■『ブルースワット』感想まとめ1■
“君の泣き顔 見たくないから
背中から 見守るよ……”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『ブルースワット』
感想の、まとめ1(1〜6話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕
・ 〔まとめ4〕
〔まとめ5〕 ・
〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕
- ◆Volume1「ビギニング!!」◆ (監督:辻理 脚本:宮下隼一)
-
雑踏の映像を握り潰すかのように重なる怪物の手――がマニキュアを塗った女のそれに変わり、怪物の瞳、口、
と不気味さを煽る映像から、ヒーローがサイレンの音で出動し、バラード調の主題歌が流れ出す、というOP。
とりあえず前年の主人公(ジャンパーソン)が最初から最後まで最強だったので、今作のヒーロー達の装甲が薄そうなのが、
無駄に気になります(笑)
ブルースワットの文字が分かれて、ブルーバックに、シンプルに表示されるサブタイトル。
OP明け、どろどろしたゲル状の生命体に中年男性が体を乗っ取られるシーンから始まり、その男が支店長を務める銀行を訪れる、
やたら恰幅のいい髭眼鏡。男は支店長に融資に関する相談を持ちかけるのだが、同時刻、銀行強盗が発生。金を手に入れるも、
逃走用の車も用意していなかった間抜けな銀行強盗達は、警察に包囲されて行内に取って返すと、
役員室に立てこもって2人と女性行員を人質に取ってしまう!
……どうして、同じ建物の中で強盗事件が発生しているのに、支店長に連絡が行っていないのか(^^;
開始1分で、悪い意味でツッコミどころが多すぎます。
その事件の報道をバックに、どこかで装備を固める姿が部分的に映されるという演出で出撃したヒーロー2名は、
アドバルーンに身を隠すと銀行の屋上に降り立ち、二手に分かれて窓と通風口から同時に突入……と、
忍者+特殊部隊のハイブリッドアクション。
強盗を制圧した2人は何故か人質の意識も失わせるが、突然、気絶した支店長の体に異変が起こり、中から出現する謎の宇宙生物!
実は彼らの目的は最初から支店長に憑依したエイリアンであり、髭眼鏡も先行して調査任務に当たっていたもう1人の隊員の変装だったのである。
立てこもり事件の解決にやってきた特殊部隊と見せかけて、最初から別の目的を持っていた、というのは面白いひねりなのですが、
ヘルメット+ボディアーマーという装備の主人公達、のっぺりしたデザインのエイリアン、おまけに狭い室内、
と対決の構図が物凄く地味。
銃撃で薬莢が飛ぶ描写、心臓の鼓動を狙ってくるというエイリアンの習性への言及、敵の弱点を確認して狙う戦法、
と作品の方向性を示していて特徴は出ているのですが、どうにも絵が地味。
ウィークポイントへの同時攻撃でエイリアンを倒した3人は速やかに撤収し、本部の隠れ蓑である城南地質学研究所へと帰還する。
彼らの正体は、人間の体を乗っ取って社会に潜伏しながら密かに地球征服を目論むエイリアンに対抗する為、
警察にも存在を隠された対エイリアンの秘密組織、ブルースワット!
なお今回のエイリアンは銀行の偉い人に取り憑く事で、支店長決済で業務上横領をしていた!
「50億! エイリアン達の活動資金ですか」
「そう。地球を乗っ取る為には、それだけの資金が必要だという事です」
……く、ク○イム……?!
エイリアンに憑依された人間がどこに紛れているかわからない為、これまで限定された作戦行動を余儀なくされていたブルースワットだが、
遂に上層部(便利用語)が重い腰を上げ、本格的活動を開始する事に。だがその矢先、基地内部に突如エイリアンが現れ、
3人の上司である主任が体を乗っ取られてしまう。
エイリアン主任が二丁マシンガンを構えて問答無用で司令室のメンバーを皆殺しにする、というのは、キレていて面白かったです。
「ショウ、サラ、シグ、俺ごと撃て! 命令だ、撃ってくれぇ!」
駆けつけた主人公達を前に、わずかに正気を取り戻した主任は叫ぶが、何故かずーーーーーっとサングラスをかけている3人、
無言で完全無視。
「…………地球を、人類を守ってくれ」
仕方が無いので主任は自ら心臓に銃を向け、壮絶な自死を遂げる…………ヒーロー3人が本当に無言で銃を構えているだけで、
サングラスをかけている為に表情も全くわからないまま、主任だけが覚悟を見せて散る、
という歴史遺産認定しても良さそうな大惨事シーン。
何が大惨事って、無言だけならまだしも、ヒーロー3人がサングラスをかけっぱなしの為、
無言+無表情で一切の感情が示されない事。
ここに限らず、どういうわけかボディアーマー着用時以外、
基本的にずっと3人がサングラスをかけていて表情がわからないという意味不明な演出で、
何か深い事情があったに違いないと祈りたくなるぐらい。
基地に戻ってきたシーンでは、3人+主任が、全員サングラスのまま延々と会話しており、激しく頭痛が。
もしかして:サングラスかけている間は、JACの人。
倒れた主任の体からまたも地味なデザインのエイリアンが出現し、苦戦している間に、仕掛けられた爆弾で基地は大爆発。
一方その頃、ブルースワットを盗聴していた謎の男の上司である女社長が、これまた地味なインベーダーに体を奪われていた。
この盗聴男は2話以降への引きでしょうし、何か凄い天才とかなのかもしれませんが、
警察にも秘密の極秘組織が一民間人に逐一動静を把握されているという、物凄い台無し感(^^; ……まあ同時に、
「あの地球人ども最近ちょっと調子に乗ってね?」といきなりエイリアンの直接襲撃を受けて基地を壊滅させられるわけだ、
という説得力は生じてしまっていますが。
場面切り替わると、突然の東京タワー。都心に現れたエイリアンを囲み、バイクで襲いかかるブルースワット。
ここからマシンと装備を次々と見せてのブルースワットのターンになるのですが、
シグとか思いっきり車に投げつけられてフロントガラスに頭ぶつけて大の字に伸びていた上でその車が別の車に叩きつけられて皆を巻き込んで大爆発、
というシーンでカット切れていたのに、全く何事も無かったかのように戦闘に参加していて、早くも、
この人はサイボーグではないか疑惑が。
苦戦からいきなりヒーロー逆襲に切り替わる、というのは大なり小なり割とありますが、
一旦現状どんな人か全くわからない女社長の乗っ取られシーンを間に挟み、更にわざわざランドマークを強調して戦場を飛ばしてしまった為に、
盛り上がりの流れが完全に断ち切られてしまい、物凄く唐突な印象が増してしまいました。
これが、どこともしれない採石場とかならまだ良かったのですが、Aパートの秘密の戦いに対して、
白昼堂々街の真ん中にエイリアン出現を強調したからには何か物語として意味があるのかと思ったら全くないままブルースワット一斉攻撃が始まってしまう為、
見ていて置き去りにされたままクライマックスバトルに強制移行で、物語の流れもズタズタに。
ステルスモードになったエイリアンに対し、シグが指揮車に乗り込んで敵をサーチ、場所を伝えて他の2人が反撃、
などは面白い事は面白いのですが、メンバーの1人がおもむろに戦場を離脱して車に乗り込む、
という流れには今ひとつ盛り上がりは生じません(^^; シグは更に火炎放射器を持ち出して援護射撃し、
トドメはミサイルランチャでビクトリー!
……どうしても、死の商人が「これが対戦車ロケットランチャーだ!!」とヒーローに向けてミサイルぶち込んでくる
『ウインスペクター』を思い出します(笑)
特殊車両から次々と武器を取り出して手数で勝負のチームバトル、というコンセプトはわかるのですが、
上述したようにクライマックス手前で物語の流れが無残に断ち切られてしまった事と、敵味方のデザインの問題が加わり、
とにかく地味。
地味なりに物語の精緻さで勝負する、などすれば別の面白さも生じますが、開始早々の事故に始まり、
あまりそういった魅力を押し出せているとは言いづらく(^^;
ショウが撃墜マークをヘルメットに貼り付けるのは洒落ていて良いのですが、銀行のはカウントされていないのか。
そして3人はバイクで走り去り、To be Continued...
えー……
地球は狙われている・人間の体を乗っ取ったエイリアンは既に社会の様々な場所に潜伏している・そんなエイリアンを極秘に刈る秘密組織がブルースワット!
という基本設定に加え、
軽薄で金にうるさい元スポーツ大会荒しのショウ・本場ロス市警のSWAT部隊に所属していた過去を持つ元エリート刑事のサラ・
堅苦しく丁寧語で話す元国連で色々やっていたというシグ
のヒーロー3人の個性も描き、必要な要素はだいたい入った第1話で、
スタートとしてはむしろわかりやすくまとまっていると言っていい内容の筈なのですが、
出来上がったものは事故感満載。
<メタルヒーロー>シリーズ過去5年で、小西通雄〔18/12/18/14/14〕・
三ツ村鐵治〔8/12/13/16/16〕・簑輪雅夫〔0/0/2/15/16〕と、メイン演出陣が固定化してきていたので、
空気を変える意味もあっての『ジライヤ』(1988)以来の辻理監督の登板かとも思われる所ですが、サングラスを中心に、
どうも空回りした感じに。
ショウがちょことまかと基地の女性隊員をナンパしている、とかは良かったのですけど。
前年リセットの要素もあってインパクト重視が基本になる第1話という事で、
シリーズ枠としてここ数年無かった要素である不気味な宇宙怪物を押し出したのかと思われるのですが、
とにかくそのデザインが地味かつ面白みがなく、強盗事件の現場に突入して宇宙人の業務上横領を止めるヒーロー達と相まって、
右も左もさすがに地味になりすぎました。
物語の入り口がわからないまま、3重の窓ガラス越しに、細かい字でびっしり書かれたモノトーンのマニュアルを眺めている感じ。
まあ次回、「エイリアン軍団の総攻撃・最強最大のエイリアン・戦場は今修羅場」とか煽っているので、
宇宙エイリアン軍団は第2話にしてフォージャスティスされる可能性もありますが!
もう一つのインパクトであった基地爆破ですが、東映ヒーローに限っても3年前の『ジェットマン』が第1話で基地爆破やっていますし、
けっこうな頻度で前年の終盤に基地爆破があるので、リアルタイム視聴者にとっては2ヶ月連続だったりする都合上、
実のところ「基地爆破」イベントそのものに、あまり強いインパクトは無いのでは疑惑。
故にそこにどんなドラマを乗せるのかが鍵になるのですが、
ドラマが無視されるという恐らく史上稀に見る大惨事。
そんなクールな奴等が地球を守る熱い心を手に入れていく……という物語ではなさそうだしなぁ(^^;
本当は5話ぐらいまで引っ張ってから基地爆破、というのが一番ショッキングなのでしょうが、
そういうのはキャスティングやロケ地などの都合上、やりにくいのか。
とりあえず第1話の印象としては、何を思い出すかといえば『ジバン』を思い出す、滅多打ちの立ち上がりですが、
扇澤脚本を目当てに出来る限り見守ろうと思います。メタルヒーローシリーズという括りで考えると、
実のところあまりパイロット版のアベレージが高いシリーズ枠ではないですし(鼓舞)。
- ◆Volume2「ロンリーバトル」◆ (監督:辻理 脚本:宮下隼一)
-
3人のアーマーは、一応、青・紫・黒で色分けされているのか、という事に気付いた第2話、結局みんな暗いけど、
内容は第1話に比べるとだいぶ良かったです。
冒頭に登場する女性キャスターが凄く若林さん(『特捜ロボジャンパーソン』)に似て見えるのですが、他人のそら似でしょうか。
前回エイリアンに憑依された女所長の右手だけ変身は格好いいのですが、演出で顔に強風を吹き付けられ、
女優さんが大変な事になっております。
女所長エイリアンが何やら企んでいる頃、エイリアン襲撃による基地の崩壊が爆発事件という扱いになっているのはともかく、
自分たち3人がその容疑者であり、なおかつ現場で死亡したという報道に、愕然とするサラ。
エイリアンの魔手は思った以上に社会の各所に伸びており、事件とブルースワットの存在が丸ごと闇に葬られてしまったに違いありません、
と焼きそば作りながら淡々と解説するシグさん、素敵(笑)
もはやエイリアンによる地球侵略について知っているのはこの場に残った3人だけなのか……前回ラストの大勝利から一転、
廃工場のような所にこもっての状況整理は、うまく雰囲気が出ました。
職も戸籍も失ったけど、それを逆に利用してゲリラ戦を仕掛けよう、と使命感に燃えるサラとシグだが、
ショウはそれを無視して九州のスポーツ大会に出場すると言い出す。
「ヒーローはいいけど、ただ働きはごめんだしなやっぱ」
ショウはあくまで、給料があってこそやる気が出るというスタンスを崩さず、対エイリアン戦から脱ける事を宣言。
金にこだわる一見軽薄な主人公、というアンチヒーロー的な描写は、戦隊では前年の『五星戦隊ダイレンジャー』が、
“変身は出来るようになってもまだヒーロー未満”の主人公達を意識的に描いていましたが、90年代前半のこの時期、
「ヒーロー」に関する東映の試行錯誤が窺えます(『ジャンパーソン』も、方向性は真逆でしたが、
ヒーローとは何かを突き詰めていく作品でしたし)。
「地球を守れるのはあたし達しかいないのよ。それがあたし達の使命なのよ」
それに対してヒーロー正論をぶつけてくるサラというのは、『鳥人戦隊ジェットマン』(1991)が正面からえぐった部分を、
意識的に取り込んだような感じ。
「ご立派。けど、俺は忙しいんだ。夢を追うのに。……なんてな!」
「地球を乗っ取られたら夢も終わりよ」
「たぶん命も」
「俺の夢に俺の命だ。ほっとけ」
この辺りのやり取りは秀逸で、少し面白くなってきました。
ショウが自転車で走り去った直後、スワットカーに謎のシグナルが入って前回の盗聴男・セイジと通信で接触するサラとシグだが、
セイジはエイリアン所長に襲われ、通信は途切れてしまう。
一方、九州へ向けて走っていたショウは、所長命令を受けた警備員が逃げ出すセイジを止めようとして、入り口で揉めているのを目撃。
ここで、女所長が仕切っているのは、各分野の様々な天才や秀才を集めて開発研究を行わせている組織である事が語られ、
セイジの背景を補強。とっ捕まえられたセイジの「所長はエイリアンにインヴェードされている」という言葉に反応したショウは、
その場を離れたと見せかけて、取って返すや施設へ潜入する。
(ただ働きはやだっつてんのにこれだよ。ガンもメットも無くてバカか、俺は)
うん、きちっと各キャラの感情や心理が見えて、前回よりはぐっといい。
やはり第1話は、終始サングラスをかけっ放しで、メインキャラの表情が全くわからないまま進行したのが一番まずかったと思うのですが、
あれは一体なんだったのか(^^;
ショウは通信のシグナルを逆探知してやってきたサラとシグに合流し、3人は施設内部でセイジを救出。所長の目的が、
海外から訪れた視察団を捕まえてエイリアンを憑依させる事だと知ると、セイジの案内で廃棄された研究施設へと向かい、
そこで眠らされた使節団を発見。だがその時、
「来ます……奴等が来ます」
突然、目を見開いて立ち止まるシグは、やはり国連の開発したサイボーグなのでは……。シグの瞳のアップが、
大気圏に突入してくるエイリアンの宇宙船の映像に切り替わるので、本体は人工衛星、とかでしょうか。
ショウのツッコミに言葉を濁すシグだが、そこへセイジを捕まえた所長が登場。更に宇宙船が突入してきて、
ミサイルランチャーvs宇宙船となるのですが、宇宙船がやたら小型だったり、ミサイルランチャーは急に持ち出したりで、
どうも冴えない映像。宇宙船を撃破された所長エイリアンがショウの体を乗っ取ろうとし、
それをサラが銃撃するシーンでシグが黙って銃架代わりに屈み込んで肩を貸したのは、
今作のリアル志向が映像的な面白さに繋がって(ここが繋がらなければ、エンタメとしての意味が無い)、良かったですが。
ダメージを負ったエイリアンがステルス化し、車に戻って持ってきた火炎放射器をめくら撃ちするショウ。
セイジがオペレーターを務めてエイリアンをサーチし、サラがレーザーライフルで撃った所を最後はウィークポイントである頭部への一斉攻撃でエイリアンを撃破。
セイジがオペレーターとしての役割を得、サーチ&デストロイという段取りを組む、という流れは悪くないのですが、
エイリアン接近をセンチ刻みで教えたり、エイリアンが最接近した所で箱の中からレーザーライフルを取り出したり、
結局レーザーライフルは扇状に撃ったりと、もう一つ、オペレーターが役に立った感じがありません(^^;
毛色を変えすぎた結果、戦闘におけるリアリティとインパクトのバランスが取れておらず、今作ならではの戦闘の面白さ、
というのがまだうまく打ち出せていません。エイリアンも、頭部がぬちゃあっと開くギミックは頑張っていましたが、
どうにも地味ですし。その地味さを、独自の面白さに変えていく描写は引き続き苦戦し、今後の改善が期待されます。
「あなたは私たちブルースワットのサポーター、いえサテライトです。頑張って下さいセイジ」
セイジを加えて4人で再出発する事になったブルースワットは、
シグの提案でよろず相談調査オフィス・ブルーリサーチという表の看板を掲げて事務所を持ち、
そこにアルバイトの募集広告を見てやってくる女の子……と新体制スタートへの引き。
ここで、サラは白いブラウスに茶色いワンピース風のロングスカートを合わせてベージュのストールを羽織り、
シグはモスグリーンのジャケットにダークブラウンのマフラー、と、作品としての大人っぽさを出す意図なのでしょうが、
私服のラインが従来の特撮ヒーローものとは一線を画しているのが、なかなか面白い。
冒頭ではとりあえずミニスカアピールをしていたサラですが、このラストの衣装の方が、全然いいです。
一方でショウはラフかつヒーローとして違和感のない服装で、ラフとカジュアルとフォーマル風味で、
キャラクターの色分けをした見せ方は秀逸。
事務所のソファで、金を貯めて辞めてやると騒ぐショウですが、他の二人は、貯金があるから余裕なのか……?(笑)
そして、街に蠢く新たなエイリアンの影で、To be continued.
リアル指向を進めた戦闘がこれといって面白くない――例えば、大型武装は車の中、なのはいいけど、
戦闘中に離脱してそれを車内に取りに行く経過が適当なので(敵の攻撃をかいくぐるとか無い)、結局リアリティはどっこい、
どころかテンポが悪くなっている分総合的にはマイナス、など明確な欠点は抱えたままですが、前回の大惨事からは、だいぶリカバリー。
特に、社会−組織−エイリアンの現状を明示して整理する事で、暗躍する敵を地下に潜ってヒーローが倒すしかない、
という基本設定に説得力が出ましたし、そこに現れる盗聴男との合流も自然になりました。……まあ、
「死んだ事になっているからゲリラ戦向きだ」は、エイリアンの情報操作の結果であって、
多分エイリアンは3人が生きている事を知っているのですが(^^;
この辺り、闇で悪を刈るヒーロー、の要素も持たせたかったようなのに、
表の顔が公権力に所属していた上で情報の線引きを曖昧にしてしまった為に、
設定ぐちゃぐちゃになってしまった『機動刑事ジバン』の反省を踏まえたのかな、と思うところ。
また、リアル指向を持ったスペシャルチーム物を提示した上で、そんな職業ヒーローの所属組織の崩壊、
という流れに持っていったのは、『特警ウインスペクター』の幻影からの脱皮、を目指そうとする意識も感じます。
次回、果たしてブルーリサーチの経営は軌道に乗る事が出来るのか?!
- ◆Volume3「インヴェード!!」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一)
-
見所は、自転車チキンレースをしているショウ。
日曜朝からお茶の間に、物凄く普通に主人公の賭博シーンをお届けしております。
ところがレースの最中にスミレ(前回ラストで面接にやって来た女子大生)が飛び出してきてショウは転倒。
やり直しを要求するショウに自転車乗り達が殴りかかってきて、それを次々とアスファルトの地面に叩きつけるゲストヒロインという、
90年代前半メタルヒーローらしい世紀末が展開。
手榴弾こそ投げつけてこないものの、確かに息づく、《レスキューポリス》のDNAを感じます(笑)
スミレが連れてきたのは、行方不明の父を探してほしいという少女。少女の家で事情を聞くショウだが、そこに当の父親が戻ってくると、
仏壇に高価なブローチを置いて逃げるように去って行く。実は父親は、
公園でひったくりを捕まえようとした時にそのひったくりともどもエイリアンにインヴェードされてしまい、
宝石の輝きに魅せられたエイリアン達の欲望の赴くまま、連続貴金属強盗を犯していたのだった!
その頃、新聞報道を目にして眉を寄せる怪しげな男女の姿があった。
「許せませんね、何の為に私たちがこんな不自由な人間の殻を被っていると思っているのか」
「全ては、地球侵攻作戦の為」
既に人間社会に紛れ込んでいたエイリアンの一派は、鉱物資源の分析という使命を忘れ、
宝石を集めてにやにやしている下っ端に制裁を下すべく、処刑部隊を送り込む――。
第1話:組織崩壊、第2話:ヒーロー再起、と来たので第3話は、今作の1話完結のフォーマット的な話をやるのかと思ったら、
駄目な下っ端エイリアンとそれに愚痴る上層部という、いきなりの変化球風味。基本無言で感情が読めない不気味な存在として、
地球人とは違う知的生命体、を強調していたエイリアン達が、あっという間に人間的な感情を前に出してしまったのは、
特徴を消してしまってかなり残念。単純に、無言で感情を見せない敵、というのは話を作りにくかったのでしょうが、もう少し、
粘っても良かったような。
一方ブルーリサーチでは、エイリアンに憑依された人間は意思を奪われる一方で、最も強い感情が残り、
それが強調されて表に出やすくなるのでは、という推論を立てる。第1話で主任が壮絶な自死を遂げたのも憑依の影響だったのでは……
と覚悟決まりすぎだった主任の死に繋げて推論を補強するのですが、3人が主任の叫びを無言・無表情でスルーした、
という歴史的大惨事は消えて無くなりません(^^;
そしてブルースワット(サラ)視点だと、「いきなり自殺して何事かと思ったけど、
エイリアン憑依の影響だったのかー(ガッテン)」と主任の覚悟の扱いが小さくなっており、いっそ酷い(笑)
表向き少女の依頼を断ったショウは、憑依された父親は亡き妻への思いが増幅しているに違いないと、
妻の為に別荘を建てる予定だった土地へと向かい、エイリアン強盗二人組の隠れ家を発見。
……するのですが、エイリアン事件を探す為にブルーリサーチの看板を掲げているのに、
エイリアン事件だとわかったら断るとか(むしろ自分たちに全面的に任せるよう言い含める方が依頼人に危険が及ぶ可能性が低いような)、
断った後で情報を聞きに行って「お父さんは大丈夫」と請け合うとか、不自然な方不自然な方に話を誘導しており、
先行きがとても不安です。
隠れ家へ突入したショウは、憑依した人間の体を盾にするエイリアンに苦慮するが、
そこに娘がやってくると娘の顔を見たお父さんが精神力でエイリアンを叩きだし、何故かつられて飛び出るもう1体。
シグとサラが突入してきて、一斉射撃で1体を撃破するが、逃げ出した1体は通りすがりのトラック運転手に憑依して走り去ってしまう。
正気に戻った父親とひったくりは、目を覚ますやいなや娘を無視して公園での取っ組み合いを再開し、
同じく現場へ駆けつけてきたスミレには自分たちの存在を黙ってほしいというショウのハンドサインに気付いた娘はそれに頷くと、
(ありがとう)(どういたしまて)と何故かブルースワットと通じ合うのだった。
現場にやってきた少女はエイリアン出現現象で気絶したのでエイリアンは見ていない筈であり、娘視点で目にしたのは、
行方不明だった父は宝石強盗になっていた!→何故か父が倒れると暴風が!→
目を覚ますと父は仲間割れしながら走り去っていった!なのですが、少女はいったい何を理解したのか。
そして父とひったくりは早晩、連続強盗事件の容疑者として揃って逮捕されること確実であり、
エイリアン以外の何も解決していません。
エイリアンの存在が認められていない以上、インヴェードされた人間が犯した犯罪は当人の犯罪という事になってしまう……
という問題点をブルースワットがフィクションのエンターテイメントとしてどう円満解決するのかと思ったら、
完全放置というコーナーポスト最上段からの壮絶なニードロップ自爆。
第3話にして、見え見えの地雷網に突っ込んでいって全部踏んだ、みたいな感じに。
事情を知らないアルバイトである所のスミレまで現場にやってきてバタバタ、の辺りは完全に無駄に話を引っかき回しただけでしたし、
色々まとまっていない印象を強くします(^^;
根本的な問題として、誰がエイリアンに憑依されるかわからない、いつ何時エイリアンの攻撃を受けて事務所がどかーんされるかわからない、
という状況で何も知らないアルバイトを雇用する必然性が全くない、むしろ雇ってはいけないので、納得できるかは別として、
その理由(スミレの事務所における必要性)への言及は必ず入れなくてはいけなかったと思うのですが。
それが無いので、表向きのカモフラージュの為にスミレの身に危険が及ぶ(高い)可能性を無視しているようにしか見えず、
ブルースワットにおける人命は、スナック感覚。
今回もエイリアンが、「撃てるものなら撃ってみろ」と煽っていましたが、あと5秒ぐらいで撃ったのではないか。
第1話ではガスで気絶させたら中身のエイリアンが出てきましたが、2話に続いてのこの人体人質パターンは既に面白くないので、
早く人体から叩き出す方法を確立してくれないと、作り手も受け手もお互い面倒くさい気がします(^^;
戦闘中の負傷でシグが緑色の血を流している事に気付いたショウはそれを追求するが、説明している時間はない、
とシグは逃げ出したエイリアンを追う。だがその背後には、処刑エイリアンの影も迫っていた――で、To be continued.
- ◆Volume4「ゲッタウェイ!!」◆ (監督:小西通雄 脚本:宮下隼一)
-
肉体を替えて逃亡するエイリアンを追い詰めるシグだったが、追いついてきたショウとサラはエイリアンより先にシグへと銃を向ける。
「どいてください。あいつを押さえる方が先です」
「俺たちにとっちゃおまえの説明の方が先だ!」
えーーー。
ところがエイリアンにバイクを投げつけられ、
「OK、説明はヤツを押さえてからだ」
えーーーーー。
一方エイリアン上層部も、送り込んだ処刑部隊から連絡が無い事に苛立っていた。台詞では「部隊」と言っているのですが、
映像見る限りでは単独で追跡しており、どうやら命令をまともに聞いてもらえてないようで、あっちもこっちも駄目だ!
エイリアン上層部はオシャレ感を出そうとしたのか前回からビリヤードしているのですが、それがまた、凄く適当で、
どうせやるならもう少しお洒落に撮れなかったのか……。
なお、ビリヤードをしている女性エイリアン(白い服)は、
『特警ウインスペクター』で隠密同心・小山久子を演じていた小栗さちこさんで、このままセミレギュラーぐらいで出てくると個人的には嬉しい。
今回、次々と憑依を繰り返しながら逃亡するエイリアンを追う……というエピソードのコンセプトは作品の特徴も出て悪くなかったと思うのですが、
そのエイリアンが体を替える度に暴れ回って存在をアピールする為に、面白くなりません……(^^;
無表情で立ちこぎしている警官@処刑エイリアン(後の、ゴ・ガドル・バ)のシーンが執拗に挿入されるのは、もはやギャグ……。
かといってアクション楽しむ回かと思うと、
途中でエイリアンを炙り出す為に民間人のコンバットゲームに飛び入り参加して豆鉄砲を撃ち合うという激しくつまらないシーンが入り、
真剣に対応に困ります。
そんなコンバットゲームの最中、殺意を込めて飛んでくるナイフ。シグの超能力に助けられたショウはシグがスパイではない事を認め、
シグは自分が「地球人ではない」と告白。
実はシグは、現在地球征服の為に暗躍しているエイリアン――スペースマフィアの壊滅を目論む組織の一員だったが、
2年前にその組織が逆に全滅。シグはたった独りでマフィアを追って銀河を飛び回った末にこの地球に辿り着き、
国連などと接触する事でブルースワット設立に一役買っていたのだが、その組織もまた第1話で瞬殺されてしまったのであった……。
と、思わせぶりだったシグの正体が早くも判明し、そもそもの情報提供者が実働隊員だったので、
「上層部は誰も信用できないから現場メンバーで活動するのがベスト」という選択にあっさり舵を切ったのもわかりました。
遂に追い詰めたエイリアンは情報提供を条件に命乞いをするが、処刑エイリアンに殺害されてしまう。
処刑エイリアンに苦戦する3人だが、超感覚でエイリアンの透明化を見破るシグ……え。
そして敵の攻撃を引き受けたシグが滅多打ちにされている間に、車に武器を取りに行く二人。
……うーん。
折角のウィークポイントシステムも、「頭と胸と足だ!」と凄く大雑把なのでどうも台無し。
セイジが分析した画像データが3人のバイザーに送られるとかで良いと思うのですが、なかなか上手く、戦闘が面白くなってくれません。
強敵、処刑部隊を打ち破り、結束を新たにしたブルースワットは、スペースマフィアの野望を打ち砕く事が出来るのか。
次回――ファイティング! ブルースワット! と、妙に力のこもった次回予告は面白いといえば面白いのですが、若干、
狙いすぎて空回りしている感も。
なお、前回のゲスト親子には一切フォロー無し。
そしてスミレは、前回気絶した少女を助け起こした所で出番終わっており、
そこからシグが逃げたエイリアン追う……という形で今回の頭に直接繋がっている筈なのですが、
何もかも忘れた表情で事務所に出勤してきており、10年以上前の作品のような時空の歪みが発生しています。
色々! 大丈夫なのか! 『ブルースワット』!!
- ◆Volume5「ザ・ライバル!!」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:宮下隼一)
-
最大の見所は、ロケットランチャーを構えて車のサンルーフから連射する久子さん(仮)。
『ウインスペクター』ファンとしては、無駄に面白い(笑)
人間に憑依している関係もあって、未だにキャラクター名が表記されないのですが、小栗さちこさんのキャラは今回も出てきたので、
とりあえず、仮名・久子さんで。今回は更に六角刑事(仮)も登場し、久子さんと六角刑事が悪役と密談しているという、
『ウインスペクター』的に妙に面白い絵面に(笑)
本編はブルースワットの、派手な戦闘訓練からスタート。ヘルメットを脱いでぷはーっは、
やはり『ウインスペクター』オマージュを感じますが、シグだけ汗をかいていないというのは、いい演出。
「OKそれじゃあ、今までの疑問点を整理してみっか」
……君たち前の職場で、整理していなかったのか。
どうしエイリアン(スペースマフィア)は、大規模侵攻を行わずに、密かに人体を奪って活動するのか――。
「それは、奴等の狙いが地球の無血占領だからでしょう」
正面切って戦争を起こして原住民と敵対するのではなく、出来うる限り密かにその星の支配階級を手中に収める事で、
征服した惑星のスムーズな統治までを計算する、それがスペースマフィアのやり口であった。
裏を返せば、現在地球へ入り込んでいるエイリアンは先遣部隊であり、本隊が動き出す前なら勝機はある、
と現状のゲリラ作戦の有効性を再確認。
その頃、アジア極東地区ナンバーワンのスポーツ大会荒しであり、ショウの元ライバルだった鳥羽が帰国し、
「俺のライバルだった男はあの世へ逃げてしまった」発言から、ショウ達が社会的には間違いなく死んだ事になっているのも、
再確認。
空港に報道陣が集まってニュースになるぐらないので、この世界では、スポーツ大会荒しが、
かなりメジャーな職業として確立しているようであり、ショウの背景が補完されました。また、
スミレを誤魔化す為に肘鉄を入れた事をサラがショウに後で謝り、ただのきついエリートではない、というアクセントを入れてきました。
依頼を受けて怪しいスポーツアカデミーに潜入したショウとサラは、所長室に盗聴器を仕掛け、エイリアンの暗躍を確認。
マフィア上層部は相次ぐ作戦の失敗を気にしており、「まさか……その生き残りが?!」と、
ブルースワットを1話で全滅させたつもりで1話Bパートでエイリアンが死亡している件との関連性はこれまで疑問視されていなかった、
という事実を、再確認。
……色々と、確認作業が露骨です(^^;
「なんて言ってたの?」
「わからない。私とは種族も言語体系も違うんだ」
エイリアンの会話は人間の台詞に別の音声が被るという形で表現しているのですが、これは、視聴者向けの翻訳であって、
実際にはシグもわからないエイリアン語のみが用いられている、というのはなかなか面白い趣向。
後の『仮面ライダークウガ』(2000)のグロンギ井戸端会議に影響を与えている部分があるのかもしれません。
鳥羽がアカデミーに招待され、適度に誤魔化す筈の体力テストでついつい本気を出してしまうショウ。一方、
六角と久子さんの車を追っていたシグはロケットランチャーで吹っ飛ばされ、スパイを疑われたショウと鳥羽はまとめて捕まってしまう。
スポーツアカデミーは、より完璧なインヴェードの為に、地球人の心身のデータを分析する隠れ蓑だったのだ、と悪役から丁寧に説明。
「人間はな、貴様らのモルモットじゃねえ!」
危機に陥るショウだが、サラとシグが駆けつけ、反撃開始。身を潜めたエイリアンが狙う心臓の鼓動をBGM代わりに、
というのはなかなか面白かったのですが、結局ショウ達が敵に対して特に対策を立てるという事もなく、
終わってみれば正面から火力で粉砕してしまう為、もう一つ盛り上がりません。
冒頭の訓練シーンをここに関連づけて活かすぐらいは欲しかった所です。
大体いつも成り行きで戦闘に突入する為なのですが、リアル路線を志向している割には事前のブリーフィングなどがあるわけでなく、
スペシャルチームとしての戦闘の面白さに繋がっていない印象。かといって火力で粉砕する描写は他作品と比べて地味、
とどうも中途半端。戦闘の方向性を変えるなら、
その前段階から変えてストーリーに組み込まないと面白くならないわけなのですが、そこの詰めが不足しています。
…………これあれだ、後の『特命戦隊ゴーバスターズ』(2011)前半の失敗とそっくり……(^^;
鳥羽と憑依されていた男を連れてブルースワットは爆発する施設を脱出し、ショウ(変装)と向き合う鳥羽。
「ひょっとして……俺は、おまえに助けられたのか」
「さぁな」
「そうか……サンキュ!」
「……誤解、してたのかな?」
傲慢でエゴイスティックで人間としては最低呼ばわりしていた鳥羽に爽やかに感謝され、ショウ、反省。
「しかし、ほんっとよく似てるぜ。昔のマブダチに」
特に改心するような出来事があったわけではないので、つまり発言が誤解を招きやすいけど実はいい奴だった鳥羽、
をやたら爽やかに描きすぎてしまった為(なにしろ、「サンキュ!」です)、
むしろショウの性格に一方的に問題があるのでは疑惑が濃厚に。
「ショウ……ナルミ・ショウ」
そしてあくまで正体を誤魔化したまま立ち去るショウの背に、何かを感じて鳥羽は呟くのであった……。
死んだと思っていたライバル(と書いてマブダチと読む)が、実はある使命の為に死を偽装しており、
それを知った男はライバルの背を黙って見送るのだった……というシチュエーションだと思えばなかなか熱いのですが、結局今回も、
鳥羽はエイリアンの存在を目にしていないので、爆破事故とショウの存在をどこまで繋げられるのかには、
鳥羽の妄想力が試される展開。
「エイリアンの存在は秘密」縛りが影響して、どうも、描いているつもりの物語と、実際に見せている内容との間にズレがあるような(^^;
こうしてスポーツアカデミー事件は解決した……ところが、出国間際に鳥羽がエイリアンにインヴェードされてしまう! そして、
そのまま出国してしまう(あれ?)
このままレギュラー化するのかと思いきや飛行機で飛び立ってしまい、ちゃんと拾われるのかどうかに若干の不安が漂います。
まあ、鳥羽を演じた横山一敏が多分スワット1号の中の人なので、キャスティングの都合もあったのかと思われる所。
引き要素としては面白いのですが、半端に引いたネタは全て大惨事気味に回収される、
という『エクシードラフト』を嫌でも思い出す所です(^^; 頑張れブルースワット!
- ◆Volume6「ワンチャンス!!」◆ (監督:簑輪雅夫 脚本:宮下隼一)
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セイジが「敵の交信をキャッチした」と事務所で3人に報告して、それを耳にして首を突っ込んできたスミレを慌てて追い払う4人。
スミレに聞かれたくない話をわざわざスミレの居る場所でする、という不自然な状況設定を、コミカルなシーンを挟む、
という目的の為だけに行っており、非常に本末転倒。例えばセイジが慌てて駆け込んできてぽろっと喋ってしまい、
3人が慌てて口を塞ぎつつスミレを誤魔化すならまだコミカルにもなりますが、3人とも普通に聞いてしまうので、
4人揃ってバカに見えるし、スミレの存在が邪魔に見えるしで、何も良い事がありません(^^;
交信の発信源を確認したブルースワットは下っ端エイリアンに憑依された女を取り囲むが、
調子に乗って車外に出てきたセイジが人質にされてしまう。サラが女の握った銃だけを打ち落とそうとするが、
シグが謎の未来予知でセイジが撃たれる光景を目にして割って入り、サラの放った弾丸は、シグの左腕に直撃。
エイリアンを倒し、運んでいた荷物を回収するも、シグが重傷を負ってしまう。
「大丈夫ですよサラ。あなた達地球人より、回復力は多少上ですから」
事務所で治療を受けながら、謝罪を繰り返すサラとセイジに対し、
「2人とも、気にする事はありませんよ。幸い急所は外れました」
とむしろ2人を気遣うシグさん、超イケメン。
……はいいのですが、弾丸が当たったのは左上腕部の筈なのに、瀕死の重傷のような扱いを受けた上で、
包帯は肩から胴体にかけて巻かれており、さすがに意味不明すぎます(^^;
それ多分、正体を現したエイリアンの攻撃からサラをかばった時のダメージの方だと思うのですが……
この後の展開ではサラは連携ミスによりシグがエイリアンの攻撃を受けた事ではなく、
自分の判断ミスからシグを撃ってしまった事を気に病んでおり、更に復帰したシグは包帯すら巻いてない左腕を痛がるなど、
演出と脚本が全く噛み合っておらず某『大鉄人17』ばりの亜空間が発生。
トドメに、シグが事務所のソファに転がって気を失った所でスミレが帰還し、慌てて誤魔化す3人。
うん、そこにシグが転がっていたらスミレが何事かと思うぐらい、猿でもわかると思うのですが、誰も何も考えていなくて、
頭が痛くなる展開。
食あたりの腹痛と誤魔化した事で、電話をかけて文句を言ってやる、と息巻くスミレのいい娘ぶりがアピールされましたが、
その代償として、ショウ達の知力が急降下していきます。
日常要素兼賑やかし兼コメディリリーフという役割の必要性はわかりますが、とりあえず置いただけで、ここまで全く、
スミレが“物語の中で事務所に存在する必然性”が描かれていない為、スミレが事務所に居るデメリットだけが上昇し、
メリットがさっぱり伝わってきません。
そしてスミレの必然性が提示されてこそ、スミレを誤魔化すショウ達の姿が笑いに転化されるわけで、
それが欠けている為にショウ達の頭がどんどん悪くなっていく事に。
……どうして今作は、自分たちで埋めた地雷を、自分たちで次々と踏みつけていくのか(^^;
秘密基地の射撃場へ向かうも、シグを撃ってしまった光景がフラッシュバックして、まともに銃を撃てず苦悶するサラ。
一方ショウとセイジは荷物の中に、旧共産圏で開発された凶悪なウイルス入りのカプセルを発見する。エイリアンの狙いは恐らく、
ウイルスを侵略計画に都合の良い形に改良する事。引き渡し場所と思われる遊園地のチケットを見つけたショウは、サラの元へと向かう。
「毎日……毎日、毎日毎日、血と、銃声と、硝煙の繰り返しだったわ。幾らガンのテクニックがあっても追いつかない。人間から、
憎しみや殺意そのものが消えない限り」
ロス市警時代の事を語るサラ…………ええとそこは、本当にアメリカなのでしょうか。
「警官同士の相打ちも珍しくなかったわ。でも、戦場の中の不可抗力の事故として、簡単に処理された」
この世界のアメリカは、内戦状態だった!
「私もそれが当然だと思ってた。でも、ある時ふっと虚しくなって、辞職。……そして放浪。戦う理由を求めて、探して、
私は歩き続けた……。結局答は見つからないまま、私はブルースワットの一員としてスカウトされ、帰国した。
でも……でも今少なくとも一つだけわかったわ! 不可抗力なんかじゃ済まされない。放浪なんかじゃ解決しない事なんだって!」
……台詞の前後を繋げると、サラはどうやら昔の職場で、同僚を数人撃ち殺した経験がある模様。
そして戦争状態のアメリカを離れ、日本で改めて同僚を撃ってしまった事で、自分の過去の行為が「殺人」であると自覚したようです。
恐らくこの世界のアメリカは南北戦争で分裂し、事あるごとに小競り合いが行われ、国内の治安は最悪という泥沼の状況にあるのかと思われます。
エイリアンもそんな危ない国は後回しにして、まずは適度に発展した手頃な国家という事で、日本に先遣部隊を送り込んできたのでしょう。
世界観が繋がっているわけではない(筈)ですが、かつて『特警ウインスペクター』第32話に登場した、
日本から出向先のアメリカ連邦警察で胸部にガトリング砲他の魔改造を施されてしまった、ロボット刑事ブライアンの
「俺は後悔はしていない。俺は去年1年間で253人の凶悪犯を抹殺した」
という台詞が、なんだか新しい意味を持って聞こえてきます!
「戦う理由か。そんなもん俺にだってわかってるかどうか、怪しいもんだよ。けど、怪しくったって虚しくったって、
戦わなくちゃならない時があるんだ! それだけは確かだ。それが今なんだよ。そしてそれにはこいつが必要なんだよ! こいつを撃つ、
こいつで戦う、それが俺の、おまえの、選ばれた者の義務だ。ガラじゃねえけどよ、俺はそう思うぞ」
そしてすっかり、正統派ヒーローになってしまうショウ。最後に「ガラじゃねえけどよ」と付け足してはいますが、
「選ばれた者の義務」とまで言ってしまい、急速に特色が薄れてきてしまいました(^^;
「自分が戦わなくて誰が戦うんだ。そう思ったからこそ、帰ってきたんだろ、この日本へ。そいつを思い出せ、サラ」
サラは落とした銃をショウから受け取り、ブルースワットは遊園地へ。
サラが運び屋にされていた女に変装してエイリアンとの接触に成功するが、
追い詰められたエイリアンはウイルス入りのカプセルをその場で撃って拡散させようとする。
セイジが「やばいよ」と慌てているのですが、素直に本物を持ってきたのでしょうか(^^; まあそこには結局焦点が当たらず、
ショウとシグに促されたサラが射撃ではじき飛ばしてトラウマから回復。サラは自分にしか出来ない戦う意味を掴み直すのであった。
液状化して逃げ出したエイリアンにセイジが発信器を打ち込み……って、そもそも今回の問題の原因を作り、
前半散々シグに謝っていたセイジがまた車から外に出ているのですが、幾らシグさんがイケメンでも、
いい加減にしないと宇宙ビームをお見舞いするぞ!
一応、発信器を打ち込む係という理由をつけてはいるのですが、エピソードの軸になっている要素なのですから、
少なくとも今回ぐらいは大人しく反省を見せて車内からのサポートに徹させるべきだったのでは。
セイジが事あるごとに戦闘現場へ出てくるのは何だか大人の事情も感じますが、チームの役割分担的面白さも減じてしまっており、
今作のまとまりの悪さにますます拍車をかけてしまっています(^^;
エイリアンを追跡し、むしろエイリアンのトラップに引っかかる3人だったが、最後は連係攻撃で撃破。
そして悪魔のウイルスは火炎放射器とロケットランチャーによって処理されるのであった。
なお、シグの変な予知能力?に関しては全くフォロー無し。すっかり、テレパシーは使えるのが当たり前みたいな扱いになっており、
宇宙って便利。
ウイルス改造計画の失敗を悟ったマフィア幹部(久子さん&六角とは別の男女)は、自分たちの邪魔をする存在が居る事を確信し、
お怒りでTo be continued.
次回、予告で語られるゲストキャラの造形が扇澤脚本の匂いですが、さて。
→〔その2へ続く〕
(2016年4月21日)
(2018年8月11日 改訂)
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