- ◆第13話「祭忍vs七人の忍者たち」◆ (監督:折田至 脚本:高久進)
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「祭囃子にさそわれて、祭忍ギュウマ、はるばる参上!」
筑波山の、ゆうもあ村を訪れた山地一家。そこは忍者屋敷博物館などがあり、歌舞伎などで知られる忍者“児雷也”の生まれ故郷でもあった。
「英語のあなた(ゆー)」と「フランス語のわたし(もあ)」で「あなたとわたし」で「ゆうもあ村」って、
どうして?!
旅先で基礎訓練を行う山地一家に襲いかかる謎の忍者軍団。闘破は何とかそれを退けるが、彼等の正体は実は、
全国各地で戸隠流を広めていた、哲山の愛弟子達であった。
……小学生に槍投げましたよ、愛弟子。
実はこの地には今、柳生麗が匿われていた。起きあがれる程度には回復したものの記憶を失った麗は、ぼんやりとして表情で髪を梳き、
毬をついて暮らすばかりと、すっかり幼児化。
「俺のために」「俺のために」「俺のために」
と、どんどん勝手に悲壮感に酔っていく闘破。
哲山いわく「ここに住んでいれば妖魔一族にかぎつけられる心配はないだろう」という事なのですが、
見た目凄い掘っ建て小屋なのですが、妙齢の女性に対する扱いがひどすぎやしませんか。
哲山が愛弟子達を集めたのは、一つにはその麗の警護を頼む為、そしてもう一つは闘破に実地訓練を積ませる為であった。
「闘破、おまえの心には、まだ、甘い考えが残っている」
……や、けっこう、いい感じに忍者洗脳されていると思いますけどね、闘破?
「しかし、味方を騙すなんて卑怯だよ」
弟子と言わずに突然襲ってきた忍者軍団に対する文句を言う闘破だが、同意を求めた突破は無言、
と忍者としての経験値と温度差を表現する意図だと思われますが、突破の株が下がりっぱなしなので、もはやあまり、
先輩忍者の風格が無いのが困ったところ(^^;
「敵を欺くにはまず味方を欺け、の言葉がある。これも忍法の一つだ」
つまり、まだまだえげつなさが足りない。
……まあ、主人公が哲山レベルにえげつなくなっても困りますが。
そういえば、後に正木俊介という人物が同じモットーを掲げますが、妙な戦闘力といい、
鬼畜非道な政治的工作の手腕といい、本部長は哲山の高弟の一人だったのでしょうか。凄い納得。
というわけで闘破の訓練という形で、色々な忍者戦闘シーン。実際の資料に基づいたものなのか、
勢いで作った小道具かはわかりませんが、色々な武器が出てきて、なかなか楽しい。
ところがその訓練中、ジライヤを倒す事で世界忍者として名を挙げようとするギュウマが密かに麗をさらう。
「麗がさらわれた!」と護衛役だった忍者Aが駆けてきて犯人を追う忍者軍団だったが、実はその忍者Aこそがギュウマの変装で、
次々と各個撃破されていく忍者たち。不意打ちこそ回避したジライヤも、ギュウマが忍術で呼び出した雑魚忍者4人との連携攻撃の前に
窮地に陥る。
「ジライバスター!」
いきなり銃撃った。
えー、突然、ジライヤが光線銃みたいなものを持ち出してぶっぱなすのですが……あー……たぶん……きっと……スミス博士が
プロテクターのおまけにくれた。
だがギュウマの角からビームなどを受けて崖っぷちへ追い詰められるジライヤ。ギュウマは「ジライヤを倒して世界一の忍者になるのだー」
「ついでにパコもいただくのだー」と丁寧に自分の目的を解説してから、ジライヤを崖から殴り落とす。
ところでギュウマは以前の獣忍マクンバと同ネタでアクションの度に獣の吠え声SEがはいるのですが、えー、
これは正直、一発ネタだったと思います(^^; 牛っぽいならまだしも、たぶん、全く同じSEですし。
ジライヤを撃破したギュウマはボードを狙い、下忍に変装して哲山へと近づく。
だが勿論、
貧弱! 貧弱ゥ!
この山地哲山に、木っ端忍者のこざかしい忍術など、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄(以下略)
哲山、あっさり看破。
その時、えらく大仰な武器(中国武術系?)を両手に駆け付ける突破。ギュウマが突破に気を取られた隙に容赦なく拳を叩き込む哲山。
えげつない、山地哲山、どこまでもえげつない。そしてすぐに牛ビームにやられる突破は、助けに来た意味が有るのか無いのか。
ギュウマは雑魚忍者4人を呼び出し、ケイちゃん、恵美破に早変わりを披露。たぶん、修行の成果。乱戦の中、復活したジライヤ、
更に哲山の愛弟子達が駆け付け、集団忍者バトル。今に始まった事ではないのですが、戸隠流忍者は、
容赦なく脇の下の動脈を斬りにいくのが、えぐい、えげつない。
「ジライヤ、卑怯な奴は倒せ!」
マジックワード「卑怯者」が発動し、ギュウマと対峙したジライヤは、磁光真空剣・斜め両断! でずんばらりん。
世界一の忍者を目指し、ついでに秘宝パコを手に入れる、というギュウマの野望は筑波山にあえなく散ったのであった。
そして結局、何が祭忍だったのか。
また一つ、大きな謎が生まれるのであった。
すっかり可哀想な子になってしまった麗を戸隠流の忍者達に託し、山地一家は筑波山を後にする。これからも、
ボードを狙う世界忍者達がその前に現れるだろう、負けるな闘破! 次回、さっそく物凄い変態が現れそうだが、
くじけるな闘破!
……えー、次回予告で笑いすぎて咳き込んで命の危険を感じました。何ですかアレは。
- ◆第14話「小さな命に燃えた 爆忍ロケットマン」◆ (監督:折田至 脚本:寺田憲史)
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飛び交うロケット……大爆発する街、コンビナート、タンカー。大企業を次々と狙う爆破事件に、人々は恐怖におののいていた……と、
戦隊のような導入。
全ての標的をロケット砲の一撃で爆破するその手際に、哲山は、ある一人の世界忍者を思い出す。
その名は、爆忍・ロケットマン。
アメリカを代表する世界忍者の一人であり火薬術とロケット弾の使い手。その卓越した技量によりベトナム戦争ではあらゆる戦線で
活躍し、数え切れないほどの勲章を手にしてきた凄腕の狙撃兵である。
しかし、ロケットマンはベトナム戦争末期、戦火の中で消息を絶っていた筈だった……。
ところかわって、本日は野外テント風アジトの中で、札束を前に高笑いする――妖魔一族の皆さん。
「ロケットマン」の名を用いて多くの企業を脅迫、裏取引に応じた企業からは金をいただき、応じなかった企業には容赦なく
ロケット砲弾を浴びせて荒稼ぎしていたのは、久々に悪の秘密結社らしい活動にいそしむ妖魔一族であった。
忍法・妖魔ロケット……ならぬ烈牙が操るロケット戦車で大暴れ、科学の力で有頂天の妖魔一族は次の標的をJRと定め、
新幹線の爆破予告と脅迫状を送りつける。
そろそろまずい、と思ったのか、妖魔一族がまさかの大規模テロを敢行。高性能ロケット戦車を持ち出し、
札束たんまりでうはうはです。…………この人達は本当は、宇宙の秘宝がどうとかではなくて、
単に光り物が好きなだけではないかという気がして、心配になってきます。
ちなみに野外テントの中は通信機などが何となく積んであって、おそらく今回のイメージモチーフとしての「戦争」
の雰囲気を出したかったのだと思われます。
学の友達ノリコの父がJRの運行局長であった縁から彼に張り付いた闘破は、局長がカラス天狗にマークされている事に気付く。
だがカラス天狗を追う闘破の前に、白尽くめの世界忍者が姿を見せる!
真っ白なバイクにまたがり、上半身はKKKのような円筒形の覆面の白装束、胸元に金に輝くRのエンブレム、
タイツに赤いブーツ、そして背中にロケット砲、と完全に狂人の装いで現れたその者こそ、
爆忍・ロケットマン!
ロケットをモチーフにしているのでしょうが……どちらかというと、イカ。
腕からミサイルを放ち、背中のロケット噴射で空を飛ぶロケットマン。
ロケット砲の一撃をプロテクターガードで回避したジライヤは必殺剣を振ろうとするが、名乗った所でロケットマンが
「お互い相手を間違えたようだな」と戦闘を中止。彼は妖魔一族に協力しているのではなく、自身の濡れ衣を晴らす為に、
ベトナムの山奥から日本へとやってきたのであった!
一方、カラス天狗からの連絡により、死んだと思っていたロケットマンの来日を知る妖魔一族であったが、
ならばロケット戦車で相手をしてやるまで、と超強気。「ねえ、大砲や」とロケット戦車を前にやたらとテンションの高い紅牙さんは、
どうやらこーいう巨大兵器にときめく属性らしい。
JRは妖魔一族の恐喝を拒否し、安全の為に新幹線の運行停止を決定。ところがノリコが誘拐され、
運行局長相手に「娘の命が惜しければ金を持ってこい」と脅迫テープが届けられる。
……あ、あれ?
つい3分前まで国家のインフラを狙う大規模爆破テロだったのに、
一瞬でただの誘拐事件になってしまいました。
この事態に動き出す山地一家。
「山地さん、ノリコを……ノリコをお願いします」
哲山が名乗った途端に局長が一瞬で信用するので、おそらく(こ……この方が“あの”山地哲山!)みたいな感じで、
やはり哲山の名はこの国の中枢の方に浸透しているっぽい。
翌日、取引現場に向かった局長は金の入ったトランクを渡してノリコを解放してもらうが、トランクの中身は新聞紙、
局長は闘破の変装であった!
「卑怯なおまえたちが、まともに親子を手放すとは思えないからな」
……いや、トランクの中身も確認せずに素直に娘を解放しましたよ?
と思ったら、ノリコは、またもや紅牙さんの幼女変装であった!
本物のノリコを捕まえて逃げるカラス天狗を追うジライヤだったが、それはジライヤを誘い込む罠。カラス天狗らに周囲を囲まれ、
ロケット砲の標的にされるジライヤ。だが、ジライヤは懐からボードを取り出し、仮にロケット砲を使えば自分ともどもボードも
木っ端微塵だ、とロケット砲を封じてみせる。
……というか、ビルとかタンカーとかが一撃で吹き飛ぶ威力なので、撃ったら妖魔一族ごと消し飛びそうな。
だがしかし。小狡い策を打たせれば哲山に唯一匹敵しうる男、鬼忍・毒斎様は動じはしない。即座に目標をノリコへと切り替え、
ジライヤがボードを渡さなければノリコを撃つ(勿論、捕まえているカラス天狗ごと!)、と脅迫する。
ここは、互いが策の打ち合いを見せてなかなか面白いところ。
また、ジライヤの両サイドを取り囲む形で、3体以上のカラス天狗が登場。妖魔一族も作戦規模が大きい時は、
アルバイトを雇う気概がある事を証明しました。
……まあ、大人の事情で、画面に一度に出てくるカラス天狗は3体が限界なのですが(笑)
一転追い詰められるジライヤであったが、その時、彼を助ける一匹のイカ……じゃなかった、一人の世界忍者!
姿を見せるやいなや、本家ロケットマンのロケット砲の一撃が、あっさりとロケット戦車を撃破。更に哲山達が駆け付けてノリコを
救い出すと、算を乱す妖魔一族に襲いかかる山地一家(あれ?)
もはや烈牙の相手は、恵美破。
そして紅牙さんを完全に子供扱いの父さん。
白兵戦に持ち込まれてからの妖魔一族の瞬殺ぶりは、忍法・あわれみの術レベル。
ジライヤは毒斎を追い、ここでOP2番、初披露。大量投入されたカラス天狗との斬った張ったの殺陣の末に、
磁光真空剣・横一閃三人斬りにより、カラス天狗3匹をまとめて撃墜するが、毒斎には逃げられてしまうのであった。
……本気で一目散に逃げましたよ、毒斎様。まあ、ロケット戦車が破壊されてしまった今、
妖魔一族にとって不利な状況でとどまって戦う理由は皆無なので、再生するカラス天狗を捨て駒にしつつ、
現状の利益(少なくとも数億単位)の確保を優先とする、高度な撤退戦術だと思われますが。毒斎様、小物だけど策士。
これぞ妖魔忍法・三十六計逃げるに如かず!
……書いていて切なくなってきましたが、戦術的には正しい。
プライドより金!
事件は無事に解決し、狂った衣装のまま、普通に上野公園に立って局長親子からお礼を言われるロケットマン。戦いを捨て、
ベトナムで守るべきものと隠棲していた彼だったが、それ故に、自分の名を騙って平和を脅かし、
子供を傷つける存在は許せないのであった。
名前と見た目の凄まじいインパクトで次回予告から輝きまくっていたロケットマンですが、格好が奇天烈なだけで、
普通にいい人であった、というオチ。「シーユーアゲイン」という、ある意味では不吉な挨拶を残し、ベトナムへ帰国。
次回、格好が奇天烈だけど普通にいい人シリーズで、あの男が帰ってくる!
意外に再利用するなぁ、『ジライヤ』。
- ◆第15話「呪いの魔女伝説」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
今回のお題は、忍術vs魔術!
冒頭、強引な写真とイラストでイスタンブールを描写(予算の都合です)。
そして、トプカプ宮殿の警備を使命とする世界忍者・牢忍ハブラムが再登場。宮殿の地下に夜な夜な響く、
女のすすり泣きの正体を突き止めんとしたハブラムは、地下で十字架と謎の剣を発見。鞘から剣を抜くと、
十字架によって封印されていた魔忍・シルビアが復活してしまう。
「私は、私の愛しい剣を手に入れ、この世を血の海にしてやるのだ」
剣を求めるシルビアから何とか逃げ出したハブラムは再来日して山地家に助けを求める。
ハブラムの持つ剣を見た瞬間、
「その剣を抜いたな!」
と、それが中世ヨーロッパに名を馳せた魔女である、魔忍シルビアの振るった血塗られた剣だと看破する哲山父さんは、
相変わらず何でも知っています。
ハブラムを追ってきたシルビアに苦戦するジライヤだが、最後は哲山が気合いで魔術を打ち払い、シルビアは一時撤退。
妖気漂い人を斬りたくなる魔剣である、と哲山はその夜は剣を預かる事にするが、この一連の話を聞いているカラス天狗の姿があった……。
見た目世紀末ひゃっはー団のハブラムさんはにこやかに屋上で寝るという迷惑だけどいい人だったが、
剣の奪還を目論むシルビアにあっさりと洗脳されてしまう。
仮にも忍者なのだから、気 配 で 気 付 い て。
それにしても、
「山地哲山が私の剣を持っている限り、取り返すのは難しい」
と、処刑後に復活を恐れた人々により、トプカプ宮殿の地下深くに封印された中世の恐るべき魔女すら脅えさせる山地哲山、
つくづく最凶。
翌朝、哲山が封印をほどこした剣を、富士の湖に埋めにいく闘破とハブラム。そしてそれを尾行するカラス天狗。その道中、
洗脳ハブラムはまさかの忍術の介在する余地の無いパワースラムで、闘破を崖に投げ飛ばし、剣を奪取して走り去る。
密かにガードしていた学と恵美破に助けられる闘破であったが、魔剣はシルビアの元に届けられてしまい、
「ご苦労だった、ハブラム」
「シルビア様」
とかしづくハブラムさんはなんかこう、洗脳されてもいい人っぽさ全開。
魔剣の生け贄として斬られそうになるハブラムであったが、そこへジライヤ参上し、挿入歌も初見参。
毎度毎度の事ですが、挿入歌が10話過ぎぐらいから入りだすのは、スタート時点では出来上がっていないのか、
初期はOPとEDを強調する、という約束事でもあるのか、謎なところです。
磁光真空剣と対抗しえる魔剣を手に入れようと、ジライヤとシルビアの戦いを遠目に、漁夫の利をもくろむ妖魔一族(安定の小物感)。
拮抗する戦いの中、ふらふらと姿を見せた洗脳ハブラムを恵美破と学が助けようとした所にシルビアが魔剣ビームを放ち、
ジライヤ達は崖崩れで洞穴の中に閉じこめられてしまう。
その隙ににシルビアに襲いかかるも、返り討ちにあうカラス天狗。烈牙と紅牙では相手にならないと、刀に手をかける社長。
遂に、1話以来となる毒斎様の本気戦闘?!
と思ったら、押し負けて撤退した!!!
えー、割と本気で毒斎様が強い所を見せるのに期待していたのですが、凄く普通に蹴り飛ばされました。……きょ、今日は、今日は、
朝チェックしたら大豆の相場が大打撃で本調子じゃなかったんですよ?!
私の脳内では、毒斎様は非合法活動で稼いだ活動資金を先物取引に突っ込んで失敗しがちな設定です。
一方、閉じこめられたジライヤ達は正気を取り戻したハブラムの怪力で岩を押しのけ、脱出に成功。
妖魔一族を撃退したシルビアとジライヤが再び切り結び、ハブラムの支援もあって、最後は磁光真空剣・真っ向両断!
さすがにジライヤが一対一でさくっと勝つと毒斎様の存在意義がまずすぎると思ったのか、
ハブラムの援護つきで勝利という形になりました。…………うんまあ、そういう事にしておこう。
こうして魔忍シルビアは消え去った。闘破達は封印した魔剣を富士の湖へと沈め、その怨念が完全に浄化される事を祈るのであった。
…………最後に剣を沈めるシーンでは何故かしれっと父さんが同席しているのですが、
息子の経験値を上げる為にわざと前線に出ないで後方待機して周囲を危険に巻き込むのは、少し自重してください、
父さん(安定のえげつなさ)。
刀のサビにされるとか、岩の下敷きになるとかで、勢いで始末される事が危惧されたものの何とか生き延びたハブラム(良かった)は
イスタンブールへと帰還。
「帰ったら忍者道に励み、二度と無様な真似はしない。誓うぜ、ジライヤ」
そうだ、修行しろ。
よく考えると3話の時も、宮殿の秘宝を無様に盗難されたのが来日のきっかけでしたし、今回も深く考えずに宮殿の地下に穴を掘り、
出てきた剣の封印を迷わず解いてしまったのが事件の原因でしたし、とんだトラブルメーカーです、ハブラム。いい人だけど。
まあこうなると、後半にも1話ぐらい、鞄一杯のトラブルを抱えて山地家を訪れてほしい気もしますが(笑)
ちなみにハブラムさんは来日時は、エリート商社マンに偽装してビジネスクラスでやってきます(脳内設定)。
- ◆第16話「風に泣くサイボーグ忍者! 風忍 馬風破」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:寺田憲史)
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妖魔一族の新たな戦力、<妖魔一族特殊忍者群>、登場!
それぞれが火遁・木遁・水遁・土遁の術のエキスパートである彼等の名前はそれぞれ、火・木・水・土って、
なんかもう駄目そうです。
冒頭それぞれの忍術紹介アクションはなかなか格好良く強そうなのですが、なぜか全員が自動小銃背負って手榴弾をぶらさげており、
自衛隊あたりからスカウトしてきたっぽい。
まずは憎きジライヤの始末を……と派遣される事になる4人だが、そこへ「お待ちください!」の声とともに、疾風の術の使い手、
風遁のエキスパート・風(演ずるは春田純一/ダイナブラック!)が姿を見せる。ある事情があって特殊忍者群に加わっていなかった彼だが、
その実力を評価され、毒斎様の鶴の一声でミッションに参加する事に。
その頃、山地一家は河原で修行中。
闘破が予備の武器を取りに行ったところを後ろから攻撃して
「闘破、武具に頼るもの、武具に敗れる。武具にばかり頼っていてはならん」
とか、父さんは常在戦場すぎます。
そこへ乱入してくる黒い車。
闘破「俺の車だ」
……って、盗まれた?(笑)
ひとしきり暴走して、闘破を轢き殺しそうになったりした車の中から出てきたのは、スミス博士。
アメリカから亡命して哲山の 軟禁 保護を受け、ジライヤプロテクターを開発した科学者であり、
哲山の依頼により最先端科学を取り入れて忍者カーをパワーアップしていたのであった。
「私の夢はですね、忍法の中に、科学技術を活かし、その忍法を通じて、世界の平和を守る事です」
(忍者訳:より強い力を持って力を制す)
……SDIに反対して亡命したスミス博士ですが、なんというか実に、アメリカ人っぽい(笑)
ナレーションにより忍者カーという名称だった事が判明した闘破の愛車ですが、パワーアップにともない、
「ブラックセイバー」という格好いい名前に改名。
そのブラックセイバーを試運転中の闘破に、襲いかかる<妖魔一族特殊忍者群>!
カーアクションと様々な忍術の攻防が描かれ、
新メカのお披露目・襲い来る強敵・ど派手な忍者戦
と力の入った展開。
思ったより強かったのか、「数の暴力」か、連携攻撃に追い詰められるジライヤ。
よく考えると、それぞれ特殊属性の能力を持った五人一組のチームが、強敵(ジライヤ)に立ち向かうとか、
色分けこそされなかったものの、後年だったら妖魔戦隊・オニレンジャーとか誕生してしまいそうな展開。
身動きを封じられたジライヤに迫る風の刃。だがその時、吹きすさぶ強風の音に幼時のトラウマを刺激されて、苦しみ出す風。
風が特殊忍者群に加えられなかったのは、強風の音の中では戦えないという致命的な弱点の為であった。
ここで苦しんで攻撃を出来ない風に対して、ジライヤを倒す千載一遇のチャンスにも関わらず、トラウマを乗り越えろ!
と風が立ち直るのを待つ他の面々、意外と仲間想い。
だが結局、風は戦闘不能。土が足を離した隙にジライヤは拘束を脱し、水中戦で、水を刺殺。
ごく普通に、ぐさっと行きました。
必殺技以外でのジライヤの殺しは、おそらく初。
そして地上に舞い戻ったジライヤのリモート操作により、ブラックセイバーから放たれたミサイルで、
消し飛ぶ火・土・木。
「闘破、武具に頼るもの、武具に敗れる。武具にばかり頼っていてはならん」
「闘破、武具に頼るもの、武具に敗れる。武具にばかり頼っていてはならん」
「闘破、武具に頼るもの、武具に敗れる。武具にばかり頼っていてはならん」
「私の夢はですね、忍法の中に、科学技術を活かし、その忍法を通じて、世界の平和を守る事です」
「私の夢はですね、忍法の中に、科学技術を活かし、その忍法を通じて、世界の平和を守る事です」
「私の夢はですね、忍法の中に、科学技術を活かし、その忍法を通じて、世界の平和を守る事です」
爆発に吹き飛ばされ、重傷を負って崖っぷちに捕まる生き残りの風に情けをかけ、手を差し伸べるジライヤ。
「忍者に情けは無用! この風、人の情けは受けぬわ!」
だが風は自ら手を離して崖下に落下し、死亡する。
妖魔戦隊オニレンジャー、ならぬ<妖魔一族特殊忍者群>を撃破された妖魔一族は、5人の死体を回収。
かろうじて脳の一部が無事だった風の死体をベースに、火遁・木遁・水遁・土遁、全ての術を身につけたサイボーグ忍者、
戦うコンピューター風忍・馬風破を造り出す。
突然、紅牙さんが妖魔一族の博士ポジションになってしまいました。先日のロケット戦車にやけに愛着を見せていたのはもしかして、
自分で作ったメカだっから?
またここでちょっと興味深いのは、なんの誤魔化しもなく、回収した<妖魔一族特殊忍者群>の面々を「死体」と断言している事。
ゲストキャラがざくざく殺されたりするわけではないですが、あまり考えて無さそうなところで、けっこう過激です『ジライヤ』。
漆黒のバイクスーツにヘルメットという出で立ちの馬風破は、同じく黒塗りのバイク・シャドーマッハを駆り、闘破を襲撃。
スーパーカーvsスーパーバイクのバトルもなかなか力が入っており格好いいのですが、ホイールから鋸を出す
とか、それは主役マシンの装備としてどうなんだ、スミス。
そして、ブラックセイバーに搭載された火器に物凄い勢いで頼りまくる闘破。
……まあ、実際の忍者も火薬兵器などには精通していた筈なので、間違っていないといえばいないのですが。
ジライヤは馬風破の操る多彩な忍術に苦戦し、前回の戦いと全く逆の形で崖っぷちに追い詰められる。その時、風の弱点を思い出し、
磁光真空剣の謎パワーで風の音を増幅。ジライヤを追い詰めていた馬風破は戦闘不能に陥り、その姿にジライヤは刀を収める。
「その体では、戦うのは無理だ。忍者にも情けはある。情けはあるんだ。風、わかってくれ、風!」
割とサーチアンドデストロイなジライヤに、「忍者にも情けはある」とか言われてもなぁ……と思うわけですが、
“情け”というよりも、“満足に戦えない相手を殺さないのが俺の誇り”みたいな。
……殺しの美学?
ジライヤの呼びかけと風の音に人の心の一部を取り戻した馬風破は戦闘を中止。
「今度会う時はおまえを倒す。俺の戦う為だけに造られたファイティングコンピュータが、そう指令しているんだ」
と再戦を約して去っていく。
だったら今すぐ白黒つけてとか、そもそも二人が何をわかりあったか意味不明とか、登場時は紅牙さんに「お嬢様」
とか傅いて良い感じだったのに、すっかりポンコツに。これが、サイボーグの宿命なのか……。
前編アクション盛りだくさんで、生身戦闘、カーアクション、共に面白かったのに、最後の展開は非常にがっくり(^^;
アクションに凝りすぎて話が二の次過ぎたというか、これだけの戦力と強力ゲストを投入するのだから、
素直に前後編にしても良かったような。馬風破自体はさすがにこれで出番終了とは思えず、再登場とかありそうですが。
- ◆第17話「夢破1 浜名湖に潜む魔王!」◆ (監督:辻理 脚本:藤井邦夫)
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暴れ回る鎧武者……「魔王」の夢を見た哲山は、闘破を浜名湖に向かわせる。
「魔王」とはかつて戸隠流の忍者が壮絶な戦いの末に封印し、現在は花忍一族が守護する、伝説の鎧であった。
身につけたものはその纏う霊気によって莫大な力を得るが、闘争と血を求める阿修羅となり果ててしまうという、
恐るべき呪いの武具である。
……この世に色々あるけど、浜名湖に魔王が潜んでいた、というのは、歴史的に初ではないだろうか。
そんなわけで、浜名湖レークサイドプラザ協賛、タイアップ編。
…………いつも思うのですが、この手のタイアップって、本当に広告効果あるのでしょうか(笑)
トランクに忍び込んでいた学に買収された闘破はホテルに宿泊するが、従業員の人達は微妙に怪しげ。
実は彼等は市井に潜んだ花忍一族の仮の姿であり、「魔王」を狙う外部の人間に神経を尖らせているのであった。
どうやら哲山は事前に渡りをつけてくれていたわけではなく、「野宿しろ」など、スパルタです。「密かに接触しろ」と言われたのに、
ホテルマンに堂々と聞いてしまう闘破も闘破ですが。
妖魔一族から「魔王を売り渡せ」と持ちかけられていた事もあり、闘破を怪しんだ花忍一族は警戒態勢を強化して全員集合。
ぷらぷら歩いていた従業員が、忍び装束に変身した途端、激走したりするのが楽しい。
ところが花忍一族には、既に毒斎様の調略の魔手が伸びていた。上忍・黒猿は「魔王を使って、
忍びの世界を征服しようではありませんか」と言い出すと、妖魔一族の登場に合わせて一族を裏切り、頭領を後ろから切りつける。
次々と討たれていく一族からくのいち・夢破を逃した頭領は、「魔王」の在処を語る事なく、
「黒猿、忍びの最後を、よく見るがよい!」
と壮絶な自爆。
通りすがりの闘破を敵と勘違いした逃亡中の夢破であったが、ジライヤスーツを見て誤解を解くも
「「魔王」は私が貰う! 私は魔王を着て阿修羅となり、必ずおまえを倒す」
と斜め上な方向で、黒猿に宣戦布告。
本日もモブ気味な烈牙さんを撃退し、二人はモーターボートを奪って逃走に成功する……。
ゲストヒロインの夢破さんは、ちょっと眉の太い80年代アイドル顔で、凛々しい女忍者にいいキャスティング。
率直なところ、麗破か紅牙さん素顔にこのキャスティングだったら、凄く盛り上がるのですが(笑)
ゲスト敵の黒猿さんも、繋がり気味の眉毛が素敵。
夢破は闘破の説得を拒否して「魔王」を入手しようとするが、妖魔一族につけられ、「魔王」の隠し場所を知られてしまう。
黒猿は浜名湖底の洞穴で遂に「魔王」を発見し、装着。ここで妖魔一族に対し、水上バイクで駆け付けたジライヤのアクションシーンは秀逸。
いったいぜんたいどうやって、全身鎧を身につけた状態で湖面に浮上するのかと心配させた魔王黒猿は、
洞穴の上に存在していた島の岩肌をぶちやぶりながら登場。いよいよ、目覚めた「魔王」vsジライヤ! という所で次回へ続く。
- ◆第18話「夢破2 霊気が燃える大砂丘!」◆ (監督:辻理 脚本:藤井邦夫)
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あらゆる忍術を跳ね返す「魔王」の力に追い詰められるジライヤと夢破だったが、駆け付けた哲山によって窮地を救われる。
その一方、「魔王」を入手した黒猿にあっさり裏切られる毒斎様、この圧倒的安定感。
「魔王」を倒す秘術があるのでは? と闘破に詰め寄られるも、そんなものはない、とにべもない哲山は学と風呂へ。
「闘破は焦っている。焦っている内は、どんな事をしても勝つ事はできん。カラス天狗が監視しているのにも気付かないようではな」
どこまでも、圧倒的貫禄。
夢破は「魔王」の力の前に戦意を失い、復讐は諦め「忍びの世界の事は全部忘れるわ」と闘破に告げる。
また毒斎は黒猿とジライヤの共倒れを狙い、「だから今は黒猿に協力するふりをするのだ。それが利口というものだ、ふははははは」
圧倒的小物感を発揮。
しかし毒斎様は、そこがいい。
一人で黒猿を撃破せんとした闘破は妖魔一族の襲撃を受け、花忍一族の裏切り者をざくざく斬殺するが、「魔王」の纏う
イデ霊気バリアに磁光真空剣を阻まれ、敗北。なんとか逃げ出した闘破の前に立つ哲山。
「闘破、なぜ今の自分が勝てぬかよく考えてみるといい」
『ジライヤ』の特徴的な所で、物語の軸を「親子関係」そして同時に「師弟関係」に置くことによって、山地闘破/ジライヤは、
未熟でしばしば敗北するキャラクターであるが、教え、諭され、学ぶ事で成長する主人公となっていて、この構造は実に良い。
「闘破、焦りを捨て、勝とう思うな」
「魔王」は戦う気持ちに反応して、霊気を増幅させる。「魔王」を打ち破るには、闘志を捨てながら無心でその懐に入り込むしかない。
もしや夢破はその為に忍者の世界を忘れると言ったのでは……? 彼女の真意を知る闘破であったが、その夢破が搭乗していた遊覧船が
妖魔一族によってジャックされてしまう。
遊覧船の乗客を救いたければ大砂丘で「魔王」と戦え、とジライヤは脅しを受け、モーターボートで遊覧船の救出に向かうは山地哲山!
……と見せかけて、哲山に注目が集まった所で水中から近付いたジライヤが急襲。慌てた紅牙は乗客の子供を人質に取ろうとするが、
夢破を見張る学のサポートとしてやってきていたケイに阻止される。学を人質にされた烈牙も夢破に退けられ、妖魔一族は撤退。
最強のカード(山地哲山)を囮にしてジライヤが奇襲、更に二重の伏兵(ケイ)を仕掛けるなど、
単調なパワープレイに陥らないのが今作のいい所。仇役である妖魔一族の在り方も含め、
“忍者”という点を強く意識しているのでしょうが、敵が小狡いが、味方もしっかり策を巡らせる
というのは楽しい所です。
これぞまさしく、兵は詭道なり。
……遊覧船のエキストラの皆さんは、ちょっと余裕ありすぎましたが(笑)
特に、「あー、一仕事終わった」感満載で退場していく船長さん。
遊覧船の乗客を救ったジライヤは後を哲山に任せ、夢破とともに大砂丘へと向かう。磁光真空剣・稲妻落としすら弾き返す
「魔王」を前に、ノーガード戦法を取る二人。対峙する敵意を見失った「魔王」の霊気は衰え、磁光真空剣の一閃で至近距離から
その体を貫くと、弱った所を、斜め両断!
かくて「魔王」はその力を失い、黒猿は消滅。伝説の鎧は再び封印され、山地一家はその守りを夢破に託すと、
浜名湖を去っていくのであった。
次回、
また奇天烈な見た目の世界忍者
と思ったら
遂に、逮捕
そして
あいしゃるりたーーーん
予告だけでお腹一杯すぎます(笑)
→〔その4へ続く〕
(2013年3月9日,3月17日)
(2018年1月14日 改訂)
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