■『重甲ビーファイター』感想まとめ2■


“ファイト&ファイト
Go! ビートマシン 大地のパワーだ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『重甲ビーファイター』 感想の、まとめ2(7話〜12話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ6〕 ・  〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕 ・ 〔まとめ9〕

◆第7話「謎の激写マン!!」◆ (監督:石田秀範 脚本:鷺山京子)
 恒例のランニング中に格好良くいじめを止める麗。
 「2人がかりでいじめるなんて卑怯よ!」
 ……タイマンならOK、と聞こえて油断なりません(笑)
 怪しげな男が子供達と麗をインスタントカメラで撮影して立ち去り、その間に、犬笛で呼んだ犬をけしかけようとするいじめられっ子だが、 ビーストマスター麗はくぐってきた修羅場の違いを見せつけあっさりと犬を服従させてしまう。
 麗の個性、飼い犬にだけ心を開く少年の屈折、不審なカメラ男の謎、を詰め込んで先の展開に興味を持たせる、巧くまとまった導入。
 男が捨てていった写真を拾った麗は、写された少年の姿が半分消えている事に不審を抱くが、 なんとその少年が異次元に転送されてしまう。謎の男の正体は戦闘メカ・ガメリオで、カメラに見えたのは生体データの解析装置。 ジャマールは生体データを解析したターゲットを転送装置でジャマー養成次元へと送り込み、子供達をジャマーにしてしまおうとしていたのだった!
 入手した生体データを転送装置へ送り、解析が終了すると随時転送されるという仕組みで、 撮影と転送の時間差とメカニズムに理屈をつけたのがなかなか面白いのですが、ジャマールはもう、兵力も足りないのか(笑)
 不安です、激しく不安です。
 活動自体は比較的まともなのに、どうしてここまで不安なのだジャマール(笑)
 「写真から消えると、本人も消える……?」
 子供達の連続行方不明事件と麗からの情報を付き合わせて事態を飲む込む向井博士はホント、 適応早いな!!!
 本当に一体全体、これまでどんな研究をしていたのか、ジャマールとは別の意味で不安です。
 ビーファイターは事件の調査に乗り出し、麗の目の前で異次元へ転送されてしまうもう一人の少年。大作の集めたデータにより、 体重の軽い子供から行方不明になっている事がわかるが、何故か犬笛の少年の姿はそのままだった……。 余計な心配をかけまいと自分が撮影されていた事は隠して犬笛少年の元に向かおうとする麗だが、 既に半分ほど消えている自分の写真を拓也達に見られてしまう。
 「私は、私はビーファイターなんだもの!」
 「うぬぼれるな!」
 やたら覚悟の決まっている麗を拓也が一喝し、響き渡るギターかき鳴らす系BGM→からの主題歌インスト。
 「ビーファイターは一人じゃないんだ。僕も、大作も、向井博士も、老師グルや昆虫たちだって、みんな仲間だ」
 「仲間同士が力を合わせなくてどうするんだ、なぁ麗」
 写真の件は素直に話した方が、対策立てたり罠を仕掛けたり出来るのでは……と思っていたのですが、 まだまだ立ち上がりのチームという事で噛み合わない部分を交えながら、個人ではなくチームである事を強調し、 更にそこに「昆虫たち」を含める事で今作らしさを出した流れは良かったです。
 チームの一員としての自覚を新たにした麗は犬笛少年の元に向い、消えた2人は友達なんかじゃない、と突っ張る少年を諭す。
 「なぜ私がジョンと仲良しになれたのか、って聞いたわね? それは動物に対して心を開く事が出来るからなの。 そして人に対しても心を開いた時、私には素晴らしい友達が出来たの。どんな時にも心から信頼できる、かけがえのない友達が。 いつか君にも、素晴らしい友達を作ってほしい。だから、今ここで、心を閉ざさないで、本当の事を教えて」
 これまでは (戦場暮らしで) 他人に対して心を開いた事が無かったので友達なんて居なかったと、 麗、さらっと重い発言を(笑)
 写真撮影された時、何をしていたのか……年上のお姉さんのリアルに深刻すぎる告白に耐えかねて重い口を開こうとした少年だが、 生体データの送信不可能なターゲットを調べる為にガメリオが現れ、その攻撃に巻き込まれて気絶。 気を失う間際の言葉に少年の家へ向かった麗は、そこで犬笛の存在に気付く。撮影された瞬間、少年が吹いていた犬笛の音波が、 ジャマールの転送システムの障害になっていたのだ!(転送の時に超音波が確認されている、と伏線あり)
 異次元へ転送されそうになるも間一髪、犬笛を吹いて脱出に成功した麗はブルービートとジースタッグの危機に駆けつけ、 高い所で単独変身。女性戦士としては過去数年の<メタルヒーロー>シリーズでは例を見ないほどのヒーローぶりを発揮し、 かなり意識的に、女性戦士も均等に扱う3人チーム、という部分を押し出してきています。
 3人揃ったBFはビートマシンを召喚すると、犬笛のデータから作った妨害音波を増幅発振し、 ジャマー養成次元から子供達を取り返す事に成功。
 「暗黒の中に投げ込まれた子供達がどんなに苦しんだ事か、許さない!」
 慌ててガオーム様はゾーンを発動し、ガメリオの見た目が強化。毎度出来るのかわかりませんが、これはわかりやすくて良い演出。 ストロボミサイルや変幻自在の動きに翻弄されるBFだが、ブルービートの言葉が、その体勢を立て直す。
 「落ち着け。昆虫には優れた方向感覚が備わっている。昆虫の声に身を委ねるんだ」
 ……拓也にはなんだかこう、杉村升的ナチュラルマッドサイエンティストがそのまま主人公になってしまった、 みたいな危なさを感じます(笑)
 スティンガーウェポンを装着したBFは、神出鬼没のガメリオの動きを見切って反撃を炸裂させるとこれを撃破し、 ガオームゾーンから通常空間に帰還。ラストは、退院した犬笛少年の元に少年2人がやってきて、仲直りして大団円。
 動物学者/トレーナーである麗の特性、物語のキーとなる犬笛、心を閉ざした少年の立ち直り、 ハードボイルドな麗に仲間と友達が出来るビーファイターのステップアップ、と要素が綺麗に連動した好シナリオ。 参加回数が少ないとはいえ前作ではぶっ壊れたシナリオが続いていた鷺山さんも、本来これぐらいは書ける、 というのを見せてくれてホッとしました。
 前作が前作だったので全体的に甘めの評価になっている気はしますが、4・6・7話と合格ラインを越えるエピソードが続いたので、 この勢いで波に乗って欲しいなぁ……。

◆第8話「お願い!! 魔法石」◆ (監督:石田秀範 脚本:浅香晶)
 初めに書いておきますと、大事故。
 宮下・扇澤・鷺山が状態異常から回復しつつある中、最も不安のある浅香晶が思いっきりやらかしてくれました。また、 会話のノリが前作を引きずりまくっているのも非常に困ります。
 「ナイスキャッチ!」
 「ナイスパス、ジースタッグ! 後は頼んだぞ!」
 これはどちらかというと監督の責任ですが、リュックを投げて回すいじめっ子を描いた次の回に、 怪人の力の源である特殊な宝石を投げて回すヒーローチーム、を描く事に疑問は感じなかったのか。
 おまけに怪人バルダスと戦闘員を目の前にしながら、アーマー姿で緊張感皆無な頭の悪い台詞の応酬が続き、早くも頭が痛い。
 「おのれぇ、みすみす行かせるかぁ!」
 「うわぁ!」
 「ブルービート!」「ブルービート!」
 「やったぞ!」
 宝石を持って離脱しようとした青をバルダスが背後から攻撃するのですが、 怪人をおちょくったり無駄なエールを仲間に送っている内に背後から光線を食らうブルービートは実に間抜けだし、 怪人の目的は“宝石を取り返す事”なのに、吹き飛ばした時点で満足してしまうという、更に頭の悪い展開。
 歩道橋から落下した青は、たまたま通りすがったトラックの荷台に落ちて気絶。そのまま運ばれてしまった事で行方不明になるが、 トラック運転手の母親と、その息子トオルの母子家庭に拾われて手当を受ける。
 不思議な宝石の正体は、生命力を吸い取る代わりに念動力を放つというものだったのが、荷台に転がる宝石を拾っていた少年は、 それを“何でも願いをかなえてくれる石”と勘違い。意識を取り戻した拓也と、 合流した大作・麗の会話を聞いて宝石が壊されると思った少年は家を飛び出し、「いつも母ちゃんと一緒に居たいんだ!」と叫ぶと、 反応した石が力を放ち、仕事に向かった母親のトラックを引き戻すが、少年は急速に衰弱してしまう。
 工場地帯で少年を発見する拓也達だったがバルダスも現れて宝石を取り返されてしまい、力を取り戻したバルダスは念動力チェーンでBFを拘束。 少年の元へ迫り来るトラックがこのままコンビナートに突っ込めばビーファイターも始末できるとほくそ笑む。
 今回の大きな問題の一つが、宝石は通常は使用者の生命力を吸い取るが、この怪人はリスク無しで扱えるという設定。 そういう特異体質だからといえばそれまでで、だからこそ宝石の力で無類の強さを誇ってきたわけですが、 それにより“奇跡の力に頼っている”というよりも“バルダス自身の特殊能力”というニュアンスが強くなってしまい (ヘルメット?の下にすぽっと収めるし)、この後の拓也の台詞に一切説得力が無くなってしまいました。
 外付けマジックアイテムに頼るにしても、その使用に特異体質を必要条件とするならば、 それはもはや特殊能力(怪人の個性)と代わりが無いわけです。
 このままでは全員消し炭になってしまう、と力を振り絞り、溢れるマッスルで念動チェーンを破壊するブルービート。
 「どこにまだそんな力が?!」
 「俺達は他の力に頼ったりしない。自分自身の 筋肉 力を信じて戦うんだ!」
 「そうだ!」
 「そうよ!」

 鍛え上げた筋肉は裏切らない!

 We Love マッスル!!!

 「地球は、みんなの夢は、この 筋肉 手で守ってみせる!」
 固い筋肉の絆で結ばれたビーファイターは大胸筋パワーで拘束を断ち切り、ビートマシンを召喚。
 そこへいよいよ母のトラックが近づき、怪人を緑と赤に任せた青は、おもむろにトラックのドアに飛びつく。
 ……え?
 てっきり運転席の母親を先に助け出すのかと思えば全くそんな事は無く、迫り来るトラックのドアに無駄に張り付きながら、 遠隔操縦でカブトマシンに指示を出してトラックを止めようとする、という意味不明な行動。
 トラックの進行方向には衰弱しきって動けない少年が転がっており、 どう考えてもブルービートのすべき行動はいざという時の為に少年をかばう事なのですが、 ブルービートなりに何をしたかったのかすらわかりません(^^; 習性か、習性なのか。
 カブトマシンのウインチで何とかトラックは停止し、青はバルダスとの戦いに合流。強力無比の念動力を破るべく、 スキャン機能を発動した青は昆虫魂に閃く。
 「そうか! 群れだ! 昆虫は強力な敵には群れで向かうんだ!」
 それはこの世界的にいうと、最初の1匹が撃ち落とされている間に次の1匹が刺す!  それが駄目でも3匹目が回り込んで刺す!的なあれか。
 実際には、スピードで攪乱して念動力の狙いを絞らせない、という作戦に出るのですが、 3人で一斉に怪人の周囲をぐるぐる走りだすなど、映像的には面白くならないまま、宝石を破壊し、スティンガーウェポンコンボで撃破。
 なおガオーム様と3幹部は麻雀が白熱していたので、ゾーンも要塞突入もありませんでした!
 「バルダスは、この宝石の力に頼りすぎて、負けたんだな」
 上述したように、宝石うんぬんがバルダスの特殊能力にしか見えないので、自分の力で戦うんだ、 という拓也の諸々の言動には説得力ゼロ(^^; そしておもむろに、宝石を海に投擲する拓也。
 えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?!
 半官半民のビーファイターとしては、半分壊れていても研究所に持ち帰らないといけなかったと思うのですが。そして、 自然を愛するビーファイターとしては、海へ廃棄は御法度ではないのかと、ダブルにまずい。
 で、ここまではまだ、「面白くない」エピソードの範疇で済むのですが、今回一番の問題は、 拓也が少年に対して「夢は自分の力でかなえるもの」みたいな言葉をかけて一見綺麗にまとめてしまう事。
 少年の願い(それも、子供らしい即物的な欲求を押しのけるほどの)「いつも母ちゃんと一緒に居たいんだ!」は、 劇中描写を見る限り経済的な問題に起因しており、どう考えても現状の少年では年齢的にかなえる事は不可能と思われます。
 とすると、拓也の発言は、「今は無理だからお母さんの為に我慢するんだ」と受け止めざるをえないのですが、 今回のエピソードにおいて少年は、仕事で数日戻ってこない母親を笑顔で見送る、母親に託された怪しい行き倒れの面倒を真面目に見る、 など極めて現状を受け入れて抑制的な“いい子”として生きており、その“いい子”が奇跡の力を手に入れた時に、 どうしても我慢できなかった心の叫びが「いつも母ちゃんと一緒に居たいんだ!」なわけです。
 にも関わらす、それを慮るわけでも何かの変化を与えるわけでもなく「以前に戻れ」と言ってしまう拓也は、 ヒーローとしてはあまりに無神経と言わざるを得ません。
 ここでヒーローがもたらすべきは、希望を持ったささやかな変化と幸せ、或いはせめて少年の心に寄り添う事だと思うのですが、 全体の構造に神経を張り巡らさずに表向きだけ綺麗にまとめた事で、非常に大きな穴を掘ってしまいました。
 このフォローとして母親が「次の休みに遊園地に行こう」と発言するのですが、 これもトラックに異変が起きる前に運転席で口にしており、つまり今回の事件と全く関係なく、 母親は息子の為に次の休みには何かしてあげようと思っていたわけです。よって、 この母子に対して今回の事件が全く劇的な意味性を持っていません。
 少年はただ、石を拾って念動力を使ってしまう筋立ての道具にしかなっておらず、そこでその道具に如何なる意味を与えるか、 という所にこそ物語の意味というものがあるのですが、それが出来ないまま終わってしまっており、非常に残念エピソード。

◆第9話「トラ猫奪回作戦」◆ (監督:石田秀範 脚本:扇澤延男)
 「文字通り、ねずみ算式にな」
 って、異次元からの侵略者が言うと思わなかったよ!!(笑)
 ギガロは合成獣ガリネーズを街に放って地下に張り巡らされた都市のインフラ網を破壊させ、街を大パニックに陥れる。 立ち向かうビーファイターもその鋭い牙の攻撃に苦戦するが、ガリネーズは突如何かに怯えると、 逃げ出してしまう……ネズミの怪人であるガリネーズは、猫が苦手だったのだ!
 「ギガロ、使い物にならん」
 「いえ、ガオーム様。必ずや打開の道が……」
 「どのような?」
 「それは……」
 部下の商品展開の失敗に直接駄目出をし、半端な言い訳をしないで具体的な対策を述べてみろと追求するガオーム様は、 会社経営に対する誇りを感じます。ジャマールの経営理念は、不断の努力による業務改善なのだ!
 プロジェクト立て直しを迫られたギガロは、地上で次々と猫をさらっていく。
 「手荒に扱うな! 奴を鍛え直す為の大事な道具だ」
 ……そっちへ進むのか(笑)
 地上の猫を全部抹殺するなんて無理、という確かにもっともな意見が麗から入って変なリアリティを補強されつつ、 しばらくジャマールサイドの、猫迷宮によるガリネーズ特訓シーンがコミカルに描かれ、今作の方向性が改めて打ち出されます。 ここまでのエピソードと比べても、かなりライトかつコミカルに寄った演出ですが、話数一桁台の内に、 今作ではこのぐらいまではやります、というのをハッキリ見せてきたのは差別化として良かったと思います。
 「これぞ、愛のスパルタ教育。恐怖を克服しろ、我が合成獣ガリネーズ」
 大作の知人である漫画家志望の貧乏青年から、飼い猫がさらわれたと聞いてジャマールの動きを追っていたビーファイターだったが、 一足遅く、猫への恐怖を克服したネズミ怪人が活動を再開。
 インフラを寸断された街は大混乱で結構な被害が発生しており、これ、もはや、猫を助けるとかどうでもよくなっているような(^^;
 ビーファイターはビートマシンを発進させ、戦闘だけでないレスキュー活動を挟んでくるのは、良い所。 大作が漫画家に「ビーファイターの一員」と名乗ったり、職業としての認知が明確に打ち出されてもおり、 この辺りは《レスキューポリス》を意図して踏まえた要素でしょうか。
 ジャイロがネズミを発見し、地下道でネズミを追い詰めるビーファイター。
 「貴様、さらっていった猫をどこへやった?!
 「ネズミに産まれたこの俺が、ついに猫への恐怖を克服したチュー。その記念に、まとめて猫汁にして食ってやったチュー」
 ゲストキャラが売れない漫画家だったり、怪人が自らの生まれを乗り越えようとしたり、 いちいち『機動刑事ジバン』第23話「マンガを喰いすぎた怪物」(扇澤脚本回)を思い起こすのですが、この台詞は、 意図的なものを感じます(笑)
 ガオームゾーンが発動するもビーファイターはスティンガーコンボでネズミを撃破するが、猫の事を漫画家にどう話すべきかを悩む。 ところがそこへやってきた漫画家が倉庫街に隠されていた猫たちを発見。ギガロはネズミ怪人量産化の暁に訓練用に用いるべく、 猫たちを大事に生かしており、ネズミ怪人の発言はハッタリだったのであった。
 飼い猫と無事に再会した漫画家は、ジャマールが集めたその他大量の野良猫も引き取り、田舎へ帰る事に。
 「今度のパニックでわかったんだ。人間って何かあると、凄く自分勝手になるじゃない。弱い者を平気で踏みつけるじゃない。 それって、日頃から、心の潤いとかが、欠けてるからだと思うんだ。やっぱり僕が描くようなマンガは必要なんだ。書き続けるよ!  田舎でこいつら育てながらさ」
 猫迷宮のコミカルパートに時間を取りすぎてゲストキャラの出番が少なく、 この売れない漫画家(未満)はどうするのだろうと心配していたら、ネズミ怪人による被害も伏線にして、 都会に根付けなかった男が今の自分なりの志を胸に田舎へ帰る、という実に扇澤さんらしい着地。 ビートマシンとガオームゾーンのノルマもこなしつつ、ラスト1分のきりもみ着地ながらそれなりの説得力を持って、 しっかり畳んできたのはさすがのテクニック。
 「無駄じゃ無かったよ、この4年間。たった一人だけど、僕のマンガを好きだって言ってくれる人に、巡り会えたからね」
 また、決して未来に希望溢れるオチではないのですが、この台詞には優しさがあって良かったです。 扇澤脚本には設定しているハードルが高いのでまだまだ物足りませんが、『ビーファイター』としては及第点の出来。 この先ノルマの入れ方が落ち着いて、切れ味が増してくるといいなぁ。……扇澤さんの場合、 まずい方向にキレる場合もあるので油断なりませんが(笑)
 ところで今回、ジャマール本拠に謎のルンバ(円錐形に目玉っぽいマークのついた物体)が出てきたのですが、 冒頭以降では特に焦点が当たらず、なんだったのか。映像的賑やかしでレギュラー化するのかなぁ。
 次回――毎度予告で、「最強」だの「無敵」だの煽られる傭兵軍団ジュラの「腹心」登場!

◆第10話「激闘!!竜の剣士」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:浅香晶)
 「たまにはトレーニングしなきゃ!」
 戦闘フォーメーションを考察する科学的トレーニング派の拓也@好きなプロテインはバナナ味と、 ひたすら筋トレで磨き上げた筋肉こそ至高派の大作@好きなプロテインはチョコレート味が対立。 間に入った柔軟な筋肉を求める実戦派の麗@好きなプロテインはイチゴ味もどっちつかずと責められて雰囲気の悪くなる3人だが、 そのタイミングでジャマール戦闘機軍団が地上を強襲。
 ビートマシンで戦闘機部隊を蹴散らすビーファイターだが、その前に傭兵軍団長ジュラと、その右腕バーラが姿を見せる。
 「みんな、油断するな!」
 「相手が誰でもインセクトアーマーさえあれば」
 ……先日(第8話)、自分の力が大事、と拓也が主張した矢先に、同僚の片霧大作さんが顎の下までズブズブなんですが。
 侵略した先で倒した異次元生物ブラックドラゴンの首を加工した意志ある鎧・ドラゴンアーマーを身につけるバーラと、 早くもマントを脱いで二の腕を披露するジュラの前に、虫アーマーの力に溺れていたビーファイターは完敗。
 爆発で吹き飛ばされ、ジャマーに追われる大作と麗は、拓也が落としたコマンダーを拾い、バラバラに戦ってしまった事を反省。
 「インセクトアーマーが私たちを選んでくれたのは、この星全ての命を守る為に、互いに信じ合い、共に戦う為だったのに」
 「そうだ……。俺はいつしか、その力ばかりに頼っていた」
 「私もそうよ」
 「仲間を信じて戦う事が大事だったのに……拓也はきっと生きている! もう一度3人の力を合わせてぶつかってみるんだ」
 虫アーマーと筋肉の関係をどう捉えるかはともかくとして、調子に乗ったヒーローがしっぺ返しを受け、 強敵相手に仲間の絆を取り戻して立ち向かう、というオーソドックスなプロットとしては悪くない流れだったのですが……ですが…… この後、どんどん蛇行して、獣道へ突入する事に。
 大作が囮になっている間に麗が拓也を探し出し、3人は合流に成功。そこへ、「あの3人を倒せばジャマール大幹部の座につける」 と妙に煽ってくるドラゴンアーマーにけしかけられ、襲いかかるジュラ。だがその時、 アーマーが背後からのファイアブレスで3人とジュラをまとめて吹っ飛ばすと、バーラの肉体をその力で支配する。 かつてジュラとバーラに倒されて鎧の素材とされてしまったブラックドラゴンは、復讐の機会をずっと待っていたのだった!
 …………えー…………“絆を取り戻した3人の力で強敵を打ち倒す”のかと思っていたら、“敵が変更になってしまう”という、 アクロバットすぎる展開でシナリオが腸捻転。
 Aパートがほぼ丸々無意味になりました!
 率直に、幹部+同格の実力者という事でジュラ&バーラを強く描きすぎてまともに倒しようがなくなっていたのですが、 悪い意味で週刊連載の少年マンガのような解決法。
 そして鎧は、ジャマールに侵略された次元の生き物だった筈なのに、現在の目的が「ジャマール最高幹部になるのはこの私だ!」でいいのか(笑)
 ジュラを煽る要素として唐突に出てきたこの「最高幹部」も、これまでのジャマール幹部トリオの雰囲気にそぐわず、暴投気味ですし。
 炎の中で3人は重甲し、大ダメージを負ったジュラを助けに来たみたいな映像に(笑)
 信じ合う力を取り戻したビーファイターは、岩をうがつ水滴のような一点集中攻撃でドラゴンアーマーの装甲を貫通。 お約束ネタとしては別に構わないのですが、冒頭で拓也が考案していたフォーメーションが何の伏線にもならずに無視されていて困ります(^^;
 「バカな、どうしてこの私が?!」
 「これがインセクトアーマーの、俺達の信じ合う力だ!」
 〔「相手が誰でもインセクトアーマーさえあれば」→「俺はいつしか、その力ばかりに頼っていた」→「仲間を信じて戦う事が大事だったのに」 →「これがインセクトアーマーの、俺達の信じ合う力だ!」〕
 という流れで、力を支えるのは心である、としたかったのはわかるのですが、今作においては、 この「信じ合う」範囲にインセクトアーマー(昆虫魂)を含める或いは、 「心」と「力」を繋ぐ象徴がインセクトアーマーであるとしてこそなのに、 その要点を押さえず一足飛びに〔俺達の信じ合う力=インセクトアーマーの力〕と台詞にしてしまう為に、 インセクトアーマーの設定が全く活かされておらず、エピソードとしての積み重ねも途中で放棄されてしまっています。
 そこを描いてこそ、面白くなると思うのですが。
 「この女を使って、全てを我が手に入れるはずが」
 て、ブラックドラゴン、復讐の為に、ジャマール内部で普通に出世街道を歩む気だったのか……?!
 「おまえの好きにさせてたまるか!」
 正気を取り戻したバーラは、深手を負いつつも、自ら鎧に短刀を突き刺し、ブラックドラゴンの息の根を止める。
 「ジュラ……許してくれ。鎧の力などに頼ったばかりに、無念だ。――ブルービート、勝負だ。剣士バーラの、最後の戦いなのだ!」
 “鎧の力”を否定したバーラが、“鎧の力”全開のブルービートに、“剣士として”最後の戦いを挑むという、 しっちゃかめっちゃかで倒錯したクライマックス。
 今作における虫アーマーは確かに“ヒーローの力”の一部なので、そこを台詞上で同一視するのはやむを得ない部分もあるのですが、 物語の構造としてインセクトアーマーとドラゴンアーマーが対比されているのに、 “鎧を捨てて誇りを賭けた敵”に対して“鎧を着たままのヒーロー”が切り結ぶので、非常におかしな事になっています。
 インセクトアーマーとドラゴンアーマーの対比を描くなら、腹に一物あるドラゴンアーマーに対して、 インセクトアーマーは純粋に地球を守る力、というアーマーの話にすればいいのに、 むしろ前半は「アーマーの力に溺れてはいけない。3人の信頼が力を生むんだ」という内容だったので、 ゴールを見失っている内にスタート地点さえわからなくなってしまいました。
 オーソドックスなプロットに変化を加えている内に中心を失って虚無に還るという、実に残念なシナリオ。 プロットには変化をつけているのに、大作は話の都合で安直な能なしマッチョとして描写してしまうのも、また雑。 ビーファイターは筋肉を崇拝しつつも、3人とも学があるのがポイントだと思うのですが。
 バーラは青との一騎打ちに敗れて爆死し、激情にかられて玉砕特攻しようとしたジュラは、ガオームツモで回収される。 友の為に命がけで戦おうとする幹部、というのは要素としては面白かったですが、エピソードとして崩壊していたのが非常に残念。
 広げれば3つぐらいのエピソードに出来そうなプロットを混合しているのですが、それが中身の詰まった話になるのではなく、 あっちにもこっちにも手を伸ばしすぎて自爆、になっているのは如何ともしがたい。
 次回――JP色の敵とかジャマールシティとか巨大な銃器を構える麗とか、修羅の世界の予感。

◆第11話「怒りロボ大暴走」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:鷺山京子)
 雑誌記事で明言されているそうですが、当時の諸事情により鷺山さん名義で発表された、小林靖子脚本との事。
 街に、見た目JP配色の歩く手榴弾、怒りメーターが溜まると大爆発を引き越すという戦闘ロボ・イカリボンバが出現。
 戦闘ロボの前に立って堂々と抗議する市長など、コメディ調で展開し、ビルや道路を吹き飛ばす爆発の規模も、ちょっとギャグの領域(笑)
 立ち向かうビーファイターだったが、爆発被害を恐れる市長により逮捕命令が出され、一転逃亡者に。 街はそのまま手榴弾ロボの支配下に置かれ、ジャマールシティとなってしまう。シュバルツの目的は、 この街に手榴弾ロボの生産工場を作り、全世界に手榴弾ロボをばらまく事で世界を恐怖によって支配する事にあった!
 労働力は現地調達というのはそこまで珍しい事ではありませんが、色々不安の募るジャマールだけに、 本当に大丈夫なのか不安が濃くなります。
 大作の知己の少年から、ジャマールが公園に工場を作ろうとしている事を知らされるビーファイター。向井博士の分析により、 手榴弾ロボの怒りゲージが溜まった際に衝撃波が発生して周囲を吹き飛ばしている事、その起爆装置が首の後ろにある事が判明。 それを聞いた大作は今回も暴走して単身突撃してしまい、拓也と麗は、開発中の電子高熱銃を持ち出す。
 結局、3人とも判断力があると話を転がしにくいという事になったのか、大作の知力がどんどん低下しており、うーん……。
 単身挑んだジースタッグが起爆装置の破壊に失敗した所に拓也達から通信が入り、 高熱銃のチャージ時間を稼ぐ為に緑が敵の攻撃に耐える、という展開になるのですが、大作が暴走するというプロット抜きで、 普通に囮作戦にすれば良かったのでは……。
 「公園の木を守ろうとして暴走する」よりも「公園の木を守る為に体を張る」の方が重みが出たと思いますし、 ダメージを受けて転がった所で通信しているのも凄く間抜けで、話の都合で登場人物の頭を悪くした上で無駄なサスペンスに持ち込む、 という非常によろしくない展開。
 変身解除まで追い込まれた大作は急遽よいしょ作戦に切り替え、手榴弾ロボの命じるままに唄ったり踊ったりして時間稼ぎ。
 これもどうせやるなら、最初からこちらに焦点合わせて、もっとギャグに振ってしまった方がスムーズだったような。 戦闘シーンを作らないといけないなどの事情もあったのかもしれませんが、大作暴走→バトルで時間稼ぎ→ギャグで時間稼ぎ、 という流れがすべからく場当たり的かつ、どこにも軸が無いため、ピントがずっとズレている感じに。
 途中で少年が大作の阿呆な踊りを見てショックを受けるシーンで、 ヒーローには膝を屈し臥薪嘗胆の心でゲージを溜めなければならない時がある、というのを示したかったのかもしれませんが、 クライマックスのカタルシスにはそれほど繋がらず、ただただテンポの悪い事に。劇中の時間稼ぎがそのまま、 メタ的に尺稼ぎにしか見えません(^^;
 いよいよ手榴弾ロボに抹殺されそうになる大作だが、拓也と麗(ナチュラルに引き金を引く方)が、高熱銃で起爆装置の破壊に成功し、 ビーファイター揃い踏み。
 「イカリボンバを爆発させ、ビーファイターもろとも、吹き飛ばしてやる」
 計画失敗を悟ったガオーム様が戦闘機部隊を出撃させ、外部から強制的に手榴弾ロボを爆破してしまおうとするのですが、 「吹き飛ばせ」ではなくて、自分で実行する辺り、どうにも暇そうな大ボスです(笑) たぶん普段は、 社長室で経理事務とかしている。
 対するBFはビートマシンを発進させ、挿入歌初使用。 レッドジャイロのクレーンにクワガタマシンに収納されているマグネットを付けるという複合ネタで手榴弾ロボを吊り上げ、 市街地から離れた所に運んでからカブトメカとクワガタメカの攻撃で撃破、というのは変化をつけて面白かったです。 ……面白かったのそこぐらいというか。
 前作『ブルースワット』では孤軍奮闘に近い形で光る物を見せていた小林靖子ですが、最初から最後までテンポの悪い残念回。 あまりに話の流れがズタズタすぎて、脚本書いた時点ではもっとシリアスだったのが、全体の方向性としてコミカル分を増量する事になり、 現場で色々差配している内に柱から折れたのではないか、と疑うレベル(^^; 植樹云々が完全に添え物に過ぎなかったり、 個々のキャラクター性がほとんど活かされなかったり、ここまでのアベレージでだけ見てもらしからぬ出来なのですが、 演出含めて何かあったのか。

◆第12話「やる気を奪え!!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:扇澤延男)
 「ナマケルゲ、この穀潰しめ!」
 日がなぼんやりパイプに捕まっているだけの合成獣を叱責するギガロは、駄目な方向で段々面白くなっていきます(笑)
 自分の細胞から生んでしまった給料泥棒をリストラしようとするギガロだったが、そこにガオームが現れ、 駄目社員を自ら地球へと放つ……。その頃、アースアカデミアでは今日も朝から大作が筋肉と熱い会話を交わしていた。
 「朝っぱらからよくもそう元気だねぇ!」
 「なにしろこっちは現場担当ですからね。動いてないと体がなまっちゃって、はは。尊敬しますよ、博士を。 毎日毎日ただデスクに座ってて、よくボケないよなぁ」
 「ボケる?! 私だってただただあそこに座ってるわけじゃない。胃袋がきゅーっと痛くなるほど、ここを使っとるんだ。 ここではなく、ここを。はははーだ」
 「それじゃ俺が全然頭使ってないみたいじゃないですか」
 どんどん、大作が、公式マッスル脳になっていくのですが、あの肉体がいけないのか。
 子供の喧嘩を始める二人のフォローに入る拓也だが、
 「仕方ないだろ。博士は現場には出ていけないんだ。僕らと違って、もう歳なんだから」
 「と、歳?!」
 にこやかにガソリン投下(笑)
 そこへ職員が入ってきて、ビートマシンのオペレーターを務める本田主任が出社していないという連絡がもたらされる。
 「君達は、残りたまえ。見せてやろうじゃないか。私がただ座っているだけの年寄りかどうか。麗ちゃん行きましょ」
 つむじを曲げた博士は、麗をともなって自ら本田を探しに外出。扇澤さんが得意とする軽妙な会話の中でのキャラクターの個性の塗り重ねに、 粉薬など小技を効かせた坂本監督の演出がはまり、今回この一連のやり取りだけで、十分に面白かったです(笑)
 本田の家から通勤経路を辿った博士と麗は、複数のサラリーマンと一緒にガード下で飲んだくれている本田を発見。 実はビートマシンのセキュリティ強化プロジェクト中で、本田主任が作業を終えないと昆虫メカが発進できないという状況だったのだが、 本田は何故か、すっかり働く意欲を失っていた。
 「もう俺、働くの一切止めたんですから」
 「今日から僕ら、毎日が日曜日ー♪」
 調査を続けた博士と麗は、本田らがその朝、いつもとデザインが違う路線バスに乗り込んでいた事を知る。 そのバスの運転手こそナマケルゲの変身した姿であり、ナマケルゲは乗り込んだ人間のやる気を吸い取り、自らのやる気に変換していたのである!
 立ち向かうビーファイターだが、青と緑がやる気を吸い取られてしまい、怠け者に。ナマケモノ怪人はまんまとバスで走り去り、 街に広がっていく毎日が日曜日。
 「もう二人の回復を待ってはいられません。私一人でも、あの怪物を」
 単独で出撃するレッドルだが、その前にはギガロも現れ、追い詰められてしまう。その間、 研究所では博士が2人に電気ショックを浴びせたり『アリとキリギリス』を読み聞かせしたりするが、効果なし。
 「そんなに言うなら、博士がジャマールと戦えば?」
 「それいいな〜。現場で活躍できるチャンスじゃないですか」
 2人は博士にコマンダーを渡し、ネタはネタなのですが、前半の会話からしっかり繋がっている辺りが、上手い。
 「……そうだな。選ばれた戦士であるおまえ達が戦わないならば……――じゅうこぉ、むん!」
 二つのコマンダーを構えた博士は変身…………できるわけなかった。
 その光景に2人は爆笑し、頭を抱える博士だが、その時、ビーコマンダーが光を放つと拓也と大作を強制的に変身させ、 更に雲霞の如き昆虫の大群が研究所に集まってくる。
 「なんだこの体の震えは……」
 「なんなんだ。体中に溢れるこの熱い息吹は」
 「そうか! やっぱり、おまえ達は選ばれた戦士なんだ。何億、何十億という昆虫の想いが、命あるものの全ての祈りが、願いが、今、 お前達に、新たなるやる気を、吹き込んでくれているんだ!」
 ぎゃぁーーーーーーーーーーーー!!
 研究所の窓ガラスにぶつかる虫の群れはヒッチコックの『鳥』を思い起こさずにはいられず、 「やる気を出せ。さもなくば死ね」という数十億の昆虫の魂の声が実にホラー。
 恐怖の外付けやる気充填機構によりやる気を強制補充された拓也と大作はレッドルの危機を救い、ビーファイター再び揃い踏み。
 「使命に目覚めた時、我々ビーファイターには、無限のやる気がみなぎるんだ!」
 「見せてもらおう。その無限のやる気とやらを」
 愛とか勇気とか希望とか美しいマジックワードが入りそうな部分に「やる気」という、ある種俗な単語をはめ込む事で笑いを生みつつ、 その実態は、本人の意志と関わらず、ヒーローの動機付けを外部から強制供給するという、凶悪なブラックジョーク。
 「やる気」への置き換えは坂本監督のギャグセンスという気もしますが、大作の一時離脱を描いた扇澤さんが「選ばれた戦士」とは何か、 という要素をギャグにくるみながら抉った結果、挺身と特攻精神が中核を成す『ビーファイター』の暗黒面が大・噴・出。
 もちろん作品全体のスタートとしては、3人の地球を守る心を昆虫魂が認めた(3人の心ありき)、という形にはなっているのですが、 “力を与えられる”という事とは真正面から向き合っておかないと、いつか強烈なしっぺ返しが来るかもしれない、 という危うさが活写されていて、黒い。
 ガオーム様が戦闘機部隊を発進させ、爆撃を浴びるBFだが、緑が新技スティンガーブーメランでナマケモノのやる気袋を破壊し、 本田主任復活。発進したビートマシンで戦闘機部隊を迎撃すると、残ったナマケモノはスティンガーコンボで撃破。 ……青が剣を敵に突き刺した後、回転機能を発動して内蔵をかき回すのが、凄くえぐい。 昆虫魂×やる気=無限の殺意!!
 かくして社長自ら立案したやる気があれば何でもできる大作戦は失敗に終わり……
 「ガオーム様、これは一体!」
 詰め寄られた社長、無言で退社(笑)
 ギガロが作戦失敗をシュバルツに笑われているのですが、幹部の仲良しトリオ路線はやめてしまうのか……個人的には好きだったので、 続けて欲しかったのですが。
 一方地球では、申し訳なさそうな拓也と大作に向井博士が笑顔で握手を求めるのであった、でオチ。
 相変わらず専門分野が不明など、背景に謎の多い向井博士ですが、3人との関係性を描く形でキャラクターを肉付け。 演技の出来る役者さんを配している割に個性が薄すぎたので、今後広げていく為の土台が示されたのは良かったと思います。
 次回――ようやく拓也に本格的な見せ場到来?!

→〔その3へ続く〕

(2016年10月30日)
(2017年3月31日 改訂)
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