■『特警ウインスペクター』感想まとめ5■


“助けを求める 声が聞こえる
胸の鼓動が ギリギリ最高潮”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特警ウインスペクター』 感想の、まとめ5(25〜30話)です。登場人物など紹介を付記。また文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。 日記掲載時にいただいたコメントが感想に反映されている箇所もあります。ありがとうございました。

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〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕 ・  〔総括〕


◆第25話「雨に泣くロボット」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
 ある日バイクルは、職務で訪れた派出所の前で雨宿りする女に傘を貸し、 手と手が触れ合った瞬間にときめいてしまう
 これが……アモーレ?
 その頃、東都化学中央研究所の所長、高山が爆弾テロに遭う。捜査線上に浮かび上がったのは、研究所の元職員、桐本光夫。 新開発のジェット燃料の研究を高山に横取りされ、恨みを持っていたのだという。早速、捜査に取りかかる特警。

 速攻で逮捕された(笑)

 シーン変わった瞬間にアジト発見されて、その場で逮捕されるとは思いませんでした。
 しかし、捕縛の際に桐本が投げた爆弾の直撃を受け、バイクルが損傷してしまう。
 野々山によって無事に修理されるバイクルだが、どうも様子がおかしい。野々山の分析によるとどうやら、
 「幻覚が見えるらしい」
 爆弾の直撃により認識回路に強い衝撃を受けたバイクルは、記憶に強く残っていた女のイメージがより強調されるようになってしまい、 先日出会ってときめいた雨の女の幻覚を見るようになってしまっていた。
 「ワシ、恋する男になりました」
 野々山によると強制的な修理は不可能。時間経過で収まるのを待つしかないという。
 野々山「ときどき幻覚が見える以外は、機能的には問題ありません」
 いやそれ、凄い問題だと思うんですが
 そこへ入る、高山所長が再び爆弾で襲われたという連絡。桐本に共犯がいるのか?! 捜査を続行した特警は、 桐本に妹が存在している事を知る。彼女の名は、桐本真弓。妹の足跡を追うシーンなど、 細かい所で刑事ドラマ風味を漂わせるのはお約束になってはきましたが、本作の特徴づけとして面白い所(まあそうすると、 そもそも容疑者の身辺調査が甘すぎる、という事にはなるのですが(^^;)。
 真弓の元職場で、店長から忘れ物の文庫本を受け取ると、そこに挟まれていたのは、桐本と高山が並んで握手をしている写真であった。 そして高山の顔の上に殴り書きされた、「悪魔」の文字。真弓が高山を狙っている事を核心し、特警は高山の入院する病院へと向かう。
 なんかこう、高山所長と桐本兄のやたらにこやかな写真といい、そこに書かれた悪魔という極端な詰り方といい、 後半の「兄さんの心を弄んだ」という台詞といい、桐本兄と所長はそういう関係だったのだろうか、と思わず勘繰りたくなったのですが、 心が汚れていてすみません。本当にすみません。
 所長の病室で、竜馬は見舞いの品に仕掛けられていた爆弾を発見。解除に成功する。窓の外でその光景を見て、逃げ出す怪しげな女。 外に待機していたバイクルは彼女を捕まえようとするが、その姿に衝撃を受ける。
 彼女は、あの雨の日の女性だったのだ!
 バイクルは動揺し、女――桐本真弓を取り逃がしてしまう。
 当然、「何が幻の恋人だ! そんな理由で!」と正木に叱責を受け、刑事失格だと落ち込むバイクは、公園で一人思い悩む。 おりしもそこへ降り注ぐ雨。
 物陰からバイクルを見守る、竜馬、純子、ウォルター。
 ウォルター「ロボットにも泣きたい時はあります。この雨は、バイクルの涙でしょう」
 ……うーん、今回、悪い話ではないのですが、スタッフが面倒くさくなってきたのか、 急に2台が人間くさくなりすぎなような。2台が人間くさくなっていくというのは初期構想の一部ではあったでしょうし、 悪くない展開だと思うのですが、ウォルター話が、人間の少女と友達になり、お互いが本当の「友達」という言葉の意味を知る、 という地道に進めて上手くまとめたのに比べると、特急電車で途中駅を5つぐらいすっ飛ばした感じ。
 いきなり「これが恋」というよりは、原因不明のドキドキに悩まされ、色々あって最終的に、「それは、恋だったのかもしれない……」 程度に曖昧な感じぐらいで良かったような……まあ、特警はそういう、ロマンチックにまとめてくれる人材がいない、という難がありますが。
 竜馬さんとか、
 「恋? あはは、ロボットが恋だなんて、そんな事あるわけないじゃないか」
 爽やかに否定しそうだしなぁ(笑)
 最後は、高山の娘を人質にとった真弓を、バイクルが説得、逮捕。クライマックスシーンでバイクルが「ロボット刑事」「ロボット刑事」 と連呼するので、ついK?!とか思ってしまうのは東映特撮繋がりなのか何なのか。

 ※なおこのエピソードは、脚本家の小林靖子がたまたま見て、特撮に興味を抱くきっかけになった話だそうで、そういう意味では、 後の東映特撮に非常に大きな影響を与えた1本。

◆第26話「薄幸少女の旅立ち」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:山田隆司)
 前も書いた気するけど、この手のサブタイトルは東映の伝統芸なのであろうか。なんか長い歴史がありそう。
 屋台のラーメン屋店主・横川は、常連である長浜通商の社長・長浜修三から預かったトランクの中身が麻薬である事を知ってしまい、 それを旧知の刑事である正木に届けようとするが、翌朝、仏となって川に浮かぶ。事故死、として処理されたが、遺された一人娘の幸子は、 父は麻薬の事を知って長浜に殺されたのだ、と正木に訴える。
 「社会福祉団体に多額の寄付をして世間から尊敬されている人が麻薬に関係しているなんて」、 と言う純子さんは数話前に続いて、どうしてそんなに権威に弱いのか(笑)
 「捜査には私情を挟むな」と常日頃から口にする正木ではあったが、刑事時代からよく屋台に通い、 赤ん坊の頃にミルクをあげた事さえある幸子とその父親に関する事件だけに、気持ちが揺れる。
 そんな正木の前に進み出る久子。
 「私にはわかります。その子、必ず長浜の命を狙います。そんな事、絶対にさせません」
 長浜通商に、社長秘書として潜入する久子。
 一方、インターポールから、長浜が麻薬シンジケートの日本の窓口を勤めていた事、 香港マフィアが長浜殺害の為に二人の殺し屋を送り込んだという情報がもたらされ、特警もまた監視をかねて長浜の護衛に付く事になる。
 香港マフィアがわかりやすくて素敵(笑)
 数日後、警備の隙を突き、社長室に突撃をかける幸子。久子に取り押さえられながらも彼女は長浜社長に向け父の位牌を突きつけ、 「位牌に一言詫びろ」と要求するが、あしらわれる。幸子を心配する久子は、翌朝彼女の家を訪れ、 いきなりカバンの中身を道にぶちまける。酷い。カバンの中に隠されていた文化包丁を取り上げる久子さん。一方、 特警の介入により長浜の暗殺に手間取る殺し屋二人は、社長の身辺を探り、幸子を利用する事を計画。 長浜の元に麻薬の取引現場の写真を送りつけるとともに、幸子に電話をかけさせる事で、長浜を誘き出す。
 社長室の秘密回線にかかってきた電話に、社長室を透視・盗聴するデミタス。
 前回、空気気味と書いたデミタスが役に立った! ……というかデミタスは最初から、 女刑事か隠密同心のサポートメカとして絡めておけば良かったような。
 幸子が事件に巻き込まれた事を知った久子は特警に連絡を取ろうとするが、前日、 幸子を取り押さえた手際があまりにも見事だった事から長浜に疑われて正体がばれており、 拳銃を突きつけられて取引現場に同道する羽目になってしまう。
 取引現場で包丁を構え、 おじきの仇じゃあ!! お父さんの仇!」と突撃してくる幸子。 しかしそれは失敗。香港マフィアの殺し屋によって3人はまとめて始末されそうになるが、そこへ駆けつける特警。 久々に登場の対戦車ロケットランチャー! 混乱の中、 長浜は幸子と久子を人質に車で逃げようとする……だがその車には、念を入れた香港マフィアが、 「走り出したが最後、80キロ以下にスピードが落ちると爆発する爆弾」を取り付けていた!
 確保した殺し屋からその情報を聞き、ファイヤースコードで長浜の車を追うファイヤー。 久子に無理矢理に運転させていた長浜は、それを聞いて時速80キロで走行中の車からダイブ。 社長、けっこう凄い(勿論、すぐに捕まりました)。
 負傷した左手で必死に倉庫街を時速80キロを維持しながら走る久子。併走する車から屋根に飛び移ったファイヤーは、 車の下に取り付けられた爆弾を外そうとする……て、え、二人を助けた方が早そうな気がするんですが。
 と思ったら結局、倉庫にぶつかって、車は大爆発。二人はファイヤーの大ジャンプで助けました。 救出シーンが(撮影できるアクションの限界の都合で)爆発のどさくさに紛れるのは仕方ないにしても、 これならファイヤーが無理に車の下の爆弾を外そうとなどしない方が、流れはすっきりしたような(^^; まあ多分、 スーツが地面にこすれて火花が〜みたいな事をやりたかったのでしょうが。
 「さっちゃん! 大丈夫か!」と、最後まで私情むきだしの正木。
 長浜は久子の手によって、銃刀法不法所持・殺人・麻薬取締法違反、で逮捕される。

 ……あるんだ、銃刀法。

 今回はゲストキャラの女の子が割と可愛かった(シナリオに合う容姿だった)事と、久子さんの好演でなかなか盛り上がりました。
 しかし、本部長は一体どれだけ、隠密同心の手駒を用意しているのか。
 なんか久子さんの目に宿る、「この人は他にもキープしているのね……!」的な光で、個人的に妙に盛り上がったり(笑) いや、 普通に犯罪被害者の遺児の共感、という事でいいとは思いますが、私は微妙に正木×久子推奨なので、その観点を交えると、 色々余計に面白かったです。
 さて、次回予告が、なんかおかしい。
 凄くおかしい。
 単に次回がおかしいだけなのか、3クール目開始で驚愕の新展開が始まってしまうのか、読めない所が怖い。

◆第27話「星を呼ぶ百歳美女」◆ (監督:小西通雄 脚本:鷺山京子)
 気のせいかもしれませんが、竜馬さん、少し、髪さっぱりした?
 笛の音にひかれて家を出ていった子供が、謎の女に誘拐されていく事件が4件連続で発生し、困り切った六角が特警本部へと駆け込んでくる。 この尋常ならざる事件に協力して当たる事になったウィンスペクター。誘拐された4人が全て1990年8月5日生まれだった事に気付いて更に調べると、 なんと4人の生まれた病院が半径3キロの円内に集中している事が判明。警察は、その条件に該当する最後の一人を全力で警護する事となる。
 一方その頃、地球にミジー彗星が再接近していた。
 地球上にないミジウムという物質によって構成されるこの彗星は、強力な電磁波をまとっており、 その接近にともなって各地で電磁場の乱れが報告されていた。更に、仮にミジウムを入手する事が出来れば強力な電磁場を発生させる事が可能となり、 各国の研究機関が隕石落下の可能性を虎視眈々と狙っているという。
 ……特警本部の電話が故障するレベルの状況で、バイクルとウォルター、普通に動けるのか?(^^;
 最後の一人を警護する警察だが、謎の笛の音が響き渡るとともに、警官隊は昏倒。 リビングで誘拐犯を待ち受けていた六角と竜馬も思うように体を動かせなくなり、みすみす少年を誘拐されてしまう。
 マドックスの生体データ管理により、笛の音により一種の催眠状態にある事が判明した竜馬。「はやく催眠術を解くんだ!」 という本部からの正木の無責任な発言を受け、必死に外のパトカーに辿り着くと、パトカーから出る謎電波で催眠術を解消、 少年をさらっていった女の車を追跡する。だが……
 KKKみたいなの出てきた!
 謎の覆面集団に待ち伏せを受けるも、これを撃退する竜馬。再び女が笛を吹こうとするが、必殺の笛狙撃。

 催眠術を防ぐが、今度は女が謎の光線を放つ。

 女の名はカルラ(演:高畑淳子!)。
 彼女は、ある目的の為に「乙女座の輝きが最も強く当たる場所に生まれた子供達」を誘拐していたのであった。
 「おまえは見る事はあるまい。この偉大なるカルラが、腐った人間どもを滅ぼし、選ばれし者達の偉大なる帝国を築く日を」
 なんだか大変な事になってきました。
 爆発まで起きる謎念動ビームを浴びた竜馬は吹き飛び、倒れ、子供はさらわれてしまう。
 負傷を押して、特警本部に姿を見せる竜馬。
 「本部長、あの力は?!」
 「中国武術の、“気”、のようなものだ」
 わざわざ竜馬から離れて、“気”のジェスチャーをする正木。
 ついさっきまで、カルラは超能力者、って言っていたのに。
 そして現場に残された笛に刻まれた紋章から、謎の女カルラが秘密結社Qに関わりがある事が判明する。 恐らくその正体は、謎に包まれていた秘密結社Qの総帥!
 更に笛に残っていた指紋を検索したところ、1929年に殺人容疑で指名手配されていた女・深野ミユキのものだという事が判明する。 だが彼女は当時35歳。生きていれば100歳以上になるが、カルラは若さと美貌を保っていた。果たして、カルラとは何者なのか……?
 一方その頃、秘密結社Q。炎の灯る怪しげな空間、覆面の構成員達の前に空から降りてくるカルラ。
 「愚かで醜い虫けらにも劣る者どもは、滅びなくてはならん」
 カルラの計画は、選ばれた子供達の力を用いて、秘儀によりミジー彗星を呼び寄せ、その隕石を入手。 大量のミジウムを手に入れて電磁バリアーを開発。その上で全面核戦争を誘発させ、 自分たちの支配下にある都市だけをバリアーによって生き残らせる事で、選ばれた者達だけによる世界を作り上げようという、 恐ろしいものだった!!
 スタッフ、ノリノリです
 頻繁にこんな事をやられたら世界観ガタガタで興ざめもいい所ですが、27話にしてこの話を持ってくる事で 突き抜けたトンデモ展開として成立し、ここまでとのギャップが、なんかやたらに楽しい(笑)
 その頃、竜馬達は深野ミユキの正体を探るべく、70年前の殺人事件の関係者を探して深い山へと分け入っていた。だが彼の元には、 既にQからの刺客が放たれていた。
 山中で、KKKと戦う変な老人。
 彼もまた気の力を扱い、竜馬達が助ける必要もなく、Qの構成員を撃破してのける。
 70年前に殺された教祖の弟だか高弟だかである老人から、ミユキ=カルラの目的は、教団に伝わっていた秘儀により、彗星を呼ぶ事、 その為に彼女は、宇宙に向けて強力な電磁波を送れる施設を利用するだろう、という事を教わる竜馬。
 早速、国内の電波施設を検証した所、国際通信基地の様子がおかしい事が判明し、竜馬は現場へと急行する。  竜馬達の動きより一足早く、国際通信基地を占拠した秘密結社Qとカルラは、5人の子供達によって念動力を増幅、 更にそれを基地のパラボラに乗せる事で宇宙に気のパワーを送り、ミジー彗星を引き寄せるとともに、損傷を与える。
 周辺地域に落下し、被害を発生させる隕石。
 制止に突入する竜馬だが、カルラの念動力にまたも阻まれる。このままでは、巨大な隕石が落下して近くの街が大被害を受けてしまう!  その時、通信基地の壁をぶちやぶって駆けつける仲間達。隙をついて竜馬はファイヤーへと着化。儀式の水晶を破壊し、子供達を救い出す事で、 カルラの計画は水泡へと帰す。
 「命を無駄にするな、誰であろうと、命の尊さは代わらないんだ!」
 「黙れ!」
 カルラを諭そうとする竜馬だが、70年間、この日の為に修行を続けてきたと言う彼女の妄執はもはや止められない。 念動攻撃に危機に陥るファイヤー。クラステクターの着化タイムリミットも迫る!(どうやら、基本限度5分は改善されていない模様)
 その時、竜馬の脳裏に思い浮かぶ、老人の言葉。
 “逆らえば弾かれる 全てを受け入れる事”
 閃いたファイヤーは、なぜか合掌。
 ノーガード戦法で念動攻撃を回避する。
 「その力を、なぜ、正しい事に使えなかったんだ! 抵抗をやめて、ここを脱出するんだ!」
 カルラの超能力を無効化したファイヤーは投降を呼びかけるが、彼女は聞く耳を持たない。 やがて力の使いすぎからか年齢にふさわしい老婆と化していったカルラは、助けようと手をさしのべるファイヤーの努力も虚しく、 大爆発する研究所の爆炎の中に呑み込まれていく……。
 小西監督の少し古いラインの演出が、トンデモ話とマッチして、予想外に面白いエピソードとなりました。
 トンデモはトンデモなんですが。
 いい変化球。
 こんな事ばかりやられると困りますが、1回限りの裏技みたいな感じ。
 そう思うと、こちらも割り切って楽しめる(笑)

◆第28話「飛べ!優子号」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升)

 レアキャラ、降臨!

 バスの中でマナーの悪い男を注意した事から、老夫婦と仲良くなる香川優子(竜馬妹)。
 香川善一郎・晴子という、老人ホーム暮らしの二人に、苗字が同じという縁もあり、可愛がられる事となる。
 そんな近況を書きつづった優子からの手紙を本部で読む竜馬は、手紙の中に気になる文章を見つける。老夫婦と外に出かけた時、 晴子夫人が、謎の男に襲われたというのだ。妹の割と果敢なタックルもあり夫人は無事だったが男はそのまま逃げ去ったという。
 手紙の内容を聞いて、香川善一郎というのが有名な工学博士ではないかと気が付く純子。
 すかさず解説を始めるマドックス
 油断しているとすぐに出番が無くなるマドックスは、常に口を挟むタイミングを図っています。
 大丈夫、デミタスに比べれば、抜群の存在感だから!
 1年前に国立科学アカデミー所長を退職したという、香川博士。地元警察にはただの引ったくり事件と処理されたが、 正木の指示で念のために特警は周辺を調査する事となり、竜馬と純子は国立科学アカデミーへと向かう。
 博士は太陽エネルギーに代わる可能性を秘めた、夢のエネルギーとして素粒子エネルギーの開発を推進していたが、失敗。 その責任を取る形で所長を辞任していた。辞任に際して各方面に奔走し、一緒に退職する事になった部下の研究者全員に仕事を見つけるなど、 研究者としてだけでなく、人柄も素晴らしい人物であったという。
 その頃、夫妻の暮らす特別養護老人ホーム・グリーンプラザを訪れる優子。
 老人達のアイドル化する優子

  遺産を狙う優子

 やたらハイテンションな老人達は、見た目も派手。
 まあ、大人しくすると絵が地味になりすぎてしまうので、ある程度、コミック的になるのを覚悟で、派手にするしかないのですが。
 善三郎を中心に彼等の作っている小さなロケットを見せて貰った優子。はしゃぐ老人達はロケットに優子号と命名する。 再訪を約束してホームを出た帰り道、優子は善三郎の孫と誤解を受け、誘拐されてしまう。「素粒子エネルギーの方程式を教えろ」 という脅迫電話を受け、呼び出しに応じる善三郎。夫人の頼みを聞き、その後を追う老人達。
 老人達がパトカーでチェイスしている頃、老人ホームを訪れ、事件の急展開を知る竜馬。
 善三郎に話を聞きに来たという所なのでしょうが、あまりに前振りが無くてちょっと唐突な感じになってしまったのは残念。
 その頃、善三郎は優子をさらった犯人の待ち受ける工場内部へ辿り着いていた。
 犯人の名は、新田誠一。博士の元助手であり、国立科学アカデミー退職後に博士の口利きでアメリカの大学の研究員となっていたが、 職場に馴染めず、退職。一月前に日本へと帰国していた。香川博士が実は素粒子エネルギーの研究を完成させていた事、しかしその過程で、 絶大な威力を持つ爆弾を簡単に作成できる方法を見つけてしまった事から、研究の全てを封印して破棄した事を知っていた新田は、博士に、 その方程式を教えるように迫る。
 「さあ、大事な孫の命が惜しければ、あの黒板に素粒子エネルギーの方程式を書くんだ!」
 黒板?
 ……ホントだ、よく見ると工場内部に黒板用意しているよ新田(笑)
 やむなく黒板に方程式を書き出す香川博士。
 デジカメとか無いので、新田も新田で、この後、大変そうです。
 そんな新田へ、博士を追ってきた老人達が鉄パイプで襲いかかる。優子の解放に成功し、 逃げ出す老人達へ向けて新田は銃を乱射。流れ弾が工場に放置されていた薬品に引火し、大爆発。とここはお約束。 崩れてきた鉄骨を老人達が支えているのが凄いですが(笑) 外から老人の一人が浮き上がらせた大量の風船に気付いた竜馬が、 現場に急行。バイクル・ウォルターと共に工場の延焼を食い止め、新田を逮捕、老人達と優子の救出にも成功するのであった。
 ……この兄妹はホント、久々の再会ですね(^^;
 優子役の子が、当時、売れっ子の子役だったりしたのかなぁ……? 或いは、学業とのスケジュール調整を失敗したのか。 大人の事情を考えたいレベルで、出番無かったからなぁ、妹。千葉に住んでいるという設定も良くないですが。むしろ、 最初からあまり出す気が無かったから、千葉在住なのか。
 ぶっ飛んだ前回とのバランスもよく、適度にまとまった意外といい話でした。
 主人公妹と老人達の交流が軸、などというエピソードを面白く展開できるのが、今作のいい所。
 …………で次回、よ、妖怪?!
 なんかインカムへの叫び方が「行け、ザ○ーガー!」みたいだけど(笑)

◆第29話「昆虫採集の妖!?怪」◆ (監督:小笠原猛 脚本:高久進)
 剣山で遭難事件が発生。救助へ向かったウインスペクターは、洞穴で倒れていた二人のサラリーマンを保護する。その頃、 剣山近辺の相沢村で昆虫採集をしていた六角と良太が、どこかで見たような巨大な鳥と、謎の妖婆に襲われる。 良太のカバンに潜り込んでいたデミタスからの「相沢村にお化けだ!」という緊急連絡を受け、村へと向かう竜馬とバイクル、ウォルター。 倒れていた二人を助けた竜馬達は、たった一人で村に暮らす宮部徹という男と出会う……。
 鬼婆伝説の残る村、黒マントの鬼女、次々と襲われる特警……夏のホラー祭、というほど怪談展開にはならなかったものの、 如何にもな夏休みエピソード。
 なぜ怪談にならなかったかというと、暗躍する黒マントの妖怪婆よりも、 ロボットの癖に催眠電波に洗脳されて襲いかかってくるバイクルの方が怖いから(笑)
 後、そんなバイクルをさくっと射撃して活動停止に追い込む竜馬さん
 最終的には、熱心な自然保護者である宮部が、鳥や妖婆を村に近づく人間にけしかけていた事が発覚。
 「自然を荒らす奴を許すな、殺せ! 殺せ!」
 環境テロリスト、怖い。
 妖婆の正体は、突然変異で巨大化した人面コウモリ……って、コウモリで済むか、という巨大さ(人間大着ぐるみ)なのですが、 鳥もコウモリも、死んでしまった後に宮部がメカ化して操っていた事が判明。 突然変異の巨大生物はやっぱり無理があるだろうと適当に理由をつけたらその科学力の方が無理があるような、 というありがちなダメ設定(^^; 両方ともファイヤーにざっくり撃破され、宮部は逮捕されて事件は解決する。
 最初から最後まで、軽い夏休み回、といった具合のエピソードで出来悪し。

◆第30話「ママ…ママ助けて」◆ (監督:小笠原猛 脚本:荒木憲一)
 メ○モちゃん メ○モちゃん メ○モちゃんが持ってる 赤いキャンディー 青いキャンディー 知ってるかい
 自動車事故で瀕死の重傷を負った3歳の立花エミコは、その命を救う為に未完成の電磁細胞活性化装置で治療を受け一命を取り留めるが、 装置の作用によって急速に成長、3歳の知能のまま、見た目だけ7歳程度になってしまう。更に成長は加速し、 激しい頭痛とともに肉体が13歳程度にまで育つエミコ。このままでは、未完成の装置の作用で細胞の急速な老化が進み、 彼女はあと数時間で死んでしまう。ふとしたきっかけで、見た目7歳時のエミコと知り合っていた久子は、彼女を救う事が出来るのか?!
 珍しくロングスカートで、ちょっとお洒落ファッションの久子さんが可愛い。
 以上(待て)

 ……失礼。
 見所は、

 さらっと女子トイレに侵入する竜馬さん

 ……げほごほ。
 謎の少女にエミコちゃんの面影を見た久子さんがショッピングセンターのトイレを探るシーンで、しれっと一緒にいますよ竜馬さん。 いや、警察手帳を提示してから中に入ったのでしょうけど。凄く平然としているのが、さすがは我らがウインスペクター隊長。
 断片的な手がかりをつなぎ合わせた久子の突拍子もない推理から、姿を消した謎の少女が全て同一人物であり、 行方不明のエミコなのではないかと推測した特警は、成長促進の研究をしている研究所をリストアップ。その一つ、 パレス化成の研究所所長が、自らの罪を告白する……。
 しかしまあ、事の発端(交通事故の原因)が、母親が坂道でベビーカー放置なのが、なんともかんとも。 転がってきたベビーカーを轢いてしまった所長達が、そのまま3歳児をさらって電磁細胞活性化装置にかけてしまうのも、 もちろん問題ですが。
 所長は細胞の老化を防ぐ為に、エミコちゃんに逆の電荷をかけようとしていたが、エミコちゃんが研究所から失踪。 事ここにいたって警察に連絡しようとした所長だが、それを知った部下の二人(一人は広瀬匠!)が裏切り、 機械を持ち逃げした為に困り果てていたのであった。一方、助手の二人はエミコが立花家に戻っているであろうとアタリをつけて彼女をさらうと、 証拠隠滅の為に彼女を放置する事でその抹殺を図り、機械を持って海外へ逃亡を企む。
 エミコが体に帯びている電磁波を手がかりに、彼女を発見し突入する特警。パイプ椅子を振り回して久子さんに襲いかかる広瀬匠!  二人を逮捕すると共に機械を取り戻し、細胞の老化によって老けメイクになったエミコが死亡する前に、 所長の尽力もあり彼女を元の3歳児に戻す事に成功するのであった。
 お約束の工場炎上こそするものの、レスキュータイムリミットを、細胞老化による幼女の死亡、と持ってきたのは新しくて面白い所。 回路の一部がショートしている機械を動かす為に、ファイヤーが手を突っ込んで「僕の体を送電線にして電気を流します!」という所は、 演出の持って行き方で、もう少し格好良くなった気がするので、微妙に盛り上がりそこねたのが、少し勿体ない。
 ラストでは、エミコちゃんが無事に元に戻ってにこやかに終わらせていますが、ウインスペクター的に、 所長は逮捕だなぁ。  自動車運転過失致傷、未成年者略取、殺人未遂辺りは固いか。
 まあ車を運転していたのは所員だろうし、自動車事故の過失責任に関しては坂道でベビーカーを放置したエミコ母のものも認められそうなので、 結果的に被害者の生命を守ったことから、多少の減刑はされる……かもしれませんが。あと、裁判を通して保護者の責任問題に発展して、 立花家の夫婦関係とかがドロドロになりそうで、関係者の行く末を考えると、とてもブラック。
 シリーズ初参加の荒木憲一は、この辺りがデビューかなと思ったら、デビュー作は『仮面ライダーBLACK』との事。 メインライター杉村升の弟子筋なので、弟子にゲストで1本、という所かと思われます。 細かい辻褄はかなり苦しいものの(知能は3歳児の筈なのに、服を万引きして成長に合わせて着替えるエミコとか)、 明確な悪人が最初に居るわけでなく各人のやむを得ないその場しのぎが幾つか交錯して犯罪になってしまうというのが意外と新機軸で、 それなりに楽しめたエピソードでした。
 しかし最近、明らかに久子さんの方が純子さんよりヒロイン係数高いなぁ。
 次回、いよいよパワーアップ展開?!

→〔まとめ6へ続く〕

(2012年7月6日/7月7日/2014年5月4日)
(2019年7月21日 改訂)
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