■『宇宙刑事ギャバン』感想まとめ1■


“男なんだろ? ぐずぐずするなよ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『宇宙刑事ギャバン』感想の、 まとめ其の一(1〜10話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第1話「東京地底の怪要塞」◆
 物語は、今よりちょっとだけ夢の近未来、スペースコロニーが完成間近の、地球。
 そんな地球に、マクーの魔の手が迫る。
 マクーは、宇宙犯罪組織だったり宇宙海賊だったり、地球を犯罪に満ちた惑星にしたかったり地球の財宝を全て欲しがったり、色々と 欲張りな組織。そして何故かボスがダイナミックテイスト。
 そのマクーの侵攻により、折角出てきたのに、ものの数秒で粉砕されてしまうスペースコロニー。
 「宇宙刑事」と銘打っているので、「宇宙」っぽい雰囲気を出そう、という事だったのでしょうが、最初のスペースシャトルの特撮 などなかなか雰囲気あったのに、さくっと破壊してしまう気前の良さ。
 そしてその日の夜には、地球上に秘密基地を建設済みのマクー、仕事早すぎ。
 一方、マクーに対抗するべく、銀河連邦警察から地球に、宇宙刑事ギャバンが送り込まれる。
 大規模に東京爆撃とかされているのに、刑事一人しか派遣して来ない銀河連邦警察は、本音では地球など、どう でもいいに違いない。
 衝撃的だったのは、Aパートの最後、CM前に「これから地球で頑張るぜ!」みたいなナレーションと共に、なんの溜めもなく変身後 の姿を見せてしまう事。
 どうやら地球では、コロニーの壊滅やら東京でビルが吹っ飛んだりした事などは、全て隕石の仕業という事になっているらしく、変な 人が「これはロケットの破片だ」とか言っていたり、子供達がUFO基地を探していたり、といったレベルの騒ぎにとどまっている。 そんな中、怪しいトラックの一団が、高速道路の地下へ向かっていくのを見た子供達。
 運転席に怪人じみた素顔のままで座っているマクー構成員
 仕事早いが、緩みすぎだ、マクー
 偶然、基地に繋がるダストシュートに落ちてしまった子供達は、そこから逃げだそうとするも途中で見つかり、ピンチ! という所に ジープでさっそうと現れる一条寺烈。
 ちなみに、この前のシーンではミミー(アシスタントの女)と一緒にどこか山の方へ隕石に調査?に行っていたのですが、それが 何故、タイミング良く都心で子供達のピンチに駆けつけられたのかなどは、120%不明。この辺り、時空間も 辻褄も一切無視です。
 物語の方はなんですが、大葉健二のアクションの冴えは、一見の価値あり。
 そしてそこから、
 生身アクション→蒸着!→蒸着プロセスをもう一度見てみよう→スーツアクション→魔空空間発動→サイバリオーーーン!→魔空 空間ではベムモンスターは3倍の力を持つのだ!→魔空空間バトル→レーザーZビーム→電子星獣ドル登場→マクー上級構成員(ダブルマン) とチャンバラ→ギャバンダイナミック
 と怒濤の展開。
 物凄いサービスで、これは、子供の頃見たら、興奮しただろうなぁ。

◆第2話「盗まれた日本列島」◆
 日本近海で、タンカー「大日本丸」が消失。
 事件を追うギャバンが母船で空から探っているのを見て、必死で壁にはりついてやり過ごすハンターキラーさん。
 一方その頃、日本政府に対して、犯罪組織“アルファ”から、「ダイアモンドを詰めたロケットを宇宙空間に飛ばせ。さもないと、 大日本丸を東京上空で爆発させるぞ」というかなり誇大妄想な脅迫状が。
 インターポール長官まで来日するも、何の役にも立たず、各国の協力を得てダイアモンドを集め、言われるがままにロケットを飛ばす 事に。
 この辺り、要求を疑うとか揉めるとかインターポールが何かするとかいう描写は全く無しに、鬼のような早さで展開します。
 そして勿論、犯罪組織“アルファ”を名乗って、ダイアモンドを詰めたロケットを宇宙に飛ばさせて回収したのはマクー。
 トランク一杯のダイアモンドで大はしゃぎのマクーさん。
 これに気をよくしたマクー総帥ドン・ホラーは、
 「日本政府がどれくらい我々の言うことを聞くか試してみよう」

 そう、一度屈すると、テロリストの要求はどんどんエスカレートしていくものです……
 
 「富士山をアルファの所有物にしろ」

 エスカレートしすぎな上に、意味不明。
 そして特に揉める描写もなく、あっさり富士山の譲渡書類をロケットで打ち上げそうになる日本政府ですが、乗馬クラブで働きながら 女とイチャイチャしていたギャバンがこの陰謀を察知。宇宙空間でマクー戦艦を撃退し、事なきを……「この借りは、10倍、いや 100倍にして返してやろう。東京上空でタンカーを爆発させるのだ」
 ギャバンの独断専行で、東京大ピンチ。
 その後ギャバンは、発見した敵基地を強襲。怪人を撃破するも、何故か帆船に改造されて、基地を飛び立ち東京 を目指す大日本丸。無線操縦の通信機と共に脱出した上級構成員を追い、海上で戦うギャバン。着ぐるみのままの、モーターボート上で のバトルはなかなかの迫力。上級構成員を倒したものの、大日本丸は自動操縦で東京上空へ。間一髪、ドル(巨大なドラゴン型の、 サポートロボット)のかぎ爪で大日本丸を引っかけたギャバンはそのまま宇宙へと上昇し、宇宙空間で大日本丸の爆破に成功、東京に 平和が戻るのでありました。
 ……というか、大日本丸が2回ぐらい東京のビルにぶつかっているので、結構な被害があったと予想されます。
 ここまで見て分かった事は、銀河連邦が地球を軽視しているわけではなく、宇宙刑事一人が圧倒的 戦力、という事。ドルの鼻面に乗ったまま、平然と大気圏突破するし。
 コーエーテクモは是非とも、『宇宙刑事無双』を出すべき。

◆第3話「大変だ!黒星博士のベム計画を阻止せよ」◆
 サブタイトルが、たまらなくいい(笑)
 アバロン乗馬クラブに普通に客が……と思ったらミミーで、冒頭からイチャイチャと二人並んで馬を遠乗り。2話のラストで ハンターキラーさんも悔しがっていましたが、この二人はイチャイチャしすぎだと思います。
 コム長官も、毎度美人秘書を脇に立たせて現れるし、宇宙警察はどうなっているのかッ。
 自ら怪しい老人の扮装をして、動物を昆虫網で捕まえて歩く黒星博士(宇宙食の世界的権威)。その目的は、地球の生物を地球以外の 環境でも生きていけるように改造し、宇宙へ輸出?するという「ベム計画」の実験の為だった!
 「はぁっ!」と気合いの声とともに昆虫網が広がって動物を捕まえるという映像はなかなか面白く、後半、実験の対象を人間に変えた 際に、小さくされた子供達が、ビーカーに掴まっているという映像も面白い。
 あわや子供が改造手術される、という寸前にギャバンが間に合うのですが、ここで、鳥に変身したミミーが人間の姿に戻っているの ですが、それは子供達に見せてもOKなのか?
 一方、黒星博士は、マクー上級構成員に変身。
 もともと地球人だった黒星博士がマクーに忠誠を誓う事で宇宙人に変身できるようになったのか、そもそも宇宙人が地球人に化けて いたのかは不明。後者だとすると、マクーの地球侵略はけっこう長期的な事になりますが、大ボスが出馬してきたのが1話からで、それ 以前からも少しずつ地球侵攻の手筈を整えていたという事なのかなぁ……?
 ギャバンの父、宇宙刑事ボイサーも、地球で活動中に行方不明になったという事実が今回、明るみに出てきますし。
 しかも、その時にボイサーに増援として呼ばれたのが、宇宙警察を裏切る前のハンターキラーとか、思いつきで書いたようなネタで けっこう時系列が難しくなっているのですが、ボイサーはいつから地球にやってきて現地人の女(ギャバンの母は地球人)に子供を 産ませたのか、そしてその息子をいつからバード星で育てる事にしたのか、とか、ちゃんと辻褄合うのかなー(笑)
 ハンターキラーさんといえば、珍妙な格好のまま、トラックの助手席に平気で乗っている所にときめきます。
 もう少し時代が下ると、戦隊物で敵幹部が人間に変装(役者さんの素顔出し)したりするのも定番ネタ化しますが、この時代はまだ そういうのは無かったのか。

◆第4話「死を呼ぶ魔人兜」◆
 冒頭から、「魔人兜」とか「宇宙伝説」とか 「宇宙考古学」とか「宇宙文字」とか 「光コンパス」とか脱力系キーワードが山ほどナレーションされる、脱力展開。特に、どうして そんな分野が発生したか皆目見当のつかない「宇宙考古学」を専門とし「宇宙文字」を解読した地球人の教授、はいったい何者 だ(笑) バード星人か、バード星人なのか!?
 そして、第1話で「これはミサイルの破片だ」などと宣っていたUFO好きの人が3話に引き続いて登場で、微妙にセミレギュラー 化。今まで、通りすがりに二言三言話した事があるだけなのに、顔を見て「小次郎さーん」って、いつの間に下の名前で呼び合う仲に なったのか、ギャバン。
 コム長官による魔人兜の来歴は、

 5千年前、どんな人間でも被ると無敵の力を手に入れる魔人兜の為に、それを巡ってバード星 は戦争に明け暮れていた
 ↓
 よーし、宇宙の果てにある地球とかいう星に隠してしまえ
 ↓
 以後、バード星は平和と知性を手に入れた



 地球、大迷惑


 しかし宇宙刑事の無双ぶりを見るに、コンバットスーツには恐らく、魔人兜のテクノロジー(?)が利用されているのでしょう。
 その魔人兜ですが、奪ったマクーの構成員が被って出てくるも、ギャバンダイナミックで斬殺。「5千年の間に魔力が失われたのか ……」と、しまらないオチ。
 3話はちょっと面白かったのですが、今回はいまいち。
 地味な所では、大した活躍もできず、1話で実に3回も「スパイラルキック」を喰らったサソリモンスター、哀れ。
 さて事件が無事に片付き、愛車のジープでドライブ中のギャバンとミミー。
 ミミー「久しぶりね、二人でこんなにゆっくりするなんて」
 先週も、馬で遠乗りして同じ事を言っていたような。
 その時、バイクで走るハンターキラーさんを目撃(恐らく、意図的な嫌がらせ)。
 追いかけようとするギャバンに、
 ミミー「ほっときなさいよ、あんな男」

 仕 事 し ろ

 そしてナレーションが「デートをする暇もないのだ」って、もう公式なのか、このイチャイチャ(笑)
 ……もしかしてこれが、後の『機動刑事ジバン』における、直人×このみのイチャイチャに繋がるのでしょうか。

◆第5話「ミミーは泣く 猛毒コブラ弾が烈に命中」◆
 来日した世界的な平和主義者ジョー・スミス氏がハンターキラーに狙撃される。マクーの陰謀を感じた烈は、スミス氏がマクーに 襲撃された場に駆けつけ、身辺の警護を買って出るのだが……。
 新聞の見出しにも、「平和主義者スミス氏」とか書かれてしまうスミス氏の職業は、「平和主義者」なのであろうか。 なんか、「自宅警備員」の上級クラスみたいな香りがぷんぷんします。
 スミス氏襲撃に際して、マクーは相変わらず、変装する気が一切ないのが素敵。トラックの運転席から出てきた毒蛇モンスターは、 そこまで運転していたのかと思うと、微妙にときめきます。
 逃走したマクーの後を追い、秘密のアジトを発見したミミー。
 地雷と高圧電流の張り巡らされたアジトに潜入を図る烈。

 華麗なロープアクショ……撃たれた

 あまりに見事に撃たれたので、思わず、大笑い。
 今日も大葉健二のキレのあるアクションいいなぁ……と思おうとした瞬間に撃たれる、という、この番組ならではの捨て身の笑い。 ……いや、そういう意図ではなかったと思うんですけど、面白すぎた。ホント『ギャバン』の最大の魅力は、大葉健二にあり。
 ミミーの必死の治療も虚しく、ハンターキラーの放った猛毒弾により生死の境を彷徨う烈。ハンターキラーさん高笑いで、ドン・ホラー に「ギャバンは仕留めました!」と報告するのですが、その頃、バード星から特効薬を持ってマリーンが地球へ。ワープであっさり 辿り着いて、薬を投与してしまいます。
 マリーンさんの本命はてっきりコム長官(おぃ)だと思っていたのに、ここではミミーとのギャバン看病合戦が発生。
 復活したギャバンは、マクーのアジトに資材を運び込むトラックに忍び込み、アジト内部に潜り込む事に成功。そこには世界中の武器 商人に売り込みを図るハンターキラーと、平和主義者である筈のスミス氏の姿が! なんとスミス氏の正体は、マクーの手先、ダブル マンだった!
 そこから戦闘突入で、雑魚を蹴散す烈。だがその時、背後からダブルマンが烈を狙撃する! 危うし烈、再び凶弾に倒れてしまうのか ……しかし、画面が切り替わると、既にそこには変身したギャバンが!
 そう、「コンバットスーツの装着にかかる時間はわずか0.05秒なのだ」とナレーションが被さり、 「では、蒸着プロセスを見てみよう」と、狙撃→蒸着→弾丸防御、を遡るという、新演出。
 この際、誰も聞いていないのにわざわざ「宇宙刑事 ギャバン!」と名乗り、名乗った後で弾丸を受け止めている ギャバン(笑) げに身に付いた習性は恐ろしい。
 マクーの陰謀を無事に阻止し、恒例のデート……と思いきや、今回はマリーンが一緒。ブティックで「お礼に何でも買ってあげる」 と見栄を張ったものの、83000円のドレスを指定され、挙動不審になる烈。挙げ句の果てに、一緒にいたミミーに「金貸して」と、 最低だ、烈。
 ただギャバン達は普段の生活に困っている様子は全くないので、捜査活動に際してはなんの悪意もなくお札の偽造ぐらいして いそう。赴任先の現地人の法律とか、あまり気ににしなさそうだしなぁ、宇宙警察。

◆第6話「魔空塾の天才たち」◆
 地球人の子供にマダコフードを食べさせる事で優秀なダブルマンに育てられる事がわかり、ダブルマン育成の為に地球の子供を 狙うマクーは、「天才塾」なるものを建設。アバロン乗馬クラブに遊びに来る子供達の一人であり、テストの点の悪さを気にする アキラくんは、誘われるがままに天才塾に連れ込まれ、催眠学習を受ける事になる。
 学習の効果により学力が上昇する子供達だったが、同時に、食事の時間にマダコフードを与えられ、少しずつ、洗脳されていく。
 学校では真っ先にテストを終わらせ、カンニングを疑った先生を、念動力で脅かすアキラくん。
 ……あ、あれ? なんか色々、主旨変わっているような……。
 それを見た他の子供達が、一緒に天才塾へ通う事に。
 乗馬クラブ会長、
 「あきらくんが念動力まで使えるようになったらしい」

 オカシイ

 それ絶対、オカシイですから、会長!
 天才塾の調査に乗り出した烈は、マクーの構成員と戦闘。子供達を救い出すが、既にマダコフードを一定以上食べた子供達は、作戦の 指揮を執るダブルマンの笛の音に操られるようになってしまっていた(微妙に『キカイダー』オマージュを感じる展開)。
 味覚が変化し、「こんなまずい飯が食えるかぁっ!」とテーブルをひっくり返し、「マダコフードを食べさせろ!」と大暴れ するアキラ少年はなかなかの熱演。そして烈が見張りをしていたにも関わらず、笛の音に導かれ、天才塾の早朝特訓へと赴くアキラ くん。追いすがる烈とマクーの戦闘の末、洗脳笛とオオマダコモンスターは撃破され、子供達に平穏が戻るのであった。
 見所は、麻薬中毒っぽくなってしまったアキラ少年と、何故か変な掛け声と共に地球人→正体と変身するようになったダブルマン、 初の女性型ダブルマン(ダブルウーマン?)、とか。
 大先生十八番の洗脳塾パターンですが、マダコフード食べさせるだけなら、もっと効率的な手段があった気がして仕方が ありません(笑) サンプル品とかに中毒性が……とかいう方が話としては怖いけど、逆にそういうのは類似事件でも起きて問題になる とまずいので、制約があったりしたのかも。
 次回予告がなんか凄そうだったのですが、サブタイトルがまた長くて、1話ごとのサブタイトルの長短は、よくわからないけどわざと やっているみたいだなぁ(1話は短かったですが)。

◆第7話「怪物がひそむ花びらに少女は口づけした」◆
 銀行に、毎朝(?)花を届けているバラ園。そのバラの中に、小型化できるアリ怪人を忍び込ませ、現金輸送車にさりげなく同乗、 人気のない所でバラの花の中からアリ怪人が登場し、ガスを噴霧して輸送車の乗員を行動不能にした上で、現金を奪うという、マクー さん、実に細かい仕事。
 そもそも行員が洒落て、バラの花を輸送車の乗員に渡したりしなければ避けられた事態ですが、恐らく、バラ園から花が来る→その花 を一輪、輸送車の乗員にプレゼントする、という習慣まで下調べ済みだと思われます、さすが、地球に意外と土着している宇宙組犯罪 組織、マクー。
 捨て犬を発見して餌をやっていた烈は、バラ園の少女に出会い、少女に犬を(勝手に)プレゼント。その帰り道に、マクーが現金 輸送車を襲っている所を偶然見みかけ戦いが始まりますが、今作のいい所は、いい意味で、アクション始まると細かい事は忘れられる事。
 それだけの価値がある。
 なお前回に引き続き登場のダブルマン女性型は、烈の台詞により「ダブルガール」である事が判明。
 ウーマンではなくて、ガールなのか。
 けっこう、熟女っぽかったのに。
 その後なんやかんやとありまして、家族を人質にとられたバラ園の少女が手にしていた一輪のバラを覗き込んだ烈は、アリ怪人のガス を食らい(催涙性らしい)、視覚を奪われ大ピンチ。……だったのですが、案の定、「蒸着」したらそんな事は無かった 事になりました(笑)
 人間サイズの時は特に何もついていなかったのに、魔空空間で巨大化したら、いきなりバラを身につけたアリ怪人は、要するに趣味 なのか、バラが? バラと怪人、とか、バラと少女、とか、バラと烈、とか、視覚的に面白そうだと思って作った話のようなのですが、 怪人が常に隠れているわけでもなく、中盤では現金輸送車を力尽くで普通に襲ったりする為、徹頭徹尾、怪人がバラの花の中に隠れて いた意味があまり無く結局だから何だったのか、みたいな話になってしまいました。
 巨大アリ怪人をドルレーザーで撃退したギャバンの前に現れたのは、構成員に騎馬隊の騎馬を組ませたダブルマン。
 チャンバラ新機軸ですが、ギャバンのレーザー攻撃・シルバービームにより、騎馬を組んでいた構成員は、あっという間に消し 飛ばされました(笑) 何したかったんだ、ダブルマン。
 最後、バラ園の少女から助けてくれたお礼にとバラの花束を貰い、その一輪を、少女の髪にそっとさす烈。自分の家に溢れているので 少女としてはあまり嬉しくないかもしれませんが、男が花束貰っても喜ぶポーズを崩さなかったり、モテる 男としてのギャバンの奥の深さをまざまざと見せつけられてしまいました。恐るべし、ギャバン。

◆第8話「正義か悪魔か?銀マスク大ヒーロー」◆
 3→5→7話とサブタイトルが長いので奇数話の特徴にしているのかと思ったら8話も長かったので、特に誰も何も考えていない という事が判明。まあ、そういうものです。
 幾度もギャバンに苦渋を舐めさせられたマクーは、新しい意図の作戦を展開。
 ハンターキラーさん曰く、
 社会的に抹殺してやろうと思います」
 まさか、ヒーロー物で、その単語を聞くとは思いませんでした。
 これだから、良くも悪くも、大先生は侮れない。
 「押して駄目なら引いてみるのも戦略、面白い」
 と、マクー総統ドン・ホラーも意外と乗り気。
 宇宙刑事の圧倒的戦力の前に、少し弱気になっている模様。
 『スペースマガジン』という雑誌の編集部を乗っ取り、「剣岳でUFOを見た」という記事を故意に拡散したマクーは、そこへやって きた子供達を襲い、それを助けに来たギャバンの姿を盗撮。その上で、ギャバンがモンスターと戦闘中に、助けに来た人間のふり をして子供達を攫い、ギャバンに誘拐の罪を着せる!
 マクー側の盗撮写真のリークにより、新聞やTVで、「悪の宇宙人」として紹介されるギャバン(笑)
 もぬけの殻の『スペースマガジン』編集部を訪れた烈は、全てがマクーの罠だったと知る。
 自分の無実を証明する為にも、子供達を助け出そうとする烈は、子供達が捕まっているダムを発見し突入。自動操縦のジープを囮に 使う作戦が功を奏し、子供達の救出に成功。マクーを撃退し、無事に濡れ衣も晴れるのであった。
 ネタとしては面白かったのですが、そもそもギャバン自体が世間に認知されていなかった為、マクーが考えたほどのダメージを与え られず、なんとなく空回りした感じに。というかマクーは、ギャバンの正体(一条寺烈)を何となく知っているのだからそちらを追い 込んだ方が効果的だとは思うのですが、それやりすぎると別の作品になってしまうので、今作としてはこの程度のネタ話に収めておく のが無難か。そういう展開を期待しているわけでもないですし(^^;
 今回は、コメディリリーフの小次郎さんが割と活躍。個人的には出てくると鬱陶しいのですが(笑) しかし小次郎さんは、ギャグ 担当にも関わらず、前々回では車に追いかけられ、前回はバイクで転倒し、今回は馬に逆に乗ったりと、意外とアクションさせられて いる。
 話の都合でここしばらくの回で人間体に変身できるようになったマクー構成員が、今回から、光線銃を使用。他にも久々に円盤での 宇宙戦闘、バトルのメインがダブルマン、とちょっと今回は戦闘に変化をつけてきました。ダブルマンが攪乱戦法を使って来たりも したのですが、宇宙刑事の圧倒的戦闘力の前には、3倍パワーでも糠に釘。
 とりあえずマクーは、早急に「レーザースコープ」対策を考えた方がいいと思います。
 魔空空間でモンスターが姿を隠す→ギャバン「レーザースコープ」でサーチ→隠れているモンスターを発見して「レーザー・Z・ビーム」 が鉄板のフラグすぎ。
 「ギャバン・ダイナミック」のイメージが強いギャバンですが、実は「レーザー・Z・ビーム」が物凄く強力。

◆第9話「美しい人形スパイ」◆
 冒頭、細菌研究所のファイルキャビネットを漁っているダブルマン(笑)
 ファイルを小脇に抱えて逃げてきた所を、研究所の異変を感知したギャバン(警察無線を傍受していたり、宇宙刑事も色々と大変)と戦闘になるが、ギャバンのレーザー攻撃を跳ね返すシールドを使い、逃走に成功する。
 マクーが狙っていたのは、7年前に開発された、特殊な細菌、バシラスX−0。しかしその細菌の発見者である杉本テツヤ博士は、細菌の危険性を恐れ、その資料を封印。自らも過去を捨て、塚原テツと名前を変えて暮らしていた。
 優秀な調査力であっさりと、博士が理科の教師として暮らしている事を突き止めたマクーは博士を呼びだし、
 「手付け金として1億円」
 で、バシラスX−0の培養を依頼する。
 博士が断ると、「娘が居たな」と、脅迫を匂わせるダブルマン。
 まず金。
 その後で、脅迫。
 この辺りが、仁義ある宇宙犯罪組織マクーの素敵な所
 でも面倒くさくなると、こそ泥はやります。
 深夜、博士の書斎を荒らすダブルマン。

 木刀で襲いかかる博士

 ダブルマンは娘の寝室に飛び込むと、「人形操り」の術で、娘の大事にしている人形と同化。その姿で自由に動ける所を見せつけ、 博士を再び脅迫します。脅迫に屈した博士が、書斎で西洋人形と語り合っているシーンは非常にシュール。というか、この場面が やりたかっただけで脚本書いたとしか思えません。
 一度は承知しかけたが、やっぱり駄目だ、とやにわに人形を床に叩きつける博士。
 博士は、精神状態がぶれすぎ(笑)
 物音に気付いて駆けつけた妻に「人形に悪魔が取り憑いた!」と宣い、夜中に庭に穴を掘って人形を埋める博士。

 もっと遠くへ捨ててこい

 ……いやま、それだとホラーにならないからなのでしょうが、しかしそもそも、魚人系のダブルマンが乗り移っている所を見せて しまっているので、既にホラーが成立しないという矛盾(笑)
 ホラーにするなら、なぜ人形が動いているのかはわからないようにしておかないとなぁ(^^;
 と思ったら、朝になると庭に埋めた筈の人形を娘が抱いて食卓に……まではお約束だったのですが、博士がそれを取り上げて床に叩き つけると、やおら起きあがった人形、目からビーム。
 鉄板のホラー展開でもなんでもなかった(笑)
 結局もう、人形に取り憑いた意味は全くなかったレベルで、直球な脅迫。
 家族を人質にとられ、やむなくバシラスX−0の培養を始める博士でありましたが、偵察していたミミーからの情報によりマクーの アジトに向かった烈により助けられるのでありました。
 今回は、ベムモンスター登場せず、魔空空間がなかなか発動しない、と戦闘ちょっと新機軸。
 多分、ドン・ホラーが昼寝していた。

◆第10話「人間クラッシャー部隊を撃破せよ!」◆
 フリップでドン・ホラーにプレゼンするダブルマン(青)。
 そういえば天才塾の時もこんな説明をしていました……さすがマクー、首領自ら営業会議に出席です。
 正直マクーは、下手な戦隊相手だったら相当いい感じで世界征服を進められると思うのですが、なにぶん、宇宙刑事が無双すぎる。
 そのギャバン抹殺の為、運動能力に優れた人間を集め、改造手術を施す事で「人間クラッシャー部隊」を作成しようとするマクーは、 各地でスポーツエリートをスカウト。ダブルマンの変身したスポーツドクターの肩書きで、彼等の訓練を開始する。
 甥っ子の野球選手が、そのスカウトを受けたという小次郎の話を聞く烈。
 「高校生が160キロのスピードボールを投げられるようになると思うか?」
 「冗談じゃないよ。プロでもせいぜい150キロだぜ」
 なぜか、地球のプロ野球に詳しい(笑)
 捜査活動の一環としての地球文化の情報収集…………というよりは、ミミーといちゃいちゃ野球観戦デートしているんだろうなぁと しか思えません。コム長官も、「パパ、お小遣いが足りないの」とか言われたら、すぐさま裏帳簿から工面しそうだし。
 怪しんだ二人はスポーツドクターと選手達の元を訪れるが、ランニングに出た彼等の姿を見失ってしまう。
 彼等は、魔空ロード(魔空空間の技術を応用か?)に連れ込まれ、ニジチョウモンスターの鱗粉を浴びる事で、マクーに洗脳されて しまうのであった!
 ロードから自宅に帰ったスポーツエリートの学生達は、突然次々と暴力的になり、「こんな飯が食えるかぁっ!」と食卓をひっくり 返す。
 ……あれ?
 ……大先生、上原正三大先生、数話前にやったネタと、90%被っているんですが先生?!
 また竹刀振ってスパルタしているし。
 ちなみに今回のダブルマンの好きな台詞は、「腰が据わってない!」です。
 その後、虱潰しに運動施設をあたっていたギャバンの強襲を受け、正体を現したスポーツドクターダブルマン。学生達は解放されたか に思えたが、しばらく後、一斉に家出をしてしまう。山奥で、本格的な戦闘訓練を受ける彼等。再び助けに現れる烈だが、逆に洗脳 された彼等に襲われてしまう。
 メリケンサックで襲ってくるボクサーとか、鉄球投げてくる野球選手とか、槍で突いてくる陸上選手とか、阿呆らしいプラス烈が 反撃できない、という事で割と面白い戦闘だったのですが、集団に殺陣つけるのが大変だったのか、すぐにいつも通りの怪人+構成員 との戦闘になってしまったのは実に残念。
 今回は、ダブルマンが最後のチャンバラで命乞いしてくるという新機軸。勿論隙をついて襲ってくるのですが、さくっとギャバン ダイナミックの露と消えました。
 ネタが出なかったなら、誰か、他の脚本家に頼もうよ、大先生(笑)
 しかし次回はちょっと、重要イベント発生ぽい予告。

→〔まとめ其の二、へ続く〕

(2012年1月2日)

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