■『特捜エクシードラフト』感想まとめ9■


“エクシードラフト 燃えろ 冴えろ 輝け
エクシードラフト 魂の兄弟たちよ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜エクシードラフト』 感想の、まとめ9(41〜45話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第41話「対決!ふたりの拳」◆ (監督:石田秀範 脚本:扇澤延男)
 拳に瓜二つの偽物が登場。借金をせびったり食事代をツケにしたりと、拳の顔と新聞の切り抜きを名刺代わりに、 二人の兄とせこい軽犯罪を繰り返していたが、怪しげな風体の男に声をかけられ、ビルの一室に連れて行かれる。
 「なるほど……こいつはそっくりだ」
 「知ってましたよ。始めから、偽物だってことは」
 兄弟は、1億円を提示され、拳そっくりの容姿を利用して、ある“大切な商品”を取り返してほしい、と頼まれる……。
 一方、借金取りや食堂のおばちゃんに本部に乗り込まれ、捜査に乗り出したエクシードラフトは偽物グループの正体を突き止める。 彼等は、地元では有名な仲の良い間抜け三兄弟。長男の清水亀造、次男の鶴吉、そして拳そっくりの三男、千代松であった。
 と、拳役の榊原伊織(かえすがえすも、凄い芸名)が一人二役で展開。
 二人の兄も食堂で「俺が叶隼人」で「俺が村岡耕作」と名乗るのですが、こちらは似てません(笑)
 というか、それを聞いたら、隊長がバルカンカートリッジを準備しかねないレベル。
 いかにも不穏な気配を感じながらも、1億円に目がくらんだ兄達に促され、中央科学研究所へと入り込んだ千代松は、 エクシードラフトによって押収されたディスクを入手する。その中には殺人光線銃の設計図が収められており、 所員からそれが「悪魔の発明である」と聞かされた千代松は、逡巡の末、ディスクを渡さずに依頼者の男を殴って逃走。
 このまま自首するにはエクシードラフトが怖い、かといって死の商人らしい依頼者グループの元へは行けない……困った3兄弟は、 とりあえず報酬の入ったトランクを“バールのようなもの”でこじあけようとする(笑)
 「この1億円で南の島でも買おう」
 と、どこまでも駄目な3人。
 だがトランクの中身は、一番上だけが本物で、後はただの紙切れであった。風に飛ばされた数枚の本物(それでも10〜20万ぐらいか) を追いかけている内に巡回警官に見つかり、緊急配備の網にかかる3兄弟。足をくじいた長男は二人を逃してエクシードラフトに捕まり、 次男もまた死の商人グループに足を撃たれて囚われる。
 兄二人に叱咤され、ひとり逃げる千代松。
 札束を握りしめたまま。
 「俺に任せて先に行け!」をパロディしながら、兄弟の間抜けさと絆を描き、スラップスティックな感じでうまく展開。
 間抜けな兄弟が悪事に巻き込まれて……というのは金銀ブラザーズの回(第15話)と同じ構造ですが、脚本があれを踏まえたからか、 監督のセンスが話と合ったのか、出来の悪かった15話と比べると、かなり秀逸。
 エクシードラフトの元で、死の商人のアジトの場所を必死に思い出そうとしながら、兄弟の来歴を語る長男。 弟の居場所の心当たりを吐け、と拷問を受ける次男。いったいぜんたいどうすればいいのか、と頭を抱える三男。
 とりあえず、妄想してみる。
 −−−−−
 例1:ディスクを死の商人に渡した場合
 交換で、小さい兄ちゃん、助かる。
 報復で、大きい兄ちゃん、蜂の巣(おぃ)
 例2:ディスクをエクシードラフトに渡した場合
 交換で、大きい兄ちゃん、助かる。
 報復で、小さい兄ちゃん、蜂の巣。
 −−−−−
 どちらかを助けられない! というか、何もかも間違っている!(笑)
 「俺に任せて先に行け!」で長男と次男をそれぞれ別陣営に捕まらせた事を、妄想シーンの対比 (エクシードラフトと死の商人グループが、それぞれ同じ反応をする)で映像として面白く見せ、巧く活用。 同時に千代松の馬鹿っぷりと兄弟の愛情を見せ、シナリオとしても、コメディとしても、ここは良かった。
 今回は全編通して、兄弟の間抜けっぷりと愛情が常に同居している(だからタチが悪いとも言えるのですが)という見せ方が秀逸で、 話が厭らしくなりませんでした。
 二人の兄をともに助けるにはどうすればいいのか……その時、警察手帳代わりに持ち歩いている拳の新聞記事を目にとめる千代松。
 「キース……ドラフトキースだ!」
 千代松は本部へ潜入すると、設計図のディスクと「盗んだディスクは返します。だから兄ちゃんを蜂の巣にしないでください」 という置き手紙をガレージに残し、スクラムヘッドを強奪。死の商人グループのアジトへと走らせる!
 相変わらず、本部のセキュリティがザルすぎるレスキューポリス。
 特殊車輌のガレージに認証システムぐらい、お願いします。
 今作は当初、不審者は入り口で止められる、という描写があったのですか、いつの間にやらすっかり骨抜き になってしまいました(^^;
 もう単純にシナリオの都合(今回ばかりでなく全体の)なのでしょうが、怪しい三人組も手紙爆弾も食堂のおばちゃんも、 何もかも素通し。
 シムの探知でスクラムヘッドの行き先を確認したエクシードラフトは、一緒に行きたいと懇願する長男を連れ、出動。一方、 死の商人グループのアジト前に辿り着いた千代松は、ドラフトキースになって乗り込もうと、運転席で叫んでいた。
 「実装!」
 ……が、変身できなかった。
 「叫ぶだけじゃ駄目なのか?」
 地球の科学力ですから。
 この辺りのひねった感じは石田監督の味という気もしますが、全体としてセルフパロディ風味。
 死の商人グループがアジト前に乗り付けたスクラムヘッドを警戒して、内部で銃器を構えて待ち受けるも突撃してこなくてきょとん、 という映像もシュール。
 スイッチをいじってバタバタしている内に、様子を見に出てきた死の商人グループに捕まってしまう千代松。 次男と一緒にまとめて始末されそうになるが、そこに、本命突貫。
 キースと千代松は共演できる、という着ぐるみの妙。
 冷静に考えると、死の商人グループはスクラムヘッドを路上に放置していたのかと思うと、男らしい。
 あっさりと死の商人グループを叩きのめすエクシードラフトであったが、組織のボスが最後っ屁で防壁を作動させ、 次男と千代松が炎にまかれる壁の向こうに閉じ込められてしまう。キースの特殊警棒の一撃を跳ね返す防壁を、 「ビルドライバーとか使うのめんどくさいし」と言わんばかりに、サイクロンノバで消滅させる隊長。
 危うくまた、証拠物件(人間二人)が虚無へ還る所でした。
 隊長はもう完っ璧に、先達の歩んだ魔道をトレースしているな……!
 かくて死の商人グループは壊滅。だが、清水兄弟の犯した数々の犯罪が消えて無くなるわけではない。 うなだれる3兄弟はパトカーに連れていかれ……キースはその背に声をかける。
 「清水千代松!」
 ヘルメットを外す拳。見つめ合う、そっくりな二人。
 「羨ましいな、おまえにはいい兄弟がいて」
 「そっちにも」
 「え?」
 「居るじゃないですか、拳さんにも」
 「俺にも?」
 両サイドから、拳の肩を叩く隊長と耕作。
 「血の繋がりは、無いけどな」
 魂の兄弟たちよ!
 成り行き考えると綺麗にまとまり過ぎな感もありますが、ここは色々踏まえて飲み込んだ上で、拳が千代松の 「心を救う」努力をしている、と捉える所でありましょう。
 この辺り、やはり扇澤脚本はテクニカル。
 ただ最後は無理に合成で向かい合った映像にしないで、別撮りでも良かったよーな。
 くしくもデビュー回と同じ扇澤脚本で、前作で監督デビューした石田秀範が再登場。デビュー回は脚本が悪かったのか 相性が悪かったのか良くない出来でしたが、今回はスラップスティックコメディ風味で、巧くまとまり、 後年の活躍をなるほどと思わせるセンスが光りました。
 次回……

 もう轢かずにはいられない!

 それも真似しなくていいのに!

◆第42話「特捜、謹慎を命ず」◆ (監督:石田秀範 脚本:酒井直行)
 轢いてない。
 全然轢いてない。
 あのぐらいで轢いたとは、片腹痛いわ!!(何)
 というわけで、車で尾行中に悪の組織の罠にはまり、少年を轢きそうになる耕作。割と余裕で車を止めるも、 悪の組織はいかにも耕作が少年をはねたような写真を撮り、更に警察に通報。偽の目撃者まで仕立て上げ、耕作を陥れるのであった。
 気を失った状態で道路に投げ出された少年を余裕で回避したにも関わらず、通報で駆けつけたパトカーに乗せられそうになり、 偽の目撃者に対し「貴様どういうつもりで嘘をつくんだ!」と胸ぐら掴んだり、
 「俺はエクシードラフトの村岡だ! 同業だ!」
 「俺はやってない! やってないんだ!」
 ……うんなんか段々、逮捕した方がいい気がしてきたゾ。
 もちろん容疑を全面否認する村岡容疑者であったが、目撃者が居た事に加え、新聞に事故の写真が送りつけられた事から絶体絶命。 結局は本部長が引き取りに来て、容疑は有耶無耶のまま一週間の謹慎処分となる。
 本部長曰く「幸い、子供の怪我も大した事はないらしい」のですが、どこもぶつかってないのに一体どこをどう怪我したのか。 投げ出された少年は、交通事故っぽい怪我を擬装工作済みだったのか。この世界の病院は一体どうなっているのか。そういえば以前、 外傷の全く無い本部長に射殺されたと診断を下して霊安室に運んでいたけど、 この世界の医者はヤブばかりなのか。
 耕作を罠に陥れたのは、チャイニーズマフィアの龍龍雲、の取引相手である、覚醒剤密輸グループの小島涼三。 エクシードラフトによる捜査を妨害して取引を成立させるために、小島は次の目標を隼人と拳へと定める。
 一方、「耕作がやっていないと言っている以上、私は耕作の無実を信じる」と本部長の指示を受け、 事件の背後を洗う為に動き出すエクシードラフト。
 今回久々に、本部長にチームの要として、スポットライト。
 隼人は病院の少年の元へ向かい、面会を拒否する母親を拝み倒して、少年から当時の話を聞く。それによると、 少年は知らないおじさんに公園でジュースを貰って飲んだ所で記憶を失い、気がつくと道路に倒れていたのだという。また、 事件の目撃者の住所氏名が出鱈目だったという情報を得た拳は、消えた目撃者を追って動き出す。
 この時点で、警察が真面目に捜査すれば、捕まえられそうなんですが、小川。
 みんなが信じてくれないなら俺が自分で……と看護師に女装して病院に潜入していた村岡メンバーは、 仲間達の熱い想いに打たれて感動。なお女装はばったり出会った隊長にも気付かれない、実に恐ろしい達成度でありました!
 ところが……捜査中の拳、暴走族の挑発に乗った所を何者かに後ろから襲われ、リボルパックを奪われてしまう。

 むしろ、こちらが100%不祥事。

 村岡メンバーの方は真相が明るみに出た後は陰謀による狂言という事で(社会的な誤解はともかく)済みますが、 こちらは全く言い訳が聞かず、もはや降格案件。
 更に真犯人によってこの件がマスコミにリークされ、相次ぐ部下の不祥事に記者達に囲まれる隊長。
 正直この辺りは、週2ペースで続けて見ている関係で『ソルブレイン』の残像が強く、インパクト弱し(^^;  本来なら前作から約1年は経過しているので、また少し違うのかもしれませんが。
 …………いやまあよく考えると、ソルブレインが不祥事でマスコミに囲まれるような展開 (つまり劇中で不祥事が不祥事として認められる展開)って実は無かったような気はするのですが、あまりにも不祥事が日常的すぎて、 不祥事展開に対する感性が麻痺しているというか(おぃ)
 ソルブレインがやらかした(そして正木がもみ消した)諸々に比べれば、 せいぜい不祥事の「ふし」ぐらいだと思います。
 あと今作でも、愛の方がもっと酷い事してますし(笑)
 まあ愛の件は、片やNASAの宇宙船がらみ、片や宇宙人がらみという事で、 公式にはそんな事件は存在しなかった事になっている気配が濃厚だったりしますが。
 マスコミに送りつけられた村岡メンバーの事故写真の分析から、写真がどうやら耕作が尾行していた車から撮影された事、 内偵を進めていた覚醒剤密輸グループの陰謀である可能性が高いと判断するエクシードラフト。残る隼人を狙って必ずもう一度、 なんらかの罠を仕掛けてくるに違いない、と本部長は村岡メンバーを復帰させる事にする。
 電話をかけようとする愛を止め、「耕作のことだ。その辺りにいるよ」と、今回は本部長いい味DAY。
 「すいませんでした。俺、みんなのこと、誤解してました」
 「よせよ、仲間だろ」
 「ところで拳のリボルパックは?」
 仲間の生傷に全力で塩を塗り込みに行く耕作。
 「仲間が無くしたものは、俺たちみんなで取り返す。な?」
 隊長のフォローが格好良く決まった所へかかってくる、拳の銃を持った男が港の倉庫に入るのを見た、というタレコミ電話。 隊長は罠を承知でバリアス7で現場へと向かい、村岡メンバーと大熊メンバーは不意打ちの為に、 大人げなく実装した状態でその後を乗用車で追う。暗躍する小島の誘いに乗り、倉庫へ閉じ込められる隊長。
 「さしもの隊長も、バリアス7がなければ実装できない、ただの人。ははははははっ」
 ………………あー、いや、どうだろう。
 某香川竜馬ほどではないですが、多分その人、完全武装の兵士を素手で3人ぐらいくびり殺せると思います。
 ……だが、
 「騙されたのは、どっちかな」
 待ってましたと突入してくるブルース&キース。
 そして……
 人気の無い港の一角で取引を行う、龍大人と、小島。だが突然、小島が龍を殴り飛ばす。小島は村岡メンバーの変装であり、 取引はチャイニーズマフィアの密輸グループを一網打尽にしようという、エクシードラフトの意趣返しっぽい罠だったのだ!
 謀略戦で社会的信用を削られ、怒り心頭のエクシードラフト、三列横隊で、中国マフィアに骨の髄まで、 本当の恐怖というものを叩き込む!!
 バズーカ砲なんて豆鉄砲!
 下手に動くとバルカンカートリッジで蜂の巣だ!
 そして隊長、龍が逃げ込もうとした車を

 サイクロンノバで塵も残さず消滅させる。

 ノリはむしろ、
 抵抗した上に逃亡をはかったので、やむなく以下略
 この男を……敵に回してはいけない……!
 真面目な話としては、その車の中、証拠品とか色々あったと思うのですが隊長。
 シナリオとしては大きな問題が3つほどあって、
 1・不祥事ネタは前作でやりすぎた
 2・病院がおかしい
 3・警察の捜査が不真面目すぎる
 特に、自ら少年に缶ジュースを渡し、事故の目撃者になりすまし、拳を気絶させ、チンピラに直接報酬を渡し、 本部に偽のタレコミ電話をかけてくる小島は、幾ら何でも目撃情報を残しすぎ(^^; 小島サイドからすると 「取引成立するだけの時間」が稼げれば良かったという事なのかもしれませんが、警察が真面目に捜査すると、 あっという間に捕まりそうで、さすがに杜撰すぎます。
 頻繁な顔出しはキャスティングの都合かもしれませんが、逆にどうして、こんな役にこういうキャスティングになったのか(^^;
 酒井脚本は、最初の少年の精神世界ネタが良かったのに、その後はどうも微妙。
 そして次回、天使VS悪魔VS宇宙人!
 もう駄目だ、この時点でお腹いっぱいだ(笑)
 まさかデビット秋葉が再登場するとは……というか、凄い食い合わせが悪そうなのですが、 宇宙的にはどういう捉え方になるのかいったい(^^;

◆第43話「神と悪魔と黙示録」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一)
 キャスト表記で「大門巌」とえらくごついフルネームが判明し、気分はどちらかといえば、黙示録というより西部警察。 ミカも「美香」という日本語表記が判明し、両者ともなんだかんだで、世俗ライフを満喫している可能性が浮上。
 朝のランニング中に、そんな美香の幻影を鏡の中に見る隼人。
 「43……42……41……もう40日ないのね、この星が消えてなくなるまで」
 だから、数えるの早いよ!
 隼人は自宅で聖書や黙示録についてお勉強……湯田の一件を思い出す(回想シーン)が、基本、ロボットに襲われているだけなので、 その思い出にはオカルト要素がありません。
 神と悪魔の存在など、とても信じられない。しかしならば、あの美香という少女はなんなのか……

 病院行こうぜ

 現状、その少女は隊長にしか見えていないので、まずは医師の元で適切な診断を受けた方がいいと思います。
 隊長、あなた疲れているのよ……
 その頃、街ではやたらアクロバットなサンタクローズから「クリスマスイブの日にUFOを見に行こう!」 というチラシを受け取った少年少女達が次々と失踪するという事件が発生していた。塾の同級生さやかに告白するも、 にっこり笑って「ごめんなさい」で玉砕した勝もまた、さやかと共に失踪してしまう。
 勝の告白を耕作と拳が応援する、というコミカルなシーンがあるのですが、二人ともアドバイスが「当たって砕けろ」で、 毛虫ほども役に立ちません。
 そこはサングラスかけて、
 「ようようお嬢ちゃん、こんな所で一人で何してのん?」
 「俺たちと遊びにいかなーい?」
 と行く所でしょう!
 あと、初期にあった耕作の洒落者設定は、あらためて何の痕跡も残さず消滅したな、と。
 失踪した勝とさやか、そして少年少女達は、アクロバットサンタ3人組によって謎の空間に連れ込まれていた。そこにあったのは船 (にはいまいち見えない(^^;)、そして中から姿を見せる美香。
 「誘拐じゃないわ。旅立ちよ」
 一方、事件を捜査するエクシードラフトはサンタのチラシと失踪の繋がりに気付いてサンターズを追うが、サンターズの反撃を受ける。 隊長を蹴り飛ばし、謎の光線を放ち、空を飛ぶサンタ! 飛んでいくサンタをシムで捕捉しようとするが、キャッチ不能。 なんとシムのデータ上では、そのサンタには捉えるべき実体が存在していない!
 「ロボットでもない……サイボーグでもない……ましてや人間でもない……いったい何者なんだ?!」
 なお、サンターズは、髭で目元しか出ていないものの、全員女性。普段チンピラ役は雰囲気でどうしても男性になりがちですが、 サンタの扮装なら、という事でか、JAC女性メンバー押しで、アクション的にはかなり見せ場を与えられています。
 サンターズを追う中で、車のミラーに映った美香と会話を始める隊長。
 だから隊長、あなた疲れているのよ……
 あと、

 脇見運転、禁止

 前回の部下の不始末を、すっかり忘れている模様。
 子供達の誘拐を、主のおぼしめしだと告げる美香。
 (UFO……船……ノアの箱舟!)
 トンデモ伝奇小説のような連想法を身につけてしまった隊長は真実に辿り着くが、消えた子供達の親の悲しみを考えれば、 それは許される事ではない。しかし美香は、悪魔を倒す為には多少の犠牲は仕方ない、と隼人の言葉をはねつける。
 「なんということを……人間は、神や悪魔の道具じゃない!」
 「邪魔をするなら隼人、貴方も敵よ!」
 美香の言葉とともに、採石場へとワープする、バリアス7とスクラムヘッド。サンターズの攻撃を受けて実装する3人だが、 サンタ強し。
 実体の無いサンターズにはバルカンカートリッジも通用せず、未だかつて無いピンチに追い込まれるエクシードラフトへ、 エクシードラフトは人間が作り出したものであり、その人間を作った神には勝てない、と冷然と告げる美香。
 だが、そこへ、光の戦士がやってくる!
 「俺は人間じゃない……おまえたちの理屈は通用しない」
 ……えー、やっぱり、そういう事なのですか(笑)
 「あいつらは人形と同じだ」となぜか詳しいデビット秋葉は、宇宙ビームで変なオブジェを破壊し、消え去るサンターズ。 そしてどこかのビルから戦いの映像を眺めていた大門は、「あいつは……」とデビットの姿に反応する。
 果たしてデビッドは、何が目的で地球へやってきたのか?!
 耕作と拳は、敵はデビットの追う宇宙生命体なのか、と都合良く誤解するが、美香の事を知る隼人は言いしれぬ不安を感じていた。
 「俺の得た情報ではB地区のどこかに子供達の監禁場所があるはずだ」
 微妙に隼人から目をそらす秋葉。その横顔に、隼人はこれまでにない悲痛な色を見るのだった……。
 帰ってきた光の戦士・デビット秋葉。
 しつこく繰り返していますが、見ている方には何が「光の戦士」なのかさっぱり伝わってこない辺り、 前作の「復讐の貴公子」・高岡隆一と同じ匂いを感じます(笑)
 そんなこんなで光の戦士を加えた一行は、消えた子供達を取り戻すべく動き出す。その背後に居るのは、神と悪魔なのか?!
 ナレーション「遂に今、黙示録の幕があがった」――
 あがっちゃった……。
 意図的なミスリードっぽいものも含めて、幾つか引っかかる所はありまして、
 1・そもそも大門は人類滅亡の為の具体的な行動を劇中で見せていない
 2・話聞いている限り、人類滅ぼす気満々なのはむしろ、美香サイド
 3・総合的に、ハルマゲドンのアウトラインが全く見えない(神と悪魔の戦いが発生しているように見えない)
 4・その割には大門はサンターズvsエクシードラフトの戦いに「同士討ちか」みたいな感想で、 エクシードラフトは美香サイドに勝手に組み込まれている
 5・美香が隼人に接触してくる理由が不明
 6・隊長、あなた疲れているのよ
 最大の問題は1で、劇中でまだ大門が人類への脅威として描かれていないので、エクシードラフトが完全に “巻き込まれた第三者”となってしまった上に、美香サイドが勝手に過剰反応しているように見えてしまう。
 一面的な「敵か味方か」という構図を取っていないのは意図的かと思いますが、現状、 エクシードラフトが狂言回しの道化役になってしまっており、これはいただけない。
 で、そもそもアウトラインが見えないからリアクションの打ちようがないのに、何故か美香が隼人に接触してくるので、 そもそも何がしたくて何がさせたいのか、という所がもやもやとしてしまいます。
 例えば早い内に「こんな事が起こるけど、隼人はイケメンだから助けてあげる」「だが断る!」みたいなやり取りでもあれば、
 互いのやりたい事・やるべき事
 が見えて、物語に芯が通ってついていきやすくなるのですが、今後何らかの形で通すだろうとは思いますが、 出来れば頭でやっておいた方が良かったかと思います。
 で、宇宙人が宇宙ルールを適用した事で、「神」「悪魔」「人間」の定義づけも若干ややこしくなったのですが、 全知全能の超存在というよりも、宇宙のあちらこちらで生命を繁栄させた「神」と呼ばれる何者かが(複数)存在する、 というややSF寄りのアプローチになるのか、この辺りは次回、ある程度明かされそうですが。
 まあ、<天使編>だと思えば、ある意味で東映特撮ヒーロー源流への先祖返りなのか。

◆第44話「最終戦争(ハルマゲドン)の聖夜」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一)
 二人っきりで海を見つめる、隊長と秋葉。
 デビット秋葉が地球に再びやってきたのには、ある理由があった。弟――かつてカルロス東郷の体に宿っていたもの―― が犯罪者に転落した理由を調べ直していた秋葉は、その背後に“神”と“悪魔”の存在を知ったのである。
 遙か数十億年前――宇宙を二分する、大きな戦いがあった。
 その一方は善・光の存在であり、もう一方は悪・闇の存在。
 その戦いは神話や伝説といった形で、宇宙の様々な星に痕跡を残した。
 それこそが、この地球では“神”と“悪魔”として語り継がれる存在だったのである。
 「我々の星での、その邪悪な存在に対する呼び名を地球の言語に直すと、6・6・6になる」
 「6・6・6」
 定番中の定番・獣の数字を組み込みつつ、“神”と“悪魔”は宇宙的な対立を続ける光と闇の存在、と定義。それだと前回、 秋葉が宇宙ルールでサンターズを撃破したのがおかしくなる気がするのですが、あちこちの星で進化した知性体が細分化しすぎて、 それぞれローカルルールで対応しないといけない、面倒くさい状況になっているという事でしょうか。
 弟が悪魔崇拝をしていた事を突き止めた秋葉は、ハルマゲドンでこの星が消えるのは避けようのない事実としながらも、 弟を破滅に追い込んだ存在に一矢でも報いようと、今、神と悪魔のハルマゲドンの最前線となった地球へ降り立ったのであった。
 一方、箱船ではさやかちゃんにいいところを見せようと脱出を試みる勝が、投石でオブジェを破壊。結局脱出には失敗するが、 バリアの消えた一瞬に、大門がその場所を感知する事となり、大門、エクシードラフト本部に美香のアジトとなっている倉庫の場所を密告電話。
 悪魔的奸智!
 ……あれ、変な繋がりが(おぃ)
 本部から連絡を受けた耕作と拳はアジトへと向かい、二人を放置して秋葉と語り合っていた隊長も、現場へと向かおうとする。 その隊長を、「これは悪魔の罠だ」と止める秋葉だったが……
 「あの子達を救えるのは神でも悪魔でもない。俺たちなんだ!」
 倉庫では、耕作と拳が見えないバリアに阻まれる先で、大門の送り出した悪魔の兵士が箱船を攻撃していた。
 手に鎌を持ったブラックサンターズvs宙を舞い光線を放つレッドサンターズ
 なんか段々、シュールになってきました。
 壮絶な戦いの末、ブラックサンタハリケーンで箱船とバリアが破壊され、そこへ突っ込んでくるバリアス7。 シンクレッダーと秋葉は共同でバリアの亀裂を広げ、ブルースとキースに子供達を任せると、ブラックサンターズに立ち向かう。
 ここでやっと、神と悪魔の戦いにエクシードラフトがその正義の為に乱入する、という構図になったわけですが、 前半からこの構造にしないといけなかったかと思います。
 最後は、会話イベントで好感度を上昇させた甲斐あり、発動したサイクロンノバと宇宙ビームの合体攻撃でブラックサンターズを撃破。
 箱船は爆発し、美香は子供達の記憶を消すと、「こんなに愚かだとは思わなかった……」と言い残し、姿を消す。
 この時点でBパート残りが5分以上、という変則的な構成。
 日向家には、耕作と拳のサンタの出前。さやかちゃんも日向家のパーティに参加しており、勝がいいとこ見せてフラグ立った?  のかと思ったら、さやかちゃんは転校する為に、あえて勝の誘いを断っていたのだった。……いやなんか、どちらにしろ、 駄目っぽいんですが(笑)
 エクシードラフト本部では、本部長と秋葉という希少なツーショット。宇宙へ帰るという秋葉に、何か言いたい事があるのでは?  と問いかける本部長。「ここ数ヶ月、奇妙な事件が連続している」と、後付けで神と悪魔の戦いをフォローしつつ探りを入れるが、 秋葉は真実については誤魔化し、エクシードラフトを去って行く。
 そして、聖夜、再び、海岸で佇む二人。
 (冒頭のシーンと一緒に撮ったからか時間は昼なのですが、サブタイトルにもなっているから、聖夜!)
 悪魔への反攻を考える秋葉は、地球を諦め、神と悪魔の戦いが起こる別の星へ赴こうとしていた。
 そして――
 「一緒に来ないか、隼人」

 告白きたぁぁぁ!!(待て)

 隼人を宇宙刑事に誘う秋葉。実は秋葉は本部長に、隼人をスカウトしたいと申し出ようとして、口にできなかったのだった。
 どうも、弟どうこうというのはあくまできっかけで、一矢を報いるという理由をつけて来訪し、 滅亡の迫る地球から愛する隼人を連れ出し、一緒に戦う為に宇宙捜査官にスカウトする、というのが主目的だった模様。
 「おまえなら宇宙捜査官としての資格も充分だ」
 文明レベルの問題すらすっ飛ばして男を狂わせる隊長の謎フェロモン!(おぃ)
 だが……
 「返事は……言わなくても分かっている筈だ」
 爽やかに笑う隼人。
 「地球は守る。きっと運命を変えてみせる! 必ず」
 「……また会おう。――その時に」
 「ああ!」
 こうして秋葉は宇宙へ。ところが、大気圏の外へ飛び出した所で大門に捕捉されてしまう。高笑いする大門、悲鳴をあげる秋葉…… うなされて跳ね起きる隼人。今のは、夢だったのか……?
 「いいえ、夢じゃない。光の戦士は、悪魔に倒されたわ。この星が、滅びるまで、あともう30日……29……28……27……」
 またも姿を現し、消えていく美香。
 思ったより有名人だ、光の戦士!
 正直、割と馬鹿にした感じで使ってきましたが、けっこう宇宙的に有名人なのでしょうか、光の戦士。 確かに単体の戦闘力はかなり高いですが、あれ、宇宙捜査官の平均レベルというわけではなく、宇宙的に見てもかなりの強者だったのか、 光の戦士。
 その頃、愛もまた、悪夢を見て跳ね起きていた。
 「なんでも……ない……みたいね、たぶん」
 ここに来て、意外なスポットライト。
 そして隼人は、窓から空を見上げて、光の戦士との戦いを思い出す。
 「秋葉……」
 果たして、秋葉は本当に倒されてしまったのか? 愛の見た悪夢の内容は? 地球が滅びるまであと一ヶ月なのに、 次回普通に犯罪捜査とかされてもちょっと困るが、魂の兄弟達の行く末や如何に?!
 秋葉はこれでリタイアだったらかなり悲惨ですが……よくよく考えると、隊長とフラグを一定以上に積んだキャラクターは、 みんなリタイアしているような気もしないでもない(赤いスペード、彩子)。
 魔性の男・叶隼人!
 …………えー、なんか、途中からいつも以上に変な方向へ加速してしまいましたが、劇中のリアリティのラインがジェットコースターすぎて、 正直ちょっと対応しきれていません(笑) いっそもう、妖魔巨獣・○ーマ出現、ぐらい吹っ飛んでくれた方が、割り切れるんですけど。

◆第45話「死神の狙撃指令!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:増田貴彦)
 凄腕のスナイパーによる殺人事件が連続して発生。被害者の二人が暴力団の幹部であった事から、 トラブルのあった南米の麻薬カルテルから暗殺者が送り込まれたのでは、という推測がなされる。手がかりを求めるエクシードラフトは、 狙撃手の情報を少しでも得ようと、耕作のかつての射撃コーチ・原田のもとを訪れるが、その原田が命を狙われる……。
 良くない見方ですが、原田役が黒部進の時点で、あーこの人、絶対悪い人だろうなーと(笑) 最初にいい人っぽく出てきたから、 なおさら(^^; いっそ、最初は怪しげに出てきくれた方が、悩ましい気が。
 原田は、暴発事件で銃を握れなくなった後は後進の育成に力を注いできた射撃の名コーチで、耕作の父親とは同期の人物。 早くに父を亡くした耕作にとっては父代わりともいえる存在。そして耕作の父・村岡文雄が、 東京オリンピックの金メダリストであった事が判明。その村岡文雄は18年前、南米において飛行機の墜落事故でこの世を去っていた。 その筈だった。だが……
 「今の男は、死んだ親父にそっくりだった。あなたは何か知ってるんじゃないですか?」
 原田を狙撃した男は、なんと村岡文雄に酷似していた。そして原田は、一週間前に文雄から手紙を受け取っていた事を告白する。
 村岡文雄は墜落事故を生き延び、そして、南米の麻薬組織で殺し屋となっていた。原田のもとに届いたのは、その文雄からの、 組織の教官としてスカウトしたい、という誘いの手紙であった。当然それを断ったという原田だが、保護した本部に 「原田の身柄を引き渡さなければ非常事態が発生するぞ」という何者かの通信が入ってくる……。
 おじさん一人をスカウトする為に、都内で発生する無差別狙撃。
 何か振り切れたかのように、一般市民が次々と倒れていきます(^^;
 出動するエクシードラフト、文雄を説得したいと本部を飛び出す原田。一方、インターポールへの情報照会により、 ヤクザと南米カルテルのトラブルが既に解決していた事が判明。代わりに浮上したのは、 活動を活発化している国際兵器マフィアの暗殺スタッフに、優秀な日本人の射撃コーチが加わっている、という情報であった。 原田の身辺を洗った隼人と拳は、原田が村岡文雄を憎んでいた事、そして兵器マフィアと手を組んで、 ある実験を計画していたという事実を知る。
 それは、新型スナイパーロボの開発実験!
 文雄を追って倉庫に誘い込まれた耕作の前で文雄が皮のマスクをはぐと、その下から出てきたのはロボットの頭部。 2件の暗殺と無差別銃撃は全て、ロボットの性能実験。そして今、組織は耕作と1対1の戦闘を行う事で、 ロボットの仕上げを行おうとしていた。
 またロボットか(^^;
 人間だと思わせて実は高性能ロボットでした……というネタは、さすがに食傷。
 スナイパーロボットを倒すも崩れた鉄骨の下敷きになってしまった耕作の前に、マフィアと原田が姿を見せる。 全ては村岡文雄への復讐だったのだと、スナイパーロボットがさくっとやられた割に楽しそうなマフィアと原田だったが、 そこへエクシードラフトが突貫。マフィアと原田はざっくりと逮捕。
 倒れたと思ったスナイパーロボが立ち上がって屋根を破壊するが、サイクロンノバでずばっと消滅。隊長また、 証拠物件を塵に還す。
 工場の倒壊から原田を守った耕作は、父代わりだった男が、いつか憎しみを捨てて立ち直ってくれる事を願い、 自分が必ずその力になろうと決意するのであった。
 「隊長、俺きっと原田さんを……」
 「そうだ、彼の心を救えるのは、おまえしかいない」
 「はい!」
 ナレーション「夢を断たれ、憎しみだけを支えに生きてきた一人の男。耕作の心のレスキューは、これから始まるのだった」
 だからもう、大樹さんの事は許してあげてくださ(涙)
 シリーズの色々なガジェットを詰め合わせたようなエピソードで、これまで何度か触れてきた耕作の家庭の事情は、 話の中心というよりは、素材の一つ扱い。黒部進については穿った見方にしても、文雄の正体に関しては、 どうしても途中で見えてしまいます。とはいえ、それ自体は極端に言えば構わず、その上で“面白い” と言える見せ場作りが出来ていないのが残念。
 スナイパーロボットとの戦いも、シンクレッダーらが駆けつけた後も、非常に盛り上がりに欠けます。
 同系統のシリーズで同じスタッフがやっているとままあることなのですが、演出陣が疲弊してきて、 クライマックスが流れ作業になってしまい、アクション的な見せ場が作れていない。
 前作の反省を踏まえて、前半はヒーロー的見せ場造りをかなり意識していた今作ですが、段々とおざなりになってきて、 ドラマとアクションという車輪の両輪のバランスが取れなくなってしまいました。“サイクロンノバを使わないといけない” 縛りの影響もあると思いますが。と考えると『ウインスペクター』の“ギガストリーマーマキシムモード地獄” と結局同じ轍を踏んでしまっているわけで、色々もどかしい。

→〔その10へ続く〕

(2013年8月18日)
(2017年3月17日 改訂)
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