■『特捜エクシードラフト』感想まとめ7■


“命賭ける 男達の鼓動を聞けよ
We are the Last Fighter”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜エクシードラフト』 感想の、まとめ7(31〜35話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第31話「過去への特救便」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:酒井直行)
 エクシードラフトにかかってきた一本の電話、それはタイムマシンによって5年前に戻った夫を止めてほしい、 という驚くべき内容であった!
 電話の主は、超時空に関する研究の第一人者である夏目博士の妻、裕子。博士は完成させたタイムマシンを用いて、 5年前のある事件の直前の時間へと向かっていた。5年前……研究所に入った強盗が、開発中だったタイムマシンレーザーの設計図を奪い、 更に博士の息子であるタツヤを拉致。現場には血痕とナイフが残り、それから5年……タツヤの行方は今も不明のままだった。 設計図を失いながらも、記憶を頼りにタイムマシンを完成まで導いた博士は、5年前の事件の直前に戻り、 強盗犯人を殺害しようとしていた。
 盗んだ設計図から装置を完成させる為に息子も誘拐したのでは……という事なのですが、回想シーン見る限り、 息子と強盗が凄く共犯っぽい(^^;
 タイムマシンレーザーによる時間移動に耐えるには特殊なスーツが必要。博士のオリジナルスーツ以外にそれに耐えられるのは、 トライジャケットしかない。裕子夫人の懇願を受けたエクシードラフトは、博士が歴史を変えてしまう前に、5年前の過去へと飛ぶ!
 過去から現代へ戻るには、一定時間後に現代からまたレーザーを照射してもらわないといけないそうなのですが、これ、 奥さんが悪い人だったらエクシードラフトを過去に葬り去れるよーな(笑)
 いつの間にやらブルースとキースも車の中で実装できる仕様になり、スクラムヘッドとバリアス7に乗り込み、 過去へと向かうエクシードラフト。本当に5年前に戻ったのか、と通りすがった女子高生に話を聞こうとしたところ……なんとそれは、 セーラー服姿の日向愛!
 トライジャケットで顔出し(ヘルメットだけ外した状態)だと、どうあがいても間抜けな絵にしかならない ので割り切ったのか、このシーンはストレートにコメディ。

 真面目にやると、明らかに通報事案ですが。

 屋敷の周囲を警戒する3人は、あっさりと博士と接触。
 レトロな銀色の宇宙服っぽいものを来た禿げ頭の博士が、これもレトロな光線銃を握りしめている絵は、 もはやギャグとして見ればいいのか(^^; 息子と接触する前に強盗犯人を殺してやる、という博士を、 過去の現場で手がかりを見つけて元の時代で必ず救出する、と説得する隊長。
 「わかった、君たちを信じよう」とあっさり説得に応じる博士。
 ……ここはどうにも、5年の歳月に対して軽い。
 そもそも、5年も行方不明なら、殺されていると考えるのが普通でありますし、そこを一縷の希望を信じつつ、 しかし歴史を変えてしまおうと強い決意を持って過去へ戻ってきた男の翻意としては、あまりに簡単に過ぎます。
 そして、窓の外から事件現場となった研究室を覗く4人。そこで見たのは、部屋を荒らしたフリをする強盗、 強盗と合流して設計図を手にする息子タツヤ、偽装で撒かれる血液……そう、強盗誘拐は、全て狂言だったのだ!
 「こいつがあれば、この世は全て、俺のものだ」
 タイムマシンを自分の好きなように使う為に、父を裏切り、強盗に襲われた振りをして、一緒に逃亡するタツヤ。
 「私と妻の5年間はなんだったのか……」
 打ちひしがれる博士を連れ、4人は帰還。タイムマシンの研究が、息子、そして自分達の人生を狂わせた事を知った博士は、 帰還するなり光線銃でタイムマシンレーザーの発生装置を破壊。エクシードラフトに、タツヤがどこかで作っているであろう、 もう一つのタイムマシンの破壊を依頼する。
 …………隊長、光線銃について、博士から詳しい事情を聞いた方が良いのではないでしょうか。
 本部へ戻った隊長は、タツヤが現場からどこかへ電話をかけていた事を思い出し、トライジャケットの音声記録からプッシュホンの番号を割り出すと、 判明したアジトへ急行。
 現場から電話をかけるタツヤもタツヤですが、当時の警察は、通話記録とか調べなかったのか……?
 他作品ならともかく、刑事ドラマ路線として作っているシリーズだけに、ここは大穴と言わざるを得ません。
 アジトでは、設計図ありでも5年かけて完成していなかったタイムマシンが、ようやく完成間近。これは、博士と息子の能力の差か。
 寸前までタイムマシンを作っていた筈なのに、エクシードラフトが突撃してきた途端に、銃器を構える研究員達(笑)  どうして足元に常備しているのか。というか、そんな人達ばかり集めているから、5年かけても完成しないのでは。
 しかし所詮は一般人に毛が生えた程度が多少の武装をしているぐらいでエクシードラフトの圧倒的暴力にかなうべくもなく、 次々と逮捕。息子は博士の平手打ちをくらい、完成間近だったタイムマシンは、久々登場の日曜工具で破壊されるのであった。
 博士夫婦の5年間の執念、という肝心なところが軽くなってしまい、物語としては盛り上がらず。
 あと、愛が高校生の時に剣道でインターハイ優勝という話を知る→竹刀と胴着を持った愛と過去で遭遇、とやったのだから、 オチにも何か使ってほしかったところ。

◆第32話「耕作のガンコ親父」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:扇澤延男)
 ビル街を、大砲で破壊して回る謎の装甲車が出現。出撃するエクシードラフトだが、なんと装甲車は原子力タービンを動力としており、 下手に破壊すると周囲に放射能汚染を撒き散らす事が判明。更に全体を電磁バリアで防御しており、冷凍弾も通用しない。 この破壊不能の原子力装甲車を操る組織は、日本政府に一千億円を要求。
 なんとまさかの、(実質的)原発テロ。
 対策を練るエクシードラフトの調査により、この装甲車がもともとは、掘削マシンであった事が判明する。10年前、 地下都市を建造したいという南米のダグラ共和国の依頼で開発が進められた掘削マシンだが、ダグラ共和国の目的は、 それを軍事兵器として転用する事であった。この陰謀は事前に露見し、開発プロジェクトは解散。しかし、 未完成のまま保管されていた掘削マシンが武装マフィアに強奪され、10年ぶりに完成してしまったのだ。 開発者の一人は組織の手によって殺害されたと思われ、エクシードラフトはもう一人の開発者、森崎博士の元を訪れる。
 「残念だが、君らには協力できん」
 しかし、老博士・森崎東一郎は、エクシードラフトへの協力を拒む。10年前、プロジェクトに関わった事で心ならずも 軍事兵器の開発を行ってしまった事を汚点と感じた博士は、研究者としての過去を全て捨てていた。
 「あのマシンの構造は、今、何一つ記憶に無い」
 「記憶に無いって……たった10年前の事じゃないですか」
 「たった10年?! たったじゃない。科学者として一筋に道を生きてきた者が、そこを退いてからの、10年。……今の私は、 ただの年寄りにしか、過ぎないんだ。思い出せんものは、思い出せんのだ」
 ちょうど前回との対比になりますが、この辺りの、年月に対する情念というのものは、 きちっと踏まえて表現しないといけないんだ、というのを押さえているのはやはり秀逸。
 設計図も開発資料も焼き捨てたという博士の言葉に家を辞し、善後策を練るエクシードラフト。「全て焼き捨てたとも思えない……」 と博士の言葉を疑う耕作は、博士の妻が最初に勘違いした、森崎家を訪ねるヘルパー(介護などではなく、老人福祉サービスの一環による、 話し相手、などという事の模様)に変装して、博士宅へと潜入をはかる。
 愛と勝を連れ、役所のヘルパーと称して、森崎家を訪れる耕作。老夫婦を「オヤジ」「お母様」などと呼び、 ドリーム子供設定で懐に入ろうとするのですが……

 まるっきり詐欺師(^^;

 「俺たちの子供は、ユウタロウだけだ」
 20年前に死んだ息子を思い、すげない態度を取る博士。一方、そもそも博士に黙ってヘルパーを頼んだ妻は明るい。
 「約束。今日一日、我が家は5人家族。いいですね、耕作さん」
 今回は通して、この森崎夫人・彦乃さんの演技が非常に秀逸。エピソード全体の雰囲気を、巧く作りました。
 「あいつが暴れ出すまで、あと3時間……急げ、耕作!」
 スーパー掘削マシンを監視する、レッダーとキース。一方、森崎家を見張る不審な男の影。
 はしゃぐ妻とは対照的に、つまらなそうにしている博士だったが、勝の孫パワーにほだされ、キャッチボールをする事に。 愛が夫人を引きつけている間に、家捜しをする耕作。
 コメディ調の音楽で誤魔化していますが、酷すぎる(^^;
 「なんの真似だ!」
 博士に詰問され、正体を明かす耕作。
 「女や子供を使って人のうちに潜り込む、甘い言葉で年寄りを騙す。恥ずかしいとおもわんのか!」

 返す言葉もございません。

 「それは謝ります。でも、あなただって悪いんだ」
 しかし、逆ギレする耕作。
 「マシンの構造を忘れたなんて、親として無責任だね」
 「思い出せんものは思い出せんのだ」
 「違う! 思い出そうという、努力をしないからだ。この、ガンコ親父!」
 「ガンコ親父だと?!」
 「そうだ。今日一日、あなたは、オレの、親父なんだ!」
 ここでキーワードをアクロバティックに繋げる辺りは、如何にもな扇澤脚本。
 今回、話のプロットは本当に酷いのですが、台詞回しの妙味と会話のテンポの良さだけで強引に持って行く力業。
 また、耕作達を好意的に受け止め続ける夫人が、ここでも耕作と博士の口論を、“息子も研究の道も失い、 孤独な夫が久々に本音をぶつけた親子喧嘩”として、微笑ましく見るという構図を取っており、エピソード全体に救いをもたらしています。
 夫人、本当の詐欺師に騙されそうで心配になりますが(^^;
 とうとう博士にはたかれた耕作は、愛と勝を連れて森崎家を出て行くが、途中で愛達に「謝りに戻りましょう」と諭され、 引き返す。しかし森崎家は荒らされて無人で、博士達はマフィアによって拉致されていた……!
 耕作「俺があの家に潜りこんだりしなきゃ。設計図を焼き捨てた、その言葉を疑わなきゃ!」
 本部長「おまえは可能性に賭けたんだ。そのおまえに、我々全員が賭けたんだ」
 本部長が、組織としての決断を強調するのは、格好良かった所。
 武装マフィアに捕まった森崎夫妻はスーパー掘削マシンに関する情報は知らないと判断され、軟禁状態に。
 「きっと、すぐに助けにきてくれますよ、あの子が」
 「あの子?」
 「今日だけの私たちの息子、耕作が」
 妻から、早くに両親を亡くしたという耕作の事情を聞き、あの口論を思い返す博士。
 「耕作には、生まれて初めての、親子喧嘩だったかもしれませんね」
 耕作が自分と同じ、家族を失った孤独を抱えている事を知った博士は、“親父として”力を振るう事を決意。 武装マフィアの脅迫電話を逆探知成功し、アジトに突貫してきたエクシードラフトに、 必死に記憶を絞り出して思い出したスーパー掘削マシンの設計を伝える。スーパー掘削マシンの弱点…… それはエネルギー砲を放った瞬間、電磁バリアが消滅する事。その一瞬に制御装置を破壊する事で、 バリアを使用不能にする事が出来るのだ。
 博士に教えられた設計図を元に、一瞬のチャンスを付き、ドリルを炸裂させるブルース。スーパー掘削マシンは機能を停止。 国際兵器マフィア達は逮捕され、愛と勝をともなった耕作は博士の家へ。
 「博士のお陰で食い止める事が出来ました。ありがとうございます!」
 「どうして頭など下げる。父親が息子に対して力を貸すのは当たり前だ」
 いい感じに終わるのかと思いきや、博士の態度の変化についていけない耕作、そんな耕作に毒づいてしまう博士……で、 また始まる面倒くさい親子喧嘩。じゃれあいの相撲で、終わり。
 扇澤脚本らしい巧さと面白さはあるものの、プロットがあまりに酷い、そんなエピソード(^^;
 あと、ラストのスーパー掘削マシンの撃破シーンが盛り上がらなかったのは残念。話としてそこがメインで無く、 尺をオチに使いたかったのはわかりますが、もう少し格好良く演出してほしかった。
 ベースはおそらく、前作第44話「コソ泥と老博士」(扇澤脚本)。あちらは孤独な老博士と孤独な泥棒がそれぞれの孤独さから心を通わせる、 というエピソードでしたが、今回はそれをキャラクターの背景と絡めて耕作へと持っていきました。前作は主役メンバーとゲストが 最後まで噛み合わない事が結構あったのですが、今作では意識的にレギュラーメンバーとゲストとの心の繋がりを描いている様子が窺えるのは、面白い。

◆第33話「完成!戦闘強化服(バトルジャケット)」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:宮下隼一)
 映像内でのサブタイトル表記には特に書かれていないのですが、Youtubeページのあらすじ紹介 (回によっては1節目で後半までネタバレしているので、毎度間違って目を通さないようにしなくてはいけず、危険)の表記では、 後ろに「炎の黙示録編1」とついており、そちらが正式サブタイトル?の模様。
 ――謎の空間で、不思議な雰囲気の少女と出会う隊長。
 「何をしているの?」
 「数えてるの」
 「……何を?」
 「この星が消えて、無くなるまでのひにち」
 「え?」
 「あら、もう、150日無いんだわ」
 そこで隼人は、うなされて目覚める。
 「また同じ夢を……今日でもう4回も
 ……ト、トライジャケットにも副作用が?!
 しかし、隊長は高給取りだと思われる割に、庶民的な住まい。そして男の一人暮らしにしては、可愛らしい小物とか置いてあって、 色々と勘ぐりたくなります。
 チャイムに応対に出た隼人は、偽の宅配業者に襲われる。何とかそれを退けるが、外からの狙撃で撃ち殺されたその男は、 なんと精巧なロボット。男の持っていた資料から、エクシードラフトに賞金が賭けられた事を知った隼人の前で、暗殺者ロボットは自爆。 同じ頃、パトロール中に遭遇した拉致事件を追跡した耕作と拳は、倉庫に閉じ込められて同様の襲撃を受ける。拉致事件は狂言で、 二人を誘い込む為の罠だったのだ。
 襲撃してくる相手がロボットである事を表現するのに、「首が回ってる!」はなかなか面白かった(笑)
 暗殺ロボット達は、ブルースとキースに抱きつき自爆。非番を返上して現場へ急行する隊長だったが、 二人を助け出した所に待ち受けていた暗殺ロボットの自爆特攻を受け、なんとか外へ出た所をグレネードランチャーによる狙撃が直撃。 コスト度外視の大爆破地獄の前に、砕け散るトライジャケット。
 エクシードラフト、ここに敗れる……!
 レスキューシリーズのどうも難しい所は、統一した悪の組織が敵対しているわけではないので、 敵側の努力と対策というのが描きようが無い為、どうしても敗北展開やパワーアップ展開が唐突になりがちなところ。 今作ここまで、前2作を踏まえた上でパワーアップ展開はなかなか巧く処理していましたが、やはり敗北の突然さは否めません。
 どこかでスーツのバージョンチェンジを図る事になっているなら、犯罪者に苦戦する展開を数話続けるとか、 犯罪者の装備の凶悪化に言及させるとか、少しずつ盛り込んでいっても良かったような気はします。
 結局今作でも、1話完結刑事ドラマと、特撮ヒーロー物的パワーアップの摺り合わせをやりきれなかったというか、 やらなくてもいいだろう、みたいになってしまったのは残念。
 一命を取り留め、警察病院に搬送された3人は、まずはしっかり療養するように、との本部長命令を愛から伝えられる。
 「けど、あの、レスキュー用トライジャケットじゃ……また同じ事に」
 歯がみする拳だが、既に本部長はこの日の事を予期して水面下で動いていた。
 「いずれこういう敵が出現するに違いないと考えて、3人のために、トライジャケットのパワーアップを新しく、 開発部に依頼していたそうなの」
 遂に、レスキュー完全否定(笑)
 これが、血を吐きながら続ける終わりのないマラソン、というやつです。
 強化計画を聞き、ベッドに休む3人……だが隊長は、本部長と愛が次々と爆死する光景を目にして、跳ね起きる。
 「夢か……!」
 「夢じゃないわ。今はまだ夢だけど、でもすぐに本当になるわ、もうすぐ」
 そこに姿を見せる、謎空間と不思議少女。
 「早くしないと、悪魔の思うつぼよ」
 「悪魔?」
 謎めいた言葉を告げる少女に、隊長は尋ねる。
 「きみはいったい……何者なんだ」
 「私はミカ、主につかわされしもの」
 「え?」
 「もう130日ないわ……127……126……125……」
 目を覚ました隊長は、耕作と拳を連れて本部へ。夢で見た通りに本部長が開こうとしていた匿名の封筒を寸前で取り上げる。 それは開封した瞬間に爆発する、手紙爆弾だったのだ……!
 いや一応、警察組織なんだから、ノーチェックで手紙爆弾を本部に通さないでくださいエクシードラフト(笑) あと本部長も、 匿名の怪しい封筒を確認せずに開けないでください(^^;
 次は愛の車に仕掛けられた爆弾だ……負傷療養中の3人に代わって本庁へ向かっている愛のもとへ急ぐエクシードラフトだったが、 既に愛は敵の奸計に落ち、自動で暴走する車に囚われていた。追いかけるエクシードラフトを待ち受ける謎のスナイパーとロボット部隊。 ロボット部隊の肉弾特攻を受け、爆炎に包まれるスクラムヘッドとバリアス7!
 ――だが、炎が晴れた時にそこに立っていたのは、新しいトライジャケットに身を包んだ3人の戦士だった!!
 辻褄はすぱっと無視して(一応、先に本部へ寄っているので、いいタイミングで完成していた新ジャケットを受け取っていた、 と理屈はつきますが)、ここは格好いい新挿入歌で誤魔化しました。
 以下、新トライジャケットvs暗殺ロボット軍団、で展開。
 新しいスーツの性能を誇示したいのか、やたらに敵の弾丸を正面から受け止める3人。 背後に人をかばう時はわかりますが、そうでもないのに手を広げて前方投影面積を広げるのは、さすがにどうかと思います。
 そして何故か、格好良く見せ場があるのは、シンクレッダーだけ(笑)
 というか残り二人、新ジャケット名のテロップ表記すら出ません(^^;
 もしかして、二人はブルースとキースのままなのでしょーか。
 確かに、グンジョウブルースとかヤマブキキースとか名付けても、格好良くないけど!
 ……実際どんな名称になるのか、次回以降、気になる所であります。
 シンクレッダーは新装備、ヘビーサイクロンを振るい、次々と敵を撃破。とうとうヘルメットから変なビームが出るようにまで!
 ただ隊長は、一応今回も相手がロボットかどうか確認してから、本気攻撃をした方がいいと思います(笑)  間違いなく、この中に生身の人間を何人か混ぜておいたら、隊長勢いでデストロイしてしまって、 精神ダメージで再起不能に追い込めたような。
 愛を救出したシンクレッダーは、迫り来る暴走車を、ヘビーサイクロン最強の攻撃サイクロンノバで消滅させ、 様子を窺っていた謎のスナイパーは姿を消す……。
 青「シンクレッダー……凄いぜこのトライジャケット!」
 「これで俺たちも無敵だ!!」
 赤「うん」
 ……いや君たち、一応、レスキューポリスだからな?
 こうして、新たな力を得たエクシードラフトは、最大の危機を脱する。一方、暗殺ロボットを操っていた謎のスナイパーは、 南多摩療養所で、車椅子の少年を物陰から見つめていた。
 「待ってろマモル……もうすぐ、もうすぐだ」
 男はいったい何者なのか、そしてその背後にある、謎の組織の正体は……?!
 今、物語は大きく動き出す――!!(多分)

◆第34話「生命を売る契約書」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:宮下隼一)
 <炎の黙示録編>2。
 OP映像がマイナーチェンジ。主に本編バンクですが、バリアス7とヘビーサイクロンが大きくアピールされ、 これまで以上にレッダー中心の構成となりました。
 そしてどうも、ブルースとキースの名称は変わらないっぽい(^^;
 デザイン的にもマイナーチェンジ(はしてますよね……?)だから、仕方ないのか。
 一方、シンクレッダーは、実に格好いい。
 レッダーは、初期がのっぺりボディにトタン屋根みたいな顔で大丈夫か……と思わせ、 追加装備の盾と剣がついてフォルムのバランスが取れ、そしてシンクレッダーが新武器も含めて素直に格好いい、 という見事な正統進化。
 毎度お馴染みの特訓場で、ヘビーサイクロンの試し撃ちに励む隊長は、新しい武器を得て、にまにま。
 OPを見る限り、ヘビーサイクロンはシンクレッダー専用で、ブルースとキースは日曜工具担当になる模様。
 そこへ、謎のスナイパーの身元が判明した、という連絡が入る。スナイパーの正体は、湯田均、38歳。 かつてオリンピック代表候補になった事もある国際的殺し屋で、湯田守という10歳になる息子が居た。 守が入院している療養所に向かったエクシードラフトはそこで、湯田親子に起きた事件を知る。
 オリンピック代表候補だった頃、賭博で身を持ち崩した湯田が、取り立て人と争っている最中に、ライフル銃が誤射され守を直撃。 守は脳に弾丸の破片が残った影響で植物人間状態となり、以後、湯田は裏社会で暗殺者となったのだった。
 そして謎の組織のボスに「お前の生命を差し出せば息子の生命を救ってやる」と不思議な力を見せられた湯田は、死の契約を結び、 息子を救う為に、エクシードラフト抹殺の尖兵として恐るべき策謀を巡らしていた。
 ……しかし湯田さんは、服装も行動もノリノリで、 とても息子の為に仕方なく暗殺者やっているようには見えません。
 都内の3カ所に、時限爆弾を設置する湯田。爆弾解除の為にエクシードラフト3人がバラバラに目的地に向かうシーンでは、 バリアス7のテーマっぽいものがかかり、前回から急に挿入歌祭。どれもなかなか格好良く、盛り上がります。
 それぞれ爆弾を回収した3人は、爆弾処理が出来そうな広い空間に集合。
 爆弾処理…………って海に投げるのか(笑)
 そしてそこに現れる湯田。
 どうも、3人を分散させた所に罠があると見せかけて実は……という展開にしたかったようで、 3つの爆弾設置場所から等距離の地点に誘き出されたように描いてはいるのですが、湯田さん、明らかに凝り過ぎたよーな。
 爆弾はもう一つセットされ、仕掛けた場所を知りたければ俺を倒せ、と猛然と攻撃してくる湯田。湯田の体をサーチしたレッダーは、 その体内に爆弾が埋め込まれている事を知る。
 「爆弾を阻止したければ、爆弾ごと俺を殺すしかないんだ。どうだ、やってみろ、エクシードラフト」
 戸惑う3人に、襲いかかるグレネードの嵐。その時、レッダーはあの少女の声を聞く。
 「その人はもう人間じゃないわ」
 不意に現れる、謎の少女ミカ。
 「その人をもう一度調べて、シンクレッダー」
 「ミカちゃん!」
 「ミカちゃん?」
 「誰もいないじゃないか」
 だがその姿は、隼人にしか見えない!
 ミカは、湯田は既に悪魔に生命を売り渡した抜け殻にすぎないと告げ、湯田を再度サーチしたレッダーは、 その肉体が既に生命活動を停止している事を知る。
 「シンクレッダー、倒すのよ」
 覚悟を決めてバルカンモードで湯田を撃つレッダーだが、湯田の肉体にはその銃撃が効かず、レッダーは切り札、 サイクロンノバを発射。直撃を受けた湯田の体は光の粒子となって消滅。時同じくして、植物状態で余命もわずかと言われていた守が、 奇跡的な回復を遂げる……。
 湯田は悪魔と死の契約をかわし、自分の命と引き替えに守の命を救ったのだ、と隼人に告げるミカ。
 「悪魔? ……湯田の黒幕の事だな。いったい誰なんだ」
 「大門。今はそれしかわからないわ」
 「大門……」
 不思議な動きで隼人から遠ざかっていくミカ。
 「ただ、これで終わったわけじゃない。始まりよ。忘れないで。もう、120日ないんだから。この星が、消えて無くなるまで」
 そして彼女は割とハイペースで数字を数え……
 「おまえたち……あの子が見えなかったのか」
 耕作と拳からは、隊長が急に電波を受信して譫言を言いながらテロリストとはいえ生身の人間を新兵器で ひゃっはーして消滅させたように見えていた!事が発覚。
 どう考えても査問案件だ、どうなるレッダー?!
 だが、隊長はそれどころでは無かった。
 去来する、十字架、聖書、黙示録のイメージ。
 「主に使わされしもの……天使……みか、ミカエル。
  湯田……ユダ。
  大門…………デーモン。……悪魔!」
 反響する、少女の言葉。
 (私はミカ……主に使わされしもの……)
 「神と悪魔の戦い……ハルマゲドン。馬鹿な! 何を考えているんだ、俺は」
 本当に色々、それどころではなかった。

 世間的に見ると、どう考えても激務のストレスでおかしくなってしまった隼人。

 果たしてエクシードラフトは、この最大の危機を、どう乗り越えるのか?!  なんかまあ、「凶悪なテロリストが自爆しようとしたのでやむをえず射殺した」とか、色々でっちあげて誤魔化すのでしょうが。
 音声記録とかは、新スーツの調整不良で、なぜか機能していなかったんですよ!
 最後に顔見せした大門は、思いの外、いい感じ。洋風な顔立ちに、カラーコンタクト入れた?瞳で、異貌の男、という雰囲気が出ました。 契約書に対して律儀に息子を回復させるのも、それらしくて良し。

――炎と共に今、黙示録の幕が上がろうとしている。

 今作終盤の超展開は有名なので話には聞いていましたが、凄い事になってきました。
 まあ、特撮刑事ドラマ路線だった今作、中途半端に作風を変えるよりも、いっそこのぐらいトんでいた方が、 むしろ受け入れやすいといえば、受け入れやすい……のかもしれない。
 さて次回……オカルトなのか、超科学なのか。
 予告からだとどう転ぶかわからないというのは、今作らしいメリットかもしれない(笑)

◆第35話「見えない巨人」◆ (監督:小西通雄 脚本:扇澤延男)
 不登校児と出会い、学校へ送った拳、いじめについて一席ぶって、
 「拳にはわからないだろうな、いじめられっこの気持ちが」
 と耕作に混ぜっ返される。
 まあ、「いじめ」で思いつく行為が「上履き隠す」ぐらいで、そんな事で不登校になるのは精神力が弱いからだ、とか言ってしまうので、 わかっていない事は間違いない(^^;
 そんな時、建設中の反橋児童文化センターで爆発が発生、現場へ急行したエクシードラフトが見たのは、霧に包まれ、 凄まじい地響きと共に崩壊するセンターであった。シムの捉えた映像にも崩壊の原因らしきものは映っておらず、しかし、 現場に巨大な足跡が発見される。その大きさからから推測される足跡の主の体長は……身長40m?!
 光の国から僕らのために 来たぞ我らのウルトラマン〜
 この時期、スタッフの中で流行っていたのでしょうか(笑)
 「事故じゃない……児童文化センターは踏み潰されたんだ。見えない巨人に!」
 突然、物凄く飛躍した結論に飛びつく本部長。
 今回の本部長は、教育論をぶちあげる実業家がお気に召さない様子でTVに向けてぶつぶつ言ったり、若干、精神的に不安定です(^^;  大事な釣り竿が折れたとか、娘に彼氏の存在が発覚したとか、非番の日に何かあったのでしょうか。
 続けて起きる崩壊現場に駆けつけるエクシードラフト。レッダーはバリアス7のハイパーサーチライトを使用するが、 見えない巨人はそれでも補足する事が出来ない。そして続けて起こる、緑が丘の造成地での同様の崩壊。 仮に見えない巨人が存在したとしても、あまりにも移動スピードが速すぎる。
 隼人「何か妙だ。見えない巨人なんて、本当にいるんだろうか?」
 ところで、反橋児童文化センターの崩壊現場に向かった際、なぜかレッダーがシンクではありません。
 制作順と放映順が違うのかな……と思ったら、次の現場ではシンクレッダーに。
 記憶にある限り、過去映像の再利用というわけでもなく、謎。
 もしかして、想定される脅威度に合わせて、トライとバトルを使い分けていたりするのでしょーか。
 一番可能性高いのは、諸事情によりカットされてお蔵入りになっていた爆発レスキューシーンをサルベージした、という所ですが。
 反橋児童文化センターの崩壊跡で現場検証していた拳は、午前中に出会った不登校児・新田保が事件現場に居るのを見つける。
 「お願いしてたんだ……見えない巨人に」
 巨人の事をニュースで聞いた保は、いじめっ子達を踏み潰してくれるよう、巨人に頼んでいたと言う。先生に相談しても信用してくれない、 と言う保に、どうしていじめられると思うかを問いかける拳。
 「貧乏でボロアパートに住んでいて」「父もいない」という理由を、
 そんな事は理由にならない
 とずばっと斬り捨てる拳(おぃ)
 「君が逃げるからつけあがるんじゃ?」
 「やられたらやり返せ」
 「それぐらいのガッツがなきゃ駄目だろう」
 ひたすら、駄目な対応をしまくる拳。

 お客様! お客様の中に、村岡耕作様はいらっしゃいませんか! 早く来て、耕作! 今ここに必要なのは、 拳ではなくて君だ!

 20年前にしても、拳が典型的な“いじめはいじめられる側にも原因があり、ほとんどの場合、心の強さで乗り越えられる派”で凄い(^^;
 「自分が強いから、そんな事を言えるんだ!」
 「その通りですよ、エクシードラフト。権力を持つあなた達には、弱い人間の悔しさはわからない」
 保少年の叫び声に応えるかのように、姿を見せる謎の男。
 「我々は権力なんて持っちゃいない」
 ……いや、拳さん、権力、ある程度は持っていると思いますが。というかそこは、自覚していないとまずいと思うんですが(^^;
 「しかし、権力を持つ者の味方だ」
 ぐうの音も出なくなってしまう拳(笑)
 一方、本部では隊長が、謎の崩壊事件の真実に辿り着こうとしていた。
 「結論から言います。本部長、見えない巨人なんて始めから存在しないんです」
 まあ、マスコミはともかく、足跡はフェイクだと考える方が自然であり、むしろいきなり巨人説を唱えだした本部長に何があったのかを 検証した方がいい気がします。
 足跡、霧、そして崩壊……それらの正体は、電磁波によって生み出された重力によるものであった。被害にあった3カ所は全て、 実業家・反橋栄一郎の所有地であり、反橋に恨みを持つ電磁波の世界的権威、奥田広行が捜査線上に浮かび上がる。30年前の夏、 奥田の兄・タカヒコは、反橋に2階のベランダから突き落とされ、下半身不随となる重傷を負った。そのタカヒコが、先頃、 交通事故で死亡。奥田はその復讐を考えている可能性が高い……そして、拳と保少年とのやり取りに割って入った男が、奥田であった。
 3人の詰問を受けても、とっくに金で片が付いた事だ、と全く悪びれない反橋。似たもの夫婦なのか、奥さんがまた、凄く嫌な感じ。 そして反橋家の息子こそが、保少年をいじめているリーダー格であった事も判明。反橋家を張り込んでいたエクシードラフトの前で、 拳の言葉に勇気を貰って反橋子供と話し合おうとするも邪険に追い払われた保は叫ぶ、
 「やっぱり見えない巨人に、踏みつぶしてもらうしかないんだ!」
 その時、屋敷の周辺に立ちこめる霧。地響きと共に反橋家が崩壊していく様子に電磁波の発信源をサーチしたエクシードラフトは、 奥田のアジトを突き止めて現場へと急行する。
 …………えー、家屋敷はともかくとして、反橋さんを救助していってください(^^;
 幸い自力で脱出しましたが、明らかに、不愉快だからスルーしていて、これは非常にまずい。一晩、 屋敷の前で張り込んでいたのだから、中に居るの、知っている筈ですし。
 「あのうちを、潰してやるからな、兄さぁん!」
 奥田研究所へ乗り込んだエクシードラフトは装置を止めるが、強引に停止した為に重力の影響が奥田研究所に向かってしまい、 崩壊していく研究所。シンクレッダーは装置を完全に破壊し、ブルースとキースはなんとか瓦礫の下から奥田を救出する。
 「30年間の恨みの重さに、自分が潰されやがって!」
 拳の言葉に、そんなものはとっくに振り切っていた、と告げる奥田。
 「恨んだって通じない奴だ。だから見限った。あいつの事なんか忘れて、前向きに生きてきたんだ、この30年」
 しかし、児童文化センターを作った反橋のインタビュー記事、昔はいじめなんか無かった……という言葉、 それだけは許す事が出来なかった奥田タカヒコは、怒りのあまり反橋に抗議しようと飛び出したところで事故死。そして今、 眠っていた怨念を掘り起こした奥田は、自らが見えない巨人に踏み潰された……。
 「やっぱりあれだなぁ……弱い奴は、強い奴になぶられても、好き放題なことされても、 刃向かえないことになってるんだなぁ世の中ってさぁ。はっはっはっは、いい世の中だよ、まったく。 ははははは……っ……くっ……ううぅ……」
 拳も耕作も、崩れ落ちる奥田にかける言葉を見つけられず、ただ唇を噛みしめるしかないのであった……。
 「踏み潰せ、あいつらを全員踏み潰すしてくれ、見えない巨人」
 そして、遊園地で遊ぶ反橋親子らを、暗い瞳で見つめる保少年。
 拳は、そんな少年を改めて諭す。
 「見えない巨人なんか頼っちゃ駄目だ。自分自身で今、敵に立ち向かっていくしかないんだよ、保くん。 心の中に見えない巨人を育てないでくれ。逃げないでくれ。諦めちゃ駄目だ」
 拳にうながされた保は反橋息子に踏み出し、勇気を持って言葉にする。
 「今度やったらやり返す、やり返すからな」
 んん?
 反橋息子はその姿に怯えて頷き、敵を乗り越えた保は、拳とともに帰路につくのであった。
 …………えー、これで解決、で良いのでしょうか。
 まあ、いじめ問題というのは当然非常に難しく、反抗心がある、と思わせるのは一つの対抗手段でもありましょうが、 どうにも難しい所に踏み込んだ上でフィクションで許される範囲の綺麗なファンタジーとして解決するわけでもなく、 現場のあるデリケートな問題に駄目な手の出し方をした、という気がします。
 こういうデリケートな問題をテーマにした時こそ、フィクションにおけるファンタジーの作用が効果を発揮していい、筈なわけで、 これはかなり、よろしくない脚本(20年前と現代の、いじめ問題に対するギャップ、というのは背景に影響あるかとは思いますが)。
 というかこれ、

 「話し合いは終わりだ。これからは……」
 「これからは?」
 「殺し合いだ!」
 (『仮面ライダー(新)』第1話より)

 だと思うんですが(笑)
 そして反橋母子は、帰ると家が崩壊しているという、恐ろしいオチ。
 物語的な因果応報を考えると、この崩壊事件をきっかけに反橋グループは衰退していき、反橋一家は転落、 今度は反橋息子がいじめの対象になっていくのだろうなぁ……果たしてその時、保少年はどちらの側に立てるのか?
 語弊を招く言い方を敢えてすると、『ソルブレイン』ぽいエピソードでした。
 “見えない巨人”のダブルミーニングが最後に効いてくるのは面白かったけど、これは扇澤延男、悪い意味でやりすぎたし、 書き手として持ち込んだテーマに責任を取っているように見えず、非常によろしくなかったかと思います。
 なお途中まで、実は反橋父は、かつて奥田タカヒコによっていじめられており、ベランダから突き落としたのはその報復の為であった、 ぐらいのねじれた構成だと思っていました。というか劇中の要素を繋げるとその方が自然なので (「やられたらやり返せ」という論法が何を生むかを、拳は知るべき)、初期段階ではそういうシナリオだったのではないか、 ぐらいに邪推しています。

 次回、隊長、激務のストレスで遂にレボリューション!

 ナレーション「もはや夢でも幻でも、囮捜査でもない」
 ああそこ、凄く大事なので強調しないといけませんね(笑)

→〔その8へ続く〕

(2013年6月18日)
(2017年3月17日 改訂)
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