■『機動刑事ジバン』感想・総括&構成分析■


“ヘビー・メタルの ボディーの中に
強くなる この魂 Oh ジバン”

 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた 『機動刑事ジバン』感想の、総括&構成分析。

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☆総括☆

 残念。

 一言でまとめてしまうと、そうならざるを得ません。
 メタルヒーローシリーズにおける『特警ウインスペクター』(1990)、戦隊シリーズにおける『鳥人戦隊ジェットマン』(1991)、 という二大革新以前の作品であり、年代的にも“80年代作品”としてカウントされるものの、80年代作品としても低レベル。
 闇の公権力ヒーローというコンセプトの練り不足、各エピソードのまとまらなさ、盛り上がりに欠ける展開、脈絡のない強化、 いつまで経ってもしっかりしないキャラクター達、迷走に迷走を続けるテコ入れ、とあらゆる要素が大暴投。
 正直、長所という長所が見つかりません。
 敢えて言えばアクションはかなり力が入っていて、前半は雑魚怪人の着ぐるみも一部変形したり、金のかかっている感じ。 ダイダロスの飛行アクションや、洋子先輩が途中から見せた手錠格闘術などもなかなか面白かったのですが、全体的に中盤以降は息切れ。
 売りである対バイオロン法読み上げはキャッチーではありましたが、こちらのカタルシスを重視する為に、 直人→ジバンが物陰で瞬間変身してしまう為に変身シークエンスの盛り上がりが一切無く、プラスマイナスとしては微妙。 また、もう少し対バイオロン法読み上げがドラマ的な盛り上がりと連動していれば良いのですが、 各エピソードの出来もあまり宜しくない為、連動性が薄いエピソードが多く、物語のカタルシス不足に拍車をかけてしまいました。
 以下、個々の敗因分析。

●公権力ヒーローというコンセプト
 原点回帰を取り込みつつ新しい一ひねりを志向したと思われる、機動刑事ジバンは日本の警察に所属し、法律を根拠に怪人を裁くヒーローである、 という今作のコンセプトですが、同時に「主人公の表の顔も刑事/しかしバイオロン犯罪は裏で裁く」としてしまった事により、 主人公が公権力に属しているにも関わらず、公権力がどこまでバイオロン犯罪を把握しているのか曖昧、 という致命的問題を抱えたままストーリーが進行し、結局、この問題は解消されませんでした。
 序盤にはバイオロンの大規模作戦に対して直人が署に「バイオロンです!」と連絡して、課長(序盤で消滅)に「バイオリン?」 と返されるという気の狂ったようなシーンがあったのですが、この、上層部の深い所は当然バイオロンの事を知っているとして、 どのラインまでその情報が共有されているのか(一般的なバイオロンの認知度はどの程度なのか)、というのがひたすら不明。
 結果として直人が、バイオロンが関係している事件を自分だけで処理しようとしているのか、オープンに処理しようとしているのか、 がハッキリしなくなり、時々おかしな行動や言動を取る事になりました。
 これは当然、周囲の登場人物にも悪影響を与え、洋子先輩も村松も終盤にはバイオロンの存在を認識するも、 たびたびバイオロン怪人に襲撃を受けた末の結果と思われ、警察としてどう思っているのかは不明。 暗い部屋に呼び出されて上層部から箝口令を敷かれている可能性は高そうですが、その辺りを曖昧に濁している為、 刑事としてバイオロン犯罪にどう立ち向かおうと考えているのかわからず、定まらないキャラクターがますます定まらなくなりました。
 公権力に所属しているけど秘密のヒーローだけど同僚はちょくちょく怪人と遭遇するけどバイオロン犯罪は表向き秘密なので上層部も直人もだんまりを決め込んで装備の充実とかもないけど下っ端の兵隊だから仕方ない、 というカオスかつ外道な事に。
 この、公権力と秘密のヒーローの線引きが定まっていない、コンセプトに対して周辺の設定が詰められていない、 という欠点は、後々まで物語全体の歪みとなってしまいました。
 いっそ、直人は市井の隠密同心パターンで良かったのではないか、というレベル。

●少女ボスの失踪
 この点に関しては諸々トラブルの匂いも感じる所ですが、大きなコンセプトであった「少女ボス・まゆみ」の存在が、18話で消滅。
 この際、変に状況をいじらないで今後は山場の回だけ出てくる事にする(それまでも全話出ていたわけではなかった)、或いは、 理由をつけて綺麗さっぱり退場させる、という選択肢もあったと思うのですが、謎の身投げを選択。
 それも必然性があればまだ良いものを、説明できる状況を何故か説明しないまま、突然の身投げという、意味不明すぎる展開。
 そして記憶喪失になって指名手配中の青年に拾われる……はまだしも、なんやかやと強引に理由をつけて警察に行かないという、 更に謎の展開。警察行ったら話が解決してしまうからなのですが、それにしても酷すぎます(^^;  この強引かつ意味不明な展開を引っ張った事で、今作は物語として完全に破綻してしまいました。
 せめてまゆみを拾った早川青年に視聴者として好感を持てる要素があれば良かったのですが、 まゆみ×早川回を主に書く事になった杉村升はサブキャラクターのピンポイントでの好意的な印象付けが得意ではなく、 特にこれといった良い所も無いまま、単なる不審者に。 挙げ句、物語のダシにされる感じで強引に始末されてしまうという、目もあてられない扱い。

●メルヘン強化
 タイトルに機動刑事を冠しており、改造人間という設定、ヒーローのメカ感の強調をしている今作ですが、 14話の愛連打はまだしもネタになる上に、外部から緊急回路を作動させているという解釈が可能ですが、
 まゆみがキチガイ爺の墓に首飾りを差し込むと、謎の光が博士の墓からジバン基地へ放射され、 基地の隣?に隠されていた謎の設備が姿を見せ、 五十嵐博士が密かに建造してた謎のコンピューターに吸い込まれたジバンが謎の力で再生した上にどこからともなく新装備がワープしてくる第35話。
 ナレーション「ハリーの願いが届いたのか、コンピューターが勝手に動きだしたのだ」により、 暴走したコンピュータが都内の電力を拝借してジバンに送り込むとジバンに力がみなぎる第46話。
 まゆみが叫ぶと虚空から迸った謎の閃光が強化ジバン装甲を消し飛ばし、ナレーション「まゆみの、強い愛情が、ジバンの絶体絶命の危機を救った」 で済まされる第50話。
 と、本編における大逆転やパワーアップ展開は全て、なぜか狂気とファンタジーをともなうものになっています。
 しかも、後にも先にも、理由をつける気が全くない。
 「愛の奇跡」にしても、もう少し作風と馴染ませてもらいたい所ですが、そういった工夫が全て、放棄されています。

●相次ぐテコ入れ失敗
 鳴り物入りで登場し、ジバンに匹敵する能力を持つ筈だった新幹部マッドガルボは、登場した次の回で出歯亀に転落。その後、 秘書ズと同じギバ様のヨイショ係に落ち着き、全く役に立たないまま1クール以上を無駄に過ごすと、 スペースパワーで強化されて一度はジバンを(怪人と協力して)倒すが、いつの間にかその強化は無かった事にされ、 最期は歴史を改編してジバンの上に立つも、ずんばらりん。一回だけ中心となった第33話も酷い出来で、 本当に何がしたかったのか。
 せめて途中退場して幹部交代劇でもあった方がまだ盛り上がったのですが。
 28話からは、宇宙よりの第三勢力、クイーンコスモが登場。…………対バイオロン法の適用外。 長いちら見せ期間の後、本格的な活動を開始したと思ったら、ファッションショー。
 ……だから、何がしたいのか。

●サブキャラの圧倒的薄さ
 当初は、直人−まゆみの関係を中心に描く予定だった為かもしれませんが、サブキャラの扱いは終始ぞんざい。それでも、 ハッピートリガーにして役立たずのゴミ刑事だった洋子先輩は中盤以降はゲスト救出して役に立ったり、 ひたすら滑りまくりのコメディリリーフだった村松は刑事らしくなったり、と改善はされているのですが、 元が−50点だったので、それでようやく+5点、みたいな(^^;
 特にキャラクターの芯があるわけでもなく、基本的に物語都合でしか描かれていないので、 時々キャラエピソードをやっても、全く面白くならないという地獄絵図。
 一種のテコ入れといえる、ハリー+ボーイのハリーボーイも、動けるようになったから外に出るわけでもなく、 ひたすら都合のいいアイテム、というだけで全くキャラクターに広がりがなく、ハリーボーイとなった意味すら皆無。
 単独ヒーローの場合、周辺キャラクターが薄味、というのはままあるのですが、前作『ジライヤ』がサブキャラが上手く描かれていた事もあり、 落差も激しくなりました。

●肉親設定の大失敗
 最終盤、絶望へ向けて墜落していく物語をせめて盛り上げようと導入された、直人とまゆみが実の肉親だった! という設定ですが、 これ自体はまあアリとしても、作品のテーマをこれに合わせて修正しなかった為に、致命的な事に。
 ジバンが何やら愛について語るのですが、中盤以降の直人がしている事といえば、「まゆみちゃーん、まゆみちゃーん」 という私情にまみれた愛を叫ぶ事ばかりだったので、これが更にクローズな家族愛となってしまった事で、 ジバンの語る地球的な愛に全く説得力が無くなり、物語と一切噛み合わないまま終結を迎えてしまいました。
 合わせて、それなりに正統派ヒーローしていた直人のヒーロー性まで下がる事になってしまい、大惨事。


 社会の裏で暗躍する悪の組織vs正統派正義のヒーロー、という極めてシンプルな構図に戻したのはいいものの、 公権力ヒーローという軸がしっかりしないまま見切り発車したようなストーリーでこれといった個性が無いために個々のエピソードが面白くならず、
 コンセプトの詰め不足→(スケジュールトラブル?)→テコ入れの失敗と迷走に次ぐ迷走
 で、浮上感があったのは、あまりにも酷い立ち上がりの後の一桁台後半ぐらいで、その後に凪が来て、 17−20話の新展開で海底に沈んだ後、二度と浮かんでくる事はありませんでした。
 大体この16話前後というのは、東映ヒーロー作品において(必ずしも共通しませんが)路線の修正を含めた最初のテコ入れタイミングなのですが、 そこで明後日の方向へダイブしてしまうと、二度と戻ってこられない事もあるのだな、と思い知らされたシリーズ。
 ある意味で、今作がここまで破綻していたからこそ、次作の『特警ウインスペクター』が大幅な革新を成し遂げられたのかもしれませんが、 改めて、ここから盛り返した『ウインスペクター』は凄い。
 今作の作品的価値を一つ見いだすならば、その『ウインスペクター』にしても後の『特捜ロボ ジャンパーソン』(1993)にしても、 今作の失敗を踏まえた感が随所にあり、今作後半から参加し次作以降にメインプロデューサーとなる堀長文に影響を与えたとは考えられます。
 ある程度、シンプルな原点回帰を行おうとしつつ失敗した事で、80年代の幕を閉じ、続く90年代作品の革新の土台となった、 そんな作品といえるかもしれません。

★構成分析★
〔評〕は、大雑把な各エピソードの評価。◎……名作、○……それなりに面白かった、−……普通、×……駄目回。
ただし、どこに基準を置くか、を考えるとややこしくなるので、相対的というよりは印象評価だと思ってください。 記憶と感想を読み返してのものなので、微妙にリアルタイムで見た時と、違っている所もあるかもしれません。

話数監督脚本備考
小西通雄杉村升×
小西通雄杉村升×
岡本明久杉村升
岡本明久藤井邦夫×
宮坂清彦杉村升〔ハリー、登場〕×
宮坂清彦高久進
小西通雄藤井邦夫
小西通雄扇澤延男
三ツ村鐵治高久進×
10三ツ村鐵治藤井邦夫 〔※放映時間変更/日曜AM9:30〜→日曜AM8:00〜〕
11岡本明久杉村升〔ジバン誕生編・柳田、登場〕×
12岡本明久高久進〔ダイダロス、装着〕
13小西通雄杉村升
14小西通雄藤井邦夫
15岡本明久扇澤延男
16岡本明久高久進
17小西通雄杉村升〔マッドガルボ、登場〕
18小西通雄杉村升 〔まゆみ行方不明に・五十嵐家壊滅〕×
19岡本明久杉村升〔ハリーボーイ、誕生〕×
20岡本明久杉村升〔早川良、登場〕×
21三ツ村鐵治高久進
22三ツ村鐵治高久進
23岡本明久扇澤延男
24岡本明久高久進×
25小笠原猛杉村升〔まゆみと良2〕×
26小笠原猛扇澤延男〔浜名湖編〕×
27小西通雄杉村升
28小西通雄杉村升〔クイーンコスモ、登場〕
29岡本明久扇澤延男
30岡本明久鷺山京子
31三ツ村鐵治高久進 〔『世界忍者戦ジライヤ』コラボスペシャル〕
32三ツ村鐵治藤井邦夫
33小西通雄鷺山京子×
34小西通雄杉村升〔ジバン、敗北〕
35岡本明久杉村升〔まゆみと良3・パーフェクトジバン、誕生〕×
36岡本明久扇澤延男
37小西通雄杉村升×
38小西通雄扇澤延男
39小笠原猛杉村升〔まゆみと良4〕
40小笠原猛高久進
41三ツ村鐵治荒木憲一×
42三ツ村鐵治扇澤延男×
43小西通雄藤井邦夫×
44小西通雄鷺山京子
45岡本明久荒木憲一
46岡本明久杉村升 〔まゆみと良5・クイーンコスモ、早川良、死亡〕×
47小笠原猛高久進
48小笠原猛扇澤延男
49小西通雄鷺山京子
50小西通雄荒木憲一×
51岡本明久杉村升/荒木憲一 〔ハリーボーイ、柳田、マッドガルボ、死亡〕×
52岡本明久杉村升 〔秘書ズ、ドクター・ギバ、レゾン、バイカン、スパイラス、死亡・バイオロン壊滅〕×

(演出担当/岡本明久:18本 小西通雄:18本 三ツ村鐵治:8本 小笠原猛:6本 宮坂清彦:2本)
(脚本担当/杉村升:20本(※うち連名1本) 高久進:10本 扇澤延男:9本 藤井邦夫:6本  鷺山京子:4本 荒木憲一:4本(※うち連名1本)


 パイロット版を担当した小西監督と、ラスト2話を担当した岡本監督が、揃って最多演出。特に岡本監督は第11話〜24話において、
 〔岡本・岡本−小西・小西−岡本・岡本−小西・小西−岡本・岡本−三ツ村・三ツ村−岡本・岡本
 とまるで70年代のようなローテで大車輪。
 主人公がホラー演出で敵に襲いかかる第3話、作品の雰囲気と合わないファンシーなジングルが連発される第12話、 全編辻褄が合わなすぎて物語の体裁すらなしておらず酷いとか酷くないとかを通り越してしまった謎の第24話、 誰もよく分からないまま荘厳なファンタジー演出でジバンが復活する第35話……などなど、 演出の迷走が目立った岡本監督ですが(監督責任ではない部分もあるでしょうが)、 これだけフラフラした作品の演出をこのローテでやっていたら、それは撮っている方もよくわからなくなってきて当然、 という気がしてきました。
 改めて放映リストで並べると、全てが崩壊して大霊界へ突入していた第24話はローテ的に一番きつい時期のラストであり、 変なトリップ展開になっていたのも頷けます(^^;
 本当に『ジバン』は、全編事故感満載。
 脚本陣は上原正三から高久進を経て、メインライターが杉村升に代替わり。年間構成を上手くまとめられない印象の強い杉村升ですが、 今作では中盤以降は主にまゆみ登場回を担当し、軒並み酷い内容なのですが、 もはや脚本でどうこうなるレベルではない破綻がわかっていても敢えて戦わなくてはいけない時がある、 みたいな状況になっており、いったい誰が悪いのか。
 本当に『ジバン』は、全編事故感満載。

 全体の構成は、12話で新装備入手。17−20話で、新敵幹部登場から主人公の環境変化という新展開。 28話で夏休み中に第三勢力の新たな敵が登場し、34−35話で主人公パワーアップ。
 オーソドックスではあるのですが、夏休み中に登場してみたものの夏休み中に主人公の強化までやるわけにはいかず、 物語にとって余分な意味のない顔出しを続ける羽目になったクイーンコスモの使い方とか、改めて謎 (ギバ様お休みの都合があったのかもですが)。
 本来テコ入れの必要だったバイオロンは、17話で増やした幹部が無残に失敗した後も引っ張り続け、 途中退場もなく特に山の無いまま終盤にまとめて片付けてしまい、結局、ギバ様頼りの組織でした。

 各話評価ですが、Xが……22個(笑)
 これでも基準のハードルをかなり下げて、面白くない、というよりは、あまりにも酷い、というものを中心にしているのですが……
 「先輩刑事が役立たず通り越してゴミ」「ジバンを誘き出そうと警察に時限爆弾を仕掛けたけどジバンが出てこないのでミサイルを撃ってみた」 「肝心の復讐に関する葛藤を全てすっ飛ばして解決」「マスコットロボットが暴力反対を訴えるも誰も話を聞いてくれないので加速をつけて殴ってみた」 「鳴き声が別の動物に変わるだけのペット凶暴化作戦」「少女ボスの必然性が全く無くなった誕生編」 「いきなり出歯亀と化す新幹部、身投げするまゆみ、吹っ飛ぶ五十嵐家の唐突かつ杜撰な大惨事」 「直人/ジバンのヒーローとしての格好良さを描く筈が、対比に置いた柳田と背後の組織が邪悪なだけの存在に」 「記憶喪失のまゆみ、変質者と逃避行を開始」「村松、何の脈絡も理由もなく「僕が機動刑事ジバンなんだ」と供述する」 「早川とまゆみが再登場するも、ぐだぐだの末に前回と同じオチで何も進展せず」「誰もやる気の無いアイドル企画回」 「マッドガルボが裏切ったふりをして罠を仕掛けてくるも、大騒ぎした末にいつものように逃走して終了」 「全てが意味不明のままジバンが復活し、物語の破綻と五十嵐博士への疑惑だけが拡大するパワーアップ編」 「クイーンコスモ、単独ファッションショー」「ゲストが何の根拠もないまま囮になるので、勿論サスペンス展開は盛り上がらない」 「洋子先輩がアマチュアロックバンドを応援しているがひたすら空虚」「ハリーボーイがあっさりと人類の科学力を超越」 「早川良、多少は盛り上がるかもしれないので爆死する」「またも愛のメルヘンパワーというか、キチガイ爺の仕込みで大ピンチから大逆転」 「マッドガルボは前回の事を忘れ、直人さんの脳がとうとう限界を迎え、柳田とハリーボーイが自棄気味に退場」 「何の盛り上がりもないままラスボスが最期を迎え、呆然としたまま最終決戦終了」
 壮絶、『ジバン』クオリティ!
 立ち上がりもクライマックスも満遍なく駄目で、なかなか凄い(笑)
 甘めにつけて比較的高評価にしたのは、バイオロンの大がかりかつ馬鹿馬鹿しくしかし用意周到な作戦がなかなか秀逸だった第3話、 人形が素体の怪人と少女の心の触れ合いを軸にして今作にしてはまとまりの良かった第7話(結局、これ以上話がまとまる事は無かった!)、 愛連打のキチガイぶりはともかく満載のアクションから大逆転は盛り上がった第14話、ヤギに生まれた怪人の悲哀を描き後の扇澤テーマの片鱗が見える第23話、 戸隠流らしさがしっかりと描かれ素直に楽しめる『ジライヤ』コラボ編の第31話、ねじれてしまった中年科学者と純粋な少年との交流話として綺麗にまとまった第44話、 といった所。
 結局、一番面白かったのは前作のメイン監督とメインライターが参加して山地学をゲストに迎え、 しっかりと『ジライヤ』していたコラボ編という……。

 知名度の割に、がっかり度の高い作品でした。

(2015年4月11日)

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