■『特捜ロボ ジャンパーソン』感想まとめ7■


“君の夢はおれが守ろう
近づく悪はおれが倒そう
君はめざめて ほほえんでくれ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜ロボ ジャンパーソン』 感想の、まとめ7(33〜37話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第33話「宇宙一の熱愛男」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:曽田博久)

 最初に書いておくと……凄かった。
 『ジャンパーソン』の曽田脚本は、色々な意味でキレッキレ(笑)
 パトロール中、計器に異常を示したグランドジェイカー、UFOに出会う。
 冒頭からオカシすぎる。
 特撮の合成も微妙におかしい。
 「ダベ星人コマンドに告げる、ダベ。今、長き旅は終わった。太陽系第三惑星地球に到着したのダベ。我らが戦場に。 いよいよ戦いが始まるの、ダベ。悪魔の星・地球。全宇宙の敵、人類を抹殺する、ダベ。目覚めよぉ! ダベ星の勇者たちよぉ!」
 「「「「ダベダベ!!」」」」」
 「行け、聖なる戦いへ」
 「「「「ダべ!」」」」
 UFOから降り立った、全身タイツ(リーダーは赤、その他4人は銀)にホッケーマスクのような仮面をつけた怪人達は、 暗黒星雲ダベ星からやってきたダベ星人を名乗り、地球を植民地にすると宣言。次々と謎の超能力を振るい、街は大パニックに陥る。
 危うし地球。
 このまま緑の星・地球は、暗黒星雲ダベ星人によって侵略されてしまうのか?!
 だが、僕らの地球にはラスボスがいる!
 街を破壊するダベ星人に向けて放たれる、風を切るJPカード!
 「ワーニングカード……? なんダベぇ……」
 幽霊回の時にJPさんの台詞で「モーニング」ないし「ホーミングカード」と聞こえたのですが、どうも、 書いてある文字から「WARNINGカード」だった模様。
 「抵抗すれば、鎮圧する事を警告しているんだ!」
 つまり最初に言っておくと……話し合うとかそういう気は、全く無い!
 だが不敵にラスボスと向かい合ったダベ星人赤は、まさかの空中浮揚から、念動攻撃。思わぬ強力なサイコキネシスに、 先手を取られてペースを崩されたジャンパーソンは、地面を転げ回り、反撃もままならぬまま大苦戦に陥る。
 本気で滅殺しても構わないか確認する為、サーチすると、浮かび上がった文字は「サーチ不能」。彼等は本物の宇宙人なのか?!  というか、サーチして「ダベ星人」と出たら、人間じゃないからノープロブレムあっさり爆殺したのかっ?!
 ジャンパーソンを翻弄した宇宙人達はテレポーテーションで姿を消すと、その向かった先はスーパーサイエンスネットワークの綾小路麗子の部屋。
 「麗子様、私……ダベ」
 リーダー格が仮面を外すと、その正体は髭面の中年男性。
 「洞田博士……?! ということは、おまえ大法螺吹きだと思っていたけど、あの宇宙人襲撃作戦を完成させていたのですね」
 ダベ星人赤の正体は、地球人・洞田博士。そしてその率いる4人のダベ星人は、いずれも超能力を持つ地球人であった。
 さすがに、宇宙人襲来は回避。……しかしなんか、もっと凄い事に。
 洞田博士は自分と比べれば赤子ほどのパワーしか持たない超能力者達を超能力増幅スーツで強化し、侵略者・ダベ星人としてテレパシーで洗脳。 SSNの地球征服の尖兵として仕立て上げたのである。

 博士は素なのか!

 宇宙人の襲来を装って社会をパニックに陥れ、強力な超能力で速やかに征服する……これぞ、 SSNの誇るスーパー超能力者にしてスーパー天才、洞田博士による宇宙人襲撃作戦!
 「洞田博士、この戦いを、スーパーサイエンスネットワークの最終戦争にするのです」

 それでいいんですか麗子様ぁぁぁぁぁ!!

 相変わらず変態揃いの麗子様の忠実な家臣達ですが、明らかにキチガイ度が高いほど有能という、この残酷で科学的な真実!
 洞田博士はJPサーチを無効化した上に本当に超能力を増幅するスーツを作りあげたのみならず、 本人もラスボスとタイマン可能という優秀さで、間違っているのは作戦だけだ!
 再び街に現れたダベ星人達の超能力を分析するべく、重装備で街に出てくるかおる。
 未だかつてないほど、ノリノリ。
 ところで素顔丸出しですが、もうこの人、自分の死を擬装した事実を忘れ去っているのでしょーか(^^;
 かおるは集団から離れ、道路標識を愛でながらねじ曲げているダベ星人を発見しデータを収集するが、 ダベ星人が振り返った拍子に目と目が合ってしまう。
 「……かおるさん?!」
 「なんであたしの名を?!」
 「結婚してください!」
 「はぁ?!」
 ダベ星人に迫られ抱きつかれ、慌てて逃亡するかおる。
 「レディに対して失礼じゃないか!」
 割って入るガンモドキだったが、超能力であっさりと吹き飛ばされてしまう。そこに現れて、ダベ星人にすがりつく少女。
 「やめて、兄さん!」
 困惑するダベ星人は洞田博士にテレポーテーションで連れて行かれ、一行は少女・ユリから事情を聞くことになる。
 ユリの兄の名は、倉田真一。かおるが警視庁に居た頃に研究員見習いとして一緒に仕事をした事がある旧知の人物で、 実はスプーン曲げが出来る程度の超能力者だったが、半年前から行方不明になっていた。その倉田が、 かおるに出会って正気を取り戻した理由、それは……
 「兄さんは、かおるさんが、好きだったんです……」
 「?!」
 なんとなく、警視庁時代の出来事を思い返す、かおる。
 倉田はドジで間抜けで警視庁を解雇された後、超能力でかおるを好きにさせてみせると、 かおるの写真に向けて催眠術をかけようとするなど、暗い特訓を繰り返していた……。
 「あんな兄さんだけど、助けてあげてください。誰かが、恐ろしい超能力者にしたんです」
 一方、洞田博士のアジト。
 「恋に目覚めてダベ星人である事を忘れてしまったのです」
 かおると再会した衝撃で博士のテレパシー洗脳が薄れた倉田は、ロケットに入れたかおるの写真を見つめて機能停止していた。
 「こんなヤツ、処刑してやるダベ」
 「待て! 皆が死んでいると思った三枝かおるが生きている事がわかったのですよ」
 ちゃんと繋がった(笑)
 もはや、かおる本人も忘れているっぽいのに、麗子様が設定を拾ってくれた!(笑)
 麗子様は倉田にかおるを誘惑させ、それによってジャンパーソンの秘密を暴き出そう、と思いつきで方針転換。
 麗子様、なんとなくかおるを、多分モテないから押せば転がりそうカテゴリ、に投げ込んだっぽいんですが。
 「君の恋の超能力をパワーアップさせてあげようじゃないか」
 指示を受けた洞田は、倉田の超能力に更なる強化を加えるのであった……。

 全てが、凄い勢いで、狂っていく……!

 予告の宇宙人襲来が、「さすがにそんな事ありませんでした、てへっ」という時点で後は白けるかと思いきや、 むしろ宇宙人襲来の方が頭オカシくなかったという、まさかすぎる展開。
 『特捜ロボジャンパーソン』×曽田博久の化学反応が、核分裂レベルで凄すぎる……!
 「いくら研究に夢中だったとはいえ、人の心もわからなかった自分が恥ずかしいの!」
 ユリの話を聞き、倉田を助けなければ、と息巻くかおる。
 前回、師匠への情を見せたり、急にヒロイン押しされ始めましたが、かおるさんの明日はどっちだ!
 まあ多分、2クール目で新方針をやりきって落ち着いた所で、さすがにこのままだとかおるが危険すぎる、という事になって、 徐々に「かおるにも優しさとかあるんだよ!」と見せていこうという話になったのかとは思いますが。
 その過程が何故か前回の外道精神攻撃になるのは、『ジャンパーソン』だから仕方がない……!
 「そのうえ倉田くんの心まで傷つけてしまったんですもの!」
 まあ倉田の恋心に気付いたら気付いたで、

 「無理」(即答)

 とかして、もっと傷つけたと思いますが。
 「しかし、相手は超能力者なんだぞ!」
 「同じ人間よ!」
 心配するジャンパーソンの制止を振り切って倉田の説得に向かおうとするかおるの前に、花束を手にしたダベ星人が姿を見せる。 それは恋の超能力を強化された倉田であり、「僕の胸に飛び込め」とかおるに強力なテレパシー波を放射する。
 「恋するものに言葉は要らない。行動あるのみ」
 話し合おう、というかおるを強引に操ろうとする倉田。抵抗していたかおるもふらふらとテレパシーに引きずられそうになるが、 後ろのジャンパーソンが「かおる!」と叫ぶと正気に。
 「……そんなものじゃ人の心は掴めなくてよ! 心を掴むのは心よ! あなたが真心で向かってくれば、あたしだって真心で応えるわ!」
 なおここで言う真心とは、

 「は?」とか

 「ごめんなさい」とか

 「冗談は顔だけにしてちょうだい」とか、です。

 かおるは倉田のテレパシーを振り払い、超能力増強の反作用か倉田の被っていた仮面が割れ、洞田は倉田を連れて撤退。 テレポーター、恐ろしく便利。
 「悔しい……ロボットなんかに負けるなんて! もっと超能力をパワーアップしてほしい」
 かおるの言葉にも全く我が身を省みていない倉田、恋のライバルは完全にジャンパーソンに。
 洞田は仮面の代わりにヘッドギアを装備させると、倉田の超能力の更なる強化を試みる。
 恋を超えるもの……それは、愛!
 「いくぞ……愛の超能力!」
 「ダベ!」
 放出されるエネルギー波に合わせて、節をつけて声援を送る洞田博士。
 「耐えろ〜、かおるの為ダベ〜。愛・試練ダベ〜。かーならず、最後に愛は勝つぅ! ダベぇ〜」
 全編、台詞が面白すぎます(笑)
 強化された愛の超能力を得た倉田は、JP基地で仕事中のかおるにテレパシーで呼びかけ、抵抗できずにふらふらと出て行くかおる。 それを見た周平はジャンパーソンに連絡するが、かおるはまんまと、倉田のもとへ呼び出されてしまう。
 「いらっしゃい、僕の所へ!」
 白いスーツの胸に赤いバラ、という格好の倉田はかおるを抱き止めようとするが、その身柄を横からさらっていく洞田博士。倉田が、 強化されすぎた能力により色々な「かおる」に取り囲まれて身動きできないでいる内に、洞田はかおるを連れてテレポーテーション。 かおるからジャンパーソンの秘密を暴き出そうとする洞田だったが――その時、風を切るJPカード!
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
 格好良く現れたジャンパーソンだったが、かおるを人質にした洞田は残り3人のダベ星人を呼び出し、またも念動力に翻弄される。 そこへバイクの排気音を轟かせ、助っ人に現れたのはガンギブソン。
 「ガンギブソン・フォー・かおる! ってかぁ」
 しかし、ラスボスすら手玉に取る超能力に、ガンギブソンがかなう筈はなかった(笑)
 あっさり吹っ飛ばされるガンギブソン、そして、念動力で揃って宙づりになるJPとGG。
 今回、こんな回なのに(こんな回だから、ともいう)吊りも連発で、非常にアクションに力が入っています。
 洞田は念動力で大爆発を引き起こし、JPとGGは落石の下敷きになるが、ラスボスは特殊能力により、爆発→下敷きのコンボは、 一切無効! 岩石を押しのけ、立ち上がる二人、流れ出す主題歌。
 劣勢に追い込まれたかと思われた洞田……だがしかし、洞田はなんと天候すら操作し、雷鳴を轟かせる。
 これぞまさしく、

 魔王ジャンパーソン vs 勇者ほらだ!

 降り注ぐ稲妻に一度は吹き飛ばされるが、再び立ち上がりその猛威の中を突っ走る、ジャンパーソンとガンギブソン!

君が来る 稲妻の中を
君が見すえる 正義の視線で

 こんな回なのに、OPに合わせた(笑)
 光の勇者の操る凄まじい雷撃にまたも地面に叩きつけられる二人だったが、ここでラスボス、ジェイガリバーを召喚。
 超能力には、火力だ!
 雷撃が、召喚されたジェイガリバーに向かっている間に、突撃を再度敢行するJPとGG。
 爆炎の中を、手前に置いたジェイガリバーと並行しながら、ジャンパーソンとガンギブソンが走り抜ける、という格好いい特撮。 ジェイガリバーの縮尺がちょっと変とか二人の走る姿が微妙に格好良くないとかあるのですが、主題歌の格好良さで誤魔化しました。
 今回、こんな超馬鹿回なのに、超見せ場たっぷり。
 岩を払いのける所から一連のアクションシーンは、ここまでの今作で、屈指の格好良さだったと思います。
 ジャンパーソンはガンギブソンとの連携攻撃によりダベ星人にジャスティック執行。かおるの救出に成功する。
 「ジャンパーソン!」
 勢いでジャンパーソンに抱きつくかおる。
 最近、ガンモドキが密かにヒロインの座を狙っている疑惑があるので、積極的に打って出ました。
 ここまで、ヒロイン不在の今作(敢えて言えば、一番ヒロインに近い座に居たのは麗子様か)でしたが、後半戦に入ってやにわに、 ヒロインレースの火花が散り始め、面白くなってまいりました。アールジーコ辺りも油断できない雰囲気があるので、 かおるの敵は主に身内。
 「む〜〜〜、ユーフォォォ!」
 洞田博士、掴みのネタだけかと思われていたUFOを召喚。
 凄い、ホント凄いよ博士!
 今作で、ここまでジャンパーソンとやり合ってくれる敵が出てくるとは、もはや感動の領域です。
 「ダベ!」
 キャプチャービームによりUFOに乗り込んだ洞田博士は、最後の切り札として、地上に壮絶な光線攻撃。
 だが、相手がマシンの力を借りたとなれば、JPさん、本気。

 ジャンデジックとジャンバルカンを取り出すと、UFO瞬殺。

 光の勇者ほらだは、明けの明星となって砕け散ったのであった。
 残りのダベ星人3人も仮面が落ちて正気に戻り、洞田博士の作戦は失敗。
 この光景に怒りの麗子様は帽子を脱ぎ捨て、これにより、あの変な黒い飾りは帽子についていた事が判明しました。
 「ジャンパーソン! しばらくさよならするわ。束の間の休息をあげる。だがこの次私が現れた時、 おまえはスーパーサイエンスのスーパーサイエンスたる所以を思い知る事になるだろう。見せてあげる、本当のスーパーサイエンスを!  ……ふっ」
 台詞の間に、部屋に飾ったジャンパーソンの写真を見るのが素敵。
 そして本日もカメラ目線。
 麗子様、まさかの休養宣言。高畑淳子さんが産休との事ですが、捨て台詞は若干、小学生っぽい(笑)
 「凄いから凄いんだ!」みたいな。
 本当のスーパーサイエンス、期待してお待ちしたいと思います。
 そして完全にテレパシーから解放された倉田は、妹と仲良く家路につくのであった。
 「ジャンパーソン……ぼく、男にとって何が大切なのか、見せてもらいました」
 「……え、いや」

 そう、男は、火力!
 かくて遂に勇者を討ち果たしたラスボス一行は、世界の支配にまた一歩、近づくのであった……。
 あれだけ衝撃的に展開したビルゴルディ編の直後に、 明らかにビルゴルディより強い人間が出てくるという物凄いエピソードでしたが、 最後のバトルシーンでずっと背後にいた倉田が、JP達がピンチになった時に超能力で助ける、 というちょっといい話で締めるのかと思いきや、最初から最後まで傍観しているだけというのもまた凄い(笑)
 曽田さんの持っている80年代戦隊テイストが、ポスト『ウインスペクター』の90年代メタルヒーローにブレンドされた結果、 異常な輝きを放ち、「ウラメシ大作戦」に続いての、快作となりました。
 『ダイナマン』で見直した曽田博久に、『ジャンパーソン』でこんな感銘を受ける事になるとは思わなかった(笑)
 この気の狂ったシナリオを、アクション巨編に仕立て上げてしまった蓑輪監督も、お見事。
 次回、予告でえらく最後まで見せている感じがする上に怪しげなサブタイトルですが、いったい……?!

◆第34話「激闘にさよなら」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:宮下隼一/井上一弘)
 落下した未確認飛行物体を調査していたジャンパーソンは、自分を見つめる少年と出会うが、走り去られてしまう。
 「ここはどこ……? 僕は、誰……?」
 記憶のない少年は、帯刀の乗った車と接触。車が通りすがりの暴走族に襲われたところ、突然、 手の中に銀の銃を取り出して暴走族を撃退した事から、その不思議な能力を帯刀に目を付けられる。
 「こいつは驚いた。今の、どうやったんだ……坊主」
 リオという名前だけを思い出した少年を連れ帰った帯刀は、リオの失った記憶を読み出す装置だと偽り、 リオの両親らしき男女をジャンパーソンが撃ち殺す、という捏造映像を見せ、リオをジャンパーソンへの刺客に仕立てあげる。
 「極悪非道の殺人ロボットだ」
 この世界のロボットの人権について考えた時には、微妙に、間違っていないかもしれなくて否定しづらい。
 ジャンパーソンを誘き出すべく帯刀の差し金で、警視庁に納入される新型の警察ロボットを襲撃するリオ。 警官ロボットを無残に破壊したその時、風を切るJPカード!
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
 親の仇だと誤解するリオに撃たれたジャンパーソンは、その不思議な能力を目の当たりにしリオをサーチするが、 表示されたのは「正体不明」の4文字。
 ……JPサーチも段々、アバウトになってきました(笑)
 どのぐらい本気出していいかの判断基準がサーチ頼りのJPさんは困るが、突如、頭痛に苦しみ出すリオ。 帯刀がビルゴルディに変身してジャンパーソンを攻撃するが、アールジーコとガンギブソンが救援に入り、 ジャンパーソンはジェイガリバーを召喚すると、リオを回収して撤退。
 どういう仕組みか不明だったビルゴルディですが、脚本と演出の勢いで、その場で「変身」できる事になりました。
 JP基地でのリオの詳しい調査の結果わかったのは、リオは人間でもロボットでもなく、そもそも、 その構成分子が地球上のものではない、という事だった。恐らく落下した未確認飛行物体は宇宙船であり、リオは、 地球人の少年に擬態した宇宙生命体なのだ!
 …………前回の今回で、宇宙生命体とか、どうしてこうなった(^^;
 気がついたリオは再び銃を取り出し、ジャンパーソンらの説得を振り切るように基地内部で銃を振り回すが、再び頭痛に苦しみ出す。 更に脳内に響く「早く戻るんだ、戦場に。おまえは戦士なんだぞ、リオ……」という謎の声。 基地を飛び出したリオを追うJPとGGだったが、一足違いでリオは帯刀秘書ズに回収されてしまい、 秘書ズにそそのかされて再びジャンパーソンに銃を向けるリオ。
 「だからあん時、始末しときゃ良かったんだ!」
 ガンギブソン、火に油を注ぐ(笑)
 ジャンパーソンの制止を振り切ってホーミングバレットを放ったガンギブソンだったが、バリアで跳ね返され、見事な倍返し(流行語)。
 気絶したリオが譫言で呟いていた「もう戦いたくない……」という言葉にその本心を感じ取っていたジャンパーソンは、 ジャンデジックを捨てるとノーガードでリオへと歩み寄り、彼を説得。戦いを否定する自分の本心に目覚め、記憶を取り戻すリオだったが、 その時、風を切るビルゴルディカード!
 表面に刻まれた文字は、

Billgoldy
FIGHT FOR EVIL!

 凝ってるな、総裁(笑)
 「やはりとどめは、このオレが刺さねばならんようだな。役立たずは消えろ」
 ビルゴルディはリオを撃ち、ガンギブソンがビルゴルディを食い止めている内に、 負傷したリオを助けて倉庫の片隅に横たえるジャンパーソン。
 リオの正体はやはり宇宙人であり、戦争の続く星から逃げてきた、宇宙の逃亡者であった。
 「やっぱり、ここも同じだった。争いの無い世界なんて、きっとどこにもないんだ。……どこにも」
 「そんな事は無い! いや……あるものか。俺が、俺たちが必ず、平和な世界を作ってみせる、必ず」
 「本当に……?」
 「ああ」
 「嬉しいな。やっと夢がかなうんだ、やっと。ジャンパーソン……」
 地球の環境に順応できなかった影響もあり、力尽きるリオ。
 リオを横たえるところで音楽を止めて、上からのカットにしたのは良かった。
 「おのれ……ビルゴルディ!!」
 怒りのジャンパーソンは戦場に戻るが、今日も二人を蹴散らす魔王ビルゴルディ。しかしここで、 前回の戦いを踏まえて密かに特訓していたと思われる、JP&GGのコンビネーションアタックが発動。
 前転したと思うや、ビルゴルディの足首を押さえるガンギブソン。足の止まったビルゴルディとジャンパーソンが、 ノーガードで殴り合い(笑) そしてガンギブソンが足下からひっくり返した所に、JP&GGの、 ダブルデストロイヤーキック!
 銃を構える二人に対し、ニーキックミサイルの発射態勢に入るビルゴルディだったが、その時、
 「ジャンパーソン、合体だ!」
 飛んできたアールジーコが変形し、ジャンデジックと合体。新兵器・ジックキャノンへと姿を変え、 炸裂した閃光はニーキックミサイルごとビルゴルディを飲み込み、吹き飛ばす。
 魔王ビルゴルディ、超高速の失権で、よろよろ撤退(^^;
 やはりこの世に、ラスボスは一人で充分!
 アールジーコの変形合体は、リオを回収した際の修理シーンで自称“平和大好きの偵察ロボ”が「バスターモードつけちゃうからな、 もう!」という台詞で一応伏線にはなっているのですが、凄くてきとー。明らかに直前のコンビネーションアタックの方が演出にも気合いが入っており、 非常に雑な新兵器&新必殺技となりました。
 まあそもそもジャンパーソン自体が全身武器で、衝撃の新兵器がどうこう、という作品ではないですが(^^;
 それはそれとして、やっぱり仕込んでいたよ三枝かおる!
 停戦監視の名目でゲリラとか吹き飛ばす気満々です。
 愛と平和とジャスティスです。
 ラスボスの更なる本気の前に、言い訳できない完全敗退してしまったビルゴルディですが、こんなすぐにこの展開になるなら、 魔空空間の時にジックキャノンで倒してしまっても良かったような。というかこれは、造形と撮影が間に合わなかっただけで、 本来そういう予定だったのではないか、というレベル。
 正面作戦で圧倒できる筈のビルゴルディがリオを利用する意味が全く描かれていませんでしたし、 今回のエピソードがお披露目し損ねたジックキャノンをお披露目する為に急遽増補した回、だと思うと、 32話の強引すぎた逆転劇にも納得がいきます(^^;
 帯刀龍三郎の次回作にご期待下さい!
 背景事情への推測はともかく、概ねろくな事が無い、宮下+の連名脚本にしては、それほど酷くはありませんでした…………たぶん。
 正直、33話が凄すぎて、面白いとか面白くないとかの感覚が一時的にマヒした状態で見たため、 感情の起伏の薄い感想となっております(^^;
 次回、女子高生ロボット……って、今度こそ濃厚な扇澤脚本の匂いが(笑)

◆第35話「暴走セーラー服」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
 山道を行くジャンパーソンとガンギブソンは、磔にされて無残に破壊されたロボット達の残骸を発見する。そこは、 <ネオギルド>の処刑場であった……。
 「やつらがなぜ処刑されたか……わかるな? この私に口答えしたからだ!」
 ええ?!
 「心に刻み込め! このジョージ真壁に背くものには見せしめの血の粛清あるのみと。 我らは鉄の結束……ネオギルドだ!!」

 ええーーーーー?!

 これまで数多の裏切り者を輩出してきた<ネオギルド>大首領のお言葉に疑問符が山盛りで泣けばいいのか笑えばいいのかわかりません。なんかもう、 自らを鼓舞しようといているのかもしれませんが、

 現実見ようぜ!

 そして鬨の声をあげる暗殺ロボット達の中に、セーラー服女子高生ロボットが混ざっているという、非常にシュールな映像。強引、 を通り越して、<ネオギルド>だから仕方ない、という空気さえ漂います。
 そんなセーラー服女子高生ロボット・トコちゃんは、心中で一人呟くのだった。
 (このままじゃやばいな……なんとかしなくちゃ)
 その頃、処刑場でかつての自分を振り返るガンギブソン。
 「昔、俺もこの手で仲間を処刑した事があってな。真壁の命令で……脱走者狩りだよ」
 自由を叫ぶ脱走ロボットを容赦なく銃殺した日々……。
 「あの頃の俺は、自由の意味もわかっちゃいない、どうしようもない馬鹿だった」
 …………いや貴方、つい最近も何故か既に組織を足抜けしたメンバーだけ集中的に狙って襲っていた気がするんですが。 あれは何かの見間違いだったのでしょうか。
 ガンギブソンは、良くも悪くも切り替えが早すぎる(笑)
 一方、<ネオギルド>では
 「なに、だっそぉう?!」
 大演説をぶった直後に、脱走が発生していた(笑)
 脱走したのは、セーラー服女子高生ロボット・トコちゃん。トコちゃんは生みの親であるおっさん・山上をひきずって逃亡する。 気弱でだらしのない山上に<ネオギルド>からの脱走の意志はなかったが、作業用お手伝いロボットであり、 破壊への悪意を持たないトコちゃんは<ネオギルド>に居る事に危険を感じ、「おっさんにもっと誇りを持って生きてほしい」 と強引に逃亡させたのだった。
 JPらと共に山中を調査していたアールジーコが二人に気付くが、直後に二人は<ネオギルド>の追っ手に捕まってしまう。 ジョージは、人間としては駄目だが修理屋としては有能という山上だけを助けると、 「トコを始末しろ」と電気椅子のスイッチを山上に渡す。逡巡しながらも、「トコちゃん、おまえが悪いんだ」と、 スイッチを押してしまう山上(笑)
 壮絶な駄目人間だーーー。
 まあ、見た目が人間そっくりなだけで、トコちゃん、ロボットに過ぎないといえば、過ぎないのですが。
 「駄目だよおっさん、父親が、自分の娘に手かけちゃ駄目じゃんかよ……」
 苦しむトコちゃんだったが、容赦なく回路を焼いていく電撃……だがそこへ、アールジーコから連絡を受けたJPとGGが駆けつけ、 スカイジェイカーが<ネオギルド>のロボット達を攻撃。
 ここのバトルで流れる新BGMが格好いいなぁと思ったら、35話にして初の挿入歌(「正義のために」)。
 かなり格好いい。

 そこに悪がある限り 君が救いを待つ限り
 きっとあいつはやってくる 紫の炎になって
 正義ってなんだ? あいつのことさ
 闇を吹き払う 光のことさ
 フォー・ジャスティス!
 フォー・ジャスティス
 戦え ジャンパーソン

 歌詞は怖い。

 ジャンパーソンとガンギブソンは暗殺ロボット軍団を蹴散らしてトコちゃんを回収。突然、 山の中から出てきた巨大砲台が逃げる3人を攻撃するが、あっさりとジェイガリバーのミサイルで吹き飛ぶ(笑)
 トコちゃんは中枢メカにダメージはなく幸い意識を取り戻すが、JP基地での完全な修理をしよう、 というジャンパーソンの提案に首を左右に振る。
 「行けない私は。ネオギルドに忘れ物してきちゃったもん」
 戻っても殺されるだけだ、と連れて行こうとする二人だったが、トコちゃん、女の武器を使って隙を突き、 迂闊なガンギブソンのホルスターから銃を奪うと、天井を破壊してその混乱の中で走り去ってしまう(幸い銃は返却されました)。
 トコちゃんが命がけで敢えて<ネオギルド>へ戻った理由、それは、父親と慕う山上のためであった。
 「一人で逃げたって仕方ないもん。おっさんが一緒じゃなきゃさ……」
 捕まったトコちゃんは拷問を受け、ジョージはその手に謎のチップを取り出す。
 「この小娘には従順な私の奴隷になってもらう」
 当然拒否するトコちゃんだったが、山上をたてに脅され、それを受け入れる。口で謝りつつも、 ジョージに言われるままにトコちゃんにチップを組み込む、徹底的に駄目な山上。シリーズにおける伝説的駄目親父、 『特警ウインスペクター』第7話を思い出さずにはいられません(笑)
 くしくもゲストの山上役は、『ウインスペクター』でバイクルの声を担当し、 後半ではそのバイクルを組み上げた技術者としても登場した篠田薫。扇澤さんは脚本見ていると『ウインスペクター』7話 (シリーズのテーマ性に大きな影響を与えた回である)はかなり意識している節があるので、全体としてオマージュなのかもしれません。
 「ではまず、私の靴を磨いてもらおうか。と・こ・ちゃん」
 て、比喩表現ではなくて、ホントに奴隷扱いなのかっっっ。
 拒否しようとするトコちゃんだったが、チップの効果により激しい苦しみが彼女を襲い、ジョージの命令を受け入れる事になる。
 「ならばひざまずけ! 犬になって私の靴を磨け! …………おちたな」
 女子高生ロボットに靴を磨かせて悦に入るという、かつてなく、 大首領さいてーな感じに(笑)

 そしてグレたトコちゃんは、ジョージの命令によりバズーカ持って街を攻撃。止めに入ったJPとGGも撃ちまくるが、 ガンギブソンの攻撃を受けて機能停止。二人はトコちゃんを回収するとJP基地へと運び込み、記憶回路を再生する事で、 その脱走と帰還の真相を知る。トコちゃんに埋め込まれていた奴隷チップを発見、解除するジャンパーソンの胸に、去来する思いは……。
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス! その男に用がある!」
 山上を運ぶ<ネオギルド>のトラックに突き刺さるJPカード!
 「ない、ない、ないっ!」
 怯える山上、それはもう、超怖い。
 GG「いいから来い!」
 ジャンパーソンとガンギブソンは暗殺ロボット軍団を蹴散らしていき、ここに来て、挿入歌祭。 またいつも圧倒的な火力で殲滅する事が多い今作では珍しい、カメラを近づけての派手な取っ組み合いを展開。 これまでも格闘戦はそれなりにはありましたが、ここまで押し出してくるのは珍しく、ビルゴルディ戦を入れた事で、少し、 アクションの傾向を変えてくるのか。
 上級バージョンの黄色タイツに意外に苦しむ二人だったが、ラスボスここで、アールジーコを召喚。
 ああそうか、ノルマがあるのか(笑)
 ――貴様今もしかして、「勝てる」と思ったのか?

 残念、ジックキャノンだ。

 黄色タイツは、停戦命令に従わない連中は消毒するぞ砲により、オーバーキル。山上を確保した二人は、 奴隷チップの中にジョージ真壁が仕込んでいた映像を山上に見せつける。それは……山上が拷問されているという、 イメージ映像であった。真壁の命令に逆らうと、トコの電子頭脳にその映像が流れるという仕組みだったのである。
 「しかし、今のはただの……」
 「ただのイメージよ! 分かっていてもあの娘には耐えられなかったんだ! それだけおまえを大切にしていたってこったろうが!  父親なんだからよ……!」
 「父親?!」
 「そうだ、父親だ」
 ガンギブソンの言葉に、トコを完成させた時の事を思い出す山上。
 「なってあげるよ。あたいが家族に。おっさんの娘にさ」
 トコはロボットの研究一筋で家族を持たずに生きてきた山上に、娘になってくれると言った存在だった。無茶苦茶なトコの行動が、 しかし本当に自分の事を思ってくれてのものだったと遅まきながらも山上は気付き、JP基地でトコを必死に修理。 その祈りに応えるかのように、トコはその目を覚ます……。
 まあ、半壊させたのそこに立っているガンモドキなんですがっ!
 「おっさんじゃない……お父さんだよ」
 それぞれを思う気持ちで二人は繋がり、<ネオギルド>からの逃亡生活へと旅立っていくのであった。 ガンギブソンは真の自由を手に入れた二人を守る事を誓い、ラスボスは最後に目覚めた人間愛の勝利に深く深く満足するのであった。
 と、単発いい話。
 扇澤脚本としてはやや切れ味不足でしたが、水準といっていい出来。
 ただその中で、人間に愛されるロボットは幸せだ、というベース(JPさんの信念)がある今作に、 ではロボットからの愛に人間は応える必要があるのか?という要素を入れてきたのは面白い。
 そしてロボットと人間の関係性、という点において、ジャンパーソンとガンギブソンにはズレがある。
 どこまで意図したのかはわかりませんが、今回と次回がセットになっているのは、興味深い所です。
 にしても、ジョージが冷酷・残虐・非道な悪のボス……というより

 純然たるさいてー男

 になってしまったのですが、大首領の明日はどっちだ?!
 次回、何故か予告で強調される「多摩テック」
 「全国から集結した子供達、ジャンパーソンキッズを君は見たか」
 ……って、いったい何が?!

◆第36話「命短し美少年!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:鷺山京子)
 友人・佐川ヒロキと多摩テックへ向かう周平……という、多摩テック協賛回。
 遊園地のモニターとして集められた子供達、だがそれは、<ネオギルド>による陰謀であった。<ネオギルド>は新しい遊具のテスト、 と言って子供達を怪しげな部屋に集めると、遊具で遊ぶ子供を特殊な装置でサーチする。 ところが興奮しすぎた子供達が遊具に群がって大騒ぎした拍子に機械が爆発。近くに居た研究員ロボットが一人吹き飛んで爆死する、 という凄い事故に(笑)
 <ネオギルド>製品だから仕方ない……!
 もっとも、この世界観で言えば、人間といっけん区別がつかない白衣のお兄さんがロボットでも別におかしくはない筈なのですが (故にむしろ大惨事というか)、この事態に泡を食った<ネオギルド>のロボット達は白衣を脱ぎ捨て自ら暗殺ロボットの正体を明かしてしまう。
 <ネオギルド>製品だから仕方ない……!
 外に逃げ出した子供達を捕まえようとする暗殺ロボット達、その時、風を切るJPカード!
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
 「シャドーロボットはその中だ! 逃がすなぁ!」
 子供達を捕まえようとする暗殺ロボットに立ちふさがるジャンパーソンだが、思わぬ強さを見せる金色タイツの放つベータビームに苦戦する。 そこへガンギブソンが助けに来て形勢逆転かと思われたが、子供を人質にやってくるジョージ。
 最近の真壁さんの精神的雑魚っぷりにはもう、どんな顔をすればいいのか本格的にわかりません(笑)
 ジョージ達に子供を奪われたまま一時撤退を余儀なくされたジャンパーソンとガンギブソンはJP基地へ。そこでかおるから、 シャドーロボットについての情報を得る。
 ……さすがにここで、JP基地まで戻ってしまうのは、ちょっと苦しかったところ(^^;
 シャドーロボット、それは、あらゆるロボット検査装置をすり抜ける人間型擬装ロボット。 開発者の竹内博士はその危険性に気付いて5年前に研究を中止するが、その後、1年前に謎の事故死を遂げていた。 実はこれは<ネオギルド>による謀殺であり、<ネオギルド>はシャドーロボットの研究成果を奪おうとしていたのだ。
 博士の遺した資料から子供型のシャドーロボットが1体だけ実際に作られた事を知った真壁は、 生前の博士に近しかった子供達をリストアップ、最新型の検査装置にかける事でシャドーロボットを見つけ出し、 そのシステムを解析して大量生産しようと目論んでいたのである。
 事件の背景が判明する中、JP基地に届く、周平の友人・佐川ヒロキの父からの通信。JPとGGが向かった病院で目にしたのは、 病室のベッドで懇々と眠る佐川ヒロキの姿だった!
 実はヒロキ少年は難病で意識不明のまま寝たきりであり、今、周平と遊び、<ネオギルド>に囚われているヒロキこそ、 竹内博士の造り出したシャドー・ロボットだったのである。佐川の妻は竹内博士の娘であり、ヒロキは博士の孫。 シャドーヒロキは生ヒロキの病気の治療法が確立するまでヒロキとして思い出を育む為の、代理孫ロボットだったのである。
 おい、<ネオギルド>、おい……!

 まず肉親から調べて!

 どこまでポンコツ路線を突き進めば気が済むんだ……!
 生ヒロキの治療が成功した暁には、それまでヒロキとして生きてきたシャドーヒロキの記憶を本物に移植し、シャドーヒロキは廃棄。 これにより生ヒロキは、少年時代のかけがえのない体験を失わずに済む。
 だが――
 「なにぃ! それじゃ使い捨てじゃないか!」
 シャドーヒロキの廃棄を平然と語る佐川両親に、怒りを見せるガンギブソン。
 今回、ここまで正直ぐだぐだのシナリオだったのですが、ここで急に面白くなってきました。
 「許せねえ、許せねえ! ロボットをなんだと思っていやがる!」
 佐川父がジャンパーソンに差し出した、シャドーヒロキからの通信波をキャッチする装置を横から奪い取ったガンギブソンは、 ジャンパーソンすら振り切り、一人でヒロキの元へと向かう。
 前回からガンギブソンが、ロボットの為に怒るキャラとして少し強調され、 ジャンパーソンとはちょっと違う立ち位置へシフトしていっています。
 急ごしらえの為、シャドー・ロボット以外はサーチのショックで死んでしまう、という適当に修理した検査装置の発動寸前、 多摩テックの秘密施設へと飛び込むガンギブソン。よくよく考えると<ネオギルド>の秘密基地があった扱いの多摩テックは、 本当に宣伝になるのか?!
 子供達を助けるGGだったが、通信装置の反応を見ながら「この子が……」と呟いて、 ヒロキがシャドー・ロボットである事がバレてしまう(笑)
 さすが迂闊ガンモドキ。
 更に暗殺ロボット軍団に取り囲まれ大ピンチに陥り、その猛攻に地面に倒れてぴくぴくしてしまう。
 危うしガンギブソンというその時、突撃してきたスカイジェイカーが暗殺ロボット達を機銃で蜂の巣にし、 続けてランドジェイカーの砲撃が火を噴く。とどめにラスボスが壁を破って姿を見せ、 混乱の中で立ち直ったガンギブソンはヒロキをさらって走り去る。やたら強い金色タイツはジャンパーソンを苦しめるが、 基地が崩壊してジョージ達は逃亡。ジャンパーソンは子供達の救出に成功するのであった。
 一方、ガンギブソンはシャドーヒロキをバイクに乗せて逃走中。
 「いいか、よく聞け、おまえには家なんかない」
 残酷な真実を、直球で投げつける。
 「記憶だけを取り出されて、スクラップにされちまうんだ」
 当然、自分がロボットである事を信じないシャドーヒロキに、ガンギブソンは病室で眠る生ヒロキを見せつける。
 ……あー、いい奴なんだけど、後先全く考えない、という。
 迂闊だから。
 激しく狼狽するシャドーヒロキは、病室を強襲した<ネオギルド>にさらわれてしまう。 追いかけるガンギブソンの前にはこれも囚われの身となった佐川両親が現れ、金色タイツのおっさんビームの攻撃を受け、 またも崩れ落ちるガンギブソン。
 「ぼくロボットなんかじゃないよね!」
 ヒロキは泣き叫ぶが両親は黙り込み、少年はガンギブソンの取り落とした銃を乱射する。
 その時、風を切るJPカード!
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス」
 本日2回目。
 ジャンパーソンの登場にガンギブソンも立ち直るとヒロキを守り、前回に続いて今回も、激しい格闘戦演出。 最後は火力で黒タイツを押し切るが、金色タイツのベーターレーザーがJPを苦しめる。アールジーコの助言により、 胸のセンサーを破壊してベータレーザーを封じ、ひるんだところをジックキャノンで爆殺。
 前回に続き、Bパート前半で早々に敵戦力が壊滅し、残りはドラマパートに回される、という構成になりました。
 「ぼくを殺すつもりなんだろう! 記憶だけを取り出して。酷いよ、酷いよ!」
 シャドーヒロキはガンギブソンの銃を構え、言葉を失う両親の代わりに、ジャンパーソンがヒロキの前へ進み出る。
 病室で眠っていた生ヒロキだが、実は難病の治療法が確立し、既に後は記憶さえ移植すれば意識を取り戻す、 という段階までやってきていた。
 JP「俺だってロボットだ! ヒロキくんの気持ちは、痛いほどよくわかる。だがヒロキくん、君は、真実を知らなくてはならない」
 GG「ふん! どうせロボットは使い捨てだからな!」
 父「その通りです」
 母「初めは確かに身代わりのつもりでした。でも5年間も一緒に暮らして、本当の息子のように」
 父「我が子可愛さのあまり、この子をこの世に生み出してしまいました。ヒロキ、すまん……」
 母「許して……」
 なぜか流れる、麗子様のテーマ(笑)
 JP「ヒロキくん、君は使い捨てじゃない。佐川さん達に、心から愛され、大切にされて、今日まで生きてきたんだ。その思い出は、 病院のヒロキくんに受け継がれて、いつまでも生き続けていくんだ」
 真実――それは、シャドーヒロキがただの身代わりではなく、佐川夫婦に心から愛されていたという事。しかし結局、 夫婦は生身のヒロキを選ぶのだ。
 え? あれ? え? JPさんに「君はいつまでもヒロキくんの中で生きていく」とか言われて、 その気になったシャドーヒロキは銃を下ろし両親と仲直りするのですが、結局やる事は変わらないという。
 え? なにこれ? いい話……じゃないよね?(笑)
 「パパ、ママ、僕は消えるんじゃない。もう一度、生き直すんだ」
 眠り続ける生ヒロキに、いよいよ移植される事になるシャドーヒロキの記憶。
 記憶回路を流れていく数々の思い出は、恐らくロケ地:多摩テック。
 そして流れる挿入歌バラード「君は眠れ・そして歌え」。検索したら見つかったので聞いてみたのですが、 メロディが完全に昭和歌謡なのに歌詞が半分ヒーロー物、という凄いハイブリッドで、ちょっとお薦め(笑) で、気になって調べたら、 今作の主題歌・挿入歌を作曲している浜圭介はそもそも、「舟唄」(八代亜紀)の作曲者だったりで、そちらの方面では大物の方でした。
 「さようなら……パパ……ママ……」
 全ての記憶を生ヒロキへと移し、シャドーヒロキは瞼を閉じると、その機能を停止する――。

 てこれ、JPさんの理想の死に様ジャナイデスカ。

 人間に愛されてその為に死ぬ。
 これ、ガンギブソンが憤っている部分と、ジャンパーソンが「俺だってロボットだ! ヒロキくんの気持ちは、 痛いほどよくわかる」と言っている部分が、致命的にズレている。
 ガンギブソンは「人間の都合でロボットの自由と尊厳が踏みにじられて良いのか」という所を問題視しているけど、
 ジャンパーソンは「単なる身代わりではなくて人間に愛されていたのかどうか、人間は彼を愛していたのか」という所を問題にしている(笑)
 そして真実――愛し愛されていた事――がわかった以上、今さっき自分がロボットだった事を知ったとか関係なく、 役割を全うしてロボットは満足して黙って死ねという、超絶なラスボス理論。
 自分の理想の死に様を少年ロボットに押しつけ投影するというジャンパーソン・フォー・ジャスティス!
 2話続けての閑話休題ちょっといい話路線かと思いきや、実に今作らしい狂気。
 そして後日……JP、GG、かおるの3人は、元気になった人間ヒロキを見つめるのだった。
 「二人で一人。でも今は、完全に一人になったのね」
 「ああ。ロボットとして生きたヒロキくんの5年間は、これからもずっと生き続けるんだ。元気になった、ヒロキくんの中でね」
 まるで示し合わせたかのようにいい話にしてまとめていますが、傍らで黙り込んでいるガンギブソンは、 そろそろ何かペテンにかけられたような気がしてきた所でしょうか。
 ヒロキと遊んでいる子供達に、コンタクトカードを配るJPさん。
 「「「「「ジャンパーソン、これからも応援するよ!」」」」」
 揃いのトレーナーを身につけた子供達は、ジャンパーソンに声援を送る。
 「よーし、今日から君たちはジャンパーソン・キッズだ!」
 美しい愛の結末を見て浮かれるJPさん、勢いでとんでもない事を言い出す(笑)
 ナレーションで「こうして、ジャンパーソンキッズが誕生した」と言われた上に字幕まで表示されてしまいました、 ジャンパーソン・キッズ。なにか、放映中の公募企画の類なのかと思われますが。
 最後はGGとかおるも交えて子供達と遊んで、なんとなく雰囲気だけ大団円。この世界観的には、 決していい話ではない気がしますが! 
後かおるはもう、隠れる気全く無い模様。
 本編最大の謎は、いったい誰が、美少年だったのか。
 ……ヒロキくん、ぽっちゃり系なんですが(笑)
 誰だったんだ!

 どこまで意図したのかはわかりませんが
 ・ロボットと人間の愛情が主題
 ・ジャンパーソンとガンギブソンの立ち位置の微妙な違いを描いている
 ・Bパート早々に敵が倒れて残りはドラマという構成
 ・ジョージ真壁の悪の親玉らしさを強調しようとしたら駄目人間ぶりが加速した
 ・<ネオギルド>のぽんこつぶりがますます浮き彫りになった
 と、35話とセットのような構造。
 格闘戦主体で演出したり、戦闘を含めた構成を似せたのは、演出の側で意図してセットぽくした感じはしますが。
 注目すべきは、これまでジャンパーソンに鉄拳制裁されてはすぐに考えを改めていたガンギブソンが、 善玉サイドの立ち位置を守りつつも、キャラクターとしてジャンパーソンから自立し始めている事。これまでは、 誰の目にもわかる形の暴走(例:無抵抗のロボットを撃とうとする、人間を撃とうとする、とにかく撃とうとする)が多かったのですが、 よりロボットに近い立ち位置から、“正義の怒り”を燃やした結果の行動である、と描写されています。
 今後どこまで活かされるかわかりませんが、一つの要素として期待。
 前半の無茶な展開、後半いきなり病気が治っている生ヒロキ、など大筋滅茶苦茶で鷺山脚本にしてはまとまりが悪かったですが、 迸るジャンパーソンの狂気が何ともいえない後味に着地する、という実に今作らしい、地味ながら狂った一本でした。
 次回、早くもジックキャノン敗れる。
 しかしその時、
 「未知なるスーパーウェポンが火を噴いた!」
 て、えええええっ?!
 「正義vs愛」
 サブタイトル格好いいので期待。

◆第37話「正義vs愛」◆ (監督:小西通雄 脚本:酒井直行/扇澤延男)
 単独でそれなりの数を書いている脚本家同士、という珍しい連名。
 OPにはビルゴルディとジックキャノンが追加。共に本編シーンの流用ですが、印象的なシーンをチョイスしていてビルゴルディ、 格好いい。ロボット、という事もあるのでしょうが、ここに来て、ジョージと麗子様に対し、少し扱いの差が付きました。
 そんな帯刀さん、久しぶりに会社でお仕事。両手に革手袋はめたままで会議に出席しているのは、ビルゴルディ化の影響か?  帯刀はグループ傘下の帯刀海底開発のプロジェクトを強引に中止に追い込むと、 その海底作業用ロボット・サイレントを対ジャンパーソンの作戦に使うべく策謀を巡らせる。
 これまでは裏の顔だけでジャンパーソンと戦ってきたが、これからは表の顔も使うぞ、と宣言する帯刀、 趣味は趣味でやる事にプライドがあった事が判明。

 あくまで、アフター5のお楽しみだったのか……!

 帯刀が、用意した偽のJPカードを手にほくそ笑んでいる頃、帯刀海底開発の真田博士は、 サイレントとその相棒である女性型ロボット・ジェルソミーナに、プロジェクト中止について説明していた。
 「遠くなっちゃったなぁ……俺の夢」
 「あたしと二人の、でしょ」
 世界中の子供達の為に海底パラダイスを作りたい、と語るサイレントは非常に素朴な感じで、 ジェルソミーナとあははうふふしていたが、その時、風を切るJPカード!
 突然、サイレントとジェルソミーナはJPカードによる襲撃を受け、そこへ駆け込んできたマヤとシンディが、 サイレントの命がジャンパーソンに狙われている、と二人を連れて逃走。置いていかれた真田博士、銃撃に巻き込まれて死亡?
 サイレントがジャンパーソンに狙われているのは、ジャンパーソンが自分より強いロボットを消そうとしているから……って、 微妙にありそうで困る。
 「私より強いロボットの存在は、平和を脅かす可能性があるからフォージャスティス!」
 しかし今回に限っては、シルエットだけ見せてサイレント達を襲うのはジャンパーソンを擬装したビルゴルディであった。 その銃撃を受け、逃走中にジェルソミーナが爆死。爆発後に、頭部だけ残っていて、なかなかえぐい。
 帯刀はビルゴルディからの変身を解除すると、いかにも今やってきった風を装って、サイレントに駆け寄る。
 「サイレント、恋人の仇を取れ。復讐だ」
 ……なんかこの作戦、つい最近もやりませんでしたか、総裁(笑)
 「ジェルソミーナの仇、ジャンパーソン!!」
 サイレントは左手にジェルソミーナのICチップを握りしめ、右手のハサミを振り振り走り出すと、街で大暴れ。
 帯刀らが去った後に現場に辿り着いた真田博士(生きていた)は、変わり果てたジェルソミーナの無残な姿と、 打ち捨てられた二人の夢の描かれたイラストパネルを見つけるのだった……。
 街で暴れ回るサイレントを止めに入ったジャンパーソンとガンギブソンは、問答無用で銃撃。しかし、 サイレントの深海装甲は二人の攻撃を弾き返し、ジャンバルカンさえ通用しない。ならばとラスボスはジックキャノンを発動し、 さしものサイレントも吹き飛ぶが、トドメを刺そうと近づいた所で立ち直ったサイレントの攻撃を受け、アールジーコが損傷。 サイレントはそのまま、海へと逃亡する。損傷したアールジーコの修理には数日が必要……アールジーコの仇を取ってやる、 と怒りを燃やすGGはサイレントに関する情報から帯刀海底開発の事を知り、真田博士の元へと乗り込む。
 薄々思ってはいましたが、こんなあっさり足の付くロボットを街で大暴れさせたら補償問題で帯刀コンツェルンが大変な事になりそうなのですが、 表の力も使うというのはつまり、もう会社とかどうなっても構わない、という事なのか。
 ガンギブソンの後を追ったジャンパーソンだったが、逆に真田博士からジェルソミーナ殺害の嫌疑をかけられ、 証拠品のJPカードを突き付けられる。不審に思って確認し、表のシールを剥がすと、ビルゴルディカードだった(おぃ)

 総裁、手抜きしすぎです!!

 真田博士を始末していない所など、帯刀はビジネスマンとしては優秀でも、悪の親玉には職業的適性が無いのではなかろうか。
 事件の裏にはビルゴルディの暗躍があり、サイレントは騙されて利用されているだけだと知るジャンパーソン達……
 「馬鹿よあのロボット。仇討ちなんかしたって、後に何が残るっていうのよ、虚しいだけじゃない」
 かおるさんの「馬鹿よ」は、レトリックでもなんでもなく、本気の「馬鹿」なので、要注意!
 「俺にはわかるぜ、ヤツの気持ちが。サイレントにとってのジェルソミーナは、俺にとっての、キャロルさ。 ……正体がわかってみりゃ、奴はもう一人の俺だったわけよ」
 ジャンパーソンは真田博士から提供されたサイレントの設計図の分析をかおるに頼む。もしかしたら、 サイレントの暴走を止める手立てがあるかもしれない……
 「復讐の鬼は、俺一人で充分だもんな」
 だが、かおるの下した結論は、サイレントの暴走は停止不可能。深海作業用であるサイレントの人工知能は極めて厳重に封印されており、 外部から手を加える事が出来ないのだ。この結論に、JPとGGは、サイレントを破壊する決意を真田博士に語り、 博士もそれを受け入れると、捨てられてしまったサイレントの夢の絵を二人に見せる。
 「サイレントの人生ってのは、いったい何なんだ!」
 前回に引き続き、ロボットの為に真摯に怒るGG。
 アールジーコの損傷に関しても、しょせん強化オプションがしばらく使えないだけと反応が薄いラスボスとは、 実に対照的に描かれています(笑)
 一方、今日はお着替えの多い帯刀組は回収したサイレントを修理中。
 「ジャンパーソンが人を助けている、そんな……!」
 その最中、サイレントはニュース映像でジャンパーソンが人を助けているのを見て動揺するが、帯刀は調整を強化する。
 「惑わされるな。ジャンパーソンの本当の姿を、おまえが一番知ってる筈だ」
 ラスボスはロボットには冷酷非情だから!
 「ジェルソミーナぁ!」
 「泣くなよサイレント! 拳を握れ、その拳を叩きつけろ、お前達の未来を、叩きつぶしたジャンパーソンに」
 段々面白くなっていく帯刀、そして、サイレントは握りしめる……その左拳に、ジェルソミーナのICチップを……。
 ここは演出がはまりました。
 再びサイレントが暴れ回っているとの情報に、使い魔治療中のJP基地では巨大バズーカ・スピンドルキャノンが持ち出される。 それはジックキャノン完成前の試作品……って、やっぱり最初から仕込まれていたんじゃないですか、大量破壊兵器。

 テロリストは消毒ダー

 「やらなければならないんだ。これ以上被害を出さない為には、誰かがヤツに引き金を引かなければ!」

 フォージャスティス!

 サイレントの暴れ回る工場に辿り着いたJPとGGだが、さっそく殺る気満々でスピンドルキャノンを構えるラスボスを、 ガンギブソンが制止する。
 「俺に一度だけチャンスをくれ。ヤツを説得する」
 「説得? 出来るのか。ヤツの人工知能は、既に制御不能になってるんだぞ!」
 「人工知能にじゃねえ! 俺はここに訴えるんだ!」
 胸に手を当てるガンギブソン。
 「……わかった。ただし説得が効かなかったら、俺がこの手で撃つ!」
 「撃たせねえよ。絶対に引き金は引かせねぇ!」
 ラスボスが滅殺しようとし、ガンギブソンがそれを止めて説得を試みようとする、といつもと逆パターンで、 ガンギブソンが一気に格好良くなりました。
 35話からここ一連は、GG編なのか実は。
 ガンギブソンはサイレントに組み付き説得を試みるが、暴走するサイレントは聞く耳持たず、滅多打ち。 まあ狙われているのは主に背後でバズーカ構えているラスボスなんですが。そこへ、例の絵を持って駆けつける真田博士。
 冒頭、会議室だけのキャラかと思ったら、熱くていい人。
 「残されたおまえがしなければいけないのは、海底パラダイスを実現することだ」
 キーアイテムを持ち出してスキル《説得》の成功率を上げる博士だったが、ダイス目が悪かったのか、説得失敗(笑)
 「馬鹿野郎、目を覚ませ!」
 JPさんの真似をしてサイレントを殴ってみるガンモドキだったが、普通に反撃を食らって吹き飛ぶ(笑)
 スキルに経験値割り振っていないのに、急にやろうとするとこれだから!
 ぐだぐだになってきた戦場に、我慢しきれなくなったラスボス(ロボット同士の愛とか、あまり興味がない) は遂にスピンドルキャノンを発射し、直撃を受けて吹っ飛ぶサイレントだったが、そこへビルゴルディとバトルスーツマヤが乱入し、 JP&GGとの2対2バトルに。
 サイレントの攻撃でダメージを受けていたという事なのでしょうが、普通にGGとやり合う、マヤ、強し。
 一方の魔王見習いビルゴルディも、新演出のCGキックでラスボスを蹴り飛ばす。
 「ビルゴルディ! 許せねえ! よくもサイレントの心を、愛する者を失った心を弄んでくれたな!」
 格好良く啖呵を切るガンギブソンだったが、直後にBDのデュアルレーザーで、JPともども吹き飛ばされる(笑)
 体勢を立て直し、JPに猛然と襲いかかるサイレント。
 「サイレント……泣いてやがる……サイレント」
 その姿に覚悟を決めたガンギブソンは、スピンドルキャノンを拾うと、その弾頭にホーミングバレットを詰め込み、 暴発覚悟のエネルギーを込めて、その引き金を引く。
 「あばよ、もうひとりの俺」
 放たれたスピンドルキャノンはサイレントを直撃、さしもの深海装甲も合わせ技の高エネルギーに耐えきれず、 サイレントは弾け飛ぶのであった。
 つまり、正義が、勝った!

 「ジェルソミーナぁぁぁぁぁぁ……!!」
 最後まで恋人の名を叫び続けながら、サイレント、爆死。
 これを見て、魔王見習いとマヤは撤退。
 「野郎、泣いてやがった……」
 ただ一つ残されたサイレントのハサミを見つめながら、ガンギブソンは力なく呟くのだった……。
 演技と台詞回しで素朴な性格の高性能ロボットとして登場したサイレントが、愛の為に復讐に狂って豹変する、 という変化の見せ方は秀逸。それに対して自分を重ね合わせつつロボットの為に本気で怒るガンギブソンと、 ロボット同士の愛情とか割とどうでもいいから新兵器でジャスティスだ、というJPさんとの対比もうまくはまりました。
 ガンギブソンの持つ優しさをアピールした結果、ジャンパーソンのアールジーコへの態度の冷たさは、まさに魔王……!
 そしてよく考えるとサイレントは、ジャンパーソンに対しては誤解したまま、説得に耳を傾ける事なく爆死する、と結構凄い。
 「サイレント、あの世に行きゃぁ、もう誰も、おまえらふたりを悲しく引き裂く奴は、いねえからな」
 ガンギブソンは、海底パラダイスの夢の絵と花束を海に投げ込むと、寂しく歩み去って行く……あれ、スピンドルキャノン、 持ち逃げ……?!
 前回に引き続き、ロボットの為に怒るガンギブソン中心で、とすると、35話からの一連の流れは、改めてガンギブソン編であって、 終盤に向けていい感じにガンギブソンの立ち位置が定まってきたなぁ……と思ったら、次回予告ががが……!

→〔その8へ続く〕

(2013年12月18日,2014年1月15日)
(2017年4月20日 改訂)
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