■『特捜ロボ ジャンパーソン』感想まとめ2■


“教えてくれ 君は誰だ
どこから来て そしてどこへ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜ロボ ジャンパーソン』 感想の、まとめ2(7〜12話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

戻る

〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕 ・  〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕
〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕 ・ 〔まとめ9〕 ・  〔まとめ10〕 ・ 〔構成分析〕


◆第7話「ボクは女の子?」◆ (監督:石田秀範 脚本:鷺山京子)
 見所は、空輸されてきた世界一のダイヤモンド「雪の女王」を陰から 狙う 警護する、 ジャンパーソン(100%不審者)。
 着ぶくれモードで気付かれないというのは、何かステルス機能でも発動できるのでしょうか。
 ある日、道で美少女・篠原ユリカとぶつかったミツル少年は、その夜から不思議な夢を見る。夢の中では自分がユリカとなって、 ピアノを弾いたり母親達にこっそり嫌がらせをしているのだ。
 目が覚めるなり、大事な所を確認する少年は秀逸(笑)
 この奇妙な出来事の陰には、旧ロシア王朝の秘宝・世界一のダイヤ「雪の女王」を自らのコレクションに加えようとする帯刀の悪巧みがあった。 帯刀に雇われた怪盗・坂倉は、ユリカに特殊なチップをつけてその脳波を分析、 特定の電波を送り込む事でユリカを一時的に操る実験を繰り返していたのだが、その電波がミツルに混線、 自分がユリカになったような夢を見せていたのだった。
 「今度こそおまえの、は、はなぁ明かしてやるからなぁ。待っていろ、ジャンパーソン」
 2話、本業のビジネスに勤しんでいる間に、すっかりごろつきのようになってしまった帯刀(笑)
 テンションで台詞回しが変わるキャラクターは、落ち着くまで、少々難しい。
 坂倉役は、怪優・赤星昇一郎。いちいち帽子をかぶっている部下含め、アメコミ的な、古いコミック系ギャングっぽいデザインで統一。 ただ、赤星さんは赤星さんで勿論面白い俳優なのですが、露骨な合成でちょっとした手品をさせてキャラ付けするなら、 いっそ本物の手品師とかキャスティングできなかったのか。終盤の手榴弾を出すシーンなどは合成で別に構わないのですが、 トランプの手品などは、面白いというより単純にテンポ悪くなってしまった印象。
 坂倉の最終試験により、ユリカ(自分)がレストランで客の財布をスる夢を見たミツルは、 アクティブな友達二人に引きずられてユリカと一緒に居る所を見たシスターの居る教会へ向かい、 ユリカにダイレクトアタックを仕掛けるが、坂倉に操られている間の記憶がないユリカは、当然スルー。その帰途、 ユリカの曾祖母が旧ロシア王朝に仕えたピアニストであり、その縁から「雪の女王」の公開式典に参加すると知ったミツルは、 ユリカの泥棒行為とダイヤモンドを結びつけ、式典会場にステルス潜入。 しかしユリカは板倉の操作でダイヤモンドをすり替えてしまい、 ギャングがダイヤごとユリカを回収していく所を目にしたミツル&追いかけてきた友人ズは、3人まとめて坂倉一味に捕まってしまう。
 子供達に迫る、坂倉のレーザーバズーカ。
 その時、風を切るJPカード!
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
 …………あっれー、JPさん、坂倉一味をアジトで一網打尽にする為に、子供達を囮に使っていませんか、 ジャスティスですか。
 子供達を追う坂倉一味の前に立ちはだかるジャンパーソン、新武器をお披露目。
 その名は、ジャスティック!
 なんか凄いぞ、ジャスティック!

 だって、ジャスティス+スティック!!

 これ以上無いぐらい、ジャンパーソンを体現した武器名(笑)
 そんな特殊警棒ジャスティックで坂倉の手下達をしばき倒すジャンパーソンだったが、坂倉の電波でユリカが操られ、 拾った拳銃で子供達を人質にしてしまう。しかし、そんな小細工はラスボスには児戯に等しい。ユリカをサーチしたジャンパーソンは、 光線銃の早撃ちで、首の後ろのチップだけをあっさりと破壊し、ユリカを洗脳状態から解き放つ。
 そして、坂倉の変わり身人形に、新兵器・ニーキックミサイルが無意味に炸裂。
 炎上する倉庫から慌てて逃げ出すギャングと子供達。
 …………ほら、ミサイルも賞味期限あるので、適度に使わないと。
 こうして、微妙に、悪を仕留められれば子供がちょっと死んでも遺憾の意を表明しますみたいなジャスティス活動を完遂したJPさんは、 子供達に敬礼&左手の甲(のマーク)を見せるアピールポーズを決め、正統な活動である事を主張して去って行くのであった。
 そつなくまとめてくる鷺山さんが、『ジャンパーソン』世界で、定型的なエピソードをどこまで展開できるか試したようなエピソードでしたが、 作品全体の試行錯誤の歯車が今ひとつ噛み合わず、面白いとはいい難い出来。演出も今ひとつ。今後、 サブ脚本陣がどんな形で単発エピソードを展開できるかは大きなポイントなので、噛み合ってくる事に期待したい。
 ところで、ラストカットで、一般道を走るダークジェイカーを右車線(画面向かって左)から追い越していく一般車両は、 ちょっとした勇気(笑) 普通に走っていて、あんなのが走っていたら、驚くだろうなぁ……。

◆第8話「見た英雄(ニューヒーロー)の顔!!」◆ (監督:石田秀範 脚本:曽田博久)
 祝・小森警部(&高井戸刑事)復活
 ……というほど嬉しいわけでもないですが、固定してくれた方が、落ち着きます(笑)
 マシンガン振り回して銀行強盗する、少々アナクロな指名手配犯マシンガンジョー、黒服の男達に確保され、変な実験室へ。 そこはスーパーサイエンスネットワークに所属する、バイオ科学者・ドクター西園寺の研究室であり、 ジョーは全身に変な泡を浴びせられた後、“協力の礼”として、3億円輸送ルートの秘密情報を与えられる……。
 西園寺役は、翌年の『カクレンジャー』を思わせる微妙におかまっぽいスタイルで、遠藤憲一が登場。 脚本の曽田博久も久々に戦隊復帰する事になるので、微妙に翌年の布石。
 「3億円いただき……」
 現金輸送車にマシンガンを向けるジョー。その時、風を切るJPカード!
 更にもう一度!
 JPカードをマシンガンの銃口に突き刺し、攻撃に使うという新演出。
 「今は、アル・カポネの時代ではない」
 本気出すまでもないと思ったのか、もっさりジャンパー姿のままジョーをパニッシュしようとするジャンパーソンだったが、 そこへ現れた西園寺が、謎の泡をJPに吹きかける……と、なんとジャンパーソンの顔がジョーに!
 下はもっさりジャンパー(パンプアップ状態)のまま、顔だけジョー、という凄い絵に(笑)
 ここでジョーが、二枚目とは言いがたい、いかつい容貌なのがまた良し。
 「どうなっているんだ」
 「それが、ユーの今日からのフェイスよ」
 西園寺がジョーに吹きかけて培養し、今またジャンパーソンに吹きかけた泡、その正体は、形状記憶細胞。 ジョーの容貌を記憶した特殊な細胞が、ジャンパーソンをジョーの姿に変えてしまったのだ!
 「おまえは誰だ」
 など、今日はよく喋るジャンパーソン。
 まあ、人の顔を付けてしまうと、喋らないと画が保たないのでしょうが。
 そこへ警察がやってきて、マシンガンジョーとして囲まれてしまうジャンパーソン。
 ……変な駆動音出ているけど。
 とりあえずトンズラ(本物も騒ぎに紛れてトンズラ)したJPさん、物陰で確認してみたところ、 顔だけではなく肌も人間のもので剥がす事もできない。(これでは、アクションモードが使えない)との事ですが、 いっそワイヤーパンチでもしてみれば、何とかなってしまいそうな気がそこはかとなく。 ……映像が日曜朝に優しくなくなるかもしれませんが。
 思わぬピンチに陥ったジャンパーソンは西園寺配下に変なバズーカで攻撃を受け、逃走中に街の悪戯少年・雄太と遭遇。 ジョーと勘違いされたまま、追っ手の攻撃による倉庫の崩壊に巻き込まれた少年を救出するが、 それによって“マシンガンジョーは本当はいい人”というあらぬ誤解を与えてしまう。
 ……にしてもやはり、西園寺一味の変なバズーカも効いている感じは全くしません(^^; 一応、吹き飛ぶけど(というか、 故意に吹き飛んで衝撃を殺す体術のような気もしてきた)。
 この騒ぎを見物していた本物ジョー、追跡してきた刑事コンビに追われる事になり、足に手痛い一発を食らった後、 雄太少年に匿われる事に……と、ひどく錯綜した展開。
 「俺……大きくなったら、マシンガンジョーみたいな男になるって言われてんだ」
 「え……っ」
 「そりゃあ、おれはワルだけどよ……どんなワルだって、一つぐらいいいとこあるよな。ねえ、ジョー、そうでしょ。……ジョー、 そうだと言ってよ、頼むよジョー!」
 「うるさぁい!」
 自分が命を助けたと思い込んでいる少年の純真な問いかけに、いたたまれなくなってその場を走り去るジョー。
 どうしてまた急に、「嘘だと言ってよジョー!」(ブラックソックス事件)のパロディが入ったのかは、謎。
 ジョーを探す雄太だったが、外ではジョー(ジャンパーソン)が、街の人々に追われていた。 手負いの犯罪者を追い詰めてリンチ寸前とか、凄く、70年代(^^;
 ジョー(JP)を、「やだ、ボクはおじさんの味方なんだ!」とかばう雄太。そこへ迫る西園寺の影。 初めは物陰からそれを笑ってみていたジョー(本物)だが、マシンガンジョーを信じ続ける雄太の姿に心を打たれ、背後から突撃。 西園寺一味の謎バズーカに撃たれ、息も絶え絶えにジャンパーソンに一味のアジトの場所を伝える。
 その姿にジャンパーソンは雄太に向けて、
 「君が信じてるジョーは俺じゃない。この人だ。本当に悪い人なんて居ないんだ」
 なんか適当に話合わせた!
 ジャンパーソンはアジトに向けて疾走し、慌ててその後を追った西園寺は、アジトでの銃撃戦のごたごたで誤って形状記憶細胞を浴びてしまい、 ジョーになってしまう。慌てて解除液をスイッチオンするが、JPさん、正義のヒーローにあるまじき横入り。
 しかし解除液は実験中でまだ完璧ではなく、中途半端に元に戻る西園寺と、細胞の残り滓で動きを封じられてしまうジャンパーソン。自爆装置を仕掛けられ、 アジトごと抹殺されそうになるジャンパーソンだが、スカイジェイカーを呼び出してなんとか脱出し、爆炎の中から飛び出すダークジェイカー!
 ……まあ多分、アジトの下敷きになっても数分後には平然と出てきたかと思われますが。
 本日3度目のJPカードが閃き、形状記憶細胞噴射機を破壊。タンクから噴き出した泡を浴び、 再びジョーの姿になってしまった西園寺はやってきた刑事コンビに追われるが、巨大ブルドーザーで反撃。 だがジャスティスの化身にそんなちゃちな玩具が通用する筈もなく、膝ミサイルでブルドーザーはあっさり消し飛ばされ、 西園寺はどたばたの末にジョーとして逮捕されてしまうのであった。
 その光景を見ながら、やれやれ、と言った感じで歩み去るジャンパーソン。
 ところが……留置場にはちゃっかり生きていた本物のジョーが拘留されていた。早速始まる、どちらが本物のジョーか、 という罪のなすりつけあい。本当に悪い人なんて居ない筈ではなかったのか(笑)
 ところかわって麗子様、優雅なテーマ曲でカメラ目線。
 「男の顔は履歴書……おまえ、よほど知性と教養には、ほど遠かったわね」
 西園寺の写真をふーっと飛ばすと、それは空中で燃え上がって灰になるのであった。
 ……よく考えると、少年が悪に変な憧れを抱いてしまった気がするのですが、最後にナレーションが「少年は誰が本物か知っていた」 と強引に妙な誤解は解けているから大丈夫、みたいにまとめました。
 そして、
 ナレーション「本当に悪い人はいない。少年の叫びをジャンパーソンは大切にしたいと思った」
 本当か?!
 ジャンパーソンの思わぬ苦戦から、二転三転する少年の誤解、とアイデア及び映像としては、なかなか面白かったです。最終的に、 悪戯少年がちっとも改心していない気がする、のは気になりましたが(^^; 80年代戦隊を支えてきた曽田博久の参加により、 ここ数年のシリーズの雰囲気のしない、がらっと空気の違うエピソードになったのは、良かった所。……少々、 70年代臭が強くなりすぎましたが(笑)
 なお小森警部は今回の出演を最後にパニッシュとの事。どこへ行こうとしているのか今作は。

◆第9話「パパは怪物だ!」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:宮下隼一)
 冒頭からいきなりのカーチェイスで、銀行強盗を追い詰める我らがジャスティス。
 変な組織との戦い以外にもパニッシュ執行している所を見せたのは、どうも狭くなりがちな世界を広げて、良かったところ。
 ところが強盗犯の正体は、ロボットだった! 容赦なくシュートするジャンパーソンだったが、 強盗の銃撃が背後をふらふら歩いていた一般人を巻き込んでしまう。しかし、 その男もまたロボットて何事もなかったかのように歩み去って行く。
 「嘘だ?! 俺が、俺がロボット?! 俺は銀行のガードマンだ、教えてくれ、何があったんだ」
 自分がロボットであった自覚の無かった銀行強盗は、ジャンパーソンに腕をちょんぎられ、爆死。 ジャンパーソンは歩み去ってしまった男、極東航空のパイロット・早見一夫の身辺を探る。
 一夫は半年前に交通事故に遭い、とても助からないと思われたが、奇跡の復活。半年のリハビリを終え、 機長として復帰する事になっていた……だが実は一夫は、<ネオ・ギルド>に裏で協力する医者・木滑により、 本物の一夫の記憶を移植されたロボットにすり替わっていたのだった!
 市井に潜みっぱなしの<ギルド>の市民ロボットを再利用するネタなのかと思っていたら、独自に暗躍していた模様。 すり替わったロボットは元の人間の記憶に基づいて行動し、自分がロボットである事も知らない。だが、 タイミングを見計らってコントロール電波によりロボットである事を思い出させて操る、というロボット・スリーパーとなっていたのだ。
 と、1−2話の展開があった上で、なかなか面白いプロット。
 レスキュー・シリーズから続く高性能サイボーグネタが、とうとうP・K・ディックな世界に。
 ジョージ真壁の目的は、一夫の乗った旅客機を、国際的な核廃棄物封印施設に突っ込ませ、世界を放射能の炎で包む事!
 ……うん、どうだろう、核廃棄物封印施設は、そうとう地下深くに作る筈なので、地上に旅客機突っ込ませても、 放射能漏れの起こる確率は割と低いような気がしないでもないですが。
 あと真壁さんの最終目的――ロボットによる世界の支配って、ロボットによる人類の支配かと思いきや、 人類は淘汰されていても構わない模様。
 コントール下におかれた一夫ロボと戦うジャンパーソン。そこに割って入る、木滑医師……の変身したロボット、ファルコン13!
 ファルコン13は、オメガなんたらより強いのではなかろうか、という善戦を見せるも、 最後はまたも出てきた新兵器・ジャンバルカンにより蜂の巣に。
 「誰にも、誰にもお父さんの仕事は汚させない。誇りは汚させない」
 一夫の息子、英夫の奮戦もあり、最後は人間としての意識がコントール電波を上回り、人として機能を停止する一夫。
 「英夫くん、お父さんはここにいる。いつまでも、君の胸に」
 一夫にすがりつく英夫に、優しい言葉をかけるジャンパーソン!
 そ ん な 機 能がついていたなんて!
 いったいどこでアップグレードしたのだろう(笑)
 9話にして初めて、JPさんがヒーローっぽい言動をした気がします。
 いや、「フォー・ジャスティス!」はヒーローらしいといえば、これ以上ないぐらい、らしいですけど(^^;
 というか、セミレギュラーと思われたサブキャラ達が次々と闇夜にパニッシュされた結果、さすがに情とか驚愕の表現・描写に困ったのか、 今回のJPさんはやや多弁。企画立ち上げにかんでいる筈のメインライターがそれでいいのか、という気もしますが、こうなると徐々に、 口数が増えていきそう。
 次回、扇澤脚本の匂いしかしない。

◆第10話「福の神にご用心」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:扇澤延男)
 見所は、
 「簡単に言えば頭の中の映像を映し出す装置」
 簡単に言うなっっっ(笑)
 「ほいほいほい、貧しくも不幸せな者どもよ待たせたのぅ! 福の神が、幸せを届けに参ったぞよ!」
 銀行に突如現れた、大黒天の扮装の男が打ち出の小槌を振ると銀行に居た人々は何故かみな笑顔になり、 大黒天の男は堂々と札束を奪っていく。そして居合わせた人々は延々と笑い続け、 外界に一切の反応を示さなくなって医療センターに運び込まれるのだが、それは打ち出の小槌の発した特殊な超音波により、 幸せな夢を見続けている為であった。このまま笑い続ければやがて肉体は衰弱して死に至ってしまう……この症状を治すには、 問題の小槌を入手して、その超音波を解析する他ない。
 貧困家庭で蔑ろにされる少年、工場が火の車の中年、そこに現れた奇矯な自称福の神、病院のベッドで笑い続ける人々……と、 演出はコミカルなものの、ブラックでマッドな展開。
 つまりまあ、やりすぎてよろしくない時の扇澤脚本なのですが、扇澤さんは日曜朝にこんないたたまれないボールを投げつけてきて、 いったい何がしたいのか(笑) このセンスが数多くの名作回も生んではいるわけですが。
 今度は宝石店に強盗に入った大黒天、新たな刑事コンビが立ちはだかるが危機に陥るも、 駆けつけたジャンパーソンがワイヤーパンチで小槌を奪い取る。しかし、釣られる。 木の上に現れて小槌を奪い取ったのは、今度は恵比寿様。鯛爆弾で目くらましをして逃走した大黒天と恵比寿は兄弟、 そして、スーパーサイエンスネットワークに所属する、麗子様の忠実な下僕であった。
 麗子様、最終的には文句を言うけど、結局、忠実な部下には変態しか居ないのか。
 ジャンパーソンに執着する麗子様の夢をかなえるべく、福の神兄弟は警察の誘いにわざと乗って逆にジャンパーソンをおびき寄せると、 巨大小槌による超音波でジャンパーソンを夢の世界に溺れさせ、行動不能に陥れる!
 撮ったけど面白くならなくてカットされたのかもしれませんが、ジャンパーソンが超音波を浴びるシーンがなく、 誘い込まれた工場で巨大小槌を発見→刑事サイドに視点移動→工場を覗くとジャンパーソンが磔になっている、というのは、 どうにも唐突かつわかりにくかったところ。
 おまけに、ジャンパーソンが夢を見ている、というシチュエーションをいきなり振られても、あっさりと納得はできません(^^;
 ここは多少つまらなくても、超音波を浴びたジャンパーソンが夢を見る、という流れは入れておいた方が良かった。
 というわけで、超高性能ロボットだから夢も見るんだよ! と、その高性能さを逆手に取られ (←ここが面白いポイントの筈なので、このくだりは劇中で強調されるべきでありました)、夢に囚われたジャンパーソンは、 福の神兄弟による電動ノコギリ解体ショーを、麗子様に生中継されてしまう。
 その見る夢は、
 花畑で子供達から、戦い終わって平和になって、ありがとうジャンパーソンの歌を唄われる
 という、何者かに編集されたような内容であった。
 …………いやいやいやいや、JPさんの幸せな夢は、世界中の悪党を「フォー・ジャスティス!」 しまくって正義に酔いしれる俺がジャスティスの戦いの日々に決まってるじゃあないですか。日曜朝だからって、 ここに来て全力で誤魔化そうと思っても、もう手遅れだと思います(真顔)。
 身動きできないジャンパーソンはこのままマグロのように解体されてしまうのか……? 遂に外れる右腕、 何故か飛び出すジャスティック…………って、窓から覗いている刑事コンビと治療に協力している岡野医師がやたら絶望的な反応を示すのですが、 外部刺激に反応してワイヤーパンチが誤作動しただけで、いまだ、解体の「か」の字にも達していないような(^^; 
 そもそも、電ノコでジャンパーソンを解体は、先日の釘で冷凍倉庫の壁を破壊、より更に絶望的な気がする。
 「ジャンパーソンは今、幸せなの。その幸せを、その夢を自分から捨てる人なんているわけない」
 幸せな夢を永遠に見続けられるなら、現実に戻りたいと思う者が居るだろうか。
 だが……!
 「夢だ……これは夢だ。戦いは終わってない。まだ本当の平和では。俺は、俺は行かなくては。走れ、夢に留まるな!」

 君が来る 稲妻の中を
 君が見すえる 正義の視線で

 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
 前振りなくいきなりクライマックスで夢の呪縛を打ち破ったジャンパーソンは、鯛爆弾をワイヤーパンチで空中キャッチして投げ返し、 福の神兄弟を確保、と今回はワイヤーパンチ大活躍回。打ち出の小槌も無事に回収・解析され、岡野医師によって人々も元に戻るのであった。
 「夢はしょせん夢だ」
 と言い切るJPさんが男らしいのですが、しかし根本的に、ロボット向きのネタでなかったよなーと。
そこを敢えてやる事でジャンパーソンの内面に触れ、ジャンパーソンの持つ“人間らしさ”をクローズアップするのが主眼だったのでしょうが、 ここまで9話分の積み重ねが今ひとつ足りない、行動不能になっているのが唐突、などに始まり、 これまであまりにもジャンパーソンがラスボスすぎた為に、この程度の精神攻撃など通用せんわっ!  出直してこい!みたいになってしまって、夢を振り切る強さ/格好良さが表現されたとは言いがたく、 どうにも噛み合わない感じになってしまいました。
 ジャンパーソンが夢を振り切った所で主題歌が入って〜という流れは定番ながら格好良かったのですが。
 「束の間の白日夢だったわね……」
 福の神兄弟をさっくり見捨てた麗子様は、相変わらずいい所に飾ったジャンパーソンの写真を見つめるのであった……。
 そして、両親が事故死し、引き取られた叔母のもとでこき使われる少年もまた、両親との楽しかった日々の夢から解き放たれ、 現実へと戻るしかないのであった。
 「生きてくしかないんだよ、辛くても、現実の中でさ」
 岡野医師の励ましの言葉、ジャンパーソンの「夢はしょせん夢」という言葉を聞き、少年は現実を見つめ、 前向きに走っていくのであった……と、一切ファンタジーな救いを少年にもたらさない、恐ろしいエピソード。
 劇中の描写を見る限りいっそ児童相談所案件であり、警察へのコネを得た岡野医師がそれを利用してもご都合展開という事もないと思うのですが、 現実と戦えばいいというものではないというか。そういえば前作のイジメネタの時も扇澤さんは、それはどうか……という脚本を書いてましたが、 その辺りなにかしら本人の思想性が出てしまっているのか。
 最後に、夢の中から起こしてほしくなかったと叫ぶ男が居たり実に扇澤脚本らしいのですが、良いか悪いかでいえば、 悪い意味でやりすぎ。というかシナリオの主体が実質ジャンパーソンにあった事を考えると、 ここまで暗い仕込みがどうして必要だったのかという(^^;
 また作品全体として一体どういう大人の事情があったのかは知りませんが、新たに出てきた刑事が、またコンビ・ひたすら (むしろ輪を掛けて)間抜けなコメディリリーフ、と顔だけ変わって役回りはどれも一緒というのは落ち着かない所。 せめて新顔が出てきたら、新顔なりの特徴があればいいのですが。そこまでやる気もなさそうで、 いったいどうしてこんな事になっているのか(^^;

◆第11話「弱虫戦士の微笑」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:増田貴彦)
 工事現場で光線銃を振り回して戦う、黒ジャンパーの男と、宇宙刑事の助手みたいな服装の女。女はロボットハンター・ 石崎ミサトであり、その目的は、暗殺ロボットなどを倒して高性能な人工知能チップを奪い取る事。 首尾良く暗殺ロボットを倒したミサトだったが、暗殺ロボット・ジョニーは、組織が必ず復讐する、と言い残す。
 「ま、待て……」とか言うから命乞いでもするのかと思ったら背後の組織をアピールしたり、一足遅れで駆けつけた組織・ タケガミファミリーのボスが「ジョニー!」とロボットに駆け寄ったり、なんだか家庭的(笑)
 それにしても、『ジャンパーソン』世界のロボットの標準化は留まる所を知らず、段々、 <ギルド>はそれほど大した事は無かったのかもしれない、という雰囲気になってまいりました。
 暗殺ロボットの戦闘力強化とか、市民ロボットの完全な潜伏とか、独自のテクノロジーが凄かったというより、 既存技術のアップグレードだった模様。……いやまあそれでも、ここまで登場した悪の組織の中では、たぶん一番凄いのですが(笑)
 ……或いは、基本、<ギルド>が資金稼ぎにあちこちに売っていた暗殺ロボットとかで、 むしろ出てくるロボットはだいたい<ギルド>の蒔いた種だったりするのか。
 比較して<ネオ・ギルド>はもう、作品設定からどんどん、ポンコツ組織確定の勢い。
 三年間、何百というロボットを狩り続けてきたミサト、その真の目的は、事故死した兄・剛が遺した、 コピーロボットに適合するチップを探し出す事にあった。
 剛が研究中に事故死した為に未完成となったコピーロボットは剛そっくりの容姿で、 なぜか服装がそこはかとなく流星さん(『メタルダー』)風。今は剛の共同研究者(と思われる)であり、 ミサトの面倒を見ている(と思われる)、中年の博士の手で管理されていた。
 この博士、身寄りのないミサトをバックアップしていたり、ミサトの職業が職業なので兄ロボットと一緒に薄暗いアジトに隠れていたり、 それでもミサトを心配して止めようとして止めきれなかったり、物凄くいい人なのに劇中で名前すら設定されず 凄く可哀想。

 というか人生の被害者?

 背後の組織と敵対するリスクを冒してまで手に入れたジョニーのチップも剛ロボットに適合せず、落胆するミサトの前に姿を見せるセーラ。 セーラはどこで手に入れたのかジャンパーソンの設計書(恐らく偽造)を手に、ミサトにジャンパーソンの始末を依頼。設計書に書かれたスーパーAI欲しさに、 ミサトはジャンパーソンへと果たし状を送る。だが同時にセーラは、ジョニーの仇とミサトを狙うタケガミファミリーにその情報を流していた……。
 果たし状に応え、決闘の場へ律儀に向かうJPさん。
 「おまえの目的はなんだ」
 て、凄く普通に喋った!
 サブキャラの途中退場などもあり、やはりこう、どうにもならなくなったのか、急速に他人と意思疎通をはかっていくジャンパーソン。 個人的には基本無言でパニッシュしていく方が好きだったのですが、これはもう、物語を作る為に、致し方ない所か。いっそ、 完全な協力関係にはないけれど(JPさんにその気が無い)事件現場に行くといつも居る、 半相棒の人間キャラクターを置いて変則バディ形式にするとかそういう手段もあったような気もしてくるのですが、 当初どういう構想で“物語”を造っていくつもりだったのか、さすがに気になる所です(^^;
 ジャンパーソンのチップを奪うべく、問答無用で攻撃を仕掛けるミサト。セーラにそそのかれたタケガミファミリーが両者に向けてバズーカ砲撃をぶちこみ、 爆炎の中でJPさん、ミサトをお姫様だっこで救出!
 ミサトを退避させたジャンパーソンはタケガミファミリーにジャスティックで襲いかかるが、バトルスーツ姿のマヤが登場し、 セーラとファミリーは逃亡。
 戦闘モードのマヤとジャンパーソンは、初顔合わせでしょうか。特に何の反応も示しませんでしたが。
 ジャンパーソンはミサトの怪我を手当し、その姿に、思い出の中の兄の面影を見てしまうミサト。
 ま さ か の フ ラ グ !!!
 だが、
 「君に一言云っておく。死んだものは帰らないんだ」

 一瞬でクラッシュ!

 ジャスティスは、今日もドライでクールでどこまでも男らしい。
 ジャンパーソンに敗れたミサトがアジトへ帰ると、そこは何者かによって荒らされていた。消えた剛ロボット、怪我をした博士、 剛ロボットの心配しかしないミサト。
 博士はそろそろ、光線銃でその女を背後から撃っても許されると思います。
 現場に残されたのは、「剛ロボットを返してほしければD埠頭の廃工場へ来い」というセーラからのメッセージであった。 博士の制止を振り切り、足を引きずりながら廃工場へ向かったミサトが、横たえられていた剛ロボットに近づくと、 なんと目を覚まして動き出した剛ロボットがミサトに襲いかかる!
 ……嗚呼、そんな衣装(そこはかとなく流星さん風)を着せるから、ぽんこつに。
 剛ロボットにジョニーの戦闘回路を埋め込む事で動かし、ジャンパーソンをおびき寄せようとするセーラ。 兄のコピーと戦う事ができずに倒れるミサトに向けて、ジョニーの仇じゃけんのうとばかりに迫る、ファミリーのボスの銃口。
 その時、風を切るJPカード!
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」

 ミサトを守ったジャンパーソン、容赦なく、兄ロボットのみぞおちにパンチ!

 そして追い打ちで、いきなりブレードですんばらりん。

 男らしい、男らしすぎるよジャンパーソン!
 「よく見るんだ、これが君の兄なら、真っ赤な血が流れる筈だ」
 駄目押しとばかりに、サーチで(視聴者に)強調される、「ロボット」の4文字。

 必殺モードのジャンデジックが炸裂し、兄ロボット、大 爆 発!

 泣き崩れるミサトがすがりつくのは、人間の血肉などではなく、機械部品の残骸でしかなかった……。
 残るタケガミファミリーをジャスティックでしばくジャスティスだったが、その背に、「よくもお兄ちゃんを」 と妄執にとらわれたミサトの光線銃が突き刺さる。更に隠れていたセーラが工場を爆発させ、巻き込まれる悪漢ども、 そしてミサトを心配して駆けつけた博士。
 その中で、平然と仁王立ちするジャンパーソン。
 ジャンパーソンは悪党達をダークジェイカーに押し込んで脱出させ、爆発のショックで気を失ったミサトを再びお姫様だっこで、 博士とともに救出。
 ミサトの兄への家族愛だったり、博士のミサトへの疑似家族愛(というより女性として惚れているとでも思わないと、 割に合わないし納得できないレベルの献身)だったりが定型以上のものとして描けなかった事と、 世界観が不安定な為に“二人がどれぐらいの無茶をしているのか”が表現しきれなかったりで (本来それらを第三者視点で表現する筈だったサブキャラが軒並みパニッシュされてしまった為)、 物語の流れとしては微妙な出来だったのですが、JPさんのラスボスぶりが突き抜けすぎて、 “なんだか格好いい”の領域に。
 ……まあこれが、この作品の理想の形でしょうか今のところ。
 あと、セーラさんはやはり、そこはかとなく可愛い。
 帯刀さんから次に失敗したらリストラ宣言が出てしまいましたが、リストラされないといいなぁ……。
 「銃を抜きなさいジャンパーソン、兄の仇を討ってやる!」
 安全な場所で気絶から回復したミサトはあくまでジャンパーソンに銃を向けるが、いい加減、そんなミサトを張り飛ばす博士。 博士の言葉と、ジャンパーソンの過激すぎるショック療法、二人の想いに、ミサトはようやく、妄執から解き放たれるのであった……。
 最後の、
 「もう一度、やり直すんだ」
 というジャンパーソンの台詞は、基本的に面白くないし、ジャンパーソンが言ってもそれほど重みもなく、非常に浅い。 この辺りはもう仕方ないかもしれませんが、折角のニューヒーロー(理不尽)の特色を、あまり自ら削りにいくのは、勿体ない。 JPさんには出来るだけ、気遣いを言葉にしない(気にしているのかしていないのかわからない)ヒーローでいてほしいです(笑)
 まあ、インプットされた定型文を口にしているだけっぽいのがむしろJPさんらしい、という解釈もありかもですが。
 次回、
 「新装備デュアルレーザーを君は見たか」
 ラスボスの本気は、まだまだこれからだッ!
 全編このペースで新装備が追加されたら、面白いけどなぁ……(笑)

◆第12話「宅配ロボ大騒動」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:酒井直行)
 国立ロボット研究所の所長・重松正は、研究所で雇ったレンタル万能お手伝いロボット・シープ38号を自宅で預かる事になる。 ケビンと名付けられたシープ38号は、息子の宏和ともすぐに仲良くなり、その高性能ぶりもあってすぐに家族の一員に。だが、 ケビンには自らも知らぬ恐ろしい秘密があった……政治家や大企業などに優先的にレンタルされた、100体のシープ達。 それらは実は<ネオ・ギルド>謹製であり、シープに入力された様々なデータは、全て<ネオ・ギルド>に流れる仕組みになっていたのだ。
 「5年後には10万体のシープがあらゆる情報を<ネオ・ギルド>に届けてくれるだろう」と、えらく遠大な計画を語り出す真壁さん、 前回の大雑把な核廃棄物テロから、だいぶ後退。加えて、国会議員そのものにすり替わるロボットまで送り込んでいた弟 (ベン藤波)に較べると、組織としての実力にはやはり疑問符が増えざるを得ません(^^;
 シープは、角張ったボディに大きな瞳、と如何にもレトロフューチャーなデザイン。人形ぽさを強調する為か、 ピノキオめいた長い鼻がポイント。
 ジャンパーソンに気付かれたら計画はジ・エンドだ、と計画の責任者カルーラ高島に念を押す真壁。 だがシープ達は前回のロボットスリーパー同様、自分達の造られた真の目的を知りはしない。
 「幾らジャンパーソンといえども、自分の本当の正体を知らない善良なロボット達を、破壊できるわけないわ」

 いや、殺るね、ヤツなら殺る

 そんなある日、シープ及びシープレンタルカンパニーを独自に調べ、そのレンタル先が大企業や国の重要施設に偏っている事、 シープのあまりの高性能ぶりに疑いを持った重松は、ケビンの頭脳を解析しようとする。だがそこへやってきてしまう息子の宏和、 そしてカルーラ高島の放った、暗殺ロボットの刺客。表向き善良なケビンは暗殺ロボットに立ち向かうもあっさりのされ、 親子に迫る暗殺ロボットの魔手。
 その時、風を切るJPカード!
 「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス!」
 暗殺ロボットはラスボスに瞬殺され、わざわざ立体映像で重松親子に悪事のネタばらしを行っていた高島は、 その計画をジャスティスに掴まれてしまう。ご立腹の真壁さんに計画ごと切り捨てられた高島は自棄になってシープを一斉に暴走させ、 暴れ出すケビン。慌てず騒がずケビンをサーチしたジャンパーソンは、誘導電波の受信回路を発見すると、その表面をJPカードで覆い、 ケビンは正気を取り戻す……と、JPカードに新たな使い方が誕生。新たな、というか、場当たり的な、というか(笑)  防水シールみたいな。
 「破壊だ! 壊滅だ! 俺たちはもともと、人間社会を混乱させる為に造られたんだぞ!」
 暴走運転の末に機能を停止したシープ5号により、自分の造られた真の目的を知るケビン。そして事件はニュースになって広まり、 始まるロボ狩りに遭うケビン。街の人々が怯えて逃げ出すのではなく、むしろ積極的に襲ってくるのが、どうにも今作を、 70年代の空気が覆っているところ。
 「聞くんだ。あのシープは暴れたりしない。私に任せろ」
 割って入ったジャンパーソンは人々を止めると、重松親子とケビンをダークジェイカーに乗せて、その場を退避する。
 ……うーん、さすがにこれは、JPさん、喋りすぎたような。もう仕方がないのかと理性ではわかっていても、 今回ここまでそれほど悪くなかったのに、この台詞でかなり冷めてしまいました。
 一度始めた“必要な事も必要以上に喋らない”路線、もう少し、こだわりを持って粘ってほしかった所。
 何故かそのまま、シープレンタルカンパニーに突入するジャンパーソン、超音波で電子頭脳に攻撃を受けて一見苦しみ、 ピンチにな……る筈が無かった(笑) 超音波の発信源であるスピーカーを破壊すると、迫る暗殺ロボットに撃ちまくられるも、 新兵器・デュアルレーザー発動!
 厳密には内蔵火器なので、新兵器というよりも、ついカッとなって消し炭にしてみた感満載。
 しかし、何故か背後からついてきていた重松親子とケビンの内、息子の宏和が高島の人質になってしまい、 高島は全シープの自爆装置を作動させる。それを止めるには装置のカウントダウン終了前に高島(実はロボットだった) を破壊するしかないが、人質を取られ身動きの取れないジャンパーソン。
 えー、“敵のアジト近くに放置したゲストNPCがフラフラと出てきて人質になる”というのはさすがに90年代になったら、 いい加減にしなさい、と言いたい(^^; 特に今回、親子もケビンも外に揃っていたので、誰かを心配してつい…… という言い訳すらできない状況設定。この成り行きは雑すぎて、非常によろしくありません。
 迫る自爆のタイムリミット……しかし、ケビンが物陰からこっそりと後ろに回って宏和を助け出し、炸裂するワイヤーパンチ、 そしてジャンブレーダーで高島ずんばらりん。シープ達の自爆は回避されるとともに、 ジャンパーソンが基地のコンピューターを破壊した事により誘導電波も止まり、もとの無害な万能お手伝いロボットに戻るのであった。
 自分が<ネオ・ギルド>に造られた悪のロボットであった事にショックを受けたケビンは、自らの破壊をジャンパーソンに望むが、 それを止める重松親子。そしてコンピューターが破壊された以上、もはや全てのシープに危険性はない………………筈? まあ、 ぽんこつ<ネオ・ギルド>謹製なので、データ流出用の裏口とかは、仕掛けてないのでしょう、多分。
 「君を必要とする人間が居る限り、君はこの世に存在しなければならないんだ」
 ジャンパーソンの言葉、重松親子の説得を受け、ケビンは自壊を思いとどまる。そして重松家の一員として楽しく暮らす事になるのであった…… 恐らくこれは重松所長のコネを総動員した結果の監察処分みたいな扱いで、他のシープは全て、 ロボット刑務所の檻の中かと思われますが。
 最後のジャンパーソンの台詞は、ジャンパーソン自身の事も掛けているのかと深読みすると、なかなか良い台詞。
 ここまで徹底して“戦う理由”の語られないジャンパーソン、その存在に、“必要とする人間”は居るのか?
 ラスボスが“存在する理由”とは……?
 今後の展開の中で、面白く描かれる事に期待です。
 エピソード全体としては、もっといい話に出来たのに、うまくまとめきれなかったという印象。
 子供とロボットの交流。
 造られ、役割を設定されたものの悲しみ。
 それを乗り越えるという事。
 各要素を絡められそうで絡めきれず、やや散漫な印象に。ラストで、自らの破壊を望むシープと、 戦い続けるジャンパーソンの在り方がが微妙に交錯した所が良かっただけに、もうひとまとまり、欲しかったです。 変にキャラ付けしてみたもののあまり面白くならなかったカルーラ高島に裂いた尺が、正直ちょっと勿体なかったか。
 次回、スーパーサイエンスネットワークなのに、オカルト展開?
 て、え、あれ?

 本当に黄金バットだったの?!

 ……まあ私もたいがいなので、“超古代の力”とか言われると、ああそうか、じゃあ仕方ないねうん、とか思ってしまうのですが(笑)
 1クールの締めを飾る驚愕の展開で、どうなるジャンパーソン?!
 というか、予告の棺がそこはかとなく『仮面ライダークウガ』を思い起こさせるのですが、 もしかしなくても一足先に復活していたのではないか、グロンギの長。

 ■おまけ:ジャンパーソン、ここまでの武装解放の履歴■
1話:ジャンデジック(光線銃)
4話:ワイヤーパンチ(有線ロケットパンチ)
5話:アークファイヤー(火炎放射器)、ジャンブレーダー(大型剣)
7話:ジャスティック(警棒)、ニーキックミサイル(内蔵小型ミサイル)
9話:ジャンバルカン(機関銃)
12話:デュアルレーザー(内蔵レーザー)
ホントこの調子で最後まで、3〜5話に一つペースで新武器が開放されたら凄い面白いのですが(笑)

→〔その3へ続く〕

(2013年9月8日)
(2017年4月20日 改訂)
戻る