■『宇宙刑事ギャバン』感想まとめ3■


“チェイス! チェイスチェイス ギャバン!
ファイト! ファイトファイト ギャバン!
俺は背中を見せない男さ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『宇宙刑事ギャバン』感想の、 まとめ其の三(21〜30話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕  ・ 〔まとめ4〕 ・ 〔まとめ5〕


◆第21話「踊ってチクリ大ピンチ ハニー作戦よ!」◆
 『電子戦隊デンジマン』(80)、『太陽戦隊サンバルカン』(81)、におけるヘドリアン女王役などで特撮史にその名を燦然 と輝かす、女王・曽我町子、降臨!
 いきなりレオタード姿で、「だんしーんぐ!」
 あらゆる怪我を、踊りで治すという、ダンサー・ハニー萬田(曽我町子)。彼女にかかれば、ぎっくり腰も一瞬で回復し、脚をくじいた 豪介も一瞬で痛みが無くなる。ところが彼女に治療を受けた患者が、後先考えずに莫大な寄付を行おうとしている事を知り、烈はその背後 に疑惑を抱く。
 その件で揉めていた夫婦喧嘩を止めに入った筈なのに、話を聞いて、そっちのけで電信柱に寄りかかる烈(笑) 後ろ、後ろで旦那さん が首締められているよ!?
 ハニー萬田の正体は、マクーのミツバチダブラー! 彼女はその毒針治療術を用いて人々の病気や怪我の痛みを一時的にマヒさせ、同時 に洗脳。病人・怪我人から寄付金を集める事で日本の年間医療費11兆円強の内、半分の6兆円を手に入れようと計画していた。…… 無茶苦茶なのですが、微妙に社会犯罪の香りを漂わせているのが、マクー的でいい。
 「ギャバンなんて、私のウィンクでイチコロさ」
 先日のカメのような、おふざけ回だったら嫌だなぁと思っていたのですが、女王のパワー、恐るべし。あの大葉健二すら食う、圧倒的な 曽我町子の戦闘力!

 

 私より若くて綺麗な娘が許せない、とミミーさんの頬をつねるなど、大活躍。
 いやもう、普段、大葉健二のアクションが売りの本作ですが、今回は曽我町子デイ。凄かった。120%ゲスト頼りの回でしたが、曽我 町子さんがやり尽くしてくれて、文句は無い。

◆第22話「黄金仮面と妹 太陽に向かって走るヨット」◆
 ヨーロッパで起きた連続強盗殺人を怪しんだ烈は、その犯人と目される宝石商・石黒の屋敷に潜入した際、謎の怪盗と遭遇する。 新聞を賑わせ、5000万円の懸賞金をかけられている、怪盗X。
 記事を読んだ小次郎は、思わず烈を疑う。
 優れた運動能力・いい年してアルバイト生活・その上でサボりがちなのにお金に困っている雰囲気はない

 うん、怪しい

 再び、石黒を追っていた現場で、怪盗Xと出くわす烈。なにか魂の共鳴するものでも感じたのか、ピンチに陥った彼を助ける事に。その 後、彼の後を尾けると、ヨットで生活する(?)兄妹と出会う。
 今週は、いつになくお仕事に真面目なミミーさん。
 「身元が割れたわ」
 とか、口調にTVドラマの影響を感じます。
 『Gメン’75』(特撮ホイホイ)の再放送でも見たのでしょーか。
 怪盗Xの正体は、石黒によって父を殺された青年だった。父が奪われた宝石“アフリカの星”を取り戻すべく石黒を狙う怪盗Xは、船上 オークションに忍び込むが、逆に捕まってしまう。
 パーティの余興としてテーブルに張り付けにされ、布をかけられた状態で、ナイフ投げならぬ槍投げの的にされる怪盗X。ついにトドメ が、となったその時、槍を受け止めて布の下から現れたのは謎の老婆に扮した一条寺烈!
 段取りは魔空空間ですが、ここで「禿山の一夜」(多分)をBGMに、烈が何故か変装早変わりを披露する立ち回りは格好いい。
 そして演出に凝るあまり、とうとう大葉健二を女装させる 小林義明(監督)。
 凄い、本当に、凄い。
 その後は、ダブラー(クラゲ?)の正体を現した石黒を倒し、アフリカの星を取り戻し、大団円。
 ヨットで海へ去っていく兄妹を、やはり魂の共鳴する所があったのか、やたらに手をぶんぶん振り回して見送る烈。
 ナレーション「そして彼等はアメリカへ旅立った」

 ……………………え”?!
 そ、そのヨットで??
 太平洋横断??
 太平洋ふたりぼっちの大冒険なんですが

 ところで今回、怪盗は確かに変な仮面をかぶっているのですが、作中では「黄金仮面」という呼称は一切出ず常に「怪盗X」であり、 妹にいたっては出番も台詞もほとんど無し。とんだサブタイトル&次回予告詐欺。
 ……まあギャバンは何となく、次回予告詐欺、多いですが。

◆第23話「闇を裂く美女の悲鳴!霧の中の幽霊馬車」◆
 闇夜を走る謎の馬車、それに乗る黒マントにステッキの怪紳士……と今回は、怪奇路線。
 隣室に暮らす美女が脅えた様子で帰宅したのを不審に思った小次郎は、押入から天井裏に潜入
 羽目板を外して隣室を覗き込む
 と、巨大な蜘蛛と謎の黒マントの男が現れ、直後、美女の姿は霞のように消えてしまう。驚いて天井を踏み抜き、隣室に落下して気を 失う小次郎……て、これは100%逮捕だろうと思ったら、

 本当に逮捕されていました

 単純に不法侵入な上に隣室の人間は消えているし、「誘拐犯と疑われている」どころの騒ぎではなく、しばらく娑婆に出てこられない レベルだと思うのですが、烈と月子が身元を引き受けにいき、仮釈放?される小次郎。
 銀河連邦警察が裏で動いた匂い。
 小次郎の言葉を冗談と取り合わなかった烈であったが、その後次々と、女性の行方不明事件が頻発する。背後にマクーの存在を感じて 調査を始める烈(華麗に女子更衣室に潜入したり)であったが、全てはマクーのクモダブラーによる、地球人の女性を誘拐して獣性 ホルモンを打ち込む事で、獣星人としてしまう計画であった。
 黒マント姿で馬車に乗り、攫う女性を厳選するのは、どうやら趣味らしい。
 蜘蛛の巣だらけのアジトで、さらってきた女性をマヒ状態で並べているクモダブラー。
 マクーの怪人がたまに見せる変なフェチズムは、後の『超光戦士シャンゼリオン』のダークザイドを彷彿とさせなくもありません(笑)
 要するに今回は乱歩なのでしょうが、“屋根裏の散歩者”はちょっと洒落にならなかったと思います(笑) 黒マントを翻す怪紳士の アクションはなかなか格好良かったですが。あと、アジトで天井に張り付いて襲ってくる戦闘員もなかなか良かった。
 しかしダブラーは、人間形態の方が概ね格好いい場合が多いなぁ(笑)
 黒マントの怪人とまんま戦っていた方が面白かった気がする。
 宇宙刑事の情報収集がワールドワイドな事を示す為か、烈が宇宙船でフランス(多分)の新聞を読んでいる演出が入ったのは小粋。

◆第24話「ミミーの悪夢か!? 吼える切り裂き魔獣」◆
 マクーの怪人サーベルダブラーに襲われ、ギャバンが重傷を負う悪夢を見たミミー。
 「バード星へ帰りましょう」
 また出た 得意技
 過去の戦いの映像まで見せて説得しようとするが、ギャバンは当然それを拒否し、「自分の体に半分流れる地球人の血の為にも、命を 賭けて地球を守りたい」という熱い思いを吐露。
 ……まあ、宇宙的な巨大犯罪組織に対して、刑事一人で対処させようとしている組織のトップは、ミミーさんの 父親なのですが。
 小次郎と約束したUFO探しに向かおうとする烈だが、悪夢による心労と睡眠不足が重なった為か、熱を出してミミーが倒れてしまう。
 倒れたミミーは、マクーでドン・ホラーが怪人に指示を出している場面まで夢に見る。
 この怪人から妄想だったらどうしよう。
 目を覚ましたミミーに、「ジュースを飲まなきゃ元気にならないぞ!」とやたらにすごむ烈。なんでしょう、バード星直輸入の元気の 出る成分でも入っているのでしょうか。
 「元気になったらまた心配をしないといけなくなるから、元気になんかなりたくない」とこぼすミミーのあまりに酷い様子に 「泣くなよ、しばらく外へ出ない事にするから」と珍しく優しさを見せる烈。
 ……うんでもなんかもう、送り返せ、そいつ
 一応、ミミーさん健気回なのですが、ミミーさんが普段あまりに仕事をしない為、どうしても、またいつものが始まった……感がつき まといます(笑) 烈もなんというか、色々、適当だし。
 一息ついたミミーであったが、再び、夢を見る。それは、小次郎と共にUFO探しへ向かった乗馬クラブの子供達がサーベルダブラーに 襲われる夢であった。小次郎(前科一犯)一人ならどうでもいいですが、さすがに子供を見捨てるわけにはいかない。マクーの 秘密基地の隠された山へ向かう烈は、ミミーの見た悪夢通りに、サーベルダブラーの襲撃を受ける!
 強敵サーベルダブラーに苦戦するギャバンであったが何とかこれを撃破。最後は元気を取り戻したミミーと渓流デート。
 ……そういえば、ミミーさんとのデートオチも久しぶりのような。
 要するに、他の女(月子)を助手席に乗せたりしないで、ちゃんと相手しろって事ですよ! 今回の教訓。

◆第25話「妖しくゆらめく水中花 わかばが危ない」◆
 スイミングスクールに通う少女達を、次々と妖しく美しい水中花の虜にしていくマクーのゴシキダブラー。
 マクー特製の水中花の香りを嗅いだ少女達は性格が凶暴になると共に、徒に美しさを求めるようになるのであった。
 そんな少女達を集め、美しい顔に獣の心を持った娘を獣星帝国に花嫁として迎えようという水中花作戦!

 そんなに嫁不足なのか

 少し前にもやりましたよね、と思ったらドン・ホラーより
 「クモダブラーは花嫁作戦に失敗した!」
 とコメント。
 前の作戦に触れるとは、珍しい。
 まあクモは、趣味に走りすぎたからなー。
 獣星帝国の嫁不足は、田舎の農家レベルで、とにかく深刻な模様。
 その魔手をコーラスグループやバレエ教室と、次々広げていくゴシキダブラーだったが、わかばちゃんに手を出した事からギャバンに 作戦を勘付かれ、倒される事となる。
 今週の見所は、

わかばちゃん、椅子で窓ガラスを割る

◆第26話「人形は見た!! 毒ガス殺人部隊の正体」◆
 アジア各地で毒ガスを用いて破壊活動を行う謎の武装集団<ドリームバード>。街で学生風の若者とぶつかった小次郎は、彼の 落とした写真を拾う。そこには、そのドリームバードの手によると思われる惨劇の写真が写っていた。相談を受けた烈は、写真の入って いた封筒の名前から、坂田という学生と、そのゼミの教授である一宮の元へと向かう。
 「坂田くんはドリームバードの一員なのでは?」と根拠の無い直球を一宮教授にぶつける烈だが、教授には笑って相手にされない。 だが実はその一宮教授こそが、ゼミの学生を恐るべき殺人兵士へと洗脳した、マクーのダブルモンスターなのであった!
 洗脳が薄れ、自分の行為に苦悶する坂田はドリームバードを抜けたがるが、手に入れた金を難病の妹の手術費用に使ってしまった為、 組織を抜け出す事ができない。更に一宮教授に連れていかれ、再度の洗脳を受ける事になる。
 「君はジャングルの野獣や!」
 ゲスト悪役の一宮教授が、終始関西弁なのが、なかなか特徴的になって面白い。
 諸々から教授を怪しんだ烈はいつものように、 不法侵入 捜査活動を行うが、教授の家はもぬけの殻で、 謎の装置があるばかりであった。更に烈は捜査を続け、遂にドリームバードのアジトに潜入するが、そこで教授と坂田以下のドリーム バードに囲まれる。
 妹の名前を出され、良心を取り戻した坂田は狙撃を止め、烈をかばうがダブルモンスターの攻撃で絶命。
 烈、怒りの蒸着、そしてギャバンダイナミックにより、ハエ?っぽいダブルモンスターの作戦は潰えるのであった。
 坂田と一緒に洗脳されていたと思われるドリームバードの面々は、ダブルモンスターが正体を現した時点で逃げ出すのですが、彼等も 坂田も毒ガス使って大量虐殺したという事実は覆るわけではなく、どう拾うのかと思ったら、全く拾わず
 坂田に関しては、ドリームバード壊滅して妹も病気が治って万々歳、というハッピーエンドにするわけにはさすがに行かないと劇中で 始末されましたが、他の面々は後で個別に烈が何らかの始末(銀河警察の科学力による脳医学的な処置とか)をつけたのでありましょうか。
 残された坂田の妹も、「お兄さんは遠い所へと旅に出たんだ……」と誤魔化し、「死を告げられない烈であった」みたいなナレーション で落とすのですが、よく考えなくても、酷すぎ。
 重いネタを振って、投げっぱなし
 という、非常によくないパターン。
 やりすぎました。

◆第27話「先生たちが変だ! 学校は怪奇がいっぱい」◆
 学校で飼育しているウサギに餌をやり忘れた事に気付いた陽一が放課後の学校に戻ると、飼育小屋の中にウサギが居ない。学校の 廊下でウサギを手にした校長先生が瞬間移動したのを目撃した陽一だが、教師や同級生には信じてもらえず、相談した烈も役に立たない。
 しかし、
 「馬に蹴られて死んじまえ!」
 は、乗馬クラブで働いている人には酷いと思います。
 一度は引き下がったが、陽一の言葉を信じ、校長を尾行してみる烈。
 「おだやかな校長だ。だが、虫が好かない
 まあ烈も、けっこう酷い。
 結局、尾行では正体を掴めなかったが、校長の正体はマクーのダブルモンスター。
 夜の学校で行われる怪しげな儀式により教師達の正気を奪い、「邪悪教育」により、教師それから生徒を洗脳し、やがてそれを 全国に広げる事で戦争好きの人間を大量に誕生させようという、極めて気の長い計画であった。
 陽一を探しに学校へ行ったわかばが、ゾンビのごとく無表情に襲いかかってくる教師達に追いかけられるシーンはなかなかホラー。
 全国の子供達に変なトラウマを遺していないか、心配。
 最後は駆けつけた烈が校長に変身していたダブルモンスターを倒した事で教師達は正気を取り戻し、大団円………………
 本物の校長先生はどうなったのか、とてもキニナル。
 ところで、今回からレーザーブレード(光ってから)が長くなった気がする。

◆第28話「暗黒の宇宙の海 さまよえる魔女モニカ」◆
 マクーはギャバン暗殺の為に、永きに渡り幽閉していた女殺し屋モニカに“命の花”を与えて解放する。モニカの毒矢を浴びて、 倒れるミミー。駆けつけたコム長官とマリーンの解析によると、宇宙トリカブトと宇宙毒ヘビの毒を混ぜて作られたその猛毒を治療する 為には、100年に一度咲くという稀少な命の花のエキスを与える他ない。ミミーの命を救う為、“命の花”を餌とした罠とわかっていて、 モニカとの対決に臨む烈。
 「宇宙刑事が大嫌いだ」と叫ぶモニカは、自らの過去を語る。
 「昔、私にも女の血が流れていた」
 その時、愛した男は宇宙刑事。
 だがある時、モニカが犯罪者の人質にされた時、その宇宙刑事は、人質にされたモニカごと、犯罪者を撃った!
 …………あーそれ、フラッシュマンがよくやりますね。
 二人の戦いは混戦となり、混乱の中で生き残る為に銃を握ったモニカも必死に引き金を引く……気が付いた時、宇宙刑事も犯罪者も 物言わぬ死体となっており、生き残ったのは彼女だけだった。そして愛に絶望にした彼女は、宇宙を彷徨う魔女と言われる殺し屋となる。
 …………良かった、コム長官の若い頃の火遊びだったらどうしようかと、けっこう真剣にドキドキ していたのですが、そうでなくて本当に良かった。
 ボウガンと鞭、短銃を駆使するモニカに烈は敗れ去り、烈は断崖から転落。モニカ様子を見ていたハンターキラーに誉められるが、 「ドン・ホラーに協力するとは言ったが手下になる気はない」と、いきなりハンターキラーを平手打ち。
 (この女を野放しにしておいては俺の地位が危ない……)
 怒り心頭のハンターキラーの毒の剣の一撃を背後から受け、倒れるモニカ。
 うんしかし、ハンターキラーさんに、そういう危機感が存在した事に安心しました(笑)
 ボイサー排除の功績を買われているだろうにしても、戦闘では全く役に立った例しが無いのに重用され続けるハンターキラーは、たぶん 工作活動において優秀で実績があるのではないかと思っているのですが、幹部たるもの、危機感は必要。
 倒れたモニカを牢に閉じこめると、毒から助かりたければこれを拾ってみろ、と微妙に手の届かない位置に命の花を投げ捨てて去って いくハンターキラー。
 一方、崖下へ転落しながらも一命を取り留めた烈は、傷だらけの体を引きずり、命の花を求めてマクーのアジトへと向かう。牢に閉じ こめられたモニカを見つける烈。他人の為にどこまでも命がけで花を手に入れようとする烈の姿に打たれるモニカ。お互い、先程までとは 別々の形で命の花を求める対立構造にありながら、極限状態で心の交流が生まれるという展開は、ベタですがなかなか秀逸。
 傷ついたモニカを助け出した烈は、命の花を手にアジトを脱出。彼女の傷に命の花のエキスを用いようとするが、一度使えば花は枯れて しまう、とモニカに押しとどめられる。
 目の前で死にかけている者か、それともミミーか、選択を迫られる烈。
 その逡巡を見て取ったモニカは、追っ手の気配も察し、自ら烈をふりほどき突撃、ダブルモンスターの攻撃を受けて爆死する。
 「人間の命を、何だと思っている!」
 烈、怒りの蒸着。
 ここでの腹から振り絞るような「蒸着!」と、命の花を口に加えての変身ポーズは格好いい。
 骨っぽいデザインのダブルモンスターを倒し、ミミーの元へと戻るギャバン。……いや、ここ何回か、ダブルモンスターのデザインが ひねりすぎて、何のダブラーかよくわからないのです(^^;
 直球で格好悪いよりはマシですが(例:恐竜ダブラー)。
 「一人の女殺し屋がくれたんだ」と、ミミーに語る烈……まあ、ミミーが死にかけていたの、その殺し屋のせいですが。
 ミミーさんが久しぶりにヒロインらしい役割を演じ、ギャバンと女殺し屋の心の交流がなんか男臭い感じで、いいエピソードになり ました。

◆第29話「電撃マジック合戦! 暗殺のプログラム」◆
 二代目・引田天功(本人役でゲスト出演)のマジックショーに現れ、マジック合戦を挑んできた手品師、ポール一星。 二人は「人間ワープ」の手品で対決する事になるが、その日の帰路、天巧の男性アシスタントが何者かに襲われる。一人は負傷で済んだ ものの、一人にいたっては転落死
 男の転落現場を調査した烈は、屋上で鳩の羽根を見つける。
 「鳩……マジシャンなら自由に操れる

 え、ええっ?!

 そして何故か、
 「もしかして、マクー……」
 ギャバンは何でもすぐにマクーのせいにしすぎです(笑) 陰謀論レベルです(笑)
 まあ……実際、マクーが陰謀論的組織であったりはするわけですが。
 (これは後に、『仮面ライダーBLACK』の「ゴルゴムの仕業か」に繋がる、多分)
 謎の手品師・ポール一星、その正体はマクーのダブルモンスターであり(すいません、ギャバンさんの仰る通りでした)、その目的は 引田天功に勝つことで、日本一のマジシャンとして有名になる事であった。
 以下、ダブルモンスターとハンターキラー、ダブルガールの会話による、今回の作戦計画について。
引田天功に勝つ

日本一のマジシャンとして有名になる

マジック学校を建てる

日本一のマジシャンのもとに生徒が集まる

マクー流のマジックを教える

魔術を使って銀行や宝石店を襲う

集団催眠とかで世界も支配できるかも☆

 …………ま、まあマクーは、こういう陰謀を世界的に組織している雰囲気があるから、許されるんですけど、ね。
 人類殲滅などを目的にしていない、ある種の営利組織の分、マクーは懐が深い。
 ここは、そういう事にしておいて下さい。
 マジック合戦の背後にマクーの影を感じた烈は、天功に男性アシスタントの代理を申し出る。
 それを知り、箱から箱へ瞬間移動する「人間ワープ」の手品で、天功サイドの箱に分解装置を仕掛け、箱に入った途端にギャバンを 亡き者にしよう、と画策するダブルモンスター。
 “手品合戦”なのに、お互いにトリックばればれというのが凄い(笑)
 ポール一星の怪しい動きに気付いた烈は、自分の入る予定の箱にこっそり付けられた装置を外し、逆にポール一星サイドの箱に付け 替える。烈が無事に手品を成功させた事に驚きながらもポール一星が自分の手品を行おうとすると、アシスタントが入った途端に炎を あげる箱。
 ……いや、結果的にマクーの構成員だから良かったけど、相手がただの地球人をアルバイトとかで雇っていたらどうするつもりだった のよ烈(^^;
 正体を現したポール一星(フクロウダブラー?)との戦いでは、久々に戦車(ギャビオン)出てきたと思ったら、その まま戦車で怪人を砲撃という惨くて新しい展開。……ギャビオンの出番があまりに無いので、ちょっと作ろう、という事に なったのでしょうが。
 そして次回、遂にハンターキラーさんにもリストラの危機の予感
 これまで積み上げてきたキャリアも、血縁の力には敵わないのか……!?

◆第30話「ドンホラーの息子が魔空城に帰って来た」◆
 なんでしょうこの、時間が無かったので脚本会議の最初に出た1行プロットをそのままサブタイトルにしました、みたいなのは。
 火星と木星の間の小惑星帯で、異常電波を感知したギャバン。小惑星ケロス星に降り立つと、謎の戦士に戦いを挑まれる。その正体は、 マクーの行動隊長、サン・ドルバ! マクー総帥ドン・ホラーの息子であった。
 遂に、後半戦に向けてテコ入れ幹部登場。
 しかし残念ながら

 物凄く、格好悪い

 今まで、どこで何をしていたのかはわかりませんが、サン・ドルバの帰還に、謎の剣舞(本当に謎)などで盛り上がる魔空城。小林義明 監督は、本当にこういうのが好きだなぁ。
 ひとり不満そうなハンターキラーに向けて「おまえも飲め」と杯を突きつけるサン・ドルバだが、ハンターキラーはそれを拒否。社長の 目の前でその息子の杯を断るハンターキラーさんもなかなか肝が据わってますが、無理強いする息子もどうか。結局、サン・ドルバが ハンターキラーの顔面に酒をぶちまけ一触即発となるも、戦闘力で勝る模様のサン・ドルバがハンターキラーを抑え込む事に。腹いせに 通りすがりの戦闘員を殴り飛ばすなどしたハンターキラーは、子飼いのモンスターにサン・ドルバの動きを探らせる。
 しかしサン・ドルバ、出てきてからやっている事が、酒を呑んでいる暴れているかで、 リアル駄目人間の空気。
 バードガールを椅子代わりにしながら、酒瓶から直接ぐびぐび行っています。
 イメージ的には、『三国志演義』に出てくる駄目な猛将の感じ。
 鎧姿もそれっぽいし、そういうコンセプトなのかもしれません。
 ギャバンを一騎打ちで倒すと息巻くサン・ドルバの槍のドクロ模様から、姿を現す奇怪な老婆。サン・ドルバの母を名乗る魔女キバ …………という事は、ドン・ホラーの奥さん??
 あんまりそれらしい会話が無いのですが、最後の方ではサン・ドルバがキバを「おばば」と読んでいたり、この家族関係は謎。 ドン・ホラー、息子は歓迎していたけど、妻?に関しては、どちらかといえば若い時の過ちみたいな 空気。
 やや過保護気味に策を凝らすキバは、一騎打ちに際して、自分がギャバンに妖術をかけてサポートする事を提案。それをスパイモンスター を通して知ったハンターキラーは、サン・ドルバ憎しの思いから宇宙刑事の秘密暗号を使って、ギャバンにその情報を伝える。
 この暗号情報のお陰で、キバの妖術を破る事に成功した烈。必殺の槍の一撃をかわすが、次いで足下からダブルモンスターの奇襲を受け、 再び大ピンチ。
 ダブルモンスターに羽交い締めにされ、サン・ドルバの槍がその心臓を貫こうと迫るその時……
 口笛風BGMが響き渡る!

 変 な 人 が 出 て き た

 崖の上に立つ、帽子・スカーフ含めて全身黒尽くめの男。
 あれは誰だ?!
 新命明か?
 早川健か?
 風見志郎か?
 いいや、宮 内 洋だ!
 (全部、正解です)
 謎の男(宮内洋)の助けを受けてピンチを脱した烈は蒸着し、ダブルモンスターを撃破。サン・ドルバとキバも撤退する。
 今回も、ギャビオン登場。
 ……ちらっと。
 ギャバンを仕留めそこね、魔空城で酒を呑んでくだをまいているサン・ドルバ。
 そこに慇懃な調子でハンターキラーが現れるが、魔女キバより、「妖術の事をギャバンに伝えた裏切り者がいる!」と糾弾されてしまう。 普通にしていればいいものを露骨に動揺したハンターキラーは、スパイモンスターを突きつけられて狼狽、逃げだそうとするがドン・ホラー の光線につかまり、裏切り者として暗黒銀河に永久追放という急展開。
 もう少しハンターキラーとサン・ドルバの確執をネタに使うのかと思ったら、さくっと片付けられてしまいました。
 結局一度もまともに戦闘しないまま、

 ハンターキラー、左遷

 結構好きだったんだけどなぁ……。
 何より、新幹部が、酔っぱらって暴れるだけのマザコンで、物凄く期待できない。
 「裏切っていようがいまいが、既にハンターキラーの利用価値は無くなっていた」と、かまをかけていた事をあっさりバラす魔女キバ は、キャラ的にはなかなか面白いですが。
 一方、マクー内部でそんな権力闘争があったとは知らず、ギャバンは黒尽くめの男と接触していた。
 彼の名は、アラン。ある使命を帯びて地球にやってきた、宇宙刑事であった――。

→〔まとめ其の四、へ続く〕

(2012年1月4日)


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