■『機動刑事ジバン』感想まとめ4■


“GO GO… GOYOだ!
おれがジバンだ ジバンだ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『機動刑事ジバン』 感想の、まとめ4(25〜32話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

戻る

〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕
〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・  〔総括〕


◆第25話「女神サマをぶッとばせ!」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升)
 見所は、直人のど派手なベストと、高橋利道さんの半裸。
 バイオロン怪人に久々のおっさん体が出てきましたが、脱ぐ必要は皆無であり、これも、夏の魔力なのか。
 幾ら人が大胆になる季節といっても、直人のベストは大胆すぎだと思いますが。衣装で、先輩と張り合ってどうする。
 名画モナ・リザが来日し、美術品を吹っ飛ばすぞ作戦を思いつくギバ様。 定期的に芸術品を爆破しないと発作が起きる体質のバクハノイドが派遣されるが、その前に現れて妨害したのは、あの早川良!
 ……てあれ、小学生女子と愛の逃避行に出たのではなかったのか。今頃てっきり、 日本海の見える北陸の旅館で、住み込みで働いているのかと思っていたのに。
 早川が爆破ノイドを食い止めている間に、ジバンが現着。早川を目撃したジバンは爆破ノイドそっちのけで早川を追おうとして攻撃を受け、 ジバンを化け物の仲間だと思っている早川は逃亡。戦闘の末に爆破ノイドも逃亡、と開始5分で早くもぐだぐだ。
 実は早川は半年前、北海道で美術館を爆破しようとした爆破ノイドを妨害。 しかしその為に美術館爆破未遂事件の重要参考人として警察の取り調べを受ける事になり逃亡者となったのだった。
 早川が警察から逃げている半年前の事件というのはバイオロンがらみだろうとは思われましたが、早くも絡めてきました。
 まゆみの確保を目論むバイオロンは早川を誘き出そうと様々な美術館を次々と爆破。更に警察に爆破予告を送り、 「僕の女神」のメッセージに気付いた早川は独りその阻止へと向かう。まゆみどりは「僕の女神」がモナ・リザを指す事を警察に連絡し 、そこで電話を受け取った直人から、「まゆみ」の名を聞く事に。
 現場で銅像に偽装して待機していたジバンは久々のサーチバスターで偽早川の正体を見破ると、ジバンエンドでさっくり成敗。だが、 爆破ノイドの頭部は巨大なバイオ爆弾であり、自爆による道連れを目論んでジバンの体に張り付いてしまう。
 「爆発まで、あと30秒」
 前々回のミサイルのカウントダウンもですが、ハリーボーイの他人事感が凄い。
 ボーイとハリーを悪魔合体した結果、電子工学の神秘によりその両者のどちらよりもドライな性格になった気がするんですが。 ……まあ、合体させたのが対バイオロン委員会の手引きだと思うと、納得感もあるけど。
 ジバンは飛行メカを呼ぶと、バイオ爆弾を空中に捨てて処理。なんとか大爆死の回避に成功するのであった。
 ところで半年前の事件について事情をはっきり確認しないまま、爆破ノイドをばっさり成敗してしまったので 早川の無実を証明する手段が消失したのですが、一体全体どうするのでしょうか。
 そして一連の成り行きにより、どうやら自分の本名は「まゆみ」らしいと知るまゆみどりだったが、結局、早川の助手席に収まる事に。
 「怪物の追ってこない、遠くへ逃げよう」
 て、前とオチが同じなんですが!!!
 今度こそ、日本海が見える所に逃げるのか。
 それとも海を渡るのか。
 ここまでの成り行きがあまりに滅茶苦茶な上、2人の青年とデカダン中年紳士がちょっとふっくらめの小学生女子を奪い合う、 という誰も喜ばない展開の為にあまりに盛り上がらないのですが、いろいろ大人の事情を感じる展開だけに、 責任取ってまゆみちゃん編を書く羽目になっている?杉村升が、可哀想な気さえしてこない事もない。

◆第26話「竜に釣られたグルメ美女」◆ (監督:小笠原猛 脚本:扇澤延男)
 夏だ! 水着だ! 海……ではなくて浜名湖だ!
 というわけでお馴染み、魔王の眠る浜名湖回です。
 夏期休暇で浜名湖に遊びにきていた先輩と村松。成り行きでミス浜名湖コンテストに出場する先輩だが、 バイオロンがコンテストに集まった美女達をさらっていく……その目的は、 あらゆる金属を溶かす超酸性雨を降らせる能力を持つリュウノイドを覚醒させる為であった。
 「人里離れた沼の底で、パワーを蓄積するための長い眠りにつけておいたあのリュウノイドが、いよいよ目覚めるのだ!」
 何してるんですか、ギバ様。
 事あるごとに死にたがるジサツノイド、美術品を爆破しないと発作に見舞われるバクハノイド、 若く美しい娘のエキスを吸収しないと真の力を発揮できないリュウノイド、と、ここ数話、 明らかにギバ様が酔っ払っている時に作ったバイオロン怪人が連続しています。
 先輩2人が不在で、いつも村松刑事が座っている席にふんぞり返りながらお茶を出してもらい、 予想以上に自由を満喫していた直人だがこの事件を知り、ジバン、飛行メカで浜名湖へ。
 今回妙に出番の多い村松が珍捜査を続ける中、ジバンはバイオロンを発見。囚われの先輩は水着でドロップキックを放ち脱出に成功し、 素人に拾ったマシンガンを撃つ事を強要する。
 「世の中、可愛いだけじゃ生きていけないの」
 しっかり自分を「可愛い」フォルダに入れている辺りが、さすが、先輩です。
 リュウノイドのスーパー酸性雨攻撃に苦しむジバンだったが、ダイダロスファイヤーで人工雲を消滅させて、ピンチを脱出。 フライングジバンエンドでリュウノイドを撃破する。
 バンク映像交えながらですが、ダイダロスが活躍。ここまでの使い方を見るとダイダロスファイヤーは、ミサイル破壊したり、 虫のアジト消し飛ばしたり、人工雲を蒸発させたり、基本、対人兵器ではない様子。そのオーバースペックゆえにマッドガルボに通用した、 と考えると切り札としての筋は通っています。……肝心のマッドガルボの弱体化――というか存在の無意味化が激しいので、 それ自体がどうでもよくなってしまってはいますが(^^;
 珍しく、クレジットではっきりと役名表記の出たゲストキャラ・川本メイ役の国実百合は、 88年歌手デビューで売り出し中のアイドルだったようで、夏・水着・浜名湖と合わせた、一種の企画回だった模様。それもあってか、 演出にも脚本にも、全体的にやる気の無さが漂います。ハイライトは、水着の先輩とアイドルが砂丘でマシンガンを撃ちまくったからいいよね?!  みたいな。……当時若手扱いで回ってきたのでしょうが、扇澤さんに企画回を書かせるという時点でミスマッチの気も(^^;
 ところで、「ジバンの強さを 君知ってるか?」の挿入歌は、ジャズテイストのインストだと意外に格好いい事が発覚。
 そして、グルメ美女はどこにも居なかった。

◆第27話「愛するわが子は悪魔の子」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升)
 母と妹をからかって遊ぶ少年が、明らかに垂直の壁を素手で登っており、 「早く降りるんだ!」とか言っている場合ではない気がするのですが(笑)
 10日前から様子がおかしくなり、まるで悪魔のように家族をからかい、暴れ、好き放題に振る舞う少年の父親は、 国立がん研究所の著名な学者であった。実は表に出ていないだけで、この10日間に様々な有力者の子供の様子がおかしくなっており、 各方面に多大な影響を与えているのだった。
 「悩め! 苦しめ! 愚かな親どもめ!
 「子を思う親心につけこむとは、見事な作戦ですドクターギバ!」
 すっかりヨイショ要員のマッドなガルボさんですが、「つけこむ」ってあまり、上司への褒め言葉ではない気がします!
 今回のバイオロンの企みは、有力者の子供をおかしくして心配で仕事が手に付かないから社会は大パニックだ作戦。 社会的に影響力の強い人物を標的にするにあたって、「その中でも人一倍、自分の子供に愛情の深い連中」をちゃんと下調べしている辺り、 さすがですギバ様!
 思いつきを現実にする科学力と、初動に失敗しない組織力はバイオロンの大きな長所。その後の杜撰さと、 そもそも作戦内容が夢に溢れすぎな所が問題なのですが。……夢! そう、バイオロンは、 男の夢の理想郷だから!
 様子のおかしい子供達を追った直人は、子供達が電車ごっこで不気味な儀式の真っ最中の光景を目撃する。 実は子供達は薬でおかしくされたのでも何らかの洗脳を受けたのでもなく、怪人のパーツが化けた姿だったのだ!
 ムカデノイドの各関節部分が子供達に化けていた、というのは面白い設定。謎の電車ごっこが、 ムカデが合体気分を味わう休憩中だったという、映像的インパクトも良し。
 ジバンはホログラフィを利用した頭脳作戦でムカデノイドのパーツを一つ確保すると、それを囮に罠を仕掛けて本体と交戦。
 幾らバイオロンの怪人(の一部)とはいえ、敵を檻に閉じ込めて罠を仕掛けるヒーローには ギリギリ感が漂いますが、機動刑事ジバンは、相手がバイオロンと認めた場合、 何をやっても国家権力により許されるのだ!
 合体したムカデノイドは意外と格好良いデザインだったのですが、戦闘シーンは何故か、 人型ではなく空中をふわふわ浮く巨大なムカデとの戦いがメイン。途中も少々ホラー風味の演出をしているのですが、 少し目先を変えたかったのか。
 囚われの子供達を助けるべく3大メカの活躍シーンを挟み、珍しく秘書ノイドの戦闘シーンも入り、 最後はジバンハーケンクラッシュでムカデを撃滅。助けた子供達に囲まれてお礼を言われるジバン、 というわかりやすいテコ入れ演出(笑)で大団円。
 次回……凄そうで期待。

◆第28話「パパはドクターギバ?!」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升)
 宇宙科学研究所で、月の石から地球外生命体の存在を示す微生物が発見されるが、バイオ怪人の素材にしようと秘書ズがそれを強奪。 追跡したジバンと逃亡する秘書ズは、カーチェイスをしながら、東都映画撮影所へと入り込んでしまう。
 ……あ、この辺り、ズバッカーが走っていた気がする(笑)
 秘書ズが逃げ込んだスタジオではアクション映画の撮影中。そこに居た俳優はなんとドクター・ギバに瓜二つで、 秘書ズはそれをギバ本人と間違えてしまう。
 「助けに来てくれたんですか?!」
 いや、ギバ様は来ないと思います。
 秘書ズは石をそっくりさんに渡して逃亡。追いかけてきたジバンは男を見るなり、「ドクターギバ! 貴様ぁ!」 と問答無用で胸ぐら掴むが、ハリーボーイの制止を受け、一般市民を暴行するだけ暴行して逃亡(笑)
 機動刑事ジバンは、バイオロン犯罪の捜査中に何をしても、国家権力により許されるのだ!
 基地へ戻った秘書ズは自分達の間違いを知り、月の石とそっくりさんを確保するべく、ゾウノイドと出撃する。
 今回は夏の秘書祭りも兼ねていたのか、秘書ズが出番多めの台詞多めで、ダークスーツと何故かタンクトップ姿の、 着替えも2回。先輩との生身肉弾戦もありで大活躍。
 直人と先輩の奮戦も空しくそっくりさんはさらわれ、月の石は息子に預けた事が判明。
 尋問の時に楽しそうにそっくりさんを平手打ちする秘書ズ、それを見てちょっと痛そうな顔になるギバ様、というのは凄く良かった(笑)
 父親が誘拐された事で少年と接触した直人もまた、月の石を少年が持っている事を知る。だが、その前に突然、 青い光球の中に浮かぶ謎の女が姿を見せる。
 「体温がありません。質量がありません。これは、バイオロンじゃありません」
 「なに?!」
 「新しい敵の出現です。凄い力です」
 「ムーンパワー!」
 重力を制御する光線などを放つ女に痛めつけられた直人は、通りすがりの秘書ズの攻撃を受けて川に落下。なお、 通称が「ダメ刑事」から「ヘボ刑事」に変わりました(直人を「ダメ刑事」と呼んだ次の次の回で村松を同じ「ダメ刑事」 と呼んでしまったので、呼称が変わったのは改善……使い分けが定着すればですが)。
 逃げた少年は父親に化けたゾウノイドに月の石を奪われそうになるが、そこへジバンが駆けつけ、 ゾウノイドをハーケンクラッシュで粉砕。秘書ズは本物のそっくりさんを人質に石を渡すように要求するが、その時、 再び現れた謎の女が石を破壊してしまう。
 「機動刑事ジバンに、バイオロンのドクターギバか。私の正体は、まだ明かさぬ!」
 ええっ?!
 これだけ派手に出てきて、まさかの黙秘。
 喧嘩を売ったガルボさんは、ムーンパワーで一蹴されました、はい、されました。出口はあちらです。
 「よいかジバン、ドクターギバ。再び私が現れたその時、この地球は私のものになる。覚えておけ! あっはっは、 あっはっはっはははは」
 ……これはまさか、共通の敵の出現に、ジバンとギバ様が手を組む燃え展開?!
 なわけはなく、ギバ様はぷりぷりと帰宅。
 捕まえたそっくりさんに「不愉快だ!」と言う為だけに出てきたり、最後に意味もなく登場したり、前半、 マッドガルボに「ドクターギバはずーっとここにおられたのだぞ」と暇人ぽい扱いを受けたのを、ちょっと気にしたのでしょうか。
 「新たなる敵の出現。いったい何者なんだ」
 謎の女は地上へと降り立ち、ムーンクリスタルパワー・メイクアップにより白いドレスに身を包む。体温も無ければ質量も無く、 ムーンパワーを操って地球を狙う新たな敵――その正体は果たして?!

 というか、管轄外、では。

 えー………………なんでしょうこの、更にやってしまった感じ。
 今回、ギバ様のそっくりさん登場によるドタバタものとしては、 定番のそっくりネタにボスキャラを持ってくるという大技が効いてそれなりに楽しめたのですが、後半、謎の敵が登場してから、 完全に崩壊してしまいました。
 ジバンはどうして、
 まゆみちゃんリタイア→少女ボスとかどうでもよくなる
 新たなる敵登場→対バイオロン法の適用外
 新展開の度にコンセプトを粉砕するのでしょうか(笑)
 まあ、このムーンな人は短期ネタという可能性もありますが。

◆第29話「集団見合いで大ドンデン!」◆ (監督:岡本明久 脚本:扇澤延男)
 なんかこー、もはや現場ではどうにもならないレベルで事態が破滅に向けて進行している、みたいな空気さえ感じるのですが、 いったいこの当時の『ジバン』制作の裏では何が起こっていたのでしょうか。
 泥沼の中を、目隠ししながら三輪車で爆走しているような感じ。
 船長の放火でタンカーが大爆発、銀行員が銀行の金庫で札束に放火、航空機パイロットが市街地に着陸を強行……などなど、 世間では立て続けに、エリートによるおよそあり得ない事件が相次いでいた。 それらの犯人が共通して参加していたお見合いパーティの存在を知った直人と村松は、参加者として集団お見合いに潜入する。
 勿論、そのお見合いの裏で糸を引いていたのはバイオロン。
 バイオロンは集団お見合いで集めたエリート達を籠絡し、社会に大混乱を巻き起こそうとしていたのだ……このバカなプロットは、 凄く、扇澤脚本です(笑)
 「ダブルノイド、おまえはその得意なお喋りで、集団見合いの席をどんどん盛り上げるのだ」
 ギバ様、何を、作ってるんですか…………!
 そんなギバ様は、何故かいきなり、変なナメクジみたいな頭部になっていた。
 「ふふふふふふ、余は変幻自在だ」
 前作のボスキャラのような事を言い出すギバ様、以前にも洒落で首が360度回っていたり、部下はあんなだったりで、 普通の人間ぽくはありませんでしたが、先を見越した伏線にしてもあまりに唐突かつ面白みも盛り上がりもなく、 どう受け止めていいのかわかりません(^^;
 役者さんのスケジュールの都合で強引に放り込んだネタなのかもしれませんば、ギバ様はバンク映像でも割と何とかなるだろうし (今回もそうですが、飯塚昭三が声をあてているので台詞は幾らでも変更可能)、さっぱり理解不能。
 まゆみちゃんリタイア以後の『ジバン』は色々と理解不能なので、もはや誰が悪いのかさえ分かりませんが。
 システムか、システムが人を殺すのか!
 ダブルノイドは特技;《お喋り》ながら、二つの頭部からそれぞれ炎と氷のブレスを吐き、意外な戦闘力でジバンを追い詰めるが、 突然飛んできたムーンパワーさんの攻撃を受け、退散。ムーンパワーさんも早退し、何をしに来たのかさっぱり理解不能。
 急病の少女・つぐみを助けた縁で知り合った善良で誠実な町医者・小柳の様子がおかしい事から、 新たなお見合い会場に改めて乗り込む刑事3人。
 完全なレギュラーというわけではないので、使いたくて使っているのか、使うように言われて使っているのかはわかりませんが、 前回の浜名湖に続いて、扇澤脚本が割と村松の出番多し。まあ、サブキャラに意味を与えようというのは、 扇澤脚本らしい所ではあります。……とはいえ、徹底してずっこけコメディリリーフとしての起用な上に一貫性も薄く、 キャラクターが深まっている感じは全く無いのですが(^^;
 乗り込んだお見合い会場で判明する、集められた女性陣は、全員バイオロンの構成員だったという、 衝撃の大ドンデン!
 つぐみを人質にされてダブルノイドに追い詰められるジバンだったが、小柳先生が決死のアタックでつぐみを助け、反撃。 ダブルブレス攻撃を自爆させると、トドメは第6条からのハーケンクラッシュ。……ここまでの使用を見る限り、 ハーケンクラッシュは6条を読み上げるのが発動キーになっている模様。
 こうしてバイオロンの、ドキッ! エリートだらけのお見合いはハニートラップでいちころよ☆大作戦は失敗に終わる。 ムーンパワーさんは何をしに来たのかと思ったら、最後にまた何の意味もなく刑事達に顔見せして飛び去っていき…… だから何をしたかったのか。
 もはや(主にムーンパワーさんに関する)オーダーが無茶すぎてまともな構成の組みようがなかったのではという疑惑さえ感じるエピソードでしたが、 ゲストキャラの小柳先生はいい人だが朴念仁、というのが上手く出ていて好印象でした。 小学生女子の「だから10年間待って下さいって言ってるのに」という台詞を、直人と2人揃って全く理解できないダメ具合も良し(笑)
 それにしても、急病人を運ぶに際し、「昔、この辺りには、五十嵐医院という、小さな病院が、 あったーそうじゃー」なんて事は誰も覚えていないという、業の深さよ。

◆第30話「美少年小太郎一座の怪人」◆ (監督:岡本明久 脚本:鷺山京子)
 ベテラン・鷺山京子参戦。
 そして、バトルマスター鉄山こと、東千代之介降臨!
 息子役の竜小太郎(役名と芸名まま)は、実際に子役時代から大衆演劇の舞台で活躍されている方だそうで、 ビッグゲスト登場と合わせた、ある種の企画回か。なぜ、ここで企画回なのかは理解に苦しみますが(^^;  夏休み展開という事かもしれませんが、夏休みの入り口で新キャラ出して、そのまま夏の企画回に突入とか、 ひたすら迷走の気配しか窺えません(^^;
 秘書ズが運んでいた怪物細胞が張り付いてしまい、月の光を浴びると凶暴な怪物と化すようになってしまう舞踏家・竜千之丞 (東千代之介)。怪物細胞の量産化を目論んでいたバイオロンはそれを取り戻すべく千之丞を狙い、息子の小太郎の舞台に罠を張り、 姿を隠した千之丞を待ち受ける。
 今回もギバ様はナメクジモード。
 …………ええと、前々回の1人3役を最後に、役者さんリタイアとかではないですよね……?(^^; ギバ様は、 恰幅の良い中年ヒゲグラサンだから面白いのであって、謎の生物になったら、魅力半減以下なのですが。
 単純な夏休みならいいのですが、それとも予算の都合で通常、月野力さん(OPクレジットによるとクイーンコスモ) と一緒に出せないのか。或いはもしかすると、ギバ様の役者さんも都合が悪くなったが故の、この意味不明展開なのか。
 なお、月野力さんは、小太郎の舞台をタダ見して帰りました!!
 「石川や 浜の真砂は尽きるとも 世にバイオロンの種は尽きまじ」
 小太郎の相手役に化けて舞台で踊りを披露するなど芸達者なカブキノイドは、キセル銃などでジバンを苦しめるも、 最後はジバンエンドでずんばらりん。色々あんまりだと思ったのか、屋根の上で戦ったり、多段ジャンプでの剣攻撃など、 演出でちょっと工夫。千之丞に化けた直人を追って、屋根を突き破って飛び出してくる所は、少し面白かったです。
 バイオロンを蹴散らしたジバンは、怪物細胞を分離する薬で千之丞を治療し、親子が舞台で共演して大団円。
 またも勢いで時限爆弾を解除した先輩が、爆弾抱えたまま舞台を見ているのがシュール。
 歌舞伎ノイドで面白みを付けつつ、なんとなーく大破綻させないで話をまとめてしまうのは鷺山さんのある種の持ち味。 個々のエピソードの面白い面白くないは別にして、こうして、ああして、こうすれば、何となくヒーロー物としてまとまって見える……、 という文法の抑え方が染みついています。
 それにしてもそろそろ、どんな顔して見ていればいいのかわからなくなってきました……!
 次回、今年も忍者がやってきた!
 そしてまさかの……!!

◆第31話「真夏の夜のニンジャ合戦」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
 太腿剥き出しで公園でランニング中の直人、園内で平然と火気を取り扱っていた少年を発見する。
 「この少年、どこか見覚えのあるこの顔は、世界忍者ジライヤの弟、山地学であった」
 いきなり、ナレーションで説明された(笑)
 というわけで、前作『世界忍者戦ジライヤ』の主役の弟がゲスト出演するという、コラボ編。
 ごく平然と「戸隠流正統を継ぐ」と名乗る学、割と普通に受け入れる直人(なにか、昔の記憶を刺激されたのかもしれない) ……一方その頃、刑事局長の執務室にバイオロン怪人シノビノイドが配下の忍者軍団と侵入し、刑事局長に怪しげな呪術を仕掛けていた。
 三方の上に乗せた巻物を広げ炎のエフェクトがかかるという、よくある護摩行のような儀式シーンを現場でインスタントにした感じの演出は、 なかなか印象深し。
 また、蜘蛛ベース+忍び装束+眼帯、というシノビノイドのデザインは、如何にも悪の忍者然としていて、実に秀逸。 単独ではなく配下の忍者軍団と一緒に行動するのも雰囲気を出しています。
 シノビノイドの呪術を受けた刑事局長は突然、
 「これから男の警官は皆、婦人警官の制服を着用すべし」
 と野心溢れる性癖に目覚め、「極秘に入院」する事になってしまう。
 …………ああなんだろうこの、よくあるストレス案件のような対処(笑)
 この刑事局長だけではなく、某大臣が自衛隊の週休3日を宣言するなど、密かに日本のトップクラスに奇矯な言動が相次いでいた。 柳田から指令を受けた直人は、事件の背後を探るべく、捜査へと向かう。
 ……この作戦、数話前にもやったよーな、と思ったら、「有力者の子供を狙って社会をマヒさせる作戦」も 「エリートの卵を狙って社会を混乱に陥れる作戦」も今ひとつ効果に満足いかなかったので、 「日本の中枢に関わる人物を直接狙うぞ!」とギバ様(今回もナメクジ)が宣言し、珍しく、 前の作戦を踏まえた作戦計画であった事が判明しました。
 有力な検事である同級生の父親がさらわれるのを目撃した学はそれを追いかけ、洗脳リストの巻物を奪取。 刑事局長の部屋に残された神経錯乱細菌からバイオロンの陰謀に気付いた直人と合流して同級生父の救出に成功するが、 単独で敵を深追いして、囚われの身になってしまう。
 宙づりにされて、巻物の在処を問いただされる学。
 「言えば許してやる」
 「その手に乗るもんか。悪いヤツはいつもそうやって騙すんだ」
 と反駁するも、忍者ノイドに炎を浴びせられて脅され、
 「言うから降ろして!」
 「本当だな」
 「戸隠流の忍者に二言はない!」
 「よーし、忍者の約束だ。降ろせ」
 と来て、縄を解かれた途端に煙玉で逃げ出す、さすがの戸隠流クオリティ。
 「小僧、よくも騙したな」
 「おまえは忍法の何たるかをよく知らないな!」
 「なに?」
 「忍法の奥義は相手を騙しても最後に勝つ事にあるんだ! わかったか!」
 前年の『ジライヤ』は“これが当たり前”の世界観だったのですが、ヒーローとしては王道路線の『ジバン』世界で聞くと、 凄く歪んで聞こえる圧倒的な戸隠流クオリティ!
 もう今回は、ここだけでも最高です(笑)
 「警視庁秘密捜査官警視正、機動刑事ジバン!」
 「俺は、戸隠流正統、山地学だ!」
 久々に対バイオロン法を1〜2条補足まで読み上げてのジバンVS忍者軍団は、かなり格好いい立ち回り。 変幻自在のシノビノイドに苦戦するジバンだったが、学の目隠しによる援護もあり、ディスクローズショックで細胞分裂を阻み、 ハーケンクラッシュでトドメを刺す。
 最後は皆で花火を楽しみ、今回、電話番だった洋子先輩が浴衣姿を披露。同級生女子にちょっとモテる学であったが、その分野では、 兄への道のりはまだまだ遠いゾ……!
 ナレーション「機動刑事ジバン、戸隠流忍法の流れを汲む、山地学。二人は正義の力で結ばれた。
 しかし、時折姿を現す、謎の女の正体は何者か。
 頑張れ田村直人。機動刑事ジバン」
 画面を丸で抜いて、最後に強引に月野力さんの顔を出すのですが、凄く、要らなかった(^^;
 前作のメインライターとメイン監督が担当し、前作のツボを押さえてファン納得という、しっかりとしたお祭りコラボ回。 学も前作からの成長が窺える活躍を見せ、全体的にアクションも秀逸。東映の演出陣はホント、忍者が絡むと力が入るなぁ(笑)  洋子先輩の出番をさっくり削った判断も良く、気持ちよく楽しめる1本でした。
 それだけに、最後のナレーションとバンク顔出しが、余韻台無しで非常に残念(^^;
 ――次回、マッドガルボはニートから脱出して己の存在意義を証明できるのか。

◆第32話「パールの涙は金色の海に」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:藤井邦夫)
 久々に登板したと思ったらファンタジックな悲恋ネタを突っ込んでくる、安定の藤井邦夫。
 「いつか海に行けるように、貴女の名前、真珠にしよう」
 直人は不思議な力を持ち、バイオロンに追われる女性を保護し、イケメンモードを発動。
 女の正体は、ドクターギバがバイオノイドを作成する際に不必要と切り捨てた、善と美と優しさの遺伝子が未知の反応を起こし、 バイオロンの廃棄物処理場で自然発生した善と美と優しさのバイオノイドであった。
 体の周囲を舞うシャボン玉により、花を咲かせたり怪我を治療したり闘争心を奪ったりするのですが、ビジュアル的には、 新手のスタンド使い。
 「二度とあのようなバイオノイドが生まれぬように、廃棄物処理場を破壊せよ」とギバ様が勢いで自分の家の廃棄物処理場を破壊し始め、 その影響で苦しむ真珠に迫る、デイストノイドと、マッドガルボ。
 デイストノイドは、青緑色のタコ+脳みそみたいな外見なのですが、何のバイオ怪人なのかよくわからず。 「デイスト」ってなんでしょう。
 ギバ様の改造によりシャボン玉を無効化するデイストノイド、真珠を守りながらの2対1の戦いで苦戦するジバンは、 メカ軍団の援護でからくも退却……と、久々に太陽の下に出たマッドガルボと、メカが活躍。 直人の時に名付けた「真珠」の名前を呼んでしまうという「最後にもう一つ……」的なミスにより真珠にジバンである事を悟られた直人は、 イケメンモードであっさりとそれを認めると、自分の命が残り少ない事を悟った真珠を、海へと連れて行く。
 「マッドガルボ、真珠はあとわずかな命。残り少ない時間を、そっとしておいてくれ」
 迫り来るバイオロンに対し、ジバン、まさかの交渉。だがマッドガルボは廃棄物の運命を不良品と嘲笑い、 怒りのジバンは鋼鉄の拳を固める。
 「マッドガルボ……許せん。命を弄ぶお前達が!」
 本日はひたすらイケメンモードのジバンだが、マッドガルボとデイストノイドとの2対1で大苦戦。……それにしても、 マッドガルボは海に居るとますますフジツボ(^^;
 ジバン危うしのその時、宙明節と共に、白いドレス姿になってデイストノイドへと突撃する真珠。……ああ、 ここでやっとわかりましたが、美とか泡とか貝とか、ヴィーナスのイメージだったのか。
 真珠がデイストノイドを押さえ込んでいる間にジバンはダイダロスファイヤーでマッドガルボを撃退。
 「さよなら、ジバン。さよなら、直人……」
 真珠の命をかけたシャボン攻撃はデイストノイドの処理容量を上回り、真珠は消滅するも、デイストノイドはその戦闘力を失う。
 「対バイオロン法第9条。機動刑事ジバンはあらゆる生命体の、平和を破壊するものを自らの判断で抹殺できる」
 法の拡大解釈によりその場の気分で誰でも抹殺できそうな事を口走ったジバンは、闘争心を失ったバイオノイドを、 ダイダロスファイヤーで滅殺(笑) デイストノイドは恐らく、ダイダロスファイヤーで直接トドメを刺された、 初めてのバイオノイドになりました。
 真珠の命を懸けた優しさに救われた直人は、改めてバイオロン誅滅を誓い、磯で見つけた真珠を握りしめるのだった……。
 次回予告と、脚本:藤井邦夫の時点で、オチまであらかた読めてしまうのはそれはそれで見ている側が歪んでいるのかとも思いつつ、 期待に応えてくれる藤井先生。いい悪い以前に、あまりにも話の流れが読めてしまい、物語にノる事が出来ませんでした(^^;
 藤井邦夫は、80年代東映ヒーロー物の中では、実に趣味的というか、かなりフリーハンドを与えられて書いている感じなのですが、 割とこの時点で実績のある人だったのかなぁ。
 なお今回、月野力さんは、街のチンピラを洗脳して直人と先輩を襲わせるという、新たな能力を発揮。……というか、 チンピラ達が洗脳される前からナイフを振り回して鉄パイプを握っていたのですが、思いの外、治安悪いぞセントラル・シティ。 それは、先輩のトリガーも軽くなる筈です。
 セントラル・シティに、銃声の響かぬ夜はないのだ!
 そして今更、役名表記が「クイーンコスモ」→「謎の美女」に変わったのですが、どうして。
 真珠役の滝川理恵は見覚えのある顔だなぁと思ったら、『特警ウインスペクター』第25話で、バイクルに恋をされる女性の役でした。 プロデューサー・吉川進の娘だそうで、他にも東映ヒーロー作品何作かにゲスト出演あり。

 ――次回、祝・ギバ様復活!!!
 しかし、何やらまたわけのわからない展開に。
 そしてナレーション、
 「だが、そこには何かが、得体の知れない何かが隠されていた」
 これ以上まだ、得体の知れないものが出てくるのか……!

→〔その5へ続く〕

(2014年11月12日/11月13日)
(2019年12月27日 改訂)
戻る