■『特警ウインスペクター』感想まとめ4■


“人の自由は羽より軽い 生きる権利は鉄より重い
それがわからぬ奴等には 燃えるハートでぶちかませ!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特警ウインスペクター』 感想の、まとめ4(19〜24話)です。登場人物など紹介を付記。また文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。 日記掲載時にいただいたコメントが感想に反映されている箇所もあります。ありがとうございました。

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◆第19話「愛と勇気の父子橋」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
 元刑事の父を持つミキオ少年は、母親が既に亡く、父親が正面から構ってくれない寂しさもあってか、近所でも有名な嘘つき少年で、 クラスメイト達からいじめられていた。そんなある日、ミキオは世間を騒がす連続押し込み強盗の現場を見てしまう。 犯人の足下しか見ていなかったにも関わらず、元刑事の父親への思いから、「顔を見た」と言ってしまうミキオ。現場の野次馬に紛れていた犯人は、 ミキオと刑事の会話を聞き、彼の命をつけ狙う……。
 「部下を負傷させた犯人を取り逃がしたために解雇された」という事になっているミキオの父、森田英夫の姿を見て、 「息子が息子なら親も親」と本人達を目の前に口走る六角刑事がけっこう酷いのですが、さすがに竜馬さんに怒られました(笑)
 実は英夫が犯人を取り逃がしたのではなく、油断して負傷した上で犯人に逃げられた部下の責任を取る形で、 自ら辞表を提出していたのだが、事情を聞いて手出し口出ししたそうな竜馬に、「親子の問題だから」と釘を差す本部長(笑)
 一方、ミキオ少年がビルから突き落とされそうになって間一髪で助かり、特警を訪れた英夫は、 もう一度自分の息子を正面から向かい合う為にもと、自ら息子と共に囮になる事を願い出る。
 が、本部長、拒否る。
 今日の本部長は、割とドライ。
 まあこの方が、偉い人らしいのですが。
 いくら元刑事でも、ほいほい民間人を囮に出来るわけもなく、竜馬さんにもほだされません。
 もっとも、元刑事であり刑事時代を知っている英夫が簡単に引き下がるとは思わない、と竜馬らにフォローを指示。
 ……まあ、英夫がどうしようが、犯人はミキオを狙ってくる事は間違いないので、誰が何をどう思おうが関係なく実質、 囮です。

 拒否ったのは、建前というやつです

 言質を取られると、後で、色々、まずいから、主に法的に。
 そんな正木の黒い思惑はともかく、犯人を誘き出そうと、山深い渓流地帯に、釣りへ出かける森田親子。
 アウトドアルックでそれとなく追う竜馬と純子だったが、事件現場で犯人に顔を覚えられており、刑事である事を気付かれてしまう。 ハイキング中の親子連れに襲いかかる犯人。悲鳴を聞きつけた竜馬が駆けつけると、そこに合ったのは、 悲鳴を録音したテープレコーダーだった!

 竜馬が身を翻すよりも早く、足下・大爆発

 吹き飛ぶ竜馬。
 爆発を聞きつけて竜馬を追った純子は、川岸で倒れる親子連れを発見。駆け寄った所を、狙撃を受けて負傷する
 ……何者ですか、犯人。
 あれか、外人傭兵部隊とかに居たのか。
 あわやという時に森田親子が現れ純子は助かるが、今度は当然、森田親子を追う犯人。
 森田親子は、囮になるのはいいけど、ただ逃げているだけで、どうするつもりだったのか凄く謎。結局こちらも、 多分なんだかんだ言って特警が助けに来てくれるよね、と考えていたとしか思えません(^^;
 あぁ、オトナのやり取りは汚い。
 更に救援に駆けつけたウォルターをダイナマイトで吹き飛ばした犯人は、森田親子を吊り橋に追い詰める。 以前に犯人にビルから突き落とされそうになった経験から、高所へのトラウマで恐慌状態に陥るミキオ少年。英夫は犯人に挑みかかるが、 簡単に蹴散らされてしまう。……いやホント、囮になってどうするつもりだったのか、父。息子の命もかかっているのだが、父。
 危うし森田親子、という所で、爆発を何とか切り抜けていた竜馬が「着化」して登場。眼下にダイナマイトを投げまくる犯人。
 今日は無駄爆発。
 最後は復活したウォルターが犯人の隙をついて少年を助け、犯人がまとめて吹き飛ばそうとしたダイナマイトはファイヤーが高速移動により空中で爆発させ、 吊り橋の破壊を回避。久々の飛行アクションなど、各キャラクターの持ち味が発揮されたアクションシーンとなりました。
 難を言えば、最終的に父の呼びかけで高所へのトラウマを克服しただけで、父と子の再生が、犯人の逮捕劇とはほぼ関係なかったのが、 残念。親子仲は修復されたようですが。ここは少年が吊り橋の上で立ち直るのが犯人の隙を突くとか、父の気合いと愛情が犯人を怯ませるとか、 そういう展開を入れてほしかったところ。
 父、追い詰められて自棄になった犯人が、ヘリを用意しないなら吊り橋ごとまとめて爆破してやる、 というのに対して「本当に覚悟できてるならやってみろ!」とか煽るのですが、 その煽りは犯人の逮捕に特に繋がっていないので、やはり何も考えていないようにしか見えません(^^;
 父の台詞の後で、下から飛んできたウォルターが犯人の足を掴んで捕まえるのですが、いまいち、犯人の気が父親に向いた、 という絵にはなってはいず、シナリオ上はそのつもりだったとしたら、演出的に失敗。
 というわけでちょっと詰めが残念でしたが、犯人と目撃者ネタに、親子の情愛と再生を絡め、 刑事ものの定番を押さえながら無駄に爆発を引き起こす犯人、と実に『ウインスペクター』らしい1本。
 まだ特に伏線とかもないけど、その内、竜馬さんと親の話とかもあるのかなぁ。
 竜馬さんは微妙に親子ネタに食い付きがいいので、ただのヒーロー属性ではなく、出来れば踏み込んだ背景が欲しい所。

◆第20話「熱いKOパンチ!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
 久子の喫茶店に飲み物を納めている相沢酒店の青年・相沢圭二は、久子に好意を持っているが、正面からデートにも誘えないぐらい、 不器用で気弱。せっかく用意したコンサートのチケットも手渡す事が出来ず、カウンターに置いて逃げるように店を出てしまい、 良太に励まされるぐらい。
 ここで良太に軽くパンチされるも弾き返す鋼のボディ、と伏線が入っているのは秀逸。
 あと、久子さんの喫茶店に竜馬以外の客が入っているのを、初めて見た気がします(笑)
 それにしてもコンサート、ベルリンフィルとは奮発したなぁ……と思って一時停止して確認したら、 なんとサントリーホールA席! 23,000円!
 えーとそれはあれだ、初デートに誘うには、ちょっと重いぞ相沢。
 映画ぐらいにしておけ相沢。
 誰の入れ知恵か知らないが、値段で縛るのはどうか相沢。
 そんな相沢はある夜、飲んだ帰りに素手のパンチでATMを破壊するという強盗を発見。取り押さえようとするが、 アッパーカット一発でノックダウンされてしまう。
 相沢が見たのは、最近世間を騒がしている連続現金強奪犯であった。覆面姿で青白い光を放ち、 素手のパンチでATMを破壊するという凄まじい手口だが、逮捕に繋がる決定的な手がかりは見つかっていない。 改めて目撃者の証言を集めに動いた特警は、久子から、最近相沢の様子がおかしく、ボクシングジムに通いだしたらしい、という事を聞く。
 その相沢が出したと思われる、新聞の3行広告を見た竜馬は、相沢の通うボクシングジムに向かう。  あくまで白を切る相沢にいきなり不意打ちでパンチし、その回避と反撃の動きから、 「昨日今日始めたボクシングじゃない」と問いつめにかかる竜馬さんが、ちょっと格好いい。
 実は高校時代はボクシング部だった相沢、強盗に受けたアッパーカットが高校時代のライバルのパンチだったと確信し、体を鍛え直し、 彼を止める為に新聞広告で挑戦状を出したのだった。果たして、約束の日、相沢の前に、かつてのライバル成田が姿を見せる。
 「目を醒ますんだ!」と言いながら、なぜか後ろから殴りかかる相沢(おぃ)
 しかしその一撃は交わされ、反撃でダウン。待機していた特警は成田を囲むが、成田がベルトの装置のスイッチを押すと青白い光が彼を包み、 そのパンチの一撃でバイクルとウォルターを瞬殺。
 冒頭のATM破壊だけでも充分に異常ですが、ここで弾除け能力の高いバイクルとウォルターをパンチ一発で撃破する事で、 成田のパンチ力の凄まじさが補強されるという展開は秀逸。
 更にそのパンチには威力だけではなく電子回路がショートするという副次的な要素もあり、 竜馬は急ぎバイクルとウォルターを運んで特警本部に撤退する事になる。バイクルとウォルターの被害から判明したのは、 成田が全身を電磁バリアで覆っている事。その為に、拳にまとった電磁波が電子回路をショートさせたのであった。
 この事から一人の男、電磁バリア研究の第一人者・兵藤博士の名前が捜査線上に浮かび上がる。
 「彼の研究目的は、強力な電磁バリアで全身を包み込んだ、世界最強・無敵の兵士軍団を量産する事です」
 ……待って!!
 マドックス、凄くさらっと言っているけど、ちょっと待って!!

 どれだけこの世界の日本は、世紀末救世主伝説なのか。

 だが、兵藤博士は2年前に事故で死亡している……筈だった。
 「いや、表向きは亡くなった事にして地下へ潜り、密かに研究を続けていたとしたら……」
 斜め上の推論に飛びつく正木。
 どうして、地下へ潜る必要があったのか
 聞く限り、滅茶苦茶オープンに研究していたのに
 一方、プロボクサーを目指していた成田は、半年前に右目の視力を落としてボクサーの道を断念、荒れた生活を送っていた事がわかる。
 道を踏み外した成田は兵藤博士にスカウトされて研究に協力、研究費用を集める為に現金強奪を繰り返していたのだった。
 「この私に魂を売ったのだ、忘れるな!」
 とか、マッドサイエンティストが出てくるのそういえば久しぶり?  バイクルとウォルターの修理を終えた特警は、博士の根城を探し出すべく、電磁バリアの痕跡を追って捜査を開始する。
 その頃、久子は相沢から、成田にまつわる過去の事情を聞かされていた。
 話を聞いて、今まで「ただの不器用で気の弱い男」だと思っていたと、 眼中になかった事を明言。ヒドイ。まあ、私の中では久子→正木なので、こういう反応が妥当なんですが(笑)  正木かどうかはともかく、久子さんはファザコン気味の年上好きだと思います。小学生の弟抱えて喫茶店経営と隠密同心などしているので、 包容力と生活力のあるタイプでないと。
 ところでゲストキャラの相沢は、爽やか系のいかにもスポーツマンな二枚目で、元ボクシング青年という役柄に非常に合っているのですが、 仮面ライダーとかに変身しそうな顔だよなぁと思ったら、むしろもう変身していました。ジライヤでした。世界忍者戦でした。
 対する成田も似た感じの二枚目でちょっと見た目被り気味なのですが、こちらは調べた限りでは特にそういうお仕事なし。
 今作はドラマ重視という事もあって、序盤からゲストキャラの配役には力を入れているのですが(特撮における常連キャスト、 とはまた違った意味で)、今回は特に、いかにもな好青年役がはまるゲストとなりました。
 そして遂に兵藤のアジトを発見し、突入するウインスペクター。珍しく、敵アジトに乗り込む前に着化する竜馬。
 バイクル、久々に地面を走る……が、役に立たず。
 謎の射撃武器を操る博士に今日も苦戦するバイクルとウォルターですが、やっぱり対人戦闘では普段はリミッターかかっているのでしょうか。 死神モスのアジトで大暴れした時は強かったしなぁバイクル。
 博士を置いて逃げ出した成田も、電磁バリア発生装置をファイアーに破壊され、追い詰められる。そこへ駆けつける、正木、純子、久子、 そして相沢。久子の頼みもあり、ファイアーは成田との決着を、相沢に任せる。
 川辺で殴り合う二人。
 「何が反則だよ、ボクシングやってんじゃねえんだよ」
 「ボクシングだよ、ロープもマットもグラブもない。けどさ、俺達今、リングに立ってるんだよ」
 というわけで
 ラスト2分あまり、ひたすら川の中で激しく殴り合う男二人
 最後はダブルノックダウン。
 いや、『ウインスペクター』らしくて、好きです、これ。
 やりすぎるとあれですが、変身アクションを早めに終わらせて、男二人の友情の殴り合いで決着つけるとか、実にらしい。 時々こういう変化球を作風に合わせて入れてくれるのは、嬉しい。加えて、ここまでドラマをしっかり積み重ねているので、 それが成立しているというのが、素晴らしい。
 吹っ切れたのか、川の中に倒れながら、笑い合う二人を見て、「これで成田も立ち直れるだろう」と、呟く正木。
 そして
 「彼等は信じた。熱い友情が、成田アツシの人生の第二ラウンド開始のゴングを打ち鳴らすに違いない」
 というナレーションでオチ。
 …………あ、あれ?
 流された!
 超流された!!

 23,000円の行方は?!!!!

 2分も殴り合っていたから(OP・ED含めて24分程度の番組の2分は長い)、恋ネタのオチをつける時間が無くなったのか、 フられるシーンを描くのが忍びないから、殴り合いが長くなったのか(笑)
 相沢酒店の明日はどっちだ?!
 パワーアップ展開を挟んでの2クール目に入って、少々後半のバタバタしたエピソードが続いていましたが、 変則パターンにする事でアクションシーンがすっきりし、シナリオもまとまった良エピソードとなりました。
 ところで竜馬さんは、スーツが重いのか、暑いのか、蒸れるのか、ヘルメット外して顔だけ出している時に、 凄い疲れた顔している事があるのが、気になります。今回はちょっと、顔色悪かった気がする。
 ――次回、とうとう女刑事回!
 しかし予告が盛り上げている時は要注意だ!

◆第21話「涙に散った銃弾!」◆ (監督:小西通雄 脚本:山田隆司)
 深夜の無言電話に悩まされる純子は、寝不足から体調不良に陥っていた。そんな時、宝石店で立て籠もり事件が発生、特警は現場へと急行する。 立て籠もり犯・森川は、近所のラーメン屋から出前を要求し、「持ってくるのは、おたくの美人隊員の藤野純子だ」と指名する。
 え、えーーーーーーーっ?!(おぃ)
 純子さん、雑誌や新聞で特集されたり、アイドル並の扱いらしいですよ?!
 まあ、本部長−男−ロボット−ロボット−女−眼鏡、と来たら、女刑事にスポット当たるのもむべなるかな、という気はしますが、 以前から何度か気にしていますが、特警はSPとかSAT的な感じで隊員の個人情報を伏せなくていいのか……。ロボットなどを扱っている分、 市民の理解を得るために積極的な広報も必要ではあるのでしょうが……竜馬さんの正体を伏せる為に、純子にはむしろ積極的にPRさせているのかしら。
 犯人の要求を受け入れた正木は、怪我をした警備員の治療を名目に看護婦を同行させる事を承知させる。というわけで、 隠密同心、ナースコスプレ。そういえば意外と、こういうコスプレ展開は無い。
 オカモチに小銃を隠し、隙を突いて犯人に銃を突きつけた純子だが、そこで立ちくらみを起こしてしまう。 咄嗟に純子をかばった久子が犯人に撃たれ、負傷。そこへ外で待機していたウィンスペクターが突貫。犯人逮捕には成功するが、 久子もまた重傷を負って病院に運ばれる。同様に犯人に撃たれて負傷した警備員の女を、妙に気に留める竜馬。
 多分ここで竜馬さんが何か違和感を覚えていて、後で戸川への疑念を補強する解説のシーンがあったのではないかと思うのですが、 撮影段階では撮っていたけど、編集時にカットされたような感じ。……まあ単に、竜馬さんの好みだった、 という可能性もありますが!
 こうして事件は解決したかに思われたが、どさくさに紛れて、店から高価なダイアの指輪が盗まれていた事がわかる。 森川は指輪を盗んだ事に関しては否定。他に可能性があるのは負傷した警備員の女・戸川弓子だけだが、 彼女の荷物からは指輪は発見されなかった。店からの信頼も厚く、1年前までは神奈川県警に勤めていたという弓子は一度は捜査線上から外れそうになるが、 ひとり竜馬は、森川、戸川、そして特警に配属される前は神奈川県警に居た純子の間に見えない糸が存在するのでは、と戸川の家に踏み込む。
 一方その頃、己の致命的なミスにショックを受け、久子を見舞った病院でも良太からきつい言葉を浴びせられた純子は、 本部長に手帳と拳銃を返納し、辞表を提出する。
 隠密同心、呼吸器まで付けてベットに横たわっているのですが、肩撃たれただけの割には、随分と重傷だな……。
 ダムダム弾かなんかだったのでしょうか。
 戸川の家に踏み込んだ竜馬はそこで、壁にかけられたダーツ板に貼り付けられてダーツで穴だらけの純子の顔写真(お約束)、 純子を特集した記事の切り抜き、純子の電話番号がチェックされたタウンページ(に載せているよ!)、などを発見。
 また、マドックスなどの調査により、森川と戸川が高校の同級生だった事。かつてフリーピストルでオリンピック候補だった戸川が、 神奈川県予選で純子に敗れ、その夢を絶たれていた事などが次々と明るみに出る。戸川はその後、勤務中の運転不注意で女の子を轢いてしまい、 警察を退職。更にその時の怪我が元で利き腕の神経を痛め、自分の人生を滅茶苦茶にした女として純子を逆恨みしていた。全ては、 戸川の純子への復讐だったのだ!
 その時、戸川が病院から脱走したという連絡が入り、海外への高飛びを目論む戸川を阻止するべく、動き出す特警。竜馬は無言で、 純子が置いた拳銃を彼女の手に握らせる。
 ここでOPがかかるのが、超格好いい。
 今週は女刑事回ではあるのですが、終始、竜馬さんが格好いい。
 半ば錯乱状態の戸川は、車で逃走中に小学生女児を人質に取り、工場地帯へと逃げ込む。
 「我々の銃は、けっして犯罪者を撃つものではない。犯罪者の心に棲む、悪を撃つものだ」
 本部長の言葉、意識を取り戻した久子からの連絡などもあり、再び銃を手に取った純子は戸川との対決に打ち勝ち、無事に女児の救出に成功。
 ……ファイヤースコードはすっかり、ケミカルディスチャージャー係だなぁ(笑)
 今回は、完全に正統派の刑事ドラマ。
 1時間ものの刑事ドラマを綺麗に30分にまとめた、といった感じ。
 よくよく考えると戸川の行動はだいぶ滅茶苦茶なのですが(指輪一つ盗んで高飛びしてどうするつもりだったのか、 現場で偶然が重ならないと純子への復讐にならない、など)、テンポよくドラマを積んだ事と刑事ドラマのお約束を踏まえる事で、 表向きあまり破綻した感じにはなりませんでした。
 次回予告が妙に盛り上げていると外す、というジンクスが破られて良かった(笑)
 で、今回の次回予告。
 「その時……何かが起こったぁ」
 ……なんか、ナレーションがおかしい(笑)

◆第22話「殺人犯は二度死ぬ」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升)
 派出所を襲撃し、警官から拳銃を奪おうとする黒尽くめの男。あわやという時、警邏中だった同僚の警官が戻ってきて、
 いきなり撃った!
 威嚇射撃もしないよ(^^;
 その頃、甥っ子のトオルを一日預かる事になった六角警部は、典型的なイタズラ坊主のトオルに振り回されていた。 そこに派出所襲撃の報が入り、甥っ子をバイクルとウォルターに任せて六角警部は出動するが、その際、 トオルがイタズラで玩具の銃と本物の銃を取り替えてしまう。それに気付かぬまま捜査に出た六角は、 行き合った犯人を逮捕しようとするが犯人の指からビーーーーーームを受けて負傷。更に、 介抱してくれた白衣の男に「甥っ子に玩具の拳銃と取り替えられた……」と譫言を漏らした上に、 手帳とそこに挟んでいた甥っ子の写真を犯人に奪われる(悪ガキに馬鹿にされながらも、そんな甥っ子の写真を手帳に挟んでいるのは、 ちょっと微笑ましい)。
 一方、トオルを見失っていたバイクルとウォルターは、病院の六角から事情を聞き、慌ててトオルを捜し出す事に。 ここで理性的なウォルターが本部に事情を説明しようとし、人情派のバイクルがそれを止めようとする、というのは。今回の数少ない、 良い所。結局バイクルがウォルターを説得し、二体は他の誰にも知られない内にトオルから拳銃を回収しようとする。
 派出所襲撃犯の名は、三島。数ヶ月前に銀行強盗を起こして行員3人を殺害、警官隊の激しい銃撃を浴びながらも、 行方をくらましていた男だった。
 この事件の際に瀕死の重傷を負った三島は、堺博士(六角を介抱した白衣の男)に拾われ、 ついサイボーグに改造されちゃっていたのだった!  目が醒めたら指からビームが出せるようになっていたのはともかく(ともかく?)、 手首からドリルに怒る三島。そんな三島を「君の命を救う為には仕方なかった」となだめながらも、 引け目からか彼の行動に消極的協力をする堺博士。
 強盗事件の際に10発もの弾丸を撃ち込まれた事を恨み、“警察の拳銃により警官に復讐する事”にこだわる三島は、 トオル少年を探し出して誘拐、六角の拳銃を手に入れる。この際、超たまたま、誘拐現場をバイクルに見られたりとか、 今回はもう展開が滅茶苦茶。脚本もガタガタですが、場面の繋ぎなども色々おかしくて、酷さにより拍車がかかっています。
 事ここに至って、病室を訪れた本部長らに、全ての事情を説明する六角。そこへかかってくる三島からの電話。トオルを救う為、 指定の場所へ向かう竜馬に襲いかかる、指からビーーーム
 拳銃で復讐するんじゃなかったのか?
 色々あって、トオル少年の救出と拳銃の回収に成功。そして堺博士の口から語られる恐るべき真実!  瀕死の重傷を負っていた三島の体は、博士が拾った時点で既に脳に障害が発生しおり、三島は一部をサイボーグ化したどころではなく、 脳まで電子頭脳に交換された「おまえは人間じゃない。ロボットだ」ったのだ!  調整不足?から激しい頭痛を引き起こし、壁に頭部を打ち付けた三島は、自分の額から流れ落ちるのが赤い血ではなく、 茶色のオイルである事に愕然とし、暴走しながら博士と共に落下。ファイヤーが博士を救い出すも、三島ロボットは地面に打ち付けられ、 動きを止める……。
 博士はしっかり逮捕されました(笑)
 まあこの博士、見た目善良そうだけど、どう考えても物凄い悪人だしなぁ。
 ラストは拳銃を無事に回収した六角がトオル少年の尻を叩き、正木がバイクルとウォルターに「おまえ達にも尻叩きの罰だな」 「あはははは」「ははははは」と和やかに笑って大団円………………って
 それでいいのか。

 物凄い不祥事で、六角の免職どころの騒ぎではないと思うんですが。

 夕方のトップニュースに始まって、2週間ぐらいはワイドショーなどで特集とか組まれそうです。

 警察組織全体の問題になるので、揉み消したな、マ サ キ。

 これで次回から、何も言わずに六角(元)刑事が酒屋でアルバイトとかしていたら凄いけど(笑)
 うーんしかし、ここまで積み上げてきた『ウィンスペクター』世界のリアリティから大きく外れてしまって、非常に残念。 脚本的にも演出的にも、展開も滅茶苦茶でしたし(^^;
 ……ただ今回、ゲスト悪役が大友龍三郎(当時:大友竜三郎)で、 個人的には凄く楽しんでしまいました(笑) 
 後の大神博士でゼロ卿でドルネロ様が粗暴犯役とか、声、超格好いい。
 本編そっちのけ、というか、本編はどうしてこうなったレベルの頭の悪い話でしたが、 杉村升も折角評価上昇中なのにこんな事をしてくるから油断なりません(^^;
 上からの要望で路線変更、とかで無ければいいなぁ……。
 次回、『特警vsビオランテ』、の予感。

◆第23話「父のマンガはがき」◆ (監督:小笠原猛 脚本:鷺山京子)
 山間を行く1台のトラック。コンテナの冷蔵庫の不調と、荷台での怪しげな物音。道ばたで車を停車して荷台を確認した運転手は、 収められていたドラム缶の中から伸びた植物の蔓に囚われ、コンテナの中に呑み込まれる。運転手のポケットから落ちる、一枚のハガキ。 助手席の男は慌てると運転手を見捨て、トラックの扉を閉めると再び車を走らせる……。
 その頃、ヒッチハイクをしようとしていた少年を見てパトカーを停めた竜馬は開口一番、「ぼく、警察なんて大嫌いだ!」と言われるが、 ジュースとパンで懐柔に成功。事情を聞くと、行方不明の父を捜しているという。 少年の言葉を頼りに彼の父を捜すのを手伝う竜馬だが、その行方は知れない。少年を家へ連れて帰るとその母親は 「主人は北海道へ出張していると研究所から電話があった」と言う。だが少年は、父が欠かさず出張先から送ってくる、 特徴的なマンガ絵の描かれたハガキが今回に限って届かない事から、父の身に何かが起きているのだ、と主張する。
 特警で事情を説明すると、「ベム・ケミカルは一流企業。それが出張だって言ってるんだから」と、純子さんが冷たい(笑)
 本部長の許可を得て捜査に乗り出す竜馬だが、ベム・ケミカルではやはり、少年の父親(相川)は北海道に出張中だという。 連絡を取ろうとしたが、移動中で取る事が出来ない。
 実はベム・ケミカルでは、研究の過程で出来た産業廃棄物から、動物に寄生して増殖する奇怪な植物を生み出してしまっていた。 会社はそれらを秘密裏に海へ投棄。相川はその途中で、冷蔵庫の故障から活動を再開した植物に囚われ、 所長の指示でトラックごと廃工場に隠されていたのだった。
 えーとまず……人間を襲う(というか、肉の切れ端からも花開いていたので、タンパク質などを栄養源にしている、のか?)バイオ植物が、 産業廃棄物というのはいったい。
 そんな産業廃棄物の出る研究、なぜ続けているのか(^^;
 それから、所長さんは相川入りのトラックを隠して、この先どうやって誤魔化すつもりなのか
 とにかく、ベム・ケミカルの人が色々と杜撰。
 せめて、産業廃棄物として謎のバイオ植物を生んでしまう研究が会社(社会)にとって極めて価値が高い為に止められない、 という設定でも入れば良かったのですがそこが描かれない為に、非常にバランスが悪い。
 川岸でのバーベキューパーティが謎の植物に襲われた事件などもあり、ベム・ケミカルの暗部を知った特警は、相川の居場所を突き止めるべく、 少年に、父からハガキが来た、という演技をしてもらう。トラックの中に閉じこめた筈の相川が逃げ出したのではと脅えた助手席の男と所長は、 トラックを隠した廃工場へ。
 というか、中から相川さんの声が聞こえているのですが助けてあげて
 とりあえず助けだして便宜を図って口をつぐませた方が色々と安上がりだと思うんですが。
 それが出来そうになくて口封じの為に抹殺する気なら、早くすればいいし。
 終始、この人達が何をしたいのかわかりません。
 相川の存在を確認した所長は、何を思ったのか、トラックの丸焼きを決意。同行していた男も、 産業廃棄物の不法投棄を繰り返していた事を知られるのを恐れ、所長の指示のまま、トラックに火を放つ。
 そこへ駆けつける特警。
 火にあぶられて高温で活性化したバイオ植物とのバトルなどあり、相川を無事に救出。相川さんは何日放置されていたのかわかりませんが、 花に寄生されてはいなかったようで、冷温で植物が活動停止していた為、低体温と栄養失調……雪山で遭難していたような感じか?
 所長達を「廃棄物不法投棄と殺人未遂で逮捕する」と言う所は好き。
 科学の暴走と産廃問題に切り込み、1話で置いたテーマ性と絡めた所などは悪くなかったのですが、いかんせん、 ベム・ケミカル側の行動が支離滅裂すぎました。プロット自体は悪くなかったので、 もうちょっと丁寧に描けば面白くなったような気がするのですが、残念。

◆第24話「私のピーコちゃん」◆ (監督:小笠原猛 脚本:高久進)
 六角刑事・復活
 懲戒免職くらわなかったようで……半年後ぐらいに地方の閑職に回されてひっそりとフェードアウトコースか。
 駐車場で暴走族が撃たれる狙撃事件が発生。現場に急行した特警は、狙撃ポイントとおぼしきビルの屋上で、 幼い少女の姿を見つける。彼女の名は、めぐみ。純子が数日前に知り合った少女だった。
 ビルの階段に座っていただけなのに、すっかり「ここに居た奴の顔を見た」ことになって、六角刑事から詰問される、めぐみちゃん。 典型的な駄目な脚本(&演出&編集)というのは何が悪いかというと、「〜かもしれない」→「〜だ」の間が無くて、 いつの間にかすり替わってしまうのですが、実に良くない見本。
 何も語らないめぐみちゃん。彼女と純子が出会ったのは数日前、朝のジョギング中の純子が、 ゴミ捨て場に奇妙な声を聞いたのがきっかけだった。それはゴミ捨て場に捨てられたインコの物真似で、 純子はインコを探しに来ためぐみと、その友達の青年・湯浅と出会う。ゴミ収集前に、隠されていたダンボールから無事に見つかったインコが呟く、 「悪いやつ悪いやつ むらい にしもと くろいわ」という謎の言葉。
 数日後、そのインコが、公園で暴走族に襲われて殺される。
 サブタイトルにまでした割には、実にさくっと(^^;
 そして再び起こる狙撃事件。
 再び、狙撃現場に居合わすめぐみ。
 純子の問いかけに彼女はただ、「お姉ちゃんと喋っちゃいけないって、お兄ちゃんがそう言っていた」とだけこぼす。
 警察の捜査により、狙撃された二人が、黒岩という男をヘッドに据えた暴走族のメンバーだという事がわかる。その名前が、 インコが呟いていた名前だと気付く純子。そして湯浅もまた、黒岩の手下の元暴走族であった。湯浅の動向を探っていた純子は、 彼が黒岩を待ち伏せる現場に居合わせるが、現れた黒岩はめぐみを人質に取っていた!
 一ヶ月前に轢き逃げにあって死亡しためぐみの父。実はその轢き逃げ犯は黒岩らのチームだった。 それをきっかけにチームを辞めた湯浅は自責の念から彼女の隣りの家に引っ越し友達となる事で、自分を誤魔化す日々を送っていた。 だが、万が一の為にチームのメンバーの名前を覚えさせていた、めぐみのペットのインコが殺された事で、彼女に代わって復讐を決意。 次々とチームのメンバーを狙撃していたのだった(この辺りの時系列は、微妙におかしい気が)。
 純子の手によってめぐみが救い出され、全てを告白した湯浅は、自分の喉元に銃口を向ける。
 「俺達はろくでなしだ! めぐみちゃんに死んでお詫びするしかないんだ」
 その時、投入される火炎ビン
  ひゃっはーーー、汚物は消毒だぁ!!
 黒岩の手下の暴走族が乱入。
 凄い『GTA』(グランド・セフト・オート)状態になるがウィンスペクターの活躍により全員が逮捕され、湯浅もまた、 罪を償う事になるのであった。
 エンディング、めぐみちゃんに新しいインコをプレゼントする純子。
 「新しいピーコちゃんよ」
 ……って、名前ぐらい、好きにつけさせてあげてください。
 めぐみちゃんも「ピーコ」扱いだったけど。
 最後にどばっと放出される、自責の念を抱きながらも自首するまで思い切れない犯人のねじれ、みたいな物は面白かったのですが、 全体としてはガタガタ。インコに酷い話でした。
 ところで最近、空気感の激しいデミタスに「捜査が飯よりも好き」という設定が台詞で加わりました。……飯、って充電の事か?

→〔まとめ5へ続く〕

(2012年7月6日)
(2019年7月21日 改訂)
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