■『世界忍者戦ジライヤ』感想まとめ7■


“若さはハリケーン ギラギラハリケーン
吹き荒れろ君も 思い切り自由に”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『世界忍者戦ジライヤ』 感想の、まとめ7(37〜42話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ8〕  ・ 〔総括〕


◆第37話「2300年生きた男 宇宙忍デモスト」◆ (監督:岡本明久 脚本:高久進)
 「金剛山で何かが起ころうとしている予感する」という麗破の言葉を受け、もう一度、磁雷神を調べてみようと金剛山へ向かう闘破達 (闘破、ケイ、学、麗破)。
 一応、「結局パコとはいったいなんなのか?」という家族会議はあったものの、 どうしようもないので磁雷神は金剛山へ放置してきた模様。
 カラス天狗の盗み聞きで一行を待ち構えた妖魔一族は、爆弾矢で闘破達をまとめて吹き飛ばそうとするが、 通りすがりのフクロウ男爵に阻止される。
 「毒斎、相変わらずダーティな手を使うな」
 相変わらず無駄に強くて格好いいフクロウ男爵は妖魔一族に囲まれても物ともせず、ジライヤ達も現れて妖魔一族は撤退。 「私に磁雷神を拝ませてくれ」というフクロウ男爵を伴い、金剛山へ向かう闘破達は、道中で地鳴りと共に開いた縦穴を発見。 中を調べてみると、奥に宇宙文字の刻まれた奇妙な像を発見する。
 『これより先、なんびとも近づくべからず。宇宙の邪悪なもの、眠る』
 果たしてその言葉の意味はなんなのか……?
 洞穴の奥の空間で、謎の金属製の鎖を発見する闘破達。まるで何者かが磔にされていたような場所であったが、そこは無人。 磁雷神出現の際の地震で何かがあったのかもしれない、と外に出て周囲を調べてみる5人。
 フクロウ男爵が鎖を見て、
 「地球上にはないスペースメタルで出来ている」
 とか断定するのですが、男爵の表の顔は多分、貴族で馬主で科学者とか、そんな感じ。
 のーぶれいすおぶりーじゅ!
 周囲の探索中、首無しの銀色の怪人の攻撃を受ける学。気絶した学を見つけた闘破達、「これから、 恐ろしい事が起こりそうな予感がするわ」という麗破の言葉も有り、ケイと学は武神館へと帰される。
 その頃、イライラ毒斎様と社員一同、首無し銀色怪人と遭遇。
 刀さえ溶かす溶解手裏剣を放つその怪人の正体は、世界忍者・宇宙忍デモスト!
 世界なのか、宇宙なのかよくわかりませんが、そういう表記だから仕方が無い!
 反重力ビームで烈牙をあしらったデモストは、「毒斎に告ぐ。おまえが血眼になって探し求めているパコは私のものだ。 誰にも渡さん」と言葉を残し、姿を消す。
 首無しの胴体と、小型UFOのような頭部が合体するというデモストは、その銀色もあいまって、宇宙刑事の亜流っぽい雰囲気 (微妙にクールギンぽいとも言える)が漂うのですが、デザインとしては微妙に格好いいとも言いがたいのがポイントか(^^;  各種ビーム技の他、演出を見る限りでは、(短距離の?)ワープ能力も持っている模様。
 更に山道を突き進む妖魔一族は、赤いクモと遭遇し、クモの糸による攻撃を受ける。
 「情けなや。それが妖魔一族の頭領、鬼忍・毒斎殿の姿とは。うっふははははは」
 そこに現れたのは、特撮界のリーサルウェポン・曽我町子様演じる、妖忍・クモ御前!
 「久しぶりだな、クモ御前。いつ見ても艶やかで惚れ惚れするぞ」
 外国で優雅に暮らしていたというクモ御前が毒斎の前に姿を現した理由、それは
 「妾は、お前さんのお尻を、あ、叩きにきたのでありんす」
 「なに?」
 「風の噂で聞いた所では、ジライヤとかいう小僧ひとりにてこずって、まるで形無しとか」
 「ぬぅぅ」
 視線を逸らす毒斎様(笑)
 しかし、今日の毒斎様は、ここから唐突に高笑い。
 「ふふぅ、ふふはははははは、今までの俺は、敵である戸隠流を欺く為の仮の姿よ」

 遂 に 錯 乱 し た

 「敵の力を知り、己の力を知る、それが忍法の奥義だ。クモ御前よ、妖魔一族頭領、鬼忍・毒斎の力、 まだまだ衰えてはおらん、見よ。はいやっ!」
 突然、気合いを入れた毒斎様、マックスハート鬼忍ビームで木や岩を木っ端みじん。
 ……こ、これはまさかの、自分が「弱い」と思い込んでいる内に、本当に弱いつもりになってしまった天才忍者?!  或いは、本当に2話以降の毒斎様は影武者で、山の中を歩いている内に、本物と入れ替わったのでしょうか。もしかしたら、 クモ御前の登場自体が、暗示解除のスイッチだったのか。
 「それでこそ、鬼忍・毒斎殿。んふふふふふ」
 「はははははははははっ!」
 銀座のクラブの雰囲気全開で、笑い合う毒斎とクモ御前。
 社長、娘の前、娘の前!
 一方、金剛山を探索するジライヤ達の前に再起動した磁雷神が姿を見せ、ジライヤはそれに乗り込む。 この時ジライヤが何か声を発しているのですが、聞き取れず。ジライヤが乗り込むと磁雷神の目が緑に光り輝き、 その光の当たった場所へと向かうジライヤ達。しかし同じく光を見ていた毒斎達と遭遇戦に。 ジライヤを先に行かせてフクロウ男爵が妖魔一族を蹴散らすが、
 「俺はこれまでの俺と違うぞ、見ていろ」
 アルティメット毒斎様の剣戟が一閃、交錯の瞬間、画面が真っ暗になって電光が走るというエフェクトで落馬したフクロウ男爵に炸裂する爆破忍法。 毒斎はジライヤを追い、男爵は烈牙と紅牙にとどめを刺されそうになるが、麗破が助けに駆けつける。
 何の為に出てきたのかと思われたフクロウ男爵でしたが、まさかの、毒斎様のかませ犬。
 まあ、ジライヤはこの後の予定が入っていて、父さんに勝たせるのにはさすがに覚悟が居る以上、作中の格で言うと、 丁度いい踏み台ではあったと思います。
 先を行ったジライヤの前に現れる、宇宙忍デモスト。
 「私は2300年の間、おまえを倒す事だけを考えて、暗く冷たい洞穴の中の処刑場で生きてきたのだ」
 地下の洞穴に封じられていた宇宙の邪悪、それこそがデモストであった。ジライヤの祖先である宇宙人によって封じられていたデモストは、 その復讐としてジライヤに牙を剥く!
 「おまえと私は、生まれついての宿敵だ」
 炸裂するスペースサンダーを受け、吹き飛ばされるジライヤ。
 パコ争奪戦に、新たなる闇、迫る!

◆第38話「奇っ怪!! 百の顔の妖魔一族」◆ (監督:新井清 脚本:高久進)
 「ジライヤ、これから俺の本当の力を見せてやる」
 雌伏37話、デモストに吹き飛ばされたジライヤの前に現れた、アルティメット毒斎様のマックスハート鬼忍ビームが迸る!  大ピンチに陥るジライヤはなんとか逃げ出した所を更にクモ御前に襲われる。
 「よく聞けジライヤ。妖魔一族は、これまでの妖魔一族とは違うのじゃ」
 危地に陥るジライヤだったが、麗破とフクロウ男爵が助けに現れ、クモ御前は撤退。傷を癒やす3人の前に、 ケイ達から連絡を受けたのか、父さんが姿を見せる。
 哲山によると、クモ御前は、クモと人間の化身(妖怪仙人の類い?)。かつてボードの半分を奪って戸隠流を出奔した毒斎が、 共に妖力を磨いた女忍者であった。「まさによこしまな考えをいだく女忍者」……って、父さんもしかて、 「邪」と「横縞(※クモだけに)」でこっそり洒落を入れていますか?
 そんなクモ御前と臨時会議室で語らう毒斎様。
 「昔は一緒に暮らした仲だ。おまえの動静はいつも気にしていた」
 「まだ妾に関心があるのかえ、毒斎殿」
 毒斎様、満更でも無い反応を返しそうになり、娘の視線に慌てて咳払い(笑)
 クモ御前に反感を募らせる紅牙と烈牙であったが、
 「三下はすっこんでおじゃれ」
 「三下だと? いくらクモ御前とはいえ、暴言は許せん!」
 と烈牙が刀を抜くも、カラス天狗に止められる。カラス天狗がやたら積極的に烈牙を止めているのは、同じ妖怪同士(?)、 クモ御前の実力がわかるから、とか?
 しかしまあ、烈牙は三下以外の何物でも無いわけですが、人間は本当の事を言われた時ほど怒るという、 あれです。
 哲山と共に地下洞穴へ向かう闘破達。哲山は洞穴の中で処刑場に籠もっていた妖気を切り裂き、地上で4人の前に姿を見せるデモスト。
 「見たか、2300年に渡る私の妖気、執念を」
 復活したデモストの目的、それは
 「一つは、私を宇宙から運んできたパコを手に入れる事。もう一つは、ジライヤを処刑する事だ」
 デモストのビームを受け、今までで最高の早変わりを披露する闘破/ジライヤ。磁光真空剣の斬撃を受けるデモストであったが、 平然と復活すると「また会おう」と姿を消す。
 どうやら頭部が本体っぽいですが、出てきてはすぐに帰って行くのは時差ボケか何かでしょうか。
 「うーん、テリブル、恐るべき敵が現れた」
 ここで、父さんの情報と、デモストの発言から、状況を整理。
 どうやら古代、パコに乗って地球に飛来した宇宙人は二人。その内の一人――闘破達の祖先――が宇宙の超文明からの平和大使であり、 もう一人がデモスト。デモストは地球で変心し、パコの中身を横取りしようとして同僚に捕まり、 刑罰として2300年を暗い洞窟の中で磔にされていたのではなかろうか。
 宇宙刑法で死刑に出来なかったのかもしれませんが、あんな人をとどめ刺さずに放置しておくとか、 地球人にはえらく迷惑です。
 その時、妖魔キャノンで磁雷神を砲撃する妖魔一族。棒立ちの磁雷神は再び地下へと姿を隠す。
 「磁雷神を作ったのは、いったい誰なんだろ」
 「おそらく、聖徳太子だ」

 え?

 そんな時代に巨大な磁雷神を作れたのかと問う麗破に対して、「何百年後に奈良の大仏が作られているから不思議ではない」 と返す父さん。

 父さぁぁぁぁぁん?! 奈良の大仏は、動いて戦いませんよ?! ………………………………てあれ、 もしかして、この世界では、奈良の大仏は人が乗って動くのだろうか?

 忍者の世界では、当たり前?

 なにぶん『ジライヤ』世界なので、奈良の大仏が京都忍者の最終秘密兵器、 という可能性は否定できません。
 とにかく、デモスト、そして妖魔一族の動向をこれまで以上に注視していこう、という事になり「私も陰ながらヘルプしよう。 シーユーアゲイン、ジライヤ」とフクロウ男爵は去って行く。
 その頃、磁雷神の撃破に失敗した妖魔一族でも、今後の方針が話し合われていた。
 「あいつの軍門に降ると良い」と、デモストに頭を下げる事を提案するクモ御前に対して怒りを見せる紅牙を、 「わざと宇宙忍デモストの軍門に降ったフリをしろ、と言っているのだ」とたしなめる毒斎様。
 「それでは、妖魔一族の誇りが!」
 「甘いぞえ紅牙、忍者には誇りなどいらん」
 ……えー、そもそも、妖魔一族に、一体いつ誇りがあったのか。
 あなた方、いつだって、命>金>プライドだったじゃないですか。
 真意を見せず、あらゆるものを裏切ってこそくノ一……クモ御前はもう一つの姿、「裏のクモ御前」(完全に別人に変身)の姿を見せる。 クモ御前はその強力な妖術により、表と裏、二つの姿を使い分ける事が出来るのであった。
 クモ御前に女忍者の心得を説かれ、色々考えてしまう、紅牙さん。
 「烈牙、おまえクモ御前の事をどう思う」
 クモ御前の事を信用できないと語る紅牙さんですが、騙し騙されはいつもの事なので、どちらかというと、 父の女の影が気になって仕方ない辺りが、凄くいい(笑)
 語られる可能性は非常に低そうですが、こうなってくると、毒斎様の奥さんがすっごく気になります(笑)
 何を言っても無言の烈牙に不審を抱く紅牙、そこへ現れる、もう一人の烈牙。紅牙が今まで愚痴っていた烈牙は、 なんと麗破の変装だった!
 「おまえたちの企みは、残らず聞かせてもらった」って……え? どれが、企み?
 少なくとも紅牙と烈牙が二人でしていた会話の中身って、クモ御前への愚痴だけなんですが。
 逃げる麗破だったがクモ御前に捕まり、毒斎から麗破の変装に気付かずべらべら喋った事を叱責され、反省する紅牙さん。
 「紅牙が生まれ変わる為に、生け贄として、貴忍・麗破を斬ります」
 だが毒斎はそれを押しとどめ、クモ御前は麗破を人質に闘破を呼び出す。そこまでが最初から、二人の計画通りだったのだ。
 なんだかんだで実に仲がいい、毒斎・紅牙の父娘。そもそもは山地一家へ対応する形での娘設定だったと思うのですが、 ここまで親子仲が良くなってしまったのも、何とも面白い。その為に、毒斎−紅牙のラインが太くなりすぎて、 烈牙のなんとも言えない感が増してしまいましたが。烈牙は素直に兄(息子)設定でも良かったとも思いますが、 それだとくどくなりすぎる、という判断だったのかなぁ……? 紅牙さんとラブ設定つけるという必殺技もあるのですけど、 ここまで一切、そんな気配無しに来てしまったしなぁ(^^; 烈牙は、 忠臣〜裏切り者まで展開次第で自在に使える便利ポジションではあったのですが、このままチンピラ道を邁進する事になるのか。 折角ここまで生き残ったので、割と最終盤の使い方には注目していたり。 ……まあ適当にジライヤにずんばらりんされてしまう気もしますが!
 麗破の救出へ向かったジライヤはクモ御前の蜘蛛の巣の術に囚われるが、哲山の鬼火の術が蜘蛛の巣を焼き払い、クモ御前は撤退。 父さんがマンガっぽい忍術を使ったのは、たぶん劇中初。父さんから鬼火の術について聞いたジライヤは、社員を帰し、 ジライヤと決着宣言のアルティメット毒斎様と一騎打ち!
 マックスハート鬼忍ビームを鬼火の術で相殺したジライヤであったが、
 アルティメット毒斎様、強し!
 なんと、正面からの一騎打ちでジライヤをたたき伏せるアルティメット毒斎様。死亡フラグ積みまくりなのが凄く心配ですが、 追い詰めたジライヤに向けて刀を振り上げ、そして、言 っ て は い け な い 台 詞 を口にしてしまう!

 「勝負あったぞ。ジライヤの命、この毒斎がもらった」

 それは駄目ぇぇぇぇぇぇ!!
 毒斎が刀を振り下ろした瞬間、プロテクターガードでそれを受け止めたジライヤ、肉を切らせて骨を断つ一撃で、 閃いた磁光真空剣が毒斎の鬼面を断つ。よろめく毒斎へ向けて放たれる磁光真空剣、だが、鬼面の下にさらけだされた毒斎の素顔に、 ジライヤの動きが止まる。その素顔は――

 山地哲山?!

 動揺したジライヤが躊躇ったその隙に撤退する毒斎?様。
 おおぅこれは、物凄いネタを突っ込んできた……? と思ったら直後のシーンであっさり、
 「オヤジ、どういう事だ」
 「幻術だ」
 で済まされてしまいました(笑)
 まあ、洒落ならともかく、さすがに本気でやるのは物語に無理が出すぎますか(^^; 哲山と毒斎が同一人物だと、 “半分に分かれたボードを一つにする”という、そもそもの争いの目的自体が無用だった事になってしまいますし。ただ、 お面トリックの一つの案として、全く考えなかったわけではないネタ、という気もします。このタイミングで使った事も含めて。 それにまあ、「幻術だ」を信用していいとも限らないしな……。
 2300年の眠りから目覚めた宇宙忍デモスト、アルティメット毒斎、そして妖魔一族の助っ人クモ御前……パコを巡る争いは、 ますます苛烈になっていく! と、盛りだくさんで凄かった。
 最終クールに向けて予想外にしっかりと盛り上げてきて、面白かったです。

 アルティメット毒斎様は2話で粉砕されてしまいましたが。

 …………ま、まあ、あれだけ死亡フラグを積み重ねた上で生き残った事そのものが凄いと思いたい。思いたいけど、次回以降、 どーいう扱いになるのか(笑) 「更に真の俺」とか出てくるのか。そーいえば、真面目に検証はしていないのですが、 毒斎様って一人称が「儂」の時と「俺」の時があって、まず間違いなく脚本の統一が取れてないだけだと思うのですが…… 一人称できちっと戦闘力が変わっていたりしたらどうしよう。
 そんなアルティメット毒斎様の分も含め、リーサルウェポン・曽我町子様は出てくるだけで卑怯な気配すら漂いますが、 その圧倒的な存在感、完全に妖魔一族を食う勢いで登場した、クモ御前の活躍は期待大。 もはや最終的に毒斎を裏切る展開しか思い浮かばないのですが、妖魔一族も曽我町子に潰されるなら仕方ない。 ……や、まあ、どうなるかわかりませんが。相手が悪いというか何というか。毒斎様ってなんというか、敵運(?)が無い。
 デモストだけでも話を書けそうな所を、合わせて妖魔一族の方もテコ入れしてきたのは、盛り上がって実に良かったです。
 ただまあ、何しに出てきたのか磁雷神、よく考えると磁雷神の目が光った場所を調べていない、 とハッタリだけ仕掛けて拾っていない部分もあるのですが(^^;
 砲撃受けてまた引きこもってしまった磁雷神は、いったい全体、残り1クールでどのぐらいの出番があるのやら(^^;  まあここまで来て、ラストに無理矢理ロボット戦を入れる展開を毎回やられても困るので、これはこれでホッとしていたりもするのですが。
 ところで、ここの流れ、陣幕で会議→磁雷神を砲撃→陣幕で会議、というのは演出としてかなり不自然 (動きを見せた後でまた全く同じ場面設定で会話しているとか、まずやらない演出)で、本当は一つのシーンだったのを、 辻褄を合わせる為に二つに分けたのではないかという気がします。
 もしかしたら、最初のシナリオ段階では磁雷神への砲撃シーンが無くて、撮影中に「あれ? 磁雷神出たまま?」という話になって、 急遽付け足したシーンなのではないかと。あの砲撃シーン自体が、磁雷神が隠れてしまったのに毒斎様のリアクションも皆無、 というとってつけた感じが満載でしたし(^^;
 あと、最後に毒斎が毒蛾に変化して逃げ去ったのは、単なる目くらましなのか、クモ御前同様に、もはや半妖と化しているのか。 使っても使わなくてもいい伏線の類だとは思いますが、ちょっと気になるところ。
 いよいよ『ジライヤ』も残り1クール、この勢いで突き進んでくれるといいなぁ。

◆第39話「毒グモ爆弾!! 吉か・凶か?」◆ (監督:新井清 脚本:高久進)
 OPに磁雷神が追加。
 冒頭、リビングでの父子の会話。
 「闘破、今月も赤字か?」
 「ここんところ、あんまりバイトやらなかったからね」
 「おまえにいつも負担をかけてすまんな」
 「オヤジは余計な心配しなくていいんだよ」
 「せめて武神館に入門者でもあれば……」
 「くよくよしないで、明るくいこうよっ」
 家計簿とにらめっこの闘破に対し、新聞片手の哲山の切迫感の無さ(笑)

 父さん、どれだけ社会不適格者なのか。

 しかして父さんがどうして新聞を必需品にしているのかというと、社会情勢の情報収集というのもありますがそれ以上に、 3行広告などによる秘密任務の依頼をチェックしているのです。
 だが、黒いお金は香港ルートでロンダリングしてからでないと、家計には回せない……っ!
 一方、ジョギング中のケイと学は「忍者スクールオープン」という巨大な看板を目にし、覗きにいってみる事に。 そこでは裏のクモ御前(まだ正体は知らない)が、子供達を集めて忍術を披露していた。つかつかと前に進み出る、ケイと学。
 学「ここは何流だい?」
 ケイ「一手御指南、願いたいわね」
 凄く、タチ悪い感じです。
 弟妹が新興忍者道場に難癖をつけているとはつゆ知らず、今月の残り生活費をいっそ宝くじにでも注ぎ込もうか…… と邪念がよぎる山地闘破、「イージーな考えはいかん。汗をかいて働いてこそ尊いのだ!」と堅実な道を選ぶ(笑)
 ケイと学が帰宅した後、集まった子供達に選抜試験を行う裏クモ御前。不合格者は牢屋に捕らえられ、 合格者はカラス天狗スーツを与えられて子供カラス天狗部隊として編成される。
 「あんた達は、たった今から、妖魔一族のカラス天狗の予備軍よ。さあ、思いっきり暴れ、自分のパワーをためしなさい。 強いものにはご褒美あげるわ」
 何故か飛べるようになるのですが、スーツに妖力でも籠もっているのでしょうか。子供カラス天狗部隊は、 通りすがりの子供達を襲撃してお菓子を奪ったり、傍若無人。忍者スクールに対抗して戸隠流の生徒募集のチラシ (相変わらず達筆の闘破)を貼っていたケイと学がこれに行き会い、容赦なくしばき倒してその中身が子供達である事を知る。 更に、様子を見ていた紅牙達を発見し、連絡を受けた闘破は忍者スクールの調査へ向かう。それを見つめる、デモストの頭部。
 「武神館……この私の宿敵、ジライヤのアジト」
 そんなデモストに接触し、業務提携を図るアルティメッちょ毒斎様。しかし……2300年の虜囚の間に、 脳波の同調により人間の心を読み取る術を身につけていたデモストは、毒斎が裏切るつもりであるという真意をあっさり見抜いてみせると、 姿を消す。
 交渉が破談に終わったものの、何故かクモ御前と高笑いするアルティメッちょ毒斎様。……うんなんか本当に、 クラブのママの前で会社自慢するみたいになってきているゾ。
 スクールを調べに行った闘破は、子供カラス天狗部隊の攻撃を受ける。
 …………まあ、戸隠流も少年忍者部隊の育成しているしなッ!
 そして裏と表のクモ御前と接触。前回も思ったのですが、クモ御前は、むしろ一般人に偽装できそうなモードの時が“裏” という不思議仕様。そんな“裏”モードの得意武器はショットガン。
 果たして、妖魔一族の毒グモ作戦とは何なのか……? 道場へ戻った闘破だったが、 そこへすっかり洗脳された子供カラス天狗軍団が乗り込んでくると、手榴弾を掲げて 磁光真空剣とジライヤスーツの引き渡しを要求。要求を拒否すれば、人質になっている子供達が死ぬぞ、 との脅しに刀とスーツを渡す闘破だったが、それに気を取られて油断したところを、背後から ジライバスターで一網打尽。
 かつては、「敵を欺くにはまず味方から」という言い分に反発していた事もあった闘破ですが、 そんな時代もありました。ああ、青春の日々は遠く彼方。
 連続家出・行方不明事件を追っていた麗破を交えたジライヤ達は、人質になった子供達が捕まる毒グモ作戦のアジトに突撃。 ジライヤがクモ御前を引きつけている間に麗破達が囚われの子供達を救い出す。
 「戸隠流正統派が助けにきた。もう大丈夫だ」
 学、しっかりCM。
 紅牙達は撤退し、クモ御前に苦戦するジライヤだったが、何とか退ける事に成功する。
 磁光真空剣の謎の反射攻撃でなんとか撃退、最後も残した爆弾に一杯食わされそうになる、 とクモ御前はさすがにかなりの強敵として演出されました。
 こうして子供達は無事に助け出され、学のCMの甲斐あってか、道場には多くの入門者がやってくる。
 これで財政問題も解決……かと思いきや、
 「みんな子供達ばかりだから、オヤジ……月謝はとれないぜ」
 というのは、らしくていい所。
 まあ、当面の生活費には化けなくても、立派な戸隠流の凶手として洗脳する事で のちのち莫大な富を生むのです。

 ジーク・哲山!!

 忍法の奥義とは、先の先を読んで、未来に向けて投資する事。
 コネクション、これが大事。

◆第40話「哀しみのジャンヌ」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:杉村升)
 OP、キャスト表記の
 鉄忍ガメッシュ002
 だけで笑えるのはズルい(笑)
 ブラックセイバー洗車中の山地兄妹は、カラス天狗に襲われていた娘を助ける。「この近くに、テツザン・ヤマジという人の家はないですか?」 と訪ねる娘の名は、世界忍者・宝忍ジャンヌ(凄い名前)。カナダで星占いを職業としている世界忍者であった。
 ある日、占いで「ブラジルの日系人にあってパコの秘密を聞け」という卦を読んだジャンヌは、服部半蔵の子孫というある人物と出会い、 徳川家康がパコを掘り出していたという情報を得る。しかし家康はパコの力を手に入れる事ができず、それを甲府の金山に封印。 ジャンヌはその、パコの隠し場所とされる古地図を手に、山地家を訪れたのであった。
 いったいこれは、何者かの罠なのか、歴史に隠された真実なのか……?
 とりあえずジャンヌを匿い、哲山が裏を取ると、確かに家康が甲府の金山に出向き、直後に閉鎖されたという記録がある事が判明。 ジャンヌへ対する疑惑は抱きながらも、彼女の事を信じたい闘破は、ジャンヌと一緒に甲府へと向かう事になる。
 一方……
 この情報を入手した毒斎の元に姿を見せる、水忍シルバーシャークと、化忍パルチス。 金に目がくらんでケチな密輸グループと手を組んだばっかりにずんばらりんされたと思ったパルチスだが、 「俺は変幻自在、不死身だ」とまさかの復活。
 そしてパコを狙って来日した鉄忍ガメッシュ002は、宇宙忍デモストと接触し、手を組む事となる。
 もともと鉄忍は登場時点で「一族」と明言されているので、一族のナンバー2がやってきた、という事なのでしょう。
 甲府に向かう闘破とジャンヌ……相手が世界忍者という事で、闘破、容赦なく野宿を敢行。
 「どうしたの、元気ないじゃない」
 野宿が気に入らないんだと思います。
 闘破の作った食事を見て、戦災孤児だった自分の境遇、今も内乱に荒れ果てた祖国への想いを吐露するジャンヌ。 持ってきた話は如何にも怪しいが、しかしジャンヌは悪人には見えない……と迷っていた闘破、ころっと転がされる。
 翌朝、ブラックセイバーの中で眠っていたジャンヌ(闘破は外で寝袋)は、シルバーシャークの襲撃を受けてさらわれそうになるが、 そこへ駆けつけた風忍・馬風破によって救われる。退却したシルバーシャークは、ガメッシュ002による手裏剣と落とし穴のコンボ攻撃を食らってリタイア。
 古地図を巡って競い合う幾つもの忍者集団……実に忍法帖めいて盛り上がって参りました。
 ところが、馬風破は馬風破で、「ジライヤは騙されている。この女は信用できない」と、捨てられた古女房 みたいな事を言いながら、ジャンヌを抹殺しようとしていた。
 そこに割って入ったのは……登別出張から帰ってきた雷忍ワイルド。
 「馬風破も大人げないぞ」
 って、友達のように話しかけるのですが……たぶん初対面。
 まあ、ワイルドだから仕方が無い。
 ワイルドは、自分はジャンヌを信じているわけではないが、「しかしジライヤが信じるっていうんだから、それでいいじゃないか」と 相変わらずの適当ぶり 熱い友情パワーを発揮。馬風破は、「何があっても知らないんだからね!」みたいな感じで ジャンヌを解放して走り去って行く。
 「あいつはあいつで、おまえのこと、心配してるんだよ」
 ……って、馬風破、パルチスの変装だと思っていたのですが、素だったのか(^^;
 声も違うし、変装の伏線だと思っていたのに。
 先日も唐突に学を助けに現れましたが、本格的に何をしているのでしょうか。 サイボーグなので飲まず食わずでも生きていけそうだからバイトに忙しいとかいうわけでもなさそうですし、毎日修行しながら
 「今ならジライヤに勝てる! ……いや待て、ジライヤもパワーアップしているかもしれないから、もうちょっと修行しよう。 うん。あと一週間……いや二週間……念のために、もう3日…………よーし、今日こそジライヤに勝負を、いや待てよ?  今日の闘破は道路工事のバイトだった筈。疲れている所を襲撃して勝ってはどんな言い訳をされるかわからない。 闘破の体調がベストなタイミングを狙おうじゃないか。そうだ、再来週なら確かスケジュールに空きがあった筈だし、よーし、 このタイミングで今日こそ挑戦するぞ、って何どこの馬の骨ともしれない女を信用してるんだよ、まったく、 俺が影からフォローするしかないな……」
 みたいな。
 ワイルドを加えた一行は地図の示す金山へと向かうが、シルバーシャークが倒れた事を知りパルチスと妖魔一族がそれを待ち受ける。 罠にはまり危機に陥るワイルドを救いに現れる馬風破、そして世界忍者の激しい乱戦に「みんなまとめて地獄に送ってやる!」 と切り込んでくるガメッシュ002。
 ジライヤ、ワイルド、馬風破、紅牙、烈牙、パルチス、ガメッシュ002
 という、驚異の7人バトルロイヤル。
 「みんな戦え! 戦って自滅しあうがいい!」
 ――そしてその戦いを遠くから見つめるデモスト。
 混戦の末、パルチス&妖魔一族は撤退。馬風破はガメッシュ002を川に叩き落とすが、直後、 自身もどこからともなく飛んできた手裏剣を受けて激流に飲み込まれてしまう。現場に残されたのは、見た事の無い手裏剣。 ジライヤとワイルドは馬風破の無事を信じ、身を隠していたジャンヌを連れて、再び先へ急ぐ。
 その頃、ICPOに裏を取っていた麗により、ジャンヌが話を聞いたという服部半蔵の子孫は、2年前に死んでいたという事が判明する。
 やはりジャンヌは嘘をついていたのだ。麗をともない、急ぎ闘破のもとへと急ぐ哲山。だが毒斎の待ち伏せをワイルドに任せ、 金山の奥へと入り込んだジライヤは、忍者装束に変身したジャンヌの不意打ちを受けていた。馬風破を倒した手裏剣、 そして謎の光線技ダイヤモンドシャワー。追い詰められるジライヤだが、その時、復活した馬風破が駆けつけて窮地を救われる。
 ジャンヌは祖国の子供達の為に、金でデモストに雇われ、ジライヤを金山へと誘い込んでいたのであった。 3人は金山内部に閉じ込められそうになり、馬風破はなんとか脱出に成功するが、怪我をしたジャンヌを気遣ったジライヤは脱出に失敗してしまう。
 「はははははは、どうだ、洞窟に取り残された気分は」
 そこへ姿を見せる(イメージ映像?)デモスト。全ては、デモストの意趣返しを兼ねた計略だったのである。
 「パコの在処を知るものはもう、磁雷神しかいない」
 そして磁雷神を操れるのは現在、ジライヤのみ。脱出したければ磁雷神を呼び出せ、というデモストとの取引をジライヤは拒否し、 デモストは洞穴内部に毒ガスを放つと去って行く。洞穴の壁は宇宙忍法によるものなのか、磁光真空剣でもびくともしない。 このままでは二人とも毒ガスの餌食になってしまう……自分を最後まで信じ、裏切られてもなお一緒に脱出しようとしてくれたが故に、 命の危機に陥ったジライヤを救うべく、ジャンヌは最終自爆忍法を発動。己の命を犠牲にして洞穴の扉を破壊し、 ジライヤを外へと脱出させるのであった。後には、いつも身につけていた首飾りだけを残して……。
 中盤、忍法帖的バトルロイヤルで盛り上がって、次々と参加忍者が減っていく展開だろうかとワクワクしたのですが、終わってみれば、 非常によくある、単発ゲストヒロイン悲劇ネタ。
 忍法帖的にも、盛り上がらず。
 “お約束”を否定する気はありませんが、
 〔偽情報をもたらす→重い事情がある→裏切る→主人公の思いに打たれる→自爆〕
 というプロットは、さすがにもっとひねらないとまずい。あまりにひねりがないというのもありますし、ジャンヌの事情が彼女の “語り”だけで済まされて、視聴者の共感できる映像で表現されなかったのも痛い。こういう背景事情は、 劇中で描写されなくてはいけません。
 ひねり部分の要素として、世界忍者を大量出演させたのでしょうが、初参加の杉村升が全く各忍者を使いこなせず(^^;
 馬風破もワイルドも、この使い方では勿体ない。
 これなら登場忍者数を減らして、スポットを当てる忍者をジャンヌ+2人ぐらいに限定した方が良かったと思います。
 ガメッシュは川落ちとして、シルバーシャークはこの話でリタイアしたとしたら、酷すぎなのですが…… ジライヤが殺る気の時の磁光真空剣を受けて生き延びたのって、実は毒斎様除くと、シルバーシャークだけなのに。
 また、別に変化の術が活かされるわけでもないのに、凄い適当にパルチスを復活させてしまったのは何故なのか。 さすがにこれは後で何か使うと思いたいですが、今回に限ってはさして意味のない雰囲気数合わせで、よろしくない。
 なお外部の戦闘は、毒斎率いる妖魔一族vs雷忍ワイルド&脱出した馬風破、になった所に麗と哲山が駆けつけ、
 「やめろ毒斎、パコはここにはない! これはジャンヌの罠だ!」
 「なに?」
 「無駄な争いはやめろ!」
 の一喝で、妖魔一族が撤退した模様。
 説得に応じたというより、単純に戦力の問題、多分。
 物語としては、「パコの在処を知っているのは磁雷神」という、非常に重要な情報がデモストの口から語られました。 ……目の光ったところ、まだ調べてないしなぁ(笑)
 あと前回今回と、割と無理矢理めに麗が登場しているのは、最終盤へ向けて存在感を増す為か。

◆第41話「磁光真空剣v.s暗黒剣」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
 冒頭から、直接対決で斬り合うジライヤとデモスト。一進一退の攻防だったが、デモストの隙を突いて、ジライヤの斬撃が閃く!
 「磁光真空剣・真っ向両断!」
 デモスト真っ二つ?!
 ……夢でした。
 …………デモストの(笑)
 高久先生、このネタは、去年もやったと思います!
 ドリーム対決に敗れたデモストは、ジライヤの持つ磁光真空剣こそ脅威であると改めて認識し、かつて自らが手にしていた愛刀・ 暗黒剣を思い出す。しかし暗黒剣は、2300年前、デモストが逮捕された際にジライヤ先祖によっていずこかへ封印されていた。 だが、暗黒剣はそう簡単に処分できるような代物ではない……おそらくこの地球上のどこかに今も眠っている筈。目覚めたデモストは、 ジライヤを確実に葬り去る為に、暗黒剣を探し続けていた。
 「暗黒剣よ、どこに居るんだー」
 遠く地平線の彼方へ向けて叫ぶデモスト。
 ……なんか、圧倒的な悪役だった筈が、ちょっぴり愉快なおじさんになってきたぞ(笑)
 その頃、紅トカゲ@刀剣マニアは、落人伝説の刀を求めて、ある村を訪れていた。そこはダムの建設によって水没する事になっており、 既に無人であったが、村全体に重苦しい妖気が漂っていた。
 「なんだ、この胸騒ぎは……」
 廃屋を調べた紅トカゲは、誰も居ない筈の部屋にみなぎる殺気の元を辿り、壁に塗り固められていた一振りの刀を発見する。 それこそが、暗黒剣。その怪しい輝きに魅入られる紅トカゲ、人相が悪くなる(笑)
 落人伝説を追って辿り着いたという事は、ジライヤ先祖が適当に隠した暗黒剣がどこかの時点で発見されて、 人の手を渡り渡ってこの村に隠されていた、といった所でしょうか。おそらくデモストは元同僚の隠蔽能力を過大評価して、 難しい所を探しすぎたのかと思われます。
 紅トカゲによって暗黒剣が目覚めたのと時を同じくして、武神館の道場に警報装置が鳴り響くと、 磁光真空剣が自らセキュリティを解除して外へと浮かび上がる。そして独りでに鞘から抜けて、壁に突き刺さる磁光真空剣。
 「磁光真空剣は己の意思を持っている。生きていたのだ!」
 哲山の言葉を受けた闘破は、麗をともない、磁光真空剣の指し示す方向へとブラックセイバーを走らせる。
 助手席で道案内する日本刀(笑)
 一方、恒例の盗み聞きでこの怪現象を知った妖魔一族、「毒斎殿、もしかしたらパコの在処が」と、 ショットガン構えっぱなしの裏クモ御前の進言もあり、後を追う事に。
 このシーンでは、紅牙さんから父及びクモ御前への視線を意識したカットになっているのが素敵。
 すっかり暗黒剣の虜になった紅トカゲは、村にあった石臼を両断。石臼を斬っても刃こぼれしない名刀の切れ味に大満足。
 以前も鉄球試し切りしていましたが、どうしてこう、試刀がダイナミックなのか。
 「ジライヤを始末しろ」という剣の声に魅入られた紅トカゲは、磁光真空剣の導きにより村にやってきた闘破を見るや否や、 刀を抜いて斬りかかる。
 なんとかそれをしのいだ闘破、
 「紅トカゲ、俺たちは友達じゃないか! なぜだ、なぜなんだ。無益な争いはやめよう」
 しかしどう見ても闘破さん、後の先を狙って抜いていますが……身についた習性って怖い(笑)
 闘破は刀を納め、それに応えるかのように紅トカゲも刀を納めて無言で去って行くが、その持つ暗黒剣に反応する磁光真空剣。 二つの刀は自ら鞘から飛び出すと、空中で激しくつばぜり合い、となかなか面白いカット。 磁光真空剣がその剣に反応していた事を知った闘破は、紅トカゲを呼び止める。
 「待て、その剣を渡せ!」
 闘破さん、友達に命令する。
 「たとえおまえを斬っても、私はこの稀代の名刀を守る」
 刀の魔性に取り込まれた紅トカゲは煙幕を張ってジライヤ達を捲くが、裏クモ御前率いる妖魔一族と接触。裏クモ御前は、 やはりあの格好ではアクションしにくかったのか、パワードアーマーを装着。
 妖魔一族の力にするために、と暗黒剣を奪おうとするクモ御前以下だったが、 もともと素で毒斎様以外は軽く蹴散らす紅トカゲwith暗黒剣にあっさり撃破され、撤退。 追いついてきたジライヤと紅トカゲの戦いになるが、更にそこへ、暗黒剣の輝きに呼ばれたデモストが乱入。 デモストはジライヤと麗破を蹴散らすと、宇宙ビームで紅トカゲも倒し、遂に暗黒剣をその手にする。
 「私の暗黒剣、とうとう手に入れたぞ」
 ワープで一時退却し、川辺で暗黒剣をじっくり愛でる宇宙忍。
 「暗黒剣よ、会いたかった。もう二度と放しはしない」
 新しい刀剣マニアだった!
 追いすがる紅トカゲを切りつけたデモストは、簡単に殺さずに自分の味わった2300年の苦しみを思い知らせてやる、と姿を消す。 紅トカゲに何の苦しみを与えたいのかさっぱりわからないのですが、ここは紅トカゲを殺さない為に、 デモストを無理矢理に退かせた感じになってしまいました。
 とりあえずジライヤ先祖のお陰で、とんだ歪んだ復讐鬼が誕生してしまったのだけは、間違い有りません。 もう少し上手くやれば、刀への愛を通して友達になれたかもしれないのに……!
 遅れてやってきたジライヤは、ここまでのいざこざは水に流し、傷を負った紅トカゲを手当する。
 うーん、ジライヤ(闘破)はホント、紅トカゲに甘いなぁ。前回の公園での邂逅シーンが、ここまで影響を与えるとは、 思いませんでした。正面から堂々と道場にやってきた事で、「卑怯者」カテゴリから除外されたのも効いているのでしょうが。
 「紅トカゲ、顔が綺麗に戻っている」
 ここで流れ出す、なんかいい感じのバラード。
 暗黒剣の呪いを脱した紅トカゲ、自分はこれまで、刀に対するフェチズムでさんざん迷惑をかけてきた……と遂に反省。
 ただこの人の場合、ジライヤというより、世界各地に謝罪して回るべきっぽいですが。……しかし前回、 もはやこんなものがらくた同然、みたいな感じで、コレクションの一部、叩き折っちゃったしなぁ……。
 「何を言う、俺たちは、友達じゃないか」
 「友達、この私がか、ジライヤ」
 「俺たちは、心の通いあった友達なんだ」

 L・O・V・E! 刀LOVE!

 フェチズムは、国境も、殺意も超えて、人を結びつける力!
 ……にしても、1年間、色々な世界忍者が出てきたのに、“闘破の友達”はよりによって紅トカゲなのか(笑) いやまあ、 明言していないだけで、ライバル的世界忍者は闘破からすると皆、友達認識かもしれませんが、 一番熱く語り合った相手は、年齢不詳(たぶん中年)の刀剣マニア。
 「ジライヤ、おまえって、いいやつだな。いい友情に感謝する。さらばだ」
 紅トカゲ、戦線離脱。
 ……てまあ、この人、そもそもパコを狙っているわけでもなく、磁光真空剣も前回で諦めており、最終的には、 刀だけが友達→人間の友達ができて満足して姿を消した、みたいになってしまいましたが。ジライヤに対しては反省したけど、 一ヶ月ぐらい経ったら、「これからは両刃剣だよ両刃剣!」とか別のジャンルに移りそうな気もしないでもありません。
 それにしても、初登場回からして殺されてもおかしくなさそうだったのに、死にそうで死なずに、 最後まで生き延びた?という点では面白いキャラクターでした。作り手の中では、 “迷惑だけど悪意は無い”という位置づけだったのかもしれません。“悪意が無いので手段を選ばない”為に、 物凄くタチが悪かったですが(笑)
 紅トカゲを見送ったジライヤは、磁光真空剣に導かれて、デモストの元へ。今ついに、お互いの主の手の中で、 ぶつかり合う磁光真空剣と暗黒剣!
 水面に姿を映す演出だけかと思われた手前の水たまりに、火薬仕込んで爆発! は格好良かった。
 そして更に、打ち合う二つの剣が雷雲を呼び……

 まさかの大爆発

 近い、火薬近い。
 煙が晴れると、デモストの姿は消えていた。
 「デモスト……いつの日か……必ずおまえを倒してみせる! 俺には磁光真空剣、おまえというかけがえのない友がいる」
 ジライヤは勝利を、自意識を持っている事が判明した磁光真空剣に誓うのであった。
 紅トカゲで強調した「友達」を重ねたかったのはわかるのですが、なんかむしろ、
 あ……紅トカゲ……刀レベルの扱いなんだ……
 となってしまったよーな(笑)
 磁光真空剣が紅トカゲと同じ扱い、ではなく、紅トカゲが磁光真空剣と同じ扱い。
 ………………や、でも、闘破、凄く刀ラブだから、やっぱり熱い友情なのか?!
 とりあえず闘破は女の子と付き合ってみる事を真剣に考えた方がいいかもしれない。
 細かく家計簿つけていてやたら達筆で刀フェチの男子、てちょっと引かれるかもしれないけど。
 デモストは毎度の事ですが、撤退理由が不明瞭なのがちょっと苦しい所。ラスボス候補なので、 毒斎様のように“へたれだから”とするわけにはいかないのですが、毎度適当に現れて適当に消えすぎです。何か、 全力を出せない理由を最初に提示しておいた方が良かったよーな(「これまでの私は……」みたいな感じで、 後付けで何か設定しそうな気もしますが)。
 後やはり麗は、最終盤に存在感を増させたいようですが、無理矢理出してはいるものの、ほぼ役に立っていないのが困りもの。 こう見ると、存在感という点はともかく、物語のテンポと面白さとしては、中盤にかけて麗を無理に出さなかったのは正解でした。 ……まあ本当は、少ない出番でも存在感を出すか、出すなら無理なく意味を与えるようにしないといけないのですが(^^;
 次回、遂に哲山の妻ネタ!
 ここまで溜めてきたネタだけに、期待です。

◆第42話「さよなら!幻の母上様」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
 「次の日曜日、母さんの命日に墓参りに行こう」と子供達を集めた哲山は、学がある程度大きくなるまでは…… と無い事にしていた母親の写真を学に渡す。初めて見る母の顔に驚く学……一方、それを見ながら母の思い出を話し始める闘破とケイ。
 「俺なんかこの写真見るまで、母ちゃんの顔も知らなかったんだぞ。不公平だよ!」
 かえってこじれる。
 飛び出した学を追いかけた闘破とケイは、踏切で飛び込み自殺をはかろうとしていた?中年の女性を助ける。その容姿は亡き母――山地早苗に瓜二つであった……。
 夫と息子を事故で亡くしたという女性――松本秋子としばらく同居する事になった山地一家。秋子に顔も知らなかった母を重ねる学は大喜びするが、 彼女の正体は、祭忍・ギュウマ「二代目」の下忍であり哲山の妻そっくりの容貌を利用して山地家に潜り込んだのであった……。
 「父ちゃんとあのおばちゃん、本当の夫婦みたいだね」
 「学、私たちのお母さんは一人だけよ」
 喜ぶ学、その様子に複雑な思いを抱くケイ、気の緩む哲山。
 思いもかけぬ出会いにより、さざ波の起こる山地家。
 その頃、もう一つの家族では……
 「わかっておらんわ、ぷしゃあ」
 「ぷしゃあはよせ、よさんか!」
 ただれた二人がイチャイチャしていた(笑)
 それを見ながら、こちらでも、イライラする娘が一人。
 「父上も、御前にはだらしのないことよ」
 「まったく……」
 そこへ駆け込んでくるカラス天狗。
 「チャンスです!」
 「何事だ!」

 「哲山が浮かれています!」

 ↑今回、一番面白かった台詞(笑)
 カラス天狗の報告を受けたアルティメッちょ毒斎は、クモ御前に尻を叩かれている事もあり、パコを手に入れるべく動き出す。
 この流れで、妖魔一族とギュウマ「二代目」が連携していない事も判明。
 何も知らぬ山地一家は、秋子と共に地元の祭に。ギュウマ再利用が先にありきだと思いますが、一応、祭も繋がりました。というか、 祭がある所にしか出現できないのかもしれない、ギュウマ。期間限定、ギュウマ。或いは、近くで祭が行われていると、 能力に+補正されるのかもしれない、ギュウマ。正直、再利用されても盛り上がらない、ギュウマ(^^;
 祭を楽しむ5人。
 「ねえ、気を利かせようか。父さんもいつまでも一人きりじゃ、可哀想だもんね」
 子供達は祭の喧噪に紛れ、哲山と秋子を二人きりにする。
 ……うーん、折角、前半に面白そうな感情のもつれを置いたのに、Bパート入ったら急にケイちゃんがすっきりしてしまったのは非常に残念。 せめて闘破に言わせてケイちゃんがそれを飲み込むぐらいの流れにしてほしかったところ(闘破なら過去にも同様のネタ振りがあるので、 おかしくはない)。この台詞をもってケイの中で切り替えが出来たという事なのでしょうが、切り替えに至る流れが無かったのと、 面白い振りをあっさりと解決してしまって、勿体ない。
 ちなみに父さんは、3人の子持ち社会不適格者常に命を狙われているので、

 相手にも選ぶ権利があると思います!

 どれが一番のネックかは、人それぞれ。
 物陰から哲山の動向を窺っていた毒斎は、秋子が早苗に瓜二つである事に気付く。
 「まさか、あのような瓜二つの女をどこから……おまえたちはあの女を奪え。哲山は儂一人で倒す」
 相変わらず気ばかり大きいアルティメッちょ毒斎様、社員とともに部下を襲撃。
 素手でカラス天狗と紅牙、烈牙を相手にしない哲山であったが、

 快挙・毒斎様、哲山を傷つける!!

 さすがアルティメッちょパワー!
 包囲を抜けた秋子は主であるギュウマ「二代目」に助けを求めるが、「下忍にかける情けなど、はなから持たぬわ」 と冷たく切り捨てられてしまう。そこに妖魔一族が追いついてくるが、ジライヤ参上で妖魔一族は撤退。さらに哲山も駆けつけ、 事なきを得る。
 どうやら哲山、アルティメッちょ毒斎を撃退した模様……素手と手裏剣だけで。
 以後、アルティメット毒斎様は更に格下げされて、アルちめっちょ?毒斎様と呼称します。
 これ以上、下がらないと信じたい。
 道場に戻った哲山は、子供達に8年前の真実を語る……事故死だと教えてきた早苗は実は、 ボードを狙って道場を襲撃してきた毒斎の放つ手裏剣を哲山が弾いた、その流れ手裏剣で死亡したのだった。 早苗は戸隠流33代宗家の娘であり、そして毒斎が横恋慕していた女性でもある……毒斎が秋子の身柄も狙ったのは、 おそらくその為。
 「おそらく毒斎は、秋子さんに母さんの面影を見たんだろう」
 成り行きでえらく女々しい感じにされてしまった毒斎ですが、これ以上、娘の前で過去の女を振り返ってどうするつもりだったのか毒斎様。
 過去の真実は、ごくごくベタに展開。はっきりしている事実を時間軸で並べると、
 17年前:闘破の実の両親が死亡・闘破とボード、哲山に預けられる
 15年前?:ケイ生まれる
 8年前:学生まれる・毒斎、武神館を襲撃・山地早苗死亡
 ケイは仮に高校1年生として計算。毒斎の戸隠流追放はボードが哲山の手に渡って以降なので、17〜8年前の間。 紅牙さんが実の娘だと仮定すると、さすがに女子高生という事はないと思う(思いたい)ので、若くても闘破と同年代とすれば、 戸隠流に居た頃には既に娘がいた筈で、妻が居たのに早苗に横恋慕したのか、妻が病死などして横恋慕していたのか。 哲山と早苗の結婚のタイミングは不明ですが、闘破を預けられる前から結婚していたというより、 闘破を預けられる事になったのがきっかけ(最後の一押し)になって結婚した、という気がする、なんとなく。
 で、それとボードの存在が毒斎を完全に闇へと走らせた、と考えるとなんか綺麗に繋がる気はします。
 まあ、哲山と早苗はもっと前に結婚していて、毒斎は早苗にフられてから結婚して紅牙が生まれた、という可能性もありますけど。
 ……むしろこれは本格的に、毒斎妻が気になってきました(笑)
 父さん曰く「よこしまな考えを持っていた毒斎」なので、毒斎様は昔から性格悪かったようですが。
 過去の真実を聞き、毒斎へ怒りを燃やす学。
 「二度と毒斎なんかに手出しさせるもんか。母ちゃんの二の舞にさせない。おばちゃんはぜったい、俺が守るんだ!」
 この話を外で聞いていた秋子は、自分を守ろうとする山地一家の思いに打たれ、「学ちゃん、ごめんなさい」と、 自分がギュウマ「二代目」の下忍であり、パコの在処を探る為に潜り込んだスパイであった、と告白すると飛び出していく。 その秋子に更なるスパイ活動を迫るギュウマ「二代目」、それを拒否する秋子。そこに秋子を追いかけて学がやってきて、 ギュウマ「二代目」と戦闘に。初代同様に、雑魚忍者を呼び出すギュウマ「二代目」であったが、駆けつけたジライヤの敵ではなく、 磁光真空剣・真っ向両断で、あっさりずんばらりん。
 二代目、弱かった……。
 「パコのせいで、母ちゃんが死んだ。パコのせいで、おばちゃんも悲しい目にあった。パコなんか、パコなんか嫌いだよ」
 「でもね、学ちゃんに巡り会えたのも、パコのお陰と違う? そうでしょ。そう思いましょう」
 学の「かあちゃーん!」という叫びを背に、秋子は山地一家の元を去って行く。
 後に悲しく、しかし優しい、一時の思い出を残して。
 前半盛り上がっていたのに比べると、後半マイルドかつ簡単にまとめてしまった感じ。特に上述しましたが、 子供達の間の母親像の違い、みたいなものを活かせなかったは残念。私が扇澤脚本に設定しているハードルが高いというのもありますが。
 とはいえ裏を返すと、参加2年目にしてこのネタを任されるというのは、内部でも期待と評価が高い脚本家であったという事かもしれません。
 折角の亡き妻ネタだったので哲山中心の話を見たかったのですが、学の話になってしまったのも個人的には残念。……まあよく考えると、 子供達を置き去りにしてオヤジ話をしてどうするのか、という事でこの方が間違いなく正しいのですが(笑) ……かえすがえすも、 物語の中心が久保田vs鮫島(今作でいえば、哲山vs毒斎)にシフトして展開した『メガレンジャー』は何かがオカシカッタ。
 これで残す伏線は……パコの在処を除くと、本格的に毒斎様と紅牙さんの父娘関係だけか?(笑) クモ御前の登場後、 妙に紅牙さんにこれまでと違う角度からスポットが当たっているので、意外な展開があるのではないかと、ちょっぴり期待しています。
 次回、なんかこの期に及んで、凄いの出てきた。

→〔その8へ続く〕

(2013年5月9日,6月8日)
(2018年1月14日 改訂)
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