■『特捜ロボ ジャンパーソン』感想まとめ5■


“正義ってなんだ? あいつのことさ
闇を吹き払う 光のことさ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜ロボ ジャンパーソン』 感想の、まとめ5(23〜27話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第23話「正義の為に死す」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
 今回から、OPがバージョンチェンジ。
 次々と武装をアピールする、我らがジャスティス!
 ヒーローもののOPとして特におかしくはない筈なのですが、JPさんがやると不穏な気配しかしないのは何故だろう。
 そしてガンギブソン、早くも友達みたいに(笑)
 バージョンチェンジするタイミングがちょっと早かった気がするのですが。
 全体として格好いい新OPなのですが、最後だけは以前の、JPカードがしゅっと飛んでいく方が格好良かったなぁ。
 前回のロボット刑務所での事件の結果、<ネオ・ギルド>と袂を分かったガンギブソンは、復讐の為にジョージ真壁を狙い、街を走る。
 しかし米国帰りのガンギブソンは、<ネオ・ギルド>の基地の場所を知らなかった!
 仕方が無いので、辻撃ちを始める。
 次々と、市民として暮らす<ネオ・ギルド>製ロボットを狩っていくガンギブソン。
 子供と一緒に居た幼稚園の保母(ロボット)を撃ち殺す所など、なかなか衝撃映像。
 …………うんまあ、ラスボスも、似たような事していましたけどね。
 この事件は、
 「私たち人間と、生活をともにしていた様々なロボット達が次々と破壊され……」
 と凄く普通にニュースとなり、加速度的に、人間そっくりのロボットが市民生活を送っているのが当たり前となっていく 『ジャンパーソン』世界。
 ガンギブソンが破壊して回っているのは、確かに元々<ネオ・ギルド>製だったとはいえ、 今では<ネオ・ギルド>と縁を切って更正したロボット達ばかりだった。ニュースでGGの行為を知ったジャンパーソンは、 それを止める為に動き出す……。
 すっかり、不良グループのような扱いの<ネオ・ギルド>。
 というか、<ネオ・ギルド>って、隠れても秘密でもなんでもなく、ロボットを使って悪い事をしている組織、 として世間に認知されているのか、もしかして(笑)
 前回、貴方の家の近くの酒屋のお兄さんは元暗殺ロボットだったかもしれない……とネタで書きましたが、 どうやら本当にそういう世界観らしく、そんなロボットの一体、今は子供達にバスケットボールを教えているジャイロに銃口を向けるGG。
 ボディに大きく21と書かれ、のほほんとした外見のジャイロですが、恐らくかつては、ネオギルドの刺客として、ジャイロ21の殺人奥義!  とか振るって夜な夜なダンクシュートで要人を暗殺して回っていたに違いありません。
 一皮剥けば世界は狂気と暗黒に満ち溢れているのです。
 月の無い晩にフォージャスティス!
 ガンギブソンの凶弾はジャイロを貫き、一歩遅く間に合わなかったジャンパーソンはジャイロをアジトに運び込む。 ジャイロにバスケを教わっていた周平少年はそれを見て叫ぶ。
 「どうして、どうしてこんな酷い事を!」
 ……うんまあ、ラスボスも同じような事をしていましたね。
 今度は蕎麦屋の出前に襲いかかっていたガンギブソンを止めたジャンパーソンは、かおるによって修理されたものの、 内部部品がネオギルドの特別製だった為に代替えパーツでは不具合が多く、 周平少年と懸命に歩行訓練からリハビリを行っているジャイロの姿を辻ガンマンに見せつける。
 トラウマを持つロボットに続いて、リハビリするロボット、とどんどん面白い世界観になっていくなぁ……(笑) 宮下脚本が、 全体の整合性を取れるかどうかに関しては、非常に不安ですが(^^;
 「おまえに、おまえに俺の気持ちはわからねえ!」
 ジャンパーソンは、罪を償い更正したロボットを襲うのはやめろ、とガンギブソンを説得しようとするが、キャロルを失った悲しみから、 <ネオ・ギルド>に関わる全てのものを破壊しようと復讐に狂うガンギブソンはそれを振り切る。
 ……まあ、今のところやっているのは、無抵抗な相手を撃ち殺して回るという、 ただのストレス解消で、おまけに<ネオ・ギルド>に実質的な被害が無い為、 非常にタチ悪いのですが。
 今回、キャスティングの都合でジョージ真壁が不在な為、ガンギブソンの辻撃ちに対して、 <ネオ・ギルド>側のリアクションがないのが痛い所。ジョージさんが悔しがったり怒ったりすればまた違うのですが、 更正した元組員の始末とか、<ネオ・ギルド>側からすると、むしろ有り難いレベルなのではという疑惑さえあります。まあ、 ネオギルド回路は埋まっているのかもしれませんが……。
 というか、<ネオ・ギルド>は何人と縁を切られているのか。
 もう本当にダメだこの組織………………。
 ジャンパーソンを振り切り、なおも辻ガンマンを続けるGGは、電車整備場で次なる獲物を狙っていたところ、 電車に攻撃を受ける。それは、スーパーサイエンスネットワーク首領・綾小路麗子が自ら育てた、人工知能AIを食べて育ち、 ロボットや機械の電子回路に入り込んで自在に操る事を可能とするバイオクリーチャー・レイレイチュウによるものだった!
 なんか『フラッシュマン』で見たよーな金色の虫ですが、これは、麗々虫、という事で良いのでしょうか。
 公園で急に苦しみだして倒れたジャイロをアジトへ連れ帰った後、GGを追っていたJPは、 トラックや電車に迫られていたガンギブソンを救うが、今度はそのガンギブソンにレイレイチュウが入り込み、 ジャンパーソンに襲いかかる!
 GG、あのスーツで、電車の上で回し蹴りするとか、凄い。
 GGをサーチしたジャンパーソンは体内のクリーチャーの存在に気付くが、射撃をためらっている内に、 今度は自らが体内の中に入られてしまう。
 アイデアとしては電送スーツの回と同じなのですが、同レベルの実力を持った危険なロボット同士が操られる、というのがミソか。
 「来るなガンギブソン、俺ごと撃て」
 己の暴走を何より恐れるジャンパーソンは自分を撃つように求め、その覚悟に反省するガンギブソン。
 これがあれです、
 「撃っていいのは、撃たれる覚悟のある奴だけだ」 (byフィリップ・マーロウ)
 というやつです。
 ラスボス的に言うと、
 「正義を執行していいのは、執行される覚悟のある奴だけだ!

 ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」

 最近無いので、勝手に入れてみました(おぃ)
 ところがガンギブソン、目をそらして反省している内に、虫に入られる。
 ……というか、あっち入ったり、こっち入ったり、何をしたいのか虫。
 JPとGGは、お互い虫に入られたり悩んだり反省したりしながら戦い続け、素顔の麗子様、脚線美をアピールしながら登場し、 この戦いを自ら見物に。シナリオ上の必然性というよりも、高畑淳子さんにあまりに悪いので、素顔の出番を作った疑惑(笑)
 一方JP基地でも、修理しようとしたジャイロの体から飛び出したレイレイチュウが暴れだし、 コンピューターが乗っ取られそうになっていた。だがそれにより、炎上したコンピュータ(恐らくいざという時の証拠隠滅機能。 当然のセキュリティです)の炎に包まれた事から、レイレイチュウの弱点が炎と高熱である事が判明。 連絡を受けたジャンパーソンはアークファイヤーでガンギブソンをウェルダンにし、 たまらず飛び出したレイレイチュウはホーミングバレットの餌食となるのだった。
 それぞれが強いテレパシー能力を持っていたレイレイチュウは、仲間の1匹が死んでしまったショックの伝染により全滅。 麗子様の計画は、水泡に帰すのであった……。
 ラスボスの覚悟を見たガンギブソンは、復讐に血迷っていた己を反省。自らの部品をコピーさせる事により、 ジャイロは元の機能を取り戻し、そのほか、ガンギブソンの凶弾に倒れたロボット達も修復される。
 …………と、マイルドに落としたのは最近の路線として、ガンギブソンの器物破損その他の罪が消えて無くなるわけではないのですが、 しかし敢えて言おう、正義の前には、法など、無意味であると!
 「一緒に戦おう、ガンギブソン」
 「ああ。しかし参ったぜ、敵が増えちまったじゃねえか」
 「そうだな」
 「ははははは」
 なんだか意気投合してしまう、危ない二人。
 そんな最強タッグの結成を影から見つめて笑う三枝かおる。
 一味には新たな戦力が加わり、ネオギルド製ロボットのオリジナルパーツも存分に調べられたし、それはもう、 うはうはで笑いもとまりません。

 全ては、フォージャスティスの下に!

◆第24話「史上初倒せぬ敵」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
 スーパーサイエンスネットワークのドクター犬山が作り出した、人工生命体・モドキ。その名の通り、 人間そっくりの“人間もどき”であるモドキは、警官隊の銃撃を受けても平然と立ち上がる不死身の肉体を持ちながら、 ジャンパーソンのサーチシステムですら、「人間」と表示される!
 「俺は人間もどき、スーパーサイエンスネットワークがが生んだモンスターだ」
 「お前はモンスターなのか。人間ではないのか」
 「不死身の人間がいるかぁ!」
 市街地でマシンガンを乱射して暴れ、ジャンパーソンにバズーカ砲を浴びせたモドキはバイクで走り去っていく。
 「……人間もどき」
 至近距離でバズーカの直撃を受けても平然とした様子のラスボスに呟かせると、扇澤脚本だけに、意味深なものを感じないでもありません。
 人間に極めて近い心を持ち、与えられたプログラムを乗り越えようとしながら、それでいてロボットである事に忠実なもの――それが、 ジャンパーソン。
 「よほど俺は精巧に出来てるらしいなぁ……あのジャンパーソンにも人間としか見えねえんだもんなぁ。――そんな事ってあるのか?」
 パンを食べながら一休みしていたモドキは、不意に自分自身に疑問を抱く。
 狼狽を隠せない表情で、自分の体を探るモドキ。
 「……モンスターだよなぁ、間違いなく俺はよぉ」
 人間そっくりの存在ネタはロボットで既にやり過ぎた感がありましたが、 かつてアイスマンを冷然と「バイオモンスター」と表示したジャンパーソンのシステムが 「人間」と判断を下し、その事に、モドキ自身までもが疑問を感じてしまう、という回し方は秀逸。
 ジャンパーソンがかおるの協力で持ち帰ったモドキのデータを詳細に調べると、出た結論は“人間もどき”。
 「モンスターなのよやっぱり。モンスターである以上、二度とこの世に蘇生させない為には、骨のひとかけら、 血の一滴も残さず、完全に抹殺しなきゃ」
 今日も三枝かおるさんは、絶好調!
 「完全抹殺……しかし、人工生命体とはいえ、人間だ。人間に対し、そんな残酷な真似が許されるのか」
 プログラム上のセキュリティなのでしょうが、これまでロボット他は幾らでも残酷に破壊してきたジャンパーソンが、 「人間」と判断してしまうものを破壊できずに苦悩する……同じ悪事を働いても、ロボットなら躊躇せずに破壊するが、 「組成が人間と同じ存在」は破壊できない、というのは非常にきわどい。
 これまでの作品の展開と「人間もどき」という名称から、今回はP・K・ディック的な話になるのかと思っていたのですが、
 ロボットが人間を破壊していいのか?
 というアプローチはどちらかといえば、「人間とロボット」について語っていく内に「人間の定義とは何か?」 「人間とロボットの違いとは?」という所に踏み込んだ後期アシモフのロボット物を思わせます。
 人間もどきのアイデンティティの話になっていると同時に、それを通してジャンパーソンの立ち位置が揺れる、という二重構造。
 最初期には人間の中に“にせもの”が居るかもしれない、という世界観だったのに、ここ数話ですっかり、 人間そっくりのロボットが生活しているのが当たり前、という大転換をしてしまった今作ですが、そこで、 人間そっくりのロボットではなく、人間そっくりだが人間ではないもの、を出してきて揺らすのは、扇澤さんの面白い所であります。
 ところでちょっと話は逸れますが、凄い人間そっくりのロボットと、全くそうでないロボットが変に混在しているのは、 着ぐるみの都合、と言ってしまえばそれまでなのですが、その辺り、もう少し劇中で理屈はつけてほしかったところ。 そういう細かい事をしてくれれば、宮下隼一の評価も上がるのですけど。
 まんまとジャンパーソンの急所を突く事に成功したSSNでは人間もどきの量産化計画が進められるが、肝心の試作品であるモドキは、 なんと思いあまって病院でレントゲンを撮影していた。「完璧に、人間です」という医者の言葉に、ますます混乱していくモドキ。
 「ドクター……俺は人間なのか?」
 「何を馬鹿な。人間というのはな、親から生まれるもんだ、親から。おまえは人工タンパクの寄せ集めのモンスターだ」
 (人間は親から生まれるのか……俺って、人造人間っていったい何者なんだ)
 SSNに戻らずに街をさまようモドキは、ビルから落下した女性を助け、なぜか海岸の廃墟に(多分、隠れ家ですが)。
 (どんな絶望でも……死ねる人間は幸せだよな)
 自殺しようとしていた、という女の話を聞いたモドキは、自らの肉体を疎ましく思う気持ちが限界に達し、 ドクターの元へ戻ると「俺を見るからに怪物にしてくれ」と頼み込むが、当然断られる。ナイフを突き立てられ、 モドキから噴き出す白い血。
 「どうだ、これでも人間か? 人工タンパクの寄せ集めだ!」
 「俺は人間だぁ!」
 人間のようで人間ではなく、人間ではないのに人間と認識される……自己矛盾に耐えかねたモドキはSSNを逃げだし、 犬山達はそれを追いかける。
 まあ、組成も魂も同じなのに見た目だけ怪物にした場合、それはそれで「人間ではなくなる」のか?  と新しい問題が出たりするのですが。
 一方、JP基地では人間の定義について問答中。
 人間もどきを人間と認めたら社会は立ちゆかなくなる、と、かおるは容赦ない切り捨てを断言。
 「俺にやれというのか」
 「そう。貴方が抹殺するの」
 苦悩するJPさんだったが
 (……そうなんだ。躊躇う必要はないんだ)
 押し負ける(笑)
 助けた女の所へ戻ったモドキは二人で砂浜をふらつき、行く所も帰る所もなく、過去の無い男と過去を捨てた女、 名無し同士の二人が束の間、心を通い合わせたその時、風を切るJPカード。
 ジャスティス見参。
 ジャンパーソンはモドキへと銃口を向けるが、モドキをかばう女。押し問答をしている間に犬山の追っ手が迫り、 ジャンパーソンは超磁力砲を浴びて動きを封じられてしまう。
 よくわかりませんが、ダメージを受けているというより行動不能になっている様子を見るに、 電磁パルス(EPM)とかの類いでしょうか。
 割と怪力の博士はモドキを取り押さえるとその額を銃で撃ち抜き、モドキが人間でない所を女に見せつけるとモドキを車で連れ去っていく。 そこへ現れ、超磁力砲を止めてジャンパーソンを解放したのは、三枝かおる。
 「あなた一人に、手を汚させるわけにはいかない」
 博士達を追おうとする二人にすがりつく、名無しの女。
 「お願い、お願い、あの人を殺さないで!」
 「しかし……ヤツの存在を許すわけにはいかないんだ」
 「見た目には人間でも、人造人間は私たち人間とは違うのよ!」
 「私たちって……どういう意味ですか。人間なんて、みんな一人ずつ違うじゃないですか! 幸せな人も、不幸せな人も、 寂しい人も。どうして? どうして自分が自分こそが、人間の代表みたいな、そんな偉そうな言い方するんですか!」
 いやその人、本気でそう思ってるから。
 「親から生まれた人間と、科学で生まれた人間、生まれてしまえば、それにどんな違いがあるっていうんですか……!」
 社会から爪弾きにされた者とエリートの齟齬、というのは扇澤脚本の十八番ですが、 如何にもなエリートである(そして主役ではない)かおるの登場により、舌鋒が冴えます(笑)
 理屈は無茶苦茶なのですが、理屈だけで世の中動いているわけではない、という女の叫びは、 果たしてジャンパーソンとかおるに届くのか……?
 人間もどきは自分だけで充分だ、と苦しむモドキを乗せて逃亡する車のタイヤに、突き刺さるJPカード。
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス」
 犬山の部下を蹴散らしたジャンパーソンのジャンバルカンは、犬山とモドキへと向けられる。 モドキを盾にして逃げようとする犬山だったが、ジャンパーソンの結論は……
 「渡してもらう必要は無い。抹殺する。木っ端微塵に」
 慌てて逃げ出す犬山の目の前で、火を噴くジャンバルカン、炎の中に消えていくモドキ……。
 SSN本部へ戻った犬山は、人間もどき作戦の失敗から、落とし穴に、ぽちっとな。
 そしてSSNの視線が逸れた所で……ダークジェイカーの中から姿を現すモドキ。 ジャンバルカンの斉射で木っ端微塵になったと思われたモドキだったが、陰に潜んでいたかおるの身を挺したダイブにより救われ、 ジャンパーソンが完全抹殺を擬装していたのであった!
 「俺なんか死んだ方が良かったのに……」
 「命は尊いものだ」
 「命の尊さ……」
 「その通りよ。でも残念だけど、私たちの社会には、あなたの存在を受け入れるだけの器は出来ていない。 それでもあなたは生きていかなきゃいけない」
 優秀な私は考えを改めたけど、俗世間はそう簡単には目覚めないわと、 しれっとまた人間を代表して語るかおるさん。
 反省していないよこの女!
 ひとりぼっちで生きていくのかと黄昏れるモドキだが、その時、あの名無しの女が物陰から姿を現す。
 「あたしも一緒に……あたしも一緒に、生きていきます」
 「俺は人間じゃない」
 「人間ってなに……? 平気で人を傷つけたり、人の心を踏みにじったりできる人間より、生きる悲しさ知ってるあなたの方が、 どれだけ人間らしいか。違う? 違いますか?」
 彼女はモドキの正体を知ってなお、彼とともに生きる事を望んだのだった。
 「おまえは人間だ」
 「あなたは人間よ」
 ジャンパーソンとかおるの言葉を受け、涙を流し、生きる事を受け入れるモドキ。ジャンパーソンは二人に、 危険に陥る事があればジャンパーソンが受信できる信号を発するコンタクトカードを渡し、二人は新たなる人生へと旅立っていく……。
 初登場のコンタクトカードですが…………えーこれ、二人がジャンパーソンのセンサー捕捉可能範囲を出たあたりで、 仕掛けられた超薄型爆弾をかおるがぽちっとな、する……の……?(おぃ)
 いい話ではあったのですが、道具立てが綺麗に揃いすぎて、扇澤脚本としては、 もう3回転ぐらいひねった所から急降下爆撃が欲しかった、とか好き勝手な事を思ってもみたり(笑)
 この流れなら、人間もどきが人間ならば、どこまでも人間にそっくりなロボットはそれでもロボットなのか?  という全編をひっくり返しかねない部分にも後々踏み込んでくれたら面白いのですが、さてさて。
 次回、忘れた頃の「の弟」ネタに、シーユーアゲイン!

◆第25話「早撃ち王(チャンプ)決定戦」◆ (監督:小西通雄 脚本:浅香晶)
 今回の敵役の登場シーンに、やたらヒーローぽい音楽で入る、相変わらず謎選曲の小西監督(笑)
 ジャンパーソンを超える、0.0003秒のクイックドロウを見せるガンマン、 彼こそは 世界忍者 超A級ガンマン・ジャンゴ「の弟」、ルーゴ。
 「ジャンパーソンこそ、俺の兄、ジャンゴを倒した仇」
 ……まあ、自爆したのですけどね、兄さん。
 兄の復讐を誓うルーゴは、帯刀より、脳波にシンクロする強力なビーム銃を渡され、頭部と両腕に奇妙な装備を付け、 ジャンパーソンへと挑む。
 「やめるんだ。人間の君が私に、銃で勝てるわけがない」
 ところがどっこい、ジャンパーソンの抜き撃ち速度は、0.0005秒。
 ルーゴはそれを上回る驚異の早撃ちでジャンパーソンに大ダメージを与えてみせる。
 そこへぶらりと現れた辻ガンマン・ガンギブソン。大見得切って早撃ち対決に臨むが、ガンギブソの抜き撃ち速度もまた、 0.0005秒。実にあっさりと負ける(笑)
 人間では到底不可能な筈の、0.0003秒の早撃ちを繰り出すルーゴは両者にとどめの一撃を放とうとするが、 そこへやってくる女医・弓野美砂。三者の間に割って入るなり、
 「さあ、帰りましょうルーゴくん」
 ……いや貴女、この状況で言うことそれですか(笑)
 美紗の登場に動揺したルーゴは逃走、アジトで傷を修復したJPとGGは、ルーゴの秘密を聞くために、 国立電子医療センターの美紗の元へと向かう。
 とうとう、ジャンパーソンとガンギブソンが、普通に聞き込み始めてしまいました(^^;
 番組の基本構造としては、一線越えてしまった感はあります。そういう、ごく普通の事をしてしまうと特色が薄れるというか、 その縛りがきついので、特色を諦めたというか。……まあ、ジャンパーソンとガンギブソンが普通に聞き込みにやってきて、 それに普通に受け答えているというのは、やはりどこかしら狂っているのですが。
 美紗の説明によると、ルーゴが装着しているのは、思考連動システム。義手などをよりスムーズに活用する為に、 神経と機械の腕を直接繋ぎ、脳の思考に反応して即座に動かせるようにする、というものだった。 敵味方を認識してから指示を下すコンピューターのスピードを、人間の脳の直感的判断は、わずかに上回るのだ!
 ある晩、両腕に大けがを負ってやってきたルーゴを救う為、美紗はまだ試験段階にあったこのシステムを、 ルーゴの両腕に移植したのである。

 人 体 実 験 だ。

 「このままでは彼の腕が一生動かなくなってしまう」とかもっともらしい理由つけていますが、この世界の女性科学者には、 まともな脳みその人はいないのか。
 それはバトルまっただ中の場所に乗り込んできて、ジャンパーソンとガンギブソンを完全に無視したり、 その両者が並んで話を聞きに来ても平然と受け答えしているわけです。
 「生まれついてのガンマンの俺が、あんな小僧に劣るとは……!」
 早撃ち特訓に勤しむGGだが、どうしても0.0004秒の壁を越える事が出来ない。思いあまったガンギブソンは、 敵味方の識別によって必然的に発生するタイムロスを無くそうと、自らの識別回路を弄ろうとして、ジャンパーソンに止められる。
 ずたぼろにされたプライドを取り戻し、早撃ちの極みに達するべく、動く物は全て標的だーーーっ!! と、 自ら日常生活を捨て去ろうとするガンギブソンの狂気。
 というかこの場合、即座にラスボスと頂上決戦が始まって、パニッシュされるぞ!
 「それじゃ、どうしたら俺たちはヤツに勝てるんだ」
 普通に殴ればいいと思います。
 この辺り、早撃ち対決を挑まれたら律儀に早撃ち対決に応じようとしてしまうのも、ロボットのさがなのか。
 一方、兄の敵討ちそっちのけで、“スピードの向こう側”――早撃ち0.0001秒にとりつかれるルーゴは射撃練習を繰り返し、 0.0002秒に到達。自ら、ジャンパーソンとガンギブソンに挑戦状を送りつける。
 早撃ち対決に臨むも、またもいい所なく、あっさり敗れるガンギブソン。
 ガンギブソンは認識回路をインプットしなおしてサーチアンドデストロイを発動しようとするがジャンパーソンに止められ、 切り札ホーミングブリットすら撃ち落とされてしまう。
 だが、ルーゴにも限界が訪れようとしていた。最終調整前の思考連動システムが脳神経に強い負担を与え、苦しみ出すルーゴ。 そこへ美紗が安全装置を持ってやってくるが、それを装着したら“スピードの向こう側”へ辿り着けない事を知ったルーゴは、 自ら安全装置を破壊してしまう。極めて精密な機器である安全装置に予備はなく、それを聞いたジャンパーソンは、 その代わりとして自らの中枢回路を渡そうとするが、勿論かおるが大反対。
 毎度の事ながらかおるは、
 ジャンパーソン >>> そこらの愚民共
 と優先順位がはっきりしていてい、潔い。
 今回に関しては、かおるが大騒ぎしないと、事の重大さが視聴者に伝わらない、という要素はありますが。
 「命を捨ててまで手にする栄光なんて、この世には存在しないんだ!」
 「うるさい! 木偶人形のお説教はそれだけか!」
 なんかもう、誰も彼もが、ジャンゴの事を忘れ去っていて、故人かつ悪人ながら哀れ。
 後頭部から煙を噴き出しながらも、なおも戦い続けようとするルーゴだったが、 神経系に負担のかかりすぎたその抜き撃ちスピードは明確に落ちはじめ、ついにガンギブソンの射撃がルーゴの銃を撃ち落とす。
 「ゲームは終わりだ、坊や」
 ようやく優位に立ったガンギブソンさん、ここぞとばかりに、相手を嘲弄。
 「ルーゴ、悪の心を捨て、これでもう一度、人間に戻ってくれ」
 トドメを刺そうとするガンギブソンを止めたジャンパーソンは自ら中枢回路を外し、機能を停止。ルーゴはその姿に、 復讐すら洗い流す、尊い何かを知る。
 だがその時、ルーゴの裏で暗躍していたセーラとその部下が、 機能を停止したジャンパーソンもろとも全員を抹殺しようとバズーカを放つ。咄嗟に反応し、銃の引き金を引くルーゴ――その速度、 0.0001秒。
 人間の限界を遙かに超えた神速の一弾は発射直後のバズーカ弾に突き刺さり、セーラとその部下達は、大爆発に飲み込まれて消える……。
 「やったよ、ジャンパーソン、俺、先生を守ったよ……」
 しかしルーゴは、そのまま力なく倒れるのだった……。
 セーラさん、とうとうリタイア。
 個人的には、けっこう痛い。
 「こうなったら俺がこの手でヤツを、ジャンパーソンを倒す。例え俺が俺でなくなってもな……!」
 怒りの帯刀は、社長室でなにやら意味深な発言。
 そしてルーゴは、車椅子ながらも国立電子医療センターで療養生活に。腕を動かしてリンゴを剥いて、 美紗先生に食べさせたりしているのですが、これはあれですよねー、腕は動くけど、頭の方は廃人なんですよね……?  あんまりそういう雰囲気では無かったですが、台詞も無かったし、個人的にはそういう事にしておきたい。
 ルーゴくんは「復讐やめたらいい人」みたいに扱われていましたが、そんな単純な話でも無いでしょうし(^^;
 「たった一度の、0.0001秒。それは怨みも憎しみも捨て去った、彼の純粋な心が起こした奇跡だ」
 真実はさておき、今日も綺麗にまとめるJPさん。
 ルーゴくん廃人説を採ると、ジャンパーソンとかおるの狂気が際立ちます。
 ロボットを主人公にした作品ながら、プログラムされたロボットの限界と、限界を超えたところに辿り着ける人間の奇跡、 を描いたのは面白い所。
 美紗先生が都合良く出てきすぎだったりは気になりましたが、最後の最後で、ルーゴが0.0001秒の領域に辿り着く所は、 なかなか格好良かったです。この展開なら、兄の敵討ちという要素は最初から要らなかった気もしますが(^^;
 ジャンパーソンも、ルーゴが悪に染まった事は憂えているけど、ジャンゴの事とか、忘却フォルダに入れているっぽいですし。
 そしてパーティイン後、初のゲスト登場だったにもかかわらず、いいところの全くなかったガンギブソン、 所詮貴様は、<ネオ・ギルド>製品か……!

◆第26話「超速カーバトル」◆ (監督:小西通雄 脚本:酒井直行)
 父親の組んだプログラムのミスを修正するような天才少年・正晴と、その父・晋太郎博士が暮らす二階堂家に、 ある日突然、帯刀からのビデオメッセージが送られてくる。ジャンパーソンを倒すべくダークジェイカーをしのぐ車を開発中の帯刀は、 二階堂博士の設計したキャノン砲を参考に火砲を作成したが巧く行かず、博士に直接協力してもらう事にした、と一方的に通告。 直後、二階堂家の窓を突き破り、マヤと新顔の秘書・シンディが二階堂家へと乗り込んでくる。
 「一緒に来てもらうわ」
 「断る! 悪の組織に荷担する私では無い!」
 えらく男らしい博士だったが、シンディに鞭でしばかれ、息子をかばってマヤに撃たれ、拉致されてしまう。 周平と正晴が友人だった事からこれを知り、二階堂家へとやってくるジャンパーソン。
 三枝周平は使っているだけマシといえばマシなのですが、出てくる度に事件関係者の知り合いで、さすがにもう少し、 使い方に工夫が欲しい所。この世界観で他に子供キャラの使いようが無いのでしょうが、せめてもう少し、 ジャンパーソンと主体的に関わってくれれば劇中に新しい視点が提供されるのですが、そういった要素が無いのはつまり、 そういう構想ではなかったから、という所に集約されてしまうのだろうなぁ(^^;
 襲撃者の情報を得ようと室内をサーチしたジャンパーソンは、サーチ中に正晴の何かに気付き、 さらわれた父を思って涙する彼をそっと励ます。
 「……優しいお父さんなんだね」
 児童層はなんともですが、オトナ視聴者は少年の“正体”についてピンと来るわけですが、普段色々あれだけど、 こういう時のJPさんは、本当に格好いい。またここで、わからなくてもいいし、わかるとジャンパーソンの態度と台詞が染みる、 と巧い二重構造になりました。
 アジトに戻り、善後策を協議するジャンパーソンとかおる。
 「二階堂博士……まさか、犯人はダークジェイカーの秘密を?」
 「それはない。ダークジェイカーに搭載されているビッグキャノンは、彼の開発したキャノン砲を応用したものだが、 博士はダークジェイカーの存在は知らない」
 ……博士、知らない間に悪の組織に荷担していたよ、博士(笑)
 さらっと語られていますが、ヒーローサイドのやっている事が、悪の組織の先を行っていた という衝撃すぎる事実。
 ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!
 周平によると、正晴はまるでコンピュータのようにすらすらと問題を解く事で有名な、超天才少年。
 「天才科学者親子なのね」
 「ああ、信頼の絆で強く結ばれた、立派な親子だ」
 かおるにも真実について何も言わない、JPさんひたすら格好いい。
 ジャンパーソンはさらわれた博士を捜索し、かおるは開発中の新メカ・ジェイガリバーの完成を急ぐ事に。
 その頃、地下20mの秘密工場に連れ込まれた二階堂博士は帯刀への協力を拒否し続けていたが、 マヤが人質として正晴をさらってきた事で、やむなくキャノン砲の製作に取り組む事となる。しかしその途中で心臓病に苦しみ、 父を助けてくれるなら、という条件で、代わりに正晴がキャノン砲を製作する事に。
 リタイアしたセーラに代わって早速登場した新秘書のシンディさんは、鞭をびしばし振るう武闘派。 強引な誘拐や暴力による強制など、帯刀は段々とただのチンピラに。 なんだかんだでセーラのリタイアが効いているのか、言動にも行動にも余裕が無いのですが、正直ゲスト悪役レベルの振る舞いで、 レギュラー悪の組織のボスとしては、もうちょっと頑張ってほしい所。レギュラー悪の組織が3つ並行というのは面白いと思うのですが、 各キャラクターを深めきれていない、というデメリットがわかりやすく出てしまいました。
 正晴は帯刀に目に物見せてやろうと、10発目の砲撃とともにキャノン砲が爆発するような仕掛けを設定。
 一発目ではなく、ちょっと調子に乗ってきた辺りに設定するとか、性格悪い。
 そんなことには全く気付かず、遂に完成したキャノン砲を装着する、バトルマシン。帯刀は基地に自爆装置を仕掛けると、 博士は基地ごとぼかん、正晴はジャンパーソン相手に人質に使おうとするが、もみ合いになっている内に博士をかばって正晴が撃たれ 、ロボットである事が判明してしまう。ロボットでは人質にならない、とバトルマシンには博士が乗せられ、基地に捨て置かれる正晴。 そして遂に、ダークジェイカーvsバトルマシン、スーパーカー対決が始まる!
 今回も、律儀にスーパカー対決に付き合う、ジャンパーソン。これが、ラスボスの余裕……!
 地下で目を覚ました正晴は、自分がロボットであったという真実に衝撃を受ける。だが同時に、 そんな自分を命がけで守ってくれた父の愛を改めて知る。
 「今度は僕が、お父さんを助ける番だ」
 剥き出しになった回路の配線を自らショートさせ、苦しみに耐えながら、地上で戦うジャンパーソンに信号を送る正晴。 スカイジェイカーで戦闘中のジャンパーソンは地下基地の存在と、10発目の砲撃でキャノン砲が爆発する事を知るが、 撃墜されてしまうスカイジェイカー。地上に降り立ったジャンパーソンはキャノン砲の砲撃を受けるが、 そこへやってくる新メカ・ジェイガリバー!
 正晴の正体判明にしろ、ジェイガリバーにしろ、唐突で今ひとつ盛り上がりに欠けるのは、勿体なかったところ。
 ジェイガリバーは、戦闘機+ダークジェイカーの追加メカの輸送システムを兼ねているようで、撃墜されたスカイジェイカーに代わり、 ドリルジェイカーをランドジェイカーに換装。砲撃を受けて崩れた崖の下に埋もれるダークジェイカーだったが、 ドリルジェイカーが分離して地下へともぐり、ジャンパーソンは爆発寸前の地下工場から正晴を救い出す。
 「10発目は撃たせない!」
 爆発リミットまであと一発、遊んでいる場合ではないと車を降りたジャンパーソンは本気を出し、 ブレイクナックルからジャンバルカンのコンボでバトルマシンを撃破。二階堂博士を救出し、マシンを木っ端微塵に粉砕する。
 セーラに引き続き、リタイアも懸念されたマヤはシンディの車に回収され、帯刀一味は逃亡。かくて戦いは、 新たなメカを手に入れたジャンパーソンの完勝に終わるのだった。
 サブタイトルで煽ったほどカーバトルしていないのですが、過去の例なども見る限り、 カーバトルは実際には今ひとつ面白くならないので、仕方が無い。向き合って車同士が撃ち合うのは無理があるし、 レース風にすると、ロケ地など、手間とお金がかかるので(^^;
 正晴少年は事故死した息子を模して博士が作ったロボットであったが、博士にとっては実の息子と代わらない存在であった。 改めて愛情を確認しあう親子の姿に、深く満足するラスボス。
 人間の父親と、ロボットの息子の間に芽生えた深い愛情に、人間愛を過剰に信じるラスボスが、 「愛って……やっぱ、いいよね☆」と見守るスタンスが格好いいのですが、息子と瓜二つのロボットを超高性能頭脳で作り、 黙って学校へ通わせていた二階堂博士のやっぱりどこかネジの飛んだ感じが、どこまでも『ジャンパーソン』。
 だって博士、今回の件で息子にロボットばれしなかったら、定期的に夜中に息子のボディを取り替えては、「おや正晴、最近、 背が伸びたんじゃないのか?」とかやっていたわけですよね。
 事故死した息子を模したロボットを作る、というエピソードは古今枚挙にいとまが無い(そもそも『鉄腕アトム』である)のですが、 その狂気を正面から抉って個人的に印象深いのは、この2年後の『超力戦隊オーレンジャー』第17・18話。そこでは、 ロボットの息子を作り出した天才科学者・ジニアス黒田は、ロボットの息子の為に、侵略者であるマシン帝国バラノイア (ロボットの王国である)に魂を売り渡し、最終的には自ら怪人化して死亡。で、途中で機能停止した少年は、 「死んだのではない、壊れただけだ」と参謀長が修理してしまうという、実に酷いオチ(笑) 今思うと、 レスキューシリーズから繋がる、杉村升のマッドサイエンティストテーマの、ある種、集大成とも言える一編でありました。
 失った者を模したロボットを作る、というのは、作った側には救いや愛をもたらすかもしれないけれど、 いずれ取り残される作られた側を考える時、やはりそれは狂気の一発露であろうと思うわけですが、 それだからこそジャンパーソンは、作られた側が満たされる為に、作った側の愛を、一途に信じているのかもしれません。
 次回、ジョージ、ヒーーートアップ!
 というか、どこから出てきた、「大首領」(笑)

◆第27話「大首領の正体!!」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:浅香晶)
 今は亡きお父様の意志をついで、一人で植物園を切り盛りする神野留美さん。
 「子供達の笑顔を見るのが好きなんです」
 園内は色とりどりの華やかな植物に溢れている。留美さんの一日は、朝5時に起きての水やりや細かい手入れに始まる。 大変な作業だが、苦しいと感じた事は一度もないという。
 「愛情をかければかけた分だけ、植物は応えてくれますから」
 今では毎日元気に働いている留美さんだが、実は……子供の頃はとても病弱だったという。
 「はい。心臓が弱くて、毎日、起きるのも苦しくて、ああ、今日こそ死ぬのかな……って、そんな事ばかり考えていました。 お医者様にも、15歳までは生きられないだろう、ってそんな風に言われていたんです」
 様々な医者の診断、投薬治療を受け続けた留美さんだが病状は一向によくならず、月の半分は、 ベッドに寝たままのような日々が続いていた。ところがそんな留美さんに、転機が訪れる。
 「ビックリしました。それまでと、全く違う人生になったんです。ああ、走るって、こんなに楽しいんだって」
 留美さんの人生を大きく変えたもの……それは、
 にんにく卵黄生命の樹健康酢汁
 「一日一回、この花の前で深呼吸すると、すーっと心臓が楽になるんです」
 この回復には、かかりつけの医師も驚きを隠せなかったという。
 「お医者様も、嘘みたいだ、とおっしゃって。本当に、この出会いに感謝しかありません」
 重い心臓病から関節痛、急な腹痛にまで効果抜群の、にんにく卵黄生命の樹健康酢汁。
 「皆さんにも、是非知ってほしいと思います!」
 無限の生命エネルギーを秘めた、このにんにく卵黄生命の樹健康酢汁を、今回は粉末タイプで大奉仕。
 1ヶ月分30袋に加え、今だけ更に特別10袋をおまけでお付けします。
 貴方もこの、にんにく卵黄生命の樹健康酢汁で、永遠の生命エネルギーと、最高にハイな気分を味わってみませんか?

 ジョージ真壁を見つけ出そうとするガンギブソンは、自分の記憶メモリを頼りに<ネオギルド>関係機関荒しを繰り返すが空振りが続き、 一向に<ネオギルド>へと辿り着けない。組織の情報統制が優れているというよりは、 ガンギブソンの記憶メモリが駄目なのではないかという気がするのですが、最後にやってきた神野植物園で、 10年前に死んだ神野博士の娘・留美を問い詰めるガンギブソンの前に、飛び蹴りしながらジョージ真壁が姿を見せる!
 劇中初の直接戦闘を披露する真壁さん、明らかに今までで一番ノリノリ。
 <ネオギルド>に足りないのはやはり、

 適材適所の精神だと思う。

 「ロボット王国ネオギルドの頂点にたつ者、最強のロボットで当然だろうが!」
 吠えるジョージは、切れ味鋭い格闘、更に指先から放つ真壁光線で、ガンギブソンを圧倒。だがそこへ、 「止めて真壁さん!」と留美が割って入り、どうやら、二人はお互いの過去を知っている模様。留美を突き飛ばす真壁だったが、 その時、風を切るJPカード!
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
 久々。
 「我が宿敵もご到着か。好都合だ、ジャンパーソン! おまえもここで、この私の手で、地獄に送ってやる!」

 JP (……………………誰?)

 かれこれ20数話を経て、遂に初顔合わせ。
 前回、逃げる帯刀の車を見つめていましたが、3クール目に入って、接触篇なのか。
 「正義の名の下に、おまえが守っている人間達が、実はくだらない、取るに足りないものだとなぜ気付かぬジャンパーソン!」
 「人間たちが、くだらないものだって?!」
 そして2クール目に軸移動した、人間を守る為に正義執行している、という方向性を、ボス同士で改めて確認。
 むしろ人間をくだらないものと思っていそうなかおる、今回に限って不在(笑)
 明らかに、意図的に外されているとしか思えません。
 敵の味方は味方かもしれない真壁さん、時々何をしたいかわからなくなる事もありましたが、 「人間を全て排除し、ロボットだけになった世界に君臨する」と、ここでハッキリと宣言。 やはり基本は人間皆殺し路線で良いようです。
 強力真壁光線でJPとGGを相手に戦うジョージだったが、留美が手にしていた黄色い花に反応すると、一時撤退。 それは、神野博士が研究し、博士の死後に留美が花を咲かせる事に成功した“生命の樹”であった。
 世界中の様々な神話に語られる伝説の樹……その花を咲かせて以降、病弱だった私もこんなに元気になって、 花の声も聞こえるのよぉぉぉ、とちょっとアブナイ感じの留美さん。
 そしてジョージ真壁がかつて、助手として神野博士の研究を手伝っていたが博士の死と共に、姿を消していたという過去が判明する。
 花の声が聞こえるという留美さん、ジャンパーソンを持ち上げつつ花の声を聞いてみるように促す。
 「けれどジャンパーソンは優しい人だって、言っていたわ」
 「私には何も聞こえなかった」
 「ジャンパーソン、そっと優しく、心を澄まして」
 「……やはり聞こえない。私がロボットだからか」
 珍しくJPさんが人間に近づいてみたがる、というちょっと微笑ましいシーンなのですが、二人がいちゃいちゃしているのにイラッときたガンギブソン、 「真壁を呼び出すには、こいつがいるんだ!」と、花を奪って逃走。
 「生命の樹……ううぅ、くっ」
 途端に倒れる留美。
 生命の樹のお陰で病弱だった私がこんなに元気に、を通り越して、既に花無しでは生きていられない体になってる!!
 ……どう考えても、強い強壮作用を持った麻薬(副作用:幻聴)です。
 弱った留美を連れたジャンパーソンは、真壁を呼び出そうとするガンギブソンに追いつき、花を返すように迫るが、 ガンギブソンは首を縦に振らない。
 「俺には樹の声より、こいつの声が聞こえるのさ。真壁を倒せ、真壁を殺れとな!」
 「ガンギブソン……この分からず屋が!!」
 愛銃を手にハードボイルドに決めてみせるガンギブソンだったが、 人間のラブとかミラクルとかロマンティックドリームをこよなく愛するラスボスの怒りの鉄拳が遂に炸裂し、 鉢植えを巡って殴り合う二人。更にそこへ、鬱積したストレスを晴らすのは今、とばかりに、 活き活きとトランポリンで宙に舞うジョージ真壁が飛び蹴りで乱入。
 三つどもえの激闘に巻き込まれ、地面に落ちまくる鉢植え(^^;
 ボスキャラの貫禄とばかりに放たれた真壁サンダースペシャルはJPとGGを蹴散らすが、同時に生命の樹もダメージを受け、 煙を吹いて弱りだしてしまう。それに呼応するかのように、地面に倒れる留美。それを見たガンギブソンは、 「それじゃあ本当に命の樹?」と急に反省すると、留美と生命の樹をジャンパーソンに任せ、真壁と取っ組み合って崖下へと転落していく。
 ガンギブソンの反省の仕方が物凄く唐突で、軽い気持ちで悪戯していたら、思ったより大変な事になって子供が反省した、 みたいな感じに(^^;
 かおるにしろガンギブソンにしろ、ジャンパーソンの正義とヒーロー性を補強し引き立たせる意味合いが強いのですが、 ガンギブソンの、自分の目的優先/だけど根は悪い奴ではない、のバランスは、もう少し丁寧にやってほしい所ではあります。
 残されたJPが留美を救う為に花の声を聞こうと、マスクを外す、というのは元からあるギミックが活かされて、良かった所。
 「聞こえた! 私にも声が聞こえた!」
 外装のガードレベルを下げた事で、何らかの電磁攪乱作用がジャンパーソンのAIに影響を及ぼした、という気もしますが。
 生命の樹から送信された地図に従い、ジャンパーソンはグランドジェイカー(ジェイガリバーに、 ダークジェイカーを搭載した状態の事らしい)を発進させると、ドリルジェイカーで地下深くへと到達。青白い光に包まれた謎の空間で、 生命の樹はそこに生えていた新しい芽に力を与えると枯れてしまうが、芽から吹き出した新しい粉末により、 留美は生気を取り戻すのであった。
 一方その頃、ガンギブソンは荒ぶるジョージ真壁に力いっぱい滅多打ちにされていた。
 「地獄へ墜ちろ、ガンギブソン」
 だがその時、枯れた生命の樹を見せつけながらジャンパーソンが駆けつける。強力真壁光線で奮戦するジョージだったが、 JPとGGの挟撃を受けて敢えなく右腕を吹き飛ばされると、建物を爆破して逃亡。JPとGGは留美を連れて脱出に成功し、 留美は新たな生命の樹を、再び育てていく事を誓う。
 「今はまだこんなに小さいんですが、成長すれば、全ての生き物がその恩恵を受けられるようになるでしょう」

 地球上の全生命が生命の樹に依存する……それは明らかに、破滅への序曲!

 ハッピーエンドで一件落着、の筈なのに、何故か音楽がサスペンス調だったり、変に怖いシーン(笑)
 留美が地下で息を吹き返してからこのラストシーンまで、妙に無言なのも怖いのですが、生命の樹の正体は、 寄生型の宇宙生命体か何かではなかろうか。留美はもう、地球人類では無くなっているキガスル。
 <ネオギルド>の本部では、失った右腕から緑の体液を流して苦しむジョージ真壁に近づく、黒い影があった…………それは、 ジョージ真壁!
 ここでベン藤波だったら、凄い面白かったんですが(笑)
 現れた真壁は、苦しむ真壁を一撃で粉砕。爆発の余波で傷を負った指先から、赤い血を流す……。
 今回、キレキレのジョージが台詞で「首領」をやたらにアピールするのですが、「大首領」じゃなかったの? と思ったら、 最後の最後で「大首領」が姿を現す、という見事なサブタイトルトリック。
 脚本の浅香晶は13話で大やらかしをしましたが(その後の展開を見ると、番組の軌道変更による急遽間に合わせとか裏に事情もあったのではと思え、 本人の責任ばかりではないという気も)、ルーゴ回、今回と、細部の雑さは気になるものの、そこそこの出来。
 果たして、真のジョージ真壁は、人間なのか、ロボットなのか。そしてその求める、永遠の生命エネルギーとは……?!
 「おれは人間をやめるぞ! ジャンパぁぁーソぉぉぉン!!」
 てな事になるのか。
 ここまで散々ぽんこつ扱いだったジョージ真壁ですが、今回はアクション解放、さすがに格好良く、 また思わぬ強さで魅せてくれました。……まあ、ラスボスはまだ、全然本気出してないのですけど(今回の使用火器、 ジャンバルカンだけ)。ガンギブソンに気を使わなければ、殺ってしまえた気はしないでもない。
 そして後半戦に入り、ED、新映像に。
 ……ひたすら、トンネルをダークジェイカーで走っているだけ(笑)
 と思ったら、最後にトンネルを抜けて明るい世界へ出る、というのはEDの曲調と相まって、 本作らしいテーマ性が出てなかなか格好良くなりました。……まあそれにしても、ほとんど、JPのアップと車とトンネルの壁、 というのはどうかと思いましたが(^^; EDだから出来る洒落っ気というか。
 次回、霊界から空間ワープ装置
 ……てなんだそれは。
 古くて新しい超次元の世界を、君は見たか!

→〔その6へ続く〕

(2013年10月14日,2013年12月18日)
(2017年4月20日 改訂)
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