■『特救指令ソルブレイン』感想まとめ4■


“悪を見たら燃え上がる
その名もファイナルウェポン
ガガガガガ ギガストリーマー”

 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特救指令ソルブレイン』 感想の、まとめ4(19〜24話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第19話「亀ちゃんと探偵娘」◆ (監督:石田秀範 脚本:扇澤延男)
 後に<平成ライダー>シリーズで主力を務める事になる、石田監督のデビュー回。
 ううーん、全体的にテンポが悪いというか、おかしい。加えて台詞回しも変だし、筋もぐちゃぐちゃだし、扇澤脚本のアベレージ を考えるとここまで出来が酷いというのはなかなか考えにくいのですが、監督の経験不足も含めて、現場のアレンジと元脚本の相性が良くなかったか。
 脚本はシリアスのつもりで書いていたのに、監督がコメディだと思って演出した、という可能性もあるレベル。
 ソルブレインに出向していた超分子科学の優秀な技術者・谷内が、自宅ポストに仕掛けられていた爆弾により死亡。捜査を進める ソルブレインは、事件前夜に谷内の家を訪れていた、妹を名乗る少女の存在を知る。だが谷内に妹はいない筈……彼女を追うソルブレイン だが、少女の正体は、亀吉につきまとっていた自称探偵小説作家の卵・井上一二三。実は谷内は幼い頃に親戚の家に養子に出されており、 一二三は間違いなく実の妹であった。亀吉に付きまといながら事件を追う一二三は、谷内の師・矢部博士を犯人ではないかと疑う。そう、 事件の真相には、研究の功績を独り占めにしようという矢部の狂気と暴走があった……。
 ゲストキャラの一二三が色々な意味で、当時人気のあったタレント、とかでもないと納得の出来ないレベルなのですが、調べた限りでは 特にわからず。
 亀吉の好みにどストライクだったのか、亀吉が普段死ぬほどもてないのか、写真を一度撮っただけで(しかもメインはドーザー) 一二三への亀吉への転び具合が、ほぼ洗脳。なんかもう、俺に話しかけてくれたからあの娘は俺が好き、 とか、中学生か、みたいな具合なのですが、その辺りは台詞で補強するか(「好み」だったら「好みだ」で良いわけで)、そうで無ければ 一目惚れみたいな強調をしないと、物語の主軸にも関わらず説得力が無さすぎます。玲子さんが拳銃を持ち出して後ろから亀を撃ちかね ないレベル。
 やにさがって本部長に、事件について色々聞かれて喋っちゃいましたーてへっ、なんて報告するのも頭おかしいですし。 一服盛られた可能性も考慮したい。
 クライマックス、分子活性化システムの中にに入れられた一二三を救う為に、亀吉が工具を用い、玲子が酸素吸入器でサポートし、 ブレイバーとドーザーが炎と瓦礫を防ぎ……と各キャラがそれぞれの得意分野で分業をする所は良かったです。
 せっかくの亀吉スポット回だったのですが、上記の一二三との関係性における心情描写がすっ飛んでいるので、全てが唐突すぎて、 スポットというほどスポットにならなかったのは残念。
 そして増田はどうして、トマト色のシャツ。

◆第20話「涙の手錠を打て!」◆ (監督:石田秀範 脚本:山田隆司)
 伝説のバズーカ使い、日本上陸。
 自衛隊相模基地が謎の男に襲撃され、バズーカ砲や爆薬20キロなど、多くの武器が奪われる。そしてその武器を用いたと思われる、 殺人事件が立て続けに発生。殺された大学生達の繋がりを追っていたソルブレインは、彼等が数日前に轢き逃げによる殺人容疑で事情聴取 を受けていた事を知る。
 実際に留学生を轢き殺していた3人の学生だったが、最後に残った一人・如月の父や別荘管理人の証言により、偽のアリバイが証明 されていた。如月の父が代議士であり公安委員会の幹部だった事もあり、事件は闇に葬り去られようとしていのだ……しかし、 それを許さぬ一人の男が居た。
 ――死亡した留学生の養父であり、FBI教官。FBI留学時代の大樹の師にして、隠密行動、格闘術、砲撃、そして 爆薬のプロフェッショナル、その名は、デビッド・コスギ!!(演:中田譲治!)

 何故バズーカ?

 そしてFBIに留学したら、どうもSWATに放り込まれたっぽい大樹さん。
 きっとロス市警。
 別荘の管理人を拷問し、アリバイが偽証であったという真実を知ったコスギは、娘の復讐の為に轢き逃げ犯の二人を殺害、最後の一人・ 如月に標的を絞っていた。
 一方、闇夜のバズーカ砲撃、冷蔵庫の手榴弾トラップという殺害の手口、自衛隊を圧倒する 格闘術からコスギの存在を思いだしていた大樹は、轢き逃げの被害者が彼の養女である事、そして遺体引き取りの為にコスギが 来日していた事から、復讐鬼となった彼が闇に蠢いている事に気付いてしまう。
 回想シーンの大樹が、髪をおろしていて面白い(笑)
 にしても、まさかこの数年後に、戦隊に本物のコスギ父子が出演する事になろうとは、恐らく誰も夢にも思うまい。
 正木から捜査を外れるように命令される大樹だが、警官としての心構えを教えてくれたコスギと自ら対峙する事を決意する。彼の教え ――犯罪者の心の哀しみに、手錠を打つ為に!
 『ソルブレイン』になってから珍しく、大樹がヒーローとしての意思を貫く為に正木の制止を振り切る、というシーン。前回ちょっと 書きましたが、こういうシチュエーションはもっと早い内に入れておいた方が良かったとは思います。
 一足早く如月親子の屋敷に向かった正木らは如月息子の身柄を確保しようとするが、父親に拒否される。だが既に、屋敷の庭には トラップが仕掛けられていた! トラップを陽動に如月息子をさらうコスギ。駆けつけた大樹はブラスアップしてコスギを追うが、 地雷コンボを受けて転がり回るソルドーザーすら倒すコスギだったが、最後は ブレイバーと撃ち合い、必殺のバズーカを取り落とす。ジャンヌらが如月息子を助けた時、しかし最後のトラップが発動! 仕掛けて あった手榴弾の爆炎に皆が包まれるが、ソルブレインはなんとか如月息子を助け出し、コスギを逮捕する事に成功する。

 科学バンザイ

 捜査官としての腕で勝ったと思うなよ?! そのスーツの性能だという事を忘れるな! みたいな。
 ブレイバーとコスギの対峙シーンでコスギが「おまえは撃てない」と言うのですが、大樹の葛藤が描かれずにいきなり撃ち合いに なってしまうので、心の問題ではなく、スーツ着ていたから大樹が勝った、みたいなシーンになってしまったのはちょっと残念。実際 まあその通りではあるのですが、シーンとしてはそういう表現をしたかったのでは無いと思うので。
 犯罪者に堕ちた師匠との対決、という、これで盛り上がらない筈がないエピソードで実際なかなか 面白かったのですが、同時に、『ソルブレイン』の良くない部分も出た回でした。
 “醜悪な犯罪者(如月親子)が始末されない”というのは構いません、むしろ、“醜悪な犯罪者だからといって殺していいわけではない” という事こそが、今作ではテーマであるべき(そうでなければ『必殺!』になってしまうし、それはそれで有りだけど、別の作品)で、 親子は視聴者の誰も求めなくても、助けなくてはいけない。
 しかし、であるならば、エンターテイメントとしては、他のカタルシスが用意されなくてはなりません。
 今シリーズには、それが欠けている事が多い。
 如月親子の抹殺はソルブレインが止めました、そして如月息子は自分の罪を反省しました……というのは綺麗事になるかもしれませんが、 エンターテイメントとしては必要であると考えます。時には苦いエピソードがあっても良いかもしれませんが、今作はその辺りのバランス が悪すぎます。どうも、作り手の求めるリアリティが、悪い方向に出ている。
 そして、やるせない話の中にも前向きなメッセージ性が込められているならわかるのですが、そういうわけでもない。
 今回で言うならば、“醜悪な犯罪者だからといって殺していいわけではない”という所から、真の正義とは何かを問うていかなければ ならないのに、悪びれない如月父を殴り飛ばし息子の首にクロー技を決めたコスギを止めた大樹は、その息子を突き飛ばし、
 「おまえがコスギ教官のお嬢さんをはねなければ、おまえたち親子が素直に犯行を認め、自首していれば!」
 と、むしろ私情丸出しで、自分のやるせなさを吐露してしまう。
 そして大樹がそれを吐露したところで、如月親子は特に反省するわけではない。
 ここで重要なのは、もはやコスギに納得してもらう事ではなく、如月親子に物語の因果応報としての一定の罰ないし償いをさせる所に あると思うのです。どうもそこを、履き違えている。
 だから、すっきりしない。
 それだったらいっそ、コスギを逮捕した大樹が激しく慟哭するシーンで終わるとか、そのぐらい突っ切ってしまえばむしろ納得できる のですが、妙に綺麗にナレーションで「苦い事件だけど、明日からまた頑張ろう」みたいにまとめてしまうのも、今作の悪癖。
 筋は悪くなかっただけに、どうもこの、シリーズのテーマ的なバランスの悪さが気になります。
 こういう時こそ、正木に「私が必ずあなた達の罪を暴いてみせる」とか言わせてしまえばいいのですが。そうする事で正木のヒーロー性 も担保されるし、涙を飲んで法の上の正義を執行した大樹と、そんな部下の為に改めて法に基づいて真実をあぶり出そうとする正木、 というのが対比されて二人ともに浮き上がるのですが……こういう時に限って、正木も一緒にもやもやしているし。
 もちろん私の好みの問題もありますが、『ソルブレイン』はどうにもこう、ツボから微妙にズレ続ける。
 さて次回、
 「あのギガストリーマーが帰ってきた」

 えー、なんだろうこの、村人Aが封印を解いて眠っていた魔王が甦ってしまいました、 みたいな気持ちは。
 ま、それはさておき、
 「そう、待ってたぜ、俺達の!」

 ……竜馬さぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!

 超、わくわく。

◆第21話「帰ってきたWSP 」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:杉村升)
 どうやら世界をまたにかけてギガストリーマー乱舞を行っているらしい竜馬さんの依頼で、ICPOから預かった ギガストリーマーのオーバーホールを行ったソルブレインでは、大樹がその最終テストを行う事になる。何故なら、世界広しといえども、 ギガストリーマーマキシムモードを使用可能なのは、ファイヤーとブレイバーだけだから!
 ……本当に、何を考えて作ったのでしょう、このオーバーキル兵器。
 いつもの試験場へと向かう道すがら、
 (ファイヤー……ウォルター……バイクル……おまえたちは今でも、私にとってかけがえのない存在だ)
 という正木の台詞から、前作の回想シーンへ。
 ……えーとあれ、本部長、ひとり、お忘れではないですか?
 と思ったのですが、映像の方では何故かしっかり、純子さんの見せ場特集もありました。純子さんどころか、完スルーされるかと 思われた久子さん特集まであった。
 にしても、竜馬の回想メインがよりによって、vs死神モスのスーパーカー回。
 こんなとんでもアクション回でなくても、もっとテーマにあったレスキュー回とかあった気がするんですが!
 そして台詞とは裏腹に出番の無い、バイクルとウォルター。
 回想シーンのチョイスに色々と疑問はあるものの、物凄く稀少な、優子とのシーンで締めたのは偉い(笑)
 試験場で凄く不吉なBGMでテストに挑むブレイバーだが、射撃時の反動を制御する事ができない。 自分の能力に自信を持つ為にも、使いこなせるようになりたいと射撃試験に挑み続けるブレイバーの姿を見ながら、正木はかつての ファイヤーの事を思い出す。
 (ファイヤーも試練に耐えてマスターしたのだ)
 
俺の右手の凄いやつ〜♪

 ここで入る、水木一郎による「ギガストリーマーのテーマ」?がなんか物凄い。
 今度の回想シーンは、ギガストリーマー登場編の、31,32話。
 ファイヤーがギガストリーマーを使いこなすまでの試練のように編集されていますが、ロボット刑事ブライアンとの戦いはともかく、 正木を血みどろにしたのは、警視庁のセキュリティシステムです。
 正木が回想にふけっている間、ついにギガストリーマーを的に当てる事に成功し、大喜びの皆。増田は「ファイヤーは二日かかったのに さすが先輩」とよいしょするが、大樹は比べるものではない、と首を振る。香川竜馬とは直接会ったことは無い大樹であったが、
 「扱った事件のファイルを見て、凄いなーと思う。尊敬しているんだ」
 ……えー……凄く心がこもってないんですが。
 そしてドーザーの台詞から、ロボット刑事繋がりでバイクルとウォルター主体の回想へ。前半の回想で使われないと思ったら、こちらで 使われました。
 ソルブレインはICPOにギガストリーマーのオーバーホール完了を連絡するが、竜馬は不在。行き先に対しても言葉を濁される。 そんな中、パトロール中にバイクルとウォルターの姿を見かける玲子と増田。
 「日本に来たならソルブレインに顔出してもいいはずなのに、いったいどういう事ですか」
 ……かつての職場を避けるウインスペクター。
 ……問い合わせに言葉を濁すICPO。

 結論:捜査対象は、ソルブレイン

 遂に国際警察機構の捜査が、正木の身辺に!
 その頃、大樹は街中で少年が銃撃される現場を目撃する。車の中から子供を銃撃した男……それは、香川竜馬だった! 少年を追う 竜馬を止めようとする大樹に炸裂する、竜馬さん必殺の飛び回し蹴り! 大樹を振り切った竜馬は車に乗って 走り去るが、果たしてその真意はどこにあるのか?! 今、二人のヒーローが交錯する!!
 あと本部長、回想シーンにデミタスが居なかったのですが、記憶から抹消してしまいましたか?!

◆第22話「非情のファイヤー <PART-2>」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:杉村升)
 明らかに不思議な事になっているサブタイトルですが、本来は「帰ってきたWSP<PART-2>:非情のファイヤー」という事なのでしょう。 どうしてこんな事になってしまったのかはわかりませんが(^^;
 街中で子供に向けて銃を撃つという竜馬の暴挙に混乱するソルブレイン本部。ICPOへの重ねての問い合わせにも「香川竜馬は不在。 日本には行っていない」の一点張りの中、バイクルから電話が入る。合流した本部長と大樹が話を聞くと、米軍機で極秘に厚木から日本に 入国した後、「この男を4日以内に捜し出さないと大変な事になる」と一人の男を捜索しに行ったまま、竜馬からの連絡が途絶えて しまったというのだ。
 まずは竜馬を捜し出さねば、と動くソルブレインに入る、豊島町で拳銃乱射事件発生の報! 発砲している男は、 香川竜馬と思われる!
 微妙に漂う、遂に通報されてしまったか感。
 まあ、世紀末TOKYOでは、住民がパニックにもならない程度の、よくある出来事ですが。
 現場に駆けつけたソルブレインは成り行きで竜馬が追っていた中年男をボーリング場のロッカールームにまで追い詰めるが、一つしか 出入り口の無いロッカールームに居たのは女が一人だけ。忽然と姿を消した男……いや、その女こそが、竜馬が追っていた男だった!
 男の正体は、数時間なら自在に姿形を変えられる最新型ロボット・メサイヤ。前回、竜馬が銃を向けた少年もまた、メサイヤの変身 だったのである。屋上に追い詰めた女(メサイヤ)に向けて情け容赦なく撃ちまくる竜馬だが、転落したメサイヤはそのまま逃亡 してしまう。
 ……4人居るのだから、誰か一人ぐらい、上から見張っていて。
 増田! 下っ端の増田!
 竜馬さんがパーティインすると、ただでさえ下っ端の増田の、チンピラ度の上昇が本格的に刑事とは思えないレベル。
 香川竜馬が極秘裏にメサイヤを追っていた理由……それは、命令違反を犯したメサイヤの頭脳に埋め込まれた自爆装置が起動状態に なっており、あと4日で大爆発を起こす為であった。市街地で爆弾が起爆するその前に、何とかメサイヤを確保・破壊しなくてはならない!
 警察の仕事というよりは特殊部隊というか、色々な意味で国際問題まっしぐらな香りがするですが、米軍のヘリに 乗せてもらったり、この世界のインターポールはどういう位置づけの組織なのだろう(笑) なんかこう、今川『ジャイアントロボ』 的な国際警察機構っぽいですが。
 かくてウインスペクターとソルブレインは協力してメサイヤの行方を追う事に。
 オーバーホールを終えた 悪魔の兵器 ギガストリーマーを手に「人の居ない場所におびきだし、マキシム モードで破壊する」と言う竜馬に、「しかし、ロボットにも心が!」と食い下がる大樹。屋上に追い詰められたロボットの表情、それが 忘れられない大樹には竜馬のやり方はあまりにも冷酷に思えたが、竜馬は大樹がロボットの擬態に誤魔化されているだけに過ぎないと 否定する。
 ここではまた、バイクル、ウォルターと、ソルドーザーが、「ロボットの心」――なぜメサイヤは自爆の危険を冒してまで命令違反を して日本にやってきたのか? について語り合うなど、前作では敢えて踏み込まなかった所に触れてきました。
 少し、『ブレードランナー』も入っているかもしれない。
 ……まあ自爆装置は、バイクルとウォルターにも付いているのですが。 あと多分、自覚 無いだけでドーザーにも。
 一方、逃亡したメサイヤは民家に押し入るとボディにめりこんだ弾丸を抜き取り、電話帳を漁ると1ページを切り取って姿を消す。 女→中年男性への変身シーンなど、少なくともメサイヤが竜馬の言う通りのロボットである事の、映像的補完。
 無くなっていたページからメサイヤが自身の開発チームの一員であった、松川電子工業の藤波博士の下へ向かっている事を察知した 竜馬はその研究所へと車を走らせる。ロボット工学の権威である藤波博士は、数年前までNATO(北大西洋条約機構)の関連組織で 働いていた。そしてメサイヤの誇る変身能力から、正木はメサイヤがNATOの開発した諜報用ロボットであると推測をたてる。 いったいこの事件の裏には何があるのか……?
 研究所へ乗り込んだメサイヤの放った銃弾が、研究所の設備に引火、大爆発する研究所。ウインスペクターとソルブレインが勢揃い してのレスキューアクションは、忘れそうになっていましたが、久々の本分発揮に各自の見せ場があり、かなり良かったです。 火事場を走る抜けるジャンヌさんとか、22話にして、初めてソルジャンヌが格好良かったような。
 ソリッドステ−ツ−1も、消火弾投下の新アクション。
 藤波博士を助け出したブレイバーは博士から「メサイヤが人間の意識に目覚めたのかもしれない」という言葉を聞く。研究所の奥で メサイヤにギガストリーマーを向けるファイヤー。研究室の書類を漁っていたメサイヤが手にしていたのは、瓜二つの顔の男が、家族と 共に映った写真。メサイヤは本当に、ただのロボットなのか?! 銃口を向けるファイヤーを、咄嗟に食らいついて押しとどめる ブレイバー。その隙にメサイヤは研究所から逃亡してしまう。
 果たしてメサイヤは、ロボットなのか、人間なのか。
 写真はいったい、何を意味するのか――。
 盛り上がってきたところで、更に次回へ続く。
 ウインスペクター再臨編、前回は回想祭(約半年経っているので、仕方ないといえば仕方ない)でしたが、今回は充実の内容。特に 終盤にレスキューシーンをしっかりと入れてくれたのは非常に良かったです。また、次回の完結編でどうなるかわかりませんが、前作では 深入りしなかった“ロボットの心”の問題を改めてテーマとして持ってきたのは、注目。
 大樹(今の主役)を持ち上げる為に、ソルブレインの理念を持ち出して竜馬さん(前の主役)をおとしめる展開になると嫌だなーと 思ったのですが、竜馬さんは以前からロボットには容赦ないので、二人の関係性という点では、過度にキャラを 歪ませる事なく上手に物語を回す事にも成功しました。
 また、事件にタイムリミットを設定する事で、元来、知的で物わかりの良い竜馬さんが妙につんけんしている事にも、一応の理由付け。
 次回予告が格好良すぎて不安になりますが(笑)、どう決着をつけるか、楽しみです。

 「撃て大樹、流星となって、今こそ燃え上がれ!
 ソルブレイバー、入魂のマキシムモード!
 『特救指令ソルブレイン』、「竜馬から大樹へ!」」

 摩擦熱で、燃え尽きるのか、ブレイバー?!

◆第23話「竜馬から大樹へ! <PART-3>」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:杉村升)
 前回ラストからの続き――炎の中、メサイヤに向けてギガストリーマーを構えるファイヤーを止めるソルブレイバー、
 「ファイヤー、メサイヤは本当は人間かもしれません!」
 「そんな事はどうでもいい!」


 よ く な い よ !!

 竜馬さん、ご乱心(^^;
 いやここは、「(ロボットなのは間違いないので、人間を元にしているとか人間の心を持っているとか、)そんな事はどうでもいい!」 という事でしょうが。
 省略しすぎて、大変な事になっています。
 そして藤波博士の口から語られるメサイヤの正体。
 なんとメサイヤには、交通事故で重体だった日本人旅行者の脳が使用されていた!! ボディ部分は完全な 作り物であるメサイやだが、その脳は、まさしく人間のものだったのだ! そして、万が一の情報漏洩などを考えて脳に仕掛けられた 自爆装置を、外す事は不可能。どう転んでもNATOは、全ての事実を闇に葬るつもりであった。
 この時の博士の「私は反対だった」と、この後の大樹の
 「僕は最初から破壊するのには反対だった! ロボットでも人間でも同じ命じゃないですか!」
 という台詞が嫌な形でかぶってしまったのは、たぶん、脚本のミステイク。
 そもそも「最初から○○すれば良かったんだ!」的な台詞はヒーローにふさわしくないし、意識的だったら、さすがに悪質すぎます。
 本部で思い悩む面々だが、「やる事は最初から変わらない」と、竜馬のメサイヤ破壊の決意は固い。メサイヤがただのロボットでは ない事に薄々気付いてはいた竜馬だったが、市民の命を守る為には、破壊やむなしという結論を悩み抜いた末に出していた。
 そんな中、ソルブレイン本部にメサイヤから電話がかかってくる。その要求は一つ、「東京のど真ん中で爆発してほしくなかったら、 自爆装置を解除しろ」。
 爆発まであと3時間半……非情な決断を下した本部長と竜馬は要求を受け入れたふりをして、本部に姿を現したメサイヤを捕まえて 破壊しようという作戦を立てる。だが、メサイヤは保険として、都内のある場所に時限爆弾を仕掛けてから本部を訪れていた。メサイヤの 思わぬ作戦に、もう態度から嘘がバレバレの、駄目駄目な人達。
 事ここにいたって爆弾は解除不能という真実を告げる本部長、逃走するメサイヤ。
 毎度の事ですが、大樹が綺麗事を言うのはヒーローとして構わないのですが、言うだけ言って、棒立ちなので困ります。大樹が メサイヤを救いたいなら、本部長の作戦が流れるままにしないで、“ここ”で立ち上がらないといけない筈なのですが。
 竜馬と大樹はメサイヤを追い、他の面々は仕掛けられた時限爆弾を探す事に。メサイヤに追いついた竜馬だが、市街地であった為に 攻撃をする事が出来ず、逆に手榴弾の連打を浴びて、着化が強制解除されてしまう。
 ファイヤーの着化が強制解除されたのは通算でも3回目ぐらいだと思うのですが、凄いぞ、NATO手榴弾。
 「戸惑うな、情けは無用だ!」
 と、追いついた大樹にギガストリーマーを託す、やたらに覚悟完了している竜馬さん。
 別働隊が時限爆弾の発見と解除に成功し、ブレイバーはウォルターからの情報を元にメサイヤの向かう石油コンビナートに先回り。 現れたメサイヤにブレイバーは引き金を引くが、放たれたプラズマ光波弾は一つも当たらず、やがてエネルギーの尽きたギガストリーマー を地面に投げ捨てたブレイバーは、マスクを外し、素顔でメサイヤと向きあう。
 彼が手にした家族の写真を見た時……もはや大樹にメサイヤを撃つ事はできなかった。故意に無駄弾を撃ってギガストリーマーを 使用不能にした大樹は自らを刑事失格だと罵りながら、叫ぶ。
 「メサイヤ……好きな所へいけ。誰もおまえを止める事はできない!」
 人の欲望の過ち……いきすぎた科学の暴走……救われるべき者を救う事の出来ない己の無力さ……様々な思いが去来し、涙を流す大樹を 前に、メサイヤは呟く。
 「俺は人間でもない。ロボットでもない。ただの化け物だ」
 大樹の取り落とした家族の写真を拾ったメサイヤは車に乗り込むと、コンビナートから離れた所までそれを走らせ、そして――非情な カウントと共に、彼は自爆して果てる。束の間、人の心を手に入れて。
 かくて事件は終わった。
 「私はメサイヤを救う事ができませんでした」
 「いや、おまえは救ったんだよ」
 やりきれぬ思いを抱える大樹を正木は励ます。
 ……いやここは大樹は、警察手帳を返納する所ではないかな……。
 悪い筋では無かったのですが、
 この話の困った所は、
 説得に成功する→メサイヤ、周辺に被害に及ばない所で自爆
 説得に失敗する→やむなく撃つ
 の「二択が大樹の中にある」のではなく、
 俺におまえは止められないと叫ぶ→メサイヤが自ら引いてくれた
 と、大樹が説得も阻止も諦め、全てを放り投げた結果でしかない事。
 まあ、大樹が物凄い腹黒い策士でこれが説得だったなら話は別ですが。
 家族の元を訪れながら、ロボットの体を気にして姿を見せられないメサイヤ、などを先に描写している事で、メサイヤがその言葉に 打たれて一人で自爆する、という流れ自体は不自然ではないのですが、結局、大樹はメサイヤの前で自分のやり切れなさを叫んで涙を 流しただけで、説得に繋がる行動は一切示していない。
 その癖、本部長がいい話だった事にしてまとめてしまう。
 せめて、ソルブレイン本部前に姿を見せた時に大樹の説得台詞の一つや二つでもあれば、またちょっと話は変わったのですが。
 これならラストは、大樹がメサイヤを救えず、かつ一般市民を大災害に巻き込みかけた事に対して辞表を提出し、それを本部長が留める、 ぐらいの展開にしてほしかった所です。
 何故ならこのエピソードの大樹は、
 メサイヤを救う事>一般市民の被害を阻止する事
 になっていて、本人の言う通り、まさに刑事失格。
 〔メサイヤを救う事<一般市民の被害を阻止する事〕になっている竜馬に対して、いや「どっちも大事だ」というのは良いのです。 だがそれが逆になってはいけない。
 メサイヤが人間の欲望の被害者だから周囲を巻き込んで大自爆をしても構わないというなら、先日のバズーカ教官だって何をしてもいい という事になりかねません。メサイヤはこの時点では犯罪者ではありませんが、石油コンビナートの職員達も加害者ではない。それなら いっそ、「俺がおまえと一緒に死んでやる!」ぐらいまで言った方が、まだいい。
 この本末転倒こそまさしく、『ソルブレイン』、ではあるのですが。
 そしてラスト、
 「大樹、俺は自分のやりかたを間違っていたとは思わない。しかし、あらためて、人間の生き方をおまえに教えられたような気がする」
 そう言ってギガストリーマーを大樹に託す竜馬。
 「ギガストリーマーは、人命を救うためのものだ。俺より、おまえの方が持つ資格がある」
 竜馬さん、無事に呪いのアイテムの譲渡に成功。
 それらしい事を言って、厄介払いした!
 まあ、竜馬さんの立場からすれば、散々悩んだ挙げ句に「敢えて撃つ」という非情な決断をした目の前で後輩が「好きにしろ!」とか わけのわからない事を叫んでいたら、それは嫌がらせの一つや二つしたくなるというものです。
 そういえば、メサイヤの上下左右に撃ち分けた、プラズマ光波弾による二次被害がどの程度のものだったのか、 とても、気になります。
 メサイヤ役の堀田真三さんは随分大きくクレジットされているなぁと思ったら、東映ニューフェイスで宮内洋の一つ先輩というベテラン。 『キイハンター』や『Gメン’75』を始め、時代劇など数多くの作品で悪役を演じ、『忍者キャプター』の風魔烈風、『アイアンキング』 の不知火太郎など、特撮番組でも馴染みの深い大物でした。前作『ウインスペクター』ではダメオヤジ回の殺し屋・影山として出演。 見覚えのある顔だなぁと思ってはいたのですが、どうも、色々な時代劇で見ていた模様。


◆第24話「オオタカを救え!」◆ (監督:小西通雄 脚本:高久進)
 非番の日、多摩川で野鳥の会の若い女性・ナツキケイコといちゃいちゃしている大樹さん。
 竜馬さんはモテスキルをほぼ発動しない主人公だったけど、大樹も全く発揮せずにここまで来ましたが、やっと女性ゲストと絡みました。
 そんなある日、多摩川沿いの野鳥の保護区域にバイクで突撃してきた不良高校生・ヨウイチをしばき倒した大樹は、彼をケイコの家へと 連れて行き、野鳥の会の撮影したビデオを見せて少年の情操教育を試み、自然や動物の尊さを教えようとする。
 刑事らしいといえば刑事らしい仕事なのですが、家主の許可を得ないままいきなり「君に、見せたいものがある」と女性の部屋へ 乗り込もうとする大樹が凄すぎて、付き合っている以外、考えられません。
 その場は飛び出した少年だが、帰路で怪我した小鳥を拾うなど、徐々に更正し、ケイコや大樹とも親しくなっていく。
 ところで、〔不良少年、釣り糸の絡まった小鳥を拾う→動物病院に連れて行く→治った小鳥を川辺で放す〕の間、BGMがやたら 深刻で、なにかおかしい。
 そこへ現れる、稀少なオオタカを狙う密猟者。力強く自然保護を訴えまくる大樹。途中まで何を言っているか聞き取れなかったのですが、 「タカやワシ」という台詞は凄く言いにくそう。
 前科持ちの密猟者コンビ・シゲオとシゲルは威嚇で撃った銃の跳弾でケイコを負傷させてしまうと、そのまま彼女をさらい、口封じを はかる。ヨウイチの連絡から非常線が張られ、アジトに踏み込むソルブレイン。散弾銃で反撃する密猟者……とすっかり 凶悪な立て籠もり犯にヒートアップ(笑)  そしてさくっと放たれる、ギガストリーマー!!
 なんか物凄く普通の装備みたいに使って、ますますパワーアップの意味がわかりません。
 単純に前作でギガストリーマーの人気が高かったので、それにあやかろうというだけの話なのか。
 密猟者は逮捕され、木箱に閉じこめられていたケイコも無事に助かり、すっかり更正したヨウイチが野鳥の会に参加して大団円。
 アップダウンの激しいエピソードが続いていた中、普通でほっとした、そんなエピソード。
 しかし大樹は本当に、一歩間違えると立派な環境テロリストになりそうで怖い。


→〔まとめ5へ続く〕

(2012年12月4日)
(2019年12月27日 改訂)
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