■『世界忍者戦ジライヤ』感想まとめ6■


“ジライヤ参上 正義の風を巻き起こし
ジライヤ参上 闘志に燃えて 参上!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『世界忍者戦ジライヤ』 感想の、まとめ6(31〜36話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕  ・ 〔まとめ4〕
〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕  ・ 〔総括〕


◆第31話「パリで見つかった武田信玄の愛刀」◆ (監督:岡本明久 脚本:高久進)
 本当に 伏線だった カトリーヌ
 パリで発見された一振りの日本刀・信虎。それは、武田信玄の愛刀と伝えられる名刀であった。
 そのニュースを知って動き出したのは、パリはルーヴル美術館近郊、モンマルトルの丘にアジトを構える刀剣マニア、異形忍・紅トカゲ。
 コレクションの刀に囲まれて新聞に目を通す紅トカゲ、頭巾に似合わない、テーブルの上のワインがお洒落。
 ところが、信虎が納められたパリ東洋美術館では、一足早く、警備員に変装した化忍パルチスが信虎を盗み出していた。
 「オレはこの信虎を高値で売って、贅沢に暮らすのさ」
 美術館の外で、遭遇する二人。
 「信虎を渡せ」
 「おまえなんかに渡してたまるか」
 お互いの利益は一致しているのだから……その人に売れば?
 パルチスは逃走、更に謎のくノ一の姿を見た紅トカゲは、信虎を追って日本へ向かうと、武神館を訪れる。闘破に対し、 「信虎が発見されたと耳にしたが……」「発見された信虎は本物だろうか?」と、それとなく探りを入れる紅トカゲ。ついにで、 磁光真空剣を見せてくれと頼み込む。前科のある紅トカゲを相手に無言になる闘破だったが「私を疑うのかジライヤ?」と重ねて問われ、 結局は見せる事に。
 なおこの前のところで、夏休みで遊びほうけているケイと学を闘破が鍛える、というシーンがあり、 1・2話の頃からはすっかり立場が逆転していて面白い。修羅道に身を置く事で、短期間でだいぶ闘破の心構えも変わっている模様。
 磁光真空剣のセキュリティを見せたくない→外で待っていてくれ→また中に呼び戻すのも変? という事でか、 わざわざ公園まで行って剥き出しの日本刀を見つめあう忍者二人。
 磁光真空剣の感触を堪能した紅トカゲは「レーザー刀を見せてほしい」と闘破に頼み、闘破、 ジライヤスーツを装着してレーザー刀を披露。紅トカゲの持ってきた刀の束を叩き斬って、その威力をまざまざと見せつける。
 紅トカゲが闘破に刀を返す時にちゃんと刃を返してから渡していたり、微妙に細かいながらも割と謎シーンなのですが、 後半の展開も考え合わせると、お互いのフェチズムで何か通じ合ったらしい。
 信虎を盗み出したのはパルチス、という情報を紅トカゲから得るジライヤ。そこへ紅トカゲがパリで見た真紅のくノ一が登場し、 ジライヤはその後を追うが、逃げられてしまい、フランス人観光客と衝突。
 「あ、この前の外人さんだ」って、伏線と言って良いのかどうなのか(笑) 連続ならまだわかるのですが、何故か1回空けたり、 不思議な事をしてきました。
 一方、「信虎だったらジライヤを切れると思う」と信虎を求める毒斎は、パルチスを追うように配下に命じる。軽く、 億は出してくれそうな顧客がここに居ますよパルチスさーん。
 そのパルチスは、なにやら怪しげな男と密談中。どうやら刀剣の密売ルートを持っているらしい男と 「分け前はフィフティフィフティだぜ」と話し合っているのですが、言い値で買い取りそうな人が二人も居るのになぁ(笑)
 だがそこへ忍び込んだくノ一が、天井裏から信虎を奪って逃走。追うパルチスの前に立ちはだかるのは、貴忍・麗破!  麗破の助けでパルチスの追撃を逃れたくノ一だったが、その前に現れた毒斎に、信虎を奪われてしまう。
 この時点で、
 〔山地一家/紅トカゲ/くノ一&麗破/パルチス&密売屋/妖魔一族〕
 と5つの勢力が入り乱れる、という凄まじい展開。
 くノ一の正体は、パリ警視庁の捜査官カトリーヌ。国際窃盗団のリーダーをマークしていた彼女は観光客に偽装して来日。 そしてそのカトリーヌを密かに警護していたのが、麗破であった。
 麗破とカトリーヌが闘破達に事情を説明していた頃、妖魔一族の本陣を、「信虎は私が貰う!」と紅トカゲが襲撃。
 「おまえ達が束になってかかっても勝てる相手ではない」と部下を制した毒斎はあっさりと信虎を渡すが、それは勿論、 信虎を巡って紅トカゲとジライヤが共倒れになる事を計算しての謀略であり、さっそく嬉々としてこの情報をジライヤへと流す(笑)
 今回も安定のこすっからさ。
 ここまで来ると、なんかもう、格好いい。
 にしても、前回の実例があるとはいえ、毒斎様の紅トカゲへの評価は高い。
 遂に念願の信虎を手に入れた紅トカゲは、鉄球の試し切りなどで大興奮。だがそこへ、カトリーヌへの協力を約束した闘破が現れる。
 「名刀はそれにふさわしい者が持つべき。例えば磁光真空剣はジライヤにふさわしい。だからこの信虎は私のもの」 と変態理論を駆使して信虎を欲しがる紅トカゲだが、「それは個人の所有すべきものではない」と、 ジライヤは返還を要求し、二人の交渉は決裂。
 何故かここで流れる、悲しい音楽。
 互いに望まぬ戦い……という事なのでしょうが、どう見てもおっさんがわがまま言っているだけです。
 「私はこの信虎とともに誰も知らない所へ行き、そこで余生を送る」
 ここまで思い込んでいるのは、立派といえば立派ですが!
 信虎を巡り、激突するジライヤと紅トカゲ。実力者同士の戦いは拮抗するが、そこに姿を見せるのは、せこい・弱い・逃げ足速い、 の三拍子揃った我らが妖魔一族。戦闘中のジライヤを、大弓で狙う毒斎。
 それに気付いた紅トカゲ、ジライヤに迫る矢を切り払って撃墜。
 ジライヤ、その隙を突いて紅トカゲを斬る(あれ?)
 そこで、自分を狙って放たれていた矢に気付いたジライヤ、妖魔一族の闖入を確認。更にパルチス&窃盗団リーダーも、 拳銃を持って乱入。妖魔一族は手早く撤退し、ジライヤとパルチスが激突するが、もともと戦闘力は低めの描写だったパルチス、 あっさりと磁光真空剣・真っ向両断。拳銃で果敢に忍者に立ち向かっていた窃盗団リーダーもジライヤに軽くあしらわれ、 国際忍者警察達によって逮捕。
 窃盗団&パルチスはこのまま流されると思っていたので、最後に乱入してきたのは意外でした。
 そして、化忍パルチス、遂にリタイア。
 死因は明らかに、妖魔一族と手を切った事。
 まあ、美術館の侵入ルートとか警備の情報など窃盗団と組む事情もあったのでしょうが、組む相手を間違えました。
 ……妖魔一族も信用出来ないといえば出来ないのですが、なんだかんだでパルチスとかシルバーシャークとか、 その場ではなく事前に契約を結んでいたらしい相手の事は、途中で裏切らないしなぁ。
 そして、
 「信虎が手に入らない以上、この世に未練はない。磁光真空剣で私を斬れ」
 右腕を負傷し、信虎を手に入れそこねた紅トカゲは、ジライヤに介錯を望む。人生の最後は名刀に斬られたい、 という見事な変態ぶり。
 だが、一度は争ったとはいえ、ジライヤには紅トカゲを斬る事は出来ない。
 「俺たちは友達じゃないか、紅トカゲ」
 ………………あんなに不審のまなざしを向けたのに?!
 「紅トカゲ、また会おう」
 こうして信虎はカトリーヌとともにパリへと帰国。紅トカゲはいずこともなく姿を消し、消息不明になるのであった……。
 ある種の夏休みスペシャルという事なのか、世界忍者大盤振る舞い。秘伝の巻物を巡って複数の忍者が入り乱れる、 という忍法帖フォーマットが下敷きかと思いますが、実に今作らしい面白さの出たエピソードになりました。
 ジライヤの行動の結果、もの凄い宙ぶらりんな立場にされてしまった紅トカゲの今後は気になります……再登場、あるかなぁ。

 29話、31話にゲスト出演したカトリーヌ役は、フランスのタレント、ドロテ。
 〔ドロテ/Wikipedia〕
 TV番組のパーソナリティとして日本の特撮・アニメ番組をフランスで紹介した立役者であり、東映作品を数多くフランスに広めた縁で、 1988年に東映が日本に招待。今作の他、同時期の放映作品である『仮面ライダーBLACK』『超獣戦隊ライブマン』に特別出演との事。
 どうやら、当初は29話だけのチョイ役の予定だったのが、本人のノリが良かったのか、ゲスト出演回を追加した、 とかそういった事だったのではないかと思われます。幾ら何でもこの流れで招待した方に、毒斎様とマッチアップするくノ一役を 最初から振るとは思えませんし(笑)

◆第32話「渚のくの一忍法帖」◆ (監督:岡本明久 脚本:藤井邦夫)
 夜陰に響く尺八の音色……夜な夜なセントマリアナ女学院・海浜寮に姿を見せる謎の幽霊。
 幽霊を長刀で切り払うおばちゃん(寮母さん?)が格好いい。
 と思ったらこの女性は、日本で一二を競う女性武道家、トモエ先生(巴、か?)。武道家同士で交流があるようで、 トモエは哲山にこの件について相談し、ケイが女子寮に潜入して事件を調査する事となる。
 そしてその夜もまた響く尺八の音色と、姿を見せる謎の幽霊。
 ケイの礫を浴びて見せたその正体は、紅牙さん。
 そして尺八の音色とともに幻覚を生じさせていたのは、ジライヤに倒された筈の音忍・宇破! バックアップに控えていたジライヤが 宇破を退けるが、果たして妖魔一族は何が目的で女子高生の寮に悪戯を仕掛けるのか?
 「しかし頭領、本当に超能力を持った娘などいるのでしょうか」
 「何を言う烈牙、私はこの目で見たんだ」
 ある日、ヨットを浮かべてお昼寝していた紅牙さんは、海岸でヤンキーにからまれていた娘が超能力でそれを撃退するのを目撃。 その娘を妖魔一族のくノ一としてスカウトしたいと考えたが、残念ながら顔を見ていなかった為、誰が超能力者なのかを探り出すべく、 女子高生達を脅かしているのだった!
 「顔を見ていればこんな面倒な事をしなくて済んだのに」と、なんだか今日は態度が悪い烈牙。……まあ、仕事内容は 幽霊のふりして女子高生を脅かす事とか言われたら、それはまともなプライドがあれば嫌がる気もしますが、 烈牙に忍者としてまともなプライドがあった事にビックリですよ。
 娘に甘い毒斎様は、「超能力はあらゆる事がかなえられる力、パコだって見つけられる筈」 とてきとーな目標を掲げ、バラバラにされた五体を繋ぎ合わせて秘術によって再生した宇破を利用し、次の策を打つ。
 それは……
 ビーチボールと戯れる水着姿の女子高生達を襲撃して、直接聞く事であった!
 今までの、えらく遠回りな作戦は何だったのか……。
 武器を持たないケイはカラス天狗に捕まり、毒斎の「超能力者は誰だ?!」という問いに進み出るのは、二人の少女…… いったいどちらが超能力者なのか? カラス天狗が二人を取り押さえようとするが、二人は鮮やかにカラス天狗を叩きのめす。 彼女たちの正体は、闘破に頼まれて密かにケイを支援していた、貴忍・麗破と、花忍・夢破であった!
 久々に頭の飾りを外して投げる烈牙。幻覚攻撃を仕掛けてくる宇破に対するべく、ジライヤも参上。
 「せっかく助かった命、まだ悪事に使っているのか!」
 ……いやそもそも、十文字に切り裂いたの、誰ですか。
 紅トカゲとか折破みたいに意識的にトドメを刺さなかった相手ならともかく、殺る気満々でずんばらりんしておいて、 この言いざまは酷い。
 妖魔一族は一時退却し、いったい誰が超能力者なのか、全員集合で聞き出すケイ達。手を上げたのは、寝付きが良くて熟睡派、 これまでの幽霊騒ぎにも素で一切気付いていなかった、というマイという娘だった。自分でもよくわからない内にヤンキー達が 吹き飛んでいた、というマイ……彼女をなぐさめる級友達。その時、飛来した矢文がトモエ先生の背中に突き刺さる!
 矢文が突き刺さる、ってなんか新鮮。
 矢文に書かれていた文章は「超能力娘を渡さなければ、死あるのみ」。更に電話線も切られ、孤立する女子寮。 このままではトモエを病院に運ぶ事も出来ない……立ちこめる霧にジライヤは外へ飛び出し、宇破に立ち向かうが、 これはジライヤを引き離す毒斎の策。まんまとジライヤが外へ誘い出されている内に妖魔一族は寮へと向かい、 マイは自分が超能力者であると自ら名乗りでる。
 にしても終始、「超能力娘」という単語は、なんだか語感が悪い(^^;
 マイを助ける為、毒斎に立ち向かうくノ一三人娘。しかしここはさすがに貫禄を見せる毒斎様。くノ一達を圧倒するが、その時、 追い詰められたマイの超能力が発動。「超能力娘の特定の為に女子高生を脅かして誰が超能力を発動するか調べよう作戦」の筈が、 面倒くさいからストレートに聞いた上で調子に乗って追い詰めていたら自分たちが超能力で攻撃を食らってしまうという、 芸術的な本末転倒。
 消滅するカラス天狗、吹っ飛ぶ紅牙&烈牙。
 唯一、念動エネルギーの放射に耐えた毒斎は見えざる力と壮絶に切り結ぶ……。
 一方、宇破の幻術攻撃に苦戦するジライヤだったが、強引な復活の秘術の副作用か、頭を抑えて苦しみだした宇破の隙をつき、 プロテクターを装着すると、磁光真空剣・横一閃。
 ……なんか、2話連続で、酷いぞ主役(笑)
 そして寮の前では、超能力との激戦の末、遂に吹っ飛ぶ毒斎様。
 毒斎様の吹っ飛びは、作中初、か?
 超能力を使い果たしたマイに、ダメージを受けながらも立ち上がった毒斎が迫るが、宇破をくだしたジライヤが駆けつけ、毒斎撤退。 こうして妖魔一族は超能力娘を諦め、引き上げるのだった……。
 まあ本当は、誰が超能力者か特定できたら、後日、お金で話をつけるつもりだったのだろうなぁ。妖魔一族の問題点は、 戦力もさる事ながら、せこい割に堪え性が無い所かと思われます。
 変則的な、夏だ海だ水着回。なにしろ、主役、結局最後まで海に関われず。……まあ先日、 たっぷり房総の海に潜りましたが。
 よくわからない秘術で復活した宇破は、復活しただけ可哀想な感じになってしまいました(^^; 音忍の秘術、 と哲山は語っていましたが、復活させたのは毒斎のような口ぶりでしたけど、何かそーいう契約関係(もし負けたらこの術を使ってね、 みたいな)だったのでしょうか。
 エピソードとしてはケイを主体にしつつ、麗破の活躍ゲージを上げるチャンスだったのに、闘破が夢破も呼んでしまったばっかりに、 どちらも今ひとつ目立たない、という形になってしまいました(^^; 夢破も夢破で、上部組織(戸隠流)の指令で、 浜松から出張してきて女子高生に紛れる羽目になり、いい迷惑です。戸隠流、どう考えても、出張費とか出してくれないだろうし。

◆第33話「ギターかかえた渡り鳥 雷忍ワイルド」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
 武神館に届いた、雷忍ワイルドからの挑戦状(往復はがき)。
 「また来たのか」
 その数、6通目(笑)
 世界一の忍者になる為の雌雄を決すべくジライヤとの決闘を求めるワイルドは、アメリカに帰るに帰れず、 決闘を求める挑戦状をジライヤに繰り返し送ってきているのであった。それに応えて、よーし決闘しちゃるか、 と返信しようとする闘破だったが、ケイと哲山に止められる。
 「おまえは何を考えているんだ」
 それにしても、ジライヤと再戦するぜ、と言っていた人達はけっこう居たけど、本気で居残って再戦の努力をしていた人はたぶん、初。 雷忍ワイルド、やはり恐ろしい男。
 「儂は、腕自慢の忍者が、己の技を試そうと無益な対決をし、その結果、傷つき倒れていった例を幾つも知っている。愚かな事だ」
 何十人と、闇に葬ってきたのですね、父さん。
 「でもオヤジ」
 「対決してワイルドに勝ったとして、それが何になる。強いだけが忍びの条件ではないだろう。もっと大切なものがあると言っている」
 「もっと大切なもの?」
 「わからんのか。それがわからぬ内は、真の忍びにはなれん」
 「強さよりも大切なもの……」
 その頃、今回も挑戦状が闇に葬り去れようとしている事を知らぬワイルドは…………

 温泉街で早撃ち名人として宴会芸人をしていた。

 いやははははははは(笑)

 凄い。これは凄い。
 しっかり銃撃アクションまで入れて、ワイルドの扱いが、面白すぎます(笑)
 「ワイルドさん、あんた最高だ」
 ジライヤとの決着を望むワイルドは当座の生活費と国に帰る費用のために、あけぼの芸能社という三流芸能プロに拾われ、働いていた。
 「またつまらぬ事におまえを使ってしまった……」
 しかし、首都圏を離れる事だけは出来ぬ、と打診された登別温泉への出張を拒否。会社と決別したワイルドは、 ギター抱えてスナフキン状態に。
 NINJAの世界……ではなくて、現代社会は厳しいのだ!
 山に籠もり、木に貼り付けたジライヤの似顔絵を切ったり撃ったりしてストレス解消していたワイルドだが、悲鳴を聞いて駆けつけると、 妖魔一族が一人の忍者を追いかけていた。
 「この新兵器の設計図は誰にも渡さん」
 「儂がいただいて、たんまり儲けさせてもらうわ」
 なんだかよくわかりませんが凄い兵器の設計図を追っているらしいのに、ジライヤ対策に使うという 選択肢が既に無いっぽいのが、さすがの貫禄。

 金 > ジライヤ

 それが真理。
 一方、金<ジライヤにこだわり困窮するワイルドは、元を正せば俺がこんな事になっているのもこいつらのせい? と妖魔一族を妨害。 その隙に逃げ出した忍者・野々宮左近はワイルドのギターの中に鍵を隠すが、追いかけてきた烈牙とカラス天狗によって仕留められる。
 烈牙、戦闘で活躍したの、……1話以来?
 野々宮の懐を探るが設計図を見つけられなかった烈牙とカラス天狗は逃走ルートを洗いに戻り、 最後の力を振り絞った野々宮はその場を何とか離れた所で闘破達と出会うが、 設計図を隠した新宿のコインロッカーの鍵をワイルドのギターの中に隠した事を告げ、息絶える。
 ここで闘破と野々宮が顔見知りだった、というのはあまりにも接点が無くてちょっと無理筋だったのは残念な所。
 野々宮は軍事機密を盗み出して商売にしている忍者スパイだったそうですが、どちらかというと、 語られざるエピソードでかつて闘破と機密を巡って争ったとか、そういう関係っぽい。
 ケイをテニスへ送る筈が、急遽予定変更、山地兄妹はワイルドの手がかりを求め、挑戦状の返信先になっていた、 あけぼの芸能社へと向かう。怪しげないんちき芸能事務所の雰囲気にげんなりする3人だったが、帰り際に「お邪魔しました」 ときちんと挨拶していくのが良いところ。それに気をよくしたのか、マネージャー(社長?)は、会社を出て行ったワイルドが 「イワコ山に居るかもしれない」と、仕事の無い時にワイルドが修行している場所を教えてくれる。
 ところがその頃……野々宮を念のために監視していたカラス天狗からの情報で、 ワイルドのギターの中にロッカーの鍵がある事を知った紅牙は、闘破に変装してワイルドに近づくと鍵を入手。 ワイルドを探す闘破達と行き会って結果的に挟み撃ちを受けるが、なんとか撤退。新宿のコインロッカーへと向かう。
 妖魔一族vs山地兄妹&ジライヤ、の戦闘シーンでは、とうとう学までが早変わりで自作鎧を装着。もうすっかり、 デフォルトの忍術になってきてしまいました。
 紅牙はコインロッカーの鍵を開け、人間の細胞を一瞬で破壊する新兵器、超振動破壊装置の設計図を入手するが、 ジライヤ達が駆けつけ、設計図を手放してあえなく退散。あの忍者装束で平然と新宿駅構内を歩くワイルドは、 設計図を賭けた勝負をジライヤへ挑み、ジライヤはそれを受け入れざるをえなくなる。
 「強さより大切なもの……それをこの対決で見つけたいんです」
 哲山に決意を語り、ワイルドとの決闘に望むジライヤ。「愛しのクレメンタイン」(『荒野の決闘』テーマ曲)を導入に決闘が始まる、 という洒落た演出。今作は割と乱戦が多いので、意外と珍しい、ガチのタイマン。壮絶な戦いの末、 ジライヤの磁光真空剣がワイルドを捉え……その刃は頭上で止まる。
 トドメを刺せ、というワイルドに、命は取らないと告げるジライヤ。
 「わかったんだ。忍びに……強さよりも大切なもの。それは、命を愛する心なんだ」
 まあ今までも敵対する全ての相手を斬殺していたわけではないですし、これから急に不殺になるとも思えず、 いい話にしようとして取って付けた感じは否めません。
 要するにこれは……殺さず、ではなく、殺す相手を選ぶ、という意味ですね(笑)
 命を愛する心があるからこそ、命を奪う真の覚悟も身につく、それぞ揺らがぬ、忍びの魂。
 これからは確実に、必要な殺しだけを行うのです。
 こうして、戸隠流の凶手として、また一歩、階段を上った闘破。
 ケイと学が駆けつけ、
 「二人とも、ナンバーワンでいいじゃない」
 とケイちゃんが台無しな感じにまとめ、ワイルドもそれに納得。
 「そうか、戦って、どちらかが倒れ、どちらかが残っても、それは、虚しい事なんだな」
 命を賭けて争う事の愚を悟るワイルド。
 「ジライヤというライバルがいるかぎり、俺はハッピーだ」
 すっかり丸くなりました。
 戦い終えて、山地兄妹はワイルドを見送る事に。
「ワイルド、帰るのか、アメリカに」

 「いや、北海道の、温泉に行く」
 「北海道?」

 「帰るための……旅費を稼ぐんだ」
 いやまさか、このネタを最後にぶち込んでくるとは(笑)
 戦闘の決着の所は、今更そんな事を言われても説得力がないし、テーマにするほどの事でも無いなぁ……という感じでしたが、 冒頭とオチで、かつてない酷い扱いを受けた世界忍者ワイルドの使い方が面白すぎました。世界忍者としては実力者だけにまた。 金に汚い妖魔一族、金が目当てのスパイ忍者、と劇中でそれとなく対比されている事で、オチが活きたのもよし。 ワイルドの職場を見て同情的になる山地一家も貧乏忍者、と、むしろこの裏テーマの方が面白い(笑)  ワイルドさんが金に目がくらんで、妖魔一族の手先となって再びジライヤの前に立ちはだからない事を祈りたいと思います。
 そして次回、驚愕の新展開?!

◆第34話「出た!! 妖魔巨獣 史上最大の危機」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
 化石を探してピクニックに来ていた親子が、崖の中から古びた宝箱を発見する。その中に入っていたのは、人間のドクロと一本の巻物。 それこそ、毒斎が長年探していた、ヒマラヤ密教の流れを汲む妖術使いのドクロであった!
 ちょうど近くを掘り返していた妖魔一族、親子を追い散らし、そのドクロを入手。
 「邪魔だ、失せろ! ええい、早くいけ!」
 そう、真の忍びは、余計な殺生はしないのだ。
 毒斎がドクロを用いて変な呪文を唱えると、まさかの巨大怪獣、出現。
 その名を、妖魔巨獣・ゴーマ!
 一方、山地家では家宝の壺が青く光り、奇妙な宇宙文字が浮かび上がるのを解読してもらおうと麗が呼び出されていた、
 ジライヤ、最大の危機迫る
 富士の見える金剛山に行け
 随分、具体的なメッセージ(笑)
 久々登場(1話以来?)の家宝の壺ですが、妙に具体的なメッセージに、もしかしたら宇宙の惑星と繋がっている 通信機のようなものでは? と哲山は推測。
 その頃、カラス天狗からの情報を元に金剛山に先回りしようとする妖魔一族は、二人組のサバゲー同好会の攻撃を受ける。
 「言われたとおり助っ人にやってきたぜ」
 「たんまりと報酬はいただくぜ」
 それは傭兵忍者、妖魔一族非正規社員のキラーとコマンドであった。どんな人達とも一定の友好度を保てる、 金の力って素敵です。
 金剛山へ向かった闘破と麗は、妖魔巨獣と遭遇。「こんなものに驚いてたまるか!」とジライヤスーツを装着するが…… さすがに怪獣の相手は無理でした。更に、娘が足を怪我して沢を彷徨っていた冒頭の親子3人を人質に取られ、大ピンチ。 囮になって麗破を逃がしたジライヤだが、遂に妖魔一族の手に捕まってしまう。
 シロ(伝書鳩)による連絡で妖魔巨獣の出現を知った哲山は、ケイと学を連れて金剛山へ向かい、麗破と遭遇。
 哲山、遂に覆面を装着!
 ところで哲山、妖魔巨獣にあまり驚いていないのですが、SHINOBIの世界ではよくある出来事の一つ なのでしょうか。
 闘破と親子連れを人質に取られ、やむなくボードを毒斎へと渡す哲山。その指し示す先は……金剛山! 世紀の秘宝パコの隠し場所は、 この金剛山にあった。キラーとコマンド、巨獣ゴーマにその場を任せ、パコの元へと向かう妖魔一族。 さすがの哲山も巨大怪獣の前には回避で手一杯なその時、何故か持ってきていた家宝のツボが光り、その表面に 「この壺を金剛山の岩山に向かって投げよ」という宇宙文字が浮かび上がる。哲山が壺を投げると起こる、激しい地鳴り。
 パコ捜索中に、崖崩れで全滅しそうになる妖魔一族(笑)
 下手なロボットアニメとかだと、烈牙は多分、ここで死ぬ(笑)
 大地が揺れ、山が割れ、浮上したのは――巨大ロボット、磁雷神。

 棒立ち

 果たしてこれは、敵か味方か?
 妖魔一族の、運命や如何に?!
 まさかの急展開にして、衝撃のテコ入れ。来週からタイトルが、『世界忍者戦ジライヤ ジャイアント』 に変わってしまうのでしょうか。
 磁雷神は、和風テイスト+日本刀+胸の巨大な丸、ともしかして、玩具的に大連王の雛形でしょうか?  和風ロボとしてはこの前にバトルフィーバーロボが居ますが、特徴的な胸部の丸がやたらにそっくり。腰回りの装甲にでーんと 「磁雷神」と書いてあるのと、背中のからくりボックス風バックパックが気になります(笑)
 エピソードとしては、如何にも前振り展開でバタバタ。特に哲山が家宝の壺を戦場に持ってきた理由がさっぱりわかりません(^^;  あとこれまで幾多の人質作戦を撃破してきた山地一家が今回に限ってやけにあっさり屈してしまったのも、 作品の流れが活かされなくて残念。もちろん、巨大怪獣の存在というのがあるわけですが、その点もっと、 妖魔巨獣の脅威を強調して良かったかと思います。
 そしてキラーとコマンドは、いったい何しに来たのか。次回、ちゃんと活躍できるのか。
 磁雷神の初回大暴れ補正から、妖魔一族は生き残る事が出来るのか?!
 そして今作はいったいどこへ向かってしまうのか、次回、注目。

◆第35話「天空に立つ磁雷神」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
 ナレーション「世紀の秘宝パコが悪の手に落ちる! ――と思われたその時」
 崖崩れで妖魔一族全滅?!
 磁雷神、腰の所にわかりやすく書いてあるおかげで、誰にでも「磁雷神」とわかるのは素晴らしい。
 哲山「誰が作ったか知らないが、パコのかわりに磁雷神が隠されていようとは」
 戸隠流 どうやら先祖も えげつない
 「これはいったい、どういうことだ……おのれぇ!」
 何とか無事だった妖魔一族、毒斎はゴーマに磁雷神への攻撃を命令し、ここに発生する巨大バトル。 その間に哲山は磔の闘破を見張るキラーとコマンドを陽動して引きつけると、その隙に麗破が闘破を救出。そこに恵美破も合流するが、 もたらされたのは、人質にされていた家族の少女が高熱を出しており、危険な状態にあるという事だった。 医術の心得もある哲山が診ると少女は日射病になっており、動かすのも危険という事で、恵美破が川へ水を汲みに行き、 学が麓へ救急車を呼びに行く事になる。
 巨大ロボ出現なんて事をやった回で、あくまで家族にスポットを当てに行くのは、 今作の素晴らしい所。
 麓へ向かう途中、闘破を探して徘徊していたキラーとコマンドに接触してしまう学。宙返りをしたり、パチンコ目つぶしで攻撃したりと、 キラーとコマンドを翻弄。確かによく見ると、武神アーマーの胸部にパチンコが装着されていました。そして遂にロープアクションに挑み、 ロープで崖を降りようとする学だったが、キラーとコマンドに見つかってロープを切られ、崖から転落。
 ……あーこれ、死んだわ的な倒れ方(笑)
 だが、武神アーマーの防御力は想像以上に高く、なんとか意識を取り戻した学は、「めぐみちゃんの命は俺にかかってるんだ、 行くぞー、行くんだ」と立ち上がり、麓を目指して走るのであった。
 一方、棒立ちでゴーマの攻撃を受け続ける磁雷神の元へ向かおうとするジライヤ。
 「闘破、磁光真空剣もないのよ!」
 「わかっている。俺には……これがある、徒手空拳。あの化け物と戦ってやる」

 凄いネタ来た。

 ここでOPまで流れてしまい、こんな格好いい「徒手空拳」の使い方は、初めて見たかもしれません(笑)
 実際やる事は、気合い頼みの突撃、というのが少々あれですが。
 ジライヤが解放された事に気付いた毒斎は妖魔巨獣の目標をジライヤに変更。窮地に陥るジライヤだが、 その時ジライヤスーツの目が光り、ゴーマの攻撃で膝を付いていた磁雷神が、それに反応するかのように立ち上がる。
 「磁雷神が怒っている!」
 精神を統一し、磁雷神と合身するジライヤ。
 今ここに、巨大なハニワに過ぎなかった磁雷神にジライヤの命が吹き込まれたのだ!
 ジライヤの意思で動くようになった磁雷神、槍を振り回してゴーマを攻撃。それを見た毒斎は、自らゴーマの頭の上へと飛び移る。
 「ジライヤ、出てこい。妖魔巨獣が勝つか、磁雷神が勝つか、勝負しろ!」
 激突する、磁雷神@ジライヤ、ゴーマ@毒斎!
 ゴーマの頭部で揺れる、ミニチュア毒斎!(笑)
 激しい戦いの末、磁雷神の剣の一撃を受け、毒斎、転落(笑)
 ……えーまあ何というか、死なずに済んで本当に良かった。
 色々と例もあるだけに、頭の上に乗った時はもう駄目だと思いました。
 続けて妖魔巨獣ゴーマも、磁雷神の攻撃を受け、転落爆死。
 巨大戦は盛り上げた割には、磁雷神には特に必殺技など無し。非常に地味に、ゴーマを成敗してしまいました。
 「ジライヤめ、よくも妖魔巨獣を倒したな! こうなったら、戸隠流を全滅させてやる。行くぞぉ!」
 転落の際に頭でも打ったのか支離滅裂な鬨の声をあげる毒斎様。

 どう考えても、無理

 キラー、コマンドと合流して突撃するが、磁雷神の槍振り回しで、あっさり撤退(笑)
 安定の駄目さ加減。
 撤退する妖魔一族の前に、退路を塞ぐ形でジライヤ参上。
 まさに、前門のジライヤ、後門の磁雷神。
 妖魔一族に訪れる、かつてない最大の危機!!
 おかしい、先週は、いけいけどんどんだったのに!!
 不意をついて麗破が奪われた磁光真空剣を取り戻し、ジライヤvs毒斎様、一騎打ち。空中戦なども交え、 かなり本気の一騎打ちが展開した結果、磁光真空剣の斬撃を受けて毒斎様の懐からボードと妖術師のドクロがこぼれ落ち、 ジライヤはボードを取り返すと共に、ドクロを両断。続けてキラーとコマンドを、磁光真空剣真っ向両断そして横一閃、 によりまとめて撃破し、妖魔一族は完全退却。
 雇って良かった、短期バイト。
 そして学の活躍により救急車は無事に到着し、少女と家族は救急車に乗せられていくのだった。
 救急隊員の皆さんも、変な鎧着た子供に呼ばれて山の中へと車を走らせてきたら、 ディスコで踊っていそうな格好の女や日本刀持った忍者装束のおじさんとか居て、ビックリです。

 明らかに、目を合わせないようにしています。

 「学よくやった、それでこそ戸隠流の忍者だ」
 と学が褒められるのは、珍しいかも。
 ここでちゃんと、頑張りが認められる部分が入っているのは良い所。
 ナレーション:「磁雷神は、いつの時代、誰の手によって作られたのか、定かではない。
 (中略)
 それにしても世紀の秘宝パコは、いったいどこにあるのだろうか」
 ……て、本当に、先祖がパコの代わりに巨大ロボットを仕込んでいたというオチなの?(^^;
 ボード自体は、どさくさまぎれに完全な形で山地家に戻ってきたので、適当なタイミングで何か発動しそうですが。……壺は、 投げて壊しちゃったしなぁ。
 そして妖術師のドクロを破壊してしまい、磁雷神は、いったい次から何と戦えばいいのか。
 急展開というかむしろ物語が混迷を深める中、次回、割と普通に格好いいデザインの世界忍者登場。

◆第36話「闇に光る黒猫の目! 怪盗デビルキャッツ」◆ (監督:岡本明久 脚本:扇澤延男)
 「この世の全ての宝石は、俺が持ってこそ輝くのだ!」
 都内に出没する、連続宝石泥棒、闇忍デビルキャッツ。その正体は、占い師・黒猫。
 人気の占い館に押されて冴えないヘンリー楽珍は、占いのハッタリの為にクロを貸してほしいと山地家を訪れるが、闘破に、 にべもなく断られる。
 「だーめ。クロをそんなペテンには使えません」
 今日の闘破はちょっと妙なテンションだなぁと思ったら、父さんが国際忍者会議に出席する為にヨーロッパへ飛んでいて 不在らしい。
 国際忍者会議ってなんだ。
 近所で響くサイレンの音に野次馬に向かった兄妹は、デビルキャッツに盗難を受けた屋敷に現れる、占い師・黒猫を目撃する。 そこに乱入した楽珍を止めようとした学の「こそ泥野郎はジライヤが捕まえるよ」という言葉に、鋭く光る黒猫の瞳。
 「俺はプライドの無い人間は嫌いだ。それ以上に、俺のプライドを傷つけるヤツは許さない」
 ジライヤ、流れ弾で黒猫の恨みを買う事に。
 道場に戻った闘破は麗からデビルキャッツの情報を得ると、捕まえてやると大張り切り。
 「父ちゃんがいないと、ホント元気なんだから」
 と学にも突っ込まれたところで、道場に投げ込まれるデビルキャッツからの泥棒予告状。その夜、ジライヤと麗破は、 予告された宝石店のガードへと向かう。
 先ほど名前を聞いたばかりのジライヤの本拠地の場所は……やっぱり妖魔一族に聞いたなんだろうなぁ。
 烈牙「ご利用ありがとうございます。こちら、妖魔情報センターでございます」
 黒猫「あー、ちょっとジライヤっていう忍者の情報を知りたいんだけど?」
 烈牙「料金によって松竹梅コースで情報量が変わりますが、いかがなさいますか?」
 黒猫「んー、とりあえず、住所だけわかればいいんだけどー」
 烈牙「それでしたら、基本情報セットの〔梅〕コースでよろしいかと思います。ところで現在キャンペーン中で……」
 みたいな。
 予告通りに姿を見せたデビルキャッツと対峙するジライヤと麗破。デビルキャッツは盗んだ宝石は「盗んでいるのではなく、 そもそも私の物だ」と宣い、なぜなら「神に選ばれた私以外は、宝石を持つに値しない」、という、 いい感じのキチガイ。だがそんないい感じのキチガイの華麗な動きに翻弄され、まんまと逃げられてしまうジライヤ。
 「オヤジ、面目ない」
 闘破、道場で正座して反省。
 扉の隙間から突き刺さる弟妹の視線がクリティカルで痛い(笑)
 「可哀想だけど、いい薬よ」
 二人の視線を逃れた闘破、屋上で吾泣き濡れて犬とたわむる。
 「なにが戸隠流正統だ。泥棒ひとり捕まえられないんだから」
 更にとどめとばかり、敗北したジライヤを笑いものにする矢文(笑)
 「完全に俺の負けだ!」
 Aパートはテンポ悪くて正直面白くなかったのですが、闘破が落ち込んでから急に面白くなりました(笑)
 今作の雰囲気のバランスがよくわかります。
 まあ前回の父さん不在時は家伝の使命家屋敷社会的立場全部まとめて失いそうになった事を思えば、弟妹からの評価が下がるぐらい、 なんという事もありません。
 ケイと学に励まされるが、相手は正体不明の怪盗で、雪辱のしようがないと思い悩む闘破。そこへやってきたヘンリー楽珍、
 「困った時の犬占い、やってみないか」
 矢文の匂いをクロにかがせると、クロが嗅ぎつけたのはお香の香り……闘破はそこで、占い師・黒猫の只者ではない瞳を思い出すと、 占い館に赴いて、黒猫の前で「あんなこそ泥」「わざと負けた」「尻尾を巻いてどこへ逃げたのか占って欲しい」 とデビルキャッツを罵って挑発してみせる。それに乗って、今夜もう一度デビルキャッツが現れてジライヤを倒すだろう、と占う黒猫。 部屋に立ちこめるお香に指先を伸ばした闘破は、帰宅後にクロにその香りをかがせ、黒猫=デビルキャッツである事を確信。
 「ケイ、学、俺は思い上がっていた! あのデビルキャッツと、同じように。
 俺一人の力なんて、本当に小さいんだ。楽珍さんと、クロのお陰だ」

 予告通りに現れた黒猫を待ち受けるジライヤ、夜のビルで、ジライヤとデビルキャッツの激突が始まる!
 デビルキャッツはジライヤを翻弄するレベルの体術の使い手の上に、タロットカードから悪魔召喚する(幻術の類いか) など忍術も冴えを見せ、単体の世界忍者としては、おそらくここまでで最強クラス。
 しかし、狭くて暗い所での戦闘シーンは、あまり面白くならず(^^;
 最後は磁光真空剣が炸裂、国際指名手配を受けているデビルキャッツを麗破に引き渡す約束をしていた闘破は、 見事に闇忍の覆面だけを切り裂き、黒猫はしごく普通に逮捕されるのであった。
 全体としてそれほど面白いとは言いがたいエピソードでしたが、1話から登場している割に、 限りなく存在の薄い楽珍にスポットが当たったのは良かったところ。……それにてしても楽珍は、 当初どういう風に使う予定だったのでしょう。わざわざ1話に出したという事は、 それなりにセミレギュラーのコメディリリーフとして活用するつもりだったとは思うのですが。シナリオの中で、 決定的な役割を果たした事もかつて無いしなぁ(今回が初?)。
 次回、なんだかまた物凄い事に。
 いよいよ本格的に物語が核心(てどこ?)へ向かって動き出すのか?!

→〔その7へ続く〕

(2013年5月9日)
(2018年1月14日 改訂)
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