■『機動刑事ジバン』感想まとめ5■


“炸裂パッション 炎のテンション
戦いは 勝たなきゃ 終わらない”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『機動刑事ジバン』 感想の、まとめ5(33〜40話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ4〕 ・ 〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・  〔総括〕


◆第33話「ガルボに咲いた千年ハス」」◆ (監督:小西通雄 脚本:鷺山京子)
 頭部にハスの花が咲き、苦しみだすマッドガルボ。それは、強い生命力を与える為にガルボに組み込んだ千年ハスの遺伝子が、 花となって目覚めたものだった。千年ハスの遺伝子に宿る記憶に影響されたガルボはバイオロンを抜けだし、 人間の姿で千年ハスの故郷――千年沼へと向かう。
 直人と先輩は戦闘員に追われるガル子さんを目撃し、ジバンは襲来したライギョノイドを撃退。雷魚ノイドは、曲刀二刀流が、 思わぬ格好良さ。
 ガル子さんはマッドガルボの正体を見せると、千年ハスの遺伝子が花開いた事で、愛を知り、戦うのが嫌になったので、 故郷で静かに暮らしたいと引退を宣言。
 「でもジバン、信じられないなら私を撃って」と言われて銃を向けるジバンだが、雷魚の攻撃からかばわれた先輩がそれを止める……って、 先輩が止めないと殺る気満々だった辺り、さすが対バイオロン抹殺兵器です。
 ガルボの明確な裏切りを知ったギバ様は激怒し、どうせ役に立たないからと抹殺を指示。千年沼で雷魚ノイドの罠にはまるガル子だったが、 ジバンがそれを救出。ジバンを苦しめた雷魚ノイドはマッドガルボに瞬殺され、再び戦いに力を振るってしまった事を悔やむガル子さんだったが、 突然、地割れに飲み込まれる。
 いきなり顔に花が咲く→いきなり人間の姿になる→いきなり愛を語る→(力を使えない筈だったのに) いきなりビームで雷魚ノイドを滅殺→いきなり地割れに飲み込まれそうになる
 と、いきなりがゲシュタルト崩壊しすぎで、唖然とする展開(^^;
 ガル子を助けようとするジバンだが、豹変したマッドガルボにより、地底のバイオ洞窟に引きずり込まれてしまう。全ては、 バイオロンそのものすら騙してジバンを仕留めようとしたバイオキラー渾身の大芝居だったのだ!
 落ち目の敵幹部が裏切りを偽装して罠を仕掛けるのはよくある話ですが、所属組織を完全に騙した?上でというのが、 少しひねった所か。
 「うむ、よくやった、マッドガルボ。敵を欺くには、まず味方から。目的のためには手段を選ばないのが、バイオロンのやり方なのだ。 ふふふふふ」
 ここで両脇の秘書ズが、ギバ様を驚いた表情で見ているのですが、「え? ギバ様わかっていて、私達騙されてたの?」という顔なのか、 「完璧に騙されていたのに、ギバ様ったら切り替え早すぎぃ!」なのか、これだけ破綻していると、判断に困ります(^^;
 だが、おいしい所だけいただこうと現れたコスモさんの放ったムーンビームの威力が強すぎてバイオ洞窟が壊れてしまい、 更にヘリの空爆で、洞窟は崩壊、ジバンは脱出に成功。
 「警視庁秘密捜査官警視正・機動刑事ジバン! 人の心の愛と、優しさと信頼を踏みにじるマッドガルボ。 命あるものとして恥ずかしくないのか!」
 まあジバン、最初は撃つ気満々だったし、 地割れから助ける時も物凄く躊躇っていたのですけどね! 
 この後、マッドガルボと戦いながらの対バイオロン法読み上げは、力の入って殺陣もあり格好良かった。
 ショルダーキャノンでど派手に吹っ飛ばされたジバンは、更に範囲攻撃を受けて苦しむが、ダイダロス召喚からファイヤー一発で逆転。 大きなダメージを負ったガルボはサイドカーで撤退…………て、えーーーーーーーーーーーーーーー。
 これだけやって、特に何の進展もなく捨て台詞残して逃走とか、色々どうしようもない(^^;
 最後は直人が先輩&子供達と合流してエンドなのですが……後ろで流れる新しい挿入歌は、直人ボーカルでしょうか。
 破壊力抜群で、最後、ナレーションが何喋っているのか、全く頭に入ってこなかった(笑)

◆第34話「壮絶!ジバン死す」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升)
 高名な科学者・香川博士が、アメーバー状の宇宙生命体を回収、地球に持ち帰る事に成功する。 地球の生命体系とは隔絶した活発な新陳代謝を見せる宇宙生命体を研究すれば、医療や科学の分野で大きな前進が見込める可能性が高く、 それを狙う犯罪組織から博士とサンプルを守る為、セントラル・シティ署が警護に当たる事になる。
 珍しく、いつのもの3人に部下がついて指揮を執るという見せ方で、事の重大性を表現。部下が何故かアサルトライフル構えていて、 警官隊ではなくどう見ても傭兵ですが。
 案の定、バイオロンは宇宙生命体を狙って動きだし、角がドリルで何故かヒョウ柄のサイノイドが出撃。更に、 「人間共に宇宙の神秘を明かされてたまるか。私の手で始末してやる」と、月野力さんが嫌がらせに介入して事態は三つどもえに。
 「私の名は、宇宙生命体クイーンコスモ」
 OPではずっとバレていましたが、ジバンと対峙し、ようやく劇中で名を名乗る謎の美女。
 「人類に恐怖と苦痛を与え、この地球を侵略しに来たのよ」
 自分に繋がる宇宙生命体の研究を阻止しようとする、という部分は初登場の際に月の石を破壊しに来たのと一貫してはいるのですが、 名前その他を引っ張ったのは特に劇的にならず。まあそもそも存在が(もがもが)。
 名前といい、ひらひらした衣装といい、イメージ的には、松本零士キャラな感じなのかなぁ……。
 コスモはジバンとサイノイドを蹴散らして博士と娘を攫うが、宇宙生命体のサンプルは、マッドガルボが入手。 ギバ様はなんのテストもせず、ダイレクトボレーでそれを実験に使用する(笑)  博士と娘がサンプルを持っていなかった事に気付いてバイオロンの基地に乗り込んでくるコスモだったが、ギバ様は既に、 宇宙生命体にバイオテクノロジーで改良を加え、今までより何十倍も強いスペースバイオノイドを完成させていた。
 全く未知の素材を用いて一発で改良実験を成功させてしまう、ギバ様の天才ぶりは本当に半端ありません。
 ギバ様、真っ当なビジネスパートナーさえ居れば世界を征服できる能力の持ち主だと思うのですが、いかせん、 趣味と退廃に生きるただれた人格だけが残念でなりません。
 これまで以上の戦力を得たギバ様は早速クイーンコスモをナンパし、バイオロンとコスモは一時的に同盟。ジバンを始末するべく、 香川博士とその娘を人質にジバンに挑戦状を叩きつける。
 モニター越しの通信なのに、何故か体の成分を解析してマッドガルボのパワーアップを確認するハリーボーイが怖い。
 かつてない強敵、勝ち目のないかもしれない戦い、しかし……
 「でも僕は、五十嵐博士が精魂を込めて作ってくれた自分の力を信じています。それに……たとえ命を失ってもいい。 地球の平和が守れるなら」
 「田村くん……」
 主題歌をバックに決意を述べる直人はそこそこ格好いいのですが、それを聞いた柳田が超笑顔で、 暗黒すぎる。
 なぜ柳田は、「死んでもいい」と玉砕覚悟で出撃する相手に向けて「よーし、よく言った。その意気だ」みたいな笑顔を向けるのか。 対バイオロン法委員会は旧軍部の精神と権力構造を引き継ぐ闇の組織だったりするのか。
 柳田は特に背景どうこうというキャラクターでは無いと思うのですが、石濱朗をキャスティングしたせいで、 無駄に胡散臭くて酷い事になっています(笑)
 決闘の場に赴いたジバンの前に姿を見せる、スペースマッドガルボとスペースサイノイド。 ジバンは宇宙パワーの前に為す術も無く吹き飛ばされ、マクシミリアンの銃撃も通用しない。 戦闘中の隙を付いて掌底で戦闘員を吹き飛ばした博士は娘を連れて自力で脱出(笑)(※自分で宇宙遊泳をこなすぐらいなので、 当然博士は、そうとう鍛えているのです) ジバンはそれを援護して人質を逃がす事には成功するが、 必殺のダイダロスファイヤーすらスペースサイに弾かれてしまう。
 スペースガルボの追撃が迫り、カメラを至近においてのここの殺陣は格好良かった。それにしてもマッドガルボは、 何の役にも立たなかった上にどさくさ紛れにパワーアップして、しかし別にサイが居れば要らなくないですか? と、つくづく扱いが悪い(^^;
 スペースガルボとスペースサイのW攻撃がジバンを追い詰め、更にコスモのムーンパワーが炸裂。 トドメにコスモの放った変な虫でコンピュータを内部から破壊されてしまったジバンは、遂に左腕を吹き飛ばされる!
 片腕と視覚を失い満身創痍のジバンは、博士娘の叫び声にまゆみちゃんを思いだし、最後のラブパワーを振り絞ろうとするが、 スペースガルボの剣が、その心臓を貫く――!
 「マッドガルボ……! たとえ僕が死んでも、この地球は絶対に、バイオロンには渡さぬ! ぜった……い……」
 マクシミリアンに手を伸ばすも、それを抜く事かなわず、機能停止するジバン。夕陽をバックに徹底的な完敗の末、 ロボットなのをいい事に、主人公・完全死亡。
 ヒーローの敗北描写をここまでやりきったのは評価したいですが、敗北へ至る物語的な積み上げが全くないので、 演出の衝撃で強行突破を図ってはみたものの、物語としての盛り上がりには欠けます(^^; まー、80年代なので 「拾った宇宙生命体パワーで敵が超進化」は厳しく言う所ではない気もしますが、せめて前回の、「ガルボ乾坤一擲の大勝負」 と絡めるとか、もう少し工夫は見たかった所です。
 とにかく、スペースコスモの参戦に始まって、バイオロン大逆転も、ジバン敗北も、全て場当たり的に見えてしまって、 流れとしての物語的な盛り上がりがほぼ無いのが困りもの。
 基地で全てをモニターしていた柳田の送り込んだレゾンにより、回収されるジバンの亡骸……果たしてジバンは、 このままスクラップ置き場で処理されてしまうのか、それとも?! 次回、ギバ様大ハッスル。そして――。

◆第35話「パーフェクトジバンだ!」◆ (監督:岡本明久 脚本:杉村升)
 「ジバンが死んだ……?!」という洋子先輩からの情報に、やたら黄昏れるセントラル・シティ署。お茶くみの女の子が泣いたりしていますが、 あなた方、そんなにジバンに思い入れあったのか。
 ……いやまあ、勝手に戦っているヒーロー扱いよりは良いといえば良いですが(^^;
 そんなジバンを修復しようとする柳田とハリーボーイは、ジバンが機能停止した時用の極秘マニュアルを開くが、そこに記されていたのは、
 「ジバンが機能停止するような事態になったら基地のコンピュータも危ないだろうから、ジバン再起動の方法はまゆみに託したよ♪」
 というキチガイ博士からのメッセージであった。
 「馬鹿な……! まゆみちゃんは行方不明だぞ」
 初めて、柳田に共感できた(笑)
 だが、逃走中のまゆみどりの身にも異変が起きていた。
 「頭が痛い! 何か大変なことが起きてる! 行かなきゃ! 行かなきゃ! 誰かが頭の中で呼んでるの! 降ろして、降ろして!」
 キチガイ爺さんは、孫の脳に何を仕込んでいるのか。
 宿敵の死に勢いづくバイオロンは、各地の支部に指示を出して大攻勢に打って出る。まずは発電所などの生活インフラを破壊し、 しかるべき後に怪生物を放って街をパニックに陥らせると、相変わらず、初動は無駄に有能なバイオロン。 怪人を追う洋子と村松はバイオロンに捕まってしまい、その身に処刑の危機が迫る。
 もはや日本は、このままバイオロンに征服されてしまうのか……その時、 無意識に五十嵐博士の墓を訪れていたまゆみが墓石に首飾りを差し込むと、謎の光が博士の墓からジバン基地へ放射され、 基地の隣に隠されていた、謎の設備が姿を見せる。五十嵐博士が密かに建造してた謎のコンピューターに吸い込まれたジバンは、 謎の力で復活。
 謎のコンピュータにピアノ演奏の映像が被さってジバンが復活していくという謎演出で、 前半迷走の目立った岡本監督がまたやらかしてしまったようにも見えますが、シナリオ時点で「で、 ジバンはどうして復活するんですか?」「……五十嵐博士の凄いコンピューターの力です」みたいな感じだった可能性も高く、 誰が一番悪いのか、何とも言い難い。
 折角なので高機能な熱線銃で処刑されそうになっていた先輩刑事達だが、その時、レゾンがアジトに突入し、 再起動したジバンが降り立つ。一度はスペースサイノイドの攻撃に吹き飛ばされるジバンだが、復活したジバンは、 これまで以上の新たな力を得ていた!
 左腕にパワーブレーカー(シールド兼クロー)、右腕にニードリッカー(ドリル)、 そして巨大砲オートデリンガーを装備したその名を――パーフェクトジバン!
 パーフェクトジバンはダイダロスファイヤーの30倍の威力を誇るオートデリンガー:キャノンモードでスペースサイを滅殺すると、 サブマシンガンモードで残った雑魚を蜂の巣にし、スペースマッドガルボは撤退。こうしてバイオロンの大攻勢は、 ジバンの復活によって阻止されるのであった。
 えー……バイオロン大攻勢を派手にやりすぎた結果、バイオロンが各支部レベルで大規模なテロ行為を行える事が証明されてしまった為、 もはやジバン一人復活した所で撤収する意味が感じられなくなってしまって、そこで撤収する理由付けは何か盛り込んで欲しかった所。

 まあ、肝心のジバンの復活にも強化にも一切の理由付けは無いのですが。

 いっそ「愛」の連打で立ち直った方がまだマシというか、一から十まであらゆる理由付けが放棄されているという、 恐ろしい復活&パワーアップ編。
 一応、五十嵐博士の秘密研究の成果という事にはなっていますが、謎の光でジバンの左腕が再生したり、 新装備はどこからともなくテレポーテーションしてきたりで、 すべからくファンタジック過ぎてロボット刑事というコンセプトと100%噛み合っていない為に、 今作の破綻ぶりだけが拡大するという、凄まじい惨劇。
 ……まあ、既に「ムーンパワー」は存在している世界観なので、スペースバイオノイドを瞬殺した事などから見るに、 今回の一連のジバンの再生・強化は、宇宙的パワーの産物であるという推測は成り立ちますが。とすると、 クイーンコスモが地球に来襲したのは地球人(五十嵐博士)による宇宙的エネルギーの濫用を感知して……なのかもしれず、 全ての元凶は五十嵐博士だったんだ! という所まで行けば、面白いかもしれない。

◆第36話「夢見るチャンバラ怪物!」◆ (監督:岡本明久 脚本:扇澤延男)
 街で暴れ出す剣道少年達を止める直人達。
 「世の中強い奴が正義なんだ!」「どんな卑怯な手を使っても勝てばいいんだ!」
 え? あれ? 出張武神館?
 子供達がおかしくなった原因は、剣道の師範が、黒覆面の道場破りに負けたのが原因であった。目潰しを使い、 師範を蹴り飛ばして勝利をもぎ取る黒覆面……扮装といい、戦法といい、どう見ても世界忍者です(笑)
 「どんな手を使っても、勝たねばならん。勝てば全ては許されるんだ!」
 洗脳光線を浴び、ニンジャの教えに染まる子供達。
 更に続けて、今度はボクシングジムでも同様の事件が発生する。
 「ルールを守って負けるなんて御免だ!」
 (許せない、このままじゃ日本中のスポーツ少年達の心がねじ曲げられる……黒覆面め、必ず捕まえてやる!)
 黒覆面の正体……それはバイオロン怪人チャンバラノイド。日本中の子供達を暴力の崇拝者に洗脳する事こそが、 今回のバイオロンの作戦計画であった。
 パーフェクトジバンに怯えて、随分また、作戦の目標レベルが未来志向に後退しました。
 名称からして徹夜明けの勢いで作成されたと思われるチャンバラノイドは、年寄りのカブトムシ、といった感じのデザイン。 少々妄想癖があり、侍に憧れるチャンバラはギバ様にお叱りを受けつつも、今度は空手道場を襲撃。 ところがそこで目にしたキリン柄の洋子先輩は、チャンバラが夢見る脳内妄想のお姫様に瓜二つであった!
 チャンバラ脳内妄想では着物姿も披露した洋子先輩、珍しくヒロイン扱い。 バイオロン怪人が実生活と憧れの間にギャップを感じていたり、洋子先輩が少しヒロイン扱いだったり、 同じ扇澤脚本のヤギノイド回と類似が見られるのですが、このエピソードの位置づけを推測すると、 意図的な引き写しだったかもしれません。
 「もう! 夢を見るのは夜におし!」
 「役立たずが!」 
 秘書ズの攻撃から、洋子先輩を守るチャンバラ。
 「姫! やっと、やっと巡り会えましたぞ、姫君!」
 直人は吹っ飛び芸からジバンになるが、チャンバラは先輩を捕まえ、雑魚を蹴散らして逃走してしまう。 チャンバラが洋子先輩をさらっていったのは、山中にしつらえた和風の隠れ家。茶を点てながら、 妄想を補完する為に用意していた着物とカツラを先輩に勧めるという、筋金入りの変態だった。
 「なに考えてるのよ怪物のくせに」
 「怪物ではない! ……拙者は、拙者は侍です!」
 「侍? 何が侍よ。侍というのは、正々堂々と戦うものよ」
 遂に真っ正面から、どちらかというと、むしろ、ニンジャだという指摘が入り、動揺するチャンバラノイド。 手錠を取り出す先輩だが、ザルを踏みつけ滑って転んで気絶してしまい、チャンバラの甲斐甲斐しい看病を受けて、 この変態にこれまでの怪人達とは違う雰囲気を感じてしまう。
 ……先輩、周辺の、男の、グレードが、低すぎるからな……。
 チャンバラノイドは、その素体となった侍のエキスにより、かつて姫を巡る争いで宿敵の卑怯な手段に負けた遺伝子記憶を持っており、 その為に侍を名乗りながらも、勝てばよかろうなのだァァァ! と武○館主義に染まっているのだった。 クイーンコスモの介入によりバイオロンに隠れ家を発見されたチャンバラは、バイオ爆弾を取り付けてジバンとの戦いに挑む事となり、 洋子先輩はあえて、その見届け人を名乗り出る。
 「ジバン、必ず勝って。正義を教えてやって!」
 「私はこの剣だけで戦う。おまえの歪んだ心を叩き切る!」
 一方的な愛を賭け、ぶつかり合うジバンとチャンバラ。二刀を振るうチャンバラは割と真っ当に強く、 それなりに尺を使っての殺陣は予想外な見応え。もともと十手をイメージしたと思われるマクシミリアンでジバンが刀折りを披露し、 飛び道具も防がれたチャンバラは土下座。ジバンが油断した所に爆弾トラップを発動し、目潰しも用いて追い詰めるが、 最後はフルパワーを出したジバンが勝利する。ジバンはチャンバラにマクシミリアンを振り下ろすが、洋子の制止にその切っ先を止める。
 「おまえは洋子さんを愛した。たとえ怪物とはいえ、人を愛する心を持つものを切るわけにはいかない」
 だが、チャンバラは差し伸べられたジバンの手を払うと人の姿で走り出し、折れた刀をその手にする。
 「姫よ、一時の夢をありがとう。これが、勝負に負けた侍の取るべき道なのです!」
 チャンバラノイド、自らバイオ爆弾を貫き自刃。洋子はその最期に、何故か涙が流れるのを止める事が出来ず、 チャンバラが自分の為に用意したかんざしを、墓標のように地面に突き立てるのであった……。
 うーん、前半は面白かったけど、うまくまとまらなかった感じ(^^; バイオ怪人ともわかりあえるかもしれない…… というネタをやってしまうと、生粋のバイオロンハンターであるジバンの立ち位置が揺らぎすぎるのが、今作の難しい所。その為、 最終的に「愛」という便利ワードが非常に適当な使い方になってしまってよろしくありませんでした。
 ジバン敗北→強化→強化モードが出てこない閑話休題、という構成が意味不明なので、今回、 諸事情で1話埋めないといけなくて強引に挟んだ話だった疑いも覚えます (既に今作で1回顔出しやっているスーツアクターの高橋利道さんがゲストポジションだったり、 この時期は企画回もやっている扇澤脚本だったり)。下手すると、撮影自体はパーフェクトジバンが出来上がる前かも(^^;
 次回、またしても得体の知れない存在が……!

◆第37話「私は世界一の美女!?」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升)
 オフに洋子先輩の買い物に付き合わされる直人は、クイーンコスモがブティックから服を盗む光景に出くわす。
 「クイーンコスモが何故服を?!」
 うん、ホント、何故なのでしょうか。
 更に靴も盗むコスモさんは、盗品を集めて、アジトでご満悦。
 「美しい服、美しい靴、そして装身具。美しいものは、全て私のものよ」
 あっれーーーーーー。
 コスモさん曰く、コスモさんが生まれた所は、暗く冷たく、美しいものなど何一つ無かった。 ところが人間達は薄汚いのに美しい服を着ていてムカつく!
 「やがて私はこの地球に、女だけの帝国を築き上げ、女王として君臨する事になる」
 あっれーーーーー−。
 ………………散々引っ張った挙げ句、目的と性格が提示されたらとても残念な人が誕生してしまいました。
 まあ、なんというか、逆方向でギバ様と同じカテゴリですけど。
 ・
 ・
 ・
 いや、ええと、どういう打ち合わせをしたら、こんな設定になるのか……。
 関係者全員、変なテンションになってしまったのか。
 共通の敵であるジバン打倒の為に一時同盟を結ぶギバ様は、コスモのお洒落大作戦に協力しようと言ってカメノイドを派遣するが、 その真の目的はコスモの秘密を探る事にあった。
 コスモはヨーロッパの国宝展を襲撃し、警護に当たっていた先輩2人を拉致。
 「あの世に送る前に、おまえたちに目の保養をさせてあげるわ」
 盗んだ服や装身具でファッションショーを開始するクイーンコスモ。一つだけかと思ったら次々と着替えて、、 村松でなくても呆然(笑)
 コスモを追跡したジバンはアジトの島を発見して乗り込むが、コスモの力で生命エネルギーを吸い取られてしまう。
 生命……エネルギー……?
 ロボットなのに…………?
 そしてそのエネルギーにより、コスモは自らの分身、ゴーレムコスモを誕生させる。
 キラキラした剣と盾、そして鎧と、なんというかスペースファンタジー な感じのゴーレムコスモはジバンとチャンバラを開始し、大苦戦するジバン。その間にクイーンにより冷凍刑を受け、 体温が下がった描写で土気色の凄い顔になる先輩2人。怒りのジバンはパーフェクト化すると、散々苦戦していたゴーレムを、 ドリルの一撃で瞬殺。
 ……あ、あれ?
 クイーンはこれで帰宅し、おまけのように出てきた亀ノイドは、オートデリンガーによって消し炭になるのだった。
 ………………パーフェクトジバン最強!! という事なのでしょうが、突然出てきたゴーレムコスモがやたらめったら強すぎた(多分、 スペースマッドガルボより強い、上にアクションが丸被り)上で、追加装備の本当に一撃で倒してしまう為、 適当感だけが強まり、むしろ逆効果に(^^; もう少し、流れをつけて欲しい所です。
 気がつくとそろそろ最終クールを迎えそうなのですが、色々な意味でどこへ行くのかジバン。

◆第38話「故郷だよ、おっ母さん!」◆ (監督:小西通雄 脚本:扇澤延男)
 都会の喧噪に苦しむ青年警官・大谷が、突然の退職。週末に田舎に帰ってから何かおかしいと聞き、何故か村松が連れ戻しに行く事に。 自称シティボーイなのにのどかな田舎の光景に目を奪われる村松……ところがそこに、何故か秘書ズ。
 「ついでにあいつも都会嫌いにしておやり、キノコノイド」
 胞子ガスにやられた村松は、もう都会には戻らないと署に電話をかけ、今度は直人が大谷の田舎へ向かう事に。 そこではすっかり意気投合した村松と大谷が、のんびりと釣りを楽しんでいた。
 ……しかし何故、2人ともメガネで被せたのか。
 全てはバイオロンの、「田舎へ帰ろうおいでよキノコの森ふるさと納税大作戦」であった。 キノコノイドの噴出する胞子ガスを吸った人間は体内の生理機能が狂わされた結果、都会の騒音や排気ガスに耐えられない体となった上に、 徐々に記憶を失っていき腑抜けとなってしまうのだ。
 バイオロンは大量に培養した胞子を全世界にばらまくことで、世界中の人間を田舎へ引きこもらせ、 空っぽになった主要都市を無血征服しようと目論んでいた!
 「1人の犠牲者も出さずに、世界中の大都市をそっくり頂戴できる。まさに見事な計画」
 割と構成員に暖かい、バイオロン(笑)
 そして地味に後者の、記憶を失い廃人になる効果の方が、恐ろしい……というかギバ様、 そちらメインで作戦計画を進めれば良かったと思うのですが、どこで選択を間違えたのか(いつも通りです)。
 直人は村に漂う奇妙な風と胞子に気付き、山中で育てられていた胞子ガスの源に辿り着く。 左右非対称で色々なキノコがあしらわれている、というなかなか面白いデザインのキノコノイドの柔軟ボディにパーフェクト武器が通用せず、 全身に腐食ガスを浴びてしまうジバン。キノコは胞子ガスのカプセルを手に全世界にそれをばらまこうとするが、 渓流釣りの穴場に向かっていた村松と大谷が、その為のロケットを目撃する。
 「お前達は東京から逃げ出した、屑だ! チキン野郎だ!」と秘書ズにせせら笑われた村松は闘志を取り戻し、 キノコノイドにまさかの体当たり。
 「東京から逃げ出して、今度は悪党からも目を背けるのか?!」
 という母の声に勇気を奮い立たせた大谷がカプセルを奪い、村松はとうとう、アサルトライフルでバイオノイドに立ち向かう。 結局カプセルは奪い返されてロケットは発射されてしまうものの、立ち直ったジバンがロケットを破壊したので、一応、 時間は稼いだという事にしておきたい。
 ジバンはオートデリンガーの砲身で戦闘員を殴りまくり、Wメガネも大活躍。
 38話にして、村松、初の真っ当な見せ場。いつフェードアウトしてもおかしくなさそうなキャラでしたが、とうとう、 ここまでやってきました(笑) 何故か、ゲストキャラとセットでありますが。
 ジバンはキノコノイドをファイナルキャノンで灼き尽くし、大勝利。胞子の影響が消えた村松と大谷は都会嫌いが治り、 再び刑事として東京に戻るのであった。
 特にどうという事のないエピソードなのですが、凄く面白く思えて困ります(笑)
 都会から田舎へ帰る事を「弱者の逃亡」呼ばわりして罵る辺りには一周回って都会への怨念を感じる所ですが、関係者に何か、 嫌な思い出でもあったのか。個人的怨念をそこはかとなく漂わせながらも、 バイオロンの突飛な作戦をジバンが打ち破るという正統派の展開に、ホッと一息。
 次回……予告の映像を見る限り、ジバンがまゆみちゃんを一刀両断しにいっているのですが、遂に、 闇の女帝が誕生するのか。

◆第39話「マユミの指輪爆弾!!」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升)
 プロデューサーのクレジットに、堀長文が参加。
 見所は、警官達を次々と殴り倒すまゆみちゃん。
 そして、
 「いいぞ抱き合え! 抱き合って工場ごと爆発しろ! そうすれば東京は大パニックだ! 抱き合え! 抱き合え!  はははははははっ!」
 かつてこんなに、「抱き合え」を連呼した悪のボスキャラが居ただろうか。
 パーフェクトジバンを分析し、身内で危機を煽るバイオロンは何としてもロマンチック爆死作戦を遂行するべく、 ヤドカリノイドにまゆみの行方を追わせる。
 その頃、まゆみを残して食料の調達に向かった早川青年が子供を助けて車に轢かれ、意識不明となって入院。 警察に身柄を確保される事に。早川の帰りを待っていたまゆみは親切なラーメン屋の夫婦に助けられて世話になるが、 その身辺にはバイオロンが迫っていた。警察とバイオロンの双方がまゆみを追い、直人はラーメン屋の夫婦から、 どうやらまゆみが記憶喪失になっている事、そして見覚えのない指輪を填めている事を知る……と、ようやく重要情報を入手。
 ヤドカリノイドはその特殊能力・寄生ヤドカリの術によってまゆみを操り、工場地帯でジバンと心中爆死させる事によって、 仇敵の抹殺と首都圏大災害の一石二鳥を目論むが、ハリーの分析により遂に指輪爆弾の正体を知ったジバンは、寄生ヤドカリだけを破壊、 まゆみを洗脳から解放する。
 しかし、ギリギリまで近づいても本当に「抱き合う」まで爆発しない辺りに、ギバ様の深いロマンを感じずにはいられません(笑)  さすが、スリルとロマンとデカダンの男、ドクター・ギバ。
 ヤドカリノイドは、背負った貝がジバンの攻撃で壊れて中身だけの着ぐるみになるという、まさかのギミックを見せるが、 その後すぐに滅殺されたので、特に予想外の反撃などはありませんでした。
 戦いの場から逃げ出したまゆみは、公衆電話からラーメン屋の夫婦に礼を言うと、再び早川青年とあてもない旅に出るのであった……。
 まー、どうせこんなオチだろうとは思いましたが、病院に担ぎ込まれて警察に身柄を抑えられていた筈の早川は、 どうしてしれっとまゆみと合流しているのか。やはり、あの早川と遠戚関係にあったりする血筋なのか。
 いきなり全て解決しないで、鍵が指輪爆弾にあるという糸口を掴んで次へ……という構成そのものは連続エピソードとして真っ当なのですが、 そもそものスタート地点が激しく間違っている為、何をどうしても面白くなりません。
 どうしてスタッフは、まゆみちゃんを巡る擦れ違いのドラマで盛り上げられると思ったのだろう……………………………………。

◆第40話「大反乱!!お化け時計」◆ (監督:小笠原猛 脚本:高久進)
 村松の妹が秋田から上京。ところが高速バスで辿り着いた新宿では、あらゆる時計が狂うという異常な事態が起き、 その影響で交通機関がマヒ。それはクイーンコスモが強力な磁場によって、愚かな人間文明を破壊しようとしている為であった。
 「クイーンコスモは宇宙で誕生した女だ。だから強力なムーンパワーを持っている」
 と、わかったようなわからないような説明をつけるギバ様、パンサーノイドを召喚。
 「パンサーノイド、銀行を襲撃しろ!」
 「は?」
 見た目からして普段は戦闘任務についているのか、「え? なんで俺?」みたいなリアクション(笑)
 ギバの狙い、それは本来ならタイムロックされ、週明けまで決して開かない仕組みになっている、国立銀行の大金庫にあった。 コスモの力であらゆる時計が狂っている現在、大金庫のタイムロックも無用の長物。その隙に大金庫の中に収められた金塊や宝石、 外貨などを奪う事で社会に更なる混乱をもたらそうというのが、ギバ様のもくろみであり、 決して遊ぶお金欲しさの衝動的な犯行などでは無いったら無いったら無いのである。
 コスモの協力で大金庫から金品を強奪した一味だったが、そこを村松妹に目撃されてしまう。囚われの妹を助けるジバン、 更にそこへやってくる洋子先輩と村松。妹を前に村松に銃撃戦で見せ場があったりしつつ、洋子先輩が磁力放射に苦戦するジバンを助け、 クイーンコスモは撤退。
 なお、コスモのムーンビームとオートデリンガーのファイナルキャノンが相殺し、一応クイーンコスモはとても強い、 という描写が入りました。
 ジバンは、オートデリンガーを戦闘員に渡して重さで動きを封じるというアクションを披露。それを後でちゃんと回収すると、 パンサーノイドを抹殺し、奪われた金品の回収にも成功するのであった。
 パンサーノイドは、ヒョウ柄だけど顔は蜘蛛系、背中に翼、という不思議なデザインで、多分最初はパンサーでは無かった着ぐるみを、 ヒョウ柄に塗ってパンサーにした疑惑。特に何も面白い事をしないまま、パーフェクトジバンにざっくり滅殺されました。
 (※デザイン段階では、イーグル・シャーク・パンサーの混じったサンバルカンっぽいノイドだったそうで、 元々は何かの企画ネタ用だったと思われるそうです)
 時計が狂った為に待ち合わせに失敗した妹を心配する村松と、それを気遣う洋子先輩、というのは今回ならではというシーンでしたが、 銀行強盗の連絡を受けた途端、妹を探していた村松が何の躊躇もなくそちらへ切り替えるので、そこからドラマが全く広がらないという、 非常にぞんざいな扱い。警察官としては正しいけど、そこで妹を思う部分が入らないと、物語に妹を絡めている意味が無いわけで(^^;
 都会で冷たい仕打ちを受ける田舎娘、みたいなシーンが2回ほど入って危機感と可哀想な感じが煽られるのですが、 それも本筋には何の影響も与えないので、中学生の少女が突き飛ばされるシーンとか見せられても、ただ感じが悪いだけ。 最後にジバンが「君のお陰で……」とか言い出すのですが、ただ人質になっていただけなので、いっそ意味不明という、 全くよろしくない使い方に村松妹は終始してしまいました。
 もう少し、各要素を繋げていただきたい。
 「宇宙から来た謎の女、クイーンコスモ。彼女の体内に宿る悪魔の魂は、次は、どんな形で爆発するのだろうか」
 そして毎度ナレーションで雰囲気だけ盛り上げようとしているのが、段々よくわからない領域に到達しつつある(笑)

→〔その6へ続く〕

(2014年11月13日/2015年4月10日)
(2019年12月27日 改訂)
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