■『宇宙刑事ギャバン』感想まとめ4■


“呼んでみろ 大空に 超高速でやってくる
ドルドルドルドル ドルギラン”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『宇宙刑事ギャバン』感想の、 まとめ其の四(31〜40話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕  ・ 〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ5〕


※31話と32話が簡易気味なのは、エピソードの内容の問題ではなく、筆者が視聴時に高熱を出していた為です。
◆第31話「天使の歌が聞こえる 人形にされた王女」◆
 新たに地球にやってきた宇宙刑事アラン。彼の使命は、マクーの陰謀に巻き込まれて地球へ逃げてきたビーズ星のリン王女を救出 する事にあった。魔女キバ直属の部下であるワーラ(潮健児再び!)は、着ぐるみ軍団を率いてリン王女を捕らえると、彼女を 人形の姿に変えてしまう。
 大葉健二×宮内洋×潮健児による、豪華共演スペシャル。
 大場健二と宮内洋が並んで赤いジープに乗っているだけで、なんか笑える(おぃ)
 ニセ早川健のような服装の宇宙刑事アランのメイン武器は、何故か先込め式単筒のような古式銃。
 射撃だけではなく、殴るのにも使います。
 最後は人形に変える催眠術を解き、アランとリン王女は無事にビーズ星に。何故かメリーゴーランドに乗りながら。

◆第32話「謎の地底迷路 ターゲットはWX−1」◆
 ミミーさん、実家へ帰る
 お母さんの見舞いで、バード星へ。ストーリー的に伏線なのか、女優のスケジュールの都合か、マリーンさんにちょっと出番を企画 なのかは不明。
 一方、ギャバンに連戦連敗で、いい加減に焦りの見えてきたマクーは、ギャバンを宇宙空間におびき寄せて戦う作戦を決行。
 宇宙ステーションを襲撃してギャバンを誘い込むが、ドルギランに撃破される。
 ……というか、ドルギランと一緒の方が強いのに、何をしたいのか、サン・ドルバ。
 ところで宇宙ステーションといえば第1話でマクーに破壊された筈ですが、30話ほどかかって修復された模様。スペースシャトルの 発進シーンなど見覚えがあるので映像は使い回しっぽい。
 円盤部隊を壊滅に追い込まれ、ドン・ホラーも遂に「まともに戦って勝てる相手ではない」と、事実上の 敗北宣言。
 そこで今度は、地上のビルに罠をはって待ちかまえる事に。
 魔空空間的ビルで烈を散々苦しめますが、「蒸着」すれば力尽くで脱出してしまえるのが、ギャバンクオリティ。
 まあ、宇宙刑事無双なので仕方がない。
 コンバットスーツ着ていれば大気圏脱出も出来るし、真空中でも戦えるし。
 ギャバンは、70年代以前からの傍若無人系ヒーローの系譜をまだかなり引きずっているので、ヒーローの中でも、相当に凶悪な部類。
 罠を脱出したギャバン、さすがに色々と頭に来ていたのか、ダブラーを戦車メカで砲撃した上で、轢きにいく。
 それにしても、魔女キバが怪演&目立ちすぎで、サン・ドルバが既に、100%どうでもいい存在になりつつあります……。

◆第33話「新怪物誕生 エイリアンを拾った少年」◆
 キバとサン・ドルバは、ダブルマンの染色体とモンスターの染色体を合わせてダブラーの卵を作り出し、それを汚染された 地球の環境で孵化させようとする計画する。環境汚染の進む地球は卵の成育に適しており、孵化後も、猫や犬、果ては人間まで、豊富な 餌があるからという判断であった。そして孵化したダブラーは、数時間で60mに巨大化し、街を破壊する……筈。
 工場からの廃水の流れる川に卵を沈めるマクーだったが、その後移動中に烈に発見され、最初に沈めた1個以外の卵を失ってしまう。
 マクーが乗っていた、という理由で、中も確認せずにシルバービームでワゴン車を破壊する、ギャバン、恐ろしい刑事……!
 更にマクーにとってのアクシデントは続き、川に沈めた卵を、通りがかりの少年に拾われてしまう。たまたま、小次郎の住居の近所に 住んでいた少年は小次郎と行き会い、見た事もない一抱えもある巨大な卵を、ガスレンジにかける
 急速に暖められた事で孵化した卵から飛び出した怪物は、小次郎の腕に噛みついた後、行方不明に。
 夜を徹して怪物の行方を捜索する烈は、小次郎のアパートの近所で、飼われていた犬ジョンが居なくなった事を知る。ジョンのものと 思われる血のついた獣毛を発見し、付近の倉庫に辿り着いた烈に襲いかかる、成長したダブラー。怪力に苦戦しつつも退けるが、再び 見失ってしまう。
 その頃、魔空城ではキバとサン・ドルバが、「そろそろ巨大化してもいい頃」「出来損ない?」と額を突き合わせていた。
 「どんなダブラーになる事やら……」…………台所のシンクの下から出てきました!
 まあとにかく、ダブルマンの知能は持ち合わせていなさそうです。
 デザイン的には、ノミかケラっぽいですが。
 割と攻撃力は高いダブラーでしたが、駆けつけた烈にダブラーは退治され、めでたしめでたし。
 翌日、烈がジープで流していると、包帯だらけの犬と散歩している少年と出会う。昨夜、行方不明になってすっかりダブラーに食べ られたものと思われていたジョンは、怪我をしていたものの、無事に帰宅した事が発覚。

 ジョンに負けたのか、ダブラー(笑)

 巨大化云々以前に、色々と駄目だった事が発覚。
 なお今回の話では、小次郎さんが家を引っ越しているのが小さなポイント。
 流石に、隣室に不法侵入を図ったマンションは追い出されたらしい

◆第34話「思い出は星の涙 父のない子 母のない子」」◆
 人間の記憶を操作し、意のままに操る装置を開発するマクー。宝石店の支配人に数億円の宝石を横流しさせたり、国防軍の警備隊長 を操って武器をマクーに譲らせたりと、大胆な活動を展開する。
 「警備隊長、マクーと結託」

 と新聞に掲載されているのは、けっこう衝撃(笑)

 勢いでやったネタだと思いますが、この世界のマクーの認知度はさっぱりわかりません。
 着々と作戦を進行するマクー、そしてマクーが洗脳に使っている研究所にたまたま入り込んでしまった陽一が、口封じの為に、2年分 の記憶を装置によって消されてしまう。2年の記憶を失った事で、2年前に死んだ両親が生きていると思い込み、父と母の姿をを求めて、 るるるー状態になってしまう陽一。
 ここに来て、乗馬クラブの姉弟の両親は既に死亡しており、それで祖父に引き取られていた事が発覚。
 まあ、ドラマ的にはどうでもいいといえばいいのですが、突然、孫が両親との思い出に引きこもってしまい、独り寂しく川で釣り糸を 垂らす祖父・豪介の図は、ちょっとしんみりするいいシーン。
 ……しかし、2年分の記憶を失っていたら、烈とか、知らない怪しい人もいい所だと思うのですが(笑)
 陽一の途切れ途切れの記憶から、マクーの洗脳装置がある研究所へ辿り着いた烈だが、逆に罠にはまって記憶を上書きされてしまいそう になる。必死に抵抗する烈。
 その時、烈の精神波が装置に逆流した! (ナレーション談)
 ギャバンが恐ろしいのは、体力と攻撃力ばかりでなく、精神力も強靱な所。
 装置を破壊した烈は、ダブラーを撃破。かくてマクーの陰謀は絶たれ、陽一の記憶も元に戻り、乗馬クラブにも祖父と孫の笑顔が戻った のでありました。
 ハンターキラーさんが追放されてからテンション下がり気味なのですが、次回少し、盛り上げ展開な感じの予告だったのでちょっと期待。

◆第35話「マクーの若獅子 サンドルバの反抗」◆
 ダブラーを模したロボット相手に戦闘訓練に余念のな無いギャバン。
 そう、いかに宇宙刑事無双といえども、いや、無双ゆえに、ギャバンに慢心は無いのです。
 ミミーさん里帰り続行中(本当に母親の見舞いなのかマリーン辺りにそそのかされた恋の戦術なのかは不明)の為、今回もギャバンを サポートするマリーン。地球へ来て以来休みなしの彼女に、「たまには地球でショッピングでもしたらどうだ?」と気遣うギャバン。
 「私はギャバンの助手よ。ここでこうしているのが任務だわ」
 それはあれですか

 ミミーさんへのあてつけ

 ですか。
 一方そのころ魔空城では、サン・ドルバがダブラーの戦闘訓練を見物しながら、寝そべって、女侍らせて、 酒をかっくらっていた。
 ベクトル違うけど、某ハイル・カ○ドさん並の駄目人間だ!!
 そんな息子を呼び出すドン・ホラー。
 「この腰抜けめ」と一喝。
 仕事もせずに毎日昼間から飲んだくれていては、それは父さんも説教の一つもしたくなります。
 「私の力でギャバンを倒してみせる」と反省もせずに鼻息を荒げるサン・ドルバは「ギャバンを倒すまでは魔空城へ帰らない」と出撃。 もちろん過保護な魔女キバは一緒についていき、二人はギャバン打倒の為の策を練る事に。
 とにかくギャバンの必殺技を防がなければ勝ち目はないと、額を付き合わせる二人。
 ……数秒前までは鼻息荒かったですが、もう、弱腰です。
 ギャバンダイナミックを使わせない為の作戦を考えた二人は、ショッピング中のマリーンと月子を拉致し、ギャバンを呼び出す。
 呼び出しに応じた烈に次々と襲いかかる罠また罠。
 この辺りは以前のアクションてんこ盛り回を思わせる展開。前は修験者風で襲ってきたマクー構成員が、イスラム風の扮装で円月刀 振るって襲ってきたり、久々に洞穴で巨大岩石に追われたり。たぶん、トータル3回目くらいの巨岩。ここで、洞穴の壁をぐるりと螺旋を 描くように火柱が回るという火薬の使い方は非常に格好良かったです。
 ところで、ギャバンを誘導する餌として出てくるマリーンと月子(後でマクーの自爆ロボットだった事が判明)が、「ぎゃばーん」 「助けてぎゃばーん」と叫びまくるのですが、月子、烈がギャバンだって知っていたっけ? そこで偽物だと気付かないかなと 思いましたが、その後、月子の前で気にせず変身しているし、この辺りの扱いは非常に不透明。私も細かく覚えていないので、月子の前で 変身した事が過去にあったか、はっきり記憶はないですが。……まあ、月子は根本的に存在自体が謎だらけ なんですけど。
 立て続けの攻撃を切り抜けたギャバンの前に遂に姿を現すサン・ドルバ。十字架に磔にした月子とマリーンを人質に、レーザーブレード を手放す事を要求する。

 結局、人質作戦

 なんかもう、サン・ドルバは、あらゆる点で駄目すぎ……。
 レーザーブレードを失ったギャバンはダブラーに苦戦するが、それでも接戦を演じる。とどめの一押しをする為に、キバの助言で ギャバンを魔空空間に引きずり込もうと、魔空城へと呼びかけるサン・ドルバ。
 しかし、
 「いやおまえ、一人で何とかするって言ったじゃん?」

 父上、魔空空間を拒否る

 このゴタゴタの隙を突き、レーザーブレードを取り戻したギャバンはマリーンと月子を救出。ダブラーをギャバンダイナミックで打ち 破り、サン・ドルバを迎撃。なんとか戦いに勝利するのであった。
 そしてマクーでは、父と子の間に微妙な反駁の空気……? というかキバが煽っておりますが、というか今からでも遅くないから、 息子を更迭してハンターキラーさんを現場復帰させた方がいいと思います!

●番外編:月子に関するエトセトラ●
 35話の感想で「存在自体が謎だらけ」と書いた月子に関して、「ものかきの繰り言」の 方にBeniさんよりこんなコメントをいただきました(多謝)。
月子は、ボイサーの友人・星野博士の娘です。
星野博士が発明したプラズマエネルギー発生装置がマクーに狙われ、博士夫婦は死亡。死に際の博士の言葉に従い、以後、月子はボイサー を頼るようになりました。
ボイサー行方不明後に博士が襲われたのか、博士が襲われてからボイサーが行方不明になったのか、時系列がはっきりしないのですが、 たぶん博士襲撃→ボイサー行方不明だと思います。初登場時の月子は、庇護を求めて行方不明のボイサーを探していたわけです。
いずれにしても、星野博士を介して面識があるのは間違いなく、ボイサーにとっては、ある意味で「もう一人の子供」のような扱いです。
このあたりの設定は月子の登場話で軽く触れられているのですが、月子のセリフと回想、あとはナレーションですませているため、11話 の少々ちぐはぐな演出とあいまって印象に残らなかったのだと思います。
月子がその後の捜査活動に協力しているところを見ると、ボイサーの知り合いということでギャバンも正体を隠す必要がなかったのでしょう。

 ……はい当時、11話が予告で盛り上げていた割にはがっかり回で、最後、犬と戯れていた事しかほぼ覚えていませんでした(笑)
 そんなわけで月子は、ボイサーネタのちょっとした振りキャラで、単発ゲスト、せいぜい後半でまた出てくるぐらいかと思って見ていた ので、次の回で普通にミミーさんと一緒に出てきてビックリ。
 その後、あれよあれよとセミレギュラー化するわけですが、それなら11話で「これから私も協力させて」ぐらい、言わせておいて くれれば、その後の展開や顔出しも色々と納得できたのですが(主に遊んでいるように見えるのはミミーさんも似たようなものですし)、 もうその時点の解釈から間違っていたレベルです(笑)
 本人があまりに軽いのも合わせて失念してしまいたが、根っこには両親の仇、マクーへの復讐、という思いがあったりする月子…… 劇中で描かれないけど。
 というか月子は要所でその辺りをちゃんと描いたら、もっといいキャラになっていたのでは。やりすぎるとミミーさん差し置いて 正ヒロイン化しかねないので、バランスが難しい所ですが。もともとあまり詰める気は無かったのでしょうが、ミミーさんと月子も、 もうちょっと絡めて話を作ればお互いのキャラクターも活きたと思うので、その辺りは実に勿体ない。
 『ギャバン』は全体的に、主人公・一条寺烈は非常に魅力的ですし、そこを描く事には力を入れているのですが、その分、周辺キャラが 詰め足りない所が今見ると勿体ない。それ故に、烈がひときわ輝いているという面はありますし、多分、戦隊との差別化という意図が強く 出過ぎたのかな、という所はありますが。
 というわけで、終盤に向けて、ちょっと月子を見直す事にしました……まさかのヒロインの座デッドヒート展開とか来てもこれで 大丈夫!(それは多分、ない)
 しかし、烈がやたらに地球に順応しているのは、地球育ち(?)というのもあるけど、陰に月子の協力もあったりするのかとか考える と、その辺りは面白い。スーパーの特売の日とか教えてくれているに違いない。
 ……ただ月子には、本命は烈な上で、当山と小次郎を微妙に天秤にの乗せて弄んでいる、という若干の悪いイメージがあったりします が(笑) 当山といえば、ダブルモンスター初登場編で、烈から受け取った札束をどうしたのかが気になります。


◆第36話「恨みのロードショー 撮影所は魔空空間」◆
 フランスの新聞に、
 「映画『ギャバンへの復讐』、東都映画撮影所で特別試写会」の広告。

 罠にしても意味不明すぎる

 まあ、以前にも劇中に烈がフランス語の新聞で情報収集しているという謎描写が入っていたので、マクーが烈の情報源をしっかり下調べ していたという事なのでしょう。或いはハンターキラーさん情報で、「宇宙刑事はフランス語の新聞を愛読している」という現地ルール 情報があったのか。それとも、実はフランス語は銀河共通なのか。もしかすると、烈のマクーの会話 は全て、フランス語で行われているのかもしれない。
 罠とわかっていても、躊躇わずに乗り込むのが、ギャバン。
 よろしく勇気。
 もちろん、罠
 案内された試写会場に入った途端に、席に拘束される烈。
 そしてスクリーンに流れ出すフィルム、『ギャバンへの復讐』のタイトルが現れ、ナレーションが流れ出す。
宇宙刑事ギャバンは、我らマクーの敵である。
見よ、ギャバンの悪辣非道なる残虐行為を。
 しばらく、過去映像でギャバンとその兵器の無双ぶりが流れます。
 そして突如、スクリーンの内側から現れ烈に襲いかかる、ウラミダブラー

 ウ ラ ミ

 なんかもう、無茶苦茶です。
 ……まあ以前に、サイミンダブラー、とかも居たんで、ダブラーの名称はかなり適当ですが。
 それにしてもウラミ……そしてウラミダブラーの能力は、立体写真で撮影した対象を、写真に恨みの釘を打ち込む事に より呪い殺す事(笑)
 試写会場を脱出したものの、どこか遠くの空間で恨みの釘を打ち込まれ、急な痛みに苦しむ烈。
 運び込まれた医務室の枕元に、何故か金魚鉢。
 と思ったら、案の定、毒を飲まされそうになりました(笑)
 金魚鉢の水と金魚は、太古の昔から極めて有効な毒判定装置です。
 ウラミダブラーがどこかで立体写真に釘を打ち込む度、激痛に苦しむ烈。
 終始、胸や頭を押さえて一人でのたうち回る大葉健二の演技が凄い。
 そして次々と襲いかかるマクーの構成員を何とか蹴散らすが、隠れて釘を打っていればいいのに何故か出てくるウラミダブラー。 「蒸着!」で切り抜けたのも束の間、今度は蒸着したあとの姿を撮影され、その姿に釘を打ち込まれ、再び大ピンチに。
 そして今回は、父上出陣。
 「魔空空間でとどめをさせ!」
 いつもとちょっと台詞が違い、父上もやる気満々です。
 激しい戦い、呪いに苦しみながらも、魔空空間での戦闘中に、釘を打ち込んでいる部屋を発見したギャバン。
 問答無用で、いきなりシルバービーム。
 ……いや、下手すると、それで死んでいたのでは、ギャバン(笑)
 結果的に呪い攻撃を打ち破る事に成功、からくも死闘を切り抜けるのでありました。
 ウラミダブラー、出オチかと思いきや、ギャバン相手に大善戦。物理的に勝てないからオカルト、という着眼点が光り、今までで最強の ダブラーと言って良い活躍ぶりでした。もしかしたらシリーズ最強の敵という事になるかもしれない。
 ラストは、どういうわけかマリーンさんと映画デート。
 ……うーんなんか、マリーンさんのミミーさん追い落とし作戦は、着実に成功に向かっている気がする。

◆第37話「おてんばひょうきん姫の地球冒険旅行」◆
 烈、「無礼者!」と平手打ちを食らい、ミニスカートをめくろうとするの巻。
 かつて、ホープ星人が地球に財宝を隠したという伝説を知ったマクーは、アナホリダブラーの指揮の元、その財宝を捜し出そうと していた。一方烈は、遠乗りに出た森の中で、急に飛び出してきた少女を馬で轢き殺しかけていた。妙に高飛車な少女の名前はリララ。 怪我の手当の為に近くにあった教会に彼女を運び込んだ烈は、そこに住む神父親子に親切にしてもらい、その礼に彼女が一瞬、地球のもの とは思えない発音で喋るのを聞く。
 先週から、今更ながらダブラーに、「○○ダブラー」のテロップがつくようになりました。
 最近のダブラーは、外見からさっぱりわからないどころか、生物モチーフを遙かに飛び越えてしまったので、わかりやすくて有り難い。
 名称的には、凄く割り切った所に着地していますが(笑)
 出自を考えると、合体前はアナホリモンスター
 それと合体する羽目になるダブルマンの気持ちも考えて!
 なお今回のダブラーの人間態は、天本英世! 大葉健二vs天本英世、のアクションも一応あり。さすがにすぐに ダブラーに変身してしまいますが。
 その財宝の調査中に烈の姿を見たとアナホリダブラーから報告を受けたドン・ホラー、
 「急げ! ギャバンにかぎつけられぬ内に財宝を手に入れろ!」
 やるせない必死さが漂います。
 もっともマクーは、下手にギャバンに過剰反応してちょっかい出さなければ気付かれずに済んだのでは、という事件も多いのですが、 この、影を見ただけでギリギリと重圧をかけてくる圧倒的な戦闘力により、敵対組織を空回りさせて自壊に追い込む事こそ、宇宙刑事の 真骨頂なのでありましょう。
 恐るべし、宇宙刑事! 恐るべし、銀河連邦警察!
 海賊戦隊は劇場版で、文字通りに最強の敵を迎える。
 はさておき、烈の聞いた言葉からマリーンの調査により、リララがホープ星人ではないかと判明。それを確認しようとした烈は、 アナホリダブラーに襲われていたリララを見つけて助ける。
 「ごめんなさい」
 ↓
 「あたくしは貴方に助けてくれと頼んだおぼえはないわ」
 ↓
 「助けてくれたお礼にこれをあげる」
 と、数秒で言う事が滅茶苦茶に変わるリララ。
 彼女に同行を拒否された烈は、貰ったペンダントを手に一度ドルギランに帰還。すると、ホープ星人の老人が、行方をくらました姫を 捜していると、烈に協力を求めてきた。手渡された写真と、ペンダントの模様から、リララこそホープ星人のプリンセスである事が判明 する。
 かつてホープ星人の祖先が地球に埋めたという財宝を探しにやってきたらしいリララ。
 「ホープ星の財宝がなぜ地球に……」
 うん多分、昔、バード星人が魔人兜を埋めたのを、真似したんじゃないでしょうか。
 ちなみに地球では人間の姿を取っているホープ星人の本当の姿は、丁寧に言葉を選ぶと、

 巨大な蚊です。

 再び、リララを探す為に教会へと赴く烈。その頃彼女は、財宝探しの為に教会を占拠していたマクーに神父親子ともども囚われていた。 駆けつけたギャバンが、アナホリダブラーを撃破。リララも神父親子も無事に助かり、そして烈と二人のホープ星人は、発見された財宝の 蓋を開ける……その中に詰まっていたのは、花の種。
 烈 「宇宙が現代科学にむしばまれた時のために、愛のメッセージ」
 姫 「烈、この種で地球に美しい花をたくさん咲かせてください」
 ……それはあれです姫、地球の生態系の破壊に繋がります!
 「美しい花を侵略に用いるとは、おのれホープ星人……蒸着!!」
 みたいな事になりそうなので、ご注意下さい。
 次回予告から、どんなトンデモ話になるとのかと思いきや、意外と見られる出来でした。田中秀夫の演出も冴えていた。蒸着後に高い 所で名乗るはいつもの事なのですが、今回の、やたら角度のきつい土手?みたいな所は格好良かった。特撮はやっぱりロケハン。そして 適当に、他の人が脚本に参加するって大事。

◆第38話「包囲された輸送部隊 正義の太陽剣」◆
 サン・ドルバを呼び出すドン・ホラー。
 「太陽の剣が欲しい」
 RPGの王様みたいです(笑)
 横浜港に輸送されてきた、ユラシア王国の秘宝“太陽の剣”。色とりどりの宝石に飾られ、更には不思議な力を持つとされるこの剣を、 キバの協力で強奪に成功したサン・ドルバだが、持ち帰ったそれは偽物だった!
 「まだまだ未熟だな」とドン・ホラーに評価されるサン・ドルバ。「ギャバンめも黙ってはおるまい。本物のを掴むのは至難の業」と 言われ軽く落ち込むが、頭を使えと魔女キバに策を提供される。
 ……なんだか、今日の魔空城は微妙にアットホーム。
 マクーが太陽の剣を狙っている事を知り密かに警護に回っていた烈は、本物の剣を積んだトラックを襲撃したギャングダブラーと戦闘 になる。その間に、幼稚園バスを乗っ取るキバとダブルガール。
 バスが襲われ、園児達が攫われたという中央倉庫へ急ぎ向かうギャバンだったが、既にそこはもぬけの殻だった! 一方、その間に ダブルガールと合流したギャングダブラーは、園児達に「はとぽっぽ」や「ぞうさん」を唄う事を強要しながら、太陽の剣の輸送ルートに割り込み、バスに乗った 園児を人質にしてトラックを奪う。追いついたギャバンはまず、幼稚園バスを確保。備え付けられた時限爆弾を、軽く窓の外に放り投げ るギャバン。もうちょっと、周囲確認してからにして下さい。
 今回は、輸送トラックの警備員に話しかけられたり、園児バスで助けた幼稚園児に話しかけられたり、急に、ちょっと古い感じの演出。 まあいい加減、世間に認知された、という事でもいいのかもしれませんが。烈はフレンドリーですが、コンバットスーツ来ている時に 「ギャバン」として人に話しかけられるというのは、実は珍しい。一応、烈=ギャバン、というのは地球人には友人レベル (小次郎さん、友達? 本当に?)でも隠していますし。マクーにギャバン=烈だとバレているので、意味はほぼ無いですが。
 逃亡するトラックには追いついたギャバンだが、太陽の剣はダブルガールに持ち去られてしまう。ギャングダブラーとの魔空空間との 戦いで、身動きの出来なくなったギャバンの前に、その太陽の剣を手にしたサン・ドルバが姿を見せる。太陽の剣でギャバンに切りつける サン・ドルバだが、逆にダメージを受けた上、その手を離れまるで自分の意志を持つかのように宙を舞う太陽の剣に襲われる。更に ギャバンの戒めを切り裂く太陽の剣。
 ここで“不思議な力を持つという”太陽の剣がギャバンを自ら助ける、というのはなかなか面白い展開。魔空空間内部なので、基本 何でもありですし。
 ピンチを切り抜けたギャバンは、巨大メカの大盤振る舞い、知能はともかく戦闘力は割と高かったギャングダブラーを撃破、園児達も 無事に日常を取り戻すのでありました……しかし今回、園児バスは、プロットとして必要だったのか……?
 Aパートでギャバンとギャングダブラーとの戦いを長くやりすぎて、その間に園児バスを奪って〜云々のあたりの作戦としての連動性が 非常にわかりづらく、マクーの動きが物凄く場当たり的に見えたのが残念。正直、感想でちょっと筋を整頓していてこれなので、本編見て いる時は、何が作戦なのかよくわかりませんでしたし(笑) 魔空空間で、ギャバンのスパイラルキックが、磁石っぽいもので無効化 されるのは面白かったですが。
 それにしても、別番組の収録とのスケジュール調整とか大人の事情だと思うのですけど、すっかりミミーさんが出てこなくて、正妻の 座がピンチ。その間に、マリーンさんの出来る女ぶりが際立つ。

◆第39話「学校から帰ったらぼくの家はマクー基地」◆
 凄く嫌なサブタイトルです。
 ごく平凡な一般家庭・山口家に、突如乗り込んできた黒い影。それは近所の公園で知り合いの少女の歩行リハビリに付き合う一条寺烈を 狙撃しようと企む、マクーの構成員達だった。

 今回のダブラーは、ノットリダブラー

 もうどこまでもフリーダムです。
 乳飲み子を人質に、強力な熱線銃による絶好の狙撃ポイントとして、接収される山口家。
 マクーはもう、正攻法で勝てないのが前提すぎて泣けます。
 山口家の少年・つとむは、学校から帰宅後、母親と一緒に捕まってしまうが、ダブラーが寿司100人前の食事をとっている隙を見て、 風船に「たすけて」という手紙を書いて外に飛ばす。その後、椅子にしばりつけたシーツを伝って2階の窓から脱出を試みるという 将来有望な冒険野郎ぶりを見せるが、これには失敗。早くに帰宅した父親も捕まってしまう。更には、風船の手紙を見た人からの通報を 受けてやってきた警官も、「こどものいたずら」という事で、追い払われてしまう。
 山口家がマクーの手に落ちている事は誰にも知られる事なく、着々と暗殺の為の準備は整い、遂に烈と少女、小次郎とマリーンが公園に 現れる。
 烈、絶体絶命。
 ノットリダブラーの指が引き金を絞ったその時、

 通り過ぎるトラック

 大 爆 発

 コンバートスーツごと破壊すると豪語した割には、トラックはともかく運転手は無事だし、大した事ないぞ熱線銃。
 狙撃に失敗したダブラーは何を血迷ったか「儂と勝負しろ」と打って出るも、ギャバンに撃破され、今回も無惨に作戦失敗。何故か 最後は少女の歩行訓練に(結局、直接は全く関わらなかった)山口家の皆さんも勢揃いし、大団円。
 折角サスペンスフルな展開にしたのに、頑張って少年が助けを求めた行為が全く活かされなかったのはちょっと勿体ない。終始ギャバン のあずかり知らぬ所でマクーの暗躍が決定的になりかける、的な事をやろうとしたのかもしれませんが、やりすぎてギャバンが助かった 理由が「単なる偶然」になってしまったのも、いただけません。出来れば少年の奮起がギャバンを救うような展開にまとめて欲しかった ところ。
 ただその分、シナリオ内での飛躍的な無茶が少なかったので、話は割とまとまった、といえばまとまったのですが。「運も味方」という のは、リアルといえばリアルですし。ただまあ、それなら風船のくだりは必要無かったし、何かした分の報いは、フィクションとして 少年に与えられるという展開にしてほしかったなぁ。

◆第40話「死の谷の大決戦 君も宇宙刑事だ!」◆
 鬼ヶ山を調査していた清水博士は、山中にあった不自然きわまりない謎のホットドッグ屋で、つい一服してしまう。
 『水滸伝』とかだったら、眠り薬が入っていて肉饅頭にされるパターンだなーと思ったら、店員に変装していたヨウカイダブラー に襲われる。
 実はこの鬼ヶ山ではデビルニウムという鉱物が産出され、その確保を目論むマクーが、訪れる登山者などを次々と拉致していたので あった。
 その頃烈は、小次郎に甥っ子の史郎(太め)の世話を押しつけられていた。宇宙刑事に憧れる少年は、小次郎がつい吹いた「自分と ギャバンは親友」という法螺を真に受けて上京、小次郎の適当な紹介で、烈は「同じ宇宙刑事志願の仲間」扱いされてしまう。
 テンションの高い少年に振り回される烈は、鬼ヶ山で続発する神隠し事件(成る程それでヨウカイダブラーか)の調査に向かうが、 そこで史郎と再遭遇。やる気満々の少年を無下にする事も出来ず、史郎のフォローをしながら一緒に山歩きをする二人は、 ホットドッグ屋に遭遇。
 出された飲み物の怪しい匂いに気付いた烈が、史郎が飲みかけたそれを払いのけると、ヨウカイダブラー出現。さくっと気絶する少年。 念力を操るヨウカイダブラーやマクーの構成員と戦っている内に、少年は人質として攫われてしまう。少年を追い、更に山の深い所に 分け入る烈。山奥で、鉱石掘りの人足代わりにこき使われている清水博士その他の行方不明になった人々と史郎少年を発見するが、 少年はヨウカイダブラーが化けた罠だった。
 戦闘の最中、
 ジープのフロントウィンドウにぽっちゃり少年を縛り付けて姿を見せるサン・ドルバ。
 絵が凄すぎる。
 今日も息子さんはとことんダメ路線です、お父上。
 しかし隙を突き、ギャバンは少年を救出、少年が人質を連れてうまく逃げだし、運び出されそうになっていたデビルニウムはレーザー Zビームで木っ端微塵。というか、積んでいたトラックが、跡形もなく消滅しました。
 こうしてマクーの野望は砕かれ、史郎少年はギャバンと言葉を交わした事を胸に、体を鍛え直して宇宙刑事を目指すんだ、と田舎に 帰っていくのでありました。
 この終盤に来て今更ながら、魔空空間での戦闘におけるギャビオンと中のマシンのテコ入れが激しいのですが、これはもしかして、 敵(ダブラー)が強くなっている、という事を演出的に補完しようとしているのかなぁ。
 しかし、ギャバンが大型兵器で虐殺しているようにしか見えないのが困りもの。
 脚本は、2本目の筒井ともみ。次回予告ではどうなる事かと思いましたが、前回のホープ星人のお姫様回同様、何となくまとまった話に なり、健闘。

→〔まとめ其の五、へ続く〕

(2012年1月5日)


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