■『特捜ロボ ジャンパーソン』感想まとめ8■


“朝焼けに燃える 無口な頬に
きらめく光は 涙だろうか”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜ロボ ジャンパーソン』 感想の、まとめ8(38〜42話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第38話「GG荒野に散る」◆ (監督:小西通雄 脚本:扇澤延男)
 「キャロルが俺に訴えるんだ……夢の中で、涙の目で震えながら俺に、苦しいって……寒いって……独りぼっちだってよ!」
 過去の例から判断すると、ロボットが夢を見るのは危険フラグです。
 「待ちくたびれたんだよ俺は!」
 ジャンパーソンの説得も功を奏さず、焦りを見せるガンギブソンは<ネオギルド>のロボットを適当に襲撃し、 ジョージをあぶり出そうとする。ここでは暗殺ロボットの吹き飛んだ腕が強調され、前回に続いて、ややえぐめの破壊描写。
 ガンギブソンの挑発に苛立つジョージだったが、逆にそれを利用する事を思いつくと、美少年ロボット・純に、 ガンギブソンへの手紙を届けさせる。それは、「一対一で勝負しよう」という、決闘の誘いであった。
 男らしい、という言葉とは劇中もっとも縁遠いジョージだけに、誰がどう考えても罠に違いなかったが、 このチャンスを逃す手はない、とジャンパーソン達の制止を振り切り、ガンギブソンはこの決闘に臨む事を決意する。
 今更ながらそういえば、悪の組織が三つもある割には全て暗躍系で、堂々と立ち向かってくるタイプが今作は不在。 まあコンセプト的に、社会の闇に潜む悪を成敗するパターンだからかとは思いますが。敢えて言うと、SSNの一部の変態達が、 一番真っ向からラスボスに立ち向かっている気がする(笑)
 「ガンモドキ、行くならせめて、おいらだけでも連れていけ」
 「そいつは駄目だ」
 「どうしてだよ、どうして」
 「おまえが好きだからよぉ」
 「ガンモドキ……」
 敢えて死中に飛び込もうとするガンギブソンは、あくまでも「俺の戦い」だと、ジャンパーソン達の協力を拒否。 決闘の場所も教える事なく、スピンドルキャノンだけいただいて、独り、出撃していく。
 どうして無理矢理にでも止めなかったのか、とかおるに詰られ、立ち尽くすジャンパーソン。
 「それがどんな形でも、真壁との対決こそが、あいつの、あいつの人生の瞬間なんだ……!」
 この辺り、JPさんは「ロボットとしての人生の全う」にこだわりがあるので、 戦力 友情を取るか主義を取るか、 で思い悩んでいる部分が垣間見えます。
 決闘へ向かう途中、アールジーコがこっそり追跡してきていることに気付いたガンギブソンは、その情報網を使って、 「とびきり腕のいいロボット修理屋」へと案内させる。飲んだくれのおっさんが「本気なのかね? そんな事したらおまえ……」 と驚くような話を持ちかけたガンギブソンは謎のチューンナップを受けると、アールジーコの回路を停止させ、改めて独り、 決闘の場へと向かっていく。
 そこで待ち受けていたのは、ジョー真壁と謎の少年ロボット・純、そして10人のカラフル暗殺ロボット軍団だった!
 「ガンギブソン……!」
 12対1の絶望的な戦いが始まった頃、JP基地に、アールジーコからのSOS通信が届く。使い魔には、 何らかの要因で機能が停止すると、20分後に基地へSOSを送るという緊急システムが組み込まれていたのである。 急ぎアールジーコを回収したジャンパーソンは、これで踏ん切りがついたのか、ガンギブソンのもとへと車を走らせる。
 一方、3人の暗殺ロボットを屠った所で既にぼろぼろのガンギブソンは、怪力ロボットに首をホールドされ、 息も絶え絶えとなっていた。
 「落ちろ……キャロルの待つ、地獄へ」
 「キャロル……」
 「夢を見ながら落ちろ!」
 ガンギブソンの首がねじ切られようかというその時、風を切るJPカード!

 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」

 「ジャンパーソン……!」
 真壁さん、真っ青(笑)
 まあそもそも、罠とわかっているのだからこちらもジャンパーソンを退路に潜ませておくとか、 罠を張り返すという選択肢はあって良かったかと思います(笑) その辺りが、罠とかあっても強行突破ラスボスと、 迂闊ガンモドキの限界か。
 「余計な真似しやがって。これは俺の戦いだ!」
 と言いながらも、コンビ攻撃で一体瞬殺。
 「雑魚はくれてやるがな、真壁の首はおまえにも渡さん」
 ラスボスの姿を見たジョージは、純を連れてすたこらさっさと逃走。残る暗殺ロボット軍団にラスボスが襲いかかる。
 「こいつらは俺が食い止める!」
 「預けた!」
 ここはJPとGGのコンビ感が、よく出ました。この3クール目後半に入って、ようやくしっくりしてきた、というか。
 ジャンパーソンが暗殺ロボット軍団に立ち向かう中、バイクに向かう途中で、足を止めて振り返るガンギブソン。
 「ジャンパーソン、ありがとうよ来てくれて」
 「真壁を追え!」
 「わかってるって」
 スパイラルキャノンを手に真壁と純を追うガンギブソンだったが、既にその体には限界が近づいていた。 そこを地中から出現した巨大砲台の砲撃が襲うが、スパイラルキャノンで撃破。数々の障害を乗り越え、 憎きジョージ真壁まで後一歩……だがしかし、ジョージの傍らに控えていた純が駆け寄ってきたかと思うと、 いきなりの自爆。
 「純は倒されるだけの為にこの世に生まれた、全身爆弾の可愛いやつさ」
 意味ありげにジョージの側に控えていた純は、今後のキーパーソンにでもなるのかと思いきや、全くそんな事はありませんでした(^^;
 至近距離での自爆攻撃を受け、瀕死のガンギブソンに迫るジョージ。ガンギブソンは何とか弾丸を放つが、 それはジョージがいつも被っているバリア発生装置(だった!)に阻まれ、届かない。キャロルへの想いを胸に、 最後の力を振り絞るガンギブソンを、ジョージ真壁の情け容赦のない銃撃が穿つ……。
 その頃、倉庫ではJPさんが必殺武器乱舞で、カラフル暗殺ロボット軍団を次々と地獄に送っていた。
 ……なんか、化忍パルチスが混ざっていたよーな。
 最後の一体を、駆けつけたかおるが直したアールジーコとの合体攻撃で撃破したジャンパーソンは、ガンギブソンの元へと急ぐ。 しかし――。
 激闘虚しく、真壁のライフル銃はガンギブソンのあらゆる生命力を奪い去り、ガンギブソン、荒野に散る。
 機能停止を夕陽のネガ反転で表現したのは面白い演出。
 ガンギブソンを仕留めた真壁はその死体へと歩みを進める。実は、真壁がガンギブソンを決闘の罠に誘い込んだのは隠された一つの理由があった。 それは、倒したGGの記憶チップを奪い取る事で、JP基地の在処などを突き止め、ジャンパーソンに報復攻撃を加える事。 だが……死体を調べた真壁は、ガンギブソンから記憶チップが失われている事に気付く。なんとガンギブソンはもしもの事を考え、 自らの記憶装置に自爆装置を仕掛けていたのだ!
 仮にボディが修復される事があっても、ジャンパーソンも、かおるも、アールジーコも、そして愛したキャロルの記憶さえも、 死を覚悟していたガンギブソンは、全てを失う事になっても、ジャンパーソン達の秘密を守る仕掛けを自らに施していたのである――!
 一杯食わされたジョージは、近づくラスボスを見て撤退。結局はガンギブソン一人と引き替えに、 10人の暗殺ロボットを失いまたも戦力大打撃の憂き目にあいました。そして落ち着いて考えると、 GGが3人倒すのが精一杯だった暗殺ロボット軍団を、6人抜きしているラスボス。
 ジャンパーソンはガンギブソンを回収し、その悲壮な覚悟と壮絶な仕掛けを知る。アールジーコから話を聞き、 修理屋へ怒鳴り込むジャンパーソン。
 「あなたには、あなたには技術者としての良心が無いないのか?!」
 「はっ、はっ、はははははははは……! そんなものぉ……とっくに捨てちまったよぉ!」
 その態度に無言できびすを返すJPだったが……
 「忘れもんだぜ大将!」
 「ん?」
 「記憶チップのコピーだ……あの馬鹿の」
 投げつけられたのは、ガンギブソンの記憶データ。酔っ払いに敬礼を送ったジャンパーソンは基地に戻り、 かおるの手によって修理されたガンギブソンにそれがはめこまれるが、しかし、ガンギブソンは目を覚まさない。
 「やっぱり……あまりにも破損が大きすぎたのよ」
 もう、駄目なのか。
 ガンギブソンの手を握り、必死に呼びかけるジャンパーソン。
 「真壁を倒すまで、この、このキャロルの、愛したキャロルの仇を討つまで、おまえは死ねない筈じゃなかったのか、違うのか、 ガンギブソン!」
 「キャロル……」
 その時、ガンギブソンの口から低く漏れる声……ジャンパーソンの呼びかけが奇跡を起こしたのだ、いやそれは、 キャロルのくれた力だったのかもしれない。

 生き返っちゃった(笑)

 えらい尺であれだけ派手に散っておいて、これは、どうなのか(^^;
 こいつは先達(トップガンダー)もビックリだ。
 というか、トップガンダー化がますます進んだというか(笑)
 いやまあそもそも、一連のガンギブソン編でようやく独立独歩し始めてキャラクターとして面白くなり、残りまだ1クールある、 むしろこれから、という状況でガンギブソンを退場させる必要性は全く無かったわけですが。
 どうも微妙に、麗子様休養によるSSN不在の話数稼ぎを、脚本と演出で重要イベントっぽく誤魔化した感じ(^^;
 SSNが健在なら、まるまる無かったのではなかろうか、ガンギブソン編。
 そういう穿った見方をするならば、怪我の功名でガンギブソンが深まって良かった、という気はしますが。
 ただこのエピソード自体は、予告から盛り上げまくっておきながら、閉店セールに騙された、みたいな(笑)
 珍しく、扇澤延男による大筋イベント話でしたが、特別面白くはならず。腕のいい修理屋が、何の背景説明もなく飲んだくれのおっさん、 というのは扇澤テイストですが、その修理屋が粋な所を見せる理由も特に描かれず、全体通して、演出のハッタリ優先のエピソード。 それが悪かったわけではないですが、オチがオチだけに、もう一ひねり、欲しかった所です。
 そしてよく考えると、このおっさんがJP基地、その他、物凄くブラックな情報の数々を手に入れた事に(笑)
 …………後で人知れずパニッシュだな……!(確信)
 ガンギブソンと並行して描く事で、色々と危惧されたアールジーコの存在感が劇中で増したのは、良かったと思います。
 次回、
 「初代秘書・セーラ復活!」
 てなんか、怪人みたいな扱いに。
 ……えー…………予告の雰囲気からすると曽田さん……?

◆第39話「地獄の美人秘書」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:曽田博久)
 スーパーサイエンスネットワークに所属していそうなアズマ博士の研究により、遺伝子合成で誕生した人間の赤ん坊…… その泣き声はなんと破壊音波となり、研究所を爆破し、巻き込まれた博士は死亡。炎上する研究所へ向かったジャンパーソンの目の前で、 その赤ん坊はビルゴルディによってさらわれていく。
 「これこそ悪魔からのプレゼントに違いない。となれば貰うにふさわしいのは、この俺しかあるまい」
 この二人はやはり、日本全国の怪しげな研究所の動向を逐一監視しているのでしょうか(笑)
 「あの赤ん坊からは……邪悪なものが感じられてならないんだ」
 酷い偏見を口にするJPさん。
 一方ビルゴルディはヘッドホンをつけると、赤ん坊を泣かせて街を破壊して回っていた(笑)
 ところが駆けつけたジャンパーソンとガンギブソンの前で、突然赤ん坊は小学生ぐらいに成長。 ビルゴルディをジャンパーソンと誤認して攻撃すると走り去って行く。
 果たしてその子はいったい何者なのか……? いぶかしむ帯刀のもとへ届く、ビデオテープ。
 悪玉から主人公サイドへのビデオメッセージはよくありましたが、悪玉の元へビデオが届くのは、新機軸。というかこれ、 再生したらジャンパーソンの説教とか始まったら、物凄く嫌だ!
 「このビデオがお手元に届いている頃には、私の生まれ変わりが誕生していると思います」
 メッセージの送り主はなんと、帯刀の初代秘書・セーラ。
 セーラは死を覚悟した早撃ちガンマン大作戦の最終フェイズの出撃前夜、帯刀に役立つ為の一つの秘策を実行していた。 それは自分の遺伝子を、アズマ博士に預ける事。アズマ博士の研究が成功すれば、自分は超能力美少女として生まれ変わり、 帯刀の戦力となる事だろう。はたして、アズマ博士の研究は成功し、セーラは生まれ変わりを果たしたのであった。
 ……て、この情報はもっと早く総裁に教えておくべきだと思うんですが(^^;
 ビルゴルディが赤ん坊拾ったの、完全に偶然みたいですし、総裁好みのお茶目なドッキリのつもりだったのか。
 一歩間違えると、JP基地に拾われてましたよ!
 まあ、それはそれで内部からJP基地を破壊できたかもしれず、ピンポイントで策略が大成功する可能性もありましたが。……あれ?  むしろ、総裁、余計な事した?(笑)
 そこへあの少女が訪れ、帯刀は自分が大魔王を倒すべく、自らの体を魔王へと改造した事を説明。 好物のキャンディーを少女――二代目セーラに手渡す。
 本邦初公開、総裁のペロペロキャンディーは、机の引き出しに剥き出しに入っている事が判明。
 魔王見習いは何故か、二代目セーラを正面からJPさんに紹介。JPさんはサーチしてみたら「人間」だったので説得を試み (「バイオノイド」とかだったら、瞬殺されていた)、組み合ったまま二人はいずこかへと移動する。そこで更に成長したセーラは、 セーラだけにセーラー服姿の女子高生となるが、同時に、超能力がうまく発動しなくなってしまう。
 どうやら肉体の成長とともに超能力が弱まっているらしく、このままでは恐らく普通の人間になるだろう、 とセーラにしつこく迫るJPさん。
 「セーラ、ビルゴルディはもう、人の心を捨て去った男。途方もない悪魔なんだぞ」
 なんだろうこの、他人の女に言い寄っている感じ(笑)
 あと、バイオボーグのカテゴライズがはっきりしませんが、帯刀=ビルゴルディは、 「人の心を完全に捨て去った悪魔だからジャスティス執行してもOK☆」という前振りを微妙にしている気がします。
 戦闘不能に陥るセーラだったが、そこにマヤ、シンディ、ビルゴルディが次々と現れ、身柄を回収。
 マヤは成り行きで、どんどん強くなっていますが、いいのか(^^; 既にガンギブソンとか、一対一でなら勝てそう。また、 シンディは対ロボット用兵器なのか、今回からスタンボウガンを使用。
 帯刀コンツェルンでの調査により、二代目セーラの超能力が減退している事がハッキリするが、 セーラは自分の体がどうなろうと総裁の為に力を尽くすと告げ、帯刀も超能力が残っている限り、セーラを利用し尽くそうとする。
 「望み通り、たとえその体がどうなろうと、力を貸してやろうではないか」
 「総裁……」
 「セーラ」
 総裁がセーラの手を取って唇を寄せるのが、大人の雰囲気で素敵。……まあ、セーラの見た目が女子高生なので、 だいぶ変態な感じなのですが。
 というか今回は何故ひたすら、昔の男(ちょっと駄目な人)の為に尽くそうとする女を「あんなやつ、捨てろよ! 君には似合わない!」 という構図なのか(笑)
 セーラは謎のヘッドギアをつけてジャンパーソンに再挑戦。ジャンパーソンは駆けつけたガンギブソンがセーラを撃とうとするのを制止し、 ひたすら超能力攻撃を受け止める。やがて限界が訪れ、一回り成長して(完全に以前の姿になって)気絶するセーラ。 ジャンパーソンはセーラのヘッドギアを破壊すると、彼女を静かな川岸へと運ぶ……。
 しばらく後、成長時に自動的に身に纏う謎の白タイツから、お洒落服に着替えた姿で目を覚ますセーラ。
 「その服、アールジーコが選んでくれたんだ」
 問題は、誰が着替えさせたのかだと思います!
 というか今回、かおるさんが冒頭の会話以降出てこないのですが、今頃、物凄い顔で、 基地のあちこちに五寸釘を打ち込んでいるのではなかろうか。
 警戒するセーラを安心させようと語りかけるラスボス。
 「もう大丈夫だ。今度こそ本当に、普通の人間になったんだ。セーラ、今この一瞬から、君の本当の人生が始まるんだよ。さあ行け、 行くんだ。もし一人で行くのが不安なら、俺も一緒に行く」
 そもそも初代セーラは普通の人間だけど帯刀の為に働いていたわけで、善意を押し売るラスボス。
 「なぜ、なぜそこまでして私の事を?」
 「俺も生まれ変わったからだ。生まれ変わって、第二の人生を歩んでいるからだ」
 なるほど、ラスボス的には、二代目セーラはあくまで初代セーラからは独立した存在であり、せっかく新たな生を得たのだから、 初代の魂に縛られる事なく生きて欲しい、と。
 ここは“内なる正義の声”に悩まされた経験のあるJPさんの自己投影がうまく繋がりました。
 「昔の俺は、ただの破壊ロボットだった。不要になって、処分されそうになった。その時、俺は生きたいと思った。その願いが通じて、 今の俺があるんだ。お陰で俺は、生きる喜びを知った。ロボットの俺でさえ知ったこの喜び、人間の君にわからない筈はない。さあ、 踏み出すんだ。勇気を出して、さあ、セーラ」
 生きる喜び フォージャスティス はまあさておいても、

 全体としてはどうしても、ナンパにしか見えない(笑)

 今頃、JP基地でかおるが(以下検閲)
 「初代セーラの魂」視点で見ると、人の人生の喜びを外から勝手に判断するな的な押しつけがましさがあるのですが、 「二代目セーラ」としては思う所があったのか、このロボット怖い、と思ったのか、歩き出すセーラ。だがそこへ魔王一味が姿を見せ、 ビルゴルディは新たなヘッドギアをセーラへと投げつける。
 「戦えセーラ、戦え」
 強化ヘッドギアによって強引に超能力を引き出されたセーラは再び破壊音波を発し、ビルゴルディの指示のもと、 ジャンパーソンとガンギブソンを激しく攻撃する。反撃をためらい、追い詰められていくJPとGG。しかしセーラもまた限界に達し、 急速に老化と若返りを繰り返すのだった。もとよりその肉体は常人より急速に加齢しており、その寿命は短い。冷酷に、 最後の最後までその力を自分の為に使い切れ、と迫るビルゴルディ。
 「総裁……」
 「セーラ、最後のパワーを振り絞れ、戦うんだ」
 だが、セーラは最後のパワーを、ビルゴルディへと向ける。
 「総裁、貴方は恐ろしい人でした。でも、夢を語る時の貴方は、子供のような無邪気さがあった。でも……でも、今は! 総裁……」
 「寝言を言うな、この死に損ないが!」
 「総裁、もう貴方は私の総裁ではない。悪の魔王よ!」
 再攻撃を試みるセーラだったが一瞬早くマヤの光線銃がその体を貫き、ビルゴルディのデュアルレーザーがその体を吹き飛ばす。
 ここでマヤが、ビルゴルディがセーラに攻撃を強要する時とセーラを撃つ時にちょっと悲しげな顔だったのは、良かった。
 魔王一味は適当にJPとGGを撃ちまくると、撤退。この辺り、出入りの激しいシナリオになってしまった為に、 むしろチャンスなビルゴルディの撤退理由が無かったり、全体的にアクションシーンが雑で残念(^^;
 ジャンパーソンはセーラを抱き起こすが、その体からは命の灯火が消え去ろうとしていた――
 「ジャンパーソン、私、生まれ変わったわね?」
 「ああ、生まれ変わったとも」
 ジャンパーソンの腕の中で、二代目セーラは絶命、その短い生涯を終えるのであった。しかし彼女は死んだのではない、確かに、 自分の人生を生きたのだ……。
 セーラさん割と好きだったので復活は嬉しかったのですが、さすがにレギュラー復活はできず、単発で終了。 もうちょっと総裁とラブしてくれても良かったのですが、まあ、魔王と大魔王の間で千々に乱れるという、 これまでの今作の女性キャラの中で、もっともヒロインらしい扱いを受けたので良しとすべきか(笑)
 総体としては、見せたいポイントだけを優先しすぎてしまい、流れの雑さが目立ちました。
 ただ、自己投影も含めて、JPさんが「生まれ変わったんだから、悪い事したら駄目だ」と、 一方的に良い事しているつもりなのに対して(「二代目セーラ」だけを見れば、これは善行とは言えましょう)、 なんだかんだで最後の最後までセーラは「“私の総裁”の為なら死んでも構わない」というニュアンスであり、 そこの所で「JPさんの考える生きる喜び」と「セーラの魂の喜び」がズレているのが、渋い。
 キーキャラクターの立ち位置を二重構造にする事で、単純な善良さをたった一つの正解にしなかったというのは、 今作の曽田脚本の冴えている所です。
 セーラからすると、無理に強要しないでも自分を信じてくれれば戦うのに、という所があって、 そこが見えなくなっている帯刀はもはや“私の総裁”ではない、というのは私がセーラさん割と好きなので読み込みすぎかもしれませんが、 JPさんのわからない「男と女の関係」を取り込んで面白い部分だったと思います。
 また、自分の遺伝子から分身を培養してでも帯刀の戦力にしようというセーラの狂気は、 つまりは「DEDICATE MYSELF TO TATEWAKI」であり「セーラ・フォー・帯刀」であり、ジャンパーソンの自己投影以上に、 その存在は鏡面であったのかもしれず、だとすれば、ジャンパーソンは自分が本質的に何を否定しているのか、 最後まで気付いていなかったのかもしれない。
 シリーズの流れとしては、途中でも触れましたが、人間抹殺を一応のタブーにしている今作において 「帯刀は救いようが無いから仕方がない」という布石を置いているように思えます。と見ると、 帯刀のキャンディーが“最後の一つ”だったのは、最後の人間的部分、のメタファーだったのか。 最終的に重要な布石の回だった、という事になるのかも。

◆第40話「基地爆破5秒前」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:小林靖子)
 小林靖子脚本デビュー作。
 パトロール中に尾行に気付いたジャンパーソン、脇道に隠れて待ち伏せサーチすると、相手は<ネオギルド>のロボットと判明。
 「なるほど、狙いは我々の秘密基地か」
 というわけで、滅・殺。
 <ネオギルド>ではジョージ真壁が、JP基地の場所を探り出し、直接攻撃による逆転満塁サヨナラホームランを狙っていた。 <ネオギルド>のもくろみを知ったJP達は、これまで以上に基地への出入りを厳重にする事を確認しあう……そんな中、 ガンギブソンの身近に迫る尾行。
 そして、
 「ガンギブソン……!」
 ジョージ、ガンギブソンが生きている事に気付く(笑)
 そういえば、そうだった。
 尾行に気付いたガンギブソンが廃屋で相手を待ち伏せると、車から降り立ったのは、真壁そっくりの男(高橋和興、二役)。
 「ジョージ真壁!」
 「え?」
 問答無用でガンギブソンは引き金を引き、仰天して逃げ出す男。物陰に隠れた男は懐で鳴る携帯電話を取り出す。
 「どうだ、ガンギブソンは? 脈はありそうか?」
 「脈っつーどころか、いきなり銃撃されまして」
 「銃撃がなんだ! スカウトに失敗したらボーナスカットだからな! 捨て身で行け、捨て身で!」
 「捨て身ってそんなぁ……」
 男の正体は、人材コンサルタントのスカウトマン・田崎智。とある企業の依頼で、 ガンギブソンをボディガードとしてスカウトしようとしていたのだった。ハンカチを白旗代わりにして名刺を渡そうと顔を出す田崎だったが、 容赦なく迫るホーミングバレット。その時、ジャンパーソンが駆けつけて田崎をかばい、ガンギブソンは慌てて弾丸を横に逸らす。
 ホーミングバレットが外すのに使われたのは、初のような(そもそもそういう物では無いけど)。
 ……まあ、壁に当たって爆発はするのですが(笑)
 田崎がただのそっくりさんである事に納得したガンギブソンだったが、本当の戦いはこれからだった。
 「転職しませんか、ボディガードに」
 「転職」というか、「就職」という気はするけど、ガンギブソンの今の職業って……「殺し屋」?
 この、戦闘用ロボットが一般企業に就職を斡旋されるという展開がそこまでトンデモでもない、というのは、 今作の世界観のなんというか懐の深い所です(笑) 基盤がトンデモ、ともいう。
 ガンギブソンをスカウトしようとする田崎、当然嫌がるガンギブソン、我関せずのジャンパーソン、この空騒ぎの間、 こっそりとガンギブソンのバイクに発信器を取り付ける<ネオギルド>の暗殺ロボット。
 「冗談じゃないぜぇ……おい」
 ジャンパーソンと示し合わせたガンギブソンは、田崎が鞄から資料を取り出している間に逃走を図る。 ガンギブソンお得意の肩をすくめるポーズを、ジャンパーソンがするのが、お茶目。
 だが、かつて電撃戦隊でならしネロスハンターだった事もあり忍術も習得している田崎は、そう簡単に諦める男ではなかった。 走り出したGGのバイクの後部座席に無理矢理またがり、強引に売り込みをはかる田崎。 ガンギブソンと押し問答をしているドタバタの最中に、たまたま発信器を発見。迂闊ガンモドキはこれを知ると、 アールジーコの背中に発信器を取り付けて<ネオギルド>の追っ手を誘導し、待ち伏せ。スピンドルキャノンで、 滅・殺。
 今日はなんか、みんな容赦ないな……(笑)
 またも作戦に失敗しお怒りのジョージは、手近に居たロボットを適当に殴り飛ばし、こっそりイラッとした顔をする暗殺ロボ青。
 「こうなればこの私が、直接……」
 スッキリとして帰宅の途につくガンギブソンだったが、その前にまたも迫る田崎。
 「ガンギブソンさん、そのナイスボディで、新しい人生掴みましょう! ね?ね?ね?」
 「おまえなぁ……どうしたら諦めてくれるんだ? 何でもするから言ってくれ」
 迂闊な事を言って危うく言質を取られそうになるが、そのタイミングでまたも田崎に上司から電話が入り、その間に逃走。一方、 真壁は田崎の存在に目をつける。
 「ここまで似ているのだ、放っておく手は、あるまい」
 いつもの事といえばいつもの事なのですが、<ネオギルド>カメラの位置が凄く適当なのは、勿体なかったところ。 ジョージがガンギブソンの生存に気付いた所も田崎の存在に気付いたタイミングも、一体いつ誰の視点で知ったのかわかりません。 流れを考えるとガンギブソンを追跡していた暗殺ロボット(スピンドルキャノンで昇天)の視点というのが自然 (工場で発信器を取り付ける際に田崎を確認した)なのですが、尺の都合でカットされたか。
 ジョージの命令で街に繰り出した暗殺ロボット赤と青は、ガンギブソンを探す田崎の身柄を確保し、田崎、真壁とご対面。
 「私はおまえだ。今からな」
 田崎になりかわったジョージはガンギブソンに接触すると、スカウトは諦めたので代わりに一つお願いが、と頼み込む。
 その願いとは……JP基地を見せてほしい、というもの。
 さすがに躊躇うガンギブソンだったが、ジョージ田崎、土下座。更に、 スカウトに失敗したらボーナスもカットされるしもう生きていても仕方がない、と飛び降り自殺をはかろうとする迫真の演技に、 連れて行くと言ってしまうガンギブソン。
 その頃、本物の田崎は暗殺ロボット青(ジョージに殴られていらっとした顔をしたロボット)に殺されそうになっていた。
 「あなた……上司と同じ顔をした人間を殺せるんですか?」
 無言のまま表情の変化と電子音で、むしろ殺したい、という意思表示をする青。
 「わかった! ということは、貴方、あの上司に、不満を抱いていらっしゃる……あの神経質そうな上司に」
 青ロボット、考える(笑)
 「もしかして……仕事を変えたいなんて思っていませんか?」
 青ロボット、にっこり(笑)
 上司が取引先に有能だと言っていた割にはここまで一貫して間抜けキャラに近かった田崎ですが、 口八丁で絶体絶命の窮地を乗り越えるとか、本当に有能っぽい。
 そして相変わらず、部下の忠誠度と組織の統制が絶望的な<ネオギルド>であった。

 だから、部下のロボットに忠誠回路ぐらい付けておけって言ったのにジョージぃぃぃぃぃぃ!!
 毎度の事ながら、思うに、ジョージが一番、ロボットの自由意志を尊重している。
 少なくともジョージは、ジャンパーソンよりはロボットが好きだと思う(笑)
 後ここまで来ると、ジョージは部下の裏切りとかに倒錯したマゾヒズム的快感を覚える人なのではないか、 という疑念が浮上します(笑)
 「ジャンパーソぉン……! ガンギブソぉン……!」
 とか唸りながら、
 (うっはー、キたキたぁ! 逆境さいこおおお! YEEEEEES!)
 とかなってそう。
 そんなジョージの性癖はさておき、ガンギブソンをボディガードにスカウト、という時点でどう考えても田崎はいい目を見ないよなぁ…… と思いきや、ここで思わぬ点と点が繋がる、という展開は軽妙。
 一歩間違えると破綻したギャグになってしまう所なのですが、ここまでの<ネオギルド>の惨状を踏まえているので、 有り得る範囲内に収まっています。それはそれでどうかという気もしますが、<ネオギルド>だから仕方がない……!
 一方、安定して迂闊なガンギブソンはヘッドホンと目隠しで道中をわからなくしたジョージ田崎をJP基地に案内していた。 折良くジャンパーソンとかおるは不在で、最初はこそこそしていたのが、途中から明らかに気分良くなって説明を始めるガンギブソン。 その説明を聞きながら、メインルームと格納庫に小型爆弾を仕掛けるジョージ。
 (これで奴等も終わりだ……私は勝ったぞ)

 落ちる所まで、落ちたしな……!

 そこへ帰って来てしまう、JP&かおる。
 「ガンギブソン!」
 当然、ダブルで怒られる(笑)
 「そんな事で基地を危険にさらすわけ!」
 「軽率だぞガンギブソン!」
 息の合った激怒を見せる二人。ところでどうして、今日のかおるは保護者会に行くような格好なのでしょうか。前回があれだったので、 ちょっと気合いを入れてアピールしてみたのでしょうか。
 「悪かったな、軽率で。おい、帰れだと。行こうぜ」
 ジョージ田崎はへこへことかおるに名刺を渡すと、ガンギブソンに連れられて基地を出て行く。直後、 あっさりと爆弾の存在に気付くアールジーコ。
 そういえば、停戦監視用偵察ロボットだった!
 もしかして、ラスボスのインパクトが強すぎて、各組織、アールジーコの存在とスペックに気付いていないのだろうか(笑)
 帰途でジョージ田崎を降ろしたガンギブソンだったが、そこへ、田崎の会社から電話が入る。怒りの社長は、 直接ガンギブソンに話をつけると電話を替わらせるが……実は、暗殺ロボット青を連れた本物田崎が、 会社へと無事に帰還していたのだった。ガンギブソンに携帯電話が渡った所で、社長はこっそりと本物田崎と交代。
 「今、貴方の目の前にいるのは私じゃない。偽物なんです!」
 繰り返しコミカル要素として使われていた携帯電話・電話の向こうで無茶を言って怒っているだけだった社長、 という二つの小道具がここで活きるという使い方は、トリッキーで見事。
 またこの時、合間に暗殺ロボット青が履歴書を記入しているなど、小ネタ好きのシナリオ主導かもしれませんが、 全体的に演出に茶目っ気が多め。よくよく考えると<ネオギルド>の暗殺ロボットをそのまま転職させていいのか、という気はしますが、 まー、ガンギブソンをボディガードに、という発想の会社なので、たぶん前科の一つや二つ、もみ消します。
 田崎が偽物である事に気付き構えを取るガンギブソンだったが、 ジョージ真壁がその正体を見せると共に潜んでいた暗殺ロボット軍団が飛びかかり、滅多打ちに。
 「気付くのが遅かったなガンギブソンさん。基地への招待、感謝するぞ。おまえたちの基地はあと五分で吹き飛ぶ。 そしてここがおまえの墓場だ!」
 基地ではジャンパーソンとかおるが爆弾を探し、割とあっさり、二つを解除。だがアールジーコのセンサーによれば、爆弾はあと一つ。
 「おいらのセンサーは絶対だよ! でも変だぞ、爆弾は動いてる」
 「そんな馬鹿な!」
 かおるが珍しく慌てていて、なんか面白い事に(笑)
 果たしてその爆弾の正体は、かおるがジョージ田崎から受け取った名刺であった。相手が誰であろうとも手渡された名刺はつい受け取ってしまう、 という日本人の習性を利用し、超薄型の名刺爆弾を残していくという恐ろしい策謀だったのだ!
 一方その頃、ガンギブソンは今日も盛大に死にかけていた。
 「トドメだ!」
 だがその時、風を切るJPカード! と貼り付けられた名刺。
 「その名刺はぁ?! 捨てろ! 爆発するぞ!」
 慌てて伏せて、なんとか爆発を回避する真壁&暗殺ロボットズ。
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
 久々に、主題歌発動。
 コミカル分の多い展開だった中、クライマックスにド正道を持ってくる事で、ヒーロー物として締まりました。 この辺りはおそらく演出のセンス。
 ラスボスはいきなりジックキャノンを発動し、ガンギブソンもスピンドルキャノンでそれに続き、吹き飛ぶ暗殺ロボ軍団。 生き残ったロボ赤が光線技で目くらましをして真壁とともに退却し、ここにジョージ真壁のドッキリ偽物大爆破作戦は失敗に終わるのだった。
 「なんというざまだ、この私ともあろうものが! ジャンパーソン……ガンギブソン……この次は必ず決着をつける! 必ずな!」
 そして例のロボット青は、ボディガードとして楽しく働いていた……が、暗殺ロボット赤の狙撃を受けてしまう。
 「そんなぁ……まだ始まったばかりなのにぃ! 俺の、新しい、人生……」
 転職も束の間、その仕事ぶりを見守っていた、JP、GG、田崎の目の前で、無残に爆死してしまうロボット青。
 「そんな……酷すぎる。ロボットだって……自分の人生を選ぶ権利があるはずだ!」
 その残骸を見つめて嘆く田崎は、一つの決意を固める。
 「……わたくし、決めました。こうなったら、ネオギルドのロボット達をどんどんスカウトしてみせます」
 自由を選ぶ心、それを後押しする助力――そういったものがやがて、暴走する科学、様々な悪の欲望を乗り越えて、 人間とロボットが真に共存できる日を作るかもしれない……田崎の決意にジャンパーソンは力強く頷き、 同時に<ネオギルド>誅殺すべし、との思いを一層強くするのであった。
 八方丸く大団円かと思いきや、まさかのバッドエンド、からもう一ひねり。
 ロボットの宿命とか、それに怒りを燃やす人間が自分の力で出来る事をしようと立ち上がる、とか、 本作の通しテーマを汲んでいるのは、巧い。特に終盤に向けて後者を強調する意図があっての敢えての青ロボ爆死かと思われますが、 これはあの狂気の29−30話(ジーザス・エンド編)の流れを踏まえており、単にちょっと一癖つけてみたというバッドエンドではないところが、 ポイント高い。
 俗に小説家などの場合、
 「デビュー作にはその作家の全てがある」
 など言われますが、いかにも好きそうなガンギブソンメイン、小道具の使い方、捻りのあるオチ、など、 後の片鱗を窺わせるに充分な一作。勿論、現状の活躍を知っての上なのでバイアスかかって見ている所はあるかとは思いますが、 ゲストキャラの丁寧な使い方など、秀逸回といっていい出来でした。
 それ故に、真壁のカメラ反応とかアールジーコが爆弾に気付く所などはちょっと気になったのですが、 シーンの挿入自体が唐突になっていたので、恐らく、シナリオ時点で色々と盛り込みすぎて尺が足りなかったぽい。
 次回、
 「遂にやりやがった!」
 て、ナレーションがやりやがったって感じです(笑)
 いよいよ最終クールを迎え、勃発する悪の組織同士の抗争!
 「スーパーサイエンスネットワーク、ネオギルド、ビルゴルディ、そして、ジャンパーソン!」
 どう聞いてもラスボスの扱いは悪の組織の一つだ!!
 世界最狂決定戦に、シーユーアゲイン!

◆第41話「突入 罠の決死圏」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:鷺山京子)
 帯刀の謀略により、市街地で抗争を始める<ネオギルド>とスーパーサイエンスネットワーク。 帯刀はSSNに潜り込ませたスパイ・カゲタを使って両組織を攪乱するとマジン島へと誘い込み、 更にジャンパーソンをその戦いへと呼び込む事で、消耗した各組織をまとめて叩く、という計画を巡らせる。
 両組織の戦いに割って入るジャンパーソン、というのはなにか、今作の原点的なものを感じます。
 口から変なものを出す赤竜隊長(岡元美登)率いるSSNの戦闘部隊は、 サーチするとバイオモンスター。モドキを思わせる白い体液などから、タンパク質による人工生命体と思われます。対するは、 キル隊長率いる、<ネオギルド>サイボーグ部隊。介入してきたラスボスを前に一致団結して逃亡した両者の戦いは、帯刀の思惑通り、 SSNの秘密基地があると偽情報が流されたマジン島へ……。
 一方のラスボスは、SSNから逃亡するも再びさらわれたという設定のカゲタ(スパイ)の娘を名乗るケイという少女から、 父親を助けてと頼まれ、罠を覚悟でマジン島へと向かう事を決めるが、ガンギブソンはそれを止めようとする。
 「罠かもしれないというんだろ。だが罠を恐れて、見殺しにはできない」
 罠とか、関係ないし。
 カゲタは元SSN、そんな男を命がけで助ける意味があるのか……?
 「わかっている。だが、助けを求める一人の人間だ」
 「なに言ってんだよ。愛と正義でこちこちに固まりやがって」
 「なんとでも言え」
 あくまで自分の信じる人間愛に殉じようとするジャンパーソンは、グランドジェイカーで単独出撃。 OPの映像だけで本編に一度も登場していなかったマリンジェイカー、今更ながら初使用。
 なお今回もお洒落服のかおるは、女の子に優しくして何かをアピールするがスルーされる。安定のヒロイン力の低さ。
 マジン島でぶつかりあう、両組織の精鋭部隊。しかし――
 「残念だが、マジン島は、この私の島なのだ」
 金持ちパワーを発動する帯刀が押したスイッチにより、島に仕掛けられていた罠が次々と発動し、 両精鋭部隊は落石やマシンガンによる銃弾の雨を浴びて次々と倒れていく。弱った所をマヤが次々と切り捨てていき、 ボスクラスには変な蜘蛛の糸を出して動きを封じた所で、シンディがスタンボウガンを発射、マヤが斬撃でトドメを刺す……と、 マヤの戦闘力インフレが止まりません。
 一方、今回は付き合わないと待機していたガンギブソンは、首尾良く行ったと帯刀に連絡を取ろうとしていたケイがロボットであった事に気付く。
 「よくもー。おまえを道連れに自爆してやる」
 女の子の棒読みが、かえって怖い(笑)
 以前、三途の川を渡った時の経験が物を言い、抱きつき自爆を回避したガンギブソンは、 マジン島がジャンパーソンをおびき寄せる罠であると確信を得、かおるは慌ててジャンパーソンへ通信を送る。
 ところで、通信の際にシャツをはだけケイの内部装甲がマヤと似たデザインなのですが、やはりマヤはサイボーグなのかどうなのか。 最近、人間としてはあまりに強すぎますし(笑)
 島へ辿り着いたジャンパーソンが目にしたのは、累々と積み重なる<ネオギルド>・SSN両戦闘部隊の死体であった。 かおるから通信が入るが一歩遅く、帯刀組の強襲を受けたジャンパーソンは、超合金の鎖に囚われてしまう。 助けに来たガンモドキ&使い魔もろともミサイルで吹き飛ばされそうになるが、何故かミサイルは一切のダメージを与えず、 鎖がほどけただけで、結局改めてジャンパーソンvsビルゴルディ、ガンギブソンvsマヤ&シンディ(主にマヤ) の戦闘になる……と非常に適当な展開。
 ここから先は更に激しく杜撰で、とにかく派手にバトルはするのですが、繋ぎはおかしいし、戦闘中の辻褄は滅茶苦茶だしで、 三ツ村監督もかなり適当な仕事。どうもこの回自体が、終盤に話数の割り当て調整していたら1話余ってしまって、 とりあえず全組織出して派手にアクションで誤魔化しておこう、と急遽ねじ込まれたのではないか、という造りと出来(^^;
 もはや明らかにマヤより弱いガンギブソンが今日も順調に死にかけるも、海に落ちたと思ったら後ろから出てきてスピンドルキャノンをぶちかまし、 ラスボスもジックキャノンを発動。なんだかんだでダブル必殺技から秘書二人をかばう、と熱い所を見せる総裁だったがこれがたたり、 胸からビームを放って逃走。
 第四の組織が悪党共にその恐ろしさをまざまざと見せつけるのであったフォージャスティス!
 なんだかんだで中盤以降アベレージの高い(少なくともネタ的に濃い)今作としては珍しく、単純に面白くありませんでした(^^;  せめて戦闘が面白ければ良かったのですが、前述のようにすべからく杜撰ですし。
 次回、
 ナレーション「さすがのジャンパーソンも、国家権力という力の前には無力なのか」
 いやいやいやいや、これまでも散々踏みにじってきたじゃないですか。
 次回予告が、一番面白かったゾ(笑)

◆第42話「殴り込み大脱獄」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
 「その日は間近い。我らが、我がネオギルドの世界制覇の日はすぐそこまで来ている!」
 ジョージ、とうとう脳の病気で昼間から譫言を呟くように……。
 だがその為には、邪魔なジャンパーソンとガンギブソンを何とか始末しなくてはいけない。
 ……て、そこを解決しないと根本的に何もかも駄目だと思うのですが。
 ジョージ真壁はガンギブソンを始末する為、ある秘策を発動する――。
 その頃、JP基地ではラスボス達がガンギブソンに、基地での同居を勧めていた。
 近づく最終決戦を前に、結束を強め、また安全性を高める為にも、一緒に行動しようというのだ。
 えー……特にストーリー上の仕掛け/伏線が無いのに(今作の短所の一つである)、 ナレーションを筆頭に各登場人物がやたらに「最終決戦」を煽っているのですが、ラスボス側から口にしているという事はつまり、 遂に「殺りに行く」という事ですよね、多分。
 一つ注目は、「<ネオギルド>、スーパーサイエンスネットワーク、そしてビルゴルディ!」と相変わらず、 単品扱いのビルゴルディさん。
 だからなんか恥ずかし格好いい組織名を公表しておいた方がいいって言ったのに、総裁!
 まあビルゴルディは単独で組織並の脅威、というニュアンスがあるのかもしれませんが。
 周平(たぶん同居していない)やアールジーコからも説得を受けるガンギブソンだったが、
 「断る! 居るのよ世の中には……仲間なんかいらねえ、一人で生きてくのが、似合いの野郎がな……あばよ」
 「ガンギブソン!」
 「ドンパチが始まったら呼びな、腕は貸すからよ」
 “仲間”という言葉を素直に受け入れるのが照れくさく、無頼を気取りたいガンギブソンは、同居の申し出を断り、街へ。
 (キャロル……素直じゃねえよな、俺も)
 というか、どこで暮らしているのかGG。
 そんな疑問はさておき、ごく普通にガソリンスタンドに入り、ごく普通に「ハイオク満タン!」と頼み、 ごく普通にそれを受け入れる店員だったが、その店員が謎の銃撃を受ける。<ネオギルド>の暗殺ロボ・ マチェックを目にしたガンギブソンはその後を追うが、今度は話を聞いたOLが銃弾に倒れ、 更に駆け寄ってきた通りすがりのおじさんも撃たれてしまう。
 「ガンギブソンが、人を殺したぞー!!」
 ……有名だ(笑)
 狙撃を受けた人々は幸い一命を取り留めたものの、銃撃犯として追われる身になってしまうガンギブソン。
 いや、銃弾とか調べればすぐに容疑が晴れるから、逃げなくて良かったと思うのですが……。
 この事態に調査を始めたジャンパーソン達は、街で「ガンギブソンは我々の敵だ!」とシュプレヒコールを行う人々を扇動しているのが、 <ネオギルド>のロボットである事に気付く。全ては、ガンギブソンを社会的に抹殺しようという、 ジョージ真壁の周到かつ陰険かつ性格のねじくれた罠だったのだ!
 「しかし、死神とはよく言ってくれるぜ……なにしろ元々が、ネオギルドで造られた殺し屋だもんな……俺は!」
 そうか、ガンギブソンはもともと真っ黒だから思わず逃げたのか(笑)
 「しかしおまえは生まれ変わったんだ。今のおまえは、俺たちとともに戦う正義の戦士なんだ」
 凄く平然と、「正義なら無罪」とか言い出すラスボス。
 少なくとも刑務所で罪を償ったりした事は無いと思うのですが、ラスボスの中でガンギブソンはいつ生まれ変わった事になっているのか…… と思ったのですが、よく考えると、先日死んだから、文字通りに、「生まれ変わった」のか……綺麗な体……と、 いう事で……いい……のか?
 ……あぁそうか! 今更気付きましたが、やや強引だった「GG荒野に散る」をやっておく事で、 ガンギブソンはジャンパーソン(MX−A1)と同じ臨死体験を経た事になり、「正義の戦士」 としてのイニシエーションを終えたのか!!
 あのエピソード見た時は幾ら何でも盛り上げ詐欺だと思ったのですが、『ジャンパーソン』世界では、 死を体験して俗世から切り離される事によって(三枝かおるも戸籍上、死亡している)、 「真の正義の執行者」として転生できるのか!
 当時はSSN不在の穴埋め盛り上げ回だと思ったのですが、こう考えると、最終クール前のあのタイミングで、 ガンギブソンが一度死んでおかなければいけなかった事がわかります(笑)
 我ながら妄想しすぎだとは思いますが、なにぶん扇澤延男のやる事なので油断できない。
 ガンギブソンから情報を得たJP達はマチェックを探しに動きだすが、じっとしていられないガンギブソンは、 ジョージの思惑通りに隠れ家を飛び出し自分でマチェックを見つけ出そうとする。 手始めにシュプレヒコールを扇動していた市民ロボットに暴行を加えていると、そこに姿を現すジョージ真壁!  反射的にガンギブソンが引き金を引くと弾丸は見事に命中し、真壁は倒れる……だがそれは、真壁に擬装した、 ただの神父ロボットであった。
 「おーいみんな、死神がまた引き金をひいたぞ!」
 人々に囲まれたガンギブソンは、さすがに「なんてこった……」と肩を落とし、手際よく警察ご到着で、遂に逮捕。 そこへ駆けつけたジャンパーソンは「これはネオギルドの罠だ」と人々をなだめようとするが、走ってきたかおる、
 「みんなー、みんな、踊らされないで! あなた達のリーダー、この男こそが、ネオギルドなのよ!」
 火に燃料をガロン単位でそそぐ。
 この状況で「踊らされないで!」と高みからものを言えるかおるのハートは、実にジャスティス。
 ジャンパーソン達は市民から投石を受け、ガンギブソンはいつの間にか再建されていたロボット刑務所へと収監される事になる。 しかし、あの卑劣で粘着質で性格の悪いジョージ真壁が、恨み重なるガンギブソンを刑務所に入れただけで満足するだろうか?  ロボット刑務所の中にも罠があるに違いない、と基地に戻ったジャンパーソンは推測し、アールジーコが偵察に侵入。 はたしてロボット刑務所は、またしてもあっさりと<ネオギルド>に占拠されていた。
 マチェックは看守としてガンギブソンの前に姿を現し、暗殺ロボット達からリンチを受けるガンギブソン。
 実に3話連続で死にそうになるガンモドキ。
 「もがけ、苦しめガンギブソン! 国家権力が法の力で作り上げた完全なる密室。 その分厚い壁を突き破る事は誰にも出来んっ。たとえジャンパーソンにもだ! その完全密室で、底無しの地獄を味わえ、 ガンギブソン」
 その光景を本部でニヤニヤ眺めながら、フラグを立てるジョージ(笑)
 「悔やめ、ジャンパーソンの手下になんかなった事を」
 やっぱり、外からはそう見えるのか(笑)
 「手下なんかじゃねえ……。俺とジャンパーソンは、仲間よ! わかんねえだろうな、一生真壁の奴隷のおまえ達にはよ!」
 気勢をあげるも、なぶり者にされるガンギブソン……その映像が、潜入に成功したアールジーコからJP基地へと届く。
 「こ、これは……待ってろガンギブソン。いま助ける!」
 「ジャンパーソン、どうやってロボット刑務所の中へ?」
 「……強行突入する」
 「刑務所を、破壊するの?」
 「いいのね」
 あっさり頷くジャンパーソンに、重ねて問うかおる。
 「それが法治国家という日本の法に、拳を振り上げる事になっても?」
 いや、えーと……あの……

 ラスボスの答は勿論一つ――。
 「俺たちが守るべきは法律じゃない。命と愛だ!」


 正義 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>> 法律

 か、確信犯だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 今回のエピソード全て、この台詞のための前振りか!(笑)
 ここ何回か、それ程際立った回の無い扇澤延男でしたが、やはり恐るべし。
 何が凄いかというと、正義のヒーローが仲間のために最終手段としてやむを得ず法を踏み越えるのではなくて、 そもそも法律とか気にした事のない超法規的ジャスティスの化身がここで改めてそれを断言してしまうという所に、 このシリーズの真髄と闇の深淵が覗けます。
 笑いすぎて、胃が痛くなりました(笑)
 格好いい挿入歌「正義のために」をバックに、ラスボスはグランドジェイカーを起動、ロボット刑務所へと突入する。

そこに悪がある限り 君が救いを待つ限り
きっとあいつはやってくる 紫の炎になって
正義ってなんだ? あいつのことさ
闇を吹き払う 光のことさ
フォー・ジャスティス!
フォー・ジャスティス
戦え ジャンパーソン

 「死ぬなよガンギブソン、共に戦ってきた我が友よ!」
 ガンギブソンとの戦いを回想するジャンパーソン……死にかけた時の事とか……死にかけた時の事とか……死んだ時の事とか。
 ランドジェイカーのキャノン砲とスカイジェイカーの機銃がロボット刑務所に降り注ぎ、そしてラスボスは狂気の拳を振り上げる。
 「ブレイクナックル!」
 刑務所の壁をぶちやぶって突入してきたジャンパーソンの姿に、驚愕するジョージ真壁。
 「馬鹿な! 国家権力の壁をぶちやぶるとは!」
 ……うん、まあ、最初からなんですけどね。
 開口一番、

 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」

 ってまた確信犯。
 ラスボスの登場におののきつつも、ガンギブソンを逮捕したのはあくまで日本の警察であり、 ここでガンギブソンを連れ出せばそれは脱獄幇助で犯罪だぞ、と脅しをかけるマチェックであったが、勿論、 ラスボスが日本の法律など1ミリも気に掛ける筈はなかった! (※むしろガンギブソンの方が気にしている)
 「なんというヤツだ……国家権力を敵に回して平気なのかジャンパーソン……! 信じられん……ぬぅ!! なんというヤツだ、 ジャンパーソン……」
 そしてジョージもけっこう気にしていた(笑)
 法律も国家権力も、自分より遙かにあっさり踏みにじっていくジャンパーソンに、 悪の組織のボスとして格の違いを見せつけられて、目が虚ろになるジョージ(笑)
 あまりのショックに涙目でプルプルする姿を、高橋和興さんが素晴らしい好演。
 なんかもう、ジョージはこのまま、隠居しそうな勢いです(笑)
 ジャスティックを手に、暗殺ロボットへと躍りかかるラスボス。
 「俺は、俺の信じる愛にのみ従う!」

 俺がルールだ!
 そして、
 俺が正義だ!

 ジャンパーソンは暗殺ロボットを蹴散らしてガンギブソンを戒めから解放し、コンビで反撃開始。スピンドルキャノンまで持ち込んで、 最後はガンギブソンの砲撃によりマチェックは爆死。二人とアールジーコはロボット刑務所から大脱獄を果たすのであった。
 後日、身柄を拘束されていた刑務所長の証言により、ジャンパーソンとガンギブソンはネオギルドの占拠からロボット刑務所を開放したのである、 という発表がなされると共に狙撃事件に関するガンギブソンの嫌疑も晴らされ、二人はお咎め無しに。
 しかしこれ、全くの偶然であり、結果オーライであって、ジャンパーソンにそんな意図が全くなかったという所が、また凶悪。
 途中の捜査シーンでガンギブソンを罵っていた少女(周平の同級生という設定)も誤解を解き、 お詫びにとガンギブソンに花を渡して去って行く。
 この少女の使い方はなんとも半端だったのですが、本来は狙撃の被害者の身内設定とかだったのかな? それなら納得行くのですが。
 (※と思ったら以前にウラメシエネルギー回の時にちらっと登場したラーメン屋の女の子で、2回目の登場でした。 といっても誰も覚えていないと思うので、ちょっと不思議な使い方ではあります)。
 「飾ろうぜこの花、俺たちの基地によ!」
 「「「「俺たちの?」」」」
 「だから、俺も一緒に住んでやるっての。おまえらだけじゃ、物騒で仕方ねえ」
 かくてガンギブソンは“仲間”を受け入れる事を自らに許し、最終決戦に向けて三枝組はますます意気盛んになるのであった。
 ジェノサイドの日は近い。
 最後はやや甘めの大団円でまとめましたが、今作を貫く狂気を余すところなく描いて、扇澤節が炸裂! 次回予告から、 今更ガンギブソンやジャンパーソンに法律を適用すると作品全体のバランスが崩れるのでは……と心配していたのですが、 完全に確信犯で吹っ飛ばしてきました(笑)
 これをきっかけにジャンパーソン達が世間から糾弾されて、それでもなお悪の組織との最終決戦に挑む…… という展開も有りかとは思いましたが、ここまで来たらむしろ、堂々としている方が今作の抱える狂気がいや増すか(笑)
 改めて今作は、法治に対する正義からの挑戦状。
 凄かった。
 次回、麗子様復活。
 ……て、着ぐるみ?

→〔その9へ続く〕

(2014年1月15日)
(2017年4月20日 改訂)
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