■『特捜エクシードラフト』感想まとめ6■


“夢はいつでも最強の武器 砕け暗闇 風を吹かせろ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜エクシードラフト』 感想の、まとめ6(26〜30話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

戻る

〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・  〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕 ・ 〔まとめ5〕
〔まとめ7〕 ・  〔まとめ8〕 ・ 〔まとめ9〕 ・ 〔まとめ10〕 ・  〔総括〕


◆第26話「明日への激走」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
 ……少し前にも激走しなかったけ? と思ったら、24話は「傷だらけの迷走」でした、勘違い。
 前回に引き続き、バリアス7回。
 冒頭は機能紹介から。
 前回の描写から推測されましたが、どうやらバリアス7に搭乗していると、ファイヤーやブレイバーのように運転席でそのまま 「実装」できる模様。…………たぶん、隊長だけが。
 国際手配されていた死の商人・集信男(つどい・のぶお)が逮捕される。だが集が持ち込んだ特殊な毒ガス発生装置の行方が不明となっていた。 車などに取り付け、速度が30km以上でスイッチオン、30km以下に落ちると毒ガスを噴霧し始めるその装置……仮に発生すれば、 その毒ガスは数百人を楽に殺傷する! 乗用車に仕掛けた状態で国内に持ち込まれた毒ガス発生装置を追って、 エクシードラフトは捜査を開始。
 今回も、特捜手帳をアピール。玩具ギミックかと思われますが、メモリを接続して読み込む機能がついている模様。今で言う、USBか。
 その頃、車による投身自殺をはかろうとしていた父子が、崖から飛び降りようとしていた所をパトカーに見つかり、つい逃走。 倉庫街でエンジンブローしてしまい、たまたま逃げ込んだ工場に隠されていた車に乗り変えて逃走するが、それこそが、集が持ち込んだ、 毒ガス装置付きの車であった……!
 父子を発見した警官からの応援要請を受け、車の確保に向かうエクシードラフト。
 「バリアス7とスクラムヘッドだ!」
 と子供の台詞があるのですが、さっそく雑誌とかで特集組まれちゃっている模様。
 父親の華麗なドライビングテクニックに、なかなか差を詰められないエクシードラフト。隊長がなんとなくサーチライトを浴びせて、 車に取り付けられた毒ガス発生装置の存在に気付き、停車する。
 「実はな、毒ガス発生装置はあの車に取り付けられていたんだ」
 ……って、何、その台詞(^^;
 もはや、どうツッコんでいいのかもわかりません。
 逃走の末、市街地を走る父子。
 なんかもう、自殺したいのかなんなのだか。
 そしてそこを、サラ金業者に見つかってしまう。いきなり、町中でリボルバーを取り出すサラ金だったが、 エクシードラフトに気付いて慌てて引き上げる。
 隊長ここで、親子の車を追跡しながら急に毒ガス装置の事情を説明。それを聞いた父子は、「迷惑をかけずに死のう」と車を山道へと向かわせる。
 「まずいぞ、あの父子は毒ガスの事を知った」
 「人気のない所で車を止めるつもりだ」
 って、所轄からの応援要請の時点で自殺するつもりな事は知っていた筈なのに、説明したのは誰か。
 今回、新車に浮かれすぎたのか、エクシードラフト3人揃って、 頭のネジが数本抜け落ちたような言動が連続します(^^;
 本部からの情報で、逃走車を運転しているのが、朝倉宏35歳、元レーシングドライバーだと判明する。 朝倉は1年前に人身事故を起こしてレーシングドライバーとしての地位を失い、更に賠償金による借金と、 その踏み倒しによる失踪でサラ金業者と警察の双方から追われる身となっていた。
 バリアス7とスクラムヘッドを引き離し、人気のない所でブレーキに足をかける朝倉。だが、高速モードでそれに追いつくバリアス7。
 「待て、止まるな! 止まるんじゃない! 死ぬ勇気があるなら、なぜ生きようとしない!」
 息子の未来まで一緒に奪っていいのか……? 助手席で「お父さんと一緒に死ぬんだ」と繰り返す息子……だが、 その真意を見つめ直した時、朝倉は息子の為にも生き続ける決意を取り戻す。朝倉は再びアクセルを踏み込むが、 車の燃料は残りわずか。毒ガス装置を取り外すべく、追いついてきたスクラムヘッドからキースがバリアス7に、 バリアス7からレッダーが朝倉の車に、という二段乗り移り。
 車の屋根から屋根はよくあるアクションシーンですが、同事二段乗り移りは珍しく、今回最大の見せ場。
 予告で見せてしまったのは、勿体なかった。
 朝倉の車に飛び乗り、毒ガス発生装置を外そうとするレッダーだったが、何を思ったのか、 そこへ突っ込んでくるサラ金業者。銃撃を受け、ものの見事に撃ち落とされるレッダー。
 先ほどの格好いいアクションが台無しになるのも構わずに、再びバリアス7に乗り込んだレッダーは、 スピードの落ちた逃走車にアンカーを打ち込むと、ホバー機能で浮上、

 車を振り回す。
 そのまま引っ張って走るならまだわかりますが、回転させるというのが激しく意味不明。
 しつこくピストルを撃ちまくっていたサラ金はブルースとキースによって逮捕されるが、遂に毒ガス発生。 レッダーはバリアス7のグレネード冷凍弾で車をガスごと凍結させると、ドアを破って父子を救助。 最後はレーザーで車を木っ端微塵に破壊するのであった。
 バリアス7の機能見せという事で、冒頭からクライマックスまで全力全開なのですが、シナリオの方は酷くて、 ここまででも最低レベルの出来。演出も、もっと何とかしてほしかった。

◆第27話「拳のラブストーリー」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:酒井直行)
 出勤途中に、怪我した鳩を手当する女子高生・南條真弓と接近遭遇した拳。エクシードラフトの拳の大ファンだという彼女に舞い上がり、 一緒に鳩を獣医のもとへ連れて行くと、キースと名付けた鳩が治った際には一緒に空へ飛ばそうと約束する。
 浮かれまくる拳。
 他人の恋バナに予想外にノリノリな隊長。
 どうしてそんなに女子中学生ノリなのか、エクシードラフト。
 約束の日、拳の作ったホットケーキが食べたいという真弓の為に、屋外に、 椅子とテーブルとパラソルとホットケーキセットをしつらえる男、大熊拳。
 だが、真弓は現れなかった。
 首をひねりながら撤収した拳はその帰路で、道ばたにうち捨てられたキースの入った鳥籠と、真弓のものとおぼしき帽子を見つける……。
 実は真弓は、サイボーグの権威であり、トライジャケットの開発メンバーの一人でもある南條博士の娘であった。 戦争用サイボーグの製作をもくろむ組織のボス亜川(中田譲治さん、シリーズ皆勤)は、その為にトライジャケットのデータを入手しようとし、 南條博士を金で抱き込もうとするが失敗。娘の真弓を轢き殺す、という強硬手段に出る。
 あくまで事故にあった真弓を助けたのだ、と主張しながら、亜川は死んだ真弓をサイボーグとして生き返らせる事が博士になら可能な筈…… と持ちかける。恐らくその為の資金影響を盾に(言及はされない)、博士は亜川の組織に協力する事となってしまう……。
 ゲストヒロインがさくっと殺される、というまさかの展開なのですが、それならもっと、演出で悲劇性を強調しても良かったと思います。 あまり映像を刺激的にしすぎないようにという配慮もあったのでしょうが、演出があっさりめで、あれで死んだの?  という感じになってしまったのは、物語のリズムの付け方としてはマイナス。
 あと、“サイボーグ化した女性との悲恋”って、100%、先日やったような気がするのですががが。
 数日後、サイボーグとして蘇った真弓は、南條博士から「トライジャケットの駆動系改良装置のデータを届けにきた」という名目で、 エクシードラフト本部へ。データの受け渡し中に仕掛けておいた爆弾を爆発させ、メンバーが本部を出払った隙にトライジャケットのデータを奪って脱出。 追跡したエクシードラフトは、組織の車と真弓を追いつめるが、亜川の命令を受けた真弓が、華麗な飛び蹴りをキースに炸裂させる!
 「指令・エクシードラフトを倒せ」
 鉄パイプとキックのアクロバット攻撃に、滅多打ちになる3人。
 博士、娘を再生させるついでに、ついつい自分の技術を全力で振るってみた模様。
 そこへ南條博士と愛が駆けつけ、亜川の持つコントローラの破壊を指示。しかしその前に、真弓の猛攻がキースを襲う。 キースの首を締め上げる真弓だったが、ヘルメットが脱げた拳の瞳を見て、かすかに残った記憶がその手を止める。 真弓を諦めた亜川が後ろからバズーカを放つと、拳を守って吹き飛ぶ真弓。父である博士と、拳に看取られ、真弓は機能を停止する。
 そして逮捕された亜川へ向けて、拳は銃を向ける!
 「俺はエクシードラフトの大熊拳じゃない! 一人の人間としてこいつを! 許す事ができないんだ! どいてください!」
 隊長に止められると手帳を投げ捨て、ここまで言わせたのは良かったところ。
 一方で返す隊長が、
 「拳、そんなことをして真弓ちゃんが喜ぶと思っているのか!」
 と凄く月並みな台詞になってしまったのは残念。まあここで、これ以外の台詞を生むのは難しいですが。難しいからこそ、 出来ればそこまでやってほしかった所。
 博士の無言の制止もあり銃を下ろした拳は、後日、真弓の為にホットケーキを作り、幻の彼女とキースを空へと羽ばたかせるのであった……。
 うーん、時間の都合でどうしても力業になりがちなのですが、一目惚れ(に近い)ネタは説得力を持ち込むのが難しいよなぁ、と。 そしてそこで説得力を持たせられないと、どうしても全体的に厳しい。
 強烈なアクションを披露する南條真弓役は、早瀬恵子(現:成嶋涼)。『地球戦隊ファイブマン』のファイブイエロー/星川レミ役。 もともとアクション女優志向だったそうで、素晴らしいアクションでした。
 次回、
 「そう、あの光の戦士が帰ってきた!」
 ……って、脚元を映した映像で、一瞬凄くナチュラルに、竜馬さんだと思ってしまいました(笑)
 何でもありだし、あの人。
 にしても、前回別に「光」「光の戦士」をアピールしていた記憶はないのですが、もう完全にウルトラマンなのですね(^^;  まあ直近で「光の戦士」というと、むしろRXだったりはしますが。

◆第28話「光の戦士、再び!」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一)
 世界的なレスキューポリス展開の見本とするべく、パリのインターポール本部から、エクシードラフトに視察団が訪れる事になる。 スタートから7ヶ月、よくここまで……という本部長の台詞から回想始まる? と思ったら、 バリアス7の走行シーンに切り替わったので大丈夫か、と思ったら、結局隊長が回想スタート(笑)
 隊長→耕作→拳→愛、とそれぞれの見せ場シーンを回想。
 総集編の音楽指定まで監督がやるのかわかりませんが、音楽の使い方の微妙さでは定評のある小西監督、やはりどうも、変(^^;
 というか本当にてきとーに挿入歌載せただけというか。音楽と場面を合わす気ゼロ。愛の回想ラストの「それは愛ー」だけ合いましたが。 もう少し回想のチョイスも凝ってほしかったというか、つい前回のvs真弓を使うのはさすがにどうか。
 ラストに隊長が秋葉との出会いを回想して、Aパート終了。
 Bパートから通常モード。
 フランス出発前に、瓜二つのメンバーにすり替わられてしまうインターポール視察団。 日本入りした彼等はエクシードラフト本部に向かおうとするが、その道中で突然の襲撃を受ける。応援要請を受けた隼人達が出動すると、 襲撃者の正体はなんとデビット・秋葉だった!
 すり替わった視察団の正体は、エクシードラフト殲滅作戦の為に雇われた暗殺チーム。その雇い主は、カルロス・東郷!
 「この星を支配するためは、この星の最強のポリスをまず倒しておく必要がある」
 宿敵の行動に理屈をつける秋葉ですが、ただの、私怨な気がします。
 暗殺チームを確保し東郷の居場所を掴もうとする秋葉だったが、逃走した4人はカルロスの渡していた爆弾により、 遠隔操作で強制自爆。
 東郷の目論むエクシードラフト殲滅計画、そして謎の最終作戦を阻止するべく、秋葉はエクシードラフトとの共闘を、 改めて誓うのであった。
 そして、
 「もはや誰だろうと、俺の最終作戦は止められない」
 東郷はその手始めに勝を誘拐。今、恐るべき戦いが始まろうとしていた……!

◆第29話「さらば、光の戦士」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一)
 勝を人質に取ったカルロス東郷は愛に1枚のFDを渡し、本部のコンピューターに入れるように脅迫する。勝の命の為、 仲間にもそれを告げる事が出来ず、やむなくFDを使ってしまった愛は、東郷の乗っていた車のナンバーから割り出した 小針電子工学研究所へと単身向かう……。
 珍しく、愛からアプローチしたのは良かった所。
 エクシードラフト、隊員の個人情報、外にだだ漏れすぎ感はどうしてもありますが(^^;
 既存の戦隊シリーズなどでは、なぁなぁで許される範囲で良いかとは思いますが、改めて、 警察組織を背景とするレスキューポリスシリーズでは、その辺りはもう少し気を遣って欲しかった所です。 『ウインスペクター』の香川竜馬は、現場レベルでは特に隠していないものの、大々的に中身をオープンにしている感じではなかったのですが、 『ソルブレイン』以降は中の人員を外にオープンにしすぎだと思います(^^;(※ウインスペクターには、 藤野純子を広報用スケープゴートにするという、えげつない事をしていた疑惑がありますが)。
 また、小山良太(なぜか香川優子ではなく)が人質にされた回では、 それをチームとして切り抜ける展開を上手く盛り込んでなんとか誤魔化していたのですが、その辺りの要素を、 FDを使ってしまう前の段階で、出来れば取り入れて欲しかった。
 研究所へ忍び込んだ愛へ迫る激しい銃撃。密かに後を追っていたデビット秋葉が愛を助けるが、 二人は炎上する工場に閉じ込められてしまう。一方、FDが火を噴き、宇宙のシムを含めて暴走しだす本部コンピュータ。 隼人達はその場を本部長に託し、工場へ。
 宇宙ビームも跳ね返す特殊合金の扉をあっさり破壊する、バリアス7のブレイクレーザー、恐るべし。
 例の日曜工具(名前忘れた)の価値が、あっという間に凄まじい勢いで下落しています(^^;
 二人は無事に救出され、愛は勝が拉致された事を告げる。それに対して、厳しい言葉を投げる秋葉。
 「甘いな。こんな失態を演じているようでは、ヤツを押さえる事は永遠に不可能だ」
 その言葉に、同じ立場なら俺だって……! と文句を言う耕作と拳、たしなめる隊長。だが耕作は収まらない。
 「しょせんあんたは人間じゃない。家族愛や兄弟愛がわかるわけがないんだ!」
 いや前回、その異星生命体の家族愛がキーだったんですけどね……(笑)

 要するにこれは、男の嫉妬なのです。

 隊長と妙に通じ合っている秋葉に対し、耕作と拳がジェラシーの炎を燃やしているのです!
 隊長は本当に、男にモテるなぁ!
 しかし……
 「ああ、俺は人間じゃない。だがわかる。ヤツは、カルロス東郷を名乗っているあいつは……あいつはこの俺の弟だ」
 本部に戻った面々は、FDに収められていたウィルスによって、本部のコンピューターが全て支配下に置かれ、 更にそれが世界中に拡散しつつある事を知る。このままでは遠からず、あらゆるコンピューター、 そしてそれに制御されている各種兵器などが、東郷の意のままになってしまう!
 ……これは愛さん、人質とかやむを得ない事情とか関係なく、今回で解雇・降板ではないでしょうか。
 慌ててFDを抜こうとするトライジャケットの3人。
 しかし火花を撒き散らしながら、抜けないFD。

 かつてない最強の敵、FD!

 東郷と小針電子工学研究所の繋がりから浮かび上がる、小針圭三博士。コンピューターウィルスの研究に取り憑かれた彼が事件に関わり、 東郷と行動を共にしているなら、どこかでウィルス汚染されたコンピューターに接触してモニターしている筈。その逆探知をする為に、 レッダーがキーボードをたぐりよせ、ブルースとキースが火花から愛を守る。更に秋葉が宇宙パワーで3人をガードし、 逆探知に成功する愛。東郷達の居場所を突き止めたエクシードラフトは、C地区ポイント7の廃工場へと突貫する!
 小針博士はメイン悪役でもありませんが、如何にもなキ○ガイ科学者で、いい感じ。
 エクシードラフトは勝を救出し、激突する秋葉と東郷。レッダーは小針博士にウィルスの拡散を止めさせようとするが、 実はそこには恐るべき秘密が隠されていた。なんと、FDの中に入っていたのはコンピューターウィルスではなく、 東郷の意識生命体の一部。東郷を殺さない限り、拡散を止める事は出来ないのだ。
 その言葉を聞き、東郷に組み付いた秋葉は相手のエネルギーを押さえ込むと、もろともに撃つように、 とレッダーへ宇宙メリケンサックを託す。
 「いこう……帰ろう……遠い昔の、俺とおまえに」
 かつて犯罪により両親を失った、秋葉と東郷。長じて、同じ哀しみを受けるものが少しでも減るようにと秋葉はポリスとなり、 哀しみを受ける側ではなく与える側になってやると東郷は犯罪者となった。
 兄の言葉、もろともに罪を精算しようとするその行動、抱きしめ合う愛と勝の姿……なにかを取り戻した東郷は秋葉を引きはがすと、 エネルギーを解放して、自爆。後にはただ、宇宙メリケンサックだけが残されるのであった。
 珍しい、エンディング曲ギターソロ。
 秋葉と東郷の会話シーンは中身は悪くない気はするのですが、おっさんとおっさんが抱きしめ合って耳元で囁くという絵面にどうしても乗れませんでした(^^;
 なんとかこう、抱きしめない方向で出来なかったのか(笑)
 こうして東郷は消滅。事件を解決した秋葉は、宇宙へと帰還する。
 青「宇宙は任せた」 (訳:さっさと帰れ。隊長に近づくな)
 黄「地球は任せろ」 (訳:地球には来るな。隊長に近づくな)
 赤「元気でな。また会おう」
 時空を超えた友情と嫉妬が、地球と宇宙のポリスを繋ぐのであった。
 折角の、一線越えたトンデモネタなので、もう一回ぐらい出てきてもいいかなぁ、無理かなぁ。

◆第30話「狙われた護送作戦」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:増田貴彦)
 食い逃げ犯・森山保(35)を東京地検まで護送する事になったエクシードラフト。実は森山は、 武器密輸の疑いで内偵が進められていた北辰工業から、毒ガスの方程式の収められたFDを盗み出した疑いが持たれていた。その為、 地検が直接取り調べを行う事になり、道中で武装マフィアの妨害が予想される事から、エクシードラフトがこの任務を命じられたのだ。
 隼人と拳が囮を担当し、耕作が森山を別ルートで護送する事になるが……そこに出てくる、怪しすぎる地元の警察署長(笑)
 どのぐらい怪しいかというと、裏でダッカーと繋がっていそうなレベル。
 実は署長は森山が故意に食い逃げ(軽犯罪)で捕まった事を見抜いており、彼が盗んだFDを金にする為の仲立ちをしよう、 という密約を結んでいた。署長の仕掛けた発信器により護送ルートを特定され、襲撃を受ける耕作と森山。
 もうすっかり、見ている方も慣れっこになってきてしまいましたが、バズーカやショットガンを平気で撃ちまくってくる武装マフィアを相手に、 拳銃と通信機を失ってしまった耕作は、取引をしようとする森山を抱えて、川にダイブ。一方、同じく襲撃を受けた隊長達はそれを陽動作戦と見抜き、 連絡の取れない耕作の元へと急ぎ向かう。
 川から上がった耕作は森山の案内で街へ出ようとするが、森山の足は生まれ故郷の寂れた村へと向かっていた。4年前、 建築デザイナーになるという夢を捨てきれずに、妻子を置いて村を飛び出した森山だったが、夢破れて挫折、転落。 そんな村山の過去語りにほだされた耕作はつい手錠を外してしまうが、森山の体当たりに崖から落とされそうになる。 妻子の家へ向かう森山だったが、既にそこには、妻子を人質に取ろうとする署長の手が回っていた。
 いくら寂れた村とはいえ、平気で銃を撃ちまくるマフィア達。
 いざとなったら、村ごと焼き払いそうです、この人達。
 「助けてくれ! さっきは悪かったよ!」
 手のひらを返した森山は耕作を助け上げるが、今その人、拳銃も通信機も持ってないから大して役に立ちませんよ!
 一方、乗り捨てられた耕作の車を発見する隊長達。そこにバズーカ攻撃を受けるが、逆に襲撃班を撃退し、敵アジトの位置を突き止める。
 「そんなバカな」……と、この世界で一番驚かれるのは、

 車が飛ぶ事である

 という微妙に受け止めがたい現実。
 耕作と森山は敵アジトに追い込まれ、炎上する廃工場で鉄骨の下敷きになる耕作。森山は靴の裏に隠していたコインロッカーの鍵を取り出すが、 盗んだFDの中身が凶悪な毒ガスの方程式だと教えられ、逡巡する。自分の命を賭けてでも、 それを悪の手に渡す事を止めようとする耕作……その時、隊長達が突貫してきて、武装マフィア&手を組んでいた署長は御用。
 うーん、どうせ突貫してくるのは決まっているわけですから、エピソードの中でそこへ向けて、 演出と脚本でしっかり山谷をつけてほしい所。また、話の流れは“妻子への想い”をメインに、 せいぜい“田舎への愛憎”を取り込んでいるぐらいだったのに、最終的な逡巡の焦点が毒ガスについて、になるのは、 いささか唐突。物語としてはそこは、持ってきた流れと上手く合わせなければなりません。 最終的な焦点を毒ガスに合わせるのだったら前半からそれについて振っておくべきだったし、それをしないなら、 最後の説得を家族がらみにするべきでありました。
 組織を逮捕し、改めて東京地検へと向かう前に、エクシードラフトは森山を一目家族に会わせてやろうとする。
 家へと一歩を踏み出し、しかし地面に目を落として、歩みを止める森山。
 「やっぱり、このままじゃ会えません……」
 その視線の先にあったのは、息子の書いた七夕の短冊であった。
 「お父さんが、けんちくデザイナーになれますように ゆうた」
 「いいのか、これで」
 「息子には、綺麗な体で会いたいですから」
 森山を乗せ、その場を去って行くバリアス7とスクラムヘッド。
 丁度その後ろを見送るような形ですれ違って帰宅する、一組の母子。息子はバリアス7とスクラムヘッドに歓声をあげ、 母親は首をかしげる。
 「でもなにか、事件でもあったのかしらねぇ?」
 再生を胸に誓う男を乗せ、エクシードラフトは、東京へと走り去っていく……。
 このラストは良かった。
 ラストだけ良かった、というか。
 短冊見て家族に会わずに帰るだけだと、単なるちょっといい話なのですが、妻子とすれ違わせる事で、 何ともいえない余韻を描き出しました。
 目新しさのないシナリオに加え、順々にイベントをこなしているだけ、という連動性がなくテンポの悪い演出だったのですが、 ラストシーンは素晴らしかった。

→〔その7へ続く〕

(2013年5月24日,2013年6月18日)
(2017年3月17日 改訂)
戻る