■『世界忍者戦ジライヤ』感想まとめ2■


“天には星 大地に花
人間には愛 おれには夢”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『世界忍者戦ジライヤ』 感想の、まとめ2(7〜12話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ3〕  ・ 〔まとめ4〕 ・ 〔まとめ5〕
〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕  ・ 〔まとめ8〕 ・ 〔総括〕


◆第7話「ジャングルのハンター 獣忍マクンバ」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
 そろそろ覚えよう、縞縞の人は、星忍・烈牙(れつきば)。
 飛び道具を額から取り外して投げつける、というところは好きなんですが(笑)
 学校の授業で絶滅の危機に瀕する野生動物の話を聞き、毛皮売り場に「おれたちの命をかえせ」と書いた半紙を貼り付けて回って 補導される学。
 「殺される動物の気持ちがわかるかよ!」と泣く学を見ながらうんうん頷く父さんは、
 悪の忍者一族を虐殺した過去を持ちます。
 その頃、日本の密輸組織と取引をしているアフリカの世界忍者・獣忍マクンバが、組織の情報を書き残した密猟者ハンターの手紙を 追って来日。既にマクンバによって始末されたハンターの名はジョー。哲山の愛弟子の一人であり、 彼が結果的に遺言となった手紙を送ったのは、師・哲山であった。
 「命。これ以上の言葉はあるまい」
 道場で満足げに習字をする哲山めがけて、飛び込んでくる火槍! 貫かれた半紙の、「命」の文字が燃え上がるのは格好いい。 そして哲山の命を狙い、切り込んでくるマクンバ。マクンバの動作の度に、獣の吠え声のSEが入る、という演出も秀逸。
 足の怪我も癒えて完調に近い父さんは、相変わらずの格好いい生身アクションでマクンバを撃退。 哲山のアクションは単純に強いというだけではなく、基本は長物で足を狙いにいく、という特徴付けがされているのも良いところ。 後に、足を潰しにいくなどのリアルな殺陣、というのを『七星闘神ガイファード』という作品がアピールしますが、 約10年前に山地哲山がやっていた、という事実。
 「動物たちはもちろん、人の命は尊いものだ。わかったな」
 ジョーの手紙を知り、密輸組織の調査に向かう闘破に哲山が告げるのですが、前回の今回で命の尊さを説いても、 親子揃ってまるで説得力はない(笑)
 忍び込んだビルで、スニーカーに仕込んだ針金で鍵開けしてしまう闘破(糸状のものを口で湿らせると硬化する、 というギミックは忍者の小道具らしさが出て、秀逸)。
 とある、魔法使いの出てくるマンガで
 「思うに我々の技能は非常に盗ッ人向きなんじゃないかと思うね」
 という台詞があるのですが、現代に生きる忍者は、まんますぎて危険。
 闘破の潜入により密輸組織が取引を早めるという情報を入手した妖魔一族、戦力強化の為に武器をかすめ取ろうと画策し、 闘破より先に取引現場へ乗り込み、「我等は妖魔一族、武器をもらいにきた!!」……って、この人達はもう、面白すぎます。

 しかしマクンバの待ち伏せを受け、カラス天狗一匹、木っ端微塵。
 続けてもう一匹、大爆死。
 ここはマクンバの実力を見せる為のシーンなのですが、ざくざくやられていくカラスさん達が可哀想すぎます。 まあ《種族:妖怪》なので、一週間足らずで復活しますが!(もしかしら新規に補充されているのかもしれませんが、 個人的には再生説を採りたい)
 烈牙もマクンバに退けられ、挙げ句の果てに、密輸組織社長の操るクレーン倒されそうになる紅牙。
 妖魔一族の横槍に様子見していた闘破と学はその光景を目撃。
 学「あいつは悪いやつだ、いい気味だ!」
 ……だが。

 「命!」

 武闘着っぽい新衣装で背後に姿を見せる父。
 「命だ。妖魔一族は戸隠流の敵には違いない。しかし闘破、人の命が絶たれるのを、おまえは、黙って見ていられるのか!」
 説得力は皆無ですが、ここで、主題歌とともにジライヤへの変身シーンになる演出は格好いい。
 特撮ソングというのはイントロだよなぁ、と改めて思わされます。
 なお父の立場からすると、袂をわかったとはいえかつての友(毒斎)の娘、紅牙さんに関しては小さい頃を知っている縁、 とかもありそう。
 ジライヤvsマクンバ……の合間に繰り返し挿入される、クレーン車に吊り上げられてネットの中でもがく紅牙さん(笑)
 ジライヤvsマクンバ→もがく紅牙(海に捨てられそう)→ジライヤvsマクンバ→もがく紅牙(海に捨てられそう)→ ジライヤvsマクンバ→もがく紅牙(海に捨てられそう)……とカットの切り替えが続いて、凄く面白い事に(笑)
 戦闘の合間、一瞬の隙をついてジライヤの剣がネットを切り裂き、紅牙を救出、紅牙は捨て台詞を残して逃げていく。
 「ジライヤ、余計な事をするんじゃない。私はいつでも脱出できたんだからね! フン!」

 フ……フラグ立った!

 義理の妹との間に好感度設定がある上に、まさか7話にして早くも敵の女幹部とフラグ立てるとは、恐るべし、山地闘破……!
 ジライヤがマクンバと戦っている間に、哲山は密輸組織のチンピラ&社長を撃破して大活躍。社長にパンチを炸裂させた際に 凄い音がしていましたが……大丈夫か……命。
 戦力的にジライヤを食ってしまわないか心配された父さんでしたが、今回はジライヤが世界忍者の相手をしている間に関係する悪人を 叩く、というバランスのいい展開。今後もうまく、使い分けてほしい所です。
 倉庫にマクンバをおびき寄せたジライヤは、幻術発動……と思ったら学が影絵の要領で仕掛けた虚仮威しだった、 というトリックなのですが、ついてきた学の存在意義を出しつつ、強敵として描写されたマクンバとの戦力差を家族の協力と 精神的に動揺させる事で埋める、と丁寧な構成(そこまで考えていなかった可能性もありますが、結果的にそうなっている)。
 混乱して逃げ腰となったマクンバを追い詰めるジライヤ。
 「マクンバ! 俺は命の大切さは知っている。だが、卑怯者のおまえだけは許せない!」
 磁光真空剣・真っ向両断!
 あー、まさか作品自ら、実質的な殺っちゃってます宣言を明確にしてくるとは(^^; (もっとも、 変にテーマとして拘って中途半端になるよりは、この方がいい。)  この辺りの「悪人に人権はない」が露骨なのも、今作の70年代臭が強い所ではありますが。こうやって流れで見ると、 この2年後の『特警ウインスペクター』が如何に革新的だったかがわかります。今作でも世界忍者が純然たる悪人にして単純明快な “敵”とは限らず、例えば紅トカゲさんレベルでも生き延びるとか、色々と萌芽は見えるのが面白い所ではありますが。
 あと高久進は基本的に70年代よりの人ですが、「卑怯者」は高久さんの中でマジックワードなのだろうか(笑)
 こうして密輸組織は壊滅。ジョーの仇を討った山地一家は、アフリカに想いを馳せるのであった……。
 ナレーション「命。それは何者にも代え難い尊いものだ。山地一家は、人間はもちろん、 動物たちの命をこよなく愛する地球家族であった」
 怖いわー。
 忍者家族、線引きがドライすぎて怖いわー。
 普通なら、回のテーマと内容の乖離っぷりに頭抱えて呆れる所なのですが、6話までを踏まえた上で、 最初から最後まで説得力が絶無でかえって面白くなってしまったという、 奇跡のエピソード(笑) 特に前回、「音忍一族を殲滅した」という過去を語るエピソードの直後に来たのが、非常に効きました。 たぶん順番が逆だったら、両話とも、何だかなぁ、とスッキリしないものになってしまったと思います(特に今回)。まさに、 ミラクル戦士ジライヤ。
 また今回は、全編通して演出が秀逸。細かいギミックが面白かったです。

◆第8話「暗殺はデートの後で」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:藤井邦夫)
 闘破とケイに、来日したアメール国の元プリンセス・マイラ平和大使のガードを突然指令する哲山。
 ……どう考えてもこの二人が一番不審者なのですが、哲山はなんか世界各地に妙なコネを持っていそうなので、 既に根回し済みっぽい気もします。
 そしてマイラ平和大使は、かつての独裁王政の復活を画策する支持者達によってその命を狙われていた!
 マイラの暗殺を妖魔一族に依頼する世界忍者・剛忍アブダダを演ずるは、大月ウルフ!!
 下手に固定セット作るより面白くなる時はありますが、本日の毒斎様の根城はなぜかライブハウス。 周囲に陣幕を張るとどこでもアジトに早変わりするのが、零細企業・妖魔一族の素晴らしい所。
 そして裏では暗殺を依頼しているアブダダが、叔父様として忍者衣装抜きで平然と宿泊先のホテルに姿を見せる、というのもいい。
 妖魔一族の襲撃を受け、どさくさの中でケイは「忍法・顔移し」を用いてマイラの身代わりを務める羽目に。一方、 マイラを救出した闘破は、彼女の願いを聞き、彼女の母の思い出の地だという鎌倉に向かう事に。
 鎌倉デートは、しっかりと鎌倉ロケ。
 『ジライヤ』はメカ特撮が無い分の予算を、キャストとロケに回しているのかしら。
 姪っ子を手にかけるのはさすがにしのばれる、と言いつつ結局直接出てきたアブダダは、なぜかビーム砲を使用。 それだけかと思ったら、ラストは地割れを起こし、大爆発! と思わぬ破壊力でジライヤ、恵美破、突破を苦しめるが、 「忍法稲妻落とし」を受けて幻術を破られ、磁光真空剣でずんばらりん。
 突破さんはもう少しジライヤに突っかかる役割かと思っていたのですが、全然そんな事は無し。そして烈牙と同じフレームに入ると 本当に危険。
 次回、あの男が帰ってくる! (BGM:『暴れん坊将軍』OPテーマ)

◆第9話「ワナワナ罠のパコ作戦」◆ (監督:岡本明久 脚本:高久進)
 カラス天狗による銀行強盗を追う麗破と突破だったが、それは妖魔一族による罠で、麗破が捕らわれてしまう。
 「妖魔一族がこんなはした金を狙うと思うのか。くれてやる」
 と札束をばらまく紅牙さんは気持ちよさそうではありますが、内心、
 (もったいない……)
 とか思っていそう。
 多分、そのまま残りのお金持って帰っているし。
 麗破の身柄はボードと引き替えだと言われて、山地家に土下座しに来る突破に、ボードを渡す哲山。ついでに、「麗破は国際秘密捜査官だ」と、 二人が隠していた事をあっさりバラす(笑)
 この辺りの、どうでも良さそうな伏線をどうでもいい感じに解消してしまうのは、前作同様。父は何でも知っている。
 むしろこれをチャンスに妖魔一族のボードを奪ってやろう、と作戦を練るジライヤと突破であったが、 妖魔一族に見破られて逃げられてしまう。ついでに人質の麗破を始末する(お約束)のかと思いきや、ボードを奪った事に満足して、 あっさり返すのが実に妖魔一族らしい。
 しかし、そこに現れる白馬。
 復活のフクロウ男爵、紅牙さんを抱きしめてボードを奪う。
 そして、投げ捨てる(ひどい)。
 「ボードの残り半分を持ってこい」と妖魔一族に告げ、走り去るフクロウ男爵だが、そこへ立ちはだかるジライヤ、
 「俺は昔の俺とは違う。あれから戦いの場数を踏んだ」
 (忍者語訳:「戦い」=「殺し」
 ここでジライヤとフクロウ男爵の戦闘を挟んだのは、実際にジライヤが戦闘力を上げている事を明確に示す演出で良かったです。 相変わらず、馬にまたがりっぱなしのフクロウ男爵のアクションもなかなか凄い。
 そして、敬虔なキリスト教徒なのに、十字架に爆弾を仕込む男爵。
 しかしジライヤを捲いてアジトへ戻ったフクロウ男爵の前に、馬を脅えさせる男・山地哲山現る。
 哲山は木の枝で男爵を撃破。
 「殺生は好まん」
 (忍者語訳:必要とあればいくらでも殺るが、別に殺しが好きなわけではないし、無駄な殺しはむしろ素人のやる事である)
 そんな哲山に男爵は自分がパコを求める理由、「パコによって愛を満ちた世界を造りたい」という理想を語り、哲山はその志に共感。 協力して毒斎からボードの半分を奪おう、とフクロウ男爵にボードを託し、ジライヤ・麗破・突破の3人に、 男爵をフォローするよう指示するのであった。
 富士の裾野で対峙し、お互いの持つボードを合わせる毒斎とフクロウ男爵。その時ボードが光り輝き、遂にパコの在処を読みとる毒斎。 同時に毒斎は足下に仕掛けていた罠を発動し、男爵の背を毒矢が貫く! ジライヤ達の助けも間に合わず、 更に烈牙の矢を受けたフクロウ男爵は、最後の力で取り戻したボードの半分をジライヤに託すと、 「あいしゃるりたーーーん!」の叫びとともに、滝壺へと落下。
 格好いいシーンなのかどうか、よくわからなくなってしまいました(笑)
 パコの隠し場所を探し当てた妖魔一族であったが、ドリルで掘ったらなぜか、大・爆・発。
 今回も、カラス天狗、無惨に木っ端微塵。
 妖魔一族はパコを手に入れ損ねて撤退するが、果たしてボードの情報には何の意味も無かったのか……?
 「毒斎は私の策略にはまったのだ」
 実は万が一を考え、哲山がボードに細工、それと知らずに互いを合わせても偽情報を浮かび上がるようになっていたのであった。 そして偽情報の場所には、遙か先人が邪悪な意志を持つものに対するトラップを仕掛けていた。かくて再び、本当の隠し場所を知るべく、 ボードを巡る争いは続くのであった……。
 富士をバックにいななく白馬を見て、「惜しい男を失った」と呟く哲山。
 滝に落ちたので基本的に生死不明ですが、ナレーションで「さらば城忍フクロウ男爵」と言われてしまいました(笑)  復活するかどうかは、話の都合と人気次第、といった所でしょうか。
 早くもパコの隠し場所が判明してしまうという驚愕の展開かと思いきや、父さんの偽情報でした、 というオチ……なんですが……えー……あれー……父さん明らかに、フクロウ男爵も始末する気満々だったような。
 実力差を見せつけた上ですぐには殺さず、同調した風を装って自陣営に引き込み、 妖魔一族抹殺の為の捨て駒にするとか、父さん、えぐい、えぐすぎる。

 恐るべし、戸隠流宗家!

 恐るべし、山地哲山!

 今後も使うかはわかりません、弓矢をアクションに取り入れてきたのは面白い。
 全編アクション満載に、各種勢力が入り乱れてパコの秘密を争う、と一回ここで『ジライヤ』の基本をまとめたようなエピソードとなりました。
 全体的に『ジライヤ』は、何かくびきが外れたのか、撮っている側が楽しそうなのは好印象。

◆第10話「生か死か!霊幻忍法の恐怖」◆ (監督:岡本明久 脚本:高久進)

 忍者vs功夫!
 と、トンデモ伝奇武侠小説のアオリみたいですが、そんな第10話。
 横浜中華街へ春節祭見物に出かけた山地兄弟、同年代の中国人美少女に声をかけられてふらふらついていった学が「もっと強くなれる、 龍の力を得る薬」と言われて、赤邪丹という変な薬を飲んでしまう。ダーク学となり、暴れ回る学は闘破に取り押さえられるが、 薬の副作用で激しい頭痛に苦しんで入院してしまう。赤邪丹の正体は麗破曰く
 「今、現実の厳しさから逃げ出したいヤングの間で流行ってるの」
 という興奮作用をともなう麻薬であった。
 「ヤング」ってこの時代に流行した単語だったのだろうか……と思わず調べてしまったのですが、 Twitterで教えていただいたりしたところ、むしろ60〜70年代の流行り言葉で、高久さんの脳細胞に変な形で降臨したっぽい。
 ……或いはこれ、実は麗破さんが見た目通りの年齢ではない、という伏線とかだったらどうしよう(笑)
 そして学に薬を渡した少女の正体が紅牙さんの変装だったという衝撃の展開。
 戦闘力は麗破どころか恵美破ともどっこい疑惑がある紅牙さんですが、意外とオールマイティ。 10代前半の少女を演じきれる心の強さも含めて。
 麗破の頼みで突破と共に赤邪丹の取引現場を押さえようとした闘破だったが、気付かれて逃げられてしまう。 紅牙を追う闘破の前に立ちはだかるのは……酔っぱらい。もとい、世界忍者、漢忍・緑龍。
 酔拳使いの緑龍vsジライヤの戦いは、かなり力の入ったカンフーアクションで、とにかく中の人が凄い。
 今作の生アクション路線は、息切れしないで今後も期待したいところ。
 突破と幾度か戦った因縁を持つ緑龍は香港の犯罪組織に属する名うての暗殺者であり、 妖魔一族と取引して赤邪丹を日本に広めようとしていた(なお、緑龍のスーツアクターを務めた喜多川務氏は、『マスクマン』において 武術家でもある広田氏から中国武術の指導を受けており、今回の緑龍と突破のマッチアップは、内部的に師弟対決という繋がりもあった模様)。
 毒斎様「日本のヤングどもは享楽に走り、刹那的に生きておる」
 ゴッドネロス様でさえ、「ヤング」とか言わなかったのに、言わなかったのに!(笑)
 突破から緑龍の恐ろしさを聞く闘破だが、戸隠流忍術で倒してやる、と意気盛ん。いつにも増して人の話を聞かないなぁと思ったら 学の件で頭に血が昇っているようで、この辺りは構成が巧い。そんな闘破の様子に、「彼はカンフーを甘く見ている」 と心配する突破、不安を感じる哲山。
 紅牙を追っていた麗破と突破が待ち伏せを受けて緑龍に破れ、麗破の救援要請を受けて飛び出していこうとする闘破に、 哲山は言葉をかける。
 「闘破、忍法とは、心と体を鍛錬し、正義を守るための武芸だ」
 「親父、いったい何が言いたいんだよ」
 「少しでも心に油断が、慢心があれば技を鈍らせる。それを忘れるなよ」
 しかし哲山の忠告もむなしく、緑龍の幻術攻撃にはまってしまうジライヤ。苦戦するジライヤに更に背後から斬りかかったのは、 火忍チャン・カンフーの息子!
 表記が、火忍チャン・カンフーの息子
 なんだか扱い酷い(笑)
 個人名は無いのか(^^;
 スーツを切り裂かれ、危地に陥るジライヤは磁光真空剣で起死回生を狙うが、緑龍の幻術に阻まれる。幻の龍の炎を浴び、 宙づりにされるジライヤ、更に迫る火忍チャン・カンフーの息子の刃! かつてないピンチに、果たしてこのまま 「ジライヤは中国忍法の、餌食にされるのだろうか」……結局、中国忍法になってしまいました(笑)
 世界忍者2体投入で、まさかの続き展開。チャン・カンフーの息子は最後の最後まで出てこないので、キャスト表記は仕方ないとして、 次回予告で見せてしまったのは勿体なかった気がします。
 そして次回、割と早くパワーアップの模様。出だしがバタバタしていた割には、一通りのキャラ話→LVが上がって少し調子に 乗り出す闘破→大ピンチ、とスタンダードながら構成が真っ当で話にノリやすいのは、世界観がトンデモなだけに、今作のいい所。

◆第11話「怒りの闘破・真っ向両断!!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
 緑龍とチャン・カンフーの息子(以下:「の息子」)の攻撃を受け、大ピンチに陥るジライヤ、何故か流れ出した EDテーマをバックに袋叩きに。
 まさに、番組完結の危機?!
 その時、麗破と突破が救援に現れるが、3対2でも実力差は歴然で、役に立たない二人。
 「無明の闇の世界へおくってやる」
 とか、台詞の格好いい、「の息子」。
 いよいよ追い詰められたその時、麗破がバイザーを持ち上げると、目からビーム。 磁光真空剣に反射したビームが大爆発を引き起こして緑龍と「の息子」は退却するが、麗破が意識を失って倒れてしまう。
 切り裂かれたスーツを手に道場へ戻ってきた闘破に、慢心を問う哲山。
 「武芸に秀でたものは、素手でも相手を倒せる。武器はあくまでも手段であって、武芸の究極の道ではない。如何に名刀があろうとも、 使い手の心に隙間風が吹いていれば、その刀は、単なる棒きれにすぎんのだ」
 闘破の傷の具合を見た哲山は、道場をケイと学に任せると、二人で麗破のもとへと向かう。どうやら哲山、医術の心得もある模様。
 その頃、緑龍・「の息子」・毒斎様の3人は、東京タワーを観光していた。麗破の、目からビーム、を 「俺達の知らない忍法だ」と語り合う3人。
 演出を見るとどうやら宇宙忍法のようですが。
 緑龍と「の息子」がジライヤ達を追い詰めにかかる一方、ボードを手に入れるべく、妖魔一族は手薄な道場を狙う。が、 クロ(犬)とシロ(鳩)に勘付かれて既に待ち伏せ状態(^^; 次々と襲いかかる罠に、紅牙、烈牙、カラス天狗、 無残に撤退(笑)
 というかカラス天狗1匹、落とし穴で死亡。
 妖魔一族の株価はともかく、ここは年少組が悪党を撃退&忍者道場は仕掛けが一杯、となかなかワクワクするシーン。
 紅牙と烈牙は、救済の余地が無くなりつつありますが(笑)
 一方、麗破を見舞った哲山は、スーツを手に、いずこかへと向かう。
 タクシー乗ったりバスに乗ったりタクシー乗ったり……は、尾行を警戒している演出?
 訪れたのは、一軒の隠れ家。そして天井から現れる一人の男。
 天井から、しゅたっ、という感じで白衣姿の中年白人男性が現れる、という映像は面白すぎました。
 彼の名は、スミス(どうやら、哲山の弟子筋らしい)。
 自分の研究を軍事利用されたくないと、「スター・ウォーズ計画(SDI)」に反対して亡命中の科学者であり、 山地哲山が「日本に亡命するお手伝い」をしていたのであった。
 ………………アメリカ人の科学者を、日本に亡命させたのですか父さん……。
 事実なら国際問題まっしぐらすぎるので、公式な「政治的亡命」ではなく、「身を隠して逃亡」 レベルかとは思いますが。
 やけに警戒していると思ったら、相手は妖魔一族ではなくてCIAとか海外の諜報機関でしたか。
 そんなスミス博士が研究しているのは、北極の氷河から発見された隕石であり、なんとジライヤスーツと磁光真空剣は その隕石に似た物質で出来ていた。博士は依頼を受けて作成していた、隕石から取りだした物質で作り出したジライヤスーツの プロテクターを哲山に託す。
 母国に居られなくなった博士を亡命という名目で 閉じこめて 匿って、戦力強化の実験をさせているとか、

 山地哲山、えげつない。

 どこまでも、えげつない。

 父がスミスと接触している頃、「宇宙……宇宙って……広い、宇宙……」と麗破の謎の譫言を聞いていた闘破は、 不思議と懐かしい想いにとらわれていた。そんな中、麗破の隠れ家へ迫る妖魔一族。自分を救う為に全てのエネルギーを放出した麗破を 守るべく、彼女を突破に任せ、闘破は命がけの囮を買って出る。
 ジライヤスーツ抜きで、生身で緑龍、「の息子」と戦う闘破。刀を振り回す相手を竹藪に誘い込んだり、 不意を付いて膝の裏を潰しにいったり、ラーメン忍術とか変わり身の術などの奇想天外な忍術アクションの合間に、 リアル指向の戦術が適度に混ざっているという殺陣は実に面白い。
 そして哲山が現れ、修理されたジライヤスーツと強化プロテクターを装着する闘破。肩アーマーと喉輪、アイガードが追加され、 ぐっとヒーローらしいデザインになりました。
 パワーアップしたジライヤは、緑龍と「の息子」を二人まとめて、ずんばらりん。
 前回から散々苦労した二人を、圧倒的に蹴散らす事で、パワーアップを象徴的に見せました。
 基本、装甲値が上がったのと、突撃精神が身に付いただけですが。
 防御力、大事。
 「の息子」はこう、憎しみの連鎖をどうするのか、とか多少はあるのかと思ったのですが、 パワーアップ展開でそれどころでなかった事もあり、ざっくり殺してしまいました。
 まあ、一族郎党皆殺しにすれば、復讐される心配もないですしね!
 そして緑龍は、変な幻術に頼らず、酔拳で戦った方が強かった(^^;

◆第12話「折鶴のペンダントは愛の誓い」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:藤井邦夫)
 前回に引き続き、男所帯で看病されて寝たきりの麗破さんが可哀想すぎるので、早くケイちゃんを派遣してあげて下さい。
 変に悲壮感漂う男二人は、パジャマに着替えさせたのがどちらか告白して土下座するように。
 そんな麗破を見舞った帰り道、道へ飛び出してきた少女を轢きかけた闘破は、襲撃してきた忍者を撃退するその父親と出会う。 彼の名は、三村啓介。10年前、戸隠流に他流試合を挑むも、哲山に滅多打ちにされた紙忍一族の忍者であった。彼は近年、 金を目当てに暗殺や犯罪に手を染め始めた紙忍一族を抜け、その為に抜け忍として一族から追われる身となっていた。 三村の境遇に同情した山地一家は、彼と娘のカスミをかくまう事とする。
 「海岸で自爆した下忍が……」とか
 「娘のためにも、いつかは普通の暮らしを……」とか
 忍者同士の会話が、ナチュラルに凄くシビア(笑)
 その頃、札束を机の上に並べて楽しそうな毒斎様達のもとに、紙忍一族の抜け忍ハンター・折破(おるは)が姿を見せる。
 ここは劇中屈指の忍術使い(である筈)の毒斎様と絡ませたり、折り紙を操りなかなかの凄腕を見せる折破の忍術披露シーン。
 しかしこの人達、金次第で幾らでも情報を売る連中と思われているのだろうなぁ……(笑)
 零細企業の上に戦闘力の微妙な妖魔一族が割と大きな顔をしているのは、都心部及び国際的な情報力の高さが理由ではないかと 思われます。あと多分、本気を出したら毒斎様が凄く強い。多分強いと思う。強いんじゃないかな。まちょっと覚悟はしておけ。
 建設現場で働きだした三村、闘破と一緒にお弁当を届ける娘カスミ、周辺を警戒する学、折破の話で興味を持ったのか、 その様子を見張る烈牙(この情報収集能力!)。
 烈牙は三村の所在情報を折破に100万で売りつけるが、幻術による紙のお札で騙される(笑)
 単独行動っぽいので、会社に入れるというよりは小遣い稼ぎのようですが、烈牙さんは2クール保つかどうか不安になってくるレベルの チンピラっぷり。かつて、たった10話でここまで墜ちた敵幹部が居たでしょうか。…… 探すと居たかもしれないのが、怖い所ですが。あと根本的に、烈牙さんを「幹部」クラスで考えていいのかについては、 物凄く悩みます。
 折破vs三村&学。追い詰められる三村だが、そこへジライヤが駆け付ける。前回装着のプロテクターは無しで、どうやら、 戦闘の本気度で使い分ける模様。戦闘のさなか、ジライヤは折破の刀の柄に、カスミの持っていたペンダントと同じ折り鶴の模様が 刻まれている事に気付く。カスミの名前に動揺した折破に反撃を決めるが、そこへ現れたカスミが折破をかばい、折破は一時撤退。 カスミのペンダントは折破からプレゼントされたものであり、二人は幼い頃から想いを通わせる仲だったのだ……。
 切り紙で戦闘員を作り出すなど、折破は実力派の忍術使いである事が繰り返し描写されてアクションも格好いい、格好いいのですが、 どうして、青いタイツオムツっぽい白い短パンですか。
 「カスミ……こうなるのは紙忍一族として産まれ、掟に生きる俺とおまえの運命。俺は抜け忍を斬る!」
 折破からの挑戦状を受けた三村は、娘と折破の関係に複雑な想いを抱きながらも、山地一家に娘の幸せを祈る置き手紙を残し、 一人、決闘の場へと赴く。だがそこへ烈牙とカラス天狗が乱入し、大爆発で吹き飛ぶ折破。
 「おのれ、烈牙……」
 まあ、ああいう、ひたすらしつこく根に持ちそうな人の恨みを買ってはいけない、という好例です。
 置き手紙を見た闘破、ケイ、カスミが駆け付けるが時既に遅く、折破を逃がそうとして烈牙に斬られる三村。
 怒りのジライヤの攻撃を受け、烈牙、海に蹴り落とされる(笑)
 烈牙相手では、本気出す(プロテクター装着する)必要もありません。
 そして恵美破が凄く自然にカラス天狗を斬りました(笑)
 娘達に見守られ、最期の言葉を残して息絶える三村。そこへ姿を見せる負傷した折破。
 「これで貴様達の下さらない掟は守られたのか!」
 「ジライヤ……」
 「許さん、俺は許さん! 正統派忍者の名にかけて、悪の忍びの掟など叩きつぶす!」
 ジライヤの名乗りの「正統」って、そういう事だったの……?(笑)
 ちゃんちゃんばらばらの末、負傷の影響もあってかジライヤに破れる折破。
 「負けた……斬れ」
 「よし、斬ってやる!」
 わざわざ、本気出して(プロテクター装着して)から斬る!
 「磁光真空剣、斜め両断!」
 ジライヤの必殺剣によって切り裂かれたのは、折破の仮面。素顔をさらして呆然とする折破に、ジライヤは告げる。
 「おまえの心は既に迷っていた。俺は、その迷う心を斬った」
 ジライヤ、見事な大岡裁き。
 「抜け忍・三村啓介の最後の言葉を伝えよう」
 あー、この前のシーンで、瀕死の三村さんがジライヤに何か言って、周囲がうんうん頷いているけど音声無し、 というのは最後に持ってくるための演出だったのか。そのものがちょっとわかりくかったし、ジライヤが伝える、 肝心の締めの台詞が長すぎて演出としてはうまくいかず。
 一族の掟に縛られず、紙忍一族の幸せを祈りながら、幸せになってくれ、という三村の言葉に、 折破は一族の掟よりも自分の心に忠実になる事を決意。三村の墓に折り鶴のペンダントを供えると、カスミと二人、 いずこともなく去っていくのであった……。
 忍者もののお約束ともいえる「抜け忍」を軸に、“忍者の人生”に焦点をあてたエピソード。そこに若い二人の恋愛を絡めるあたりが、 サブタイトル(はプロデューサーなどが付ける場合もありますが)からはじまって、いかにも藤井邦夫脚本。
 藤井さんはホント、こういう話好きだなぁ。
 それにしても、現代社会に順応しつつも、やはりナチュラルにシビアです、忍者。
 下忍の「自爆」など、忍者の縦社会ではよくある出来事なので、小学生同席の場で使っても全く構いません。
 普通の暮らしなど、夢のまた夢なのです、NINJA!
 ところで、闘破の車、前からフロントに変な紋様入ってましたっけ?
 パワーアップ合わせ?
 若干、暴走族っぽくなっているのですが(^^;
 次回、なんだか色々と凄い事に。

→〔その3へ続く〕

(2013年3月9日)
(2018年1月14日 改訂)
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