■『ビーファイターカブト』感想まとめ3■
“戦いの火ぶたは今切られた
僕らには勝利の文字しかないのさ”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『ビーファイターカブト』
感想の、まとめ3(13話〜18話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ4〕 ・
〔まとめ5〕
〔まとめ6〕 ・
〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕 ・ 〔まとめ9〕
- ◆第13話「チェンジ!!爆走博士」◆ (監督:石田秀範 脚本:浅香晶)
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博士回……というか、バイク回でした。
ロードビートルのプロトタイプである、自家製改造バイク・オサナイオーにまたがる中年ライダー・小山内博士は、
行きつけのバイク屋の親子喧嘩を目撃し、荒れる息子を気に懸ける。プロレーサーを目指して気ばかり逸るバイク息子は、
新型オイルの交換条件として、とあるトラックの足止めを依頼され二つ返事で引き受けるが、
それはコスモアカデミアの開発した新型燃料を強奪しようという、デズルの策略であった!
防御バリア(飛んできた小石を木っ端微塵に粉砕)を張ったアカデミアの輸送トラックが、
そのまま民間人のバイクに突っ込まないで本当に良かった(笑)
それをさせない為に民間人を巻き込む作戦だったと語られているので、どうやメルザード、
以前にコスモアカデミアの輸送トラックを襲撃して、バリアに消し炭にされた事がある模様。
メルザードの狙いは、新型エネルギーを積んだトラックをコンビナート地帯に突入させる事。作戦を主導するカエル怪人は、
息子を心配して現場に居合わせたバイク父を人質として助手席に乗せると、トラックを走らせる……これ、
『特捜エクシードラフト』第1話(監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)の意識的な翻案でしょうか?
ただの偶然かもしれませんが、車体をすっぽり覆うバリア搭載の車が大暴走、という状況は思い出してしまいます。
まあそのバリアは、クワガーがまさかの力技で発生装置を破壊してしまうのですが!
で、それならバリアを破った代わりにクワガーが脱落、という要素が終盤に活きるのかと思ったら全くそんな事は無く、
通して諸々の要素が巧く繋がってくれないのがどうも残念(^^;
博士がバイク乗りの志とバイク父の本当の気持ちをバイク息子に伝えて、バイク息子が心を入れ替える、というのは外してないですし、
博士は対メルザードで活躍、改心した息子も活躍、と要点を押さえ、変形するオサナイオーのギミックもネタとしては面白くないわけではないですが、
それら全てがそこ単独で完結してしまっている為に、「ビーファイターの戦い」に巧く繋がらず、
物語としてジャンプしてくれませんでした。
例えば、オサナイオーのギミックはギミックでいいとして、それはあくまでロードビートル活躍のバネになる要素だと思うのですが、
オサナイオー凄い、で終わってしまう為に消化不良に。
根本的な所で、小山内博士を中心にして描くべきは、
“ゲストキャラとの心の交流”ではなく“ビーファイター3人との関係性の掘り下げ”だったと思うのですが、
そこから焦点がズレてしまっている為に、個々の要素はそれほど悪くないのに、
それらが一つに繋がりきらないまま終わってしまうという形に。
……いやもしかしたら、スタッフ的には博士に問題を感じていなかったのかもしれませんが、
BF3人の誰かの回ならこれでも問題は無いけれど(特別面白くもないけれど)、博士メイン回としては投げる所が違う気がする、
というそんなエピソードでした(^^;
にしても、走行中のバイクから走行中のトラックに飛び移り、メルザード戦闘員を殴り倒す息子は、プロレーサーよりも、
もっと向いた職業があるのではないか(笑)
新帝国ビートルは、志ある若人の参加を、待ってる!!
- ◆第14話「罠の街消された悲鳴」◆ (監督:石田秀範 脚本:小林靖子)
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ある穏やかな昼下がり、突然起きる、上空からの市民への無差別レーザー攻撃。
コウモリ怪人ザイレーンに一撃与えるも逃げられてしまい、倒れた市民を救助中、同じく市民に寄り添っていた女性が、
1年前に教育実習でお世話になった遙先生だと気がつく甲平。だが、明るく溌剌として生徒達の人気者だった筈の遙はひどく暗い表情で、
甲平に声を掛けられるなり走って逃げ出してしまう。
謎の閃光は人間だけを識別して同時多発的に攻撃していた事が判明し、その中で何故か唯一無事だった遙の元を訪れた甲平は、
遙が交通事故で声を失い、教師の夢を絶たれていた事を知る……。
“旧知の人物が不審な行動”“1人だけ怪人に襲われない人物”という、大概、何か特殊なマジックアイテム的なものを持っていました、
とかあまり面白くなりそうにない導入から(ゆえに予告時点では全く期待していませんでした)、
態度がすっかり変わっていたのは声を失った為だった、という形で、“狙われない理由”→“性格の変化”ではなく、
“性格の変化した原因”→“たまたま狙われない理由であった”とキャラクター本位で物語を転がしてきたのが、まず巧妙。
そしてそれがファンタジーな要素ではなく、現実に誰しもなりうる範疇の出来事というのが、危うい重さではあるものの、
説得力を増していて、また巧い。
そんな遙に立ち直ってほしい甲平が、自分だけではなく、同じく遙先生の授業を受けた男友達3人を連れてきて励まそうとするのも、
若さゆえの前のめりなりに、1人の力で何でも解決できると思っていない姿が良かったです。
「先生! あの試合で俺がホームラン打った時、先生は間違えてスクイズのサインを出してたんだぜ。でも俺にはわかったんだよ!
サインは間違ってたけど、先生が打てって言ってるのが。わかったんだよ、言葉じゃなくても」
かつて皆で盛り上がった球技大会の思い出から、言葉は失っても気持ちを伝えられる方法はある筈、それが人間の心だから、
諦めないでほしい、と甲平は声を振り絞り、涙をこぼす遙。
だがその時、街全体が黒雲に襲われ、再びレーザー攻撃が人々を襲う。前作−今作と、市街地破壊シーンが派手なシリーズですが、
今回も市民がばったばったと倒れていく姿が克明に描かれて良いインパクトになっています。
遙が攻撃を受けなかった事と、追加調査から、街の上空を覆うのは雲ではなく小さなコウモリの群れであり、
それが人間の声に反応して攻撃していると判明。
「超重甲のキーは声だ。その声が出せないとなれば……」
頼みのビーファイターは変身不能なまま、暗雲に包まれ、無言に閉ざされる街。街……という曖昧な表現ですが、
ビットが「声を出さないように」という指示を防災スピーカーで発令する・コスモアカデミアの規模・ライジャの
「次にコウモリが活動する時が人類の絶滅タイムだ!」発言など合わせると、少なく見積もっても東京全域レベルぐらいで捉えればいいのか。
甲平と先生達もひっそりと物陰に隠れ、ここで楽する為に存在を消さずに、友達トリオを残したのが素晴らしい。
「人間どもめ。いつまで悲鳴を我慢できるかな」
親コウモリ怪人は市街地を直接攻撃し、ビルが崩壊して逃げ惑う人々が悲鳴をあげると上空から子コウモリによるレーザー爆撃、
という2段構えでエグい……!
最終回みたいな作戦だ!(笑)
親コウモリに見つかった甲平達はじわじわと追い詰められてしまうが、その時、教え子達の危機に勇気を出して立ち上がった遙が、
かつて球技大会で使ったブロックサインを4人へと送る。それをしっかり覚えていた男子達(男の子のバカっぽさと、
遙先生との信頼関係が過度の説明なしで表現されていて、またお見事)は行動を開始し、階段で遅れる太めと、それを引っ張る他2人、
と友人トリオの使い方が実においしい(笑)
3人を追うコウモリが階段の上に立った所で、その足下に回り込んだ甲平が叫び声をあげ、それに反応したレーザーを誤爆させる、
という鮮やかな連携が炸裂。親コウモリが深傷を負うと子コウモリの群れは消え、明るさを取り戻した街で、
同じくかつての朗らかさを取り戻す遙先生。
弱ったコウモリに対して、ネオビートマシンタイムの後に、BF3連続必殺技でフィニッシュ。
今回は、コウモリ怪人を援護する、という理由はつけましたが、
ネオビートマシンは出撃ノルマが露骨すぎる上に毎度ほぼバンク映像な為に、どうにも盛り上がりません。前作では、
ロボットではないメカだからこそ映像に凝る、というのが良い方向に転がっていたのですが、今作では、
ロボットではないメカなので30秒格闘戦というわけにいかない、というのが非常に悪い形で足を引っ張ってしまっています。
後日、もう一度、夢へ向かう心を取り戻した遙と、キャッチボールする甲平達。……先生、投げ方はそうでもないのに、
屈んでグローブ構える姿だけやたら本格的なのは何故(笑)
(ありがとう。私はもう一度、別の形で教師の道を探す事にします。思いを伝えるのは、言葉だけでないとわかったから)
高校生戦士である甲平の要素をうまく活かし、青春の一幕と怪人退治を見事に結合。声を失った先生、というゲストキャラも、
石田監督の演出センスと合っていて良かったです。また、メルザード側の作戦が良く出来ており、
悪の作戦の出来不出来で話の引き締まり方が大きく変わる、というのがわかりやすく出た好エピソードでした。
- ◆第15話「恐怖病棟に潜入せよ」◆ (監督:東條昭平 脚本:宮下隼一)
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新プログラムの開発中、助けを求める謎の通信を受け取る蘭だが、何故かそれはビットのログに記録されていない。甲平と健吾を連れ、
通信相手の告げた病院に向かう蘭だが、相手の少女・早瀬マリは、既に3日前に退院していた……。
「蘭、少し、休んだ方がいい」
「何をしているの?」
「数えてるの」
「……何を?」
「この星が消えて、無くなるまでのひにち」
「え?」
「あら、もう、150日無いんだわ」
――炎と共に今、黙示録の幕が上がろうとしている。
激務のストレスは、色々なものを見せてしまうのです!
……は、精神衛生の為に忘れる事にして、謎のメッセージから始まるミステリ&サスペンス展開。
マリの家に向かった3人はそこで無事なマリの姿を確認するが、どこか違和感を覚えた蘭は一人で病院に潜入。
実は病院では女医に変装したイソギンチャク怪人が入院患者の髪の毛から瓜二つの偽物を作り出して本物とすり替えており、
人間社会に潜り込んだ偽物達は、都内で次々と自爆テロを敢行する!
と割とまた派手な被害が連発するのですが、イソギンチャク怪人はどうして、わざわざ正体を曝してから力強く髪の毛を引っこ抜くのか(笑)
病院を根城にしているのは相手の素性を確認した上でこっそり髪の毛を集める為なのかと思ったら、全くそんな事はありませんでした。
潜入した蘭が本物のマリを発見したと思ったらそれも偽物で、ナイフを突き出す4人のマリに囲まれる、というシーンはホラーで良かったですが、
その後の種明かし回想で、目の前で偽物を作られたマリがその偽物と言い争うシーンは無駄なギャグになっていましたし、
全体的に首をひねるシーンが多く、がったがたの出来(^^;
特に、蘭が病院に潜入した時点でメルザードはそれを全て見ていた、というのは逆に緊迫感を欠いて面白みを削いでしまいました。
また、マリ母が最初から最後まで、偽物の娘に1ミリも違和感を抱かないポンコツ、というのも地味に酷い。
粘着弾に囚われた男2人が何とか手を動かしてコマンダーにカードをセットするシーンでは、
先にセットできた甲平が「健吾まだか!」とせっつくのですが、いや、
とりあえず甲平1人で変身して健吾を助ければいいのではなど、とにかく色々とおかしく、
脚本というか演出レベルで東條監督が異常に冴えてない感じ。
もっとも、超能力に強い興味を持っていた少女が、助けを求める為にテレパシーを試していたらコスモアカデミアに繋がった、
という脚本も大概ですし、3人揃ってイソギンチャクをフィニッシュした後、囚われの本物達を探して助け出すシーンの尺余り感、
そこから滔々とテレパシーの経緯を語るマリ、などラストに全く面白くないシーンが続き、何もかもどうしてこうなった。
超能力少女自体は、まあ《メタルヒーロー》シリーズなら割と日常茶飯事だしという出来事なのですが、
「それでコンピューターの通信回路に」ってもうそれテレパシーとは別の何かですし、
牢に囚われていたマリがイソギンチャク怪人の擬態を見破ってテントウに助言を与えるなど、何もかも亜空間。
――炎と共に今、黙示録の幕が上がろうとしている。
(やめなさい)
次回、久々登場の妹が予告乗っ取りでアイドル企画回?
- ◆第16話「救え学園祭アイドル」◆ (監督:東條昭平 脚本:宮下隼一)
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本日は第26回聖聖学園祭……先日の遙先生回で首をひねりつつスルーしたのですが、そうか本当に、
これで「セントホーリー学園」と読ませるのか。きっと地元の学生達の間でバカにされている(笑)
学園祭でライブを行う人気アイドル・プリティーキャスト(レオナ&エレナ)の案内役となった甲平はTV局に向かい、しばらく、
きつい歌唱シーンをお楽しみ下さい。
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コンドールアイ!
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ナレーション「甲平は思わずコンドールアイを使った。だがアイドルがモンスターかどうかはわからなかった」 (待て)
ちなみに甲平は意外やアイドルにはあまり興味が無い様子で、盛り上がる同級生達に対して「いい年して……」と冷ややかなのですが、
あれか、君は、幸薄そうな和服美人とかが好みなのか。
「ところで、甲平くん、ヒーローって、なんだと思う?」(唐突)
「は?」
は?
「それはね、みんなの夢、希望なの。どんな時も、きっときっと、助けに来てくれるっていう」(唐突)
「そんな、夢や希望をかなえてくれる、それがヒーローよ」(唐突)
「はぁ〜〜〜、そんなもんですか」
甲平の冷めた反応が凄くリアルで面白い(笑)
なおこれは、さすがに2人のモットーなどではなく、持ち歌の宣伝文句でした! アイドルの何か言わされている感も、
色々な意味でリアルです!
2人を学園へ案内しようとする甲平だが、突然の攻撃を受けて盛大に吹っ飛ぶTV局。
姿を見せたサーベルタイガー怪人が「目的はビーファイター」と明言したので、TV局もアイドルも酷い流れ弾です(^^;
甲平はカブトンに変身して立ち向かうも、先に逃がしたアイドル2人がエレベーターの中に閉じ込められてしまい、
地下駐車場の爆発により停止したエレベーターが下から炎であぶられる映像は恐らく、『特警ウインスペクター』第2話の使い回し
(更にその元があるかもしれませんが)。
TV局から叩き出されたカブトンはジャミングバリアの中に閉じ込められてしまい、こんな回で一騎打ちを仕掛けてくる兄者。
「ここなら誰の邪魔も入らん。貴様に倒された兄弟達の、そして積もり積もった俺自身の恨み、憎しみ、今日こそ晴らしてやる。
決着を付けてやるぞカブト。――我が剣で」
兄者! エピソード選んで兄者!!
立ち回りは格好いいんだけどなぁ、兄者。
TV局に駆けつけた健吾と蘭は超重甲し、アイドル企画回かと思っていたら、
あれよあれよとレスキューポリスオマージュみたいな様相に。火災を消火しようとしたテントウは戦闘機部隊の妨害を受け、
ビルの中に乗り込んだクワガーの前にはカマキリ娘が立ちはだかる。……いや、だからあなた方、エピソード選んで。
その頃、アイドルの到着を待つ学園祭の会場……とか本気でどうでもいいのですが、アイドルを救えというスペクタクルと、
ビーファイターを分断して直接攻撃を仕掛けてくるメルザードの大攻勢、が同一のエピソードに収めるには極めて相性が悪く、
にぎり寿司にカレーかけて食べているみたいな事に。
しかも、TV局で事故が発生した事は伝わっているのに、「何やってんだ甲平」と愚痴る同級生、
この騒ぎは何だと会場に怒鳴り込んでくる教頭、と矢継ぎ早に意味不明。また、今回3台詞ずつぐらい喋る男子同級生ズが、
アイドルがまともに見えるほど酷い棒読みなのですが、これは企画回の公募出演とかだったりしたのでしょうか?(^^;
トドメに妹が教頭をホットドックで懐柔し、プリティーキャストファンの車椅子の少年、
というゲストキャラがそれに大量のマスタードを仕込んで、目を回して教頭は気絶。
「やりぃ!」
ってもう、酷いとか酷くないとかいう段階をワームホールに放り捨てて、闇の組織の陰謀を感じる出来なのですが、宮下さんも東條監督も、
どうしてしまったのか(^^;
11−15−16と、宮下脚本回で惨事が続くのですが、これ、
『ブルースワット』の時に底なし沼の更に底を見せてくれた若手脚本家達が宮下さん名義で書いていると言われたら、信じるレベル。
大苦戦していたカブトンは、アイドルとか少年の言葉を思い出して立ち上がると、火を噴く虎をコールドビームで凍らせ、
あっさりフィニッシュ。爆発に巻き込まれた兄者は撤退してバリアは解除され、ビル内では既に格付けの済んでいるクワガーが、
カマキリを撃破(以前に、ライジャに単身で突撃かけるカブトンを気にしながら、カマキリを軽くねじ伏せているので)。
にしてもクワガー、元々アイドルを助けに乗り込んできた筈なのに、逃亡したカマキリを「待てぇ!」と追いかけようとしていて、
昆虫魂が闘争本能を刺激しすぎです。
なおこの間、アイドル2人はエレベーターの中でげほごほやっているだけであり、どうせ奇跡の大逆転に繋げるなら、
多少のリアリティは無視して、エレベーターの中で歌い出すアイドル達、ぐらいやってしまっても良かったような。
カブトンがテントウジャイロの救援にマシンを繰り出し、空中戦でネオビートマシンの新規映像が出たのは良かったですが。
最終的に3人の協力でアイドルは助け出されて無事に学園祭コンサートは開かれ、めでたしめでたし。噛み合わない劇中要素、
とってつけたような車椅子の少年、あまり熱意の感じられない歌の宣伝文句で再起するカブトン、などなど惨事の掛け算で、
『ブルースワット』レベルのAクラス災害。
次回、ゆい×健吾をちょっと進めるようで、脚本家次第では期待。あと、
予告ナレーションはこのままゆいちゃんが担当するという事で良いのではないでしょうか(笑)
時期的にはそろそろ新展開の頃合いなのですが……ここ数話の単発エピソードが(第14話除いて)実に低調で実りが薄いので、
切実に新展開に期待。
- ◆第17話「戦う恋占い日記!!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:宮下隼一)
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何故かいきなり、がっちり握手をかわすメルザード兄弟。
「度重なる作戦の失敗は、我らが対立しているからかもしれん」
兄者、凄く爽やかに、組織の問題点に気付く(笑)
「時には手を結ぶ事も必要かも」
「うむ、そうだ」
「ふーむ」
「愚か者!!」
怒 ら れ た。
「我が一族に兄弟愛など不要!!」
あれーーーーー(笑)
「その半端な闘志こそ、敗因。もはや我が食糧となる他お前達の価値はない!」
兄弟、巻き込まれた戦闘員と一緒にマザーの体内に取り込まれ、予告からは想像を超える衝撃の展開に(笑)
「お慈悲をマザー」「お助けを」
戦闘員がさくっと消化された胃液プールの中で情けない姿を見せた2人は途中で放り出され、折檻終了。
「この恐怖をこの苦痛を忘れるな」
立ちふさがる壁に対して考え方を変えた兄弟が手を取り合うが結局仲違い、かと思ったら、マザーによる綱紀粛正の踏み台となり、
女帝の威風と存在感は強まりましたが、代わりに幹部2人が情けなくなったのは良かったのか悪かったのか。
和気藹々として笑顔の絶えない職場なんていらない、というメルザードの方向性は明確になりましたが。
その頃ブラックアカデミアでは、甲平と蘭が険悪な空気になり、仲裁に入ったゆいが差し入れに持ってきたケーキがひっくり返される大惨事に、
さらりとハンカチを差し出す健吾が紳士ポイントを稼いでいた。
ヒートアップする2人の喧嘩は健吾にまで飛び火し、それを見つめながら、借りたハンカチに頬を寄せるゆい。
(ちょっぴり嬉しい事もあったけど、でも、最低の日。これで大丈夫なのかな、ビーファイター)
それとなく漂わせていたゆいの乙女回路に石炭がタライで投入されていますが、
ここ数年のシリーズにほぼ存在していなかったラブコメ要素が、ここまでストレートに入ってきたのは、やや意外。この辺り、
プロデューサ交代の影響により、《不思議シリーズ》の流れがあったりするのでしょうか。
そんな中、街で次々と、謎の意識不明事件が発生。被害者がいずれも人気占い師の元を訪れていた事がわかり、
博士は蘭と甲平をその調査に向かわせる。
「あの二人に?」
「うん。いやなんせ、ティーンズカップルだからな」
ホントこの博士、駄目だな……。
上司の少し抜けた部分が愛嬌になるか無能の証明になるかは、ちょっとした描写や話運びの差で紙一重というのはあるのですが、
とにかく、人の心が薄っぺらすぎます、博士。
案の定、喧嘩真っ最中の2人の潜入捜査は巧く行かず、記念品のアクセサリだけ貰って帰ってくる事に。
露骨に手を抜いた報告を聞いた健吾は単身で占い師の元へ向かい、この話を耳にしたゆいは、
力押しで健吾のガールフレンド役として潜入捜査に協力。
(ちょっぴり怖いけど、健吾さんと一緒なら平気。ゆい、嬉しくて胸きゅんです)
宮下さんなのか、三ツ村監督なのかに、こういう引き出しがあったのは驚きですが、
随所に挟まれるゆいちゃんの乙女日記モノローグが可愛げ上昇に貢献したのかは……微妙(笑)
後、占い師は“ティーンズカップル”対象なのに、精一杯大人のお洒落をしてみました、
という服装は何か間違っている気もするのですが、この辺り、甲平と蘭の喧嘩に始まって、次のシチュエーションに繋げさえすればいい、
と個々の要素の扱いが雑で、全体的に詰めが甘くて惜しい(^^;
健吾とゆいは占いの館で秘密の地下通路を発見し、占い師の正体はデズル、呼び込みの正体はドードと、
マザーの説教が効いたのか、最前線で体を張っていた事が判明。
デズルの狙いは、怪人の卵を加工したアクセサリをカップルに配り、
その愛情と生命エネルギーを吸収させる事で特殊な怪人を誕生させる事にあり、もくろみ通りに孵化する海サソリ怪人。
蘭が持ち帰ったアクセサリを身につけていた事で倒れたゆいをかばいながら戦う健吾から連絡を受け、反省した甲平と蘭が駆けつけると、
BF変身。
体をバラバラにして活動できる海サソリ怪人の、ロケットハサミ、右と左がカブトンとテントウに直撃し、
残るクワガーの突撃にどう対処するのかと思ったら、まさかのロケット胴体(笑)
残った下半身がほぼ役立たずになっている気がしますが、意表をついて面白かったです。
体内を移動する中心核を破壊する為にクワガーが囮になって敢えてオールレンジ攻撃を受け、
残った下半身をカブトンとテントウが攻撃する、という戦闘のアイデアは悪くなかったのですが、どうせならそこで、
喧嘩していた甲平と蘭の仲直りを絶妙なコンビネーション攻撃で見せるなどすれば盛り上がりと話の流れが繋がったのに、
大雑把にフィニッシュ攻撃になってしまって、どうも色々惜しい。
分裂不能になったサソリをクワガーフィニッシュで撃破し、デズルは撤退。倒れていた人々は回復し、
ビーファイターは再びチームワークを取り戻すのであった、で大団円。
宮下さん3連投でしたが、酷かった15−16話よりはだいぶマシで、企画回の第16話はさておくにしても、
やはり宮下さんと東條監督の相性が何か致命的に悪いのか(^^;
自分の頭で判断して的確なサポートを行える人材として、
博士よりよほど好感度の高いゆいの健吾への好意を浮上かつ引っ張ってくれたのは、
キャラクターの幅と物語のアクセントとして嬉しかったです。その一方で、甲平と蘭の喧嘩が前振りの為の前振りでかなり雑になってしまった部分は、
残念。エピソードヒロインだったゆいもクライマックスバトルでは放置になってしまいましたし、個々の要素がもう少しずつ繋げ切れなかったのが惜しい。
そして過去のエピソードを見る限り、健吾は妹的ポジションに好意を持たれるのがデフォルトの人生を送ってきた為に、
現状ゆいの気持ちに1ミクロンも気付いていませんが、ゆいちゃんの明日はどっちだ!
- ◆第18話「絶滅花2億年の復讐」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:鷺山京子)
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植物研究部の級友カナに引っ張られた甲平は、落石の下敷きになってしまった貴重な植物リーアを助けるのに手を貸し、
割とリリカルなドリーム妄想に耳を傾け、前回の乱暴な態度から打って変わって、いいヤツぶりを発揮。
まあ蘭に対して既に身内に近い感覚なのかもしれませんが、甲平の好感度の高さは今作の大きな長所なので、丁寧に扱ってほしい部分です。
メルザードでは、シダ怪人グロバが誕生。開口一番「俺は植物の王者だ!」、ビーファイターに出会うと「害虫どもめ、
ひねりつぶしてやる」と妙に偉そうなのと、珍しいモチーフがなかなか面白い怪人。
大切に育てていたリーアの声を聞いた気がしたカナは、花粉を浴びると洗脳されてしまい、掘り出したリーアを抱えて戦いの場に。
「グロバ! やはりお前だったのねグロバ!」
「おお、おまえはリーア!」
……えーとなんだこの、分かれた夫婦みたいな間合いのやりとり。
それに反応したマザーは、メルザード要塞を戦場の上空へと向かわせる。
「リーア、2億年もよく生き延びていた事」
2億年前、リーアとグロバは地上の覇権植物の座を賭けて戦った関係であり、グロバが勝った事でリーアは絶滅したと思われていたが、
ここに僅かに生き残っていたのだった! マザーは先祖のDNAを受け継ぐリーアに力を与え、
怨念の肥大したリーアはハイパー化するとカナと合体してお花の戦士へと転身。
「グロバ! 2億年の恨み、今こそ晴らしてやる! 覚悟!」
……今回割と面白かったのですが、この、ミニスカお花の戦士のデザインはもう少し何とかならなかったのか!(笑)
限られた予算と時間の中で、顔出し女戦士のファンタジー感を出すのは難しいのかなぁとしみじみ。
リーアとグロバは2億年前の遺恨によりビーファイターそっちのけで戦い始めるが、
その剣がぶつかり合う度に飛び散る花粉と胞子が混ざり合うと、それが猛毒となって植物や人間に甚大な被害を与え始める。
両者の戦いにより地球全土に猛毒を撒き散らし生命を絶滅させる事こそが、マザーの狙いだったのだ!
……最近娯楽に飢えていたのでバトルショーを見物したかったという理由ではなくて、心底ホッとしました。
これに気付いたBFは戦いに介入し、ジャミングビームを浴びた兄者達は撤退。だが2億年の復讐心に凝り固まるリーアは、
甲平達の説得に聞く耳を持たない。
「でも、仕方なかったんじゃない? 自然界では、そういう事も起こるわ」
「グロバだって、勝ったわけではない。やがては絶滅している。自然界の調和を考えず、自分達だけが栄えようとしたからだ。
そういうものは必ず滅びる。それこそが自然の摂理なんだ」
大上段からの物言いが、いちいち人類へのブーメランになって返ってくるというのが、
なかなか面白い展開。
「ではお前達は!? メルザードの侵略を自然の摂理だといって受け入れるのか!」
「それは……」
健吾と蘭は口ごもり、それまで黙っていた甲平は、復讐は勝手にすればいいが、カナの体を返せと迫る。
「人間は、我が物顔に地球にのさばり、自然を破壊し、多くの生き物を絶滅に追いやってきた。お前達に、
滅ぼされたものの無念がわかるものか!」
「それは違う!」
反論しようとする甲平だったが、カマキリ娘が介入し、同じ絶滅種としての共感を語ってリーアを逃がしてしまう。
ここのカマキリはメルザードの計画の為にリーアを煽っているだけだとは思われますが、
“昆虫で女性型”というかなり特異なポジションなので、広がってくれると面白い所ではあります。
再びお花の戦士とシダの王様が激突し、健吾と蘭を阻む兄者は、「邪魔はさせん」で指を鳴らして部下召喚とか、
喋りも仕草も格好いいのですが、いまいち独り立ちできないのは、母親に頭が上がらないという根幹設定の為か。
…………根幹設定だけに辛いなぁ……!
甲平はカナが以前に書いていた、リーアの花の絵(想像図)を花の戦士に見せ、カナがどれだけリーアの為に心を砕いていたのか、
それが伝わってはいないのか、と花の戦士に食い下がる。
……甲平、やたらカナの行動に詳しいのですが、大丈夫か。それとも画面に映っていないだけで、
雨の日も風の日も助っ人として駆り出されていたのか(多分、後者な気が)。
「そんなカナを踏みにじりやがって、悔しいよ。おまえみたいな奴を友達だと思ったカナが、かわいそすぎるんだよ!」
第1話ではいきなりぶっ飛んでしまった甲平ですが、ここでは何よりまず、友の為に怒っているというのが高ポイント。
「人間は、自分勝手な酷い事もやってきた。だけど全部がそうじゃない! 一本の小さな草と、心を通い合わせる人間も居るんだ。
それを忘れるなよ! 忘れちゃ駄目だ!」
友の為に怒り、友の行動を通すという段階を踏む事で、正論説教の説得力も上がりました。
一度は甲平をはねのけるリーアだったが、これまでのカナとの思い出を取り戻すと、カナから分離し、シダに取り付いて壮絶に自爆。
(カナ……これでいいの。私の先祖は、グロバに負けたんじゃない。撒き散らす毒で、生き物たちが全滅するのを恐れて、
自分から滅んでいったの。今の私には、それがよくわかる……)
リーアは花びらを撒き散らして消滅し、毒にやられたものが回復。ビートマシンタイムを挟んで、
シダの王様はあっさり3段フィニッシュ。
「ごめんな。リーアを助けられなくて」
けっこうリーアに殴られたり毒を浴びせられたりしたのですが、目を覚ましたカナへの最初の言葉が、
本当に甲平はいいヤツで、この描き方が素晴らしい。
「ううん、仕方ないよ」
だがカナの手には、リーアの種が残されていたのだった……と未来への新たな希望を見せる形でエンド。
絶滅した生き物の思いという今作らしいテーマに怪人デザインも面白く、何より甲平が実にいいヤツで、
そんな甲平とその友達の思いが絶滅植物の頑なな心を解かす、という流れも締まり、なかなか良エピソードでした。
次回――夏の海で甲平に春が来た?! 悪くないルックス、スポーツ万能、なんだかんだ親切、
とまず間違いなく学校でモテていそうなのに同級生に(そしてちょっと年上のアイドルに)まるで興味が無さそうで、
高めのボール球狙い疑惑の生じている甲平に、果たしてロマンスは生まれるのか?!
「リゾート気分もそこまでだ」
て、兄者ーーーーー!(笑)
ここ数話、次回予告が博士のナレーションだけではなく色々なキャラの台詞混ざりになっているのですが、
この方が確実に良いと思うので、次回予告はこのままの路線で行ってほしいなぁ……。
→〔その4へ続く〕
(2018年6月8日)
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