■『特捜エクシードラフト』感想まとめ3■


“そうとも 夢は見るものじゃない
戦い続けて かなえるものだ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『特捜エクシードラフト』 感想の、まとめ3(11〜15話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第11話「炎の超高速ロボ」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一)
 ある日、勝は「エクシードラフトに勤めている姉に渡してくれ」と、見知らぬ少年から「挑戦」と描かれたFDを手渡される。 本部で確認したそのFDの中身は、警察やエクシードラフトの装備開発も行っている御用メーカー、中光機械の工場への、 爆破予告であった。現場へ向かったエクシードラフトは爆弾を探査するが、一向に見つからない。予告の時間が来た時、 吹き荒れる謎の突風! 吹き飛ぶ警察の皆さんとパトカー!
 うん確かに、「時限爆弾で爆破する」とは一言も言っていなかった、心理的盲点を突いた見事な爆破予告トリック!
 炎を噴き上げる工場に、実装したエクシードラフトは乗り込んでいく。
 実装後、車から飛び出すシーンが追加。
 ところでいつも思うのですが、拳はスーツを着た後で、ヘルメット装着前に顔をぱんぱんするのは首に悪そうなのですが、 誰か止めた方がよろしいのではないでしょうか。その内、死因とかになりそうでドキドキします。
 耕作「あいつ……いっつも顔を叩く癖なんかあったばかりに……」みたいな。
 工場内部でエクシードラフトを待ち受けていたのは、謎の竜巻。その攻撃を受け、超吹っ飛ぶエクシードラフト。 敵は目に見えないほどの超高速で動いているに違いない、とターボユニットを起動して追撃する3人だっが、 音速の壁を前に脱落するブルースとキース。ただ一人目標に追いついたレッダーが目にしたのは……ロボット?!  遂に敵の姿を捉えたレッダーであったが、限界を超える駆動の影響もあり、反撃を受けて敗北、隼人は警察病院へとかつぎ込まれる。
 ここまで圧倒的だったエクシードラフト(もといレッダー)、まさかの完全敗北。
 それにしても隊長は、根性と個人能力で、マシンスペックを超えてしまうとかますますトンデモで、 誰かに似てきました(笑)
 エクシードラフトではこれを受けて、ターボユニットの強化計画が進行。レッダーが目にしたロボットの外見情報を元に 謎の敵への対策を進めていく。
 これまで数々の超人ぶりを発揮してきた隊長ですが、画才はびみょーだった事が発覚。
 まあこの場合はむしろ、短時間の交戦中にえらく細かいディテールまでよく覚えている、ところに関心するべきなのでしょうが。
 というか、トライジャケットには、記録カメラは付いていないのでしょーか。
 ソルジャンヌですら、搭載していたのに。
 通信機もついていないみたいですし、本当はレスキューする気ないのではないか(笑)
 どうしてそこまで前のめりに、戦闘特化型なのか。
 しかしまあ、この絵が「エクシードラフト叶隼人隊長が見たと主張する謎のロボット」としてTVなどで公表されていたとしたら、 小学生達が存在を疑うのも仕方ない(笑)
 安静中の隼人だったが、ロボットの襲撃を受けた際に工場長が呟いた「まさか……」という言葉が気になり、 病院を抜け出すと素敵イラストを持って話を聞きに行く。
 「やはり……ポセイドン」
 それは、2ヶ月前まで中光機械で開発が進められていた、海中作業用のロボットであった。
 「水の抵抗をほとんど感じないロボットが、地上に上がった……」
 「そうか、それであれだけのスピードが!」
 なんか、怪獣ぽい説明と超論理(笑)
 一方、例の少年が乗り込んで去って行ったバンを見かけた勝はその後を追い、野々村研究所という建物にたどり着く。 忍び込んだ地下でポセイドンを発見する勝……それは例の少年・カズヤの脳波で動くロボットであった!
 元来、カズヤの父親によって海中作業用に開発されていたポセイドンだったが、その性能が軍事目的に転用される事を恐れた中光機械は 開発中止を命令。カズヤは失意の父親を説得し、自らが脳波操作のドナーとなる事で、ポセイドンを海中専用に改修しよう、 それなら軍事利用の恐れは無い、と訴え、それは成功する。だが……やはり会社はポセイドンを認めず、博士は自殺。カズヤは、 博士の助手だったタマキによって再改修を受け、地上でも動けるようになったポセイドンを用いて、 亡き父の復讐をもくろんでいるのであった。
 「陸上でも動けるようにするとー、軍事利用の可能性が強くなって会社に怒られるかもしれないけど〜、 科学者として追求せずにいられなかいら仕方ないよね、てへっ☆」
 という野々村博士が、地味にマッド。……まあ基本的にレスキューシリーズは“マッドになって初めて一流” という世界観なので、ごく日常的な出来事ではあるのですが。
 「俺も、親居ないんだ。君がお父さん亡くした気持ち、だからわかるんだ」という勝の言葉に、 復讐に凝り固まったカズヤの気持ちは徐々にほぐれていく。エクシードラフトに事情を説明しよう、という説得に応えるカズヤだったが、 プロレスラーみたいな見た目の黒幕と繋がっていた助手の髭面は勝を人質にし、これまで通りにポセイドンを動かす事をカズヤに強要する。
 勝たちを乗せ、野々村研究所を飛び出していくバンを目にする耕作と拳。おそらく隼人から情報を得てやって来たのだと思われますが、 そこを描いたシーンが無いため、えらい唐突に(^^; 二人はバンを追撃するが、ポセイドンにしばき倒され、大ピンチに。 だがその時、改良したターボユニットを組み込んだ、レッダー改が現れる!
 左手に格好いいシールドが付属したレッダー、そこから剣も出てきて、一気にヒーローっぽいデザインに。 正直トライジャケットはあまり格好良いと思ってなかったのですが、ぐっとバランスが良くなり、このバージョンアップは歓迎したい。
 レッダーvsポセイドン、超高速の戦闘。そのスピード、マッハ0.99!
 一方、ブルースとキースはバンを追い、助手席から転がり落ちた勝を無事に助けるが、タマキはポセイドンを回収し、 カズヤを連れたまま逃亡してしまう……逃げられてはしまいますが、レッダーvsポセイドンだけに集中してしまわず、 ブルースとキースに別の役目を割り振った上で見せ場を与えているのは、今作の良いところ。
 その上で、人間としてのスペック差を強調する事で、隼人を抜けた存在とする見せ方のバランスは、 今のところ巧く回っています。
 今回、日向姉弟に親が居ないという設定が出てきましたが、これは小山姉弟の引き写しと考えて差し支えなさそうで、 前作の反省をもろもろ踏まえつつ、改めて『ウインスペクター』の後継作品を志向していると見て良さそうです。
 次回、「このままでは東京が壊滅」……って、どれだけ凶悪なんだ、ポセイドン。
 なお今回、特命でインターポールに出張した桂木本部長に代わり、恰幅のいい本部長代理・一色哲夫警視監が登場。 急な登場でしたが、桂木本部長役、福田豊土氏の入院による休養の為の代役との事。

◆第12話「マッハのロボ戦線」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一)
 新装備・ガードラーの特訓を行うレッダー、ブルース、キース。
 どうも、形から入るタイプっぽい日向隊員の放ったバズーカの弾丸を、着弾に先回りして迎撃するという荒技を披露。
 はーしれー エイ○マーン たまよーりもはやくー
 一方、隠れ家に逃げ込んだタマキはカズヤに、自分が野々村博士を殺害していた事を告白。タマキの真の目的は、 ポセイドンを兵器として売り込む事。その為にタマキはカズヤをそそのかしてポセイドンの性能をデモンストレーションし、 仕上げとして、捕らえたカズヤの脳波データをコピーする事で、ポセイドンを意のままに操ろうとしていた。
 エクシードラフト本部には桂木本部長から、タマキがパリで香港マフィアと接触、その男、 武器商人のチャーリー・ウォンが交渉の為に来日するという情報がもたらされる。
 ここで遂に、EDで物議を醸していた、耕作の変装技が炸裂。
 老婆に変装して香港マフィアを油断させた耕作は華麗な格闘技で相手を気絶させてすり替わり、 迎えの運転手になりすますと港でチャーリー・ウォンご一行を車にご招待。その向かう先は……

 マフィアは消毒だぁぁぁ!

 「子どもの命がかかっているんだ、何だってやってやるぞ」
 と、人気の無い採石場に香港マフィアご一行を連れ込み、3人で銃を向けて脅迫するエクシードラフト(笑)
 日本の警察、おそろしぃぃぃぃぃぃ!
 そう、ここは世紀末TOKYOディストピア(基本的に世界観は連続していない設定ですが、 『ウインスペクター』/『ソルブレイン』世界と、『エクシードラフト』世界は極めて近い並行世界だと思われます。 あと『ダイレンジャー』世界)。
 科学と危険に満ち溢れた、暗黒未来都市。
 合い言葉は一つ、「人を見たら元傭兵だと思え」。
 香港マフィアからタマキとの取引場所を聞き出したエクシードラフトは隠れ家へと急行。しかし、 油断かましてヘルメット外して突入したため、手痛い反撃を受ける(笑)
 エクシードラフトの隙を突き、コピー終了したカズヤの脳波でポセイドンを起動するタマキ。だがシステム上の問題なのか、 ポセイドンは暴走。隠れ家は大炎上し、エクシードラフトはカズヤを救出すると、タマキを逮捕。
 残るはポセイドンのみ……銃を向けるレッダーだったが、ポセイドンに亡き父の姿を重ねるカズヤが 「破壊しないで」とポセイドンをかばう。カズヤは自らの過ちを認め、「もう止めるんだ」とポセイドンを止めようとするが、 ポセイドンはそんなカズヤに銃を向けると、高速移動で走り去って行く……移動経路上のあらゆるものを薙ぎ倒し、 大炎上させていくポセイドンの目的地は、中光機械本社!
 暴走中の今もなお、ポセイドンのコンピューターには、カズヤの意思、とでもいうべきものがこびりついていたのだ。
 自らの呪いを完遂しようとするポセイドンの真実を知ったカズヤは、そんなポセイドンを破壊してほしいとレッダーに願う。 それに応え、3人はターボユニットを起動。遂に音速の壁を突破したエクシードラフトは、中光機械本社の前で、 ポセイドンの姿を捉える!
 東京観光をしながら、激突する3vs1。
 高速移動戦闘の表現という事で、東京各地を移動しながらちょっとずつ戦う、という面白い趣向のクライマックス。
 それにしてもポセイドンは、エクシードラフト3人と渡り合うわ、ハンドガン(タマキの再改修前から付いていた)はやたら強力だわ、 お父さんは軍事利用なんて考えていないとか言われても、むしろ全く信用できないレベル。
 これぞまさしく死人に口なしというか、タマキさんは慌てず騒がず博士をもうちょっとうまく転がすべきだったと思います!
 やがて……郊外で対峙する3vs1。次々とハンドガンに吹き飛ばされるエクシードラフトだったが、 最後は一騎打ちでレッダーがそのハンドガンを破壊し、本体を一刀両断で成敗!
 こうしてポセイドン事件は解決。カズヤは父の墓前に花を供え、復讐に瞳の曇っていた少年は、 勝を始めとした友達を得る事で少年らしい明るさを取り戻すのであった。
 子どもキャラをメインに据えて物語を展開しつつ、パワーアップ展開を巧く盛り込みました。ここまでエクシードラフト (主にレッダー)があまりに圧倒的だったので、パワーアップ早いなぁ……とか一瞬思ったのですが、 よくよく考えるともう1クール経過していました(笑)
 この時期なので当然、初期から織り込み済みだったとは思いますが、強敵の特性に合わせた<バージョンアップ>が、 総合的な《パワーアップ》として成立する、という強化の仕方は秀逸。 必要以上のオーバーキル感と唐突さを減じて、うまく抑える事が出来たと思います。
 中盤以降もこういった、段階的なバージョンアップがあると面白いなーとは思いますが、さて。
 また、微妙にしまらなかったトライジャケットが、デザイン上のアクセントがついた事で格好良さもバージョンアップしたのは、 個人的にかなり良し。
 次回…………なんかちょっとおかしい。

◆第13話「禁断の地獄拳!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:増田貴彦)
 最近続いている蒸発事件には、行方不明者が格闘技の経験者であるという特徴があった。背後関係を洗い出すエクシードラフトだったが、 そこへ拳の友人・コグレが失踪したという情報が入る。事件の影にあったのは、闇の格闘試合を開催し、違法賭博を運営する組織。 彼等は試合の駒とする選手を集めるために罠を張り、薬を用い、コグレもまた彼等の標的となってしまったのだった。友の為、 その妹の為、拳は怪しげな格闘団体への潜入捜査を試みる……。
 別々に発生した「格闘家の蒸発事件」と「空手家であるコグレの行方不明」(最初の時点では、 妹から連絡が繋がらないと電話があっただけ)を劇中で誰かが関連づけるというシーンが無い為に、 拳が目の前の事件をほっぽって「俺、友達探していいっスか?」と私事を優先しているようにしか見えず、 それを本部の面々が「あー、いいよいいよ」と許可してしまっている為、折角ここまで、捜査と私情の公私混同に一線を引いてきたのが、 台無しになってしまいました。
 さすがに脚本上では存在していたと思うのですが、“誰がどう見ても関係あるのがわかる”からって、描写を省いて良いわけではなく、 むしろ絶対に抑えておかないといけない部分だったので、勿体ない。「もしかしたら、関係があるのでは?」って、 一言入れるだけで良かったのになぁ。
 そこを関連づけておいて初めて、潜入捜査の説得力も出るのですが、そこが無い為に 「手術が迫るコグレ妹の為にコグレをさっさと見つけたい拳の無茶をみんなが同情して聞いてしまう」という、 非常に良くない形になりました。
 格闘技団体に流しの格闘家として売り込みを図る拳、団体の代表であり暗黒格闘技の主催者でありちょびひげのおっさんである 藤王館長と激突(笑) 館長は拳の動きと必殺の大旋風蹴りに、過去の記事を思い出す。
 拳……

 「覇王」とか呼ばれてたのかぁぁぁ!!(笑)

 売り込みに成功した拳は、借金取りに追われて困っているような三文芝居を打つが、この下手な小芝居のせいで、 むしろ借金取り役の二人(隊長&耕作)がエクシードラフトである、と藤王サイドにばれてしまう。まあ、 拳の経歴洗えばすぐにわかりますしね……むしろこれで何を誤魔化せると思っていたのだろう、3人とも。
 そして翌日、闇の闘技場に招かれた拳だが、藤王サイドは尾行する隊長達の乗った車をバズーカで撃破。そして拳の前に現れたのは、 薬でバーサクしたコグレ! 激闘を繰り広げる二人だったが、拳の連続攻撃がコグレの正気を取り戻させ、更に隊長達が突貫。 実はバズーカで破壊されたのは、遠隔操作による無人車と人形による囮だったのだ。
 エクシードラフトは実装し、藤王館長は闘技場を爆破して逃亡。自爆の際に鉄骨の下敷きになったちんぴら達のレスキューを レッダーとブルースに任せ、キースは藤王を追うと、ターボユニットで車を補足し、対峙。
 冒頭には敗者に対して目つぶしを決め、中盤では拳とやりあった藤王館長、ここでもトライジャケット相手に近接戦の構えを取る(笑)
 魂の震えるものがあったのか、あえてトライジャケットを脱ぐ拳。

 夕日をバックに、拳を打ちあわせる二人(笑)

 まあ今回は、これが面白かったからいいか、みたいな。
 というか勢いで夕方にしてしまいましたが、えーともう……手術、終わったんじゃない……?
 と心配されましたが、拳が藤王館長を撃破、逮捕。コグレを連れて4人で病院へ向かうと、ちょうどコグレ妹 (なお、ユウコという名前)は手術室へ向かうところ。コグレ達は手術前の妹を無事に元気づけるのでありました。
 肝心な所で大ポカやっているけど、まあ悪くは無い、という、今作らしいシナリオ(^^; どうして今作は、 内容そのものは悪くないのに、展開の重要な所が抜けたシナリオが多いのか。

◆第14話「遙かなる父の家路」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:酒井直行)
 貿易会社で強盗放火事件が発生! 出動したエクシードラフトは火災を消火し犯人を逮捕するが、隼人は社長の高橋に不審を抱く。 高橋は元暴力団員であり、その経営する貿易会社は、麻薬密輸の疑いで内偵が進められていたのだ……。
 社長と強盗の目配せで、どうやら狂言、というのは最初から表現されるのですが、もうちょっとこう、 エクシードラフトを呼ばずに済ますような地味な方法は無かったのでしょーか(笑)  派手にやりすぎた為にレッダーにあっさり逮捕されてしまった強盗犯人ですが、それにしても、エクシードラフトは怖い。
 銃弾効かないし、やたらに戦闘力高いし、時速数十kmで走って追いかけてくるし。
 走って追いかけてくるというのは、心理的になかなか恐怖だと思うわけです。
 そんな事件の後、耕作を訪ねて面会の男がやってくる。
 男は、クドウ・トメゾウ。ヤクザ者を専門に狙って30年間無敗を誇っていたが、3年前に耕作に逮捕されて今日、 刑期を終えて出所した元・天才スリ師であった。すっかり心を入れ替え、最初に「村岡の旦那に挨拶に」と、 昔気質な雰囲気のトメゾウは、3年前の逮捕の折、幼い息子に対して気配りを見せてくれた耕作に対して、 恩と感謝を感じていたのだった。
 ここのやり取りと逮捕時の回想で、耕作のいい人ぶりが光ります。隊長が「いい人」という感じではない分、 拳の「わかりやすくいい人」よりも更に「クールを気取っているつもりだけどどう見ても凄くいい人」な、耕作が際立つ。
 耕作への挨拶を済ませ、息子にスーパーファミコンを買って帰ってやろうとするトメゾウ。それは、 父が船員として遠洋航海に出ていると信じている息子からの「おみやげはスーパーファミコンにしてください」 という手紙に応える為だった。しかし、スーパーファミコンは19800円、所持金は12000円弱……これではとても、 お土産に買って帰れない。いったいどうすればいいのか……思い悩むトメゾウだったが、誘惑を振り切り、家路を急ぐ。 しかしトメゾウはそこで、学校帰りの息子が「未だにスーパーファミコンも持ってないなんてー」と馬鹿にされている光景を目撃してしまう。
 「どうしても、もう一度だけ……」
 その頃、強盗放火犯が、高橋と手を組んでの狂言を自供。高橋の目的は、警察のがさ入れの前に、 強盗の仕業に見せかけて密輸の証拠隠滅を図る事にあった。だが、取引に関する情報は、 1枚のフロッピーディスクに収められている筈だという。エクシードラフトはFDを手に入れる為、高橋の行方を追って動き出す。
 一方、息子のため再びスリに手を染めたトメゾウが財布を盗んだ相手は、その高橋であった。財布と、 その中に納めていたFDを盗まれたことに気付いた高橋は、部下にトメゾウを追わせる。「銃を使っても構わん」と言われた途端に、 商業地のど真ん中で銃を抜いてしまうチンピラ達、発砲事件発生の報を受け、現場へ急行するエクシードラフト。
 高橋さんが、凄く迂闊な人である事だけは、間違いありません。
 トメゾウが倉庫に追い詰められた所で、エクシードラフト到着。高橋の持ち出したグレネードランチャーがうなりを上げるが、 ガードラーを駆使したレッダーにかなうべくもなく、逮捕。
 耕作はトメゾウに事情を問いただすが、トメゾウは一切の言い訳をせず、再びスリを行った事を告白して涙を流す。 やり切れない思いに憤る耕作に、本部長代理はトメゾウ息子の手紙を見せる。トメゾウの行為が、息子の為だったと知る耕作。
 「トメゾウのお陰で高橋を逮捕できた。……しかし、罪は罪」
 本部長代理の下したお裁きは……
 江戸所払い
 じゃなかった
 トメゾウにスーパーファミコンとソフト一式を与える、というものであった。
 ここは濁しつつ思わせぶりな台詞もあったりで、明確には描かれないのですが、トメゾウの「2,3日、ゆっくりさせてもらいます」 という台詞から判断するに、捜査協力に対する金一封という大岡裁きでスーパーファミコン譲渡&数日は家族と過ごす時間を与える+ その後で改めて逮捕、という所でしょうか。
 前作でやりすぎたので、かなり濁して大岡裁き路線に見せつつ、ギリギリ一線守った、という感じか(守れていない気もしますが、 世界観リセットされているわけですし、大岡裁き路線でもそれはそれで良いと思います)。
 まあなんにしろ隊長が自宅を把握したので、もう、どこへも逃げられない。
 本部長代理の方は、事情からすると急遽登板の割に、うまく作品の中に入り込んでいて素晴らしいなぁ。
 本部長復帰の際には、殉職回とか作って欲しいぐらいの勢い。

◆第15話「前略金銀息子さま」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:扇澤延男)
 空腹で行き倒れた売れないロックバンドの兄弟、金銀ブラザーズを拾った拳は食事をおごってやるが、後日、その兄弟が、 武器密売グループに騙されて、運び屋として利用されてしまう。一度は本部に保護された弟の銀之介の前に田舎の母親が現れ、 捕まった兄の金太を助けるべく、銀之介の奮闘が始まる……。
 んー、扇澤さんは、“コメディ風味”は書けるけど、コメディは書けないのかなぁ。
 前作の亀さん回が、アベレージからすると大きく外していたのは監督との相性かと思っていたのですが、脚本の出来も悪かったのかも。 アイデアと台詞回し、テンポの良い会話に面白みのある脚本家ですが、今回は全編滑りっぱなしな上に、話のテンポも悪く、 物事の辻褄も適当。面白いコメディが辻褄を凌駕する時はありますが、コメディなら辻褄が適当で良いというわけでは勿論ありません。
 兄弟が間抜けすぎて検問突破、とか
 装置の調整前に脅かしたせいで逃げられちゃう悪役、とか
 密売グループへの内通者が研究所で入金された通帳を見てニヤニヤしている、とか
 全体的に悪い意味で適当。
 机の下から出てくる母親が幻(生き霊?)というのは大体わかるものの、それがオチで活きたとも言いがたく、残念回。
 唯一、「ベイベ」が流行ってしまった隊長達冷たい目で見る本部長代理だけ面白かったです(笑)
 「みなさん、中央科学研究所で、盗難事件発生です」
 一色警視監はホント、代役でありながら、もの凄くいい味出しています。
 次回、鷺山脚本が途中で杉村脚本に乗っ取られたような凶悪ロボット、登場!

→〔その4へ続く〕

(2013年5月24日)
(2017年3月17日 改訂)
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