■『世界忍者戦ジライヤ』感想まとめ8■


“ジライヤ 風になれ
ジライヤ 炎に変われ
ファイティング忍者 ジライヤ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『世界忍者戦ジライヤ』 感想の、まとめ8(43〜最終話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕  ・ 〔まとめ4〕
〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕  ・ 〔総括〕


◆第43話「少女の祈り!灼忍ストローボ百万ボルトの恐怖」◆ (監督:岡本明久 脚本:杉村升)
 見所は、
 失明した闘破をかいがいしく世話する麗、ヒロインゲージを急速に上昇させるの巻。
 麗は最近、何故か道場で棒立ちな事が多いのですが、本職(国際秘密捜査官)を解雇か何かされたのでしょうか(^^;
 (※たぶん巨大ロボットまで出てきてしまったので、監視を強化するようにとか指令を受けているのかとは思いますが)
 ある日、武神館へ乗り込んできた編み笠姿の男が、闘破にいきなり斬りかかる。哲山が応戦して編み笠を弾き飛ばすと、 その下から出てきたのは全身金色の世界忍者、灼忍ストローボ。
 かつて哲山に決闘を挑んで敗れたストローボは、切り落とされた右腕を機械化して復讐の為に舞い戻ったのであった!
 「哲山、貴様はおまえの大事な片腕を奪った。今度は俺が、貴様の大時なものを奪ってやる!」
 「闘破を倒すというのか?!」
 ストローボの灼光の術によって視力を失った闘破は哲山の指示で麗と逃亡、ストローボはそれを追って姿を消す。 闘破の視力を取り戻す為、麗と闘破は真紅のヤマユリの根を求め、雲取山へと車を走らせる。
 この情報を得た妖魔一族は、恒例のせせこましい暗躍。戸隠流の医学知識を共有していた為か、 視力を失った闘破が雲取山へ向かうと見越した毒斎は紅牙に指示を出し、ストローボへ「ジライヤは雲取山に居る」 というメモを投げつけさせる(笑)
 雲取山へ辿り着くも、ヤマユリの探索中にストローボの攻撃を受ける闘破と麗。闘破は川へとダイブし、 麗破がストローボの攻撃を受けたところで、駆けつける山地一家。「まだ、息がある。病院へ運ぶんだ」と、 ヒロイン力を使い果たしたのか、麗破あっさりとリタイア。
 一方、川へ落ちた闘破は、雲取山に精通する少女・繭子に拾われ、洞穴で手当を受けていた。
 「お兄ちゃん、太郎みたい」
 「太郎?」
 「私の飼っていた、野良犬」

 主役、まさかの犬扱い

 「野良犬か……そうだ、このまま目が見えなければ、ストローボに野良犬のようにやられてしまうかもしれない」
 あっれー……“少女が大切に飼っていた野良犬”“惨めに殺される野良犬”連想ゲームしたのですが、それはどうなんですか闘破さん。
 意味をかけて面白い台詞にしようとしたら、やりすぎておかしくなってしまいました(笑)
 父を亡くし、犬の太郎も先頃病気で死んでしまい、母親と二人で寂しく暮らしているという繭子は、 「ずっと一緒にいてくれる?」と闘破を親身に看病する……って、犬扱いの青年に「ずっと一緒」を要求とか、 とんだ女王様ですよ繭子ちゃん?!(小学生ぐらい)。そして繭子は闘破が真っ赤なヤマユリを探していると聞き、 心当たりの場所へと向かう。
 一方、さすがに息子の事で気がせいていたのか、前回浮かれていた影響が残っていたのか、

 毒斎の仕掛けた落とし穴にはまってしまう父さん。

 毒斎は上から岩で落とし穴に蓋をすると、見張りにカラス天狗を残してその場を去って行く。
 下手に追い詰めすぎると危ないというナイス判断。
 だが、哲山は爆弾手裏剣であっさりと大脱出。ヤマユリを手に入れた繭子を襲う妖魔一族の前に立ちはだかり、繭子を逃がすが、 闘破の前にも既にストローボが迫っていた。
 アルちめっちょ?毒斎様vs哲山があるかと期待したのですが、「この場はストローボに任せ、引き上げるのだ!」と、 毒斎は如何にもストローボと協力関係にあるようなブラフを入れつつ、さっくり撤退。ストローボの襲撃をなんとか逃れた闘破は繭子と接触するが、 目の治療前に、ヤマユリは川へと吹き飛ばされてしまう。
 繭子を遠ざけ、ジライヤスーツを身に纏う闘破だが、視力を失った状態で大苦戦。
 そこへ駆けつけるも、何故か観戦モードに入る哲山、どれだけスパルタなのか。
 哲山(心を無にするんだ、心を無に……)
 ジライヤ「そうだ、心を無にするんだ」
 哲山の心の声が伝わったのか、かつて「魔王」を破った時のような、無心の構え、ノーガード戦法を取ったジライヤは、 ストローボの攻撃にカウンターを炸裂させる。機械の右腕を切り落とされ、冷静さを欠いたストローボが続けて斬りかかってきた所を、 磁光真空剣・真っ向両断。
 せっかく近くに川があって、ヤマユリが川の流れに吹き飛ばされる、という演出まであったのに、 単なるカウンターで倒してしまったのは非常に残念。川の中に誘い込んで、水音を頼りに斬る! というネタだと思って期待したのに。
 ストローボは真っ二つになって死亡し、失った視力はヤマユリの根の汁で無事に回復。闘破は繭子を抱きしめ、感謝の言葉を述べるのであった。 ……うまく交渉をまとめないと、このまま飼い犬扱いですが闘破さん。
 にしても、終わってみればヒロインをぽっと出の小学生女子にかっさらわれる、柳生麗のヒロイン力の切望的な薄さよ……。
 南無。
 次回、あのイカれた男が帰ってくる!

◆第44話「磁雷神大爆破!! 戦場の父と娘」◆ (監督:岡本明久 脚本:小池剛)
 実戦形式で訓練を行っていた山地兄妹の前に、爆忍ロケットマンが姿を見せる。
 もう、歩いて出てくるだけで面白くてズルい(笑)
 ロケットマンは3人に、ベトナムの戦場で巡り会った少女であり、彼が兵士を辞めるきっかけとなり、 現在は義理の娘であるタオを引き合わせる。タオはワールドツアーを行うミュージカルのオーディションに合格して来日し、 それに付きそう形でやってきたロケットマンは山地家(というか恐らく日本忍者の顔役であるニンジャマスター哲山) に挨拶に訪れたのであった。
 娘の前でも、凄く普通にイカ。
 親バカぶりを発揮しているけど、イカ。
 娘に「パパの方がフィーバーしちゃって」とか言われているけど、イカ。
 駄目だもう、この絵面だけで面白すぎる。
 訪問を終えた二人を、レッスン場まで車で送る事にする闘破。
 ロケットマン、車、乗れるのか…………

 乗った!!

 なんか、微妙に不自然なカットだけど、助手席に収まった!
 だが、道中で突然、妖魔一族の襲撃を受けるブラックセイバー。ジライヤとロケットマンは紅牙と烈牙を追うがそれは陽動作戦であり、 タオがさらわれロケットランチャーが盗まれてしまう。
 ……いや、娘と一緒にロケットランチャーを後部座席に置いておくのはどうかと思うのですが、イカ父。
 二手に分かれてタオを探すジライヤとロケットマンだったが、ロケットマンはカラス天狗に誘い込まれ、 毒斎からタオを人質に磁雷神の破壊を要求される。
 かつて幾多の戦場でならした、超A級狙撃兵としての腕と得意の火薬術を用いて磁雷神を破壊せよ。
 だがそれは、再び硝煙と炎の世界に戻る事を意味していた。
 「お父さん止めて、お父さんはもう兵士じゃないのよ。あの日以来、もう二度と武器は手にしないって誓ったでしょ」
 …………や、しばらく前に、騙りを成敗する為に思いっきりぶっ放していた記憶がありますが。
 あれは、娘には秘密だったのか!
 「駄目よお父さん、武器を手にしたら、私たち、親子でいられなくなるわ」
 直後に、腕の仕込みロケットを炸裂させるロケットマン(笑)
 しかし、タオの奪還かなわなかったロケットマンは、娘を取り戻す為に妖魔一族の要求を呑むという苦渋の決断をくだす。 「金剛山に妖魔のアジトを発見した。援護を頼む」という通信ミサイルを武神館道場に撃ち込み、ジライヤを待ち受けるロケットマンは、 やってきたジライヤをロケットランチャーで砲撃。ジライヤの危機に反応し、地下から磁雷神が浮上する!
 このままジライヤを裏切っていいのか……苦悩するロケットマンを促すべく、檻に入れてクレーンで吊したタオを、 更に下から火であぶる妖魔一族。その炎に、タオはベトナムの戦場を思い出す……。
 ここの火薬シーンは、なかなかの迫力。
 妖魔一族がタオを人質にしているのに気付いたジライヤは磁雷神と合体するが、遂に意を決したロケットマンは磁雷神を砲撃。同事に、 仕掛けておいた地雷が爆発し、地割れにはまる磁雷神。紅牙と烈牙は、これで勝った、とロケットマンからロケットランチャーを奪い、 自らとどめを刺そうと磁雷神に接近、毒斎もこれで用済みとロケットマンを始末しようと斬りかかるが……そこで磁雷神が再浮上。 慌てた妖魔一族は退却し、火の海に落とされそうになったタオは、磁雷神がダッシュでキャッチ。
 今回ここまで面白かったのですが、タオが人質にされているのに気付いたジライヤが何か策を練るわけでなく、 単に“磁雷神が強かったから”というだけで全て解決してしまって、がっくり。人質に気付いたところで「よーし」みたいに合体しているのに、 その後、見事に地割れにはまっただけですし。はまった後も特に理由なく「別にどうという事がありませんでした」的な復活で、 敵も味方も策を凝らすのが持ち味の今作で、単純なパワープレイに陥ってしまったのは残念。
 逃げる妖魔一族をロックオンする磁雷神。降り立ったジライヤの前に刀を手に進み出る紅牙。
 「おのれジライヤ、私が地獄に送ってやる! 妖魔忍法・乱れ蝶!」
 紅牙さんがなんか突然、技を!
 しかも烈牙とのコンビネーション攻撃で、ダメージまで!!!!!!!!

 なんかもう、アルティメット毒斎様降臨の時以上の衝撃。
 「このままでは、完全にヤツの術におちてしまう」
 油断かましていたら思わぬ反撃を受けるジライヤ。
 たぶん、スライムだと思っていたらいきなりベギラマ使われたような気持ち。
 気合いを振り絞ったジライヤは、剣気を飛ばす「磁光真空剣・なんたらかんたら(聞き取れず)」で反撃、妖術を打ち破る。 アルちめっちょ?毒斎様は正面から切り結ぶと見せかけてすかさずカラス天狗に側面攻撃をかけさせようとするが、 そこへ飛んでくるロケットランチャーの支援で、カラス天狗は無残に蒸発。今度こそ妖魔一族は完全に撤退する。
 戦い終わり、愛用のランチャーを捨てきれぬ心の弱さにつけこまれたのだ……とロケットランチャーを投げ捨てるロケットマン。
 しかし……
 「ロケットマンが、武器を手にする時は、愛する人や、平和を守る時じゃないか!」
 「だから、これは、私のダンスと同じくらい、大切なものなのでしょう?」
 闘破と娘の言葉を受け、再びロケットランチャーを手にして、大団円。
 戦闘の解決法が残念でしたが、そろそろ残り話数もカウントダウンに入る終盤に、わざわざロケットマンを拾ってくれたのは嬉しかったです。
 そして次回、紙忍・折破も拾ってもらえる模様(たぶん藤井脚本)。
 果たして牢忍ハブラムは、拾われるのか……ッ?!

◆第45話「磁雷神の力!愛と希望のかけ橋」◆ (監督:宮坂清彦 脚本:藤井邦夫)
 クモ御前、呪いの術を磁雷神に跳ね返される。
 …………たぶん、ロボットだから。
 やはり乗り手を直接倒すしかない、と暗殺を企むクモ御前は、ジライヤと親しく、かつ凄腕、更に人間としての弱点を持つ者…… として紙忍・折破に狙いを定める。
 ……ワイルドさんは500万円ぐらいで裏切りそうな気もします。
 かすみを誘拐された折破は妖魔一族に屈し、かすみの救出を手伝ってほしい、という名目で武神館に助けを求めると闘破を誘い出す。 その後にこっそりと残された黒い折り鶴……紙忍一族の暗号による“罠と裏切り”のサインに、哲山はケイと学に麗と連絡を取り、 密かに二人の後を追うようにと指示を出す。
 「友達同士の戦いは、仲が良ければ良いほど、激しくなるもの」
 「かすみ、折破が勝つ事を、我らと一緒に、祈ろうではないか」
 (折破、私はどうなってもいい、だから、だから正しい道を……折破)
 かつてなく、悪役らしさ全開の妖魔一族。
 その頃、ジライヤとの友誼、かすみの命、葛藤する折破は、闘破に、かすみと折破の絆の証でもある折り鶴のペンダントを 預かってくれと頼むと、闘破の胸のポケットにそれをしまう。折破の様子がおかしい事に気付きながらも、 その案内に従って山の中へと進んでいく闘破。
 一方、毒斎は折破の情報を紙忍一族に流し、紙忍頭領から折破抹殺の依頼を受ける事に成功していた。
 「ジライヤの命と大金儲け、これで両手に花だ」
 せこい、せこいけど、これでこそ毒斎様(笑)
 そして……山中で闘破を不意打ちする折破。胸に苦無の突き刺さった闘破は断崖絶壁から落下し、二人を監視していた妖魔一族は大喜び。 折破はかすみを取り戻すべく、妖魔一族へのアジトへと向かう。
 しかし、折破が苦無を突き刺したのは、正確に胸ポケットのペンダントであった。これにより一命を取り留めた闘破は麗破達と合流し、 折破の後を追う。紙忍一族の抜け忍ハンターに囲まれる折破を助けるジライヤ。だが逃げ出した折破とかすみの前に、 紙忍一族・頭領が立ちはだかる!
 さすがというか、劇中でもかなりの強豪である折破を追い詰める頭領。追い詰められた折破をかばったかすみも斬られ、 二人にとどめの一撃が迫った所で、再び助けに入るジライヤ。ジライヤは磁光真空剣・十文字斬りで頭領の竜巻の術を破って、 ずんばらりん。だが、折破とかすみは既に致命の一撃を受けていた……。
 「ジライヤ……俺はおまえに会えて良かった」
 「ありがとう……皆さん」
 手を握り合いながら、息絶える二人。
 そこに、何故か立ち上がる磁雷神。
 ジライヤの叫びに応え、磁雷神の目から放たれた緑の光が二人の死体を包み込むと、その姿は巨大な折り鶴になって空へと舞い上がる。 飛び去っていく折り鶴の背には、折破とかすみの姿。二人は「蘇ったのかもしれない……」と、ファンタジックなオチ。
 ファンタジック、というか、ぽかん、というか……。
 二人が死ぬのもどうかと思うけど、あっさり生き返るのもどうかと思うけど、そろそろ磁雷神(しいてはパコ) の凄い力を見せないといけない、とか、色々な折衷案の末、みたいな。
 クモ御前の主導もあり、今回かなり悪役然としていた妖魔一族でしたが、最終盤に向かって、 “憎めない悪役”から“悪辣な集団”にシフトしていっている感じも見受けられます。……いやこれまでも酷い事はそれなりにやっているのですが、 どうにも、
 非道ぶり < 間抜けぶり
 といった状態と印象だったのに対して、前回もかなり非道な作戦を展開しており、邪悪ぶりが前面に押し出されている気がします。
 次回、残りの強豪世界忍者総登場?
 は、ハブラムは?!

◆第46話「黒い噂・駆けつけろ正義の忍者たち!」◆ (監督:宮坂清彦 脚本:扇澤延男)
 宇宙忍デモスト、ジライヤを追い詰める為に、妖魔一族に協力を打診。ヘンリー楽珍を利用しようとする。
 「あいつを利用する。ヤツが落とし穴を掘り、ジライヤが落ちる」
 「落ちてもがき苦しむジライヤを、我ら二人があの世に送るのか」
 妖魔一族は裏の世界にあるデマを流し、デモストはヘンリーに接触。
 「世界平和の為、お主の腕を是非借りたい。かつて優秀な忍者だったおぬしの腕を」
 「どうして私が元忍者だったことを?!」
 楽珍、本当に忍者だった(笑)
 デモストにころりと騙された楽珍は、「ジライヤが既にパコを手に入れたという噂を流す事が、無益な戦いを減らす事に繋がり、 ひいては山地一家の安全の為にもなる」と信じ込み、駅前でビラを配って回る。

号外!!
全世界に告ぐ
世紀の秘宝パコは
山地一家のもの
絶対誰にも渡さない

 最後の一行はデモストの入れ知恵でしょーか(笑)
 これにより、宝くじで一等をあてた一家のような扱いになってしまった山地家。闘破はバイト先でやっかまれ、 ケイと学は募金を求める団体に絡まれ、挙げ句の果てに「貧乏人の敵だ!」と道場に投石まで受ける始末。 加えてまたもマンションに漂う不穏な空気……一家は世間のいわれない悪意に曝される事となり、哲山は背後に蠢く忍びの気配を感じる。
 楽珍のビラが物凄い効果を発揮したというよりも、 もとから評判のよろしくなかった山地家に最後の油を注いだ感じが凄く漂いますが!
 山地家に顔を出し、良かれと思ってやった事が正反対になったのを知った楽珍はデモストに掴みかかるが、あっさりノックダウン。
 「許さん!」と忍者装束になる所は一瞬格好良かったのですが、楽珍は楽珍でした(笑)
 一方、馬風破に呼び出された闘破、いきなり撃たれる。
 更にワイルドとフクロウ男爵も現れるが、やっぱり撃たれる。
 彼等もまた、裏の忍者世界の秘密情報網に流れた、「山地一家がパコを入手し独占している」という情報に、 ころりと踊らされていたのだった!
 「ユーは世界中の心あるグッド忍者をオール敵に回したのだ!」
 こんな時にも、面白いぞ男爵語!
 その情報はデマだ、と抗弁する闘破であったが……
 「オフコース。その可能性もアイシンクだ。バット!」
 「デマを流していったい誰が得をする」
 「得にもならんデマを流すやつはいない」
 総否定し、とりあえずはその場を去って行く3人。
 落ち着いて考えれば既に現状で得をしている人達がすぐ思い浮かびそうなものではありますが、 こういう時に普段の生活態度が重要というか、戸隠流えげつないというのが、 世界忍者の共通認識になっている所に問題の根幹があると思います、父さん!
 「ジライヤは、確かにいいヤツだ。バット、戸隠流は油断ならない!」
 みたいな。
 「一度失った信頼は、友情は、二度と取り戻す事が出来ないんだ……二度と……」
 膝をつき、うなだれる闘破。
 大丈夫! ハブラムが居るよ!!
 超へこみ、戦う気力を失った闘破の事もあり、道場を引き払って戸隠村に住まいを移す事になる山地家。最後にもう一度、 金剛山を見ようと車を走らせる闘破……しかしそこへ、今こそ好機、と妖魔一族とデモストが襲いかかる!
 その頃、ビラの配り主が楽珍である事を突き止めたケイと学は、麗とともに楽珍を探し、公園に倒れていた姿を発見。その口から、 背後にデモストの陰謀があった事を知る。そしてそこへ現れるフクロウ男爵。
 「イエスタディはついクールさを欠いてしまった。ワンモアタイム、話を聞いてみようと思ってな」
 事情を聞いたフクロウ男爵は、はかられた事を知り、ジライヤの元へ。男爵が連絡をつけたのか、 馬風破とワイルドも金剛山へと向かう!
 展開はやや雑なのですが、馬風破のバイクの後ろに乗るワイルドの図、はなかなか格好いい。
 (俺の、今日までの俺の戦いはなんだったんだ……)
 気力不足で妖魔一族に追い詰められるジライヤ。あわやというその時、友情で結ばれた世界忍者達が駆けつける!
 「ジライヤ、すまなかった!」
 「おまえを信じるぜ」
 「私たちは永遠にフレンドだ」
 なんだかんだで、フクロウ男爵・馬風破・ワイルドの3人が並ぶと、生き残りの精鋭世界忍者という感じで盛り上がるのは、 今作ここまでの蓄積のなせる技。しょーじき、この中で心から信用していいのは、フクロウ男爵だけな気はしますが(笑)  馬風破は存在が適当すぎるし、ワイルドはそれこそ、悪意なく自覚もなく気がついたら敵に回っていてもおかしくない(笑)
 麗破達もやってきて、戦いは一気に混戦に。その中で、デモストの重力波攻撃を受け、ピンチになるジライヤ。その時、 草むらに隠れていた楽珍が飛び出し、投げた手裏剣がデモストの頭部に直撃、ジライヤの反撃を受けたデモストは撤退し、 妖魔一族も分が悪いと退却する。
 たぶん、デモストは頭が本体、の伏線。
 前後編にしても良さそうな内容を1話に凝縮した為、話運びに雑なところは見受けられますが、 怪盗話に続いて楽珍を拾ったのは扇澤さんらしく、良かったところ。楽珍も、元落第忍者だったという事で、 力業ではありますが作品の中にピースとしてはまりました。
 また、いつの間にそういう話になったのかは非常に謎ですが、フクロウ男爵・馬風破・ワイルドの3人は 「パコの情報を求めて四方に散っていた」という事がさらっと語られており、特に立ち位置の定まっていなかった馬風破は そういう形で落ち着いた模様。フクロウ男爵は別として、実は馬風破もワイルドもパコに興味があるそぶりはかつて一度も無かったと思うのですが、 話が出たとすればタイミング的にはジャンヌの回の後か。
 「こんな哀しい事件をこれ以上起こさない為に俺たちもパコ探しに協力しよう」みたいな振りがあれば良かったのになぁ……というか、 実際にあの回はそうまとめたかったのが、カットされたりしていたのかも。

◆第47話「学の初恋・あまりにあぶない金剛山」◆ (監督:新井清 脚本:藤井邦夫/藤井康浩)
 「金剛山に、聖徳太子が作った巨大守護神像が埋まっている」という学説を唱え、学会のつまはじき、というか、 笑い者にされている坂井教授。だがそこに、磁雷神の格納されている場所の情報があるに違いないと見た妖魔一族は、 紅牙をうまく坂井教授へと取り入らせる。ジライヤと合身前の磁雷神の場所を探り出し、ドリルミサイルをぶちあててやる、 というのがその作戦であった。
 教授の娘・あかりと出会い、淡い想いを抱く学。父に近づく紅牙(の変装した雑誌編集者)に生理的な不審を抱くかおりは、 学に声をかけ、二人は坂井教授達の後を追って金剛山へと向かう
 あかりから電話を受ける学に、
 「うらやましいよなぁ、学」
 ……って闘破さん、この前後のメタルヒーローで最強クラスのモテな事を、そろそろ自覚してください。
 一方、聖忍アラムーサがクモ御前と姿を消した、という情報が麗からもたらされる。どうやらアラムーサは、 瞑想を終えた瞬間の一瞬の隙を突かれてクモ御前の催眠術に操られてしまっているらしい。
 「そうでなければ、あのアラムーサがおめおめとやられるわけがない」
 とフォローされるのですが、どちらかというとメンタル弱いイメージなんですが、アラムーサ。
 坂井教授の読み解いた古文書により磁雷神の隠し場所に目当てをつけた妖魔一族は、 クモ御前に操られるアラムーサの重力虚脱の術によって、磁雷神を引きずり出す。さらに炸裂する、アラムーサの魔神封じの術、 アキレスバスター!
 メンタル弱いのにスペック高い人、超迷惑。
 学からの連絡を受け、ジライヤ達も駆けつけるが、魔神封じの術により、磁雷神とは合身不能。そこへ迫るドリルミサイル! その時、 あかりの吹くオカリナの音色が、クモ御前の笛の音を妨害。更に学が笛を破壊し、正気に戻ったアラムーサは魔神封じの術を 「ディスチャージ!」。合身したジライヤはドリルミサイルを両断。アラムーサも加わって形勢逆転し、 妖魔一族は這々の体で退却するのであった。
 全体的にテンポ悪し。
 後このクライマックスでスポット当てるなら、学よりはケイちゃんか妖魔一族に当てて欲しかったなぁ。

◆第48話「遂に出た!!世紀の秘宝パコ!!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
 地球の軌道に迫る暗黒星……それに呼応するかのように、金剛山の地底を震源とした地震が発生。 麗を交えて金剛山を見に行った山地家の前に磁雷神が浮上し、闘破達は崖崩れの跡で地球上のものとは思えない不思議な鉱石のかけらを発見する。 もしかしたらこの付近にパコが眠っているのかもしれない……哲山は麗破の目の光と磁光真空剣のレーザー刀の輝きを合わせる事を思いつき、 それにより放たれた緑色の光線がある一点を指し示す!
 その様子を窺っている宇宙忍デモスト、妖魔一族、そして何故か連れ立っているパルチス・シルバーシャーク・デビルキャッツ(笑)  最後の3人は微妙に妖魔一族と距離を置いた場所で様子を窺っており、改めて雇用されているのか、 成り行きで独自に手を組んでいるのかも謎。
 光線の当たった場所から浮上したのは、黒く輝く小型の球体。
 「わたしはパコ」
 麗の体を借りてそれは衝撃の事実を語り出す。
 「2300年前、第三銀河系の暗黒星から派遣された。この地球を侵略し、滅ぼす為にやってきたの。 わたしのエネルギーをもってすれば、地球の侵略などいとたやすい」
 世紀の秘宝パコの正体は、金銀財宝や宇宙の知識の泉などではなく、別の星から来た侵略者であった!
 パコは自ら暗黒星の小さな太陽だと述べ、昨夜の地震もそのエネルギーにより起こしたものだという。 そこまで告げた所でパコは姿を消し、麗は気を失ってしまう。周囲を世界忍者達に囲まれている事から、闘破達はひとまず撤収。 その夜、パコを巡る最後の戦いを前に、哲山は闘破を道場へと呼び出す。
 「これからおまえに、戸隠流の極意を伝授する。闘破、鏡の中の自分を斬れるか」
 「親父、どういうことだ?」
 「斬れ、心で斬るんだ」
 哲山に渡された日本刀を手に、幻の自分を見事に両断する闘破。
 クライマックスを前に、なんとなく修行。今作は挿入歌に恵まれているので、なんとなく格好良くなってしまうのが良い所。
 闘破は極意・磁光心眼斬りを会得。翌日、再び金剛山へ向かった一家は、3バカ(もはやそんな感じの扱い)もとい、 パルチス・シルバーシャーク・デビルキャッツの襲撃を受けるが、もはや着々とニンジャマスターの道を歩むジライヤの敵ではなく、 磁光真空剣・横一閃三人斬り、であっさり刀のサビに。
 新必殺技の試し斬りでもするのかと思っていたのですが、そんな価値もなかった模様(笑)
 再びパコと接触した闘破達は、昨日の話の続きを聞く……地球へ降り立ったパコは地球の自然の素晴らしさを目にし、また、 着陸時に怪我を負って地球人の治療を受けたジライヤ先祖はその優しさに触れ、地球侵略を行わない事を決意。 しかしそれによって裏切り者とされ、母星である暗黒星の攻撃を受け、タイムカプセル(※パコ談)はバラバラに破壊されてしまったのであった。
 地球人類の認識(伝承)がパコ=タイムカプセルだったのに対し、パコは自分と別物として「タイムカプセル」について語っているのですが (そもそもタイムカプセルですら無い筈なのですが、山地一家にわかりやすい単語を選んだのか?)、タイムカプセル(と呼ばれているもの)は純然たる宇宙船で、 パコはそれで地球に運ばれてきた、或いはパコは何らかの“器”に宿っていなければならず、タイムカプセルがその器でパコが内臓エネルギー、 という感じの解釈で良いのでしょーか?
 で、ジライヤ先祖とデモストは侵略の為に地球へパコを運んできたパイロット…………て、あれ?  デモストさんは普通にお仕事していただけで、暗黒星視点だと、ジライヤ先祖が純然たる裏切り者で悪い人?(笑)
 ……うんそれは、デモストさん、怒るし、根に持つわ。
 パコの言う「あなたたちの先祖」(多分、闘破と麗の先祖である宇宙人の事)という言い回しが、古代地球人の事と誤解しそうだったり、 微妙に解釈間違っているかもしれませんが(^^;
 聖徳太子の作った磁雷神の中で眠っていたパコだったが、今再び、暗黒星が地球と最接近する軌道に入っていた。
 「早くわたしが脱出しないと、この地球が大変な事になる」
 もっと具体的に!!
 思わせぶりな事を言うパコ、クモ御前に奪われる(笑)
 まんまとパコを手に入れた妖魔一族、パコの中身を見ようとするが、そこへ現れるフクロウ男爵。更にデモストが横からパコをさらっていく。 各勢力が入り乱れる混戦の中、パコは磁雷神と合体し、ジライヤはデモストと激突。だが、身動きできない磁雷神に、 カラス天狗部隊の航空爆撃が降り注ぐ!
 カラス天狗部隊、まさかの運用というか、もっと早く活用していれば、というか(笑)
 哲山達は妖魔一族の動きを阻止するべく走り、刃を交える数多の忍者達。そして虚空から迫り来る暗黒星……果たして生き残るのは誰か、 そしてパコはどうなるのか?!
 次回、

 まさかの鬼忍毒斎ジャイアント?!

 そして、世界中の NINJA 変態達が金剛山に集う!
 いよいよ、世界忍者戦、クライマックス!!

◆第49話「世界忍者!金剛山に大集結!!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
 OPのキャスト表記が大盤振る舞い。
 にしても、剛忍アブダダ(さすがに大月ウルフではないけれど)まで居るのに、ハブラム居ないのか(^^;
 体型が特徴的なのと顔出し部分が多すぎて、あの人しか出来ない都合なのでしょうが。
 暗黒星が迫る中、金剛山で激突するジライヤとデモスト、哲山達と妖魔一族。カラス天狗部隊の航空爆撃が続く中、 デモストの力に苦戦を強いられるジライヤ。
 「地球の富を手に入れた上で、母星、暗黒星へ帰るのだ!」
 ……って、デモストさんも、結局、金なのか。
 ここまで終始、悪党の目的が「金銀財宝」に限られている作品も珍しいよーな(笑)
 妖魔一族に関しては、この最終盤においても、大宇宙的な事はどうでもいい、というのが、面白みになってはいるのですが。
 デモストの分離攻撃に追い詰められるジライヤだったが、その時、戸隠流の奥義を思い出す。
 「そうだ、磁光心眼斬り!」
 精神を集中して放ったジライヤの一撃は見事にデモストの右腕を切り落とし、頭部を貫く。
 頭が本体ネタかと思われたデモストですが、頭部を貫かれた後も行動していたので、そういう事では無かった模様。
 頭を繋いで反撃に出たデモストだが、最後は磁光真空剣・真っ向両断で、ずんばらりん。
 引っ張った割にはさくっと決着してしまいましたが(Aパート)、これは最終回で、しぶとく出てくるパターンか……?
 デモストを退けたジライヤは、磁雷神と合身してカラス天狗爆撃部隊を蹴散らし、これを見た妖魔一族は一時撤退。 磁雷神の内部でパコと接触したジライヤは、迫り来る暗黒星のレーザー攻撃がパコを直撃するような事があれば、 パコの内側に蓄えられたエネルギーで地球が消滅してしまう、という恐るべき事実を知る。それを防ぐ為に地球脱出を望むパコは、 大気圏突破の為のエネルギーの起爆剤として、磁雷神に向けてレーザー刀を投げつけてほしいとジライヤへ頼む。
 磁雷神と分離したジライヤは、磁光真空剣を磁雷神へ投げつけようとする……だが、その前にフクロウ男爵が立ちはだかる。
 世界中の貧しい人々を救う為にパコの力を求めているフクロウ男爵にとって、パコを宇宙へ飛ばしてしまうのは、 受け入れがたい事であった。ジライヤへ剣を向けるフクロウ男爵……その前に、今度は哲山が回り込む。
 「フクロウ男爵、斬りたければ私を斬れ!」
 人間同士の無益な争い……それこそがパコが最も恐れる、最も醜い行為。哲山の説得を受けたフクロウ男爵は、剣を収める。
 「アイアムがどうかしていた。パコの言葉をアイビリーブ。信じる」
 「フクロウ男爵、もういい。君の気持ちもよくわかる。俺たちは、友達じゃないか」
 そして炸裂する、闘破の殺し文句(笑)
 ここでフクロウ男爵が、単なる強助っ人キャラではなく、自分の立場と思想があるキャラクターとして前に出たのは良かったところ。
 哲山が説得すると、どうにも胡散臭いですが(笑)
 ここはケイちゃんと学で、その純真さに心を動かされる、とかの方が綺麗には収まったような。
 その頃、一行から離れた場所ではクモ御前が強力な妖術を発動していた。黄泉路から次々と姿を見せる、 亡霊世界忍者軍団!
 男爵と和解し、ジライヤが投げ放った磁光真空剣が、空中でチャンカンフーに叩き落とされる!!
 大挙登場の亡霊世界忍者軍団の面々は、
 火忍・チャンカンフー、漢忍・緑龍、音忍・宇破、剛忍・アブダダ、祭忍・ギュウマ、獣忍・マクンバ、闇忍・デビルキャッツ、 水忍・シルバーシャーク、灼忍・ストローボ、化忍・パルチス、宇宙忍・デモスト
 という、殺りも殺ったり11人。
 スーパーNINJA大戦Z!!
 というか、デモスト居るし(笑)
 ざっくり始末された上に、逝ったと思ったら速攻で戻ってきてしまいました。
 ぶつかりあう、ジライヤ達と亡霊世界忍者軍団。呪術の呪文に気付いた哲山は、その場をジライヤ達に託し、儀式のもとへと向かう。 通常攻撃をすり抜ける亡霊軍団に苦戦するジライヤ達の元に、駆けつける黒いバイクの風忍・馬風破! そして雷忍・ワイルド! 更に、 イカ! じゃなかった、爆忍・ロケットマン!
 ロケットマンまで出てきたのは、少し意外。ここまでやったら、異形忍・紅トカゲも出してあげれば良かったのに。もう、 引退してしまったのでしょうか。大集団戦闘は、やりきった感はあるものの、それぞれの個性を強調するような事もなく、戦闘自体は、 それほど面白くならず。どちらかといえば、シチュエーションなどに凝って見せていた作品だったので、数で勝負、 で誤魔化した感じは否めません。
 最後のお祭り、と受け止める所でしょうか。
 独り儀式の場に走った哲山は、水晶玉を破壊。
 「哲山め、よくもクモ御前の妖術を破ったな」
 「こんな妖術、破れぬ儂ではない!」
 ここで挿入歌が入り、襲い来る妖魔一族を軽く蹴散らす父さんどこまでも格好いい。
 クライマックスでの単独行動だったのでピンチになるような展開でもあるのかと少しドキドキしていたのですが、 全くなりませんでした(笑)
 妖術が破れた事で亡霊忍者軍団が消え去り、更に駆けつける仲間達。
 「哲山は儂がやる。おまえたちは奴らを。妖魔一族の力を見せてやれぃ! おまえたちの骨は、この毒斎が拾う。行け!」
 すっかり決死隊状態で、迎撃に向かう、紅牙、烈牙、カラス天狗ズ。
 向かってくるのは、ジライヤ、恵美破、学、麗破、フクロウ男爵、ワイルド、馬風破、ロケットマン。

 も う 駄 目 だ

 最終決戦という事もあってか、次々と普通に斬られる紅牙と烈牙。カラス天狗ズは早々に降参して逃げ去り、囲まれた紅牙と烈牙は、 煙玉で退却。しかし隠れ身の術がケイと学に見破られて重傷を負い、刀を捨てて逃走。
 あまりに哀れっぽかった為か、誰一人として追いかけませんでした。
 最後は忍者っぽく自爆でもするのかと思いきや、ごく普通に遁走。妖魔一族っぽいといえば激しくぽくはありますが(^^;
 最終的な悪の組織の幹部格が「もはや相手にする必要もない」レベルとか、惨い、惨すぎる。
 哲山と切り結ぶも、紅牙達を退けた増援に囲まれる毒斎様。

 も う 駄 目 だ

 最終回直前での悪側のこの絶望感は、『メガレンジャー』を超えた(笑)
 どうしてこんな戦力差になってしまったのか。
 だが、追い詰められた毒斎は、起死回生の一手として亡霊世界忍者軍団の力を吸収。
 クモ御前の妖術と毒斎の忍術の力を合わせ、今ここに、マーベラス毒斎ジャイアント、爆誕!
 接近する暗黒星、パコ攻撃の時は迫る、しかし、巨大化した毒斎を倒すには磁雷神の力を使うしかない。 意を決してジライヤは磁雷神と合身し、かつてない迫力の巨大戦が展開。
 果たして、勝つのはどちらか?! そして、パコと地球の運命は?!
 煽っているほど、暗黒星のタイムリミット感が薄いのは、もう少し何とかしてほしかった所。……まあ結局、 今作はそういう“本筋”の部分は割と適当で、そこ以外が面白い作品という事になってしまうわけですが。
 合身時の台詞はずっと何と言っているのか聞き取れなかったのですが、「闘気!」?

◆第50話「妖魔一族の最期!さらばパコ=磁雷神!!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
 磁雷神、まさかの、足ひっかけ(笑)
 つばぜり合いから腕を取りに行ったり、巨大になってもジライヤっぽさのある、良い戦闘。
 激闘を繰り広げる磁雷神とマーベラス毒斎ジャイアントであったが、磁雷神の刀から繰り出された閃光にひるんだ所を斬り裂かれ、 打ち砕かれるジャイアント妖術。
 普段の大きさに戻って地上に落下した毒斎は、観戦していたクモ御前に活を入れられて、目を覚ます。
 「大丈夫かえ、毒斎殿?」
 「ああ、大丈夫だ。まだ負けはせぬ! 妖魔一族の最後の力を見せてやる!」
 「そう、その意気じゃ!」
 凄く、駄目そうです。
 正直な所、このまま逃げ出しても、たぶん誰も追いかけないし、視聴者としても問題は無いし、キャラクター的にはむしろ自然なのですが、 長年追いかけていたお宝が宇宙へ飛び去ってしまうという瀬戸際に、さすがに頭に血が上っている模様(^^;
 マーベラス毒斎ジャイアントを撃破したジライヤは磁雷神と分離し、迫り来る暗黒星を前に(タイムリミット感が薄いのは、 地上から暗黒星を見た映像が無いからだと思うのですが、目視できる距離まで近づいていたら攻撃受けそうなのが、難しいところ)、 磁光真空剣を手に取る。
 「遂に、おまえとの別れの時が来た。俺は悲しまない。おまえは、パコを守って、宇宙の彼方へ飛び立つのだ。 さらばだ、ありがとう、磁光真空剣」


 確定

 真ヒロインは

  磁光真空剣!!


 ジライヤはジャンプと共にレーザー刀を磁雷神めがけて投げつけ、それを吸い込んだ磁雷神の内部で初動エネルギーを得たパコは、 磁雷神と共に宇宙へと飛翔していく。オレンジの輝きに包まれて虚空へと昇っていく磁雷神の目から地上に向けて放たれる光。 神を思わせる荘厳さとともに、今パコは、2300年の時を経て、漆黒の宇宙へと帰っていった…… パコの地球からの離脱を感じ取った暗黒星は、軌道を変更してパコを追い、ともに宇宙の彼方へ消えていく。
 どうも暗黒星人、執念深すぎて、もはや地球への侵略よりパコに痛い目を見せる方が主眼になってしまっている模様。 暗黒星にとってもパコは貴重なエネルギーで、それ無しで地球侵略などの活動が出来ないのかもしれませんが。
 そして結局、磁雷神の背中の箱は全く使われなかったなぁ。あそこから何か飛び出すとか、そーいうのに少し期待していたのですが。 そもそも、巨大戦自体がほぼ発生しなかったので、仕方ない所か(企画段階では、もう少し巨大戦をやる予定だったのか?)。
 「ジライヤ、決着をつけてやる!」
 パコが宇宙に飛び去り、すっかり人生の目標を見失ってしまった毒斎様、自暴自棄になる。
 毒斎VSジライヤ、クモ御前VS哲山、がマッチアップ。磁光真空剣を失ったジライヤは、哲山の忍者刀を借りて宿敵との戦いへ臨む。
 「毒斎、おまえには人の心が無いのか」
 「人の心だと?」
 「人を愛する心、優しさだ」
 「ふん、笑わせるな、俺はそんなものはこの世に生まれた時から持ってはおらん」
 「なにぃっ。許さん! おまえの野心のために倒れていった人達の怒りを込めて、妖魔一族頭領、鬼忍・毒斎をこの世から抹殺する」
 「出来るものならやってみろ」
 「覚悟しろ毒斎!」
 ぶつかりあう二人。
 一方、いつの間にやら予備の刀を取り出した哲山は、表裏一体、二つの顔によるコンビネーション攻撃を仕掛けてきたクモ御前の幻術を打ち破り、 貫禄の撃破。
 最後の最後まで、まさしく最凶。
 磁光真空剣によるステータス補正を失ったジライヤと、互角の戦いを繰り広げる毒斎。クモ御前を倒した哲山が助太刀に加わろうとするが、 ジライヤはそれを制してあくまで正面から一騎打ちで毒斎に挑む事を望み、駆けつけた仲間達もその戦いを見守る。
 ……毒斎様これ、仮にジライヤを倒しても、思いっきり詰んだ(^^;
 打ちあう刀、繰り出される忍術、飛び交う火柱……そして、ジライヤの一撃が、毒斎の鬼面を切り裂く! 再びさらけ出される、 哲山の顔。
 「俺はもう騙されん、迷わず斬る!」
 だが、心の強さを持ち合わせた今のジライヤに、もはや毒斎の詐術は通用しなかった。
 哲山の顔がかき消えた毒斎のお面の下は、変な黒いもやもや。今更なにか素顔を出しても……という事で、 苦肉の策と言ったところでしょうか。
 交差する二人。
 毒斎の打ち下ろしの斬撃がジライヤスーツを切り裂き、ジライヤの刺突が毒斎の脇腹を貫く!
 放射するエネルギー、そして、大爆発。
 爆炎が晴れた時、そこに立っていたのは、ジライヤだった!
 デモストの時もでしたが、決着は割とあっさりめ。
 事前のイベントで必殺武器を失い、必殺技なしでラスボスを倒す、というのは、少々珍しいでしょうか。
 暗黒星は去り、毒斎は倒れた。そして闘破達はパコが最後に残したものを見る。
 それは磁雷神から放たれた光の当たった場所……そこに咲いた一輪の花。
 その美しい輝きに、忍者達は改めて平和への思いを強くするのであった。
 「俺は、いつかパコがもう一度戻ってくる気がする」
 遙か未来、いずれ今の太陽が死を迎えて冷たくなった時……宇宙の彼方からパコが巨大な太陽として戻ってきて、 再びこの銀河に命の輝きを取り戻す気がする。
 突然、スケールの大きな事を語り出す闘破。
 戦いを経て成長したというよりは、神秘体験を経て何かに目覚めてしまった感じに(おぃ)
 まあなんか、作品として大きくまとめないといけないような気が、作り手の中でしたのでしょうが(笑)
 再会を約し、それぞれ去って行く4人の心強い世界忍者達。
 「別れの挨拶はしない」とか、結局、馬風破さんは何をしたかったのでしょうか(笑) いや、 悪魔超人が友情パワーに目覚めたという事で良いのでしょうが、目的の見えない困った人でした。あと、 ワイルドは早くお金貯めてアメリカ帰れ。
 戦い終えて、両親の墓参りをする闘破。
 残り時間が長いなぁと思ったら、そこからまさかの世界忍者回想による名場面集。合間に闘破の修行シーンを交えつつ、 戦闘シーンから日常パートまで、色々。突破も出てきた!
 ラストは、武神館で家族揃って組み手。
 麗がすっかり道場の置物として収まっているのですが、もしかして後妻の座でも狙っているのでしょうか?(おぃ)
 パコを巡る因縁の戦いには決着はついたが、人生も修行もまだまだ続く、と修練しつつ、家族それぞれをストップモーションで映して、 エンド。
 ナレーション
 「やがて、山地闘破は、戸隠流35代目を継ぐだろう。そして日本、いや、世界一の忍者になるだろう。頑張れ、 山地闘破! ありがとう、世界忍者、ジライヤ」
 −完−

 ……て、あれ? 逃げた人達(紅牙&烈牙)、スルーですか(笑)
 もはや毒斎様も、倒さなくても良かったのではレベル。
 場合によっては最後に紅牙さんが毒斎様をかばいに現れて、毒斎様引退宣言で大岡裁き、なんて可能性も考えていたのですが、 エンディングでにあれだけ尺取ったのに、全く触れられませんでした(^^; 紅牙&烈牙が素顔状態で街を歩いているカットが入るとか、 そういうのも無かったですし。らしいといえば、らしいですけど。

 クライマックスは今ひとつ盛り上がりきりませんでしたが(正直、1年間の物語としての完成度はそれほど期待はしていなかったけど)、 全編、バラエティに富んだ展開で、楽しい作品でした。多彩な 変態 世界忍者達も思った以上に使い込み、 最後まで乱戦にこだわったのは実に良かった所。その分、ケイと麗辺りはちょっと割を食いましたが、 詰めきらないなりに“家族”をテーマとして描く事にこだわっていていたのも評価したい。
 初期の流れを見ると、ダブルヒロイン(ケイ&麗)が成立しなかったのは惜しかったですが、 肝心の闘破が男友達と日本刀にしか興味ないから仕方ない。
 最終的に惜しかった所は幾つかあって、クモ御前参加後の妖魔一族の内部抗争的な展開は、広がらず。 それほど期待はしていませんでしたが、広がったら面白かったのに。
 あと、ジライバスターの存在感の消滅。
 それと、スミス博士。スミス博士は、もう一度、拾って欲しかった。最終戦で、 しれっと世界忍者達と一緒に助けに来たら最高だったのに(笑)
 全く期待せずに見始め、1話のあまりの面白くなさにリタイアしようかと思ったのですが、その後盛り返し、楽しく作って、 楽しく見せてくれた、そんな作品でした。
 残りは総括で。

→〔総括へ続く〕

(2013年6月8日)
(2018年1月14日 改訂)
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