■『特捜ロボ ジャンパーソン』感想まとめ4■


“ガンギブソン おれはガンマン
馬鹿なやつと呼んでくれ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜ロボ ジャンパーソン』 感想の、まとめ4(18〜22話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第18話「JP(ジャンパーソン)誕生秘話!!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
 周平を岩にくくりつけ、かおるを待ち受けるジェフ・ゴンドウだったが、現れたかおるの挑発に乗ったところ 綺麗に投げ飛ばされ、蹴られ、殴られ、いきなりの大ピンチに。
 その間に、周平の戒めを解く、もう一人のかおる。ゴンドウをお仕置き中のかおるは、かおるが事前に用意していたダミーロボットだったのだ!
 何故か前回から衣装チェンジしているのが伏線だったなんて!!
 だが、高所から状況を監視していたセーラが爆弾つきボウガンでダミーロボットを爆殺。姉弟はゴンドウに追い詰められるが、 風を切るJPカード!
 しかし、
 (そうだゆけ、悪を倒せ! 完全破壊しろ!)
 再び響く内なる正義の声で機能不全に陥った所にセーラの一方的な攻撃を受け、ジャンパーソンは崖を落下、大爆発の炎に包まれる――……

――聞こえる、私の声が? 聞こえたら目を覚まして、MX−A1

 (……MX−A1……いったい誰だ、俺の、とっくに忘れた筈の、捨てた筈の名前を呼ぶのは)
 そしてジャンパーソンの記憶は、自分の誕生に遡る。
 JPプロトタイプ/MX−A1
 それは、警視庁科学装備研究所で誕生した、自ら学習する超高性能ロボット。
 悪を倒し、犯罪を撲滅する為に生まれた、警官ロボットである。
 ……正式採用前の試作カラーなのはわかるのですが、色彩が警察配色ではなく、明らかに自衛隊配色な時点で、 既に危険な匂いしかしません。
 某<ギルド>のせいで高度な暗殺ロボットなどが一般に流通している為に武装の強化が求められているという事なのでしょうが、 肩にビームキャノン剥き出しだったり、どうしてそんなに殺る気満々なのか。
 行き過ぎた抑止力競争は、血を吐きながら続ける終わりのないマラソンなんですよ?!
 というか、警視庁科学装備研究所ってあれですよね、 クラステクターとかギガストリーマーとか作った事で有名な警視庁電子工学研究所が看板つけかえたんですよね?
 高度な学習機能と成長回路を持つMX−A1は正式採用を目指していたが、ある日のテストで、事件は起こる。
 「任せなさい。私の仕事は、悪の完全破壊だ」
 この時点で、既に色々ヤバそうですが、ここでシーンは前回挿入された、ロボット虎の穴の真実に。
 ロボットを用いた制圧任務の訓練中、MX−A1の脳裏に響く、正義回路の指令。
 (悪を倒せ、悪を倒せ)
 MX−A1はその声と自分の存在目的に忠実に従い、犯罪者ロボットをロケットパンチで爆殺し、 マウントポジションからラッシュを叩き込み、逃げ出した所をダッシュで追いかける。
 「俺は走った。犯罪者の逮捕を、何者にも優先させる、警官ロボットとしての究極へ向かって」
 すみません、先ほどから、一体も逮捕していません。

 逃亡者の背中へ迸る光線銃! ねじ切れる首! 炸裂する小型ミサイル! とどめのレーザーキャノン!  うなりを上げるバズーカ!

 逃げる奴は犯罪者だ!

 逃げない奴はよく訓練された犯罪者だ!

 地獄を! きさまに! HELL 2 U!

 事ここに至って慌てて制止しようとする所員たちを払いのけ、残り2体を追い詰めるMX−A1。 命乞いするロボットへ容赦ない銃撃の後、膝ミサイルでクライマックス。その威力は2体が逃げ込んだ工場をど派手に吹き飛ばし、 警察上層部は必死に事件を隠蔽、事の真相は闇に葬られる。
 悪いのはMX−A1というより、膝にミサイル仕込んだ人だと思うのですが、おそらく事件の後始末の過程で、 いつの間にか姿を見なくなったり戸籍が無くなったりしている事でしょう。
 思わぬ正義回路の暴走……MX−A1は廃棄処分が決定し、合わせて究極正義執行警官ロボットプロジェクトそのものが、 関連データの完全消去とともに解散される。
 全ては、3年前の出来事であった。
 ……て、これ、警視庁にとっては物凄い悪夢の再来なのかジャンパーソン(笑)
 誕生秘話がきなくさすぎて、恐ろしい。
 しばらく後、警視庁を辞めたかおるはスクラップ置き場のMX−A1に最後のお別れを言いに来た際、 MX−A1が完全に機能を停止していない事に気付く。密かにMX−A1を回収したかおるは、暴走した成長回路に手を加え、 MX−A1を修復、新たな姿に生まれ変わらせる。
 それこそが、ジャンパーソン!
 ……何この人、危険すぎるのですが。
 生命の尊さを知り身勝手な科学の使用に憤る良心的な科学者、みたいな描かれ方をしていますが、ここまでの今作の登場人物で、 圧倒的に一番狂っているぞ三枝かおる。

 紫色のロボットとして再生し、街でスケボーで遊んだり、小鳥を愛でるジャンパーソン。
 腰には光線銃ささってるけど!
 ジャンパーソンは三枝姉弟との関わりの中で、他者を幾つしむ心を知っていく……ような気がする、たぶん知ったのではないかな、 知ったのだと思う、まちょっと覚悟はしておけ。
 「私も自分のやるべきことが、今はっきりとわかった。ありがとう。かおる、君のお陰だ」
 「ジャンパーソン、これは、あなた自身がつかみ取った、あなた自身の新しい命よ」
 「私自身の、命」
 新たな命をつかみ取ったジャンパーソンは、その身を“正義に捧げる”(DEDICATE MYSELF TO JUSTICE)事を決意。
 かくてここに、闇の正義執行人は誕生したのであった。
 「こうして、俺の闘いは始まった」
 下手につつくとスキャンダルで大変な事になると思ったのか、ジャンパーソンのジャスティス行為に対して、 警察上層部からの反応やアプローチはなし。それをいい事に、ジャンパーソンは好き勝手にパニッシュを続け、 世間的には正義のヒーローとして認知されていく。そんな中、国連に招かれたかおるは、日本をジャンパーソンに任せ、渡米。
 「私も戦う、愛と、命と、正義の為に」

 ……この人、本気でイカれてる!

 ジャンパーソン、ちょっと、色々、付き合う人について考えた方がいいぞ、ジャンパーソン。
 真のラスボスは警視庁、みたいな予感を漂わせつつ、回想によって語られたジャンパーソン誕生秘話。
 これによりあの酷かった13話で、一方的にJPさんを超古代兵として認識した挙げ句に勝手に満足して昇天した超古代の神官の人は、 徹頭徹尾、電波な可哀想な人だった事が確定してしまいました。
 公的な正義の執行者として失格の烙印を押されたけど、修復されて新しい命をつかみ取ったから、私的に正義の味方をやるよ!  だってそれが俺の作られた目的だからフォージャスティス! と、物語が二転三転した中で、改めて明確になった

 ジャンパーソンの狂気。

 そしてそんなジャンパーソンを独自の信念で生み出し、そそのかし、自分で辿り着いた意志と新しい命だからOK☆と全肯定し、 あまつさえ武装強化した上で、法律とかどうでもいいけど愛と命と正義を心から信じている三枝かおるが

 完全にキチガイ。

 信念系マッドサイエンティストの上に狂信的テロリストの素養ありとか、18話にしてようやく視聴者寄りのメインキャラが増員したかと思わせて、 むしろジャンパーソンよりもっとヤバい人(いっけん良識人)が背後に居た事が判明するとか、凄まじすぎます。
 前回の台詞から考えると、かおるは事件後間もなく警視庁を辞めているようなので、とすると、 MX−A1は3年前にかおるによって回収され、秘密基地で密かに改造され、ジャンパーソンとして再生。 この修復作業にどのぐらいの期間がかかったのかはわかりませんが、その後、1、2年程度はJPさんは ヒモ ニート生活を謳歌していた、という感じでしょうか。
 そして、働いたら負けなのでヒーローになろうと決意。
 素直に回想通りの時系列だとすると、JPさんがジャスティス&デストロイを始めてしばらくしてから、 かおるは渡米した模様。他に身寄りのない小学生の弟を置いて渡米しちゃうとか、色々と疑問は感じますが 狂っているので仕方が無い。
 あと、この世界の警察とマスコミがずぶずぶなのは以前から何度か描写されていましたが、警察組織の隠蔽体質ぶりは、 色々と物凄い。
 回想を抜け、立ち直るジャンパーソン。
 ここで、崖下のジャンパーソンが紫の花に囲まれているという、前回からトーンを合わせた演出は印象的で秀逸。
 ジャンパーソンはスカイジェイカーに乗り込み、ゴンドウに拉致されたかおると周平を追いアジトへ突撃するが、 二人を人質に取られる。
 「二人を助けたかったら、武器を捨てろ!」
 ……いやその人、全身武器。
 その時、またも内なる正義の声に苦しむジャンパーソン。
 「乗り越えてジャンパーソン、打ち勝ってジャンパーソン! あなたに、あなた自身に!」
 「俺は、俺はもうあの時の俺には戻らない、二度と。俺は、俺を超える。乗り越えてみせる!」
 内なる正義の声を押さえ込んだジャンパーソンは、ゴンドウに向けて突撃。周平の解放には成功するが、 ゴンドウはかおるをさらって逃亡。後を追ったジャンパーソンは帯刀の仕掛けた爆弾に気付き、ゴンドウをひっとらえて回収に成功するが、 その瞬間に爆弾が起爆。……とはいえ、ラスボスにそんなものが効くわけはなかった。
 「あらら」
 しかし、その爆発でアジトが崩れ、かおるが鉄骨の下敷きになってしまう……ジャンパーソンは周平を連れて爆発する工場から脱出。 かおるは無残に爆弾の餌食になってしまったのか? いや、工場の前に回り込んでいたランドジェイカーの中には、捕まえたゴンドウと、 無事だったかおるの姿が。爆弾に気付き、事前にランドジェイカーを回り込ませていたジャンパーソンは (映像的にもしっかりと描写あり)、爆弾を回収したタイミングでゴンドウとかおるを車内へ避難させ、 同時に車内に待機していたかおるのダミーロボットが入れ替わり、爆弾の犠牲となる事で、モニターしているであろう悪の組織に向けて、 かおるの死を擬装したのであった!
 ここは多少強引ですが、今後の人質展開を防ぐ理由付けをしっかりと行ったのは、 作品のこれまでの流れを守った、という点で非常に評価したい。かおるとジャンパーソンの関係は黙秘し通したので、 これまでのパターン的に、周平は人質として狙われる理由はこれ以上は無いですし。
 散々ロボットにも情けのあるようなポーズをしていたのに、自分のダミーロボットをあっさり身代わりにするかおるは、 本当に狂っているけど。
 というか来日して半日足らずで既にダミーロボットを2体消費しているのですが、普段どれだけ命狙われているのですかこの人。
 帯刀コンツェルンでは、真壁が「負け惜しみとは見苦しいぞ」と、おまえにだけは言われたくない台詞ナンバー1で、帯刀と接触。 更に麗子様も回線ジャック、帯刀までTVの中に入り込み、なし崩しで三大悪の組織が顔合わせ。深い意味があるというよりは、 そろそろお互い認識している事を確認した方が、どう転がすにしても話を広げやすいといった感じでしょうか。
 そしてジャンパーソンの元には死を擬装した事で無職になったかおるが残る事となり、遂に、今度こそ、 善玉サイドに(セミ)レギュラーが誕生……? するので……あった……?
 正義回路の声ネタは面白いので、これで済ますのではなく、再登場に期待したいところです。

◆第19話「怪盗!電送魔女」◆ (監督:小西通雄 脚本:増田貴彦)
 サブタイトルからして、往年の東宝特撮<変身人間>シリーズより、『電送人間』を思い出させる今回。
 黒猫のぬいぐるみの瞳から、警戒厳重な美術館の内部に電送される、全身ヒョウ柄タイツの女怪盗パンサーレディ……と、 円谷っぽいというか『怪奇大作戦』っぽい入り(笑)
 (『怪奇大作戦』はもっと陰鬱としていますが)
 ピンと立った尻尾がお洒落なパンサーレディの主な武器は、優れた体術と電磁ムチ。 警備員達を次々と気絶させてブルーダイヤを盗み出すとカードを残し、その場に設置した猫の瞳を用いて、電送により脱出する。
 各地の美術館などでブルーダイヤを専門に盗み続けるパンサーレディの真の目的は、 ブルーダイヤの特性を活かして電送装置を強化する事。それにより、同時に大量の人間や武器を電送可能にし、 国の中枢機関にバイオ兵士を電送して政府を制圧しようとする、スーパーサイエンスネットワークの恐るべき計画の為であった。
 麗子様、初めての女性部下。
 そしてどちらかといえばせせこましかった、というか、愉快犯になりつつあったSSN、 劇中初の大規模作戦の暗示。
 初登場時の台詞も確認してみましたが(「科学こそが全ての存在の頭上に君臨すべき哲学なのよ。それを証明し、 世界を我が手にする為には、 どうやらあたなが邪魔になりそうだわ」)、一応、真面目に世界征服する気があった。
 志は、高く。
 パンサーレディの次なる目的は、エジプト博物館のブルーダイヤの王冠。天井からの電送により瞬間的に現れたパンサーレディの手が王冠に伸びたその時、 風を切るJPカード!
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
 明らかに敵用に造った曲だろうこれ、というBGMと共に、ラスボス参上。
 色々あったけどやっぱり……

 俺が正義だ!!

 前の事件で猫の瞳が電送装置の端末である事をサーチしていたジャンパーソンは、天井の装置を破壊し、 パンサーレディと野外での格闘戦にもつれこむ。パンサーレディを追い詰めたジャンパーソンだったが、なんとパンサーレディ、 予備の瞳をジャンパーソンの体に貼り付けると、ジャンパーソンの中へと入り込む!
 パンサーレディは電送人間であり、電気信号と化してコンピューターにも潜入できるのだ!
 内部から攻撃する、というオーソドックスな強敵撃破パターンを繰り出され、電子機器を傷つけられ苦しむジャンパーソン。 そこにパンサーレディ事件を担当する刑事、関町と高瀬が駆けつける。自分の行動を制御しきれないジャンパーソンは、 「頼む、この胸の端末を打ち落としてくれ!」と他人の助力を仰ぐ、というひじょーーーに珍しい展開。
 構成としてはJPさんの 黒幕 協力者として三枝かおるが登場したので、 ジャンパーソンと他の人間との協力関係を自然に見せる為に、その範囲を広げてフレキシブルに見せよう、という事でしょうが。
 端末を撃ち落とそうとする刑事コンビだが、年嵩の刑事・関町は、どうしても引き金を引く事ができない。 警視庁一の射撃の名手と言われていた関町だったが、2年前にある立てこもり事件の際に人質にされた少女を誤射してしまって以来、 拳銃が撃てなくなっていたのだ。
 この前に、関町がリハビリセンターに車椅子の少女・里美を見舞いに行くというシーンがあるのですが、記号的になってしまうネタを、 ゲスト刑事のトラウマと結びつけ、それをゲスト怪人への対策に繋げる、とうまく物語に組み込みました。
 銃を撃てない関町に代わり、若手刑事の高瀬が射撃を試みるが、暴れ回るジャンパーソンに命中させる事が出来ない。 仕方がないのでジャンパーソン、バックレットコントローラを操作してスカイジェイカーを呼び出し、 自らに機銃の雨を降らせる。

 ラスボス、格好いいーーー!!!

 今作は、こういう無茶アクションこそ、らしくて輝きます。
 ジャンパーソン捨て身の作戦に電送装置は破壊され、JP内部から追い出されたパンサーレディは逃亡。 ジャンパーソンは逃げるパンサーレディの服の一部を奪う事に成功し、タイツの切れ端を手に、 わなわなと拳を振るわせながら関町に迫る(ようにしか見えない)。
 こ・わ・い
 「まだ二年前の里美ちゃんの事をひきずっているんですか。そんなに間違って撃った事が怖いんですか」
 「そうとも。オレは臆病者だ。最低の刑事だよ」
 そんな関町に対して、里美が「関町さんのためにも早く歩けるようになりたい」、 それによって誤射の後悔を振り切って欲しいと言っていた事を伝える高瀬だが、それでも関町の悔恨と迷いは消えない。
 そんな刑事二人のやり取りを、横でずっと聞いているJPさん(笑)
 基地に戻り、かおるがタイツを解析した結果、それが電送スーツの一部である事が判明。 ジャンパーソン達は端末から端末へ大量の人員を電送しようという、SSNの真の計画に気付くとともに、 パンサーレディの正体が物質電送理論の権威・イシグロサヤコ27歳、である事に辿り着く。
 「関町という刑事に知らせに行く」
 「どうして?! 彼はあの時銃を撃てなかった。そんな人にパンサーレディの逮捕は無理よ」

 ホント怖いよこの人

 改めて三枝かおるは、「法で裁けぬ悪を裁く」のではなく、「法律とかどうでもいいから自分の裁きたい悪を私的に裁く」 という意識が徹底していて、完全にテロリスト予備軍。

 というか現状既にテロリストみたいな。

 3年前の出来事が元で警視庁を信用していない、では済まされないレベルで、国家と法治に挑戦しています。
 ジャンパーソン基地の設備など見るに、海外の複数の隠し口座などに大金が唸っていそうなので、本当に国家とか、 どうでも良さそうなのがまた、物凄くタチが悪い。
 物凄く私的な運用を繰り返すひとりサンダーバードみたいな感じ。
 「私は彼を救いたい。同じ正義を守る者として、彼を立ち直らせてあげたいのだ」
 「自分はどうなったっていいの? あなたが死んだら、誰が悪と戦うのよ」
 「わかってくれ、かおる。私は、同じ悪と戦う者として、彼を警官として立ち直らせてあげたいのだ」
 一方、同じような正義のトラウマを抱える者として、関町刑事に感情移入を見せるジャンパーソン。……まあ、JPさんも、 たいがい目線が上からなんですが(笑)
 よくよく考えると、自力で乗り越えたといえるか微妙なのに、「なに君? まだトラウマ乗り越えてないの? 生まれてきた意味?  ははん、そんなの、自分で作り替えるものなのさ」って、エンジェルにも随分と、立派な先達みたいな事を言っていたし(笑)
 一方、刑事を辞職し(?)、拳銃を返納した関町は、里美の元を訪れていた。その脳裏に浮かぶ、「立ち直って下さい関町さん、 里美ちゃんのためにも」という部下の言葉、そしてそこに乗り込んでくる、ダークジェイカー。
 「パンサーレディの正体が割れた。私と一緒にくるんだ」
 命・令・口・調
 更になぜかジャンデジックを渡すが、それを投げ捨てる関町。しかし、そんな関町の姿に、 なんと里美がジャンデジックを拾って握りしめる。
 「関町さんの弱虫! どうしてそう、自分を責めるのよ。そんなんじゃ、そんなんじゃ、あたしだって惨めじゃない!」
 被害者である自分が前を向いて進もうとしているのに、関町がいつまでも後ろを向いていたら、自分が惨めだ――――今回、 “車椅子の少女”ネタとしては気持ち悪くならないで済んでいるのは、里美が終始、前向きに描かれている事。 またそこが楽天的になりすぎないように、事件から2年間、という歳月を置いているのも細かく秀逸。
 「関町さん、貴方はこの里美さんの思いがわからないのか。戦うんだ! この子の気持ちを踏みにじってはいけない」
 トラウマの乗り越え方=戦う、が凄くJPさん。
 二人の言葉に関町はジャンデジックを握りしめ、ジャンパーソンと関町はパンサーの隠れ家へと向かう。 しかし先制の電磁ムチを受けて分断され、自分で撃った機銃の攻撃で本調子でないジャンパーソンは、 再び電送装置で内部に侵入されてしまう。前回の反省を活かし、パンサーレディはジャンパーソンのコントローラーを取り外す事に成功し、 モニターしている麗子様も高笑い。
 「ほほほほほほほほほっ、踊りなさいジャンパーソン! これが貴方のラストダンス! ステップはパンサーレディが教えてくれるわ」
 麗子様はいつもながら、台詞回しが変に洒落ていて素敵でございます。
 (ジャンデジックは強力な武器だ……外せばジャンパーソンの命はない)
 ラスボスの、凶悪なスパルタ。
 もがくジャンパーソンへ向けてジャンデジックを構えるも、迷いを振り切れない関町。だがそこに高瀬と里美が姿を見せ、 その声援に後押しを受けると、見事に狙撃。端末は一撃で破壊され、パンサーレディは逃げ出した所をワイヤーパンチに掴まれて御用となる。
 「あんた……わざとパンサーレディの侵入を許してまで、この俺を?」
 「いや、私は、あなたに助けられたのだ。警視庁一の、射撃の名手である貴方に」
 ジャンパーソンは敬礼を残して立ち去っていき、刑事達はその後ろ姿を感謝を込めて見送るのであった。
 本当はジャンパーソンも任意同行を求めて事情聴取しないといけないような気がするのですが、 16話で頓田博士が警官隊に逮捕された時の完スルー、17−18話で判明したジャンパーソンの出自、など考え合わせると、 公的にはだんまり、直接的なアプローチはしないものの、どこかの時点で警察上層部から現場に向けて 「ジャンパーソンにはいっさい関わり無用」というお達しが出たっぽい。
 「パンサーレディ……貴女をこのままにはさせておかない。必ずこのあたしの手でリターンマッチを。それまでゆっくりとお休みなさい」
 珍しく、部下を切り捨てない麗子様、パンサーレディの再登場を暗示。
 女の子には優しい、という設定でもついたのでしょーか。
 ようやく出てきた(多分、今回のみのゲストでしょうが)比較的まともな刑事、重なり合う正義のトラウマ、 最後に里美ちゃんの足が大幅に回復するのは少々やりすぎかとは思いましたが(匂わせるぐらいで良かったと思う)、 油断しているとすぐに厭な使い方になってしまうネタを適度に収めて、うまくまとまりました。
 次回、世界忍者戦JP!

◆第20話「忍法デスマッチ」◆ (監督:小西通雄 脚本:鷺山京子)
 本邦初公開、JPカードを投げるシーン!
 割と几帳面に、スライド式のカードケースに入れていた(笑)
 剣道場に突如出現する忍者軍団
 山男を拉致する忍者軍団
 陸上選手を襲う忍者軍団
 それは、忍者のDNAを持つ忍者の子孫をさらい、DNA復活光線を浴びせる事で忍者の細胞を活性化、 目覚めた忍者細胞を固定化して抽出し、それを一般人に移植する事で最強忍者軍団を作り出そうとするドクター甲賀の計画であった!
 「頑強な肉体、様々な特殊能力、優れた隠密活動……忍者こそ、最強の進化形態なのです!」

 忍者・最強!

 麗子様も「スーパーサイエンス王国の秘密工作員に欲しい」と乗り気な計画であったが、拉致してきた忍者の子孫達は誰も復活光線に耐えられず、 計画は頓挫しつつあった。残された最後の忍者候補は、妻に頭が上がらず息子との約束も守れずドジでどうも冴えないぼんくら父さん……。
 ところで麗子様、真心から注進させていただきますが、スーパーサイエンス王国(仮)は、 考え直した方がいいと思いますっ!
 三枝周平の友人、ユウの父が、最後の忍者候補としてドクター甲賀にさらわれて行方不明に。 90年代前半の東映ヒーローの通過儀礼としてユウを轢きそうになったJPさんは「飛び出しはいけないよ」 と流れるように責任を転嫁し、ユウの父親(クレジットで名前の設定なし)が姿を消した事について相談を受ける。基地に戻り、 三枝かおると連続誘拐事件との関連性について話し合うジャンパーソン。秘密基地とサポートキャラが登場した事により、 事件の背後を調べる、という非常にオーソドックスな展開が発生しました。
 なお、謎の忍者軍団による連続誘拐事件はニュースになっているのですが、父さんがソファに寝っ転がりながらふーんで済ますレベル。
 これぐらいで仰天していては、この世界では生きていけないのです。
 「復活せよ、伝説の忍者ぁ」
 その頃、ドクター甲賀のアジトで復活光線を浴びたユウ父は、見事にその効果で伝説の忍者として目覚めてしまう。
 「これぞ伝説の忍者、猿飛佐助だ!」
 1時間で光線の効果が切れる前に、忍者細胞を固定化して抽出しようとするドクターだったが、伝説の忍者、あっさりと脱出。 しかしドクターは、現場に残された血痕から、わずかだが猿飛佐助のDNAを入手する事に成功する。
 一方、三枝かおるはドクター甲賀の正体と目的に辿り着いていた。
 本名・青木マサオ。
 忍者の研究に熱中するあまり、違法な遺伝子実験に手を染めて学会を追われた生物学者(笑)

 偽名だったのか!

 帰宅したユウ父は追っ手をまく為にユウとともに逃亡をはかるが、甲賀の追っ手は既にその身辺に回っていた。
 「殺気だ……謀られたぞ」
 廃工場におびき寄せられた親子の前に迫るドクター甲賀と忍者軍団。炸裂する忍者アクション。 妻を人質に取られて捕まってしまうユウ父だが、その時、風を切るJPカード!
 ジャンパーソンがユウ母を救い出す事に成功するが、今度は時間切れで父が元のぼんくらに戻ってしまう。
 「しっかりするんだ。ユウくん達を守れるのは、あなたしかいない」
 逃げようとする一家だったが忍者軍団に囲まれ、頼みのジャンパーソンは、 「茶色い忍者は忍者細胞を移植しただけのただの一般市民だ」というドクター甲賀の言葉に動揺したところを、 落とし穴&爆弾のコンボをくらってしまう。ユウ父は懐の煙玉で逃げ出す事に成功するが、捕まってしまう妻子、 そして通信の途絶するジャンパーソン……。
 「駄目だ、パパはもう猿飛佐助じゃないんだ……僕らを助けられる筈がない」
 甲賀のアジトで牢屋に入れられ、沈み込む親子。
 「ユウ、ママ、いったいどうすればいいんだ!」
 ぼんくら父はアジトの外で歯がみしていたが、その時、ジャンパーソンの言葉が脳裏に甦る。
 ……「しっかりするんだ。ユウくん達を守れるのは、あなたしかいない」……
 愛する家族の為、普段は少々頼りなくても、忍者ではなくても、勇気を奮い起こした父は、 アジトに乗り込むと自らの首筋に刃をあててみせる! 自分が死んでしまえば、ドクター甲賀は忍者細胞を抽出する事が出来なくなる。 文字通りに命を賭けた捨て身の脅しに甲賀は牢屋の鍵をユウ父へと投げ渡す。
 「パパも一緒に逃げよう!」
 「ユウ……パパの事覚えていてくれよ。だらしがなくて、格好悪いパパだったけど」
 「パパ!」
 ヒーロー以外の大人が格好いい所を見せる話、が定期的にあると、やはり安心します。
 しかし、忍者軍団の不意打ちにより、刀を取り上げられて捕まってしまうユウ父。
 だがその時、天井から現れる紫の影!!
 「生きていたのか……」
 「助けを求める声のある限り、ジャンパーソンは不滅だ!」
 ……ていうかJPさん、父子の愛を試す為に、故意に音信不通になりましたよね?
 ラスボスは人間の“心の強さ”を物凄く美化して捉えている節があって、その結果“人を信じる”を通り超えて、 凶悪なスパルタになるという。
 素で、「俺に、人間の愛の力というものを見せてみろ」を行っています。さすがラスボス。
 「ジャンデジックLV6・ショックパルス!」
 新機能が発動し、忍者細胞を埋められただけの一般市民達は気絶。しかしまだ、ドクター甲賀と黒服忍者達は健在。 ……というか黒服忍者達は細胞を埋められたわけでないという事は、元から忍者という事なのかっ?!
 忍者愛が高じるあまり自ら忍者となったドクター甲賀から放たれる忍者ビーム!
 更に忍者軍団の攻撃が、ジャンパーソンの装甲を切り裂く、という珍しい描写。
 強いゾ忍者。
 確かに最強の進化形態かもしれない(笑)
 だが。

 ラスボスはもっと強かった。

 無慈悲かつ圧倒的な力でラスボスは忍者軍団を沈黙させ、ジャンデジック&ジャンバルカン一斉射撃でドクター甲賀のアジトを破壊して、 大満足。
 「ユウくん、君のパパは、世界一のパパだ!」
 最後は、ドクター甲賀以下の忍者達を柱にくくりつけて警察に引き渡し、囚われていた人々にお礼を言われて敬礼を返して去って行く ……と初期に比べて、だいぶマイルド路線に。
 前回今回と、再起編を経て、ヒーロー物の構成としては非常にスタンダードな所に落ち着けてきました。
 中身は狂ってるんですが。
 いきなり忍者大戦という頭のおかしい展開ながら、親子の愛情をしっかり絡め、そつのない鷺山脚本がいい形で展開。もう少し、 ジャンパーソンvs忍者! が盛り上がるとなお良かったですが、如何に最強の進化形態といえども、 しょせん人類ではラスボスとの戦いを盛り上げる事は無理なのです。
 次回、新たなる挑戦者、現る!
 誕生編の時もそうでしたが、音楽を一部カットしたりとか、予告の演出が割と凝っているのは面白い所。
 中身は新ロボよりもむしろ、ジョージが
 「なんてこったぁ!」
 「どうしてこうなった?!」
 みたいな顔ばかりしているのが気になるけど(笑)

◆第21話「挑戦!最強ロボ」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:宮下隼一)
 警備兵に追われながら、どこかの施設から脱走しているとおぼしき一体のロボット。首尾良くバリアを破壊したロボットだったが、 その前にバイク・GGスレイヤーに乗った銀色のロボットが姿を見せ、その手に握ったガンボルバーとブローソン、二丁の拳銃が火を噴く。
 「早すぎて見えなかったか。もう一度見せてやる」
 ガンボルバーから誘導弾を操るそのロボットの名は――ガンギブソン。
 銃撃を受けて装甲の剥がれたロボットに、更に女性型ロボット・キャロルの斬撃が炸裂し、両断された外装の下に現れたのは……なんと、 ジャンパーソン!
 ――物語は三日前に遡る。
 かねてからロボット刑務所に不審を抱いていたジャンパーソンは、刑務所のメインコンピュータにハッキングを繰り返していたが侵入する事ができず、 内部へ直接潜り込む事を決断していた。
 今ついに明かされる、ロボット刑務所の秘密。
 ジャンパーソンによるとロボット刑務所は、
 〔犯罪を犯して逮捕されたロボットの戦闘モードを消去し、安全な作業用ロボットに更正させて社会へ送り返す施設〕
 との事。
 そもそも戦闘モードを入れるなという気もしますが、つまりは“犯罪を犯した”というよりも、 “犯罪用に造られた”ロボットを逮捕後に社会復帰させる施設のようで、 物凄くロボットに優しい社会が実現しているようです。
 貴方の家の近くの酒屋で働いているあの黒アーマーのお兄さんは、今はすっかり更正しているけど、 昔はちょっとやんちゃした暗殺ロボットだったかもしれない……。
 色々鑑みるとこの世界のロボットは、誰かの所有物というよりも、ロボット市民権とでもいうべきものを持っているようで、 それでいながらプログラムに支配されているという、またも期せずしてやたらにえぐい世界が生まれてしまっています(^^;
 出所したのはいいものの、新しい職場に慣れずにはみ出し、かといってかつての力は失い、底辺まで落ちた結果、闇業者に解体されたり、 いっそ単純労働しかできないロボットに改造してもらえれば……なんて末路が待っていたりするわけですよ。道理でエンジェルも、 研究所の爆発後、ふらふら道を彷徨っているわけです。
 そんなロボット刑務所が、<ネオ・ギルド>の密かな行動機関になっている可能性が強い、と考えたジャンパーソンは、 かおると共にかつてのかおるの先輩であり、今はロボット刑務所の主任研究員を務める鳴海に接触する。
 「君の死を擬装しなければならないほど、今この国は悪の脅威にさらされている。それもジャンパーソンから聞いた」
 まあ今、鳴海さんの前に居るのは、地下に潜ってフリーダムにデストロイする “正義”のテロリスト達ですけどね!
 「その前に、当然私の事も調べたんだろうね」
 と、尋ねる鳴海に向けて
 「勿論、調べさせていただきました」
 と満面の笑みで返すかおるはやはり、ネジが何本か飛んでいる、というか、最初からはまっていなかった、というか。
 鳴海の協力を取り付けたジャンパーソンは、外部装甲を取り付ける形で、変な色のロボットに擬装。 丁度いいのでストレス解消に車を破壊して 器物破損事件を起こして逮捕され、 囚人としてロボット刑務所へ入所する事となる。
 「よく聞けブリキども、このロボット刑務所から脱獄しようと考えるだけ無駄だ」
 ムチを振り振り登場する看守長(刑務所長?)・氷室、明らかに何かの映画から悪い影響を受けています。
 ロボット刑務所はそこら中に重火器持ちの警備員が歩哨していたり、空から地下まで全周が強力な電磁バリアで覆われていたり、 なんか、革新政権が勢いで間違って作ってしまった施設の匂いが全体から漂っています。
 『ウインスペクター』からこのかた、ひたすら加速していく、あなたの隣のディストピア感。
 入所したロボット達は、まずは戦闘モードを消去され、安全回路をインプットされた後でそれぞれの能力に見合った職業訓練を行い、 娑婆へ戻る事になる。鳴海博士の協力により、擬装JPは、戦闘モードを消去する事なく、所内の潜入に成功。
 ……ああ今!

 世界を平和に近づける大きなチャンスだったのに!

 所内では多くのロボットが雑役に励む中、仕事もせずに他のロボットに喧嘩を売って面倒を起こす問題ロボットが居た。 その名を……ガンギブソン。
 「俺たちの存在価値は、戦闘モードがあるかないか、って事じゃない。戦う意志があるかないか、って事だ。 俺が気にいらねえヤツはかかってきな。相手になるぜ! この弱虫野郎!」
 ガンギブソンがいちいちキャロルを抱えながら現れるのはなかなか素敵。
 看守に捕まって独房行きになるガンギブソン……だがその正体は、海外での任務を終えて帰ってきた、 <ネオ・ギルド>最新最強のアサシンロボットであった! ガンギブソンは氷室と繋がっており、その任務は、 ロボット刑務所を探っている何者かを排除する事。ジャンパーソンの推測通り、 ロボット刑務所は<ネオ・ギルド>の野望に利用されていたのである。
 この任務が面白くないバトルジャンキー系のガンギブソンだったが、鳴海の怪しげな動きに気付いて潜入しているのが擬装JPだと知ると、 俄然ハッスル。自ら刑務所で行われている<ネオ・ギルド>の陰謀の詳細をジャンパーソンに知らせると、電磁バリアに破壊装置をセットし、 刑務所の裏の屋外での勝負を要求する。
 頼むからジョージ、部下のロボットに忠誠回路ぐらい付けておいて下さい。
 なお<ネオ・ギルド>がロボット刑務所で密かに行っていたのは、通称、ネオギルド回路を出所前のロボットにインプットし、 出所後も<ネオ・ギルド>の完全コントロール化に置く、というもの。作戦としては極めて有効なのですが、 もう少しバリエーション欲しいぞ<ネオ・ギルド>(^^;
 警備兵が駆けつけ、脱走せざるを得なくなった擬装JPは電磁バリアを破壊し……という所で冒頭へ繋がり、 擬装を完全に破壊されたジャンパーソンとガンギブソンが向き合った所に、鳴海を捕らえた氷室が登場。
 「正義のヒーローの最期にふさわしい処刑方法が決まるまで、ジャンパーソン、貴様は独房行きだ」
 ジャンパーソンは氷室のスタンスティックの一撃を受けて捕縛されるが、 ジャンパーソンと戦いたくて戦いたくて仕方がないガンギブソンはこの処置に不満を抱いてジョージ真壁に直談判。 しかしジョージも「決闘させてくれ」というガンギブソンの嘆願をはねつけ、 ジャンパーソンは自らの手でじっくりねっとり解体してやると宣言。
 これを聞いたガンギブソンは、キャロルと共に組織を裏切る事を決意。
 というか、俺はジャンパーソンと戦いたいだけでそういう難しい事はわからないぜひゃっはー、なタイプだとは思いますが、 自分の信念しか持っていないって、実にタチが悪い。
 だからジョージ、部下のロボットにちゅ(以下略)。
 ガンギブソンとキャロルはコンピュータールームに侵入すると刑務所内のロボット達の安全装置を一斉解除、 更に戦斗モードを再インプット。
 「イッツ、ショータイム!」
 これにより凶暴化した囚人ロボット達が自由に暴れ出し、ロボット刑務所は大暴動に包まれる。
 ……素晴らしくあっさり解除される安全装置。
 どこまで駄目なのかこの施設。
 「ガンギブソン……」
 ジョージ真壁が怒りに震える中、ガンギブソンはキャロルとともに、暴動に揺れる所内を走る。果たしてその目的は?  囚われのジャンパーソンの運命や如何に?!
 そして、部下の管理の全く出来ない、ジョージ真壁の明日はどっちだ?!
 ガンギブソンはヤンキーのガンマン、というモチーフなのかと思うのですが、声といい喋り方といい私の中の “悪役超人”のイメージとぴったり合致するのですが、何故だろう……?(^^; 『キン肉マン』、 世代ではあるけどそれほど記憶にはないのでまるっきりイメージだけなのですけど、台詞回しがどこかゆでたまごっぽいというか(笑)

◆第22話「激突JP(ジャンパーソン)対GG(ガンギブソン)」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:宮下隼一)
 「ジャンパーソン、一対一の勝負だ」
 広がる暴動の中、ガンギブソンはジャンパーソンを独房から解放し、ギャラリーに囲まれながら始まる、素手ごろバトル。
 周囲で囃し立てるギャラリー(囚人達)、というこの無法な雰囲気は素敵。
 「なんという……なんというざまだ」
 ロボット刑務所を利用した秘密計画が破綻しつつある事に、ジョージは怒り心頭。
 「まさか……まさかガンギブソンのヤツがこんな事までしでかすとは!」
 「おのれガンギブソン! こうなれば、ジャンパーソンもろとも償いをさせてやる! たっぷりとな!」
 とりあえずジョージは、辞書で「適材適所」って引く所から始めような。
 一方、所内では二人の最強ロボのデスマッチが盛り上がっていた。格闘戦でもラスボスと互角に渡り合うガンギブソンの攻撃に、 地面に背を着くジャンパーソン。その時、唸りを上げるワイヤーパンチ(笑)
 改めて言っておく――俺がルールだ!
 直撃を受け、吹っ飛んだガンギブソンは、銃を抜き、戦いは一気に泥沼に。
 ……ええこの人達は、勝利こそ全てでした。勝った方が歴史を作るのです。
 ガンギブソンの放った追尾弾(ホーミングブリット)から逃げ回るJPさんは、お約束の必殺相撃ち。 二人はそれぞれの銃を手に改めて向き合う。
 ……マグナム銃に対して、バルカン砲を向けるJPさん、どこまでもクール。
 二人の戦いが佳境に入る頃、所内では氷室がコンピューターを操作し、戦闘回路のターゲットに、ジャンパーソン、ガンギブソン、 キャロルの3人を指定していた。ギャラリーだった囚人達にキャロルが攻撃を受け、成り行きで共闘する事になる3人。更にそこへ、 暗殺ロボットを従えてやってきた氷室が、変な煙を出して銀色の姿へ変身する。氷室の正体もまた、<ネオ・ギルド>のロボットだったのだ。
 氷室の口からミサイル、暗殺ロボットのバズーカ砲撃に工場が崩れ落ち、鉄骨の下敷きになるキャロル。 それを助けようとしたガンギブソンも倒れてきた鉄骨で身動きが取れなくなり、そんな二人を身を挺してかばうジャンパーソン。
 氷室達の攻撃を受けてイラッとしたので、周囲が崩れそうとか気にせず、ニーキックミサイルで反撃してみる。
 暗殺ロボットは消し飛び、残った氷室は久々のサーチからジャンデジック、で撃破。
 浮かび上がった数字は763……って、南無三?
 「なぜだジャンパーソン、なぜ俺たちを助けた」
 「俺は暗殺ロボじゃない。ただそれだけだ」
 あくまでも自分の破壊活動は正義の為だと主張するジャンパーソン容疑者。
 「……ベイべー、一つ借りたぜ、ジャンパーソン」
 氷室は倒れたが、暴動は続く。自分を切り捨てたジョージ真壁にけじめをつけようと考えるガンギブソンは、ロボット達の暴走と、 電磁バリアの解除の為に改めて所内中枢に乗り込もうとするが、心配したキャロルに止められる。
 「待ってガンギブソン、危険よ」
 「キャロル、俺たちは根っからの暗殺ロボットなんだ。危険は商売道具の一つさ。どこかのヒーローさんと違ってな」
 対比しているようで、この、微妙に対比しきれていない、という構図(^^;
 ガンギブソンの「ヒーローさん」という呼称は面白いのですが、何か作品として、「ジャンパーソンは正義のヒーローなんですよあくまでも!」 というのを、内部から強調しようという動きにも見えます(笑)
 結局ジャンパーソンが鳴海博士の救出も兼ねてバリア解除の為にコンピュータールームへと向かう事になり、 ガンギブソンとキャロルは警官隊との衝突を避ける為、一足先にバリアの境界線へトンズラする事に。
 「ジャンパーソン……死ぬなよ。借りはまだ返してないんだからな、ヒーローさんよ」
 キャロルを凄い所(バイクのハンドルの所)に乗せてバイクを走らせるガンギブソンだが、その前に立ちはだかる、 <ネオ・ギルド>の暗殺ロボット軍団。それらを蹴散らしたガンギブソンは、電磁バリアの解除と共にロボット刑務所の自爆装置が作動する事を知ると引き返し、 鳴海博士を救出したジャンパーソンを止める。
 そう、自爆装置は、ごく日常的なセキュリティ!
 「やあ、お隣の山田さん。自爆装置、してますか?」
 「実は最近、最新型のを買いましてねぇ」
 なんて会話は、お天気の話題ほどに巷に満ち溢れているのです。
 「借りは返したぜ、ジャンパーソン」
 「おのれぇぇぇ、こうなればこちらから爆破してやる! 地獄へ送ってやる!」
 モニターしていた真壁さん、大激怒でぽちっとな。
 自爆装置が発動し、爆発した壁の直撃を受け、倒れるキャロル。不幸にもそれが人工知能AIを傷つけ、修復不能の致命傷を負ってしまう。
 この前後編におけるキャロルの生存確率は3%ほどだとは思っていましたが、ここまで引っ張った上で、 “立っていた場所が悪かった”&“打ち所が悪かった”の、不幸の二段重ねというのはどうなのか(^^;
 炎上する所内で、倒れたキャロルを抱き留めるガンギブソンだったが、呼びかけも虚しく、その腕の中でキャロルは機能を停止していく。
 「ガンギブソン、貴方との記憶も消えてしまうわ。嫌よ、嫌よ……!」
 「そんな事、そんな事あるもんか! 自分で言ったろキャロル、おまえは俺のパートナー。いつまでもどこまでも一緒だ、一緒なんだ!」
 背後で空気を読まない愁嘆場が演じられる中、一生懸命、柱を支えているJPさん。多分そろそろ、イラッとしている。
 「私は貴方の……パートナー……ぱー、と……なー……」
 「キャロル? キャロル! キャロルぅ!」
 遂にキャロルは機能を停止し、ガンギブソンは、自分のものをベースにされたその人工知能AIを形見として握りしめる…… キャロルはガンギブソンにとってはコピーとも言える存在であり、文字通りの一心同体、共に生き続けてきたパートナーだったのだ。
 なんかもう、前後編だから、というど派手な勢いで吹っ飛んでいくロボット刑務所。
 JPさん、いきなりの新兵器・ブレイクナックルで壁を強行突破。
 MX−A1時代に、例のロボット虎の穴で、開始早々に犯人(役)ロボットを血祭りにあげたロケットパンチなのですが、 ニーキックミサイルに引き続き、MX−A1時代の負の遺産が一切オミットされていない事に、 三枝かおるの狂気の深淵がまた一つ覗けます。
 最後はバリアが壊れた事で外部からダークジェイカーがやってきて、ジャンパーソン、ガンギブソン、鳴海博士は無事に脱出。
 それにしても、バリアが破壊されないと外部から警官隊も突入できないとか、1から10までおかしな作りの怪しすぎる施設で、 <ネオ・ギルド>の陰謀が絡んだ事でロボット刑務所が灰燼と化したのは、結果として日本の為に良かった気がしてなりません。
 「ジャンパーソン、ガンギブソン、ジャンパーソン、ガンギブソぉン、貴様らの首はいずれ必ず、必ずぅぅぅ!!」
 ジョージはすっかり、情緒不安定キャラに。
 前話には、メカ的なノイズっぽいものが走るような描写もされており、そのうち、オーバーヒートとかしそうです。
 「あいつは……ジョージ真壁は、この俺が地獄へ送る」
 キャロルの剣で墓標をつくると、ガンギブソンはGGスレイヤーにまたがり、復讐の為に去って行く。
 大規模計画は無残に失敗に終わり、最新最強の暗殺ロボットは自分の命を狙う刺客へと変わり、 ジョージ真壁の明日は、本当にどっちだ?!
 わかりやすくトップガンダーな感じのガンギブソンですが、まだ作品世界にピタっと来ていないという印象。 次回もガンギブソン編のようなので、馴染んでくる事に期待。

→〔その5へ続く〕

(2013年10月14日)
(2017年4月20日 改訂)
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