「みんながおまえをチヤホヤしたのは、おまえがドン・ホラーの息子だったからじゃ! おまえが勘当されたとなれば、 誰も相手にしてくれまい」
- ◆第41話「魔空都市は男の戦場 赤い生命の砂時計」◆
- すっかり、ミミーさんが出社拒否状態。
その隙に、手作りサンドイッチでアピールするマリーンさん。
油断なりません。
パトロール中の烈は、車の前に飛び出してきた母子に頼まれ、河に落ちた子犬を助ける。だが、子犬と共に道に戻ると、 母子の姿は消え、なにやら奇妙な雰囲気が漂っていた……山の方へ逃げ出した子犬を追いかけた烈が落ちていた奇妙な砂時計を手に取ると、 そのまま魔空空間へと引きずり込まれてしまう!
冒頭、自殺気味にジープの前に飛び出した母子の正体は、ダブルガール。子犬の方は現地調達な模様。烈が拾った砂時計は、 “赤い生命の砂時計”と呼ばれ、対象を生きたまま永久に魔空空間に閉じこめる事が出来る、魔女キバの罠。
というわけで、大葉健二アクション祭回、再び。
或いは、JAC祭。
今回はちょっと、コメディ色強し。魔空空間に引きずり込まれた直後は状況を理解できていなかったのか、 いつもなら“殴って解決”の烈が、割と逃げ惑ったりします。慣れてくると反撃しますが。
今回のマクーの出し物は、
海岸で円月刀を振り回すムスリム系の一団の襲撃→ビル街で虚無僧の銃撃→江戸村みたいな所でバイク武者→密室で格闘家とバトル (ブルース・リーの映画的な感じ)→少林寺風→幽霊屋敷→偽・烈→崖からジープ落下→蒸着!というラインナップ。
江戸村でバイク武者、は取り合わせの妙で面白かったですが、全体的にはいまいち。
どうしても二番煎じ感は否めませんし、小笠原猛(監督)も決して下手では無いですが、前回のアクション祭が名匠・小林義明、 入魂の1作といった、シリーズ全編でも最高クラスのエピソードだったので、比べる形になるのも厳しい。
プロットが以前のエピソードほぼそのまま、という点も含め……なんかこう、 次期シリーズ立ち上げ中&クライマックス展開前で忙しい大先生にきちっと脚本書いてもらう為に休んでもらって、 その分を1話無理矢理でっちあげたような雰囲気。
蒸着したギャバンの前に姿を見せるジゴクダブラー。
他作品あるいは実際の映像フィルムを挟んで、ギャバンに襲い来る、ミサイル・戦闘機・戦車・ 戦国騎馬隊・鉄砲隊。
不覚にも、騎馬隊出てきた時は笑ってしまいました(笑)
激しい爆発をくぐり抜け、ジゴクダブラーを撃破したギャバンはこの罠を作り出す砂時計をドルで攻撃。 「砂時計を守るんだ!」とサン・ドルバもマクー円盤部隊を出撃させる。
ダブラーを先に倒した上での二段クライマックス展開なのですが、ドルが砂時計を追いかけるという絵は、いまいち、 盛り上がれませんでした(^^; 微妙に色々、残念回。
ラスト、男くさい挿入歌をバックに、烈は助けた子犬とスローモーションで砂浜で戯れ、 何故かいきなり海に向けて
「とうさーーーん」
と叫ぶ。
……確かに、一視聴者として、ボイサーの事を忘れかけていたのは、否定しませんが。
クライマックス展開に繋げるという意図だったのでしょうが、それならせめて、序盤で烈に父絡みの台詞を言わせておくとか、 魔空空間内でボイサーを思い起こさせるイベントを入れておくとか、そのぐらいの仕込みはしてほしかった所。
- ◆第42話「烈よ急げ! 父よ」◆
- 前回ラストのわかりやすいフリを受け、いよいよ、烈が行方不明の父に迫る!
そして、
祝・ミミーさん復活
やはり、なんだかんだでミミーさんで無ければ締まりません。
「素晴らしいニュースを持ってきたわ」
「ほーー、婚約でもしたのかい?」
はたかれる烈。
烈は、本気なのか夫婦漫才なのか、さっぱり区別が付かないのが怖い。
そして、
祝・ハンターキラー復活
復活……というか、暗黒銀河を彷徨っていた所を、銀河連邦警察のパトロールに保護(逮捕)されていました。
「そういえば……ここの所、姿を見かけなかったが」
烈にとっての、ハンターキラーさんの扱いが軽くて泣けます。
コム長官の拷問尋問を受けたハンターキラーは、ボイサーの行方について「X計画」「剣山」 という言葉を口にする。ミミーさんは「体力の回復を待って尋問」と言っていたけど、全然、体力回復しているように見えないのは、 きっと気のせい。たぶん気のせい。気のせいじゃないかな。コム長官、えげつない。
出番ここだけでしたが、ハンターキラーさんは、あのままだとあまりにも忍びなかったので、拾ってもらえただけで満足です、ハイ。
ハンターキラーのもらしたマクーの「X計画」、それは星野スペースカノンを建造し、 地球に居ながら宇宙の他惑星を攻撃するというものであった。
「バード星とか直接攻撃したいよね」とサン・ドルバのプレゼンを受け、建造を急がせるドン・ホラー。
しかし、肝心要となるレーザー増幅装置の設計についてボイサーが口を割らない為、建造は難航していた。そう、 かつてマクーに暗殺されて研究を奪われた星野博士に託された秘密を、宇宙刑事ボイサーはその超人的な精神と体力により、守り抜いていたのだ!
ここで遂に、ボイサー−星野博士−月子、と遠い昔に張った伏線カード発動。さすがに皆覚えてないだろうと思ったのか、 回想シーンが挟まれますが、えらく昔に1回だけ触れたネタなので、それは皆、忘れてますよね……というか正直、 回想で説明されてもいまいちピンと来ないというか、そんな話だったっけ感が強い(笑)
マクーは結構、現地惑星の科学者とかその技術を活用するので、星野博士の特別さ、というのが薄いのがたぶん原因。 他と比べた場合に、「星野博士の研究は特別凄いんだ!」という差別要素を何とか表現して盛り込んでおけばもう少し印象的になったかもしれませんが ……まあどちらにせよ厳しいか。その辺りの事情のメッセンジャー役でもあった月子を、もう少し活用できていればなぁ。
それにしても、宇宙的組織の筈のマクーが、征服の終わってない(上にギャバンが居る) 地球にそんな物を敢えて建造する必要があるのかと思ったのですが、きっと、立地条件の問題なのでしょう、と納得してみます。 そして殺した相手の名前を超兵器に刻むマクー、なんか律儀。
コム長官からの連絡を受け剣山に向かった烈は、突如、人並み外れた跳躍力を誇るもじゃもじゃ頭の青年に襲われる。 彼の名は、伊賀 電。森林パトロールに所属し、ギャバンを最近続発する密漁事件の犯人と勘違いしたのであった。
ジープの中を調べて誤解に気付いた伊賀は、土 下 座。
更に「思う存分殴ってくれ」と言うが烈に拒否された為、自分で自分を殴って深く反省する。
だから、武力にばかりステータスを割り振ると知力が(以下略)。
伊賀の獣のような動きに翻弄され、割と攻撃を受けていた烈だがこの姿には毒気を抜かれ、なんとなく友好的なムードに。 山の動物たちが急速に減っているという情報を得て疑いを強め、剣山の探索を続行する。
一方、折れた木に「どうした……誰にやられたんだ?」などと話しかけながら森をパトロールしていた伊賀は、マクーと遭遇。 構成員相手には互角の勝負を演じるが、バファローダブラー(なぜか背中はカブトムシ)の攻撃を受け、瀕死の重傷を負ってしまう。
川岸に倒れていた伊賀を発見した烈は、まだ息のある彼を安全な場所へ運ぼうとするが、バファローダブラー以下に襲撃される。 伊賀を肩に担いだままで戦う烈のアクションが格好いいです。そして蒸着。伊賀を安全な所(?)に寝かせ、 ギャバンはバファローダブラーを撃破。その時に起きた爆発で、剣山に隠された秘密基地への入り口を発見する。
父が居るかもしれない……! という興奮に、伊賀の事を忘れたのか、そのまま穴の中へ突入する烈。基地の中で、 星野スペースカノンの完成予想図と拷問椅子を発見するが、既にサン・ドルバは基地を破棄した後であった。 基地の自爆から辛くも脱出した烈は、マクーを追い詰め父を取り戻す意思を新たにする。
捨てられたかと思った伊賀は、いつの間にやらドルギランに収容されていた(戦闘中に通信で救助を依頼したと思おう)。 だが彼の全身には特殊な毒が回っており、地球の医療技術では助ける事が出来ない。なんとか助けてやってほしいという烈の言葉を受け、 マリーンは伊賀を一時的に仮死状態にすると、彼を治療するべく、バード星へと飛ぶのであった……。
- ◆第43話「再会」◆
- シリーズ通して延々やたら長いサブタイトルをつけてきて、クライマックスでこのサブタイトル、見事。
既に90%まで完成していた星野レーザーカノンであったが、肝心のレーザー増幅システムの設計図について、 囚われのボイサーは口を割らない。キバの調合した強力な自白剤すら通用しない状況に、サン・ドルバは苛立ちを募らせていた。一方、 剣山で父の救出に失敗した烈も、拷問により刻一刻と生命を削り取られているであろうボイサーの事を思い、焦りを隠せない。
連日、ボイサーを探し続ける烈は、ある海岸で、沖の方から自分に呼びかけるボイサーの声を聞く(テレパシー的な何か)。
沖合にあったのは、鬼首島。
レーザーによる探査では怪しい建造物は発見されなかったが、島の周辺がコンクリートの防壁に囲われているのを怪しんだ烈は、 ドルギランで強行着陸。
烈の予想は当たり、マクーの地上における総本部基地であった鬼首島は、着陸したドルギランに向けて激しく砲撃を開始。
マリーンとミミーにドルギランを任せて離陸させると、ギャバンはギャビオンで出撃。敵の砲台を撃破すると、 更にスクーパーに乗り換えて基地へ突撃を仕掛ける。
……初めてちゃんと、ドルギランとギャビオンとスクーパ−が使い分けられた気がします。
スクーパーレーザーによって、先週から引っ張っていた星野スペースカノンはあっさり爆発。鬼首島総本部基地も崩壊し、 サン・ドルバはボイサーだけでも魔空城へ連れていこうとするが、ギャバンに阻まれて失敗する。
そして遂に、父が囚われる牢を発見する烈。
いつもなら駆けていくギャバンが、牢の中で倒れ伏す父に恐る恐る近づいていき、母と自分の写真入りロケット(オルゴール機能付き)を開く、 というのは名シーン。オルゴールの音色に気付いたボイサーは瀕死といっていい傷ついた体を起こし、牢の扉越しにロケットを握り、息子の手を握る。
今ここに、父と子、再会――!
ドルギランに運び込まれたボイサー。
ミミーさんは早速、未来舅にスープでアピールする。
そこへ烈が連れてきた月子が登場し、再会を喜ぶ二人。ボイサーは、実はレーザー増幅システムの設計図は自分の頭の中には無い、 それがマクーの拷問に最後まで耐えられた理由だ、と謎めいた事を言うが、それ以上の言葉を続ける前に激しく咳き込み、 烈によってベッドへと運ばれる。
「ギャバン、元気になったら……」
釣りでも行こう、とか何かほのぼのとした親子の会話をするのかと思ったら、
「一緒に戦おうな……マクーと」
マクーは自分が片付けるから養生してくれという烈に
「儂もやるぞぉ」
怖い、怖すぎるよ、宇宙刑事
写真入りのロケットを見つめながら、烈が6歳の時に死んだ妻・民子に(回想シーンから鑑みるに、妻の死にともなって、 宇宙刑事をしながら子育てをするのを無理だと判断したボイサーが、烈をバード星へ送ったのか? ボイサーの語り口が、 烈は母がいつ死んだのか知らない風に取れなくもない感じなのですが、それはさすがに無理が出る気がするし)、 成長した烈の姿を見せてやりたかった、と呟くボイサー。
烈もしばし母との日々を思い出し――
そして、ボイサーの手からロケットが滑り落ちる……。
宇宙刑事ボイサー、息子との再会を果たし、ここに死す。
力尽きたボイサーの手の平に、レーザー増幅システムの設計図が浮かび上がる。彼は星野博士から託された秘密を特殊な方法で己の体に刻み込み、 命ある限り(体温がある限り)、表に出ないように隠していたのだった。
「それが宇宙刑事さ……筋金入りのな」
再会は果たしたものの、父は宇宙刑事としての正義と使命に殉じ、力尽きた。だが、父も母も自分の胸の中に生きている。 烈は立ち上がる。そして戦う。銀河の平和の為に――宇宙刑事として。蒸着せよ、ギャバン!
今回特筆すべきは、基地への突入シーンで蒸着こそあるものの、戦闘シーン無し、という事。 特別出演の千葉真一演ずるボイサーとのドラマパートに時間を思いっきり割くという大胆な構成でしたが、溜めに溜めただけに、 いい父と子のシーンとなりました。
次回、いよいよ最終決戦。
- ◆第44話「ドンホラーの首」◆
- 富士山の裾野(多分、火力演習場)に、父と母の墓を作った烈はその墓前で改めてマクーの打倒を誓う。帰り道に捨て犬を拾い、 アバロン乗馬クラブへと向かうと、クラブには人影がなく、サン・ドルバからの挑戦状が。
犬拾うの、何回目だ。
そしてどうやら、拾う度に乗馬クラブへ押しつけていたらしい事も発覚。 それは会長の口からもとうとう「クビ」宣言が出るわけで。
人質にされた乗馬クラブの面々(&月子&小次郎)を救うべく、罠とわかって敢えて乗り込む烈。
ここは本当は、「何故今までやらなかったのか」という事になってしまうので、乗馬クラブ関係者は、人質にしてはいけない。まあ、 めいっぱい好意的に、マクーがそれだけ追い詰められている、と解釈してもいいですが。そうすると今度は、 一条寺烈という正体がばれているのにも関わらず、人質に取られるリスクを無視して乗馬クラブで働き続けているギャバンがどうなのか、 という話になってしまうので、やはり禁じ手。
構成上の理由としては、セミレギュラーの面々に最後の出番、という事になるのでしょうが、それをするなら、 烈の正体バレをしても良かったのでは、と思います。
スタッフもその展開は考えたのでは、と思うのですけど、なんか色々あったのか無かったのか。 なんにしろ「乗馬クラブ関係者を人質」は禁じ手なので、禁じ手を使うだけの展開、までは気を遣って欲しかった所。……最終回だから、 に集約されてしまうのでしょうが。
ここで、走るサイバリオンに乗ったままのギャバンの立ち回りはこれまでに無いアクションで、格好良い。
人質を取り返され、撤収するサン・ドルバ。前回の「X計画」の完全失敗に引き続き、人質作戦まで無様に失敗、 とうとうドン・ホラーから、
勘当される。
魔空城を追い出されるサン・ドルバ(2回目)、キバに先行きの見当を聞かれ、
「銀河中を暴れ回ってやる」
対してキバ、
マリーン「ギャバンね、ミミーは恋をしたのよ」 ギャバン「ええ?! 恋!」 マリーン「春の目覚め」 ギャバン「なぁんだ、そういうわけだったのかぁ……(ぽむ!)……長官、ひとおもいに結婚させちゃいますか!」 コム「おいおいギャバン、いくらなんでもそいつは乱暴すぎるよ」 ギャバン「じゃあ、別れさせるんですね」 コム「待て待て。それじゃミミーが可哀想じゃないか」 ギャバン「じゃあ、どうするんですか?!」 |
(2012年1月7日)