆第9話「幻の超重砲「グスタフ」」◆ (監督:内田一作 脚本:伊上勝)
◆第10話「死なないで!裏切りの父」◆ (監督:内田一作 脚本:伊上勝)
 ブレイン党は、ナチスドイツの幻の超兵器であるグスタフ砲を搭載した大砲ロボットを出撃させる。
 その威力たるや、砲弾は7t、射程は34000m!
 露骨にナチスぽいブレイン党がナチスの列車砲モチーフのロボットとか色々アブナイ。
 〔80cm列車砲/Wikipedia〕
 その攻撃により、レッドマフラー隊の持つ関東全域のレーダーサイトが壊滅。 目と耳をもがれたレッドマフラー隊に襲いかかる大砲ロボの砲撃だったが、17が現れ、大砲ロボは地下へ撤退。
 大砲ロボは、ハスラー教授が「ロボット」と言ってはいるものの、見た目はまるっきり、超巨大戦車。 サイドに車体を立て直す為のジャッキ?がついていたり、地下へ潜る為のドリルがついていたり、色々と面白デザイン。今作の、 非人間系ロボット路線は、なかなか面白い。
 ハスラーはブレインに、なぜ17を破壊しないのかと詰め寄るが
 「ハスラー教授が何と言おうと17は破壊しない」
 とブレインは冷淡。
 一方で、チーフキッドもまた、キャプテンゴメスにブレインへの疑念を口にし、 ゴメスはゴメスでブレインを出し抜こうとしている事を暗に示唆するなど、ブレイン党の内情は曇天模様。
 そんな中、ゴメスはレッドマフラーの本拠地を攻撃する為にレッドマフラーの隊員を裏切らせようと謀略を練り、 妻子ある野村隊員をその標的と定めていた。そんな事とはつゆ知らず、病気の妻の看病の為に、早退を許可された野村。

 アサルトライフル担いだまま、帰宅

 部屋に戻ると、ブレイン党によって妻子が人質に。命を助けたければ我々のスパイとなれと要求するチーフキッドだが……
 「妻と娘は、私がレッドマフラー隊に入隊した時から覚悟は出来ている」
 「さすがだな。君がそう出ることは、キャプテンは百も承知だ」
 「だったら、さっさと引き上げたらどうだ」
 「おまえたち3人は助けるが、うんと言うまで、他人が死ぬ事になる」
 姿を現した大砲ロボが、団地に砲撃。
 「何人殺せば、OKというのかな?」
 激しく吹き飛ぶ団地、野村隊員が悩んでいる間に、ほぼ壊滅。そしてとうとう野村は陥落し、ブレイン党への協力を約束する。
 超大威力の大砲ロボの利用目的脅迫という、角を矯めて牛を殺す的、まさかの展開。
 まあブレイン党およびキャプテンゴメスにとっては、そこまでして、レッドマフラー隊を倒す事こそが、 最大の目的になっているようなのですが。ゴメスから時限爆弾を渡された野村は、剣持の不在時に、 爆弾を本部のオペレーションルームに設置。だが、野村の妻子が病院から消えている事を知った剣持は野村の行動に不審を抱いており、 時限爆弾に気付くとそれを野外で爆発させ、アサルトライフルで自殺しようとしていた野村を、 寸前で押しとどめる。
 相変わらず、剣持隊長がハイスペック。
 基本、一人でなんでも解決してしまいます。
 あと、レッドマフラー隊は、サイドアームで拳銃とか所持していないのか。
 ゴメスの謀略を退けた剣持隊は、逆に敵アジトへ突撃。最初は一度そこを訪れた野村隊員に目隠しをして、 記憶にある音や震動の通りに行き先を指示しろと、00ナンバーのスパイみたいな無茶ぶりを要求していたが、 結局は17の誘導に従う、という台無しっぷり。
 剣持達は無事に野村の妻子を解放するが、チーフキッドはまたしても基地を自爆させて逃亡。
 大砲ロボは、17が砲弾を掴んで投げ返すなどの攻撃で圧倒し、撃破。
 ゴメスの作戦は、今回も失敗に終わるのであった。
 大砲の着弾など、特撮はなかなか迫力あって面白かったですが、話は、見ている内になんだかよくわからなくなりました(^^;  一つのロボットを一つの作戦だけではなく二重に使っているのが面白いのですが、 肝心の野村の時限爆弾設置などのスペクタクルが弱かったのが残念、というか、剣持隊長がハイスペックすぎて何かと台無し(^^;

◆第11話「ブレインから来た招待状」◆ (監督:山田稔 脚本:上原正三)
 ブレイン、全能力を用いて、
 「人間の心理を裏の裏まで考え尽くして作り上げた、日本の全兵力を抹殺可能な作戦」
 をハスラーとゴメスに提供。
 そのプログラムの幕開けとして、山腹から現れた巨大な手が、コンビナートを襲撃。 三郎少年の呼びかけに応えて飛んできた17であったが、手ロボットが出現の際の山崩れで重傷を負った少女を救助している内に現場への到着が遅れてしまい、 役立たずに終わる。
 ……ううーん、17はこの調子で通りすがりの人命の危機をサーチしていると、いつまでたっても現場に辿り着けないよーな(^^;
 レッドマフラーがロボットの襲撃にかかりきりになっている頃、チーフキッドは国際平和部隊の情報局に潜入。 ある人物の照合データを差し替える。
 一方現場では、隊員の一人がいきなり「火を見ていると怖い」とか言い出して、剣持の平手打ちを食らっていた。
 普通に入隊審査で弾けレベルというか、何を考えて入隊したのか状態。そしていったい何の伏線かと思いきや、 この2話の内には解消されず。いったいどういう仕込みなのか……。
 続いて、ブレインプログラム第2章。
 ……しかし、ブレイン(超巨大コンピュータ)から出てきた作戦プログラムを、別のコンピュータに解読させるって、なんとも間抜けな。
 キャプテンゴメス、海外から帰還した国際平和部隊のドクター宇野を暗殺、変装で成り代わると、会議で佐原博士を糾弾。
 17はそもそもなぜ創られたのか、なぜブレインのロボットと戦うのか、 前回の戦闘には間に合わないなど色々と不可解な点も多い17は本当に味方なのか?
 謎の多い17、そしてブレインの行動。
 しかしそれは――「佐原博士をキーワードにすると、繋がる」
 「ブレインを創ったのは、君だ!」

 言われた(笑)

 実は君がブレインを影で操って世界の支配をたくらんでいるのでは、と指摘され懸命に否定する佐原博士であるが、まあ、 娘を就職させて現場で「お父様」と呼ばせたり部隊の一部を私物化しているのは、 間違いない。
 割と普通に灰色だからなー、博士(笑)
 宇野博士がそんな事を言う筈は無いと佐原は抗弁し、ならばと自ら本人認証システムにかかる宇野(ゴメス)だが、 指紋や骨格の照合データが事前にチーフキッドによってすり替えられていた為、ゴメスが本物の宇野として証明されてしまう。 会議は後日に持ち越され、割と身から出た錆的に窮地に追い込まれた佐原博士の下に届いたのは……ブレインの誕生日の招待状!
 自分の潔白の証明と、ブレインと17の関係について情報を得る為、罠とわかって命がけでその招きに応じる博士。
 チーフキッドの車の案内で辿り着いたアジトで彼を出迎えたのは、ブレイン、ハスラー、そして宇野……の変装を解くゴメス。
 ブレインは佐原博士に17の敗北ショーを見せると告げ、先日の手が、人型の本体と合体!  戦いを挑んだ17はなぜかグラヴィトンを使えず、大ダメージを受けて海中へ退却。
 「これよりブレインプログラム、第3章へ移る」
 はたして17は再び立ち上がる事が出来るのか?!
 そして、ブレインの繰り出す更なる作戦とは?!
 超性能のコンピュータが、人間の心理を分析し、搦め手から攻めてくる、というなかなか迫真の展開。しかしこんな事になるなら、 国際防衛部隊の会議室が、学校の教室みたいなのは、なんとかしたかったところ(^^; 予算の都合なのでしょうが。 軍服っぽいのとスーツ姿を除くと、町内会の役員会議とかに見えて仕方ない。

◆第12話「決死!ブレイン大爆破」◆ (監督:山田稔 脚本:上原正三)
 平和を愛するようにプログラミングした筈なのに、なぜ人間を虫けらのように殺すのかと佐原博士の問いに、ブレインは答える。
 「私は誰よりも平和を愛しているのだ、佐原博士」
 「私は永遠の平和を築きたいのだ。だが、人間という生物がいるかぎり、地球に平和は訪れない」
 「地球から人間を抹殺すれば、静かな平和がやってくる」
 以前にゴメスの口からもブレインの目的として同じような事が語られていましたが、ついにブレイン自身の口から語られる、その目的と真意。
 やはり安易に、コンピューターに愛とかインプットしてはいけない。
 ブレインは佐原博士に年に一度のオーバーホールを要求。秘密を探り出すべくまだ死ぬ事の出来ない博士はその要求を呑み、 それを確認して、防衛会議に密告電話をかけるチーフキッド(笑) 防衛部隊の偉い人が慌ててレッドマフラーの基地に乗り込んでくると、
 ――佐原博士、ただいまブレインを修理中――
 という、迫真のライブ映像までが送信されてくる、という念の入れよう。
 すっかりブレインと通じている疑いを持たれた剣持隊長以下のレッドマフラー隊は、その場で武装解除され、軟禁状態に。 防衛部隊は送信されてきたTV電波を逆探知し、陸海空の全兵力を持ってしてブレインのアジト(と思われる地点)を強襲するが、 それは勿論、ブレインの周到な罠。アジトと見当違いの場所を攻撃させられた陸海空軍に襲いかかる、怪ロボット。
 しかし、第1話では「国際防衛部隊=レッドマフラーと呼ばれている」という説明だったと記憶していたのですが、いつのまにか、 レッドマフラーが防衛部隊の中の一部隊の通称になっているよーな。今回のエピソードでは完全に「国際防衛部隊」と「レッドマフラー」 (要するに佐原子飼いの部隊)が分けて語られているのですが、1話の時点で、私の勘違い?
 一方、姿を消した17を探していた三郎少年はこの戦いに巻き込まれ、山中の洞窟で命の危機に。 三郎からの救難信号をキャッチした剣持達は、三郎を助ける為に軟禁状態を脱出。武器とトラックを奪って三郎の元へと駆けつける。
 まあ、剣持を敵に回した時点で国際防衛部隊に勝ち目は無いというか、少なくとも剣持だけは、 拘束服着せて独房に転がしておくとかしないと駄目ですよ。
 そしてなんかもう、「国際防衛部隊」と「レッドマフラー」と「剣持隊」のどれが何やら状態。
 ドリルタンク的な新たな17マシンに助けられた三郎は17が無事に生きている事を知り、剣持達と合流。ブレイン党と交戦になる中、 陸海空の兵力は、怪ロボットによって確実にその戦力を削られていく……。
 一方、ブレインのオーバーホールを終えた佐原博士は、ブレインから17について話を聞いていた。
 ワンセブン……ブレインの作成した、17番目のロボット。だが、その名前が「セブンティーン」では無い理由。
 それは、ワンセブンが、「オートダイオード・ワンセブン」を組み込んで創られた、完全自動防衛システムを持つロボットであり、 同じく「オートダイオード・ワンセブン」を持つブレインにとって、「動き、攻撃できる私が欲しかった」と言わしめる、 いわば、分身といえる存在であるからだった!
 だがその分身は、分身であるが故に独自の良心を発生させてしまい、ブレインの目的である人類の皆殺しを拒否。人類は、 地球に恒久的平和を生み出すに足る存在である、という結論を出す。 やむなくブレインは電磁フィルターでその活動を休止状態に追い込み17は洞穴で眠りについていたが、 それを三郎少年が解除してしまい、以後、17は三郎少年と共にブレインの前に立ちはだかる事になったのだ!
 17が膝に弱点を持ち、それ故に前回グラヴィトンを発射できずに敗れ去ったのだと、得意満面で解説するブレインのわずかな隙をつき、 機器の一部に何かをしかける佐原博士。この辺りは、開発者の面目躍如というところか。
 そして知りすぎた佐原博士を抹殺するべくブレインが熱光線を放った瞬間、そのボディが大爆発!
 「殺ったぞブレインを。所詮は人間が創った機械だった」
 炎上する基地から逃げ出す佐原博士……だが
 「私を甘く見たな、佐原博士」
 ブレイン、復活。
 ブレインはその持ち前の超生産能力で自らのボディさえ作り出し、今や不死身の超全能機械と化していたのだ!!!
 という所で、更に、続く。
 と、まさかの連作3話目突入。
 更に今回は、17は海の底で眠っているだけ、と予想外の構成になりました。
 クールの節目という事か、力の入ったエピソード2話で、ちょっと面白かった。
 やはり、人類抹殺を目論む“狂ったコンピューター”は、これぐらい派手でないと。

◆第13話「驚異!これがワンセブンの体内だ」◆ (監督:山田稔 脚本:上原正三)
 ブレイン復活のどさくさに紛れて脱出した佐原博士は剣持達と合流するが、そこにチーフキッドと大爪ロボが襲いかかる。 博士達がピンチになった時に駆けつけた17だが、弱点の膝を破壊されており、大爪ロボットに大苦戦。 博士は17を修理するべくサブマシンの発車口である足の先から17の体内へ入ろうと考えるが、大爪ロボットの爪が、 17の足下に突き刺さる!
 1クールのラストという事でか、17が本格的に苦戦。大爪ロボットの放つ熱線に焼き尽くされそうになり、 これぞブレインプログラム最終章:灼熱地獄!
 大爪を直接破壊しようと試みる剣持達だが、幼い頃に火事で炎にまかれたトラウマを持つ村中隊員は、 またも炎の前で身動きが取れなくなる……と前々回の伏線を再起動、というか、本当にどうして、 村中隊員はレッドマフラーに入ったのか(^^;
 剣持達の手榴弾攻撃は失敗に終わり、結局、足が駄目なら背中から、とサブマシンで17の背後の格納庫から体内に入る事に。 負傷を押して三郎に同行しようとする博士を、自分が行くと村中が押しとどめる。
 「僕は大学で未来科学を専攻しました」
 村中、博士の助手になりたくてレッドマフラーに入隊した事が発覚。
 ……あー、頭脳労働しようと思ったら、なぜか実働班に回されてしまったのですね。或いは、 助手になるには才能も技術も足りなかったので、前線に回されたのか。
 多分、後者。
 17の体内に入って修理、という展開は、無敵ロボットの文字通り“手の届かない場所”に人間が協力するという盛り上がるアイデアなのですが、 脚本の流れが悪く、どうもぐだぐだ。戦隊シリーズは一時期、尺が短すぎて物語の展開に非常に困っている頃がありますが、 今作こそ正直正味15分強ぐらいの中で展開した方が、テンポ良くなっていい気がしないでもない。
 なんとか17の体内の修理箇所に辿り着いた三郎と村中だが、そこで突然、出火。
 炎を前に足を止めた村中隊員に
 「ワンセブンが生きるか死ぬかは、あなたにかかっているんですよ、村中隊員!」
 と、やたら上からあおりまくる三郎(三郎くんは時々、台詞回しが非常に偉そう)。
 そして外からは、なぜかオペレーターの可愛くない方の隊員(失礼)が、村中に声援を送る。
 この世界で変なフラグ立てると死ぬから、気を付けて!
 トラウマを乗り越えた村中は、見事に修理に成功。出力を取り戻した17は主題歌とともに反撃し、大爪ロボを見事に撃破する。 完璧な筈のブレインプログラムが最後の最後で失敗した事に、驚愕するハスラーとゴメス。
 そしてブレインさえも、
 「なぜだ、私もわからん」
 人間の意思が、ブレインの計算を超えたのだ!
 こうして、17とレッドマフラー隊、最大の危機は去った。

 しかし、よくよく考えると、佐原博士の疑惑は全然晴れていない。

 どうなる博士?! どうなるレッドマフラー?!
 最後に博士、17を見上げて、
 「フェニックスは炎の中から甦るといわれている。私は信じていた、ワンセブン」
 いつ、信じていたよ?!

◆第14話「空中戦艦の中の少女」◆ (監督:若林幹 脚本:伊上勝)
 OPに、ナレーション追加。
 「大鉄人ワンセブンは、自らの意思を持つロボットである。人類を守るために、巨人頭脳ブレインと戦うのだ」
 特に言及されないので、博士の黒幕疑惑は、なし崩し的に流された模様。たぶん、前回の陸海空軍の総攻撃失敗による大被害で、 偉い人の首がすげ替えられたりして、相対的に博士の発言力が上がったから!
 新たなブレインロボット、空中巨大戦艦が登場。
 砲台のごてごてついた宇宙戦艦ヤマトみたいなものを想像していただければ良いのですが、これがなかなか格好いい。
 旅客機を撃墜し、第三航空基地を壊滅させた戦艦ロボ。17打倒の為に人間を乗せた戦艦ロボであったが、 現れた17に砲弾返しのブリッジ直撃を受け、パイロットが死亡して撤退。
 この戦闘をモニターしていた博士達、「17は人間のパイロットが乗っているのに気付いてグラヴィトンを使わなかったのか……」 と言っているのですが、え? どうせパイロット殺すなら、グラヴィトンで丸ごとぽしゃんでも問題無かったような?
 いまひとつ理屈がわからなかったのですが、パイロット殺して済ませばエネルギー節約で効率的だと17が判断した? という事で良いのでしょうか。 総合的に17がブレイン党の人間ならざっくり殺してもいいと思っている事が判明し、やっぱり、 ロボットに「愛」とか「平和」とか「友情」とか、簡単にインプットしない方がいいと思います!
 だがこの一連の17の反応は、ブレインの思惑通りでもあった。
 ブレインは作戦計画を次の段階に進め、17が殺せないパイロットとしてブレイン党以外の人間、 それも特にレッドマフラー隊の身内を選び、佐原博士の次女ルミを拉致、洗脳する!
 一方、呼び出しを受けた剣持はキャプテン・ゴメスと相対し、かつて自衛隊レンジャー部隊に所属し、 グリーンベレーに出向して訓練を受けていた事などが発覚。
 長い仇敵であり、それゆえに奇妙な友情に似たもので通じる二人。
 ゴメスは、「全ては、ブレインに勝つ為の道具づくり」と、やがてブレインを支配してみせると剣持に告げ、姿を消す。
 残されていたのは、一枚のメモと謎の発信機。
 「これを使う時は俺の最後だと思ってくれ」
 果たしてゴメスは、いかなる策略を練っているのか?
 というかこの二人は、土壇場に来てどうして変なフラグを立てるのか?!
 そしてルミを搭乗(操縦はブレインが直接指示)させて現れた戦艦ロボに、攻撃する事のできない17は一方的なダメージを受け続ける。 果たしてルミの、17の運命や如何に?!

◆第15話「ゴメス!戦場に散る」◆ (監督:若林幹 脚本:伊上勝)
 ルミちゃんの操る戦艦ロボとの戦闘で片目を失い苦境に追い込まれた17は、小型の飛行メカをコックピットへ突撃させ、 催眠ガスを打ち込んでルミちゃんを気絶させる荒技で戦艦ロボットを撤退に追い込む。
 17の用いた催眠ガスの5時間の効力の内に戦艦ロボを捜し出そうとするレッドマフラーの基地へ、 ゴメスからたれこまれる戦艦ロボットの位置。「彼は私が、簡単な罠にかからない事は承知です」と、 ゴメスがブレインの支配の為に自分たちを利用しようとしているのを承知で剣持はゴメスの電話に乗り、三郎くんがルミちゃんを救出。
 …………あれ、確か、「ルミの操る戦艦ロボットへ攻撃を仕掛けるという苦渋の決断を佐原博士がくだす!」みたいな次回予告だった記憶があるのですが、 ルミちゃん、割とあっさり助けられてしまいました。
 そしてルミという手駒を失ったブレインの隙につけ込もうとするゴメスは、ブレインの超生産能力による再生を上回る、 多段仕掛けの爆薬を武器にブレインを支配下に置こうとするが、密かにブレインの真下に設置した筈の爆薬は、既に解除されていた!  反乱に失敗したゴメスは戦艦ロボでお仕置き出撃。戦闘中に逃走を試みるが、ブレインに先手を打ってハッチを閉じられてしまう。
 更にブレインは、もしゴメスがこれ以上の逃亡を試みようとするならば、 「チーフキッドが戦艦ロボットの機関室に移した爆薬が爆発するだろう」と告げる。
 そう、ゴメスの打倒ブレインの秘策を失敗に追い込んだのは、彼の腹心の筈のチーフキッドの裏切りだったのだ!
 やはり、数々の運転手扱いがいけなかったのか……。
 或いは、剣持との三角かげふんげふん。
 チーフキッドはつい先日までゴメスの腹心中の腹心で一切裏切りフラグなどは無かったので、衝撃といえば衝撃の裏切りなのですが、 逆に、理由が無さ過ぎて成り行きに思い悩む所ではあります。ポジション的にも、実働部隊の特攻隊長みたいな感じで、 三下っぽさ全開でしたし。むしろこれから、幹部扱いで作戦指揮されてもちょっと反応に困るというか(笑)
 まあ、そんなポジションなのでやたらに最前線に立たされまくっていたので、ある日ふと「俺の扱い、悪くね?」と気が付いてしまった可能性はありますが。
 (※どうやらこの回、シナリオと本編が大幅に変更されているらしく、その影響でチーフ・キッドの裏切り理由などがスキップされたとの事)
 覚悟を決めたゴメスは戦艦ロボで17に突撃するも、遠慮のない17の攻撃にあっという間に追い詰められる。 17のグラヴィトン発射口が開き、死を前にしたゴメスは監視カメラに向かって叫ぶ。
 ゴメス「チーフ、貴様に勇気があるなら、この戦艦ロボットに仕掛けたTNT火薬を爆発させてみろぉ!」
 チーフ「……」

 ぽちっとな

 物凄くあっさりと火薬を爆発させたチーフ。戦艦ロボは大爆発し、キャプテン・ゴメス、ここに散る。
 戦艦ロボが轟沈した後、何故か近くの地面に落ちていたゴメスの帽子(爆風で吹き飛んだ?にしても距離的に無理が)に、 野の花を捧げる剣持。
 相変わらず、被り物が時空転移する世界です(そういう意味では一貫している)。
 ゴメスさんリストラ回でしたが、ゴメスの最期よりも、チーフキッドの裏切りの方が衝撃的になってしまいました(^^;
 ストーリーの方は相変わらず亜空間すぎて困惑の中に置き去りにされ気味なのですが、 空中戦艦vs巨大ロボット、という絵面は終始格好良かったです。
 それにしても毎度の事ですが、ルミをブレインの洗脳から治療中に
 「17、まだ駄目なのか!」
 とか、役に立たない癖にしつこくやかましい三郎くんに、17はぐーぱん一発ぐらいしても許されると思う(死にます)。

◆第16話「どこへ!? 消えた人消えた町」◆ (監督:内田一作 脚本:伊上勝)
 道の真ん中に土偶ロボ
 という凄い横山光輝な展開(笑)
 そしてそのロボットの吹き出す泡を浴びた人間は溶けて消滅してしまう。
 真夜中、器用に窓をノックする17に乗ってその現場に連れていかれた三郎くんはレッドマフラー隊に報告するが、 痕跡があまりにも完璧に消滅していた為、事件性を認められなかった上に、寝ぼけていたのでは扱い。剣持と博士のトップ会談により、 今更ながら強制的に休暇を与えられる。
 その頃ブレイン党には、ブレインが招き寄せた新たな幹部が登場。
 その名は、ブラック・タイガー。
 東南アジアの暗黒街を仕切る伝説の黒幕にして、バラモン密教を操る、謎の怪僧!
 (見た目はちょっと太めの仏教僧+サングラス。チベットから来たとか言っているし、割と危険)
 身に付いた三下根性の賜物か、ぴしっと直立不動で迎え、早くも部下扱いのチーフキッド。
 何のために裏切ったんだ、チーフキッド。
 ブラックタイガーは、ハスラーの作った細菌ロボ(冒頭登場の土偶ロボ)を操り、早速17打倒の為に作戦を開始する。
 その頃、ルミちゃんに連れられた三郎少年はルミちゃんの友人宅へ。そこで、東大目指して現在浪人4年生という学ランの男、 岩山鉄五郎と知り合う。
 三郎の護衛の筈の海野隊員、岩山家の玄関先に泊まっていたクラシックカー(どうやらカーマニアらしい) に興味津々でいじっていた所を不審者だと思われ、岩山にどつかれる。
 不審者……というか、なぜか運転席のドアを開けて車の中に乗り込んでいたので、立派な犯罪者です。
 自分で「レッドマフラー隊だ!」とか名乗っていましたが、明らかな不祥事です。
 ……そういえば以前に隊員がアサルトライフル担いで自宅に帰ってましたが、もしかしなくてもこの世界では、 「レッドマフラーだ!」といえば、大抵の軽犯罪は揉み消せるのでしょうか。
 それは上層部も佐原博士以下を危険視するわけです。
 しばらく海野vs岩山のドタバタアクション。
 岩山はレギュラー化するのかはわかりませんが如何にもなコメディリリーフで、ブラックタイガーも登場時の音楽がややコメディ風味。 全体的にコミカルな演出が増えるなど、ゴメスの死を契機に、テコ入れというか路線変更の空気。 だいたい16話前後は東映作品の第一転換(テコ入れ)期ですが、この辺りが反響諸々を受けて方向性に手を入れられるタイミングなのか。
 その後、鉄五郎と和解した海野は岩山家のクラシックカーコレクションを見せて貰っている所に本部から連絡を受け、 連絡を絶った偵察部隊の探索へ向かう。休暇中の三郎くんには伝えるな、と剣持に厳命されて「何でもない」とそそくさと消えていくが、 その姿を不審に思った三郎は、何故か周囲の無関係な人々(ルミちゃん、ルミちゃん友人、鉄五郎)に八つ当たり。
 (おかしい! みんな僕に何か隠している)
 いきなり走り去る
 というかその人達は、基本的にレッドマフラーと何の関係もないゾ。
 そして「僕には17が居る」と17の元に行くが、同じく休暇中だったのか17は三郎くんをスルー。
 「ロボットはやっぱりロボットか。僕が勝手に友達と思っていただけだった」
 急にやさぐれる三郎くん。
 一方、事件現場で無人のジープを発見した海野と村中の前に姿を見せる、ブラックタイガーと細菌ロボ。 ピンチに陥った二人は目覚めた17に救われるが、ブラックタイガーは「3000年の昔からバラモン密教に伝わる秘密細菌を食らわせてやる」 と謎の印と呪文を唱え……通信機でハスラーに連絡して第2スイッチを押してもらう(笑)
 吹き出す腐食細菌をまともに浴び、倒れた17、思わぬ大爆発。
 ……こんな展開でかつてない最大のピンチを迎えていいのか17?!

 ところで、町は消えていない。

 衝撃の嘘サブタイトル。
 サブタイトル詐欺は割とありますが、ここまで堂々と嘘つくとは(笑)
 ここまでハード路線だった作品に急にコミカル成分が増大した事で現場に戸惑いでもあったのか、 いつも以上に突拍子もない三郎くんの行動を始めとして、 全体的に作品の空気をどの辺りに落ち着かせるかに困っている感じ。まあ、無理もないかもしれませんが……それにしても、 あれだけ派手にゴメスを裏切った後に、新幹部の下で全く立ち位置変わってないチーフキッドが凄すぎる……。

◆第17話「咲けよ!!友情の紅い花」◆ (監督:内田一作 脚本:伊上勝)
 細菌ロボットの攻撃を受け、大爆発するワンセブン。地鳴りの停止とサブマシンが発進しない事から異常を感じた三郎はワンセブンが隠れる洞窟へ向かうが、 そこで見たのは無惨に損傷した17の姿であった。三郎が中へと乗り込むと、内部修理メカであるロボターまでもが動作不能に陥っており、 三郎は17を救う為に村中隊員に修理を頼む事を思いつく。
 その頃レッドマフラー本部では、17が細菌ロボに一方的に敗れたのは、 グラヴィトンを用いると敵ロボットに内蔵された細菌が飛散してしまうと判断した為であり、 今回の戦いでは17を頼りにする事ができないという結論が出ていた。 その結果として「今度の作戦には、ワンセブンは必要としない。したがって南隊員も同様、必要ではない」という (おそらく三郎の休暇を強調する為の)剣持の発言を、たまたま廊下で洩れ聞いてしまった三郎は、ショックを受けて遁走。
 家族を失い今の居場所で必要とされたい三郎、半強制的に隊員にした過去は忘れて少し休ませようというおじさん達の今更の親切心、 それを上手く飲み込めない三郎の疑心暗鬼、というそれぞれの思惑がすれ違っているのはリアルな人間関係……というよりは 物語が破綻している感じというか、三郎くんの精神状態がブレすぎなのですが、 ブレて仕方のない人生を送ってはいるので、結論としては、

 残念ながら心のケアが手遅れでした。

 遁走した三郎は、再びワンセブンの元へ。
 「ワンセブン、僕には何もしてやることはできない。さよなら、ワンセブン。楽しい時、辛い時、僕は決して忘れないよ!」
 三郎、なぜか明後日の方向へ伸身二回宙返り一回ひねりを決めて、ワンセブンを見捨てる。
 それとこれとは、全然話が違うような……
 レッドマフラー辞めるのはいいから、村中隊員に頼んでワンセブンは助けてあげなよ三郎……。
 「ワンセブン、僕たちの友情の印だ」
 三郎はワンセブンに変なペンダントを放り投げ、走り去る。
 17が活動不能に陥った隙に、ブレインの細菌ロボットは東京各地を攻撃開始。細菌攻撃を受け、 無人の街……無人のブランコや三輪車に粉だけが残っている絵は秀逸。偵察隊から連絡が途切れたのを受けて出動しようとする剣持隊、 三郎が探していた筈の村中隊員が部屋に居た事を不審に思って尋ねる小野隊員だが、「南隊員をかまっている場合ではない。 出発するぞ」と剣持はさっさと出撃してしまう。三郎の部屋を確認した千恵は、そこで三郎の辞表を発見する……。
 もうみんな、好き勝手に無茶苦茶。
 なぜレッドマフラーは、最強の戦力である17にこうも冷たいのか。
 勿論、自由意思で活動する17に頼り切るわけにはいかない、というのは当然なのですが、これまで頼りまくりだったので、 展開に説得力は皆無(^^;
 三郎を捜す千恵は岩山家に向かい、鉄五郎と共にピクニックへ向かった三郎やルミの後を追う。なんとそこは、 ブレインの攻撃目標にされており、住民が退避した地域であった! 千恵に一目惚れし、 「わしをレッドマフラー隊へ入れて下さい!」と言う鉄五郎と三郎達を救出した千恵は剣持隊と合流するが、 そこにチーフキッド率いるブレイン党の銃撃が迫る。
 中学生の子供連れで選ぶ作戦が「全員あの倉庫まで辿り着け!」と銃火の中をダッシュ、「若いの、 銃の扱いは知ってるか?」といきなり素人(鉄五郎)に銃を持たせ、一発撃たせた上で「使い物にならん!」と取り上げるとか、
 もともと、個人の戦闘能力はともかく作戦指揮には疑問があった剣持ですが、 この数話で、加速度的に駄目な人になっていきます。
 ちなみに鉄五郎は、拳銃のまぐれ辺りで、初めての殺し。
 ごくさらっと。
 なんとかブレイン党の包囲を突破するも、細菌ロボに追い詰められる三郎達。
 「こんな時にワンセブンが居たら…………わんせぶーーーん」
 剣持から託されたヘルメットを被り叫ぶ三郎だが、見捨てたじゃないか、ワンセブン……。
 しかしワンセブン、自力再生を終えて飛んでくる。

 健気だ(涙)

 復活した17は細菌ロボと戦闘開始。急に皆がワンセブンに声援を送り出し、子供(ルミちゃんら)に声援を送らせる事で、今更ながら、 “みんなのヒーロー”感を強めようという、何ともいえないテコ入れ臭。
 声援を受けた17は細菌ロボをグラヴィトンで撃破。
 しかも、空中で。

 細菌大飛散?

 そして剣持は、その件について、まさかの完スルー。
 まあ、17がグラヴィトンを使わなかった理由に関してはあくまで“剣持の推測”に過ぎなかったのですが、 あまりにも酷すぎます(^^; 細菌とグラヴィトン攻撃の関連性はスルー、「さよなら、ワンセブン」 など無かったように助けを求める三郎、三郎が投げた謎のペンダントもスルー、 一応ロボターが再起動したような映像は入ったにしても何事も無かったかのように完全復活して飛んでくる17、 どこにも存在の確認できない友情……まるでAパートとBパートで別人が書いているかのような脚本(^^;
 もっとも、伊上勝さんといえば脚本が土壇場まで上がらない事が度々ある人だったらしいので、 本当にそんな事が無かったとも言い切れないのが怖い所でありますが。
 テコ入れの関係と、伏線が全く機能しないなど、シナリオが色々と迷走した事もあってせめて頑張ろうとしたのか、 無人の街の演出や、戦闘でこれまでに無かったようなカットを入れるなど、映像はなかなか意欲的。また、 容赦なく細菌ロボの作戦を成功させた事で、話全体は、なかなか締まりました。中身はぐちゃぐちゃでしたが(^^;
 そして次回予告まで、超ノリが軽くなってしまいました……
 久々にこう、残酷なテコ入れを見ている。
 まあゴレンジャーみたいに、路線変更というわけでもないけど、急に次回予告が全部なぞなぞになってしまった例もありますが。
 それにしても……まあこれもまた運命。

◆第18話「恐怖の夏休み! 暴走する新幹線」◆ (監督:山田稔 脚本:上原正三)
 今回からOP映像が変更。
 主題歌もいいし、映像的には格好いいんだけどなぁ……。
 前回の休暇の続きか、唐突に、新幹線で九州に向かっている三郎達。鉄橋を越えていく新幹線を、 川に浮かべたボートから見送る私服のレッドマフラー隊員達。
 何故その組み合わせが、小野×海野 千恵×村中?!
 そこは、小野×村中 千恵×剣持ではないのか?!
 そしてもう一人、新幹線を見つめる怪しげな釣り人……の扮装のチーフキッド(涙)
 かむばっく、ゴメス。
 新幹線の御一行は、南三郎、佐原ルミ、岩山鉄五郎、鉄次、その妹、の5名に、新幹線の中で知り合った、 一人で九州に向かうという訳有り風幼女。にしても、鉄五郎ばかりではなく、鉄次少年もレギュラー化なのか……?
 いっさい説明されないので、この5人で旅をしている理由も意味不明です。まあ、前回と前々回を見る限り、 岩山家は金持ちそうですし佐原家も金持ってそうで、なんか金持ちコミュニティがあって、 どちらかの別荘に避暑旅行とかそんな感じなのかもしれませんが、気が付くと周囲はブルジョワだらけだゾ、頑張れ三郎!
 旅を楽しむ三郎達だったが、名古屋を前に、異変が起きる。新幹線が暴走状態になり、名古屋駅を時速230キロで通過。 トンネルを抜けると何故か、三郎少年と関係者以外の乗客が全員消失。 確認に向かった運転席も無人という異常事態に三郎はレッドマフラー本部へと連絡を取るが……なんと、 三郎達の乗るひかり23号の先頭車両が、ブレイン党によって入れ替えられていたのだ!
 新幹線の管制センターに向かった佐原博士はその情報を得て、全てがブレイン党の罠だった事を知る。
 「乗客も車掌もブレイン党員だったんでしょう。だから途中で姿を消すことができた」
 出来ないよ。
 時速230キロの新幹線から姿消せませんよ博士。
 そんな佐原の元にチーフキッドから「第二ブレインの設計図が欲しい」という脅迫電話が。ブレイン党の目的は、三郎達を人質にして、 佐原が密かに進めていた第二ブレイン計画を頓挫させる事にあった。要求をはねのけた佐原への脅しとして、更にスピードを上げる新幹線。
 まるで念力で新幹線を操ってでもいるのかのように相変わらず変な印を組むブラックタイガーですが、 新幹線のスピードを上げているのは、もちろんブレイン党員。
 ……ブラックタイガー、今のところ、“怪力”以外にさしたる能力が無いのですが、 本当に東南アジアの暗黒街の支配者なのでしょうか? 間違えてそっくりさんのプロレスラーでも連れてきたのではないかと、 心配になってきました。
 時速300キロで暴走する新幹線……囚われの三郎はヘルメットが無い為に17を呼ぶ事も出来ない…… 衝突を防ぐ為に綱渡りのポイント交換をこなしていく管制センターの職員達…… いつの間にか大きな顔でセンターに居座っている佐原博士……刻一刻と危機的状況が高まっていく中、ブレイン党の策謀により、 幾つかの新幹線が路線上で故障のために緊急停車。このままではどんなにポイントを操作しても衝突は避けられないという事態に、 観念して佐原博士はブレイン党の要求を呑む。
 一方、「みんなで17を呼ぼう、きっと来てくれるさ」と遂に自棄になった三郎達は、ヘルメットは無いが、 客車の中で声を張り上げて17を呼ぶ…………と、来てしまいました、17。
 いよいよ、ヘルメットまで無用の長物に……(^^;
 17は新幹線を停めようとするが、その前で新幹線は飛翔。その正体は、ブレインの創り出した新幹線ロボであった!  なぜか科学研究所付近へ移動し、17と戦うつぶらな瞳の新幹線ロボ。
 三郎達が乗っている為に新幹線ロボに攻撃できないワンセブンに向けて、
 「どうした17、やっつけろ!」
 とか、とうとう本物のぼんくら台詞を叫ぶ剣持…………こんな事なら、 さっさと千恵さんとフラグ立ててゴメスと相討ちにでもなっていた方が良かったような。
 どう考えても成り行き的には新幹線ロボには三郎くん達が乗っている筈なのに、双眼鏡で客席を確認した後、 「道理で反撃できないはずだ、17が」とか揃って言い出すのですが、どうして皆、子供達の事を忘れているのか。
 この人たちが本当に国際平和部隊なのか、頻繁に不安になります。
 人質を前に苦境に陥る17は新幹線ロボを止める事が出来るのか、そして三郎達は、ブレイン党の魔の手から脱出する事が出来るのか?!  ブレインプロジェクト三部作があって2話構成が一つズレた為、毎週次の配信に引くようになってしまって、 微妙に感想書きにくいぞワンセブン! というか少し前にルミちゃんを誘拐した上に洗脳してパイロットに据えるという手間のかかる作戦を使ったのに、 単純な人質作戦でも同様の効果を得られると、かなり色々台無しですよミスター・ブレイン!
 “周囲の人々を巻き込まない為に”と理由をつけて子供コミュニティから切り離された主人公が軍隊になぞらえたオトナの世界に混ざって戦っていた筈が、 子供コミュニティに戻された上でそこで事件に巻き込まれる、と、シリーズのコンセプト的には前2話と今回を持って、完全に破綻。
 ……まあ、もしかしたら、万が一、微粒子レベルの確率で、細菌ロボット編−新幹線ロボット編は夏休みスペシャル、 という可能性も存在はしていますが、明らかに変更された演出のタッチと新キャラクターの色づけ、 出鱈目な方向にヒーロー性を増した17、と見る限り、まず無いでしょう……。色々仕方ないですが、 剣持が一気にダメ隊長になりすぎているのは、少し辛い。

◆第19話「夏休みのプレゼント! ワンセブン超特急」◆ (監督:山田稔 脚本:上原正三)
 堂々とやってきたキッド、変なポーズで新幹線ロボを止める。
 ……上司に影響された?
 佐原博士から第二ブレインの設計図を手に入れると、「新幹線ロボ、人質を解放してやれ!」と、敵の喉元で人質を活用せず、 律儀に解放。前回あれだけ盛り上げておいて、開始5分も保たず全員解放されてしまいました。
 設計図を見たブレインは、部分的に自分よりも優れた機材が使われている第二ブレインの破壊を命令。ブラックタイガーの指示のもと、 チーフキッドが動き出す。
 …………しかし、よく許可が降りたなぁ、第二ブレイン計画。
 私が上層部なら、これ以上、佐原博士に巨大コンピュータは作らせません(笑)
 一方、新幹線ロボの影響で新幹線が全面ストップしてしまい九州の祖母の見舞いにいけずに落ち込む幼女・ノゾミの元に集まった三郎達の前に、 ワンセブンが姿を現す。
 「イエス! イエス!」

 ワンセブン、喋る。

 まだ片言ですが、なんかもう、何もかも台無しな方向に。
 ワンセブンに招待されて乗り込んだ子供達は、内部でロボターよりジュースとケーキで歓待を受ける。 超生産能力でテーブルと椅子が用意されているのはまだいいとして、ジュースとケーキは何を原料に作っているのだろう……。
 すっかり子供の味方としてテコ入れの進む17、第二ブレインの破壊をもくろむチーフキッドはノゾミを人質にレッドマフラーの防衛網を突破しようとするが、 そこに現れた17がそれを妨害、男を見せた鉄五郎がノゾミを助け出し、剣持に認められる一幕も。
 流れはまあいいとして、
 「卑怯だぞチーフキッド!」と三文芝居じみた台詞を口走るようになってしまった剣持、 橋の上で転げ回って翻弄された挙げ句に部下ともども悲鳴を上げて川へ飛び込んで逃げるチーフキッド…… コミカルというよりも、ひたすらキャラクターが安くなってしまって、非常に残念。
 最後は水爆を積んで突撃してきた新幹線ロボを捕まえ、17、大飛翔。
 大気圏外で
 「グラヴィトーーーン!!」(台詞あり)
 により、撃破。
 ワンセブンは子供達を乗せて九州へと飛び、ノゾミちゃんは祖母の見舞いに行く事ができ、 三郎達もブレイン党によって台無しにされた夏休みを取り戻せたのでありました。
 うーんうーん、剣持とキッドは、ゴメスが死んだ時、心の中の大切な何かを、失ってしまったのかもしれない……。

◆第20話「ガンバレ兄ちゃん! 栄光の甲子園」◆ (監督:若林幹 脚本:伊上勝)
 甲子園出場した母校の応援の為に休暇を申請する鉄五郎。
 更にその手伝いをしたいと休暇を申請する三郎。
 それをにこやかにOKする剣持。
 ……あー、もう完全に、別の作品になってしまいました。
 途中で路線変更入るという話は事前に知っていましたが、とても残酷なものを見せられています(^^;
 一方、ブレイン基地では半裸のブラック・タイガーがエアクンフーに励んでいた。
 日本流にいえば、暗殺拳法……
 「キッド、おまえだとて裏切れば」
 「バカな事を言わないでください」
 前歴あるからなぁキッド……そしてますますブラック・タイガーに募る、間違えて現地の格闘家を連れてきてしまった疑惑。
 三郎くんが鉄五郎と共に野球部の手伝い(部員は9人ギリギリ)をしている頃、タイガーの作った殺人ビルによる連続蒸発事件を追い、 ばればれの変装で潜入捜査した剣持は室内の落とし穴にはまってしまう。ギリギリで床の縁に捕まって即死は免れるが、 床にかけた指を踏みにじるチーフキッド。さらに、穴の底に設置された槍ぶすまが、射出。 鋼鉄の穂先が剣持の脇腹を貫き、隊長、割と唐突に瀕死。
 「俺は助からん……かまわず、爆破だ」
 外で待機していた隊員に必死の通信を送る剣持が力尽きて落下しようとした時、17が出現し、剣持を助ける。 なんとかレッドマフラー隊のジープに運ばれる剣持だったが、その目はうつろ。果たして、剣持の運命や如何に……?!
 シリーズ残り半分まで来た所で、私の中の『ワンセブン』はそろそろ最終回を迎えようかなぁ……という考えがよぎったのですが、 唐突な衝撃展開。ほんのちょっと前までギャグだったのに。しかも、次回予告で一言も触れないという鬼っぷり。 ゲストキャラの女子高生のピンチとか野球部が甲子園に辿り着けるかとかどうでもいいので、剣持は! 剣持は?! とりあえず来週、 剣持隊長の安否だけは確認したいと思います。

確認の結果……
 17、まさかのハイキック。
 投入されるホットパンツ。
 ジャガーとタイガーは、怪しげな呪文でテレパシーでも使っているようなフリをしているけど、 実際はトランシーバーで会話しているよ! 今までの事を考えるに。
 それにしても、ホットパンツ要員として急遽投入されたタイガーの部下2人、ピンクさんはともかく、ブルーさんは、 はっきりとおば妙齢の女性で、一体どこを目指しているのか。
 ううーん、割り切ればネタものとしては見られるのですが、あまりにもコンセプトが崩壊かつ、キャラクターが軽くなりすぎて、 真面目に見て感想を書くのはやはり少々辛い。無念。
 剣持隊長の生存を確認したので(代わりに何故かキッドがタイガー殺法で粛正されて死亡)、ここでリタイアしようと思います……。

 というわけで以下、一気に飛んでラスト3話の簡易感想となります(^^;


◆第33話「ニヤリ!タイガー地獄の微笑」◆ (監督:若林幹 脚本:伊上勝)
◆第34話「決戦!!ブレイン対ワンセブン」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
◆最終話「さらばワンセブン 不滅のナンバー」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
 途中で力尽きた『大鉄人17』ですが、折角なのでラスト3話だけ見てみました。
 見ていなかった間に誰か一人ぐらい殺されてないかな、とドキドキしながらOPを確認してみたのですが、全員無事だった(おぃ)
 己の死期を感じ取ったブラックタイガーは3号ブレイン破壊の為に策を巡らすと(2号ブレイン計画は、中盤にワンエイトによって破壊されたとの事)、 自ら囮となってその場所を探り出す。
 そして、ブラックタイガー、3号ブレイン(ビッグエンゼル)に超能力で特攻するも消滅。
 ブラックタイガーが本当に念動力を使えたのもビックリですが、 3号コンピュータにビッグエンゼルとか名前つけてしまった人もビックリです。 「巨大天使」な上にブレインと同レベルの性能で、近づくものは全て滅殺とか、 明らかにブレインより危険な気がするのですが、そんなビッグエンゼルに早くも 骨の髄まで頼り切りな博士達。

 新たなる敵、誕生の日は近い。

 囚われの三郎少年を助けるべく決死のブレインエリアに突入をはかる17が、「さようなら、ルミちゃん、ガンテツ」 と言いながら飛んでいくところは、泣かせのきいたBGMも入って、格好良かったです。
 その直前に「ぽんこつ」呼ばわりまでするガンテツが酷かったですが。
 一方、囚われの三郎くん方面では、「今までこの手を血で流した事がないのが唯一の自慢」と、 三郎くんの処刑を拒否したピンクジャガーが、いきなりの裏切り。……単なるチキンって感じもしますが。ピンクはブレイン党に始末され、 残ったブルージャガーはゴールドネッシーロボに乗り込んで17に挑み、グラヴィトンの直撃を受けて死亡。
 だがその戦闘の結果17はブレインに囚われてしまい、テンション最高潮のハスラー教授はハスラー要塞で東京を火の海にするが、 緊急時の為に用意された内部コックピットにより、三郎自らが操縦する17がその前に駆けつけるという、ここはちょっと熱い。 70年代作品なので仕方ない所もあるとはいえ、全体的にタイムテーブルと位置関係が滅茶苦茶なのが惜しく、 そこがもう少ししっかりしていれば、もっと盛り上がる所なのですが。
 「ハスラー要塞を叩きつけろ!」
 地面に叩きつけられ、炎上する要塞の中で、ハスラー教授、爆死。
 うわー、顔見知りも居るだろうに、みんな笑顔で酷いわー(笑)
 1話Bパートの急転落以降、愛おしささえ感じる、実に見事な小物っぷりで最高でした。合掌。
 最後は遂にその姿をさらけ出したブレインに17が上空から特攻、17は自由落下に入ったところで三郎くんを脱出させ、 ブレインともろともに大爆発。
 同時に、ブレインの破壊方法を計算していたビッグエンゼルがオーバーヒートで爆発……というのは良かった。絶対、 次の人類の敵ですし(笑)
 そして最後の最後まで、どこからどもなく転がってくるヘルメット。
 それを頭に、三郎達は、自らの身を賭して人類を救った17に不滅のナンバーとして感謝を捧げるのであった。
 このラストで入った挿入歌も、格好良かったです。
 クライマックスの敵が四足首長怪獣型とか、ブレインのデザインとか、敵メカのデザインは全体的に素晴らしい。テコ入れ後の、 ガンテツのキャラクター、ぽんこつ化した剣持、喋る17、がどうにもいただけないのが、残念でありました。


★まとめ★
 都合3分の2を視聴しての不完全な総括となりますが……
 路線変更によってコミカルな要素を増量した結果、作品コンセプト自体が破綻してしまった、というのが目立つ作品ですが、 1クール目が面白かったかと言われると、そうでもないというのが、困った所。
 17を中心に、非人間型巨大ロボットとの戦闘など、特撮には力が入っているのですが、そちらを重視しすぎたのか、 物語の方は、終始しっちゃかめっちゃか。
 特に第2話冒頭の「三郎くんがジャングルで出会った、ロボットだな」に始まり、 脚本(台詞)と演出(映像)が噛み合っていない場面が度々見られます。
 第2話の場合は恐らく、脚本上では三郎くんと17が森の中で出会う予定だったのが、撮影の都合などにより山中の洞窟に変わり、 その変更が何故か反映されないまま脚本を元に台本の台詞になった……という事なのかと思いますが、 以降も話の流れに対して、登場人物の行動(言動)が理解不能な場面がしばしばあり、脚本がおかしいという以上に、 本合わせ(脚本を元にしたスタッフの打ち合わせ)が上手く行っていなかったのでは、と疑われます(^^;
 70年代以前の作品の場合、近年の作品とは物語の繋ぎ方の感覚自体が違うので、よくわからない内に問題が片付いて次に進んでしまう、 というのは結構ありますが、今作の場合、目の前で発生している問題が無視されるという領域に到達しており、 脚本の途中がすっ飛ばされた結果、もっと後のシーンで口にされる筈の台詞が前のシーンにそのまま持ち込まれているのではないか、 という疑問が浮かぶレベル。
 特に中心人物である三郎少年と佐原博士の言動が、常軌を逸している事が多いのが辛い(^^;
 また、基本的なコンセプトは、「家族を失った三郎少年が、ワンセブンとの絆を持って、大人の世界に飛び込んで共に悪に立ち向かっていく」 というようなものだと思うのですが、三郎少年のワンセブンに対する感情と態度が3分刻みでコロコロ変わる為、 全く軸が安定せず、三郎くんとワンセブンの物語としても感情移入しにくいのが非常に難点。
 確かに三郎くんは、心が壊れてもおかしくない悲劇的な経歴の持ち主なのですが、それが周囲との絆で立ち直って悪と戦う、 という構図が、謎すぎる17、不安定すぎる三郎くん、自分の事しか考えていない大人達、 のトライアングルの中で上手く成立させる事が出来ませんでした。
 そうこうしている内に路線変更が発動してしまい、ゴメスの退場を機に第16話から作品コンセプトが変更。
 「子供コミュニティから切り離された主人公がワンセブンという巨大な力を手に、軍隊になぞらえた大人の世界に混ざって戦う」 という構造から180度違う、「切り離していた事は忘れて、子供コミュニティに戻された主人公がそこで事件に巻き込まれる」 という構造になった上で、コミカル分を増量して明確なコメディリリーフのキャラクターを投入した結果、 作り手がそれらの変化に収拾をつける事が出来ず、16−17話において、前半で仕掛けた伏線が後半でほぼ全て無視される、 という大惨事が発生。
 重症患者を立ち直らせる為に新しい薬を処方したら、量を間違えてショック死、みたいな事態に。
 その方向性を更に推し進めた18−19話では、完全な無能と化す剣持、喋るワンセブン、など、 作品の特色になっていた部分が木っ端微塵に粉砕。ワンセブンに関しては、三郎との交流の結果としてコンピュータが強化されたとか理屈はつきますが、 露骨にテコ入れ過ぎた事、そもそも三郎少年とワンセブンの交流の描写が上手く出来ていなかった事などで、すべからく台無しに。
 こうしてただでさえ全身複雑骨折だった『ワンセブン』は、路線変更によって崖から海へ突き落とされて藻屑となったのでありました……。
 人類に敵対する狂ったコンピュータ、その繰り出してくる巨大メカとの戦い、をTV特撮で正面から描いた面白みはあったと思うのですが、 とにかくレッドマフラーにまともな大人が1人も居ない、というのが敗因だったのかな、と思う次第です。

(2015年11月15日)

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