■『特警ウインスペクター』感想まとめ8■
“今日の地球は おれたちが守る
あしたは君が つくってくれ”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特警ウインスペクター』
感想の、まとめ8(43〜49話)です。登場人物など紹介を付記。また文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
日記掲載時にいただいたコメントが感想に反映されている箇所もあります。ありがとうございました。
戻る
〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕 ・
〔まとめ4〕
〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・
〔総括〕
- ◆第43話「爆弾になった少年」◆ (監督:小笠原猛 脚本:宮下隼一)
-
「爆弾を仕掛けている男を見たんです」と特警本部へやってきた少年・今泉文彦。
正木以下が話を聞こうとすると、おもむろにジャンパーを脱いだ少年は
全裸 ……ではなくて、腹マイト!
腰にダイナマイトと起爆装置、両手に起爆のトリガーとなる電極を付けた文彦は、自分が本気だというデモンストレーションとして、
都内某所で廃車に仕掛けた爆弾を起動させ、マドックスにその光景が映し出される。彼が身につけた爆弾の破壊力は、
デモに使ったものより遙かに強力で、爆発すれば警視庁のビルも只では済まない!
毎度の事ながら、入り口のセキュリティがガタガタな特警本部。
まあ基本的に警視庁の中なので、そうそう危ない人は入ってこないという判断なのかもしれませんが、そうすると、問題なのは警視庁か。
仕事して、マドックス!
正木はメンテナンスルームの野々山に通信を送り、野々山はバイクルとウォルターを起動。
背後からそっと少年を取り押さえようとするが、起爆装置の対人センサーが反応し、自動でカウントダウン開始。
少年は解除コードでカウントダウンを止めるが、特警メンバーは、改めて少年の本気度の高さを見る。またこの時、
野々山が背後から少年の撃ち込んだ解除コードをこっそりとメモ。
「僕は自爆するつもりだ。その覚悟で来た」
という少年の要求は、父親の無実を3時間後の3時までに証明しろ、というもの。
少年の父親は今泉茂。前科3犯の金庫破りで先頃出所していたが、再び金庫破りを行った上に警備員を刺殺して逃亡、
指名手配を受けていた。
出所した父が、手先の器用さを活かして、刑務所で学んだ彫金職人としてやり直そうとしていた事、「金庫破りは二度としない、
真面目にやる」と自分に誓った事を必死に訴える少年の姿に「信じてるんだね、お父さんを」と竜馬は捜査を約束。
やはりなんか、父ネタに食い付きのいい竜馬さん。
正木と野々山が本部に残り、竜馬達が事件の捜査に向かう事になる。少年の要求に従ったふりをしながら
、手にメモした解除コードをこっそり正木に見せる野々山、など、細かい描写が秀逸。
城南警察署に、事件について聞き込みに行く純子。
超悪そうな顔の刑事、登場(笑)
今泉茂が指名手配されたのは、金庫破りの手口が毎度お馴染みだった事、現場と凶器に今泉の指紋が残っていた事からであった。
一方、今泉の妻の元を訪れた竜馬は、今泉が出所から三日で行方不明になっていた事、その前に、刑務所で一緒だったという男が尋ねてきた事を語る。
妻の証言から今泉を訪ねてきたのが、前科7犯のイワキ、他二人の前科持ちだった事が判明。竜馬と純子は、
マドックスのデータから彼等の住所となっているスナックに向かう。
一方その頃、イワキ以下の3人組は、縛り上げた今泉に金庫破りへの協力を強要していた。前回の事件は彼等3人が起こしたもので、
その際に今泉の指から無理矢理に採取した指紋を現場に残し、捜査を攪乱していたのだった。
3人組に脅し上げられる今泉だが、「もう二度としない」との息子との約束を守ろうと、
息子にあげるつもりで造っていた細工物を握りしめ、頑として協力を拒否。その今泉にイワキのナイフが向かう……。
竜馬と純子は、イワキが根城としているスナックに乗り込むが、既に無人。
残されていたビルの見取り図と指紋採取用のシートからイワキらのもくろみを察した竜馬は、次の標的となっているビルへ。強盗を終えたイワキ達3人と、遭遇、追跡。
パトロールスコード→ファイヤースコードへの変形を見て、驚く犯人グループが新鮮(笑)
最後は、ギガストリーマーマックスモードで逃走する車を撃破して、犯人逮捕。
……なんか最近の竜馬さんは、殺意が洩れ気味だなぁ(^^;
今泉についてイワキらを問いつめる竜馬に、衝撃の答。
なんと、既に今泉茂は殺されていた
これはイワキがナイフを持って迫った所でAパートが終了して、Bパートで竜馬達が踏み込むと中は無人……と微妙に時制をずらして、
まさか殺してないよなぁ……と思わせて本当に死んでいました、という衝撃展開。
竜馬はスナックの床で拾った、今泉の形見となってしまった細工物のペンダントを手に特警本部へと戻る。
時刻は3時ぎりぎり、なんとか爆破を踏みとどまった文彦に、竜馬は残酷な事実を告げる。
父の死を聞き、自棄になって爆発しようとする文彦を間一髪で抑える竜馬だが、対人センサーによる自動カウントダウンが無情に時を刻む。
「君との約束があったからこそ、お父さんは誓いを貫き通すことが出来た。立ち直る事が出来たんだ。だから、死んじゃ駄目なんだ!
文彦くん、お母さんと、二人で生きるんだ。お父さんの分まで、生きて、生きて、生き抜くんだ!」
竜馬の説得を受け、文彦は爆破を思いとどまる。カウントダウンはギリギリで、横から解除コードをすかさず入力した本部長によって停止。
ずっと横でタイミングを計っている本部長と野々山、オトナって汚い。
今回はとにかく、今泉父を助けられない、という展開が衝撃。
警視庁で自爆テロを図る少年のインパクトと相俟って、なかなか強烈なエピソードとなりました。
今泉の事件を担当した刑事が、非常に悪い感じなのも、いい。最初、彼が真犯人なのかと思ったぐらい。
また野々山が珍しく、シリアスな動きで、ちょっと活躍。
前半の少年テロリストへの対応を迫られる特警、のシーンの描き方は格好良かったです。
今作の根っこにあるとおぼしい、70年代的なチャレンジ精神への回帰、を強く感じさせるエピソードでした。
次回、
ウインスペクターを押しのけて犯人逮捕に執念を燃やすお婆さん!
迫り来る犯人の刃をものともせず、お婆さんは走る!
どう見ても女装の和服老婆がスクーターで疾走!
いったい何が起こるのか。
あとナレーションの言葉で「婆さん」はやっぱりまずい、という事になったのか?
- ◆第44話「一日だけの晴舞台」◆ (監督:新井清 脚本:扇澤延男)
-
パトロール中、謎の老婆?の為にタクシーを停めるバイクル。老婆を見送った後、近所で起きた泥棒騒ぎの現場に向かったバイクルは、
六角警部から、犯人が最近よく出る不審な老婆だという事を聞く。
……さっき会った?
よりによって犯人の逃走を助けてしまったと落ち込むバイクル。
「そのこそ泥婆さん……全員で手分けして追ってみるか」という本部長の指示で、謎の老婆を追う事になったウインスペクター。
その頃、問題の老婆は空き巣の標的探しをしている所をパトロール中の警官に追われ、裾をからげて走って逃走。
前回とのギャップが激しいコメディタッチで展開し、国立エネルギー研究所ですれ違った車に轢かれそうになるが、
駐輪場でバイクを奪い、激走。ウォルターの活躍もあり、なんとか逮捕すると……その正体は、男。
こそ泥老婆の正体は、元役者・米山米吉(45歳)。
元々は芝居の座長だったが運営資金を持ち逃げされ、一座は解散。一座立て直しの為に工事現場などで懸命に働いていたがままならず、
空き巣に手を出すようになったのだと言う。懐から、
親戚に預けているという息子の写真を取りだして涙ながらに事情を語る米山にほだされそうになったりしつつ、
犯人に説教をするバイクルという珍しい展開。
そんな時、国立エネルギー研究所で爆破事件が発生。犯人を名乗る男は、無差別爆破を起こされたくなければ、
と東京都に10億円を要求する。犯人の指定した爆破のタイムリミットは翌日。今日中に犯人を見つけださなければ、
いつ都内で爆破事件が起きるかわからない! その話を聞いた米山は、犯人に覚えがあるが、教えるには交換条件があると言い出す……。
というわけで、米山の提示した条件に基づいて、特警本部で記念写真を一枚。
忙しいのだから、成功報酬にして下さい
米山が研究所で見た、自分を轢きかけた男の名は、藤原勇。かつて下久保の工事現場で同僚だった事があり、
その時に倉庫からダイナマイトが大量に紛失する事件があったのだという。現場に居た事と、過去の言動と行動から、
藤原が爆破犯人である可能性は高い……。
純子の調査で下久保の工事現場で使っていたものと、研究所の爆破に使われていたものが同じ爆薬だと判明。
米山の案内で藤原の家へと向かうウインスペクター。パトカーの中で、何やら手紙をしたためている米山。
竜馬に任意同行を求められた藤原は最初は誤魔化そうとするが、米山を人質にとって逃亡。アパートの前の公園に、
ダイナマイトを投げ入れる!
公園で遊んでいた子供達を守る為に、飛び込んで爆風を抑え込むバイクルとウォルター……
吹き飛ぶ(笑) ……いや、笑う所ではない筈なのですけど、番組史上最高に、
あー、これはバイクルとウォルター、死んだわーという吹き飛び方だったのでつい(笑)
車で逃走した藤原を追う竜馬だが、ダイナマイト攻撃を受けて取り逃がし、追いついてきたバイクルとウォルター(無事でした!)
と共に追跡。一方、藤原に山中の洞窟に連れ込まれた米山は、「ありがとよ……助けてくれて」と怪しげな笑みを浮かべていた。
探索中、もしかして米山は逃亡の為にわざと人質になったのでは? と疑いを持つバイクル。
ウォルターに相談しているる所に竜馬が来て、米山がパトカーの中で書いていた手紙を見せる。それは米山が息子にあてたもので、
特警本部で撮った写真と共に、自分は今、特警の一員として頑張っている、という言葉が綴られていた。
バイクルに言われた「息子に胸を張れる尊敬される父親にならないと」という言葉に胸を打たれた米山は、自分なりに、
息子に胸を張ろうと勇気を持って戦っていたのだ!
と、犯罪者が役者ゆえ、と思わせて……そこから更にちょっと一ひねり。
ところでハッキリとはいえませんが、バイクルが人を疑う心に目覚めたのって初?
これまで、あまり無かったような気はします。
嗚呼、成長するって、綺麗なままでは居られない。
自分も警察の敵だという演技に騙されてロープを解いた藤原に背後から襲いかかる米山だったが(そもそも、
何にしろ藤原の犯罪が露見したのは米山の為なので、藤原に米山に優しく接する理由は全く無いのですが、
「無差別爆破予告で東京都に10億円要求」するぐらいだし、頭がちょと弱いのかもしれない藤原)、返り討ちにあってしまう。
洞窟に閉じこめられ、ダイナマイトで吹き飛ばされそうになる米山だが、
岩塊をギガストリーマーマキシムモードで消し飛ばしたファイヤーとバイクルによって救出される。
今回はバイクルが動かそうとしてもびくともしない岩を吹き飛ばすという事で、まあ、正しい使い方の範疇か。
やっぱりオーバーキルな気はしますが。
外ではウォルターも奮闘し、最後はファイヤーが藤原を逮捕。こうして事件は解決し、
入院しながら六角警部の取り調べを受ける米山を見舞うウインスペクター一行。
ここでBGMにかかるのが、前にもどこかで使っていた気がしますが、何故か『超人機メタルダー』主題歌インスト。
夢をはたすまで 一歩もしりぞくな
負けたと思うまで 人間は負けない
ひとの運命は 誰にも見えない
自分で切りひらけ 甘えてはいけない
あってる気はしますが!
息子への手紙を渡される米山は、そんなものは捨ててくださいというが、バイクルに励まされて受け取る。
「今日一日、おみゃあさんは立派なウインスペクターの隊員だったわ。わしらの仲間だったじゃないがね」
「米山米吉特別隊員、ご苦労様でした!」
竜馬が敬礼を送って皆が倣い、大団円。
意外な所で意外なバイクル回。
ロボット刑事の成長物語としては、なかなか良かったです。
爆弾にやられまくる以外、スポットの当たらなかったウォルターがちょっと可哀想(笑)
くしくも前回と今回で、父を想う子、子を想う父、という鏡写しのようなエピソードの組み合わせとなりました。
難を言えば米山が怪しすぎて、その子供は本当に居るのか、ラストまで信じられなかった事ですが(笑) 絶対、
相手をほだして誤魔化す為の、偽エピソードと写真だと思っていましたよ!(笑)
今回フィーチャーされたゲスト・米山米吉を演じたのは、ばってん荒川(1937−2006)。九州地方で活躍し、肥後にわか
(宴席や路上などで行われた即興の芝居。各地方に存在する)を復活させ、
「肥後にわかの巨匠」と評されて全国区でも知名度のあったローカルタレント、との事。
「お米ばあさん」というキャラクターで活躍しており、女装老婆で大活劇していたのも、その為だったようです。
どういう縁で出演する事になったのかはわかりませんが、割とビッグゲストだった模様。
さて次回、サブタイトルは格好良いのだけど、予告が過剰に盛り上がり気味・
ナレーション「……たぁ」(斜め上に上げる感じで)、と若干の危険フラグが重なっており、果たしてどうなる。
※ラストシーンで使われた『メタルダー』主題歌インストですが、そもそも作曲家が同じ関係で、『ウインスペクター』の劇中BGMには、
『メタルダー』のものが大量に使われているとの事。実際に後に『メタルダー』を見たところ、物凄くかぶりまくっていました。
予算節約なのかなんなのか。
- ◆第45話「爆破0秒前の愛」◆ (監督:新井清 脚本:山田隆司)
-
テロ組織の周到な計画により、脱走させられた少年刑務所の受刑者、芦川俊一。テロ組織の目的は、爆弾のスペシャリストである彼に、
中津川修という男を殺させる事にあった。
未成年なのにテロ組織が危ない橋を渡ってまで仕事を依頼する爆弾のスペシャリストって何者なのか(笑) まあ、
尻尾切りできる外部の人間、という要素もあったのかとは思いますが、
よく考えると2話前に腹マイト少年が出てきているので、この世界ではそれほど驚くべき事ではないのかもしれない。
海外援助基金の理事長を務める中津川には黒い噂が絶えずつきまとい、ODAのリベートに関して捜査の手が幾度か伸びながらも、
これまで確たる証拠が掴めてはいなかった。そんな中津川の暗殺を東南アジアの某国から依頼されたテロ組織であったが、
アジトに機動隊(珍しい)の強襲を受け、芦川以外は全員逮捕。組織から渡された爆弾の部品だけを持って逃亡した芦川は、
ある少女に接触を図る……。
芦川の父は、8年前に起きた疑獄事件で不審な自殺を遂げた、中津川の元秘書。
犯罪者の家族として白い目で見られ引っ越しを繰り返す事になった芦川家は、母が2年前に病死、
俊一は爆弾によって中津川の殺害を謀るも失敗し、少年刑務所に収監されていた。
と、やや複雑な事件背景を特警本部で一気に解説。
芦川が接触したのは、8年前の疑獄事件におけるもう一人の自殺者、中富ユキオの娘、涼子。
今は橋本と苗字を変えた涼子と芦川には同じ境遇という繋がりがあったが、涼子は着替えと幾らかのお金は渡すものの、
思いとどまるように説得。しかし芦川は中津川を殺すチャンスだと、姿を消し、密かにミサイルを作成する。
涼子に事情を聞こうとするが、警察への不信感から冷たくされる竜馬達。
最初は涼子が積極的に芦川に協力しているのではないかと考えた竜馬だったが、彼女を監視している内にそうではないと思い至り、
あえて「父の形見のジャンパーを渡す事で復讐を後押ししているのでは?」と涼子を挑発。
涼子「どうして警察はそういう見方しかできないんですか!」
竜馬「良かった。たぶん君はそう言うと思った」
爽やかな笑顔で、女子高生の懐柔に成功する竜馬。
ううむ、珍しい(笑)
再び芦川から連絡が入り、接触した涼子はその説得を試みるが、現場で発生したトラブルから特警の張り込みがばれてしまい、
芦川は涼子が裏切ったと思いこんで逃走してしまう……どうして、バイクルも張り込ませてますか(^^;
張り込みシーンでは、珍しく、スーツ竜馬。
というか、竜馬も純子もTPOに合わせた衣装で張り込み現場(デパート内部)に紛れようとしているのに、
無理矢理な衣装を着たバイクルとウォルターが一緒に居るというのは、ちょっと意味不明。あと密かに、
トラブルの原因となった引ったくり、取り逃がしているし(^^; 竜馬さんがつい引ったくりを捕まえてしまって張り込みがバレた、
でも充分に問題なかったと思います。
東南アジアを回っている中津川の帰国は、いよいよ二日後。かくなる上は、帰国した中津川の車を徹底的にガードする他ない。
そして芦川を止める為、自分が中津川の車に乗り込むと言い出す涼子。自分が乗っていれば、
芦川は爆破を諦める筈だ……その決意の固さを知った特警は、彼女の協力を受け入れる。
そして帰国当日、中津川の車を特警が前後からガードし、空から監視するウォルターが芦川を発見して逮捕するが、
芦川の仕掛けたセンサーにより、ミサイルが自動発射してしまう! 中津川の車に取り付けられた誘導装置により、
もはやミサイルを防ぐ事は不可能。竜馬から連絡を受けた正木は車から中津川らを降ろすと、周囲の人々を巻き込まない為に車を走らせる。
着化した竜馬は、ウォルターに掴まれ、空中からギガストリーマーマキシムモードで、ミサイルを狙撃・撃墜!
ここは非常に格好良かった。
色々と問題のあるギガストリーマーマキシムモードですが、ここまでで一番、格好いい使われ方。
だが、発射されたミサイルは2発。なんとか人気のない所まで車を運んだ正木だが、その直後にもう1発のミサイルが迫る!
ファイヤー「ワープ!」
ワープ?!
……《高速移動》の事だと思うのですけど、いったい何時の間に、空間歪曲できるようになったのか。
か、或いは、《高速移動》とは、そもそもワープ機能の事だったのか。
仮にそう考え、ファイヤーの《高速移動》が、ファイヤー及びその触れている任意の存在を空間移動させる機能、だとすれば、
これまで謎だった、爆弾探知犬アレックの首輪をどうやって外したのか(9話)、箱の中のひとみちゃんをどうやって助けたのか(18話)、
に全て納得できる理由がつくわけないけど、一定の言い訳として成立しえない事もないかもしれないかもしれない。
(とか色々と脳内で盛り上がってみたのですが、私の聞き取り間違いで「ワープ!」ではなく、「スパーク!」との事)
かくしてミサイル直撃の瞬間、正木はファイヤーに助け出されて無事に脱出。
涼子が自分を裏切っていない事を知った芦川はその想いに心を打たれ、今度こそやり直す事を誓うのであった……………………
あれ? まさかの、中津川スルー。
まあこの展開で中津川が自白して逮捕、まで盛り込むのは難しいですが、フィクションで
真の巨悪?が放置されるというまさかの超展開。
いや、真の巨悪だから爆死していいというわけではない無いですし、どちらかといえば、テーマ性はその辺りにあったのだとは思いますが、
幾分、もやもやの残る話となってしまいました。まあ、この件をきっかけに本気になった正木と竜馬が動けば、
中津川の逮捕まで時間の問題という気はしないでもないですが。
次回、中津川に追い込みをかける特警、追い詰められた中津川は涼子を人質にして……! とかいう展開も面白かったかもしれない。
“犯罪者の家族の境遇”という重い所に焦点をあてたコンセプト自体は悪くなかったのですが、とにかく全体的にやたらと長台詞が多く、
テンポが悪かったのが残念。
芦川と涼子のやり取りに尺を取った分、警察に非協力的な涼子の描写、などがもうひと踏み込み足りなかった感じもあり、
テーマ性と絡む所だけに、全体が少し散漫になった感。
女子高生に冷たくされる竜馬さん、とかもう少し見たかった!(おぃ)
- ◆第46話「一日一悪の少年」◆ (監督:小西通雄 脚本:扇澤延男)
-
バイクル、公園で落とし穴にはまる。
悪戯の犯人は、近所に暮らす大田黒彦一、という良太の同級生。両親が海外在住で祖父と二人暮らしなのだが……その祖父が、
なんとギャングのボスであった!
歴史の闇に埋もれそうだった良太くんが、復活。
大田黒勝造は2年前に全4名からなるブラック団というギャングを結成。孫の彦一に「一日一悪」「ギャング一筋」
をモットーに、悪事を奨励していた。マフィアを気取るブラック団だが、マドックスによれば「結成以来、
特にデータに残るような犯罪の記録は無し」。
むしろどうしてそんなデータも勝造の写真付きで、抑えているのかマドックス(笑)
前々から思っていましたが、マドックスのデータバンクの中身って明るみになるとかなりまずいというか、
人権団体とかから集中砲火を浴びそうな材料がわんさかありそうというか、この世界の日本は非常にバイオレンスなので、
その分国民の管理とデータベース化が進んでいるのか。……管理している割には凶悪犯罪が横行していますが。とにかく、
最終回がマドックス叛乱とかでない事を祈ろう。
正木は「本人達がギャングを名乗っているだけじゃないか……趣味で」とこぼすが、あまりに教育に悪くて看過できないと、
バイクルと共にブラック団へ乗り込む竜馬。しかし説得はのれんに腕押しで、勝造はまったく聞く耳を持たず、
ギャング教育に感化されている彦一にも通じない。
何があるかわからない世の中、最後に頼れるものは“金とファミリー”……うーん、間違って……ない気はする(笑)
夢は、「世界一のギャング」という彦一の大書に頭を抱えた竜馬は、搦め手から攻めようと、良太に彦一の友達となってくれるように頼み込む。
一方、大枚はたいて開発した超磁力装置を手に、何事か企むブラック団……。
工場爆発の報を受けて出動するウインスペクター。レスキュー活動の途中、
更なる爆発が起きて逃げ遅れた工員が居ると聞いてギガストリーマーを手に向かったファイヤーだが、それは罠。
超磁力装置の不意打ちを受け、奪われるギガストリーマー! 更に、超磁力逆放射!
(反重力ビームみたいなものか?)を受けて、史上トップクラスにやられるファイヤー。
これだけファイヤーがやられたのは、死神モスのスーパーカーと、ロボット刑事ブライアンの攻撃以来か?
そして遂に、恐れていた事態が起きてしまいました
「想像を絶する破壊力」のオーバーキル兵器が、悪漢の手に!
微妙に、スタッフの悪意が見え隠れします(笑)
バイクルとウォルターは磁場の変化を辿って犯人を追い、純子は竜馬を工場の一角へ誘導した工員のモンタージュを作成する。
その頃、まんまとギガストリーマーを入手したブラック団は、それをコピーして売り捌こうと計画を話しあっていたが、ここで
「ギャング団ごっこはもうおしまいだ、爺さん」と3人の部下が豹変。彼等は勝造の豊富な資金力に目を付けて従っていただけで、
本心から彼に従っているわけではなかったのだ!
まあ、それはそうですよね、とむしろほっとする展開。
モンタージュから偽工員がブラック団の一員だと知った竜馬と純子は大田黒家へ向かうが、そこはもぬけの殻で、乱闘の跡と、
勝造の心臓の薬が床に落ちていた。そこにちょうど近所で、彦一を遊びに誘っていた良太達が姿を見せる。一方、
磁場の歪みを追っていたバイクルとウォルターは、反重力ビームの不意打ちを受け、勝造と一緒に捕まってしまう。
二体が連絡を絶った倉庫街へ向かう竜馬達。そこで、どうしてもとついてきた彦一から、竜馬達はブラック団に関する真実を聞く。
実は海外で働いていた彦一の父母は2年前に死亡しており、心臓に持病を持つ勝造は残された孫の為に何かしてやれる事はないかと考えた挙げ句、
『ゴッドファーザー』みたいな組織を孫の為に作ろうと、斜め上の結論に飛びついたのだった。
明らかに、自分がやりたかっただけである。
お互いを大切に思うあまり、閉じた世界を作ってしまった祖父と孫。その優しさをわかるとしながらも、
「君はその為に一番大切なものを失った」と竜馬は彦一を諭し、単身、工場へと乗り込む。
外に残った純子&良太&彦一ですが、心臓の薬を飲まなければ発作で祖父が死んでしまう、と彦一が結局飛び出し、
それを追いかけている内に全員が捕まるという始末。うどん県での活躍をピークに、純子さんの役に立たない度が上がっている気がする今日この頃。
或いは、敵に捕まるとヒロインゲージが上昇する事に気付いたのか。
勝造達が捕まっている部屋を見つけた竜馬だが、扉には頑丈な鍵がかかっていて開かない。破るにはギガストーリーマーが必要だと、
その奪還を優先する竜馬。ここ数話の竜馬さんのギガストリーマー依存は家族を人質に取られているレベル。
……ううう、あの格好良かった竜馬さんが、知恵と勇気と根性でどんな窮地も乗り越えてきた竜馬さんが、
すっかり力に溺れてしまいました。うっうっう……
金庫からギガストーリーマーを見つけだした竜馬だが、純子と少年達を人質として突きつけられる。そのピンチの中で、
良太と彦一に通じ合う不思議な連帯感。激しくアイコンタクトする、竜馬&少年達。不意打ちの体当たりで少年達は悪漢の手を逃れ、
純子も脱出。だがギガストーリーマーは再び奪われ、その銃口が竜馬へと向けられる!
「やめろ、普通の人間にはギガストーリーマー撃てない! やめるんだ!」
竜馬の警告通りに悪漢達はギガストーリーマーを扱えず、銃身は跳ね、プラズマ光波弾は天井を直撃。
ギガストーリーマーを取り戻した竜馬はマキシムモードで扉を破壊して勝造達を救出。更に超磁力装置も無駄にマキシムモードで塵に帰し、
悪漢達を逮捕する。
……なんだろう、竜馬さんは、なるべくギガストリーマーマキシムモードの実地運用データを取るように、あの研究所に言われているのでしょーか。
使わないと、査定に響いたりするのかなー。
心臓病の薬も間に合い、発作の収まる勝造。まるでテレパシーのような繋がりを感じた事を不思議がる良太と彦一に、
「一番大切なもの……それは友達ではないのかい?」と竜馬が語り、友情の花が開いて大団円。
まあ実行犯は3人として、機械への出資とコピーまでの計画立てていたぐらいなので、
情状酌量の余地ありで爺さんは執行猶予ぐらいで済みそうかなぁ……或いは、警察の暗部に関わる事件なので、
この日、3人の男の戸籍が密かに抹消され事件は闇から闇に葬られるのかもしれない。
それにしてもしかし、この終盤にきて、ここまでギガストリーマーのためにシナリオが歪むとはなぁ……(^^;
戦隊で言う所の、無理矢理2号ロボ、みたいな使い方になってしまっていて、どうも良くない。まあ、
マックスキャリバーなんてもう存在しないんだ、と思いこめば気にならなくなりそうな気もするのですけど。
尺の関係であまり装備の使い分けを出来ない、というのは残念な所ではあります。
そしてこんなタイミングで次回、進みすぎたハイテクの反乱話(笑)
ところで今回、祖父・孫の二人きりという家族にせっかく良太が絡むので、良太の方の姉・弟二人の家族、
という環境の接点が友情のきっかけになるのかなぁと思ったら、そういう事は全くなし。
工場前で「僕の気持ちがわかるか!」みたいな台詞を置いているので、本当はそういう流れがあったのだけど、
編集で切ったのかなぁ……良太と彦一のテレパシーが、あまりに唐突ですし。
あれは、友情ではなくて、生命の危機で覚醒したのだと思う(笑)
- ◆第47話「億ションの甘い罠」◆ (監督:小西通雄 脚本:鷺山京子)
ネオマンション
凄い名前だ(^^;
会社帰りの夫(手塚)に
「コーヒー、それともビールになさる?」
と物凄い二択を要求してくる妻。
夫がコーヒーを選ぶとハイテクマンションのセンサーが反応し、自動的にコーヒーを淹れだす。
そのまま、ネクタイも緩めずに新聞を読み出す父。
この辺りは生活感を出す演出をしっかりしてくれないと、物語にノリにくい。
娘が友人に貰った「ウサギを飼いたい」と言うが、このマンションではウサギは飼えない、とにべもない父。
昔は父がウサギの飼い方を教えてくれたのにと嘆く娘を、「こんないいマンションに住めるのもお父さんのお陰なんだから」と諭す母。
というか母、マンションの規約ぐらい娘に説明しておいて下さい。
なぜ、夫と娘の間に不必要な軋轢を発生させますか。
なんか、この夫婦関係に、びみょーに、色々と、疑問が。
その夜……コンピュータを操って、マンションの換気システムを利用して催眠ガスを室内に流す謎の男。
ガスを吸い、センサーからの声に操られた手塚は、新型エンジンのデータをコンピュータに入力し、流出させる。
室内にウサギが居た為に換気システムが停止し、催眠ガスを吸いきらずに途中で起きた娘がその光景を見て父に声をかけるが、
催眠状態の父に邪険に振り払われ、母も目覚めなかった事から助けを求めて外に。たまたま夜間パトロール中だった竜馬と出会って部屋に戻るが、
既に両親は催眠状態を抜け、その間の記憶を失っていた。
それとなくパソコンに触れて、(まだ暖かい……スイッチを切ったばかりだ)と、竜馬さんが地味にお約束をこなしているのが素敵。
その頃世間では、巨大な企業スパイ組織が背後にあると思われる、機密情報の盗難事件が相次いでいた。そんな中、
タイガー自動車の重役、先日出会った手塚がライバル会社への情報流出で会社から告訴されたという事件を知り、
手塚を尾行していた竜馬は、発作的に自殺しようとした手塚を止める。そこへ駆けつけた娘がこぼした「父はセンサーの声に操られていた」という言葉から、
問題のネオマンションの調査に向かう竜馬と純子。その時、室内で純子の足下を這うG。
レ ー ザ ー 撃 っ た
……えー、室内の全てを管理するハイテクセンサーが、レーザー撃ってゴキブリを
灼き殺しました。
もう慣れっこなのか、「ハエやゴキブリを自動的に処理します」と平然と告げる管理人。ただし、
ある程度の大きさの小動物になるとセンサーが誤作動を起こしてしまうのだという。
……乳幼児とか、どうなるのだろう。
あの夜、娘が途中で目覚めたのは室内にウサギが居た為かもしれない……竜馬と純子は地下にある制御システムを調べ、
物凄く唐突にデミタスが大活躍。
制御システムを調べたデミタスはそこに侵入の跡を見つけ、何者かが制御システムに干渉して換気システムを自由に扱っている事が判明する。
その犯人は、201号室の、里中!
うーん、なんかもう終わりなので、ここまであまりにも存在意義の薄かったデミタスに活躍の場を、という事なのでしょうが、
色々と遅すぎ。故に、無理がありすぎ。結局デミタスは、便利使いしようと思えば幾らでも出来てしまうが故に、
役に立ったり立たなかったりが非常にご都合かつ適当、というと極めて悪い使い方に終始してしまいました。
理想は純子さんとセットにしてお互いのキャラ立てと純子さんの戦力強化だったと思うのですが、販促的にそれが無理なら、
竜馬さんとべったりでも良かった気はします。当初のバイクルとのコンビもどうしてそうしようと思ったのだろうというぐらい、
あっと言う間に雲散霧消してしまいましたし(^^;
こんな無駄遣いされた二又一成(声優)は、初めて見た。
その頃、放心状態の父をなぐさめようと足下にウサギを放った手塚娘だが、むしろ激昂した父は、ウサギを投げ殺そうとする。
必死に父を止め、「こんなマンション大嫌い!」と、一緒にウサギに餌をやっていた昔の父に戻ってほしいと泣き叫ぶ娘の姿に、
父は心を動かされる……。
アクロバット的に行きすぎたハイテクと家庭を顧みないサラリーマン批判が始まるのですが、
根拠が「ウサギ拒否」なのが非常に厳しい。そもそもペット禁止マンションは今回のハイテク億ションに限らないでしょうし、
父が取り立ててハイテクにこだわっているという描写が無いので、ウサギが飼えない=父がハイテクを愛好しているから、
というのを等号で結ぶのに、さすがに無理がありすぎます(^^;
一方、自分の所業が特警に嗅ぎ付けられた事をマンション各所に配したモニターカメラから知った里中は、バックにある組織に連絡。
「緊急コードXXを使え」と指示されて使うが、それは、
マンション住人を閉じこめ、
一切合切を爆破して証拠隠滅を図るという、
自爆指令だった。
組織が自分を切り捨てるつもりな事に気付いた里中は拳銃を持ち出して逃走を図るが、竜馬により逮捕。
純子はマンション住民を避難誘導し、竜馬は逃げ遅れた手塚父娘の救出へ向かうが、噴射されるガスと飛び交うレーザーに苦戦。
応援を要請してやってきたバイクルとウォルターも、マンションの放つケーブル攻撃や腐食ガスの前にダメージを受ける。
センサーのレーザー攻撃に足止めを受ける竜馬は、一か八か、窓を破って脱出して「着化」しようとするが、なかなか隙が出来ない。その時、
手塚父「香川さん、ウサギを使えば、隙ができる筈だ」
竜馬「しかし!」
手塚父「ウサギは私が助けます!」
格好いいのかどうか、微妙に悩む台詞(笑)
父は娘に、
「私は、ハイテクな生活を追い求めるのに夢中になって、人間の心を忘れていた! でもおまえと、このウサギが、思い出させてくれたんだ!」
と心を入れ替えた事を宣言するが、全体的に今回、無理説教という気がします。せめてこの一家の、ネオマンション入居前から描かないと無理が。
放たれたウサギによってセンサーが混乱、その隙をついて窓からダイブした竜馬は、パトカーのボンネットの上を回転する無駄アクションを経て、
着化。中に戻って手塚父娘を救出。手塚父がウサギを救う為にセンサー相手に奮闘する所はカット。……いや、シーン撮ってみたのかどうかはわかりませんが、
着化したファイヤーが戻ってきたら、凄く普通にウサギは親子の所に戻っているというのはなんの盛り上がりもなくて残念。
…………あー、ところで、バイクルとウォルターの意味は…………?
と思ったら、2体からの情報を得て、爆破を止めに地下3階へと向かうファイヤー。なんか今回は、
明らかにこの2体の出番も無理矢理作っていますが、かといってドラマ部分が凝っていたかというとそうでもないのが、なんともかんとも。
そして地下へと向かうファイヤー…………第10話の超振動波発生装置とそっくりな気がするのですが、
爆発シーン含めて、声だけ吹き変えて、そのまま使い回し? 気のせい……?
爆発寸前、ファイヤーの奮闘で制御システムは停止し、マンションの爆破は食い止められた。里中から組織のデータを入手した特警は、
早速、その逮捕へと向かうのであった……!
ああ、雄々しき5インチディスク。
仕方ないのですけど、今見ると、本当にインパクトのあるメディアです。
ある意味、パンチカードの方が一周回って未来感があったり。
うーん、結局、小西監督の演出ラインは、最後まで今作と合わなかったなぁ。
次回から、いよいよラスト2話!
「世界に羽ばたこうととするその矢先、竜馬の体に異変が起きた」
……
…………
………………嗚呼ついに、クラステクターの装着のしすぎで竜馬さんの脳が……!
……うううっ(涙)
- ◆第48話「特警を壊滅せよ!」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升)
-
本編初、竜馬さんのお部屋公開。
さすがエリートは、机に六法全書置いている!
パジャマ、変だけど
本部に集うウインスペクターの面々に、衝撃の辞令が下される。
なんと、インターポールからの招聘要請で、世界的な救急警察組織の先鞭として、ウインスペクター丸ごと、フランスへ出向することになったのだ!
竜馬、純子、バイクル、ウォルター、デミタスがフランスへ出向し(野々山に関しては一切言及無く不明)、本部長は日本に残って、
ウインスペクター不在の日本を守る新たな組織作りに着手する事となった。この予想もしなかった任務に沸き返るウインスペクターの面々。
そんな中、竜馬は妙な頭痛に悩まされていたが、定期診断や医師の診察では、体に異常は見られない……。
本部長の新組織作りは、確か次作『ソルブレイン』に世界観がまんま繋がるから、その前振りというところでしょうか。
後に残す優子の元へ向かった竜馬は、彼女の 度重なる生命改造実験の結果 懸命の努力の結果、
廃液で汚染された土壌に遂に咲いた花を見る。
「ところで優子、お兄ちゃん、実は……」
「知ってる、フランスへ行くんでしょ。新聞で読んだ」
報告に来るの遅すぎるよ竜馬さん
その足で、両親の墓参りに向かう二人。
ここで遂に明かされる竜馬さんの家族関係。竜馬の父は家事で燃える家から妹・優子を救い出し、更に母を救おうと家の中に飛び込んで、
二人共に帰らぬ人となったのだ……果たしてこのまま自分はフランスへ行ってしまっていいのか? 優子を前にして、決意が揺らぐ竜馬。
ひたすら健気なできた妹も、さすがにこらえきれず、涙をこぼす……。
その頃、本部で新組織設立に関する上申書を執筆中の正木。
……来月早々にウインスペクターが出国してしまうのに、今から上申書は遅すぎやしませんか(^^;
折角前振りをするなら、その辺りにもう少しリアリティがあればもっと良かったのですが、この辺りは、
どだい地続きで次回作へというのと劇中の設定を摺り合わせるのに無理があるか。やろうと思うとどうしても、
最終回に次代のヒーローが出てきて、力ずくで納得させる、みたいな形になってしまうので、仕方ないかもしれません。
まあ多分、例の研究所では既に変な新スーツその他が開発されていて、それと上層部を摺り合わせる、
出来レースなのだとは思いますが(笑) 本部長の得意技は、《寝業》と《根回し》だから!
そんな正木はふと文書執筆の手を止め、ウインスペクターの戦いに思いを馳せる。
「特にファイヤーは、クラステクターの重圧に耐え、頑張った……」
始まるファイヤーの活躍の回想シーン…………の筈なのに
なぜか途中で自分の活躍シーンを挟む正木
それも1回どころでなく、3回ぐらい
激しくおかしすぎる
そこへ、「フランスへ行ってほしくない」という多数のファンレターの詰まったダンボールを手に、
「ワシら本当にフランスに?」とやってくるバイクルとウォルター、別れの挨拶にやってきて、二体を抱きしめて男泣きにくれる六角刑事。
ここから、バイクルとウォルターの活躍シーンの回想へ。
なんか色々と、大人の事情は感じるのですが、ここで総集編的な回想シーンが入った事自体は格好良かったと思います。
上手く誤魔化したというか。
ちゃんと、良太、久子、純子の回想シーンもありました。
しかしいちいち、敵が面白すぎる(笑)
それぞれがフランス行きに思いを巡らせる中、東都映画撮影所で爆発事件発生の報に出動する特警。その救助活動の途中、
竜馬をまたも襲う謎の頭痛。そして、フラッシュバックする過去の火災……優子の姿……「僕の頭は、
いったいどうなってしまったんだ……」……果たして、ファイヤーの身に何が起こっているのか?!
激務による疲労か、妹を置き捨ててフランスに行くストレスか、
はたまたクラステクターの副作用か?!
炎の中で遂に倒れるファイヤー。
ウインスペクターは、どうなってしまうのか!!
物凄い久々の、オールキャスト揃い踏み。
全体の3分の1ぐらいが回想シーンだったり、次回予告が今回の映像とごちゃまぜだったり、
47話クライマックスの使い回しっぽい映像といい、この終盤の制作状況は本当に何か色々と厳しかったのでしょうか……?
- ◆第49話「翔べ希望の空へ!」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升)
-
撮影所の中で倒れ、バイクルとウォルターに助けられたファイヤーは、病院で安静中。
クラステクターの着化タイムリミットを20分以上オーバーしてしまった事もあり肉体と脳への負担が大きい事から、
しばらくは着化を禁じられる。
見舞いに来た本部長と純子に撮影所での体験を伝え、「ただの頭痛とは思えない」竜馬は、自室の調査を依頼。
竜馬の部屋を探った正木はそこで、謎の発信機を見つける。
散々、クラステクターはやっぱり危ないのでは、むしろ普通に危ない、と思わせておいて、実は悪の陰謀でした、という、
捨て身のミスディレクション。
その発信機は、脳波に影響を与えて過去の記憶などを呼び起こし、究極的には人の本能を目覚めさせるという装置であった。
精神障害の治療器具として開発が進められていたが、その危険性の側面から、現在は開発中止。
そしてその元々の開発者は――黒田鬼吉!
かつて、改造したNASAの月探査ロボットR24号を用いてタンクローリーを強奪、ライバル研究者への復讐という私怨の為に、
東京をパニック状態に陥らせた狂気の男であった!
まさかの、1話ゲスト悪役、再臨。
最初の事件を起こす際に念のためにもう一台のR24号を確保していた黒田は、R24に地下トンネルを掘らせて監房からの脱出路を作り、
しばしば刑務所を抜け出しては特警への復讐の為にアジトで暗躍していたのだった! 発信機を竜馬の家に密かに取り付け、
撮影所を爆破、竜馬を危地に陥れた黒田は人質として優子をさらうと、大型化した発信機を用い、都内の広域に凶暴化電波を発信する!
「東京を獣の街にして、ファイヤーもウインスペクターもぶっ潰してやる!」
大暴動が発生し、竜馬不在の中、純子、バイクル、ウォルターが、警官隊と共に鎮圧に出動。一方、
黒田の監房を調査した正木は地下トンネルを発見。黒田のアジトへたどり着くが、凶暴化電波を浴びて苦悶する。
過去の記憶などを呼び起こすらしい電波を受けて、苦しむ本部長の脳裏に浮かぶ謎のイメージ映像なのですが……えーと本部長、
もしかして、過去に旧支配者と遭遇している?
暴動発生の報に病院を抜け出していた竜馬は本部長からバイクルとウォルターへの救援以来をキャッチし、
暴動鎮圧の為に身動き取れない二体に変わり、命がけで着化。黒田のアジトへと向かう。
自らは電磁バリアを張り、本部長に予備の超音波遮断装置を渡した竜馬は、立ちはだかるR24と戦闘。非常に珍しく、
マックスキャリバーでの立ち回り。そしてアジト内部へ入った正木は、黒田へと銃を向ける。
「その機械を止めなければ……貴様を殺す!」
「殺す? はははははは、遂に本性を現したな。人の命を守ると言いながら、貴様も殺しの好きなただの獣にすぎなかったのか。撃て、
撃てるものなら撃ってみろ!」
黒田の挑発に、撃鉄を起こす正木。
(――ウインスペクターの使命とは、人命を守る事にあった。新組織を作るにあたって、それだけでいいのだろうか?
たった一人の凶悪犯によって、大勢の犠牲者が出た場合、その凶悪犯の命を守る必要があるのだろうか?)
ここで、前回の上申書執筆と絡めたのは上手い。
のですが、何故か物語のテーマを持っていく正木(笑)
その時、壁を突き破って竜馬とR24が両者の間に闖入。ファイヤーはパルスガンで黒田の持つ凶暴化電波発信装置を破壊すると、
マックスキャリバーで切り落としたR24の右腕のソードを、R24の腹に突き刺す!
ロボット刑事が二体、部下に居るとは思えないレベルで、最後までロボットにはえげつない竜馬さん。
正木が優子を助け出し、半壊したR24には、とどめのギガストリーマーマキシムモードが炸裂! R24は吹き飛び、
黒田は壊れた電波発信システムの下敷きとなり、東京広域に発信されていた電波は停止する。
……あ、あれ、黒田、助けないの??
本部長がやむをえず殺そうとする凶悪犯をも竜馬が命がけで助けるシーンかと思いきや、ごく普通に装置の下敷きとなった黒田は、
アジトの自爆装置をぽちっとな。
「正木、おまえは、ワシを、撃とうとしたな。やっぱり、獣だった!それが、ウインスペクターの正体だ、はははははは」
壮絶に爆死
慌てて逃げる3人。
ううーん、上司(正木)の哲学や思想性とはまた別に(それも重要)、
現場でとにかく命をかける男(竜馬)の姿を対比させる事で、どちらも必要な正義、という風にするのかと思いきや、黒田、
ざっくり放置プレイ。
竜馬さんも、妹助けたから満足だ、みたいな感じだし(^^;
まあ竜馬さんのHPとMPの残りが3ずつぐらいなので、それどころではなかった説が濃厚ですが。
そして、世界中の人の為にフランスへ行って、と快く竜馬を送り出す決断をする、よくできまくった妹。
このあと本部長が、新組織のテーマとして、
「人の命だけでなく、人の心も救う」
とか言いだすのですが、説得力がががががが
えー、今回の事件は誠に遺憾ですがこの反省を次に活かしたいみたいな。
というか、最後の黒田相手の葛藤は本来、竜馬の対面するべきところであって、それを何故か正木が持っていってしまったので、
色々とおかしくなっているような気が。いやだってほら、正木はそもそも、いざとなったら射殺しそうじゃないですか、犯人。
今作では基本的に、例え悪党でも誰かの命を救えなければウインスペクターの負けなので、最終回で主人公達が敗北して次回作へ繋がる、
という凄い展開に。
うーん、今作は悪玉を“人間の犯罪者”と置く事で、ヒーロー物における、
“正義のヒーローは悪玉をざっくり倒して大丈夫”という部分へのアンチテーゼをしていた所もあったのですが、
終盤のギガストリーマー乱舞の流れで、それを放り投げてしまったのは残念。
勿論、どうしようもない悪というのは存在するわけですが、それはさておき命を助けるのがウインスペクターであり、香川竜馬であり、
ラストで黒田を助けようとする仕種も無かったのは(それどころか、間接的にマキシムモードのオーバースペックが黒田を仕留めている)、
というのは、面白いシリーズだっただけに、1年のラストで、惜しかった所であります。
そして、飛行機を背景に海を見つめる正木、
「ありがとう、ファイヤー、さようなら、ウィンスペクター」
まさかのラスト、本部長オンステージ(笑)
ううーん、最終2話は、次回作へのふりみたいな話に終始してしまったなぁ。
当初はこのコンセプトでどうなることだろうと心配したものの、意欲的なエピソードがなかなかのクオリティで並び、
意外と中だるみも無かったものの、ラスト1クール、息切れした感。
それでも、シリーズとしては非常に面白かったです。
主人公がとにかく格好良かったというのもポイント高い。
竜馬さんは本当に格好良く、素晴らしいヒーローでした。
〔→総括へ〕
(2012年8月6日)
(2019年7月21日 改訂)
戻る