■『特警ウインスペクター』感想まとめ2■


“心をつき刺す 必死の悲鳴
さあ行くぜ おれたちの出番だ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特警ウインスペクター』 感想の、まとめ2(7〜12話)です。登場人物など紹介を付記。また文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。 日記掲載時にいただいたコメントが感想に反映されている箇所もあります。ありがとうございました。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕 ・  〔まとめ5〕
〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕 ・  〔総括〕


◆第7話「幸せ祈る聖少女」◆ (監督:東條昭平 脚本:藤井邦夫)
 殺し屋の影山が、部下に助けられて護送中に逃走。正木本部長は影山が国外逃亡を図る前に、自分を警察に売った密告者・村田 (ゲスト:中田譲治!)に復讐を行うに違いないと推測、竜馬と女刑事は村田の保護に動き出す。
 村田は窃盗などで前科3犯の男だが、根っからの悪党ではなく……ただひたすらに、 駄目人間。

 勤めていた会社が倒産
 ↓
 その後何をやっても上手くいかない
 ↓
 酒に溺れる
 ↓
 妻が病死
 ↓
 ますます自暴自棄になり軽犯罪で捕まる
 ↓
 高校生の娘のバイト先で金をせびる
 ↓

 昼間から酒


 そんな父に、自分の巻いていたマフラーをそっとかける娘。

 おかしいな、今、日曜朝8時の筈なんだが……。
 村田を捜す竜馬達が出会ったのは、花屋で働く村田の娘だった。以前に、 小山弟が不良に絡まれていた所をかばっていたのが縁で顔見知りだった少女に懇願され、 「父親が殺人犯に狙われている」事を伝えた竜馬は、彼女の安全を久子に託し、捜査を続ける。
 そして流れる謎の挿入歌。
 ニュースで影山の逃亡を知り、脅えて隠れようとしていた筈なのに、おでん屋台で熱燗つけている村田
 今回はこの、徹底的な駄目人間の描き方が凄いです。
 どこまで許されるかやってみよう、みたいな。
 こういう話を見ると、『ウィンスペクター』にはどこか、70年代の活力よ再び、みたいな作り手の思いがあるのだろうなぁ。
 特警に保護された村田であったが、一方、娘が影山の手下によって拉致される。
 明らかに、娘さんも保護していなかった特警の手落ち。
 一応、警察が村田家周辺を警護しているような描写はあるのですが、手下が普通に部屋の中に入り込んでいるので、どこを見ていたのか、 全く謎。一緒に居た隠密同心も後ろから殴られて気絶で、全く役に立たず。
 影山一味は娘を人質に、翌朝6時に秘密のアジトへ来るようにと村田への置き手紙を残す。竜馬は村田にアジトへ案内させようとするが、 村田は脅えるばかりで首を縦に振らない。
 「貴方のたった一人の子供なんですよ」
 「俺は、怖い……俺は、怖いんだよ……」
 どこまでも激しく駄目父。
 翌朝、約束の時間が迫り、竜馬は本部長に、あくまで村田を連れて行く事を直訴。 仮に村田が殺されるような事があればウインスペクターという部隊そのものが存亡の危機に陥る……それでも、父を信じる娘の想いに応え、 村田を立ち直らせるためには村田を連れていくべきだと竜馬の決意は固い。
 本部長「村田の歪んだ心を救い、元通りにするのもウィンスペクターの仕事ってわけだ」
 娘が人質になった時点では目が醒めないで、翌朝、再説得を受けた上でようやく、という辺りの徹底ぶりが物凄く、 それによって人間ドラマとしての奥行きが出ました、お見事。本部長の台詞も格好良い。
 正木の許可を得た竜馬の説得を受けた村田は遂に父親としての心を取り戻し、影山のアジトへとウインスペクターを案内する。
 待ち受ける影山部下、どうしてバズーカ(笑)
 娘ともども村田に影山の銃弾が迫るが、その銃弾を装甲で弾くファイヤー。待機していたバイクルとウォルターも駆けつけ一網打尽かと思われたが、 逃亡用に用意されていたヘリコプター(Aパートに伏線あり)でやってきた部下が、いきなり地上へ爆弾を投げつけまくる。
 ……えー、影山は劇中では「殺人犯」という言われ方なのですが、どう見てもテロリストのリーダーです。
 更に謎の武器を使う部下(ウォルターによると、ロボット探知機付きピストル)に、今回も、バイクルとウォルターはやられっぱなし。
 追い詰められた2体の結論は、
 「答はひとつ、やられる前に倒す」

 警察としてどうなのか

 ……以前にちょろっと書きましたが、やはり『ウインスペクター』の世界は、人心がかなり荒廃しているのかもしれません(^^;  倫理観とか銃規制を、現代日本(1990年代)のつもりで見てはいけないのかもしれない(笑)
 バイクルとウォルターの反撃が決まり、ファイヤーも影山の逮捕に成功、こうして村田親子は安息と絆を取り戻すのでありました。
 最後、父は娘がバイトする花屋で働く事になり、大団円。
 父、娘に貰った大事な弁当、縦にして振ってるよ!
 と、ラスト1カットどうかと思ったものの、中田譲治さん演じる駄目父が激しく駄目父を貫き、折り目正しい娘との配役もピタリとはまり、 突き抜けた所でまとまりました。もう今回は『特別刑事 熱血派』みたいな。たぶん、制作側も完全にその気でやっています。 こういうのは中途半端にやってしまうのが一番つまらないので、やりきったのが正解でした。
 子供番組としてはこのぐらいが限度……というよりやり過ぎかなとは思いますが、逆にそういう見る側/作る側が掛けがちなバイアス、 感じる限界に対して、いやそんな事はないだろう、と挑んだ1本なのかもしれません。その辺りは、70年代のスピリッツを感じます。
 うーんしかし、もしかしたら初めて藤井邦夫脚本回を面白いと思ったかも。
 特撮に慣れつつ刑事ドラマなどの執筆経験もある脚本家を集めている今シリーズですが、脚本陣も、 今まで出来なかった事をやってみよう、と全体的にノって書いているのが分かります。ドラマ部分に力が入っている分、 戦闘の入り方などがおざなりになっている事があるのは気になる時がありますが、徐々にバランスを取っていってほしい所。
 どうしても今回みたいな、物語と連動したレスキューアクションでないバトル展開の時に、ドタバタ感が強くなってしまうのが、 もう少し改善されてくるとより楽しいのですが。

◆第8話「脱線!親子救急隊」◆ (監督:東條昭平 脚本:扇澤延男)
 一家(父・兄・妹)で探偵事務所を営む大曲家の娘は、ある日、話題のウインスペクターに商売をあやかる事を思いつき、「探偵事務所」 の看板を「救急捜査隊」に掛け替え、大々的にビラを配る。竜馬が街で貰った大曲救急捜査隊のビラに書かれた 「ウインスペクターよりも頼りになるぞ!」の売り文句に煽られたバイクルが街に飛び出していき、慌ててその後を追う羽目になる竜馬。
 要するに“街の何でも屋”である大曲救急捜査隊が、屋根の上に乗ってしまった老人を助けている現場に行き会い、 微笑ましく見守る竜馬は、怪しげな二人の男が彼等の様子を見ながら「瓜二つだ」と呟いているを聞きとがめるが、二人の男は姿を消す。
 そして微笑ましく見ていたつもりが、「何を笑ってるのか」と娘に絡まれ、挙げ句暇人呼ばわり。
 その頃、国立化学研究所から新型ジェット燃料を盗み出そうとしていたギャング・米倉は、 ブツを手に入れた後に警察の追跡をかわす手段に頭をひねっていた。そこで目にしたのが、「大曲救急捜査隊」のビラ。 そこに印刷されていた顔写真の男は、なんと自分に瓜二つ……部下にその容姿をはっきりと確認させた米倉は、そこで一計を案じる。
 大曲家の父親と、ギャングの米倉は、二瓶正也さんの二役。
 米倉と手下は架空の仕事を依頼する事で大曲家を囮に使い、まんまと警察の目を欺く事に成功。
 まず悪役が目的遂行の為に頭をひねって、その過程が順を追って描かれるという、なかなか面白い展開。
 警察に誤認逮捕されるも誤解がとけて解放された大曲家だが、悪党に利用されたと知った娘は収まりがつかない。父や兄が止めるのも聞かず、 嘘の依頼に訪れた際に手下Aが手にしていたマッチの記憶を頼りに、彼等の足取りを追おうとする。
 「無茶しないで自分たちに任せてくれ」と竜馬さんも説得するが、先日の事が尾を引き、 「馬鹿にするな」とむしろ娘に対抗意識を燃やされてしまう。「馬鹿になんかしていない」ともちろん否定する竜馬であったが……まあ、 若くして警視正ですし、階級的には超エリートなので、 言動や表情の端々にナチュラルな上から慈しみ目線がこぼれていないか、と言われれば、正直、否定はしづらい。
 その後、娘が遂にアジトを発見。突撃しようとしているのを父が押しとどめている間に兄が竜馬を見つけて声をかけるのですが、 画面切り替わったら竜馬と女刑事が真っ正面からアジトに突入していたり、何故か大曲一家がギャングの確保に協力したり (妹だけ先に飛び込んでしまったとかならまだしも、父と兄まで参加している)、1シーンまるまるカットされたかのような急展開。
 まあ、油断していると絵がすぐ地味になってしまうので、今回はガンアクションをやります、というテーマだったろうというのはわかるのですが、 竜馬と女刑事もいきなり突撃して銃を撃ちまくったりするので、若干おかしな感じになってしまいました。 背広に帽子のギャング米倉が片手腰溜めでマシンガン乱射したりとか、ギャング映画のパロディ的な要素があったので、 そういうイメージのシーンであったのかもしれませんが。
 乱戦の末、米倉は大曲娘をさらって車で逃走。手下二人を女刑事とバイクル・ウォルターに任せ、それを車で追う竜馬。 カーチェイス用とおぼしき挿入歌をバックに立体駐車場に米倉を追い詰めるが、米倉は娘を人質に、1億円と警察が自分を追わない事を要求する。 本部に相談する……とパトカーに戻ると見せかけ、すかさず米倉の銃を打ち落とす竜馬。だが自棄になった米倉は、 人質にしていた娘を突き落とす。咄嗟に
 パトカーに乗り込む竜馬
 お約束だから仕方ないけど
 どう考えても間に合わないと思うのですが。
 ――だが!
 ファイヤーのスーツには、《高速移動》という特殊機能があった!
 使うといきなり着用タイムリミットが20秒になるという強力だが素晴らしくリスキーな機能を使って、 落下する娘を助ける事に成功するファイアー。
 色々と使い勝手の良さそうな新機能が出てきましたが、使うと実質的にスーツ着用を終了しないといけないという事で、 相変わらず厳しめの縛りでバランスとしては上々か。
 米倉を逮捕し、事件は解決。大曲救急捜査隊の車で、家族と女刑事達も駆けつける。人質にされて散々怖い目にあった大曲娘は、深く反省。
 「ファイヤー、もう救急捜査隊なんてやめるよ。身の程知らずだったんだよね」
 そんな娘に、微笑む竜馬。
 「救急活動だけはやめないでほしいな」
 「え?」
 「ウィンスペクターには出来ないような救急活動をやってもらいたいんだ。小さな、でも誰かがやらなきゃいけない、そんな救急活動をね」

 車のドアにプリントされた大曲救急捜査隊、その「捜査」の部分を手で隠す竜馬。
 「大曲救急隊さ」
 …………竜馬さんが、超格好いい!!!!!
 顔はパッとしないけど(失礼)、竜馬さんはホントに格好いいなぁ。
 竜馬さんは、基本呼び捨てで書いていますが、たまにごく自然にさん付けになってしまいます(笑)
 後半、ガンアクション入ってから雑なドタバタ展開でなんでしたが、素晴らしいオチで払拭。
 演出と脚本がばっちりはまりました。
 こういう事があるから、止められない。
 そして珍しく、竜馬さんに主人公特性が発揮されて、ゲストキャラに軽くモテました。
 祝・竜馬さん初モテ(周辺に女っ気は多いですが)。
 次回、どうやら本部長と隠密同心の因縁編。
 前回殴られて気絶しただけ、今回お休みのお姉さんは、見せ場を作れるか。
 女刑事が思いのほか戦闘力が高かった為、お姉さんは最近すっかりピンチ要員と化していますが、 その辺りは結局素人というパワーバランスなのかしら。誰を欺く隠密同心……死して屍、拾う者なし。

◆第9話「爆弾じかけの犬」◆ (監督:小西通雄 脚本:高久進)
 正木の家(やたら立派)を見張っていた怪しげな男は、公安が要注意人物としている、北見次郎だった。正木は彼の目的を調べる為に、 久子に捜査を指令。やがて久子の調査から、北見の正体が、5年前に行方をくらました爆弾魔・唐沢五郎であるという可能性が浮上する。
 タバコを分析したり、写真から整形前の顔を割り出したり、今回はマドックスが大活躍。
 整形により顔を完全に変えて舞い戻った唐沢の目的は、5年前に自分を追い詰め、今は引退した爆弾探知犬・アレックと、 その現在の飼い主であり捜査一課時代の因縁を持つ正木への復讐だった。
 5年前――捜査一課に在籍していた正木と、小山姉弟の父である小山正信は、 当時現役だったアレックの活躍により唐沢が新幹線の高架に仕掛けた爆弾を発見。 解除が間に合わないと悟った小山父は外した爆弾を自らの体でかき抱くと高架から飛び降り、

 壮絶に爆死。

 その尊い犠牲により大惨事は寸前に防がれる。付近に潜んでいた唐山はアレックに傷を負わされるが、逃走に成功、そのまま姿を消していた。
 ……えー、あー、“爆弾の破壊力が不明なので、少しでも威力を減じる為に自らの肉体を壁とした”と解釈してほしいのはわかるのですが、 爆風の逃げ場が無い所ならともかく、高架下が警官隊以外に人気の無い河原(しかも高さ有り)なので、 爆弾だけ投げれば良かったのではないかとどうしても思わずにいられず、小山父は物凄い無駄死に感がひしひし。
 せめて、「爆風を防ぐ為にはこれしかない」とかなんか台詞かモノローグを入れた方が良かったかとは思います。 基本的に物語開始時点で死んでいる人物ですし、ベタになりますが子供をかばってとか、もっとこう、他にどうしようもなかった、 というような死に様にするべきだったのでは(^^;
 加えて今回は、超説明的かつ情緒のない台詞ばかりで、げんなり。
 正木が何か喋る、竜馬か女刑事が「それは、○○という事なんですね」というやり取りが何回かあって、脚本にしても演出にしても、 ちょっと酷い。
 特に、より凶悪化する犯罪から人々を守る為に、捜査活動と救急活動を一緒に行う新しい部署が必要ではないろうか……と、 かつて小山が正木に語っていたというくだりで、回想シーンの後に
 「それが特警ウィンスペクターの、設立の発端だったんですね」
 とか竜馬が言ってしまうのですが、そういうのは、台詞で言わせなくても、わかるものなのです。
 子供だってわかる。
 より言えば、わかるように見せないといけない。
 それを味も素っ気もない台詞で補ってしまうという、事がウィンスペクターの始まりに関わるだけに、 ここだけとっても非常に残念回。
 脚本が悪いのか、演技指導が悪いのか、全体的に台詞回しがぎこちないのも拍車をかけています。
 父の為にも唐沢は私が逮捕したい、と力を入れる隠密同心。
 それをあっさりと許可してしまう本部長。
 ここまでの良い『ウインスペクター』だったら、唐沢を相手に気負いすぎるなと正木が久子に注意するも、 父の仇を前に平静でいられない久子がミスをして……とか、そういう筋で話が転がると思うのですけど、 急に話のプロットが80年代ヒーロー物の悪い時の水準に下がって本当に残念、今回は残念、 話が話だけに何度でも書きますが残念。
 久子の奮闘もあり、北見と唐沢が間違いなく同一人物であると確証を得たウインスペクターは身柄の確保に向かうが、一足遅く、 唐沢は爆弾を仕込んだ犬の首輪を正木家&アレックと親しくしている少年に渡し、首輪を付け替えさせる事に成功する。 正木家を離れる唐沢を見つけた竜馬・純子・久子の3人は、明らかに、手から爆弾を発生させる能力者の唐沢を、 アクションの末に何とか逮捕。その口から、アレックの首輪の爆弾があと30分で爆発する事を知る。
 そのアレックは何故か、正木家を飛び出してどこかへ走り去っていた為、急遽、バイクルとウォルターを起動。 バイクルが犬の匂いを記憶して追跡、ウォルターが空から探した結果、アレックは警視庁の方向へと走っている事がわかる。
 その頃、純子の連れてきた唐沢の顔にスポットライトを浴びせながら、 「貴様を必ず極刑にしてやる!」取り調べ可視化されたらまずい台詞を口走っていた正木は、 唐沢の口から「死なばもろとも」という不思議な言葉を聞く。そこへ竜馬から、アレックが警視庁へ向かっているという一報。
 「そうか……唐沢のヤツ、アレックを使って私と、この警視庁の爆破を狙ったってわけか」
 いや待って、なんで、どうして
 超強引に解釈すると、優秀な元爆弾探知犬であるアレックは自分の首輪に爆弾が存在する事に気付くと、 それを取り外してもらう為に正木の元へ向かっていた………………て、そんな筋がアッテタマルカ。二千歩譲ってそれがアリだとしても、 爆弾犯が犬がそんな行動を取るのが前提なのがオカしすぎます。爆弾犯が「犬とおまえの家が木っ端微塵だ」 と言っているが何故か犬は警視庁に向かっていた……ならまだわかるのですが。或いは、爆弾の気配に気付いたアレックが、 自ら人気の無い所へ走っていく、とかならアレック格好いい! となるのですけど。というか最初に駆け出した時はそういう筋だと思っていたのに、 むしろ昼間の人口密集地帯に突撃していて、こちらがビックリですよ犬。
 警視庁の爆破を阻止する為、表の駐車場でアレックを待ち受けた正木は首輪を外そうとするが、勿論、 そんな簡単に外れるわけがない。正木さんはあれですか、復讐の為にわざわざ帰ってきた爆弾屋の知能を馬鹿にしていますか?  誰かがひょいと外せるような首輪に爆弾仕込んでいると思っていたのでしょうか。
 竜馬達も現場に到着するが、爆発まであと3分。
 ついさっきまで無人だったのに、何故か狙い澄まして、駐車場にやってくる人々。
 正木の指示で女刑事達は人々を逃し、着化したファイヤーは、何故かアレックとどこかへ向けて走り出す。
 駐車場から人々を逃がして無人にする→また別の場所へ向かう
 頭 か ら 書 き 直 せ
 もはやファイヤーも、首輪を外そうとしているのか、誰もいない所を探して犬を投げ捨てようとしているのか、たぶん本人にもわかっていません。
 そして爆発の寸前、何故か首輪が外れ、爆弾は爆発するものの、ファイヤーとアレックは無事に生還。
 えー。
 あー。

 ひどい話でした。

 折角の重要な過去話なのに、これはない……。
 通常回なら、「とうとう出来の悪い回来たなぁ」ぐらいでまだ済みますが、正木と久子の過去に関わり、 更にウインスペクターの始まりにも繋がる超重要回を、どうしてこんな凄く適当にやってしまったのか。
 本来ならパイロット回のコンビでやってもいいような話だと思うのですが、どうしてこうなった。
 杉村升とか藤井邦夫とか、続々とやれば出来るじゃないかと思っている所で、高久進……
 先日の鳥回に続いて、一人でアベレージ下げまくり。
 そしてクライマックスの主題歌の入れ方(とりあえず格好いいので流せば誤魔化せる的な感じ)が、 『ジバン』第1話と悪い意味でそっくりだなぁと思って確認したら、監督同じだった……。
 うんもう、今回見ている配信作品は、ここまでプロットの丁寧な作品が多かったので、久々はきつかったです、ええ。
 それ抜きにしても駄目脚本のサンプルとしてもっと細かく分析・解説したいぐらい酷い。
 最低限、後半だけでも、
〔「住宅街で大爆発だ」と嘯く唐沢→しかし爆弾を仕掛けられたアレックは人気の無い海岸(など)を目指して走っていた→ 「まさか、アレックは爆弾の被害を少なくしようと……」→海岸で追いついた竜馬は首輪を外そうと試みるがタイムリミットが迫る→ アレックよりおまえの命だ、と竜馬に退避を命じる正木→小山刑事の思いを受け継ぐ為にもアレックは必ず助けてみせるとそれを拒否する竜馬→爆発→ 小山の姿がかぶる正木→だが爆発の寸前、首輪を外す事に成功した竜馬はアレックを連れて高速移動で退避に成功していた!〕
 とか、幾らでも燃え展開にしつつ過去と未来を繋ぐモチーフを入れたり出来ると思うのですが、あまりにあまりだったので、 妄想炸裂ですよ(笑)
 ……えーまあ、そろそろ落ち着くとして、あんな着ぐるみと一緒に走る演技を出来る、訓練された犬は凄いなぁ。走りながら、 ちらちらファイヤー見ていたけど。

◆第10話「大人をやっつけろ」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升)
 ファイヤー特訓中。
 クラステクターの着用制限時間(5分)を克服しようと、地雷原を突破したり爆発で崖から吹き飛ばされたりするファイヤーだが、簡単には克服できない。
 竜「すいません、僕の体の鍛え方が足りないんです。もう少し頑張れば」
 藤「なに言ってるのよ、ちゃんと毎日トレーニングしてるじゃない。竜馬さんだから5分保つのよ
 竜「しかし、今より1分、いや、30秒でも装着時間が延びれば、それだけ事件で救われる人が多くなるんだっ」
 正「焦るな、無茶をしたら、命に関わる。時間をかけて、少しずつ伸ばしていくんだ
 着用制限時間を超えると脳波に影響が出たり、ファイヤーのスーツはやはり、物凄く人体に負担がかかる模様。 竜馬が若くして警視正なのは、殉職時の遺された家族への手当てとか諸々な要素を含みまくった、重い階級なんだろうなぁ…… 3年ぐらい働いていると、普通に廃人になりそうですし。
 一応この辺り、設定とからめつつ、竜馬はなぜ「着化」してから敵のアジトに突入しないのか(しいてはヒーローはなぜ、 最初から変身して戦わないのか)のエクスキューズにしているのは、この作品らしいところ。
 日常戻って、小山姉の弁によると、竜馬は日本中の警察官を対象にした選抜テストをくぐり抜け、スーツの着用者として選ばれたとの事。
 「後は科学の問題よ」
 はい、その通りだと思います。
 そんな平穏をいきなり破ったのは、喫茶店に投げ込まれた、ゴキブリの詰まった袋。
 更に近所のファミレスでは殺虫剤で火災報知器が鳴り、本屋では泥棒騒ぎ、六角刑事と竜馬は振り回されながらも、 あちこちで悪戯を繰り返していた4人の子供達を捕まえる。六角刑事はキレながらもオトナの対応を見せ、喫茶店で4人から事情を聞く。 それによると4人はある日、怪しい男を見て追いかけた先でボヤを発見したものの逆に犯人と疑われ、「大人は僕たちを信じてくれない」と、 大人達へ仕返しをしようとしていたのだった。
 久子の協力もあって(こういう時に、半民間人・小学生の弟ありのお姉さんがクッション役になるのはスムーズでいい所) 子供達に悪戯を止めるよう言い聞かせた竜馬は、このボヤ騒ぎの真相を確認したいと申し出る。「わかってます。管轄が違う事ぐらい」と、 ちゃんと一線をひいて、本部長にお伺いをたててから首を突っ込む辺りのディテールの書き方も今作らしく、そういう所で手を抜かないのが、 (ここまでの)このシリーズのいい所です。
 「あの若い刑事さん、優しそうだったもの」と、小学生女子のハートキャッチしていた竜馬。「仕返しが駄目なら、 俺達の手で犯人を捕まえよう」と決意した子供達は、ボヤ騒ぎのあったマンション周辺の住人を観察、 騒ぎの時に1回は自分たちをかばってくれた不動産屋の男の特徴的な首の動きが、現場で見た怪しい男と同じだと確認。こっそりと見張る事にする。
 ボヤ騒ぎの真犯人は、子供達が思った通り、マンションの近くにある田村不動産の兄弟であった。 地上げに絡んでマンションを破壊しようと企んだ兄弟は、兄が放火に失敗すると、マッド科学者である弟が、 超音波で物質を破壊する超振動波発生装置を作成。それをマンション地下のボイラー室に仕掛け、 後をついてきた子供達に気付くと、縄で縛ってボイラー室に捕まえてしまう。
 一方、事件の真相に迫っていた竜馬らは、マドックスがキャッチした超音波の報を受け、現場のマンションに急行。 現場を離れようとしていた兄弟の逮捕に成功する。
 特警の正規職員が少ないのって、正木本部長を始めとして、 最低でも“相手が手にしている銃だけを撃ち落とす射撃技術”を有していないといけないからだよなぁ……ハードルが高すぎる。
 田村弟が使っていた謎の電撃発生装置は、子供達を傷つけずに捕らえていたし、超科学なテイザー銃(ワイヤー針タイプのスタンガン) みたいなものでしょーか。
 ……この世界の日本はホント、民間の武器を一度大々的に取り締まったほうがいい(笑)
 もしかしたら二次大戦後にアメリカに占領された並行世界の日本という可能性もありますが。
 田村兄弟から子供達をボイラー室へ閉じこめたと聞いた竜馬は、バイクル、ウォルターと共へ地下へ向かうが、 震動発生装置から放射される超音波を受けて、バイクルとウォルターはあっさりリタイア。
 役に立たない
 スーツの着用限界と超振動によるマンションの爆発、二つのリミットが迫る中、 竜馬は子供達を救いたいという一心――つまりは勇気と根性己と科学の限界を突破、 装置を停止させてマンション爆破を阻止すると共に子供達を救出するのであった。
 クラステクターが、着用リミットを過ぎると強制的にパージされるのか、着用者が自分で外さないと外れないのかは気になっていたのですが、 今回を見ていると、強制解除の機能は無い模様。本部長の動きを見ると、なんらかのスイッチを押して(?)、 外から直接外す事は出来るみたいですが。まあ、着用者が着たまま気絶する場合もあるだろうし外部から外せないとまずいと思うのですが、 最後の最後はマドックスから強制解除できるのかなー……と一応、思っておく。
 ファイヤーの正体は微妙に秘密説を思い当たってみたのですが、下から竜馬さん出てきても、子供達が割と普通に受け入れているな。
 んー、ベテランの監督なのですが、演出はいまいち。Aパートの、六角&竜馬と子供達との追いかけっこなんかは、どたばた感が うまく出ていて良かったですが、今回こそ、クライマックスで素直に主題歌入れてくれれば、こちらも素直にノれるのになぁ。
 ラストはもう少し、限界突破感を出して欲しかった。
 微妙に、「スーツの着用リミット」と「マンションの爆発まであと……」の時間進行がズレてましたし(^^; これ多分、 脚本と撮っている段階では矛盾が無かったけど、編集して繋いでみたら前後がちょっと噛み合わなくなったのだと思いますが。
 『ゴーバスターズ』のタイムリミット演出は、こーいう諸々を踏まえてやってみた、というのはわかるのですけど、やっぱりやるなら、 ビルが吹き飛んで諸共に全員あの世行き、ぐらいの緊張感が必要だよなぁと……逆に、 『ウインスペクター』であれやったら燃えると思うので(演出的には凄く大変ですが)、作り手が一度やってみたかった、というのはわかるのですけど。
 前回があまりにあまりだったというのはありますが、今回は筋はそんなに悪くなかったのですけど、肝心の犯人が杜撰すぎました。 どう考えてもすぐに捜査の手が伸びそうですし、地上げのついでに目撃者の子供達を勢いで消せるメンタルとか、 そもそもの地上げを通り越している感とか、色々やりすぎ。
 無理に背景作らずに、放火魔か破壊魔にしておいた方が、すっきりしたかと思います。まあ、 何でも愉快犯とかサイコさんにしてしまうと話の縛りが緩くなりすぎるので、なるべく犯罪者に確たる動機を持たせる、 というのをシリーズとして作劇上のテーマにしているのかな、という節はありますが、 今回は合理的にする筈がむしろ非合理になってしまったという、悪い形で出ました。
 それでも久々のレスキューアクションなど、これぐらいの水準なら、安心して楽しめる、という出来。
 相変わらず、アベレージは高い。
 そして次回――なんか犯人が凄い武器持ってる!!!
 だからこの日本は一度(以下略)

◆第11話「良太の初恋急行便」◆ (監督:小笠原猛 脚本:宮下隼一)
 フランスから輸送されてくる濃縮ウランを狙う死の商人・神崎茂は、その護送役として任命された竜馬を狙いその身辺を探った結果、 小山良太の存在を弱点と見定める。神崎の部下に狙われた良太は、たまたま一緒に居た憧れの相手である茜ちゃんを人質に取られ、 仕方なく竜馬を神崎の元へと連れて行くが、茜ちゃんを解放するという約束は当然守られず、二人まとめて人質にされてしまう。
 良太と茜の命を守るため、やむを得ず神崎の指示に従う事になる竜馬は空港から濃縮ウラン護送の任務につくが、 盗聴マイクを仕掛けられ、神崎の部下達の車に監視されている為、迂闊に本部に連絡する事も出来ない。
 なんとかこの窮地を報せようと考えた竜馬は、本部が気付いてくれる事に賭けて、定時連絡に紛れさせて、モールス信号を送る。
 インターポールから流れてきた神崎入国の情報と、竜馬の行動と言動の微妙な不自然さが引っかかっていた正木はこれに気づき、 さくっと解読
 ……そこはマドックスを使ってあげて下さい。
 竜馬が良太を人質に神崎に脅迫を受けているという事を知った正木は、このピンチを切り抜ける為に女刑事とともに出動。 移動中の車の背後に回り、今度は車のライトで竜馬へモールス信号を送る。
 それを読みとり、本部長の意図を理解する竜馬。
 ここで流れる挿入歌。
 いやー、『ウインスペクター』、格好いいなぁ。
 この作品は、こうでないと。
 難を言えば、竜馬の行動を監視する神崎部下の車がパトカーの直後に張り付き過ぎですが、この辺りは撮影の都合もあるので、仕方ないか。
 本部との協力プレイにより、神崎の部下達を駐車場で待ち受ける事に成功した竜馬達は、部下を逮捕。 運んできたパトカーで「着化」した竜馬は、用意した偽のワゴンに乗り換え、神崎のアジトへと向かう。
 その頃、アジトでは勇気を奮った良太が神崎に体当たりし、茜ちゃんを逃がそうとしていたが逆に追い詰められてしまっていた。 良太へ向けられる銃口……だがその時、天井をぶち破って現れたバイクルとウォルターが二人を守り、銃弾は弾かれる。
 久々にバイクルとウォルター大活躍…………
 するわけがなかった
 銃弾を防いだのも束の間、神崎がアジトにしかけていた罠にはまり、宙づりにされる2体
 更に神崎の取り出した大口径ライフル(対物ライフルというには銃身が短いですが、バイクルとウォルターの装甲にダメージを与えているので、 そうとう威力は高い)の射撃を受けてピンチに陥るが、そこにファイヤーが駆けつける!
 問:この作品のヒロインは誰か?
 ……はまあ今後の課題として、マックスキャリバー・パルスビームでバイクルとウォルターを助けるファイヤー。だが、 アジトの奥へ逃げた神崎が、切り札をファイヤーへと向ける!

 「これが対戦車ロケットランチャーだ!!」

 飛び交うミサイル!
 吹き上がる火花!

 爆発は正義
 火薬こそジャスティス
 この国の税関はザルすぎる

 眼鏡に背広姿の中年が、肩にロケットランチャー担いでメタリックな戦闘スーツのヒーローにミサイル撃ちまくる図というのは、 『MASTERキートン』に通ずるものがあるかもしれない(通じません)。
 いや、絵てとしては凄く好きです。やるならこれぐらいやってくれた方が、いい。
 なんとか猛攻撃をくぐり抜けたファイヤーは、神崎を逮捕。こうして濃縮ウランも、人質にされた子供達も、悪の手に落ちる事はなく、 無事に事件は解決されたのであった。憧れの茜ちゃんに格好いい所を見せた良太は、引っ越しをする事になった彼女 (東京は危険だから! 半分ほど嘘)にお別れに頬にキスをしてもらい、「甘くて苦い初恋で、オトナの階段のーぼるー」 みたいにナレーションが締めるのですが、なんか東映はこういうの好きな気がするのですが、ある種の伝統芸なのでしょうか。
 まあ、そうそうセミレギュラー化するわけにもいかないので、ゲストキャラが一話限りの使い切りになりがちな都合上、 ある程度のパターン化はやむを得ないのでしょうが。次回予告見て、『宇宙刑事ギャバン』の「初恋は銀河特急」回を思い出してしまったのですが、 若葉ちゃんに比べれば遙かに良い扱いでした良太。あの回の若葉ちゃんの扱いは、今思っても本当に酷かった……。
 今回は、特警の連携プレーの格好良かったエピソード。
 モールス信号でのやり取りなど、海外の一話完結型の特殊部隊もの作品っぽい雰囲気で、プロフェッショナルなチームらしさが出て、 作品の幅をまた一つ広げたエピソードかと思います。
 特撮ヒーローものの悪習として、“最後にヒーローが解決する”という構造を遵守しようとする余りに、 支援組織ないし周辺組織があまりに頭が悪すぎるという傾向があるのですが、『ウインスペクター』は、ヒーローが突出していない分、 特警というプロフェッショナルなチーム、というのをある程度は志向しているようで、 この路線は続けてくれれば楽しみな所。
 おそらく、女刑事が旧来の同ポジションのキャラクターに比べて有能なのも、そういったプロフェッショナル志向の現れなのでしょう。 女刑事に関してはそれが少しいきすぎて、実務有能以外でのキャラが未だに出ていないですが(^^;
 ところで駐車場で、同ナンバー・同型の車を用意していという事は、本来はそれで神崎を騙すというシナリオだったのだと思うのですが、 尺の都合で最終的にカットされたのかなぁ……その展開も見てみたかった気はします。運転席は「着化」済みですけど。
 多分、撮ってみたら「やっぱり誤魔化すの無理がない?」という事になったのではないかと愚考。
 あと結果的に犯人を逮捕出来たから良いものの、落ち着いて考えると色々と大問題になりそうですが、 竜馬さんがかなり特殊な人材(クラステクターを5分装備できるのは日本で香川竜馬だけ!)である事や、 5年で捜査一課から新部署立ち上げしてそこの本部長に収まるなど、どうも寝業が物凄く得意っぽい正木が、 コネクションなどを総動員してうまく誤魔化したのでしょう。
 本部長は《説得》スキルは無いけど、《恫喝》とか《根回し》スキルを持っているに違いありません。
 更に考えると、濃縮ウランの護送役が香川竜馬、という情報がかなり早い段階で洩れているのもおかしいので、 その辺り内部にリークした人間がいるに違いない、という辺りを突いて政治的に決着をつけるのです、本部長、侮りがたし。

◆第12話「僕の友達ロボット」◆ (監督:小笠原猛 脚本:鷺山京子)
 スイスの研究所で開発されていた夢のロボットが奪われ、偽装工作として、日本のスイス駐在大使の名前を使って家族の元へ送られる。 子供の頃には遊び相手、大人になったら仕事を手伝い、老人になったら介護してくれる……パートナーと共に成長するコンパニオンロボットだが、 防衛システムが未完成という重大な欠陥を持っていった。
 川口大使からの極秘連絡を受け、
 一旦防衛システムが作動すると歯止めが利かず、あらゆる武器を吸収しながら巨大化し、

 
周囲に無差別攻撃

 を行うに至るというロボットを回収する為、動き出すウインスペクター。
 なぜ、コンパニオンロボットに、仮に完成しても充分に危険な匂いのする防衛システムが必要なのかといえば、この世界では、 日本のみならずスイスにも危険が一杯なのです、間違い有りません。
 基本、国民皆兵の国ですし、永世中立を守る為には、武力が必要。
 これぞ、スイスクオリティ。
 一方、川口家に届いていた荷物は、大使の息子アキオによって開けられ、中から出てきたロボットの頭部にしてコア部分は、夜の内に、 家の中の電気スタンドや目覚まし時計などを取り込み、小学生程度の大きさのロボットへと成長していた。
 アキオ少年はロボットにロボオと名付け、「友達」となる。
 そこへロボットを回収しに二人のギャングが現れ、振り切って逃げ出す少年とロボット。
 目からビーム出したり、防衛システム作動前でも充分に強そうなのですが、これぞスイスクオリティ…………?
 必死に逃げる少年とロボットだっが、スクラップ置き場でギャングに追い詰められ、アキオ少年を守る為に作動する防衛システム。 ギャングの銃器やスクラップを吸収し、武装ロボットへ成長するロボオ。
 一気にごつくて危険な感じに。
 それにしても、サブマシンガン片手にしたギャングに体当たりを敢行するアキオ少年は、勇者の資質あり。
 なんだかよくわかっていなかった、のだとは思いますが。
 そして毎度犯罪者が色々な銃火器を持っているのは、面白みを出す為というのもあるのでしょうが、スタッフが楽しんでいるっぽい。
 駆けつけた竜馬と女刑事がギャング相手に立ち回り。
 吹き替え無しで空中回し蹴りとか、竜馬さん凄いなぁ。
 女刑事も、毎度タイトミニこそ履いていますが、どちらかというと、顔より(失敬)、動ける人、という基準で選ばれたのかしら。 割と生身アクションがキレる。
 ギャングを逮捕した竜馬はアキオ少年とロボオを保護しようとするが、暴走した防衛システムはアキオ以外の全てを、敵と認識。
 いきなり撃たれる。
 アキオ少年を背に乗せ、逃亡を図るロボオ。目的は「友達を守る為」ではあるものの、絵的には、「少年を人質」状態。 この辺りはロボオのデザイン的な面白さもあって、雰囲気がうまく出ています。
 空き地で追いついた竜馬は対話を試みるが、ロボオはアキオ少年を離さない。
 再び射撃されるが、バイクルとウォルターがガードに入る。最近、バイクルとウォルターの仕事は、ばかり。 ……まあ、壁に入るのに全く躊躇しなかったり、ロボットらしさも出るし合理的でいい使い方ではあるのですが。 ガード役をこなしながら共に説得をしようとするが、バイクルの名古屋弁は日本語として識別不可能と言われる(笑)
 「名古屋弁をばかにしやすか!」
 一方ウォルター。
 「マニュアルに従え。まず説得を行うべきです。おとなしくお縄をうけなさい。お上にも、お慈悲というものがあります」
 と2体のキャラをちょっと出しつつ、結局はバイスピアーとディスライダーで戦う事になりますが、ロボオに吸収される(笑)
 今回もこんな扱いか
 と思いましたがこの後、ファイヤーとの連携攻撃でちょっと活躍。
 ロボオをなんとか説得するべきか、破壊やむなしかと逡巡する竜馬の元に、スイス政府からの要請で正式にロボットの破壊命令が出されたとの連絡が正木から入る。
 「既にミサイルの発射が決定された」
 ……ど、どこから?
 やむを得ず「着化」したファイヤーは、連係攻撃でまずはアキオくんを救出。ロボオを破壊しようとするが、 アキオ少年の声にマックスキャリバーの切っ先を止める。だが、駆けつけた本部長の連絡もわずかに遅く、ミサイルは発射されてしまう。 迫り来るミサイルの着弾前に、ロボオと共に退避しようと、決死の説得を試みるファイヤー。
 ロボオの攻撃を受けて何度も吹き飛びながら、「友達を守るとは何か?」と問いかけるファイヤー。
 ここはこれだけで充分に格好良かったので、ミサイルの要素は全く要らなかったと思います。
 最終的には防衛システムとアキオ少年の呼びかけとの間で混乱を来した人工知能がショートを起こし、動きを止めたロボオのコア部分を、 ミサイルの着弾の中でファイアーが回収に成功。残された最後のエネルギーで少年に別れの挨拶を告げ、 ロボオはスイスへと帰るのであった、という顛末。
 ……あれ、バイスピアーとディスライダー、ミサイルで消し飛んだ?
 少年とロボットの友情もので、ベタな筋ながら悪くはなかったのですが、とにかくミサイルが余計でした。 派手な事をやらないと、という意識と、タイムリミット的な盛り上がりが欲しかったのでしょうが、大失敗で残念。 もっと自信を持って社会派路線を貫いてくれて充分に面白いと思うのですが、もう少し派手な展開にしてくれ、みたいな話がそろそろ上から来たのかなぁ……。
 それにしても幾ら何でも、人質解放前にミサイル発射してしまう、のは無理がありすぎました(^^;
 なんかこう、スイス政府としては闇に葬りたい事情があったのか。
 (何者かに奪われたと主張しているけど、そもそも一部機関の目論んだテロ計画だったのではないかと)
 ロボオの成長前も含めたデザインの面白さとか、珍しい着ぐるみバトルとか、話そのものは割と楽しめたので、 ミサイルのくだりだけ勿体なかったエピソード。背後で凄く普通に乗用車走っているし(笑)

→〔まとめ3へ続く〕

(2012年6月30日)
(2019年7月21日 改訂)

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