■『ブルースワット』感想まとめ6■


“許さねえ、許さねえぞ!
エイリアン野郎、許さねぇ!!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『ブルースワット』 感想の、まとめ6(33〜39話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ4〕 ・  〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕


◆Volume33「完成!! 最強銃(ドラムガンファイヤー)」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:宮下隼一/鈴木康之)
 見所は、拳銃でショウの頬をはたくサラ。
 さすがのバトルマシーンです。
 記憶に混乱を抱える女が、謎の男から逃げようとした拍子に歩道橋から飛び降りた姿を目撃し、辛くもキャッチするショウ。
 ショウがスワットスーツ完全装備で、赤いパトライト回しながらブルーストライカーを走らせているのですが、 え? パトロール気取りなの?? 普段堂々と車とバイクで隊列組んで走っているのはまだ目をつぶるとしても、 さすがに今作の設定で、パトライト回しながら走っているのはまずいと思うのですが、そもそもどうしてパトライト付けたのか(^^;
 女をキャッチする都合でフル装備なのも含め、いきなりの雑な展開。
 「落ち着けって! 俺は怪しいもんじゃねーよ!」

 超怪しい。

 いつの間にかスーツの胸にエイリアンセンサーが付き、その場を逃げ出す2人だが、女を狙うエイリアンの攻撃でとうとう光線銃がずんばらりん。
 「エイリアン野郎! 許さねえ! 許さねえ!!」
 遂に禁断の、開始3分でプラチナム召喚が行われ、白金さんはショウにシルバニアを装着させた上で、 左手に握った新武器でエイリアンを瞬殺(笑) 銀河通販で届いたその商品の名は、ドラムガンナー。
 「ハイパーショウ。今日からお前も装備するのだ。私の同志として。地球を、宇宙を守る戦士として」
 そろそろ宇宙金色教の勧誘がストレートになってきました(笑)
 また脈絡なく次元の彼方から超強力マジックアイテムが降ってきて盾と矛が揃い、 これで面倒なLV上げをしなくてもラスボスまで楽勝だよ! という宇宙の改造コード状態ですが、ガントレット的な腕装着型で、 ドラムガンナーのデザイン自体は割と格好いい。
 エイリアンは逃走して運び屋さんは帰宅し、ショウは気絶した女を連れ帰る。 ……新生ブルースワットはアジトを特定されないようにあちこちを転々としているという事なのか、今回は川岸でテント生活。
 女の素性は、新日本遺伝子工学研究所の主任研究員・奥山梨奈(演じるのは、 『特救指令ソルブレイン』の樋口令子/ソルジャンヌだった、森みつえ)だという事がわかるが、 実験中の事故によりこの1ヶ月の記憶を失っていた。記憶を失った代わりに脳裏に浮かぶ謎のデータに怯える梨奈から聞き取りをするのが面倒くさくなり、 エスバースキャンをしたシグは、恐らく梨奈はエイリアンにインヴェードされて何かの実験をしていたが、 事故が原因でインヴェードが解け、その際にエイリアンが研究のデータを梨奈の中に置き忘れたのでないか、と推察する。
 地球人のプライベートとか、地球を守る為には紙切れのようなものなのだ!
 自分の中にある、別の誰かの記憶に恐怖する梨奈を見たショウは、状況を改善するべく研究所へ聞き込みへ。 ところが梨奈の部下に憑依していたエイリアンが正体を現すと何故か梨奈をエイリアンに投げつけ、 更に駆けつけたサラとシグに銃を向けると、梨奈を連れて車で逃走。
 その姿に、ショウは敢えて梨奈にエイリアンを再インヴェードさせる事で、謎のデータの正体を解き明かそうとしているのではないか、 と考えるシグ。果たしてショウは離れた場所にある倉庫で再びエイリアンと激突するが、 ショウの行動を理解したような事を言っていたスワット2と3がそこへ突撃してきて、エイリアンは逃走。 再び自分たちに銃を向けたショウに対してサラは拳銃で修正を食らわせ、こんなやり方でエイリアンの陰謀を知る気は無い、 と怒りを向ける。
 「そうじゃねえよ! 俺は……俺はエイリアンの陰謀なんか知りたかったんじゃねえよ。彼女を、梨奈さんを救い出したかっただけだよ。 インヴェードされた苦しみから。慣れちまったんだよ、見過ぎちまったんだよ俺たちはインヴェードを!」
 …………えー………………あー………………どこからツッコめばいいのか。
 ショウの目的は、再インヴェードにより謎のデータの記憶を回収させ、梨奈の記憶の混乱を解消する事であり、 被害者の事を考えているショウ格好いい! という展開なのですが……まず
 3人と事前に打ち合わせしない理由が皆無。
 ただただ、その場のサスペンスをでっちあげたいだけの場当たり的な展開であり、これだけとっても酷すぎます。
 ある意味で、期待を裏切らない鈴木康之。
 次に、Aパート最後でシグがショウの行動を考察しているのですが、再インヴェードが目的だと推測した時点で、 それが梨奈の救済にも繋がると想像できないのは、あまりにもサラとシグの頭が悪すぎます。
 当然それを理解した上でやって来たと思ったら露骨にショウを妨害するので、物凄く困惑してしまいました(^^;
 そんな発想が思い浮かばないほどドライなのかもしれませんが、だとすれば、 ショウに対して「こんなやり方でエイリアンの陰謀を知りたくない」と怒りを向けるのは、非常に中途半端。
 その後のショウの叫びも含めると、徹底してドライなわけではないけどインヴェード被害者を救済しようという意識も全くないサラとシグが、 上っ面だけの良識を振りかざしているように見えてしまい、極めてよろしくありません。
 サラに至っては、「いきなり撃たれたのが許せない」というだけで怒っているようにさえ見え、 戦士脳が末期すぎます。
 トドメに、ショウの台詞により、 これまで30数話のブルースワットの“インヴェード被害者に対する無関心”が物語によって認められるという 戦慄の惨劇。
 そもそもインヴェード被害者について徐々に気にしなくなったのではなく、“1話たりとも気にした事が無い”わけですが、 その理由を「慣れちまった」にした為に第1話以前の時点で相当数のエイリアンを駆逐していた事になり、 それが第1話のあの反応に繋がったにしても、ブルースワットの無関心は、シナリオ上放り投げてきた事により“結果的にそうなっていた”だけで、 ブルースワットの行動指針として物語の進行に影響を与えてきたり3人の心理が描かれていたわけでもないので、 辻褄合わせようとして惨劇の出血量を増やしただけのような気がします。
 ブルースワットにおける命がけの使命感、というのは確かにヒーロー性の担保ではあるのですが、それにしても、 30数話分の無関心は慣れきっていて全く気にしていないだけだったという表明は、 仮にもヒーローとしてあまりにも大惨事。
 くしくも前回の感想で触れましたが、かといってドライなイリーガルヒーローとして開き直っているわけでもないので、 そこはもう、ロンリーバトルの俺たちにそんな余裕は無いので仕方ない、という言い訳で流した方がまだ良かったのではないかと。
 第1話の大惨事に端を発する部分に説明をつけようと思ったら再び大惨事が発生するという、このカタストロフの螺旋回廊。
 今後、インヴェード被害者に対するブルースワットの対応が劇的に変化する可能性はありますが、それはそれで、 ショウを持ち上げる為にサラとシグを地の底に突き落とした形になり、あまり好ましくは感じません(^^;
 それならそれで本人の確認を取れ、というサラの当然のツッコミを受け、ようやくショウは梨奈の意志を確かめ、 エイリアンに立ち向かう事を告げる梨奈。超露骨な囮作戦の場所にエイリアン軍団が襲来し、その間に梨奈はさらわれてしまう。
 「冗談じゃねえ、負けてたまるか! 俺は彼女を、梨奈さんを助けるんだ……助けるんだ!」
 プラチナムが怒りとはやや違うヒーローとしての叫びに応えてやってくるというのは割と格好良かったのですが、 プラチナムの出現自体が事故なので、根本的に盛り上がらないのは相変わらず。そして出てくるや否や、3匹中2匹を始末する白金さん(笑)
 「二つの力を合体させるんだハイパーショウ。私とお前達ブルースワットのように。最強モード、ドラムガンファイヤー」

 え? 「達」???

 そういう認識だったの??
 表向き、助っ人ヒーローとの共闘展開として組んであるのに毛ほども盛り上がらないのは、逆に凄い。
 ハイパーショウはセイジが修理した光線銃とドラムガンナーを組み合わせ、最強モード・ドラムガンファイヤーで、 試し撃ち用に生かされていたエイリアンを焼却。さらわれた梨奈の元へ駆けつけると、 データを回収したエイリアンもドラムガンファイヤーで焼却し、梨奈を救い出すのであった。
 ちなみに今回エイリアンが作っていたのは、地球人の遺伝子をエイリアンの遺伝子に変換してしまう薬で、 これであっという間に地球侵略だ! なのだそうですが、その場合、マフィアと関係ないエイリアンの星が一つ出来上がるだけのような……。
 最後に胸に飛び込むシーンなどありちょっといい雰囲気になるショウと梨奈だったが、 梨奈はエイリアンから身を隠す意味もあってアメリカへと研修に旅立ち(アメリカにもエイリアンは居る筈だしアメリカはもっと無法地帯の筈ですが……)、 ショウは「折角モテたと思ったのに、モテたと思ったのによ! 許さねぇ、エイリアン野郎ども、絶対許さねぇ!!」 という怒りで白金さんから受け取ったドラムガンファイヤーを無駄撃ちして荒野に爆炎を散らすのであった。
 3つ前のシリーズ作品のメインキャストが出演という事でか、ゲストヒロインが非常に良い扱い。いっそ、 『ソルブレイン』の時よりも良い扱い(笑) 話の方は大惨事でしたが。
 次回――昔の男?

◆Volume34「極悪!!にせBS(ブルースワット)」◆ (監督:蓑輪雅夫 脚本:増田貴彦)
 ブルースワットとエイリアンの戦闘からスタートし、ジスプに迫るブルースワット……だがその正体は、 ブルースワットの動きをコピーしたデスキーラ3兄弟だった。
 最終試験に緊張感を持たせる為かジスプ配下には偽ブルースワットだと伝えられていなかったようで、 真剣勝負の殺し合いが行われているのですが、雑兵を駒としてしか扱わないスペースマフィア非道、というより、 配下を無駄に減らすジスプ無能に見えるのが困った所です(^^;
 なおジスプは今回から、微妙に窮屈そうな椅子に座るように。撮影の都合か、部屋のセンター辺りに椅子が置いてあるのがそこはかとなくおかしい(笑)
 デスキーラ3兄弟(ゴク・ドウ・モン、というネーミングが酷い)は偽BSとして次々と悪事を働いた上で、 幼稚園バスをジャックして本物のブルースワットに挑戦状を送りつける。ところが、捕らえたバスの運転手は、 ジャン・クロード・ヴァンダムだったのです。
 たまたまた現場に居合わせたヴァンダムもといケン石神は、かつてアメリカ放浪の途中、 アリゾナ砂漠で行き倒れていたサラを助けた命の恩人にして、グリーンベレー。
 「君にこれだけは言っておく。どんなに逃れようとも、戦いの中でしか生きていけない人間も居るんだ」
 だが石神は任務中、全身に弾丸の破片を受けて除隊、現在は日本でバスの運転手に身をやつしていたのである。 検問を突破して現場に駆けつけたBSと協力してエイリアンを退散させた石神は、戦いを求め、ブルースワット入りを志願。だが……
 「お断りします。私たちが必要としているのは戦いを終わらせる人間です。戦いを求める人間ではありません」
 「そうだ、そんな奴に戦う資格は無い」
 多分、“ヒーローらしさ”のつもりなのでしょうが、ショウはどうして、突然凄く上から目線で冷たい事を言うのか(^^;  つい先日、インヴェード被害者にもっと気を遣おう、と反省したばかりのブルースワットが、 戦う資格のあるなしを大上段から判定するという、目眩のしてくる展開(勿論、石神は明らかに困った人なのですが、 少なくとも園児と保母を助けており、大上段から切り捨てられるほど、この時点でブルースワットの反対側に居るようには見えません)。
 一応サラの命の恩人でもあるのに、全く話を聞こうとしないシグとショウの態度にムッとした石神は、 遅れて現場に装備一式を運んできたスミレを人質に取ってトラックを強奪。
 「俺が自分を取り戻すには、戦場が必要なんだ」
 これを見ていたエイリアン達は石神に接触して、ブルースワットと戦うように誘導する。
 ……それより、その武装を破棄した方が良いのでは。
 偽BS作戦や、検問突破の為に分解した銃をバイクに隠すなどで双方今回の知力を使い果たしたのか、 あっちもこっちも頭を使わないのでややこしくなるという困った展開が続きます。
 「聞けサラ。俺はついに戦場を取り戻した。自分の生きる場所を見つけたんだよ」
 戦う以外の生き方を出来ない男、という石神の造形と台詞回しはオーソドックスなりに悪くはないのですが、 そこでサラとの間に個人の情念のぶつかり合いが発生せず、肝心のサラの内面が全く掘り下げられないまま進むので、 完全に空回り。
 石神は明らかに、道を踏み外したサラ、として置かれている筈なのに、 サラと石神は何が違うのか?という部分が表面上の台詞だけでしか表現されない為、構造が全く活きていません。
 どうしてそうなるのかといえば、ロス市警時代→放浪時代→現在のサラの心境の変化や現在の物事の見方に物語として背骨が与えられていないからなのですが、 度重なる路線修正の影響もあり、今作が如何にキャラクターを肉付けできていないかが露骨に浮き上がってしまいました。
 特にサラは中盤以降、スポットが当たらないどころかエピソードのキーになる台詞すらほぼ回ってこない、 と明らかに扱いが悪くなっており、今回も一切その内面に踏み込むことなく、自分の言葉で石神と対峙しないので、ほとんどお人形状態。
 「ケン、あなたはとうとう、そこまで堕ちてしまったのね」
 どう考えても、最後の一押しを入れたのはシグとショウですが。
 スミレ救出に向かう3人だが、石神の仕掛けた地雷でショウとシグが吹っ飛び、1人残ったサラの前にはスワットスーツ姿の石神が現れる。
 「ぞくぞくしてこないかサラ。いつ死ぬかわからぬ緊張感、激しい興奮、戦場こそまさに! 自分が生きている事を実感できる場所だ!」
 サラと石神はぶつかり合い、凄く普通にトリガーを引くサラ(笑)
 どう見てもこの人、同類です。
 むしろ安易に戦場の空気に酔わない分、筋金入り。
 激闘の末、装備の格差は如何ともしがたく、倒れたサラに銃口を向ける石神だったが、 突然の吐血で膝を突いた所を背後からデスキーラ兄弟に撃たれてしまう。
 戦いの決着も、サラと石神の信念の衝突があるわけでも何でもなく、外野の介入で片付けてしまうという、駄目な逃げパターン。
 「許さねえー! この偽物野郎、許さねぇ!!」
 シグと2人で崖を登って復帰したショウは、何故か、身勝手極まりない最低人間である石神の為に激怒し、 やってきた白金さんがキャプチャービームでエイリアン達が来ていたスワットスーツを回収すると、そのままショウ達に着せてあげる、 というシーンは愕然としました(笑)
 瀕死でピクピクしている人と、直前までエイリアンが着ていた物と、どちらがより嫌なのか悩ましい。
 恐らく消臭サービスぐらいつけてくれたゴールドクリーニングは、シルバニアとドラムガンをショウへと託し、 デスキーラ兄弟は瞬間焼却。今後どうしていくかわかりませんが、〔怒る!→プラチナム召喚→シルバニア装着→ドラムガンナー装着〕 までがセットメニューになった事で、シルバニアの意味が消滅。
 いずれエイリアンの攻撃をシルバニアでリフレクトした後にドラムガンファイヤー、程度の事はあるかもしれませんが、 少なくとも現状、ドラムガンで瞬間焼却なのでシルバニアで肉弾戦する必然性は皆無になりました。 デザイン上ドラムガンナーを身につけた状態で立ち回り可能かも怪しいですし、 かといってシルバニアだけ渡してガンナー渡さないのは不自然に過ぎるので、怒る!→焼却、までが流れ作業になるのなら、 まだシルバニアで殴り合いをしていた方がマシだったのでは……(^^;
 「サラ……! 戦いの無い世界を築いてくれ。俺のような、人間を、出さない、為にも……」
 「安心して眠ってケン。戦いの無い世界、私が、私たちブルースワットが作るわ。あなたが、再び、 平和な子供として生まれ変われるよう」
 サラが息絶えた石神を看取るのですが、上述したようにサラと石神の対比が成立しておらず、 ブルースワット自体が良識と正義を掲げるチームでは無いので、“綺麗事の背景”が存在せず、 上辺だけの言葉に中身がまるで無いまま終了。その中身を詰めるのが、物語の意味なわけなのですけれども。
 下手に重いテーマを持ち込んだ結果、シグを除く各キャラクターの掘り下げ不足が盛大に噴出し、見事に大火傷。これなら、 31−32話のバカ話の方が、正直まだマシに思えます(^^;
 次回、ニンジャとマッドサイエンティストがまとめてやってくる!! ……何という、後の無い感じ(笑)

◆Volume35「銀河狼(ウルフ)炎の鉄拳」◆ (監督:折田至 脚本:上原正三)
 まさかの、上原大先生参戦。
 (メタルヒーローシリーズでは、『超人機メタルダー』以来6年ぶり)
 そして監督には折田至で70年代みたいな布陣ですが、どうやら折田さんの退職にともなう、功労者スペシャル監督回だった模様。
 スペースマフィアの誇るマッドサイエンティスト、死神ドクター・ネロンが地球に招聘され、 エネルギー革命の旗手と謳われる片瀬博士とその研究員達にインヴェード。ネロンは博士の研究していた新型エネルギーに自ら持ち込んだ薬品を混合する事で、 人間を凶暴化するネロンガスを作り出し、その散布を実験。
 ネロンガス作戦の最終目的は、人類の凶暴化により弱い者は死に、強い者だけが生き残った後、 生き残った者を懐柔して手を汚さずに地球を……との事なのですが、スペースマフィア、強い者にやられそうな(笑)
 なお、軍隊凶暴化のイメージ映像に、レッドマフラー隊(『大鉄人17』)の姿が(笑)
 凶暴化事件を調査して、現場付近の樹木から新エネルギーと謎の成分を確認したブルースワットは、 まさかネロンがインヴェードしているとは知らずに片瀬博士にその分析を頼むが、 そこにかつてネロンが全滅させたワジワジ星の生き残りの宇宙戦士ワジワジが現れ、片瀬ネロンに襲いかかる。
 巻き込まれたブルースワットはワジワジを敵と誤解して戦うが、その最中に研究所が既にエイリアンに占拠されている事を知り、 スワット1は逆にワジワジに助けられると、戦いの中で戦士の友情を育む事に。 片瀬ネロンの講演会襲撃に失敗したワジワジから事情を聞き、やたら明るい挿入歌で化学工場へ突撃するブルースワットとワジワジ。 ……ドクター・ネロンは次回予告だと大物そうだったのに、あっという間に追い詰められています(^^;
 しかし戦わせると普通に強かったネロンはむしろワジワジを追い詰め、ワジワジは最後の力を振り絞ってネロンに一太刀を浴びせるも力尽きてしまう。
 「許さねぇぞドクター・ネロン! 許さねぇ! 許さねぇぇ!!」
 銀河を渡り歩いてきたゲスト復讐者は、召喚の都合により本懐を果たせないという、どうにも締まらない展開(^^;  ハイパーショウは光線銃とドラムガンの二丁射撃で雑魚エイリアンを駆逐すると、瀕死のネロンをファイヤー焼却し、 ワジワジはショウとトモダチの握手をかわして息絶えるのであった。
 冒頭、ネロンによるワジワジ星掃討作戦の映像は、ベトナム戦争におけるマスタードガスを意識していると思われるのですが、その後、 これといって広がらず。ネロンガスの散布が排気ガス(交通問題)と絡められたり、 汚される自然にワジワジが反応するシーンなども散りばめられているのですが、それらも最終的に全く繋がらないので少々困惑します(^^;
 ……これ、脚本段階だともっと暴走気味に重いテーマが投げ込まれまくっていたのを、監督がアクション回に仕立て直したのでは疑惑。
 ショウとワジワジの友情エピソードとして見ても凄く雑なのですが、本当はそこに環境問題などか絡む筈だったのでは。 突入作戦前に、ショウが善意で光線銃を押しつけようとして、この局面で使い慣れない武器とか渡されても困るんですが、 と断られて険悪な雰囲気になるも追いかけて謝罪、という正直あまり意味の無いシーンなど、割と尺稼ぎの匂いがしますし(^^;
 そしてサブタイトルから、中身に何か『ジャスピオン』ネタがあったり、元主役の人がゲストで出てくるのかと思ったらそんなわけでもなく、 何が「銀河狼」で何が「炎の鉄拳」だったのか全くわからないまま終了し、力強いサブタイトル詐欺。

◆Volume36「脱線僕の(秘)(※○に秘)指令」◆ (監督:折田至 脚本:小林靖子)
 ザジ少年と一緒に粗大ゴミ行きかと思われていた六角が久々に登場し、 「ジスプ様へクイーンの催促が厳しい」というマフィアのせちがらい事情のぼやき。
 マフィアは人間を材料にするエネルギー転換装置を開発し、生物の内臓のようなグロテスクなデザインで、 捕らえた人間を消化してエネルギーに変えてしまう場面が描かれ、インパクトのある導入。 外に助けを求める為に小柄な少年・裕太が牢屋の通風口から外に出る事になり、 それをサムズアップで送り出すお兄さんが男らしくて格好いい。
 だが裕太は両親に助けを求めるも見事に病院送りにされ、単身で再び研究所に戻ると、 格好いいお兄さんの服が裏で焼却される現場を目にする事になる……と遠回しにお兄さんの運命を匂わせる描写も良く、 掴みは折田監督が好演出。
 研究員エイリアンに捕まりそうになった裕太は通りすがりのサラに助けられ、サラのフルネームが「サラよ、ミスギ・サラ」と判明。 サラの腕っ節を見込むも、助けを求めても信じて貰えないだろうと考えた裕太は、サラの後をつけて仲間の存在を知ると、 主にショウをあおってブルースワットを研究所へと向かわせ、その間に自ら内部で侵入。 捕まった弟と妹を助け出すがエイリアンに察知されてしまい、インヴェードされた2人はエネルギー転換装置と共にトラックで連れ去られてしまう。
 自分たちを囮にした裕太にショウは怒りを向けるが、大人達の反応から誰も信じられなくなった少年に、サラは大切な事を伝える。
 「1人ぼっちじゃ出来ない事も、仲間となら出来る事だってあるわ。信頼できる仲間とならね。私たちを信じて」
 その後の活躍を知った上で見ているというのはありますが、今作の芯になる部分を捉えて物語の中に組み込んでいて、 やはり小林靖子は書けます。
 「来いよ」
 そして、裕太を怒鳴りつけたショウが、指揮車に乗り込む直前にきびすを返して裕太をブルーストライカーに乗せる、というのも美しい。
 逃げたトラックを追うブルースワットだが、ドラム缶攻撃で食い止められてしまい、つくづく役に立たないブルーストライカー(笑)
 「おまえも裕太に教わったろ。追跡に最適なのは必ずしも車やバイクじゃねえってな」
 車両での追跡を諦め、ショウがローラーブレードを装着し、街の裏道を知り尽くすと豪語する裕太がそのナビゲーターを務める事に。
 「サラ、俺、今度こそ、ケイスケとマイコ助ける。1人でじゃない、サラ達と一緒に」
 「よし! 追跡開始だ!」
 「OK。面倒見てる余裕ないからね。ちゃんとついてきてよ!」
 「上等だ!」
 前半で子供相手にむきになっていたショウと裕太のやり取りも活き、ここからローラーブレードで走り回る追跡シーンで、 挿入歌がかかるのも格好いい。……というか今作で初めて、挿入歌の使い方を格好いいと思ったかもしれません(笑)
 コミカル分を供給しようとしてショウがコケすぎたのは余分だった感はあり、素直に格好いいシーンで通してくれた方が好みでちょっと勿体なかったですが。
 懸命の追走の末に2人はUFOの格納庫に辿り着き、サラとシグも合流。
 「てめぇら、人間を何だと思ってんだ! 人間は石ころじゃねぇ! 許さねぇ!!」
 ここまでテンポ良く来ていたのに、スワット3に手渡されたヘルメットをすぽっと被らないと気軽に怒る事も許されない、 この間抜けな召喚シークエンス(^^;
 ハイパーショウはばったばったとエイリアン軍団をなぎ倒し、ドラム缶ファイヤーでUFOを焼却。六角は基地を爆破して逃亡し、 裕太の弟妹はブルースワットの活躍によって無事に助け出されるのであった。
 最後は裕太からの好意に「ありがとう」と告げ、ほっぺにキスして立ち去るサラが大人の女の余裕を見せ、ゲスト少年に対し、 精神レベルの近いショウと、綺麗なお姉さんを貫くサラと、 対比を鮮やかにする事で2人のキャラクター性も引き立つという構造……話数考えると、何もかも色々と遅きに失している感ですが。
 第16話以来となる小林靖子脚本がキャラクターを生き生きと描いてくれましたが、普段の今作の水準の低さが目立ちます(^^;
 ブルースワットは指揮車で立ち去り、裕太との会話などからも、どうやら現在アジトを固定せずにあちこちを転々としている模様 (少なくとも今回はそういう設定の模様)。自然といえば自然ですが、スミレはもう、大学休学ぐらいまで覚悟決まっているのか。 或いは、事務所燃えた時に戸籍も一緒に燃えているのか。
 次回、なんだかまた色々出てきて、ジスプさんの立場はどっちだ?!

◆Volume37「女王(クイーン)の宣戦布告」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一/鈴木康之)
 スペースマフィアのアジトを堂々と闊歩する謎の男、ムッシュ・J登場。
 「あれこそジスプ様の、人間としての新たなお姿」
 え(笑)
 色々と面倒くさくなってザジをリストラしたと思ったら、今度はジスプに芝居させるのも面倒になってきたのか、 再び地球人にインヴェードするという、開始30秒で呆然とする展開。
 ムッシュの後ろ姿を見つめるエイリアン軍団が「ムッシュ……」「おぅ、ムッシュー」みたいな反応なのですが、 マフィア語でどういう意味なんだムッシュ。
 ムッシュ・Jは脱走者ギムの追撃を指示し、でこ男が新衣装で復帰するのですが、見た目がムッシュと被り気味で困ります。
 UFO同士の戦闘をキャッチしたブルースワットは墜落したUFOを発見するが、 うかつに乗り込んだスワット1を乗せたままUFOが発進してしまい、そのまま宇宙へ。
 「タイムマシン?! このUFOがかよ」
 今脳裏を、時村博士(『超新星フラッシュマン』/20年前にエイリアンに子供をさらわれたという真実を確かめる為に過去に戻った末に東京オリンピックを見て大笑いして帰還) とかオオガメダブラー(『宇宙刑事ギャバン』/タイムマシンで竜宮城に行き財宝を手に入れよう計画)とかが走馬燈のように駆け巡っておりますが、 大概、ろくな事にならない予感がひしひしと。
 加速し続ける事で光速を越え、時間を突破するスペースマフィアの試作タイムマシン・ゼロ号。 それを操る脱走エイリアン・ギムの目的は、タイムマシンの完成後に口封じの為に殺された仲間の復讐の為、 未来を視察してマフィアやブルースワットの動向を確認し、それを元にマフィア壊滅計画を立てようというものだった。
 だがしかし、損傷したタイムマシンUFOは、未来に辿り着いても爆発してしまうかもしれない。ギムの目的を知ったショウは、 UFO爆発による被害で歴史を歪めてしまうリスクを冒す事無く、同じ志を持つ仲間として共に闘おうと、説得を試みる。
 あやふやな目的、推測に推測の重なる展開、尺度の一定しない倫理観、と、ひたすら間の抜けた会話が続きます(^^;  また、UFOの中のショウとギム、その他ブルースワット、アジトのムッシュ達、の行動を細かい場面転換で順繰りに見せていくのが、 かえってテンポを悪くして話の面白くなさに拍車をかけました。
 ゼロ号に迫るマフィアのスペースミサイルはSS−17による迎撃に成功するが、その時、軌道上に突如、謎の光が現れる。 それこそは、スペースマフィアの頂点に立つクイーンの近衛宇宙船団!
 ギムがクイーンに関する丁寧な説明を行うと、ショウの怒りの電波に応え、いつものバンクと違う映像で時空を越えて飛んできたのは、 マシンドルフィン、じゃなかった、金色宇宙船スターフォートレス。
 ゴールドプラチナム周辺の脈絡の無さはある意味で一貫していますが、 先ほどまでのタイムマシン騒動と全く別のストーリーラインで新ギミックが投入されてくるのは、呆然を通り越して唖然。
 何かも置き去りにしたままスターフォートレスはクイーン船団をざっくり壊滅させ、 何故かカプセルに乗って大気圏に突入してきたゴールドプラチナムはエイリアンを適当に銃の錆びにするとまたもカプセルで帰還。 カプセルの役割が100%意味不明なので、映像として凄く間抜けなだけになり、唖然から半周して困惑。
 ううむ、これまでのプラチナム登場は思念による映像の投影に過ぎず、とうとう初めて本体が地球に飛来したとかなのか (まあ以前からエイリアンを銃殺しているのですが、プラチナムなら思念体からの精神波でエイリアンの10体や20体ぐらい簡単に消せそう)。
 この戦慄の光景に、クイーンが死んだら俺がキングだ!と後の事を一切考えずに盛り上がるムッシュ陣営。一方、 ゼロ号内部では プラチナムの圧倒的暴力を目にした ショウの説得に耳を貸したギムがブルースワットへの協力を約束し、 もはや暴走状態のUFOを止める遠隔操作ボックスを入手するべく、スワット2と3がマフィアのアジトへ突撃。 2人は首尾良くリモコンを入手するが、ゼロ号との通信が途切れてしまい、 結局ギムはショウと憑依していた肉体を脱出カプセルに乗せると、自らは未来を守る為、UFOを自爆させて宇宙に散るのであった。
 理解しあえたエイリアンの感動の自己犠牲、みたいに描かれているのですが、 脱出不能を前提みたいに進んでいたのにそもそも脱出可能だったとか、ごちゃごちゃ言う割に素直に脱出カプセルに乗るショウとか、 あまりにも雑すぎて、地球人の体に憑依しているのを忘れていなくて良かったレベル(^^; また、 リモコンを入手する為のサラとシグの奮闘が100%無意味になっており(せめてリモコンを使う事でショウと憑依対象を助ける事ができた、 と組まなくてはなりません)、ここだけ取っても非常に良くないストーリー展開。
 ショウと合流したブルースワットの前にムッシュと愉快な配下達が現れ、ジスプは姿を見せると毎度お馴染みの火炎放射。
 「抹殺してやる……抹殺してやる!」
 「やれるもんならやってみな! 俺は貴様等を許さねぇ! 許さねぇぜー!!」
 自宅でのんびり通販番組を見ていたら本日2回目の呼び出しを受けたプラチナムはまたもカプセルで登場し、 文句も言わずにシルバニアを配達。ドラムガンファイヤーを受けて顔の半分崩れたジスプは配下ともども撤退するが、 そこで待ち受けていたのは生きていたクイーンと、その親衛隊だった!
 クイーンの若い顔と老いた顔が半分ずつ、というデザインはなかなか面白いですが、ジスプ達が何故かクイーンだとわからないし、 インヴェード関連設定の大雑把さだけがこの期に及んで浮き彫りに。
 純粋に面白くないエピソードに、ゴールドプラチナム周辺その他の新展開をブレンドした結果、 底なし沼の底は別の底なし沼に繋がっていて藤岡○、探検隊最大のピンチCMの後に重大なお知らせ! みたいな大虐殺。 どこまで沈み続ければ、この苦界の果てに辿り着くのか。
 次回とうとう、真の障害に気付くスペースマフィア。そしてプラチナム大地に立つ!

◆Volume38「GP(ゴールドプラチナム)抹殺指令」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一/鈴木康之)
 コメント欄のやり取りでしっくり来たのですが、ゴールドプラチナムは、 単身赴任中で長男(ショウ)との距離感がもう一つわからず、帰ってくる度に大量のお土産を買ってくるお父さん、 という不器用な父性ヒーローなのではないか説。
 ドラムガンファイヤーで傷を負ったジスプは自らを強化改造し、頭に薬瓶など差してわかりやすく凶暴な感じに。 ……見た目は理性を失ったモンスター然としているのに、性格は特に変わっていなかったりしますが。
 「我が名はマドモアゼルQ。いや、クイーン!」
 そしてスペースマフィアの頂点に立つ存在が遂に地球侵略の陣頭に立つ。
 「スペースマフィアの存亡を賭け、この地球を新たな砦とすべく私は降り立った。まずは、 我が近衛軍団を壊滅させたプラチナムから血祭りにあげてやる!」

 え(^^;

 いや前回、クイーンの宇宙船団(単なる光で表現)→横を通り過ぎるスターフォートレス→なんか爆発したような……→ムッシュ達、 嫌な上司が死んだと大喜び
 という展開を、脳が受け入れ拒否していたのですが、本人から発言があったので認めざるを得ないようです。
 ゴールドプラチナム視点だと多分、
 〔ショウに呼ばれたぞ!→お父さん、通販で買った格好いい新車を見せちゃうぞ!→ん? なんか引っかけた……?→まあいいや! →あれ? ショウ居ない?→とりあえずショウのお友達が困っているみたいなので撃ち殺して帰ろう〕
 みたいな感じで、クイーン近衛軍団壊滅。
 そしてエピソードの都合で規模の大小が流動的なスペースマフィアは、とうとうなし崩しで崖っぷちに。
 クイーンの台詞だけだと、「存亡の危機なので自ら地球にやってきたら通りすがりに近衛軍団が壊滅した」のか、 「通りすがりに近衛軍団を壊滅させられて存亡の危機に陥っている」のか判断つきませんが、どちらにせよ、 宇宙の各地でプラチナムに叩きのめされて戦力激減、と捉えるのが妥当でしょうか。
 プラチナム抹殺を図るクイーンは作戦の手始めとしてサラの捕獲を指示し、しばらくムッシュトリオvsサラのアクションシーン。 棒術を取り込んで力は入っているのですが、作品としてあまりにアクションに一貫性が無くて盛り上がりきれません(^^;  サラの身柄を抑えたクイーンは残りのブルースワットを誘き出し、バリアに閉じ込められた4人はプラチナムに助けられるが、 そのプラチナムが宇宙からの狙撃を受ける。
 なんとクイーンは、コントロールを奪ったSS−17を爆弾で脅したサラに操作させ、衛星軌道からプラチナムを攻撃させたのだ!  何故か「撃て、私を撃て」とサラに念話を送ったプラチナムはSSビームの直撃を受けて爆散し、今度はその射撃がブルースワットに迫る。 サラからの通信で状況を把握した地上の4人は、スワット1のブルーストライカーが囮になっている間に、 繁華街に仕掛けられた爆弾の解除と囚われたサラの居場所探索に急ぐ……。
 “脅迫を受けたサラがやむなく敵に回り、その狙撃を回避しながら状況逆転の為にチームで動く”というプロット自体は面白いのですが、 高度なステルス機能が売りの筈なのに(スミレが脱皮する重要エピソードもあった筈なのですが) あっさりコントロールを奪われるSS−17、クイーン達に囲まれているのにやたら詳細な爆弾の情報を伝えてくるサラ、 宇宙から狙われているのに平原に棒立ちで現状整理を始めるショウとシグの致命的なスピード感の無さ、 BSが3手に分かれるのをあっさり見逃すエイリアン、そもそもプラチナムが絡むと何もかも茶番に、と、 その見せ方が徹底的に面白くありません。
 そしてシグが念力で爆弾を止め、セイジ達がサラの場所を探り出すも、クイーンの介入でブルーストライカーにSSビームが直撃…… の次のシーンで、サラの監禁場所へ突撃するとスワット1がごく普通に復帰しており、その場しのぎの盛り上げ方が、実に雑(^^;
 更に、姿を見せたクイーンを、一目で「クイーン!」と喝破するシグ。
 前回ラストでムッシュ一味がクイーンの姿に戸惑っていたり、今回「我が名はマドモアゼルQ。いや、クイーン!」「我が名はQ、 いや、クイーン」と言い直すシーンがわざわざ2回あったり、船団爆発のどさくさで偽のクイーンが詐称している、 というのを匂わせる伏線なのかと思っていたら、全くそんな事はありませんでした(^^; とすると何故、「Q、いや、 クイーン」みたいな変な台詞を繰り返していたのか。
 シグはまた、改造ジスプを一目見るなり「ジスプの顔が!」と断定しているのですが、顔以外も全然違うのに、 声も聞かずにどこでジスプと気付いたのか。
 ここに来て、シグは本当にスペーススワットの一員だったのか? という重大な疑問が膨れ上がってきます。 なにぶん「スペーススワットは全滅している」ので誰もその事実を確認できませんし、実はシグ、 スペースマフィアを裏切った大幹部とかではないのか。本当は、マフィア語もわかっているのではないか。
 「やられてたまるか、やられてたまるかぁ!!」
 「無駄だ。いくら怒りをぶつけても、 お父さん プラチナムは来ない。奴は死んだ、抹殺されたのだ!」
 クイーンの台詞を待ち構えていたかのように、凄く普通に降りてくる金色カプセル。プラチナムの援護射撃でサラは脱出し、 一応金色本人の説明によると、「時空の裂け目が閉じるその一瞬を選び、あの時サラに撃たせたのだ」だそうです。
 いつもの配達で装着したシルバニアは、普通に敵の攻撃を受け止めてリフレクトも消滅もせず、いつの間にかバージョン違いに(笑)  雑魚エイリアンを倒すもクイーン親衛隊の攻撃を受けてひっくり返ったスワット1に、2と3が「ハイパーショウ!」と呼びかけるのが、 改めて凄く間抜け。恐らく劇中でプラチナム以外が呼んだのって初めてだと思うのですが、 同僚の名前に「ハイパー」付けて呼ぶ二人の心中は推し量りがたいものがあります。
 強力な親衛隊の攻撃でブルースワットがピンチに陥り、遂に地面に降り立った金色父さんが戦いに参戦。 ドラムガンファイヤーで親衛隊バリアーを砕くとクイーンが真の姿を見せ、 ハイパーショウ&ゴールドプラチナムのダブル攻撃すら跳ね返すが、その力を見せつけると忽然と姿を消すのであった。
 「あれがクイーン。さすがに凄いパワーだぜ」
 「スペースマフィアの最高権力者だ」
 「決戦が近い、そんな気がします」
 「同感!」
 「この地球は俺たちが守る!」
 構造だけ見れば、最終クールを前に宿敵が強化されラスボス(候補)が姿を見せる、 という流れではあるのですが……能動的に状況を動かしていないキャラクターに「決戦が近い」 と言わせるのはほぼ禁句の類だと思いますし、それを受けて「同感!」しか台詞の与えられないサラの扱いは酷すぎますし、 状況は全く盛り上がっていないのに定番の台詞だけ口にさせるという最悪のパターンで、急速に気温が絶対零度へ近づいていく中、 去って行くプラチナムを見送って、つづく。
 そもそもプラチナムを抹殺しようとしていた筈のクイーン一味が絶好のチャンスに何のコメントもなく撤退したり、 ジスプの改造が物語に全く影響を及ぼさなかったり、使う人が使えば遠隔操作で地上を精密攻撃できるSS−17が危険すぎたり、 そんなSS−17のコントロールが奪われたという事態に誰も深く頓着しなかったり、シルバニアの設定無視、Qやシグの言動などなど、 今作における様々な雑さと物語の焦点の散漫具合とがあらゆる箇所に濃厚に煮詰められた血の池地獄の様相を呈して参りました。
 どうしてここまで雑なのか(^^;
 まあ、この瘴気の海の中から小林靖子が右手を伸ばして光を掴んだのだと思うと、
 「夢だって、消せないよ。絶望がある限り、夢だって、輝き続ける」 (キュアフローラ)
 という言葉を深く噛みしめる所であります。

◆Volume39「宇宙獣 命の絶叫」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:浅香晶)
 OP映像がかなり入れ替わり、ゴールドプラチナムの出番が激増。
 ドラムガンファイヤーを放つスワット1 → 画面奥から手前に向けて飛んでくる金色お父さん → 2人並んでショット
 というすっかりコンビな映像に、スワット2と3が草葉の陰で泣いています(死んでない)。
 エイリアンの中枢神経を麻痺させる歌声を持ち、スペースマフィアの天敵といえる宇宙生物ミールが地球に飛来。 山奥で暮らす少年と仲良くなるミールだが、ムッシュは少年の父にインヴェードする事でその体を人質にするとミールを捕獲。 ミールが最後の一匹である事を確認するとその抹殺をはかるが、そこに少年、そしてスワット3が駆けつける。
 ミールと少年が仲良くなった理由を「互いにひとりぼっち」としながら、父親を必死に取り戻そうとする少年と、 ザジへの強い思いで戦うシグの姿を重ねている為、物凄くちぐはぐ。
 一度は敵と誤解したシグの姿に打たれたミールは、電流首輪をつけられているにも関わらず歌を唄い、 ジスプを少年父の体から追い出す事に成功。だがその代償として、その命は尽きてしまう。怒りのショウがハイパー化し、 ドラムガンファイヤーを浴びたジスプは逃走するのであった……。
 凄く根本的な所で、「エイリアンがインヴェードした肉体を人質に使う」というネタを中心に据えたのが、 非常に良くありません。
 これは今作序盤からの問題点で、あまりにエイリアン側に有利すぎる設定の為、 憑依したままだと十分に戦闘力を発揮できないなどの理由をつけつつ、なし崩しでエイリアンがインヴェードを解除するようになり (無論、人質に使えば別に十分な戦闘力を発揮する必要はないのですが)、 ショック弾などで肉体を気絶させれば憑依が解けるという描写が何度かあるもののハッキリさせず、 決定的な問題の解決をしないまま来ていたのですが、それを今更もう一度掘り起こしてしまった事で、 本編の半分以上が壮絶な茶番と化しました。
 ……プラチナム降臨後は全部茶番という説もありますが、理屈はつけられる内につけておかないと、 後になればなるほどその穴は大きく暗く深くなるという、残酷で見事な実例です。
 また、記憶にある限りでは劇中で初めて、ブルースワットの服装に一般人(少年父)がツッコむのですが、 物語世界の総白痴化が進むだけなので、そこは無視しておいた方が良かったのではないかと。
 更に問題は続き、これまで今作ではほぼ、「エイリアン」=「スペースマフィア星人」、という固有名詞扱いだったのですが、 そのスペースマフィアの天敵であるミールの歌声がばっちりシグに効いており、やはりシグは、 元スペースマフィアではないのか。ミールの認識も、歌が有効=エイリアン=敵、でしたし。
 ミールの歌が弱点である、マフィア/シグタイプの種属=エイリアン族が宇宙で最も個体数が多い (故にマフィアに居てもスワットに居てもおかしくない)という説明もつきますが、固有名詞のように「エイリアン」を使ってきた問題が、 宇宙そのものをも狭くしてしまいました。
 そしてそう考えるとミールの敵が宇宙に多すぎるのですが、少年の前で散々唄った後に「君は、僕の歌を聴いても平気なんだね」 と宣っており、毒花の時同様、通用しない地球人が特殊なだけで、 ミール獣は極めて危険な殺人宇宙生物ではないのか。
 シグは「何百年も前に奴等に抹殺された筈」と責任をスペースマフィアに押しつけていますが、 宇宙全域でミール狩りが行われた可能性が高いように思えます。
 ミール獣の人形は、顔の表情のみならず、耳や手も動いて、よく出来ていましたが。
 一応前半に「だけど、もう僕は……」と匂わせる台詞はあるものの、いきなり残り僅かの寿命だったから悔い無しと言い出すミール、 後ろでジスプ出てきているのにそんなミールを囲んで話を聞いているブルースワット、など、間抜けなシーンも目白押し。
 そして、ムッシュJボディから離脱 → 少年父に取り憑く → ミールに追い出される→ 部下2人、焼却される → 川ダイブで逃走
 ……あれ? ムッシュJボディ、その辺りに落ちているのでは。
 画面に見えない所で、常にムッシュ回収係が待機しているのかスペースマフィア。
 次回――転職だァァッ!

→〔その7へ続く〕

(2017年2月1日)
(2018年8月11日 改訂)
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