■『機動刑事ジバン』感想まとめ3■


“ジバンの秘密は 子供のアイドル 田村直人
強さの秘密は 地球を愛するジバンの心”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『機動刑事ジバン』 感想の、まとめ3(17〜24話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ4〕
〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・  〔総括〕


◆第17話「誕生!対ジバン必殺兵器」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升)
 非番の日に五十嵐家でまゆみちゃんと遊んでいる直人……“祖父の死亡事件をきっかけにまゆみに親切してくれる刑事さん”を通り越えて
 傍目には変態の香りが日に日に高まっていきます。
 まゆみ父が、「午後から一緒にゴルフの練習でもどうかね?」と直人を誘っていたけど、これはついていったが最後、真剣な表情で
 「で、君は本当のところ、まゆみの事をどう思っているのかね? 事と次第によっては、私にも考えがある」
 とか言われてしまうから逃げて直人!
 そんな表向きは和やかな五十嵐家に、恐るべき魔手が迫っていた。洋子先輩を疑うも空振りに終わったバイオロンは、 ジバンと度々関わる少女・五十嵐まゆみに目を付け、五十嵐家の両親こそジバンの秘密を知っているに違いないと、まゆみ母を誘拐。 まゆみ母にすり替わったアゲハノイドが五十嵐家に潜入し、食卓でいきなりジバンの事を尋ね出す。
 そこへ遊びにやってきた平和プロパガンダロボ・ハリーがきっかけで、アゲハノイドの正体判明。まゆみ父に襲いかかるアゲハノイドに、 問答無用で接近戦を仕掛けるハリー。
 諸君、私は平和が大好きだ。
 ゆえに、武力を持って平和を獲得する!
 謎の再登場を果たしたハリーですが、前回抱えていたテーマ性は、三途の川を渡りかけた時に川向こうに放り捨ててきた模様で、 現世に舞い戻ってきたのは、電気をまとった獣の魂でした。
 その頃ギバ様は、これまで以上に強力なバイオ怪人を作成しながら、ナポレオンズみたいな芸(首が一回転)を披露していた。
 「私は全ての事をいつも、疑っているのだ。疑えば救われる。それがバイオロンの哲学だ」
 五十嵐家では、闇の公権力の使者・柳田が再登場し、混乱するまゆみ父に事情を説明する。
 2年前の5月に発生した謎の100億円強奪事件――それが、バイオロン犯罪の始まりだった。 その事件を皮切りに日本各地で人間業とは思えない犯罪事件が次々と発生し、故・五十嵐博士はこの謎の犯罪組織に対抗するべく、 「ジバン計画」を進めたのであった。
 およそ1年ぐらいで五十嵐博士が改造人間の作成に成功した事になっていますが、五十嵐博士が凄い天才だった……のも確かとして、 基礎理論などは随分前から確立させていて、試したくてうずうずしていたのだろうなぁ。国家予算で研究を進めて、 国家権力の名の下に人間を改造できるとか、マッドサイエンティストとしてさぞ本望だったに違いありません。
 一方ギバ様も、
 床にナメクジの這ったような跡
 壁一面にカビのようなものが付着
 壁に巨大な獣のような爪痕
 現場に異様な赤い粘液
 現場に異様な匂い
 といちいち物的証拠をこれ以上ないほど残し、犯罪のスリルを満喫していた。
 柳田はジバン=直人である事だけは隠すが、祖父から受け継ぐ形でジバンに関わっていた事を涙ながらに父へ謝るまゆみ。
 「まゆみが悪いんじゃない……」

 悪いのは、国家権力だ!

 あと、あのキチガイだ!

 多分だけど父、婿養子だと思うんですよ、何となく。
 柳田は、五十嵐家は安全な所に引っ越すようにと強権を発動するが、母を救いたい一心でまゆみはアゲハノイドの誘いに乗ってしまう。 まゆみの行方を追い出撃した三大メカとジバン&ハリーは、バイオロンと激突。それこそハリー回以来の、3大メカ大活躍。特に今回、 ハリー回でもいまいち見せ場がなく、普段の出番も少ないヘリが奮闘。マシンが唸り火薬が弾ける大スペクタクルが展開し、強引だけど、 ジバン含めて全ての戦闘中のシーンを1画面に収めたカットを間に挟んだのは、面白かったです。
 ジバン一味はまゆみと母の救出に成功し、今日のディスクローズショックは大量の戦闘員を一挙に瞬殺。 アゲハノイドも蹴散らすジバンだったが、突然の地鳴り、そして凄まじい閃光とともに、新たな敵が姿を見せる!
 爆発だけ派手なのですが、新たな敵の登場の盛り上がりは今ひとつ。只今制作中の前振りをしていた割には、 出てくるタイミングが唐突すぎてよくわかりませんし、地割れも閃光も、いかにも他に思いつかなかったただのハッタリめいてますし 、もう少し、話の流れで盛り上がりを作って欲しかった所です。
 狂った祖父と身勝手な国家権力の為に崩壊寸前の五十嵐家、果たしてジバンは一家を守る事が出来るのか…… 教訓:秘密基地は、自宅の地下に作ってはいけない。

◆第18話「母と娘・悲しみの果てに」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升)
 五十嵐母娘を取り戻しかけたジバン&メカ軍団+平和のアイドル電撃兵器ハリーの前に現れた、新たな怪人。
 「バイオによって生まれた細胞、バイボーグ、ジバンキラー、マッドガルボ」
 テロップはなぜ、「ジバンキラー」を「Jキラー」と略した(笑)
 マッドガルボは、原点仮面ライダー的な昆虫の改造人間めいているというか、 方向性としては後の仮面ライダーシンを思わせる系統のデザインで、色や顔からのイメージは、カイコっぽい感じ。 この手のキャラが女性(女声)というのは珍しいですが、ギバ様の強い信念を感じます。
 ジバンに対抗する為に生み出された新たな現場指揮官であるマッドガルボは、盾と片手剣で武装し、更に肩にキャノン砲など、 内臓火器も充実。ジバンがマッドガルボに苦戦している間にまゆみはさらわれ、バイクで追おうとするジバンは、 機関銃付きサイドカーに乗ったマッドガルボにより追跡を妨げられてしまう。マッドガルボの鼻面ビームで大ダメージを負ったジバンは、 ようやく存在を思い出したダイダロスファイヤーでなんとかマッドガルボを退けるが、まゆみの行方を見失ってしまうのであった。
 満身創痍のジバンが、まゆみ母に「必ずまゆみちゃんを助け出す」と誓うのですが、ヒーロー格好いい、というより、 国家権力酷いという感想しか思い浮かびません(笑)
 基地で損傷を修復した直人の元へ、まゆみをさらった車にこっそりと忍び込んでいたハリーから連絡が届き、 ハリーはまゆみを助ける為に直人の制止を振り切ってアジト内部へと単身潜入。
 生まれ変わった不死身の体 鉄の拳が叩いて砕く ハリーがやらずに誰がやる!
 人間の脳を食べ、その記憶を映像化するヒトデノイドを取り付けられそうになっていたまゆみだが、間一髪、 飛び込んだハリーのスタンショックがヒトデを焼き殺す。更にジバン一味来襲の知らせに、まゆみの尋問を後回しにし、 迎撃態勢を取るバイオロン。捕まったハリーは、秘書ズに適当に放り捨てられる(笑)
 ハリーが居て別に悪い事は無いのですが、かといってハリーを出さなくてはいけなかった必然性は限りなく薄く(そもそも、 キャラクター的連続性が皆無すぎる)、あまりにしっちゃかめっちゃかで、段々、どういう顔で見ていればいいのかわからなくなってくる展開。
 ところで、バイオロンアジトの入り口の映像が、ジバン基地入り口の映像とそっくり同じに見えるのですが、気のせいでしょうか。 マッドガルボがジバン基地に乗り込んできたように見えた予告は、もしかしたら意図的なミスディレクションだったのかもしれませんが、 見ていて勘違いして困ります。
 乗り込んできたジバンを直接始末できるならばジバン基地の在処などどうでもいい、とギバ様は作戦を変更。 ジバンが抱きしめた瞬間に諸共に大爆発するように、とまゆみに高性能爆弾を取り付けさせる。
 わざわざ無駄にロマンティックな爆死を計画する、ギバ様の脳の配線が素敵。
 「大好きなジバンの前に連れて行ってやるから、二人で地獄へ行くんだな」
 と、マッドガルボは指輪型爆弾をまゆみに取り付け、アゲハノイドをフライングジバンエンドで斬殺したジバンにまゆみを返却する。 だが勿論、ジバンと接触したら爆発する話を横で聞いていたまゆみが素直にジバンの胸に飛び込むわけがなく、逃げ出すまゆみ、 それを追いかけるジバン。
 口頭で事情を説明すればいいものを、何故か無言で逃げるのですが、喋れない理由に特に言及が無い為、激しく意味不明。 華々しく登場したマッドガルボも、物陰からまゆみを出歯亀して、「ほーら、抱き合っちゃえよ、ほーら」と、 物凄い勢いで駄目人間ルートに突入していきます。
 前回−今回と、杜撰な展開を幹部キャラ登場と派手なアクションで誤魔化すシナリオだったのですが、ここに来て、 手に負えないレベルのぐだぐだに。
 追い詰められたまゆみは、意を決すると、滝壺に身投げ。
 衝撃を受けるジバンの前にホログラムでギバ様が現れ、エキサイトしてよくわからなく宣戦布告。傷ついた直人を基地で待っていたのは、 この期に及んでグラサンかけて雰囲気に浸っている柳田であった(時村博士だから仕方ない)。 まゆみ両親は政府の手で安全な所に保護され、柳田は全力でまゆみの捜索を続ける事を約束する。
 ところで対バイオロン委員会としては、戦力としてのジバン基地とジバン一味さえ残れば、 五十嵐家はカモフラージュ的要素でしか無かったので、むしろスッキリした感じも拭えません。今回の件は全て、 密かにバイオロンに情報を流した柳田の策謀ではなかろうか。
 その時、五十嵐家へと迫るミサイル!
 「ジバン! まずは見せしめに、五十嵐の家を破壊してやる!」
 ギバ様、全くの偶然だけど、大当たり(笑)
 ジバン基地は起動した防御壁によって守られるが、ミサイルの直撃で吹っ飛ぶ五十嵐家。 わざわざミサイル撃ち込んで個人住宅を木っ端微塵に吹き飛ばした悪の秘密結社は、 歴史的に見てもなかなか珍しいのではないでしょうか。2話の時のように、ギバ様はどうも、 面倒くさくなるとミサイルを撃ってみる癖があるようですが。
 思えば2話にしてジバンを直接狙った作戦を展開していたバイオロンではありますが、“関係者はギリギリまで狙われない” “秘密基地はクライマックスまで標的にされない”というお約束を破り、前半から秘密基地と日常を破壊しにくる意欲的な展開………… と言うには、あまりにも全てが杜撰。先輩からジバンの情報を得ようとするエピソードもあったので全く考えていなかったわけではないでしょうが、 それにしても杜撰。
 基本、杉村升は一話完結のアイデアストーリーはともかく、話転がすのはかなり下手な人ですが、これは酷い。
 衝撃とぐだぐだの新幹部登場編はこの先どうなる……と思いきや、なんか次回、普通に1話完結っぽい予告なのですが
 もしかして:子役のスケジュールの都合でまゆみちゃんに一時退場願った
 とすると、このわけのわからない急展開も納得なんですが(^^;
 悪いのは杉村升ではなく、大人の事情だった可能性もありそう。いや、どう転んでも、酷いものは酷いのですけど。
 ところで今回、アゲハ斬殺後に秘書ズに向けて対バイオロン法読み上げがあったので、新幹部登場にともない秘書ズリタイア?!  と危惧したのですが、とりあえず生き残りました。良かった。

◆第19話「電子手帳返上!」◆ (監督:岡本明久 脚本:杉村升)
 サブタイトルだけだと、凄く大した事が無いように読めて困る。
 前回、秘書ズに橋から投げ落とされて損傷したハリー、板倉博士の了解を得た上で修復されたついでに、 ボーイと悪魔合体。
 今ここに、パンダの外見とボーイの頭脳を持った、冷酷非情のピースメーカー、マシン:ハリーボーイが誕生した!
 どうしてハリーが再登場したのかと思ったら、まゆみちゃんのリタイアに合わせて作品のマスコット分を補強すると共に、 動けないのがネックだったボーイを移動可能にするという、一石二鳥のテコ入れでした。結果として、 あおりを受けてボーイの声優さんまで降板する事に。
 その頃、弱ったジバンに攻勢をかけようと目論むギバ様は、研究施設から大量の「怪物の素」の出前を頼むが、 運び屋が途中で事故を起こし、その内の一つを紛失してしまう。まなみという女の子に拾われた「怪物の素」入りビンは直人の手に渡り、 ジバン一味に解析される事に。約10日でこの「怪物の素」の分析が完了すれば、 バイオロン怪人に対する決定的な対策が打ち出せると意気上がる一味だが、ギバ様も慌ててビンの捜索を指示。まなみの入院する病院を、 チュウシャノイドが襲撃する。
 チュウシャノイドはカマキリ+軟体生物系のデザインで右手に注射器、と微妙に怪人も路線変更なのか。
 まなみ一家を守り、ざくざくとバイオロン戦闘員を銃殺していく先輩は、どんどんFPSの主人公のように(笑)
 だが、ジバンが注射ノイドに苦戦している間にまなみはさらわれてしまい、バイオロンはまなみとビンの交換を要求。 解析中のビンの返却を求める直人だが、柳田はこれを拒否。まなみ両親の悲嘆を見た直人は前回の五十嵐家の悲劇をそこに重ね、 意を決して警視庁特別科学研究所へと忍び込む――。
 なお、まなみ両親&先輩からすると、ちょっと貸してほしいと少女から借りていったビンをそのまま自分の物のように扱い、 命の危険にも理由を言わずに返却しようとしない、という直人が人間のクズに見える筈。 両親が涙ながらにビンの返却を訴えるのですが、ここはもっと酷い罵倒でも良かったと思います。
 「対バイオロン法第3条――機動刑事ジバンは、人の命を最優先とし、これを顧みない、あらゆる命令を排除する事が出来る」
 ジバンはビンを回収すると、止めに入った柳田に手帳を突き付ける。もしそれでも人質の命を蔑ろにしようとするならば、 手帳を返納するという覚悟を込めて。
 「僕にとってまなみちゃんは、まゆみちゃんと同じなんです」
 「そこまでまゆみちゃんの事を」
 いやもう、まゆみちゃんとか全然関係ないレベルの話ですが。
 というか、人質がその辺りの酔っ払いのおっさんとかだったら、見捨てるのかジバン(^^;
 対バイオロン勝利への近道や所属組織の思惑を振り捨て、敢えて1人の少女の為に苦難の道を選ぶ直人/ジバン格好いい話の筈なのですが、 なんの躊躇もなく人質を見捨てる対バイオロン委員会/柳田が極悪非道すぎて、 比較対象としてのジバンが全く格好良く見えません(^^;
 民間人の命を取るかバイオロンの打破を取るか、対バイオロン委員会の方にも苦悩や決断があってこそ、 ジバン/直人の「選択」が活きるわけなのですが、その辺りの描写が全く無い上に前回今回と対バイオロン委員会があまりに邪悪で下劣すぎて、 ジバンの行動がただ普通に見えてしまうという、壮絶な駄目展開。
 今作における背景描写の不足が、致命的になりました。
 結果として唯一格好良くなったのは、射撃に加え、手錠格闘術のLVが上がった先輩(笑)
 まさか先輩がまともに見える日が来るなんて。
 「怪物の素」を奪い取られるも注射ノイドを撃破したジバンはまなみ一家を無事に救い、マッドガルボは捨て台詞を残して逃走。
 ……なんか、もう駄目っぽいぞJハンター。

◆第20話「町にお金が降って来た!」◆ (監督:岡本明久 脚本:杉村升)
 滝壺に落下してから10日以上……まゆみの行方は未だ掴めず、直人は新居で黄昏れていた。
 その頃、まゆみそっくりの「みどり」という少女が、ある青年と行動を共にしていた。
 ここでいきなりのナレーション
 「まゆみは、崖から落ちたショックで記憶喪失になっていた」
 ……そうですか、うん、そうか。
 みどり/まゆみは自分を助けてくれた青年を「お兄ちゃん」と慕い一緒に行動していたが…… 拾った女の子を警察に届けずに車で連れ回しているって、120%変質者だと思われるのですが。
 お金が足りずにハンバーガーとジュースを一個だけ買ってきた青年に「半分こしよ」と言いつつ、 明らかに半分にはほど遠く分けるまゆみどり、記憶を失っても悪女。
 その時、突然、町に降り注ぐ壱万円札。当然、それに群がる人々。
 「拾え拾え人間ども。金ならいくらでも、ある」
 胸に輝く壱万円、バイオロン怪人カネノイドが、ビルの上から大量の金を町中にばらまいていたのだった!
 カネノイドは、胸に輝く壱万円の他、背中にも万札背負っていて、秀逸なデザイン。どちらかというと戦隊ぽいですが(笑)
 文字通りに降って湧いた万札に狂奔する人々を見て高笑いするギバ様。「愚かな人間共め、これで社会は大混乱だ!」 ともっともらしく作戦展開を語っていますが、ギバ様としてはこの映像を見られただけで大満足で、後はかなり適当と思われます。
 一方、まゆみどりを連れ歩く変質者の青年は、ビルの屋上で札束を手にしたところを直人と先輩に見咎められ、逃走。実は青年は、 半年前に北海道である事件に巻き込まれ、警察から逃亡している身の上だった。 その為に拾ったまゆみどりをすぐに警察に送り届ける事が出来なかったのだ、て、無茶な展開に無茶な理由をつけたら、 もはや作っている側の誰にも正常と異常の境界線がわからなくなってきた感じに。
 そんな青年にすっかり懐いているまゆみどりだったが、青年は何とか説得し、まゆみどりを警察署の前で降ろす。しかし、 署に入る事ができないまゆみどり。
 「警察が怖いの。どうしてだかわからないけど怖いの!」
 そうだね、家族を滅茶苦茶にしたの、警察だからね!
 たまたま青年が拾った札束は金ノイドの変身であり、金ノイドはまゆみを発見した事をマッドガルボに報告。ガルボはこれを利用して、 今度こそロマンチック爆破作戦を決行しようとする。……にしても、金ノイドが記憶喪失に関して状況を把握して説明したとも思えないのですが、 マッドガルボの脳内ではどうして「ジバンに触ると爆発する」とわかっているまゆみが、自らジバンに駆け寄る設定になっているのか。 制作時のボーナスポイントが足りず<知力>に割り振れなかったのか。
 諸々の事情でジバンからまゆみを遠ざける為にまゆみに爆弾をつけたけど、まゆみから逃げてくれないとさくっと爆死してしまう為、 意識のあるまゆみの前でネタばらしをせざるを得なかった……という、そもそも作戦としての根本的破綻から、 ひたすら傷口が広がっていきます(^^;
 まゆみと旅を続ける決意をし、拾った札束を交番に届けようとする青年だったが、バイオロンではと怪しまれていた事から、 先輩に銃を向けられる。先輩のトリガーは異常に軽いので心配でしたが、幸い、金ノイドが止めてくれました。逃げる青年、 今回も手錠格闘術で戦う先輩、出撃するジバン、まゆみをジバンと接触させようとするマッドガルボ…… どたばたの末にまゆみとジバンは再会を果たすが、「記憶を失っていたが、ジバンと接触してはいけないという恐怖だけは残っていた」 まゆみは逃げ出してしまう。
 そこにやってきた青年はジバンをまゆみどりを狙う怪物だと勘違いし、ジバンに車でダイレクトアタック。 ジバンは金ノイドを倒すが、車で走り去る2人の姿を見失ってしまうのであった……。
 ジバンへ近づいてはいけないという恐怖だけが残るまゆみどりを、励ます青年。
 「そんなに怖いなら、遠くへ逃げよう。大丈夫。今日からこの早川良が、みどりちゃんの本当のお兄さんだからね。 ずっと一緒にいよう」
 こうして2人は、あてどない逃亡の旅へ出るのであった。
 早川青年が闇の始末人であるジバンを敵だと勘違いする行き違いの箇所だけは面白かったですが、一番肝心な所はナレーションで処理、 最初から最後まで意味不明な上に変質者すぎる青年、ただの面倒くさい女の子と化したまゆみどり、 何でもかんでも「バイオロンだ!」と即断してきたツケの回ってきた直人、すぐに銃を抜く先輩、 頭悪すぎるJハンター……と全編うねるように潰走していて、目眩がジェットストリーム。
 青年だけがお金の誘惑に負けなかった事で、青年のいい人アピールをしているのですが、シナリオとしては、 青年1人を持ち上げる為に社会全てを落としている(子供達含む)というのも、けっこう酷い。
 そして前回の今回で、ダーク柳田は出番なし。つまりフォロー無し。
 面白くなさのレベルが、危険水準に達してきました。
 なんかこう、再び、1−2話を見せられている気分。

◆第21話「スズ虫・毒虫・ゲリラ虫」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
 少女の飼っていたスズ虫を奪う2人の男。やたら明るい串田晃の挿入歌でそれを追跡する先輩と直人。
 挿入歌は
 ど・ど・土曜だ!
 って聞こえるけど、
 ご・ご・御用だ!
 か?
 まず撃ってから、
 「警察よ、大人しくしなさい!」
 と、今日も絶好調で、先輩のトリガーはクラゲのように軽い。
 2人組の正体はバイオロン戦闘員で、珍しく直人が近接戦で活躍するが、そこに現れるバイオロン怪人・ムシノイド(おぃ)
 その頃街では、虫取り中の子供達が倒れる事件が続発していた。 少女の家から盗まれたスズ虫は実はバイオロンが作った特殊なバイオ昆虫であり、毒を発するバイオ昆虫は太陽光を浴びて次々と増殖、 巨大化。最終的に高層ビル並の大きさとなって、人類社会を破滅に追いやるという恐るべき計画だったのだ! ……なんか途中から、 毒素とかどうでも良くなっています(笑)
 この変事を調査しに出撃するジバン。
 「ジバン、バイオロンの今度の狙いは、なんだい?」
 急に爽やかになったレゾンが格好いい(笑)
 一方バイオロンでは、ジバンの行動開始に「まずい、それはまずいそ、ムシノイド」と、 マッドガルボがあっという間に三下っぽくなっていた(涙)
 ジバンと正面から戦えるJハンターだった筈なのに、すっかり、せせこましい作戦担当になってしまいました(^^;
 スズ虫を探すジバンは虫爆弾による攻撃を受けるが、何とかスズ虫を確保。その正体が特殊なバイオ昆虫だと知った直人は、 植物研究所が毒虫対策を開始した、とマスコミを通してアピール……と突然、対バイオロン委員会の力を利用。 よくよく裏を考えれば不思議ではないのですが、凄く唐突に社会的権力を行使したので、少々面食らいます(^^;
 この報道に慌てたバイオロンは研究所を襲撃するが、待ち受けるジバン。 サイドカーで走ってきたマッドガルボと一戦交えた後にムシノイドの巣に引きずり込まれるが、ダイダロスで脱出。
 「対バイオロン法第6条、子供の夢を奪い、その心を傷つけた罪は特に重い!」
 なんか急に、狭い所を突いてきた(笑)
 ジバンは新必殺技、ジャンプ斬りからの連撃・ジバンハーケンクラッシュでムシノイドを撃破。 バイオロンに改造された昆虫に超謝りながらムシノイドの巣をダイダロスファイヤーで焼き払い、まさかの合掌。
 ジバンってこれまで特に人間以外の命にも手厚かったイメージが無いのですが、何か色々アピールしてきました。
 ダイダロスファイヤーはアジト破壊に使われ、怪人は新必殺技で撃破と、新展開に合わせて少しギミック増加。 対バイオロン法も追加されましたが、これはあまりケースに応じて増やすと面白みが減じる気も。
 演出面では、チンピラのサングラスに少女の顔・公園のオブジェにジバン・カーブミラーにレゾン、 と鏡の映り込みを利用した映像をポイントに置いたのが、面白かったところ。
 ここ数話があまりに酷かったので、オーソドックスには戻りました。ところで、今見ると全く面白くないのですが、 事情を知らずに主人公をひたすら怒鳴りつける間抜けな先輩刑事、というのは当時だともう少し笑えるシーンだったのか(^^;  完全にギャグ要員なのですが、そのギャグシーンが致命的に面白くないという村松刑事はもう少し、何とかなってほしい。

◆第22話「マユミがいた!!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:高久進)
 まゆみちゃん、UMAみたいな扱いに。
 とある田舎町で、まゆみを見た、と交番に駆け込む少年。警視庁への連絡の過程を電話の交信機で表現するのが面白い……と思ったら、 秘書2人が地道に盗聴していた(笑)
 通報のあった村へ向かう直人は、まゆみちゃんとの思い出を回想。
 どうしてよりによって、愛・連打(笑)
 (だが僕たちの幸せは、長くは続かなかった……)
 直人さん、

 脳改造されすぎ。

 直人は少年の案内でまゆみを見たという海岸に向かい、ロマンチック爆破作戦の為にまゆみを追うバイオロンは一足違いで交番を襲撃。 海では少年が水難救助の際に殉職した父を思って沈んでいたが、前回今回と、一応、親子愛シリーズなのか。 それを直人が五十嵐家と絡めるのかと思ったら、全くそうはならないのですが(^^;
 それにしてもどうしてこんな、謎のメロドラマ展開になってしまったのだろう。
 悪いのは、変態青年の早川良と、対バイオロン委員会。
 ……しまった、激しく自業自得だ!
 駐在から少年の存在を聞き出したバイオロンは直人と少年を襲撃。少年を逃がした直人は何故か生身で突撃し、 まゆみちゃん不在の心の穴を埋めるべく、秘書にヒールで踏まれてみる。
 直人が新しいルートに突入したかはともかく、変身前の秘書が割と格闘して、生身の直人と戦ったのは初か。 直人は改めて物陰でジバンに変身し、戦闘員達を蹴散らすと秘書ズは逃亡。
 ど・ど・土曜だ!
 海岸で黄昏れていた少年は、本当はまゆみちゃんを見ていなかったと告白。村を去りたくない少年が、 行方不明になった飼い犬ゴローを探してほしいためについた嘘だったのだ。
 「ケンタくん、これだけはわかってほしい。君がゴローと別れたくないように、 そして亡くなったお父さんをいつまでも心の中で思い続けているように、僕だってまゆみちゃんを思っているんだよっ。 僕とまゆみちゃんはね、命の絆で強く結ばれているんだよ! だから、僕はどうしてもまゆみちゃんを見つけだしたいんだ。 見つけるとも」
 小学生女子への愛情を熱烈に語る青年刑事に、

 少年、どん引き。

 犬を探して山へ入った2人は、対ジバンの為に生み出されたスナイパー、ハンターノイドに目撃される。
 「なんてこった。セントラルシティ署のダメ刑事」
 バイオロンからは、そういう認識だったのか(笑) 多分、生身の時の直人の三枚目さは、偽装でも何でもなくて、素ですが。
 2人は川岸でゴローを見つけるが、ハンターの狙撃を受けて直人は川流れ。まゆみを目撃したと思われている少年は、 バイオロンに捕まってしまう。川を流れた直人は、応援に来た筈が遊びほうけていた村松刑事の釣り針に引っかかる。
 何故かこの、村松が直人を釣り上げて川に転落というドタバタシーンにOPのイントロが被さり、 そこに響く少年の悲鳴を聞いて助けに走る先輩と直人。
 ギャグシーンとシリアスなバトルシーンをOPテーマによりシームレスに繋ぐという、なかなか変則的な演出で、 三ツ村監督は色々やって面白いなぁ。
 バイオロン戦闘員に追いつく2人、今日も先輩のトリガーは羽毛より軽いぜ!
 「警察よ、その子を放しなさい」
 またも狙撃されて崖を転がる直人はジバンに変身し、ジバンとの戦いにこだわるハンターノイドと対決する。 少々これまでのバイオロン怪人と毛色の違う性格のハンターノイドは、なんだか、ガルボさんより よほどライバルキャラっぽいぞ(笑)
 どうしてガルボさん出した後に出てきたのか。というか、ガルボさんのキャラ作りしている間に出てきた性格の流用か。
 高い射撃能力を誇るハンターに苦戦するジバンだが、ハンターのスコープを破壊。 照準の定まらないハンターのめくら撃ちを受け流しながら手帳を突き付けるジバン、鬼畜。ジバンは時々ホラー系ロボットになりますが、 これらの演出的蓄積が、後の大魔王ジャンパーソンに繋がるのか(笑)
 ハンターの自棄の反撃による至近距離での派手な爆発などありつつ今回も第6条を読み上げ、ハーケンクラッシュで瞬殺。
 …………いや別に、子供の夢を奪ってないよーな気がするのですが。
 私情でこじつけて量刑を増しているように見えますが、どちらにせよ抹殺だしなぁ(笑)
 ……もしかして五十嵐博士は“まゆみの存在”そのものをジバンのリミッターとしてプログラミングしていて、 まゆみちゃんが近くに居ないと、ジバン(直人)どんどん狂っていくのでは。

◆第23話「マンガを喰いすぎた怪物」◆ (監督:岡本明久 脚本:扇澤延男)
 町中の書店や図書館からあらゆる本が消滅するという怪事件が発生。目的不明のこの変事に世間はパニックに陥るが、 こんな斜め上かつ大規模な悪事を行うのは、もちろん我らがバイオロンしかなかった!
 「動機が掴めぬ? 愚かな人間共の発想の貧しさよ」
 「まさか、この世から一冊残らず本を消滅させる事が、我がバイオロンの目的とは、夢にも思いませんね。あははははははは」
 うんそうだね、思わないね……。
 古代より、文化・文明の根本にあるのは文字。
 そして文字によって記された本こそが知識を伝え、文化・文明を継承していく。
 ならば、その文字、そしてあらゆる書籍を消滅させれば、人類文明はその保持が不可能となり、崩壊するのだ!
 ……凄い、凄いよギバ様!
 相変わらずこの、ちょっとした嫌がらせの思いつきを人類社会への大規模攻撃へとすり替える手際がエクセレントです。
 そしてその手段は、ヤギノイドによる、本の食べ尽くし。
 書き上げたマンガの原稿が怪物に喰われた、という漫画家・星山の通報で現場を調べた直人は、窓枠に付着した獣毛を基地で調べた結果、 それがヤギのバイオ怪物のものであると確認する。もう一度、星山の話を聞こうとする直人だったが、 星山は「おまえには少女マンガは向いてない」と駄目出しに現れたヤギノイドに、何故かさらわれていた。
 (なんて弱い怪物なんだ。こいつには戦闘力がないのか)
 それを阻止しようと立ちはだかったジバンは強者の驕りを見せた隙を背後から秘書ズに撃たれ、漫画家はさらわれてしまう。 はたしてヤギノイドの目的は…………自分を主人公にしたドリームマンガを書かせる事だった!!
 「ヤギノイドが漫画家と行方をくらましただと?!」
 基地で重々しく振り返るギバ様。今回は、もう、ここが、最高に面白かったです(笑)
 作戦そっちのけで私欲に走ったヤギノイドはマッドガルボに発見されて折檻を受け、基地へと回収される。……あ、マッドガルボが、 役に立った。
 「ヒーロー? ヒーローになりたかっただと?」
 そう、ヤギノイドは命令に従ってあらゆる書物という書物を食べている内に……気付いてしまったのだ。この世には、 ヤギが主人公の物語が、あまりに少ない。むしろ、狩られたりおいしくいただかれたり、散々だ!
 「一度でいいから、自分がヒーローになって大暴れする姿を、本に載せたかったのです。それであの漫画家に」
 途中からわけのわからない展開に吹っ飛んだと思ったら、なるほどこう来ましたか。
 “社会の落伍者の諦観と歪み”というのは、後の《レスキューポリス》シリーズで特に顕著になる、 扇澤脚本のベースとなるテーマ性の一つですが、それを“ヤギに生まれたが為に華々しく活躍できない怪人の悲哀”に持ってきたのは、 面白い。
 「それほどヒーローになりたいのなら、望みを叶えてやってはいかがです」
 それを聞いたマッドガルボ、ヤギノイドを戦闘用に再改造する事を提案。
 「改造し、ジバンと戦わせる」
 「それは、面白い」
 あ、ギバ様が最初の作戦どうでもよくなった(笑)
 「いやだ……死にたくない」
 「ヒーローになりたくないのか」
 ヒーローと死が繋がっているという、嫌なメタネタ(笑)
 バイオロンの全体方針に逆らった見せしめの意味も含めてヤギノイドは強制的な改造を受ける事になり、 警察署にはヤギがジバンを倒すマンガがFAXで送られてくる。直人と先輩がFAXの発信元へと急ぐと、 そこでは星山が電気椅子に縛り付けられ、強制的にマンガを書かされていた。
 先輩、直人がヤギと組み合っている所も、容赦なく撃つ。
 ヤギに吹っ飛ばされたのを利用して、直人はジバンに変身。
 「本は人類の英知の結晶だ! それを食いつくさせるわけにはいかぬ!」
 ギバ様の忘れた本筋に話を戻すジバン、偉い(笑)
 「おまえを倒し、俺はヒーローになるんだ」
 古紙回収センター内部での戦いは、シュレッダーで刻んだ紙くずみたいなものが飛び交ったり一面に散らばっているのが良い感じに雰囲気を出しました。
 「今だ、ミサイルを撃ち込め! ヤギノイドもろとも、吹き飛ばすのだ」
 ジバンとヤギの交戦を確認したギバ様は、まとめて抹殺しようとミサイルを発射。
 ギバ様は、定期的にミサイルを撃たないと、くしゃみが止まらなくなる体質なのです。
 だが、挿入歌とともに飛行マシンが出撃して、このミサイルを撃墜。
 「これがギバのやり方だ!」
 「黙れ! ギバなんかどうでもいい。俺はおまえを倒して、俺の物語を、完成させるだけだ」
 ヤギに生まれ、ヤギに死す。そんな物語を、自分が主人公に書き改めるべく猛然とジバンに挑みかかるヤギノイドだったが、 激しい飛び道具の打ち合いの末、最後は舞い散る紙くずの中、ジバンエンドが炸裂する。
 「ヒーローが負けるなんて、そんな馬鹿な!」
 かくてヤギの夢は儚く打ち砕かれ、漫画家は電気椅子から解放され、大団円。
 「あの怪物は、自分がマンガのヒーローになる為に、命を懸けたんですね。俺、改めてわかりました。ものを書くって事が、 一冊の本を作るって事が、どれだけ重い意味を持ってるかって事」
 この辺りは、作り手としてちょっとメタだけど、入れたかったネタか。
 「俺ね、俺、いつかジバンを主人公にしたマンガ、書きますよ」
 この世から本を無くして人類社会を崩壊させるという気宇壮大な計画が何故か俺主役のドリーム小説作戦にすっ飛びどうなる事かと思われましたが、 奇想天外な展開からヤギに生まれた怪人の悲哀に繋ぐという、ようやく今作でも扇澤延男らしさが出たエピソードで、 まとまりも良くなかなかの秀作でした。途中でヤギが強化改造を嫌がる辺りが素晴らしい(笑)
 ところで最初の捜査シーンで、空気を読まない漫画家が唐突に先輩をナンパし、この大団円のオチにちょっとだけ使われるのですが、 特に何かの伏線になるわけでもない上に要素としてはほぼ無意味。これは、 先輩の扱いを少し良くするようにと、上層部から圧力でもあったのか(笑)
 ゲストの漫画家・星山役は、どこかで見覚えのある顔だなぁと思ったら、後のアイスマン(『特捜ロボジャンパーソン』)でした。
 次回、本当に村松刑事も狙われたよ……!(笑)

◆第24話「ようこそ!!大霊界へ」◆ (監督:岡本明久 脚本:高久進)
 珍しく、直人と村松のコンビが犯罪者を追うというシーンから。追跡中、村松が犯人の銃撃で負傷し、変身して犯人グループ (バイオロン戦闘員だった)を叩きのめしたジバンは、基地に運び込んで村松の脚を緊急手術する。
 ――結果として、“現場で脚を撃たれた筈なのにどこにも入院せずに一夜明けたらにこやかに出勤した男”になってしまう村松。
 現場で気を失って気がついたら自宅で寝ていた、と村松が先輩の追求を受ける姿に、 やっちまったーーーと無言でコーヒーをすすっている直人が、面白い(笑)
 婦警コスでセントラルシティ警察署に潜入していた秘書ズがこれを立ち聞きし(警察……)、 ジバン基地の場所を知っているに違いない、と狙われる事になる村松刑事の身辺に、ジサツノイドの影が迫る。
 「俺は大霊界への道案内人だ」
 と意味不明なテンションのジサツノイドは、もろに髑髏モチーフの顔に、尻尾と触手というグロテスクなデザイン。 目が輝くと何故か大霊界のイメージ映像?が浮かぶのですが、よく、わかりません(^^;
 そういえば映画『丹波哲郎の大霊界』ってこのぐらいの時期だったっけ……と思ったら、ちょうど同じ89年の公開でした。 ただ配給は松竹だったので、直接の宣伝企画というよりは、単なるブーム便乗?か? そもそもブームはあったのか、とか、 詳しくはよくわかりません。映像は東映の昔の映画からそれらしいのを引っ張ってきたのかと思われます。
 ジサツノイドの体内には腐食ガスが充満しており、「必ず奴を道連れに、死んでみせましょう」と相討ち前提で始まる、 ジバンの戦力分析。
 「ジバンエンドの破壊力はダイナマイト5本分」って……バイオロン怪人って、 ダイナマイト5本で倒せるのか(笑)
 先日、怪人の素が警視庁に分析されてこの事実が明るみに出ていた日には、一気に殲滅されていたかもしれません、バイオロン。 紙一重だった……。
 突然、「何を隠そう。僕が機動刑事ジバンなんだ」と、お茶くみの女の子に告白していた村松はジサツノイドに拉致され、 秘書ズからジバン基地の在処を探る為に脅迫を受ける事になる。
 村松の発言が唐突かつ突飛すぎて意味不明で、単なるナンパとも思えるのですが、このお茶くみの女の子も、 どうして警察がお茶くみの女の子を雇っているのか、と縁故の香りしかない謎の存在であり、謎と謎がぶつかりあって、 作品そのものが対消滅しそうな勢いです。
 「直人さん、彼を助けた事が仇になってしまったね」
 村松が誘拐された事が判明し、ハリーボーイのストレートな発言に、「き、気絶していたから大丈夫な筈……」と苦しい言い訳をする直人。 緊急手術に必然性を持たせるなら、脚ではなくもっと命が危なそうな場所を撃たれた事にすればスムーズだったと思うのですが、 今回は脚本も演出もひたすらちぐはぐ。
 緊急手術に用いたスーパーセラミックの反応を探知して村松を助けに行く前に、今度は基地で3大メカの設定を確認。
 回想シーンは少しずつで総集編というほどではなく、タイミング的には夏休み編?  と思って放映リスト確認したら7/9放送だったので少々早く、大霊界のイメージ映像といい、妙な尺稼ぎが続きます。まあ、 新展開もあったので、この辺りで一度、色々アピールしておこう、という話だったのかもしれませんが。
 頼れる仲間達の確認も終わったので、頼れない先輩の救援に向かう事にしたジバンの前にマッドガルボが立ちはだかるが、 サイドカーを壊すと、あっさり退却。物凄い勢いでゾウリムシ以下の存在へと落ちていきますが、一体どうするのか。というかもはや、 どうするつもりだったのか、レベル。無理に毎回出さない方がまだ面目を保てると思うのですが、無駄に毎回出す為、 傷口が物凄い勢いで広がった上に腐ってしまって手遅れ状態。
 (ジバン……やはり僕は、ジバンではなかったのか)
 どうやら村松は、ナンパ目的ではなく本気で勘違いしていた様子ですが、 そもそも何がきっかけで勘違いしたのか全く描写が無いので、 100%意味不明になってしまいました。
 ただそれはそれとして、ジバン頭部の桜の代紋に気付いた村松が敬礼を返すのはちょっと面白かった。
 村松を助けたジバンを強襲する、ジサツノイド。
 「死んでくれ、一緒に死んでくれ、ジバン」
 何の目的で作ったんですかギバ様(笑)
 「ジバン、俺はどんな事をしても、おまえを道連れにして、あの世に行くのだ」
 その名の通りの自殺願望を剥き出しに、大霊界に迫るジサツノイドの攻撃に対し、ジバンはダイダロスを召喚。 超久々のダイダロス飛行から、ジバンフライングクラッシュそしてエンドで撃破。 しぶといジサツノイドは玉砕特攻を仕掛けるがそれも回避し、何とかジバンは勝利、 ジバン基地の秘密も守られるのであった…………たぶん。
 〔拘束された村松に「場所はどこなの、どこなの?!」と秘書ズがメスを持って迫り村松が悲鳴をあげる→ジバンとマッドガルボ戦闘→ ジバン、アジトに突入→秘書ズも怪人の姿もなく、ジバンは拘束された村松を助ける〕
 と場面転換による物語の流れが全く繋がっておらず、結局尋問がどうなったのかは、全くわかりません(^^;
 大霊界イメージ映像に始まり、全編あまりに意味不明すぎて、面白いとか面白くないとか、高久先生の脚本が酷いとか、 岡本監督の繋ぎとシーン選択がおかしいとか、そういうレベルを通り越し、 物語が破綻しているというよりもまとめるのを放棄したようにしか見えない、謎の1本(^^;
 唯一、村松を尋問する筈が「大霊界を見た途端、俺は死にたくなった」と、いきなりガスを吐き出し始めるジサツノイドは、 狂っていて面白かったですが(笑)

→〔その4へ続く〕

(2014年11月12日)
(2019年12月27日 改訂)
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