■『特救指令ソルブレイン』感想まとめ8■


“愛に抱かれろ
今 確かなこの愛に”

 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特救指令ソルブレイン』 感想の、まとめ8(43〜48話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

戻る

〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・  〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕
〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕 ・  〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ9〕


◆第43話「二つの顔を持つ女」◆ (監督:小西通雄 脚本:杉村升)
 東洋銀行で強盗事件が発生、犯人の女を追ったソルジャンヌだったが、取っ組み合いの最中に女が撃った銃弾が通りすがりの 子供を傷つけ、その隙に女に逃げられてしまう。身を潜める女に近づく1台の車、そして白尽くめの男。男は麻酔銃で女を気絶させると、 車に乗せてどこかへと運んでいく……。
 毎度の事ですが、『ソルブレイン』は、捕り物中に民間人が巻き込まれる不祥事が多すぎやしませんか、本部長。
 逃亡した銀行強盗の主犯は、強盗殺人で指名手配中だった原島律子。格闘の最中に間近で顔を見た玲子は怒りを燃やす。
 「許せません、私の目の前で通行人が撃たれたんですよ」
 ………………
 ………………?
 ………………えー……現場での出来事を、詳しく振り返ってみましょう。
−−−−−
逃亡する律子を追うソルジャンヌ

追いついて取っ組み合いになる

ジャンヌ、律子の覆面を剥ぐ

「あなたは?!」と驚く(指名手配犯だと気付いて)

その隙に手を振り払われる

律子、拳銃を撃つ

ジャンヌ、避ける

射線上に通りすがった少女、肩を撃たれて倒れる
−−−−−
 以上、現場から東海林がお送りしました。
 どう考えても、悪いのはソルジャンヌ。
 (&戦闘力の低いジャンヌに単独で拳銃を持った犯人を追わせた隊長の判断ミス)
 基本、拳銃を撃った律子が悪いのは確かです。耐火性能以外、ろくな機能がないソルジャンヌが身を伏せたのも良しとしましょう。 親子連れが通りすがったも不可抗力で不幸な事故です。
 しかし、それら全て呑み込んだ上で、責任は自分にある、と思えなくてどうするのか樋口玲子。
 あの純子さんでさえ、自分の不注意から身内(久子さん)が撃たれた時は手帳を返納したというのに、 反省の色の欠片も感じられないところに、ソルブレインという組織の体質を見る思いです。
 と、割と真面目に書かざるを得ない(笑)
 まー、手を振り払われた時点で、特殊チームの一員としては失策なのですが、何が凄いって、 それら一連の出来事を無かった事にしているっぽい、正木の情報捜査能力が凄い。
 残りのエピソードで、ソルブレインの捜査ミスを叩くフリー記者、とか出てこないかなぁ(笑)
 むしろ『ソルブレイン』だからこそ扱えるテーマであるとも思うのですが。
 この後、玲子の犯人に対する怒りが戸惑いと葛藤に繋がるというドラマの構成上どうしても必要だったのでしょうが、 もう少しなんとかならなかったのか。
 緊急配備して律子を追うソルブレイン、捜査中の玲子と純は、律子と瓜二つの女がトラックにひかれそうになった老婆を助ける光景を 目撃する。彼女の名は、古川美由紀。容姿は原島律子そのものだが、近所の養護園でボランティア活動を行い子供達にも慕われているなど、 その性格や行動は律子とは似ても似つかず、とても別人を装っているようにも見えない。三日前に現在のアパートに引っ越してきたという 美由紀の足取りを追うソルブレインは、“もう一人の古川美由紀”が存在する事を知る。同じく三日前に引っ越しをした美由紀、 彼女の実家に連絡をつけた美由紀は、その美由紀こそが本物の古川美由紀であり、律子そっくりの美由紀は、偽物である事を突き止める。 だが、本物美由紀と引き合わされた偽美由紀は、本物しか知らない筈の、極めて個人的な思い出の記憶を語る……果たして彼女は、 いったい何者なのか?!
 と、なかなか迫真のミステリー展開。
 困惑するソルブレイン、そして偽美由紀の元へ届く、一本のビデオテープ。そこに映っていたのは、復讐の貴公子(笑) ・高岡隆一であった!
 ここで高岡さんのビデオレターによるネタばらし。
 逃走中の原島律子を眠らせてさらった高岡は、記憶複写装置によって古川美由紀の記憶を吸い取ると、それを律子に上書き。 肉体は原島律子であるが、記憶や人格は古川美由紀、という存在を作り出したのであった。そして現代科学では、 律子の偽記憶を元に戻す事は不可能だという。
 「産まれながら善良な市民でいるつもりの彼女を、貴様等は逮捕できるか? 警察の無力を、知るがいい!」
 「おまえは人殺しの原島律子だ! ははははっ、はーっはっはっは!」
 ソルブレイン用と律子用で、わざわざ別にビデオを作る辺り、貴公子、仕事が細かい。
 高岡の超科学はひたすら何でもありですが、記憶複写装置は、以前に出てきたドリームマシンみたいなものか、 とつい納得してしまったり(^^; 見た目も一緒だったような……。
 この装置、高岡の発言を額面通りに受け取ると「記憶」だけを上書きしているようなのですが、明らかに「人格」も変化しているので、 人格は完全に記憶/思い出/体験に対して従であるという前提なのか(もちろん、大きな影響は及ぼす筈)、 高岡が「記憶」と称しているものは、人間の「精神」そのものなか、ここではとりあえず、「記憶と人格」の双方を上書きした、 という事にしておきます。
 体は律子、心は美由紀。果たして今の心優しい律子美由紀を逮捕するべきなのか、出来るのか……思い悩むソルブレインだったが、 正木は、律子が犯罪者であった事実は変わらず、その記憶と人格はあくまで借り物に過ぎないと、律子美由紀の逮捕を決断する。
 一方、高岡からのビデオに衝撃を受けた律子美由紀は混乱しながらも、養護園の少年との約束を守るべくカーネーションを買って 施設へと向かう。律子美由紀を逮捕するべく施設へ向かう玲子と純、律子美由紀の部屋で高岡のビデオを発見する大樹。 混乱する律子美由紀は人を殺めた自分自身を許す事が出来ず、飛び降り自殺をはかるが、間一髪飛び込んできたブレイバーに助けられる。
 母親に捨てられた足の悪い少年に、「自分の新しいお母さんになってほしい」とすがりつかれ、抱きしめて涙を流す律子美由紀。 ソルブレインはただ、そんな彼等を黙って見つめる事しか出来ないのであった……。
 前回の今回で、杉村升が気合いの入った脚本。
 人はいったい、何によって裁かれるべきなのか?
 犯罪者の人格が完全に別人のものに上書きされた時、それでもその人間は“犯罪者”なのか? と、SFの中編ぐらい書けそうな ワンアイデアをベースに、サスペンスフルに展開。
 どだい正味20分で扱えるテーマではないので、最後は新生と再起を匂わせつつ適当に濁しましたが、変に結論づけるよりは良かったと 思います。あくまで一連の<高岡シリーズ>の一編とする事で結論までは出さずにテーマだけを扱う、というのは、 やり方としては少々ずるいのですが、一回ぐらいは許されるズルだと思います。もう一回は駄目ですが(笑)
 テーマ/アイデア(その持ち込み方含めて)が良かっただけに、最初から最後まで、相手を取り逃がしまくり、 養護園の子供達には何の配慮もできないソルブレインの組織としてのダメっぷりが凄く浮き彫りになりましたが。
 ラスト、
 「思い知ったかソルブレイン、人の心など救えはしないという事が! これでよぉくわかった筈だ! ふっふっふふ、はっはは、 はっはははははっ」
 と貴公子が高笑いするのですが、律子美由紀が現状を受け入れられるかはわからず、一部関係者には納得がいかないでしょうが、 もしかしたら一人の凶悪犯罪者を更正させたのかもしれない、という捻れは意図的……かな?
 自然な改心を待つのではなく、科学の力で人の心をねじ曲げる、というのもまた、ソルブレインに対する挑戦の部分でありましょうが。
 まあ、貴公子としては究極的には、ソルブレイン(大樹)をあおれれば目的は達成なので、充分に大樹さんはあおれました。
 翌年から戦隊(『恐竜戦隊ジュウレンジャー』)に入るので途中で抜けるのかと思っていたらむしろ前作より本数多い気がする 杉村さんなのですが、高岡編はレスキューシリーズへの置き土産という意識なのか、良くも悪くもフルスロットル。

◆第44話「コソ泥と老博士」◆ (監督:小笠原猛 脚本:扇澤延男)
 7件入って1万円そこそこの稼ぎ、というツキのないコソ泥が、忍び込んだ屋敷で腹が減って動けない老博士と出会う。 「泥棒くん、何か食わせてくれたまえ」と言われ、つい弁当を買ってきてしまう人の好い泥棒に、博士は 「この弁当のお礼にいいものをあげよう」と謎のヘッドギアを渡す。某サターンヘッドに激似のヘッドギアをかぶったコソ泥が 夜間金庫の前で「金庫よー破れろ、金よー出てこい」と博士に言われた通りに念じると、ヘッドギアから光線が迸り、 大破して吐き出される札束吹雪。そのヘッドギアは博士が開発した、超念動ヘッドギア……人の念力を増幅する装置だったのだ!
 念力を増幅するとビームになって出てくるのが、世紀末TOKYOクオリティ。
 さて、念願の大金を手に入れたコソ泥であったが、「こう見えても筋金入りの泥棒よ」と、妙な職人気質を出して装置を博士に 返しに行くと、博士も博士でそんなものは捨ててくれ、と冷たい反応。実は博士は、装置の研究に没頭する余り全財産を注ぎ込み、 妻子には愛想を尽かされ、もはや友の一人もおらず、半月前にようやく装置を完成させたものの、その喜びを分かち合える相手もいない ……という現実にただただ虚しさを感じていたのだった。ところがそこへ、チンピラ達が乗り込んできて事態は一変。 昨夜の夜間金庫の破壊事件を目撃した男達は強引に装置を奪っていき、「捨てる手間が省けた」と呟く博士に対し、 「俺が奪い返してやるよ」と男達を追っていくコソ泥。
 今回、力の入っているところではあるのですが、コソ泥と博士のやり取りはなかなか軽妙。惜しむらくは、 コソ泥役の演技力が少々つたなく、台詞回しの面白さが活ききっていない。
 一方、目撃者の証言などから超念動ヘッドギアに辿り着いたソルブレインは博士のもとを訪れるが、 人生に荒む一方の博士は装置が何に使われようが知った事ではないという態度で、大樹と玲子を呆れさせる。
 毎度の事ではありますが、大樹と玲子は常にエリートのド正論で、間違ってはいないけどそれはイラっとするよなぁ、 という時があるのを、恐らく今回は意図的にやっていて、脚本、タチ悪い(笑)
 ヘッドギアを使って現金輸送車の襲撃に成功したちんぴら達は装置を量産させようと博士をさらい、 それを目撃したコソ泥は博士を助けてもらうべく、意を決して自らソルブレインに出頭する。
 普段は速攻で突撃しそうなのに、今日はのんびり取り調べ室でコソ泥の話を聞くソルブレイン。 相手が手配中の犯罪者なので当然といえば当然ですが、脚本、タチ悪い。
 「あんたも助けに行ってくれよ! 爺さん殺されるかもしんねえんだぞ」
 「もちろん僕も行く。しかし、その前に一つだけ聞きたい事がある」
 一体全体、どうして逮捕されてまで、博士を助けようとするのか。大樹の問いに、コソ泥は照れくさそうに鼻を鳴らす。
 「今考えりゃ、一緒に弁当食っちまったのがまずかったんだよなぁ」
 「誤魔化さないで、話すんだ!」
 「誤魔化してなんかいねえよ! 二人で弁当食ったんだ! 爺さん言ってたよ。誰かと一緒に飯食うのなんて、久しぶりだったって。 その時、他人とは思えなくなっちまったんだよ。早く助けにいけよ! お願いだからよ!」
 コソ泥の真剣な様子に、大樹は一つの決断をする。
 「博士を救うのにあいつも連れていきたい……」
 「命を救うだけなら、我々の手で充分です。しかし、孤独に歪んでしまった博士の心を救えるのは、あいつだけだと思うんです」
 「わかった、やってみろ」
 コソ泥の覚えていたナンバーを元に、彼を助手席に乗せて博士を拉致した車を追う大樹。
 「隊長さんよぉ」
 「なんだ」
 「爺さんの発明したあの機械、発表したらみんな、誉めてくれるよな?」
 「世界的な評価を得るはずだ」
 「そうだよな? そうじゃなきゃ、じいさん、辛すぎるもんな」
 「……おまえ、どうして泥棒なんかになったんだ?」
 「他に……生きてく道、なかったもんな」
 流れの中で、大樹とコソ泥の微妙なズレが会話のやり取りで巧く表現されているのが、いかにも扇澤脚本。
 目撃情報から犯人グループのアジトが判明し、博士を脅す銃声を聞いた大樹達はブラスアップ。チンピラがヘッドギアを装着して 放つ念動ビームに苦戦するブレイバーだったが、念動ビームに合わせてパイルトルネードを撃つ、という荒技でヘッドギアを破壊し、 犯人の逮捕に成功する。
 「ソルブレインのくせに人間を撃つのか」みたいに犯人が脅えるのですが、撃ちました(笑)  最初は粘着弾撃つのかと思っていたのですが、普通に、破壊光線を撃ちました。
 幸い相手が念動ビーム撃ってくれたから相殺されたものの、タイミング的には、

 完全に殺りにいっていたような(^^;

 まあ、パイルトルネードちょっと使わないと……的な感じで挿入した結果なのでしょうが、嗚呼、 かくも力は人を狂わせるのか。
 解放された博士は憎しみを込めてヘッドギアを踏み壊すが、それを止めるコソ泥。「世間に捨てられた」という博士に対し、 「自分は捨て子で最初から捨てるものさえ持っていなかった」と語るコソ泥の姿に、博士は自分だけが孤独ではない事を知ると、 刑務所を出たら一緒にやっていこう、と気持ちを新たに人生をやり直す事を決断し、コソ泥はそれに答えずに背中を向けて 連行されていくのであった……。
 いい年した男同士で「私には君が必要だ!」とか叫ばれると、いい話を通り越して、若干、笑うしかない感じになって、ここは少々、 やりすぎだったような気はします(^^;
 ソルブレインへの帰路、パトカーを停めた大樹とコソ泥は、川辺で夕陽を見つめる。
 「隊長さんよぉ、俺、なんて挨拶すりゃあいいんだろうな。ムショから出て、爺さん、尋ねるときにさ」
 「ただいま、でいいんだ」
 全編通して、基本的に博士やコソ泥の立場が理解できない大樹が、最後だけ急に物わかりが良くてちょっと変ではあるのですが、 いい台詞。今回のエピソードを通して、大樹も少し社会の爪弾きにされてきた人間の気持ちがわかるようになってきたという演出なのか。
 (シチュエーション的には逆ですが)“駄目人間を立ち直らせる為に事件現場へ連れて行く”とか、 “道を踏み外した人間同士がやり直そうとする”とか、前作7話(駄目オヤジ回)・33話(浦島太郎回)辺りを思わせつつ、 非常に原点回帰(『ウインスペクター』初期)的なエピソード。
 原点回帰であるが故に『ウインスペクター』的お約束を思わせる部分が多かったり、終盤少々しつこくなりすぎた所もあり、 名作回というほどではありませんでしたが、大樹の肉付け、という点では良い回だったと思います。高岡を相手に思い悩む大樹が、 ここで一度、本当の意味での「人の心を救う」という事に対して自らの意思で行動する、というシチュエーションは良かった。 それが前作の竜馬さんの行動とほぼ一緒なのは作品として問題ですが(^^;
 次回、
 またも危機に陥った大樹を竜馬さんが助ける模様。
 ヒロインは誰だ。

◆第45話「標的は小さな証人」◆ (監督:小笠原猛 脚本:宮下隼一/鈴木康之)
 脚本は、42話でやらかしたコンビ。
 メタルヒーローシリーズのこの辺りで、若手(というか新人)の脚本家がやたらに投入されてきて、東映の偉い人がキレた、 みたいな話を小耳に挟んだ記憶があるのですが、 若手の書いたものに宮下さんが手を入れて、みたいな連名なのかなぁ……詳しくは後述しますが、今回、非常に基本がなっていない(^^;
 警察官殺害犯の目撃証人の保護の為に、山奥のログハウスへ向かう大樹。目撃者の少女、 弓月ひとみは証言を拒否しており山荘から出る事も嫌がるが、そこに何者かが銃撃を浴びせ、大樹は手帳兼無線機を破壊されてしまう。 足の不自由なひとみのヘルパー・洋子の助けもあり、その場を車で脱出する大樹達だが、追いすがる犯人の銃撃を受けて車はパンク、 ひとみを背負って山中の逃亡を余儀なくされる。
 不意打ちとはいえ銃撃戦で大樹を寄せ付けない犯人が強すぎるのですが、世紀末TOKYOディストピアでは、 傭兵経験のある日本人はごくごく一般的なので仕方がない。
 どうも警察に良い感情の無いらしいひとみに、
 「つけられたのよ、あの男に」
 と責任を問われる大樹さんですが、まあ、言われても仕方ありません(笑)
 そして大樹はなぜ、ひとみをヘルパーさんに背負わせる。
 いざという時に戦闘力のある大樹の手が空いてないと困る、という理屈もありますが、どう考えても追跡者から距離を空ける方が 優先事項だと思うのですが。
 後の展開も考えると、大樹が背負おうとして、ひとみに拒否されるシーンとかカットしちゃったのかなぁ(^^;  あまりカットシーン推測も良くないのですが、そうでも思わないと、大樹が酷すぎます。
 そして文字通りの命がけの逃亡中に、
 「少しは協力する気持ちになってくれたかな?」
 とか、なんですかこの鬼畜生命体は。
 そんな大樹に、ひとみの事情を語る洋子。
 1年前、ひとみは交通事故で両親を失い、同時に両足に大けがを負って車椅子の身の上となっていた。ひとみの父が「ワインを軽く1杯」 飲んでいた事から、警察はそれを事故の原因と断定。ひとみは「お父さんは酒に強く、酔ってなんかいなかった。原因は対向車のライト」 と主張したが聞きいれられず、それ以来、ひとみは人間不信、とりわけ警察不信になっているのであった。
 えー……
 飲んだら乗るな、乗るなら飲むな
 まさしく、軽く一杯だろうが、酒に強かろうが、酒は酒であり、飲酒運転の上に、どう回想映像を見ても 娘に気を取られて完全に脇見運転をしていて、視聴者がひとみちゃんに同情をする余地が吹っ飛んでいるのですが、 正直もう、何をしたいのかわかりません(^^;
 医者によるとひとみの足は肉体的には完治しており、後は心の問題だけなのだと言う。そんなひとみから花飾りをプレゼントされた 洋子はハンカチを濡らしに川に行った所を犯人に捕まってしまう。その男の名は、シゲル。何とかつての洋子のボーイフレンドであり、 しかも1年前にひとみを巻き込んだ交通事故の際、暴走する対向車に乗っていたのは彼女とシゲルだったのだ!  銃声を聞いて洋子の元へ向かった大樹は拳銃を奪われ、洋子とともに川に落下。流れ着いた河原で1年前の真実を聞く。 事故を起こしたシゲルと洋子は、その場を逃走。死亡事故の犯人になるという恐怖から警察に届け出る事の出来なかった洋子だが、その後、 ひとみの事を知り、せめてもの償いとして彼女のヘルパーを続けて来たのであった。
 連絡の途絶した大樹を心配して応援に駆け付けた玲子と純を加え、ひとみを連れたシゲルを吊り橋で待ち受ける大樹達。 シゲルのダイナマイト攻撃に苦戦し、あわやひとみちゃん木っ端微塵のピンチに陥るが、 すんでの所で現れたナイトファイヤーがダイナマイトを消し飛ばし、犯人を逮捕。シゲルの口から1年前の洋子の真実を知ったひとみは 一旦は彼女を拒否するが、「洋子さんが君に償おうとした、今日までの事を思い出すんだ」、という大樹の説得を受け、 自分の足で洋子の元へ向かうと、二人はしっかり抱きしめ合う……と最後は何となくいい話にしてまとめるのですが、 ひとみちゃんの後ろで終始棒立ちの竜馬さんがえらく間抜け。
 というか、竜馬さんは何をしに来たのか?
 話に全く絡まないのに、ブレイバーが苦戦しているところに最後の最後だけ出てきて犯人を捕まえる、という 戦隊で言うなら2号ロボのような使われ方。
 …………いやまさしく、2号ロボなのか(^^;
 同コンビによる前エピソード(42話)のような致命的なやらかしは無かったものの、ぞんざいすぎる竜馬さんの使い方、 手帳とプロテクターが無いと増田レベルで役に立たない大樹、どう言いつくろおうと飲酒運転を否定できないお父さん、 と全体的に困った内容。事故の回想はせめて、映像で明確に対向車が危険運転をしている所を一緒に見せておかないといけないので、 これは監督も悪いのですが。
 そして色々と駄目な話を、最後にテンプレートのいい話にして誤魔化す、と駄目の上塗り回。あそこから更に酷い話にされても困るので、 テンプレートはテンプレートで別に構わないのですが、テンプレートならテンプレートのやり方があるわけで、どうして、 “ヒーローを格好良く描く”という基本の基本をすっ飛ばすのでしょうか。
 こういう回こそ大樹/ソルブレイバーを活躍させなければいけないのに、犯人にはひたすら翻弄され、少女には酷い言葉を投げかけ、 難しい話になるとだんまりモード、明らかな判断ミスで民間人を危地に陥れ、挙げ句の果てにダイナマイト無双で手も足も出ない。
 これで最後だけ急に説得モードに入られても困ります。
 ヒーローの説得力とは、積み上げてきたヒーロー性(ヒーロー的行動)によって担保されるものであり、そこを描いてこそなのだという、 基本が全くなっていません。反省。要反省。
 なお、やたら強い犯人がダイナマイト無双で身動きできない子供が人質にされて吊り橋で大ピンチ、というシチュエーションは 前作第19話「愛と勇気の父子橋」にそっくりなのですが、確認したら宮下隼一の脚本だったので、(プロセスはもちろん違いますが) ネタに困ってクライマックスの状況設定をそのまま持ってきた疑惑。

◆第46話「天才瞬間製造機」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:杉村升)
 片山研究所で火災が発生し、孫のトオルという少年は無事に助け出されるが、戸棚の下敷きになった片山博士が意識不明の重体に 陥ってしまう。火災の原因は、研究所に忍び込んだ暴漢の手によるものだった。暴漢は博士が発明していた機械を奪って逃走、 この火災で設計図が燃えてしまった事もあり、博士がいったい何を研究していたのかは「子供達のための研究」だという事以外、 謎となってしまう。
 ところが、機械が盗まれる前に、こっそりそれを動かしていたトオル少年の身に異常が起こる。突然、記憶力が抜群に良くなった というのだ! ソルブレインの前でそれを実証してみせたトオルは事件現場での出来事に記憶を集中し、暴漢の腕にアザがあった事を 思い出す。
 どうやら一種の、カメラ記憶能力な模様。
 今日はすっかりソルブレインの一員として活動する竜馬を交え、捜査線上に浮かび上がった三好カズオという男に接触する大樹達。
 逃げる三好カズオに、竜馬さん必殺の飛び回し蹴りが炸裂!!
 だが捕まえた三好は前科二犯のこそ泥で、科学の知識もない。盗んだ装置をどうこうできる筈もなく、共犯者の存在が推測される。
 一方その頃、トオルは意識の回復しない祖父の為に、燃えてしまった設計図を思い出そうと集中し、それを書き上げる事に成功する。 祖父の見舞いにそれを見せたトオルに迫る影、それは事件の黒幕にして片山博士の元助手、西川であった。西川はトオルの書き直した 設計図をもとに機械を修理すると、その開発を自分の手柄とするためにトオルと博士を亡き者にせんとし、まずはトオルを時限爆弾で 吹き飛ばそうとするが、そこへ駆け付けるソルブレイン!
 追い詰められた西川はマシンの光を自ら浴びて設計図を覚え込むと、設計図に火をつけるという自爆テロに走るがナイトファイヤーに 逮捕され、トオルもブレイバーらによって無事に助け出される。
 何故かパーティが、ブレイバー・ジャンヌ・ドーザー、と、ナイトファイヤー・増田、という組み合わせなのですが、増田、 凄く、足手まとい……。
 事件は無事に解決し、片山博士も意識を取り戻して大団円。
 さて、博士の開発した装置の正体は……?
 取り調べを受けながら、カレーをかきこんでいる西川を、にやにや笑いながら取り囲む大樹達。彼等は大樹に、 機械の光を浴びて記憶力が発達したのなら覚えたはずの設計図を思いだしてみろ、と言うが、西川はそれを思い出す事が出来ない。
 実は博士が開発したのは、記憶増強装置ではなく、人間の眠っている能力を子供の内に引き出す、という装置だった。 トオル少年はたまたまそれが記憶力であったというだけで、誰もが記憶力が強化される、というわけではないのだ。 がっくりと落ち込む西川であったが、その手にしたスプーンが、見事にぐにゃり。
 なんと西川は、装置によって超能力に目覚めていたのであった!(笑)
 そして冒頭から、ロッカーの暗証番号を忘れて必死に数字を合わせていた増田、遂に鍵を開ける事に成功。
 「人間やっぱ努力ですよ!」
 というのが、たぶん今回の真テーマ。
 正木「ところで純、開けて何するつもりだったんだ?」
 増田「え? あれ?」
 と、音楽も含めて珍しくコメディタッチのエンディングなのですが、軽く流しているけど、えらいパラダイムシフトの 起こる発明なような。
 世紀末TOKYOディストピアの未来は、色々怖い。
 それにしてもこの終盤に来て連続で、凄く前作『ウインスペクター』を思わせるエピソードが続きます。悪いわけではないのですが、 ここまで来てやるのなら、もっと早めにやっておけば良かったのに、という内容が多い(^^; 増田と玲子の軽いやり取りとか 悪くないだけに、キャラ同士の絡みを前半からこういう感じで積み上げてくれていればなぁ……と思わずにはいられません。 やはり『ソルブレイン』は、2クール目の迷走が痛かった。
 次回、物凄く扇澤脚本の匂いですが、さて。

◆第47話「脱線!占い捜査隊」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
 二人組の犯人による10億円強奪事件の時効が間近に迫り、「占いに頼るってのはどうですか?」と増田の素っ頓狂な発言で、 増田曰く“凄い占い師”のもとへ向かうソルブレイン一行。街角にテーブルを出して大行列のその占い師であったが、 実は整理係の男がそれとなく聞き出した悩みの内容を無線で占い師の女に伝えるという、いわゆるホット・リーディングを用いていた。
 それを大樹に指摘された増田は大声で「いんちきか」と言ってしまい、集まっていた客達が全て去ってしまう。
 そんな増田に、つかつかと歩み寄った女占い師・薫の、平手打ちが炸裂!
 「あんたいくつよ? 世の中ぜーんぜんわかってない」
 うんそいつは、わかってない。
 「占いっていうのは、悩んでいる人達に希望を与えてあげるのが仕事なわけ。うまくいかない人達がいれば、必ずいい事がある、 って肩を叩いてあげるの。人間そう言われりゃ、そうかなあっ、てがんばっちゃうでしょ」
 その言い分に、うんうん頷くドーザー(笑)
 更に何か言おうとする増田を止めようとする大樹であったが、
 「隊長? はっ、どっかで見たロボットが居ると思ったら、あんた達、ソルブレインね」
 「ごめんなさいね、あなた達の仕事の邪魔をするつもりは、なかったのよ」
 玲子さんもたいがい、上から目線。
 「わかったろう純、占いで事件を解決しようなんで無理なんだ」
 「占いなんか信じた俺が馬鹿だったんですね」
 火に油をそそぐ増田。
 「占い、なんかぁ……?」
 「あ……いえ……」
 「ソルブレインの、馬鹿!」
 腹の虫が治まらない薫はソルブレインに一泡吹かせてやろうと復讐を計画。占いで整理係を務めていた、 姉に頭の上がらない弟・昌平もそれに巻き込まれる事になる。
 「大火事起こしてやるのよどかんと一発!」
 と派手にぶちあげる姉を止めたいが止められない弟。
 姉がソルブレインと揉めている間に物陰に隠れて見ているだけから喫茶店のやり取りまでで、姉弟の性格と関係を見せる展開は鮮やか。
 発煙筒とテープレコーダーを組み合わせて偽の火事を仕掛け、ソルブレインに一杯食わす所を妄想する薫。
 「どうして……正義の味方の僕たちが、なんでこんな悪戯されなきゃいけないんだ!」
 妄想の玲子さんがコミカルな演技で楽しそう。
 廃工場に罠を仕掛けた薫はソルブレイン本部に乗り込んで火事を予告(占いで予言)、現場を見下ろせるビルの屋上でソルブレインを 待ち受けるが、予告した時間、なぜか廃工場は大爆発。ソルブレインがレスキューに駆け付けて消火にあたり、 現場からは放火装置と焼死体が一つ発見される。慌てて逃走中に捕まって、任意同行を求められる姉弟だったが、 火災が発生したのは薬品倉庫からで、姉弟が発煙筒を仕掛けたのは動力室であった。いったいどうして……?
 ここで、回収されてきた発煙筒の時限装置を見て、
 「どうしてこんな初歩的な配線ミスしちゃったの?」
 と亀さんがコメントするというのは、亀さんの使い方として秀逸。亀さんは本当に、こういう細かい所で“メカに詳しい” のを随時アピールするべきでした。
 更に、発見された焼死体の死因が火事ではなかった事が判明。放火は、運び込んだ死体を始末するためのものであり、 どうやら真犯人に利用されたらしい姉弟を、ソルブレインは釈放して泳がせる事にする。
 おそらく作品のタブーであろうレスキュー現場での焼死体を出して視聴者を驚かせると同時に、姉妹を引っ張るに充分な利用を つけつつ、軽い悪戯の筈が重大事件に?! という面白みを出し、その上で作品のタブー回避(実は焼死ではなかった)を 事件の真相に繋げる、という構成はお見事。
 それにしても本部に乗り込んできた時といいどうして、大樹の薫を見る目は、妙に(上から)楽しそうなのか。
 釈放された薫は増田に「あんたさー。その単細胞のオツム直さないと、彼女できないよ?」ともっともの罵声を浴びせ、 「今度は絶対バレない手考えるから」と捨て台詞を残して去ると、今度は事件の真犯人を捕まえて一泡吹かせてやる、 と姉弟が悪戯火事を起こそうとしていた事を唯一知る人物、あの喫茶店のマスターを尾行。そんな二人を、増田が更に尾行。
 増田からの連絡を受けて喫茶店のマスターの前歴を探ったソルブレインは、荒井というマスターが、かつて10億円強奪事件の 重要参考人として事情聴取を受けていた事を知る。多額の借金の取り立てに追われていた荒井であったが、1週間後に返済のあてがあると 債権者に約束していたともいう。10億円強奪事件の時効は一週間後……事件の犯人は二人組……荒井が姉弟の計画を利用して火事を 起こし、時効を前に相棒を始末して10億円の独り占めを目論んだならば、全ては繋がる――!
 さっそく増田へ連絡を取る大樹達であったが、増田は姉弟ともども、3人まとめて見事に捕まっていた。 縛り上げられ、ガソリンをまかれ、まとめてこんがり焼死体にされそうになる3人。
 「こら犯人! おまえの事をあの世で待ってるからね、あたし! いつか、おまえがあの世に来た時、往復びんた百発ぐらいかましてやるからね!」
 「あんたって、常識外れに気が強いんだね」
 感心する増田(役立たず)に、15の時に両親を亡くし、それ以来、弟を育て上げてきたと語る薫。そんな姉弟の人生に、 「こら弟! どうして大学を中退した!」と調子を合わせる増田(役立たず)。ひたすら泣きの入る弟だが、 「こんなヤツに謝るんじゃない昌平。言ってやれ言ってやれ」と、姉は弟が高い学費を気にして自ら中退した事実を知っていた、 と互いを思いやる姉弟の姿。
 「泣くなよ昌平……泣くなったら」
 だがそこへ、隠していた金の積み込みを終えた犯人がライターを手に姿を見せる。
 「さあ……いよいよ三人とも最後の時が来たな。あの世で会えるのを楽しみにしてるよ」
 実に洒落ていて、小憎らしい台詞。
 ガソリンに火がつけられ、炎上する倉庫。車で立ち去ろうとする犯人だったが、その前にソルブレインが駆け付ける!  大樹は取り調べ室から釈放する際に薫がポケットに突っ込んでいく形で残していった無線受信機(占いに使っていたものだと思われる) の周波数からクロス2000に送信機の位置を辿らせ、彼等の場所を発見したのだった!
 炎上爆発する寸前、増田(役立たず)達を救出するソルブレイバーとジャンヌ。
 ブレイバー、竜馬先輩の真似をして、薬品をトルネードバーストで吹き飛ばす。
 逃走する犯人は車でドーザーを蹴散らすが、そこに駆け付けたナイトファイヤーによって逮捕される。ナイトファイヤー/香川竜馬は ヘルメット脱いで顔出しまでしながら台詞が無いという相変わらずの2号ロボ扱いなのですが、ドーザーを蹴散らした犯人の車に 突っ込んでいったのが格好良かったので、まあ良し。
 どうしてこの場所がわかったのか、について大樹が3人にネタばらし。
 「これのおかげさ。運が良かったんだ」
 「何が運よ。こうなる事を予想して、それ渡しといたんじゃない。最初から私の占いに出てたもん。ふふーんだ」
 強がる薫であったが、皆に見えない所で涙を流すのであった。
 と、最後まで「占い」とか「泣く」という途中途中で振った言葉をキーワードとして用いる、という扇澤脚本らしいテクニカルな拾い方。
 惜しむらくは、キーアイテムとなった無線受信機が、取調室で凄く強調して大樹のポケットに入れるので何か伏線であるとはわかるものの、 見た目で何だかわかりにくかった事。これが映像的にすんなりわかるものであれば、もっと良かったのですが。
 こうして事件は解決し、薫と昌平は
 「10億円強奪事件の犯人をピタリと当てた占い」
 と幟を立てて占い師稼業を再開し、転んでもタダでは起きない姉弟であった。
 ナレーション「でこぼこの きょうだいたわむる ふゆのひるさがりかな  じあまり」
 で、オチ。
 全編に扇澤脚本らしさが溢れた、名作回。
 これで、市民に対して暴言を吐きまくる増田(役立たず)が姉弟を守って刑事らしい 活躍を見せる(事でちょっと見直される)ようなシチュエーションがあれば、完璧だったのですが。
 増田がいいとこ(別に戦闘で活躍しなくても、犯人から姉弟をかばうとか、そういうレベルでいい)見せるのかと思いきや、 場面変わったら捕まっている上に火がついても何をするわけでもなく今回も「ブレイバー!」「ブレイバー!」と叫んでいるだけだった、 というのは実に残念。
 『ソルブレイン』にしては珍しく、亀さん、ドーザー、玲子、としっかりキャラを使い切っていただけに、 増田の見せ場を用意できなかった所が、惜しかった。もはや増田は、作っている側でも、増田だから仕方がない、 というレベルの存在なのか(^^;
 そしてやはりこの時期、特撮ヒーロー物において、脚本のテクニカルさでは扇澤延男と井上敏樹が双璧。 90年前後のメタルヒーローものが全く抜けていた為なのですが、扇澤延男という脚本家をここまで知らずに生きてきたのは、 実に勿体なかったなぁ。これなら『ジバン』も、扇澤脚本回だけでも見たかったレベル。

◆第48話「今日もいないパパ」◆ (監督:小西通雄 脚本:鷺山京子)

 また轢く?!

 道に飛び出してきた少年・ミツルの回避に成功した大樹は、その父・北山が苦しみだして倒れる現場に遭遇、 彼を家まで運ぶのに協力する。妻によると北山はこの半年間、会社から一度も家に帰らず、今日やっと「息子が病気」 だと言って帰宅してもらったのに、それが嘘だと知ると「会社に帰る」とすぐ帰宅しようとしたという、少しばかり異常な状況であった。
 北山が勤めるのは、週休5日を売り物に1年前に誕生した怪しすぎる工作機械メーカー、ホリデー工業。 会社は良好な労働条件をアピールして優秀な技術者を次々と引き抜き、北山もその一人であったが、休みがあったのは最初の間だけ、 北山はある時期から全く、家に帰ってこなくなってしまったのだ。
 北山父はもともと家族サービスの時間を取りたくて転職したという事なのですが、さすがに夢見すぎだと思うんです、父!
 巧い話には裏があるのが世の常人の常、その日の夜、居間で苦しみだした北山は狼男のような姿に変貌するとベランダから外に飛び出し、 車を破壊するなど大暴れ。
 仕事のストレスを発散だ!(違う)
 後を追ったミツル少年に家に連れ帰られた北山父は、何事もなかったかのように翌日、会社の人間に連れられてホリデー工業へと 帰ってしまう。異常な出来事を目撃していたミツルはそれを警察に伝えようとするが、会社の人間に拉致される……。
 実はホリデー工業は、超電磁波動の研究で大学を追われた北山という研究者をバックに、超電磁波砲の研究を行っていた。 そしてその電磁波の影響によって細胞が変質した社員を、マインドコントロールによって洗脳し会社に留め置いていたのだった!
 北山の件からホリデー工業を探った大樹は、社内に洗脳音波と、超電磁波による破壊作用を抑える正反対の周波数が流されている事を 突き止める。だが、超電磁波砲は遂に完成。国外へ高飛びを計る社長達は、捕まえたミツルと社員ともども、研究所を吹っ飛ばす 時限爆弾を仕掛けて去っていく。
 両手両足を縛られたまま起用に床をぐるぐる回るミツル少年。
 「パパ、助けて!」
 という少年の叫びがマインドコントロールの呪縛を解き、北山は時限爆弾を解除しようとするが、その時、狼男化。 ギリギリ間に合ったソルブレインが時限爆弾を解除している間に研究所を飛び出し、社長達の取引現場に殴り込むが、 今度はそこで変身が解除されて倒れてしまう。北山へ向けられる銃口……だがその時、ソルブレイバーが登場。 超電磁波砲をパイルトルネードではじき飛ばし、犯人グループは逮捕。社員達も無事に助かり、北山一家は絆を取り戻すのであった。
 以前にも相殺攻撃をやりましたが、ギガストリーマーの扱い方といい、瞬時に相手の武器の威力を見積もってエネルギーを調整する のが大樹の特技な模様。さすが、SWAT仕込み。
 シリーズに通底したテーマである“家族(親子)の絆”を真っ正面からメインに据えたエピソードなのですが、ミラクルアイテム 「電磁波」が暴走しすぎて、ちょっと話にノレませんでした。サブタイトルは良かった、んですが……。
 また、北山父の怪人化の描写が第5話「怪人がくれた勇気」(監督:小笠原猛 脚本:増田貴彦)と完全にかぶってしまい、 これはなんとかならなかったのか。

→〔まとめ9へ続く〕

(2013年4月26日)
(2019年12月27日 改訂)
戻る