■『ウルトラマン80』感想まとめ6■


“明日が君たちを 待っているのだ
明日もいいことが きっとあるだろう”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『ウルトラマン80』 感想の、まとめ6(41話〜46話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第41話「君はゼロ戦怪鳥を見たくないかい?」◆ (監督:東條昭平 脚本:石堂淑朗)
 矢的とチーフはパトロール中にゼロ戦大好き少年と知り合い、高性能なラジコンを買う為に、 他のあらゆる事を諦めて少年がお小遣いを貯めた日々がプレイバック。
 「子供はゼロ戦、父親はゴルフ。私も何かに凝ろうかしら」
 「どうぞどうぞ。これはカーボンのブラックシャフトでね。一本20万円もしたんだ。そんじょそこらのものとはわけが違う」
 「たかが棒きれ。竹箒の柄で十分じゃないの」
 石堂さんは、こういうやり取りを入れずにはいられないのでしょうか(笑)
 「何を言ってる。ゼロ戦がタケオの命なら、これは私の命だ」
 「玩物喪志」
 「……玩物喪志?」
 「中国のことわざ。物にこだわりすぎると、人間が駄目になるってこと」
 「ははははは、このクラブの為なら、駄目になっても大いに結構」
 「うちの男は二人とも救いがないわ」
 盛大に呆れる母役は桜井浩子、定年退職後に離婚されそうな父役は石浜朗で、今回は特に石浜さんの芝居が良いはまり具合で、 ここまでの石堂脚本では最も見やすいエピソードでした。……というか、前回からまた新たなユニバースに移動したので、 OP・EDの変更含めて完全に石堂『80』になってきたというか。
 矢的とチーフは少年の話題をUGMに持ち帰り、皆で少年の出場するラジコン大会を見学中、ゼロ戦が故障。 怪獣が出現しそうな深刻なBGMが流れる中、ラジコンは会場を遠く離れて飛んでいってしまい……
 「戻ってこい……戻ってこい……! 僕のゼロ戦! もどってこーい!」
 なにぶん12万円なので気持ちはわかるのですが、少年の悲嘆に被せて劇中で最も深刻なBGMを使われると、 ギャップの大きさについ笑ってしまいます。
 心配をして見に行った矢的とチーフは八つ当たりを受け、落ち込む少年を慰める両親だが……
 「父さんのゴルフ棒、もしあれが折れたらどうする?」
 藪から蛇のクロスカウンターが顎に直撃し、好機を逃さず「ゼロ戦が見つからなかったらゴルフ棒を売る」 ようにと母に畳みかけられた父は、20万のゴルフクラブを守る為、少年のゼロ戦探しに協力すると約束。
 両親役がなじみ深いキャストというのもありますが、ホームドラマ路線もここまでやると段々面白い事になり、 看板掲げてゼロ戦を探す息子と、それを恥ずかしがって距離を取ってついていく父の2人の探索行は、いつしかバスに乗って山奥へ。
 父子はそこでゼロ戦を目撃した老人と出会うが、ラジコンが入り込んだのは、数十年に一度、 人を食う宇宙鳥がやってくる場所だから近付いてはいけないと忠告され、老人の軽い脅かしの要素もあったのかもですが、 いったいここはウルトラユニバース何丁目の何番地なのか……。
 「あのゼロ戦と共に僕の命はあるんだから! ゼロ戦と一緒なら死んだっていい。ねえ、父さん!」
 「……うん。……ゼロ戦が出なければゴルフのクラブもなくなる。クラブか命か……その辺が問題じゃな」
 石浜朗さんが平々凡々とした駄目人間を飄々と演じ、某時村とか棒柳田とかより、よほど人間味に好感が持てるのが困りますが、 それはそれとして先程から私の心の中の釣りおじさん(第34話)が 「おまえの命は12万円か! 離せ!」と警告を発し続けています。
 「変な親子だのう……」
 Bパート入ってようやく怪獣の気配がし出したところで父子は谷に分け入っていき、その後を追うチーフと矢的は、 巨大宇宙怪鳥バレバドンを目撃。
 背中と前肢から生えた4枚の翼を複葉機に見立てたデザインが面白い怪鳥は、何故か少年のリモコン操作に反応して大空を飛び回り、 怪獣を着陸させた少年はこれ幸いとその背に飛び乗ると自ら空へと飛び立ってしまう!
 広大な地平をミニチュアで表現した飛行シーンの映像は素晴らしく、怪獣の背にまたがって大空を翔る!  というシチュエーションの夢も物凄くあるのですが、それを目にした父とチーフはぼんやりとした対応を繰り返し、 緊張感のスイッチが入るタイミングが合わないのが、石堂脚本回の困ったところ(さすがに明確な倒壊描写こそ無かったものの、 市街地に怪獣の巨大卵が落下しているのですが……)。
 UGMに至ってはON/OFFのスイッチが行方不明なのですが、このユニバースのチーフは恐らく、 存命の婚約者と無事に結婚して新婚ほやほやであり、魂まで蕩けきってしまっているに違いありません。
 状況を不審に感じた矢的猛は、ダブルエックスレントゲン光線(とナレーションさんが言った)で怪鳥を透視。 ラジコンを飲み込んだ怪鳥がリモコンの電波に反応している事に気付くが、怪鳥を意のままに操る悦楽に溺れ始めた少年は、 矢的たちを驚かし、飛行機を追いかけ回し、
 「悪戯にしては度が過ぎている」
 「ホントですよ!」
 とか言っている場合ではないと思うのですが……。
 「でもいい子なんです。ゼロ戦の事さえなければ……」
 父親も明後日の方角にあるラフにボールを打ち込み(一般人が目の前の事態についていけない表現としては頷けない事もないですが)、 見上げるばかりの地上の大人たちだが、上空では事態が急変。リモコンの制御よりも食欲の勝った怪獣が、 カラスを追いかけている内にラジコンを吐き出してしまい、少年のコントロールを離れて大暴れ。
 事ここにいたってようやく危機感が大人たちを突き動かし、チーフと二手に分かれた矢的は、80に変身。
 80と怪鳥のハイスピードな空中追いかけっこは素晴らしい出来映えで、80は背中から振り落とされた少年を空中キャッチ。 落ち着きを取り戻した怪鳥は地球を離れていき、終始あくまで「怪獣」ではなく「巨大な宇宙渡り鳥」扱いなのですが、 宇宙生物と共存する世界というよりも、巨体×食欲×産卵を考えると、人類からは駆除対象なのでは……。
 物に執着すぎるのは良くない、とチーフに諭された少年はさすがに納得し、そもそも父のゴルフ狂いが良くなかったのかも、 と父子は揃ってちょっぴり反省を見せ、朗らかに大団円。
 アンコウ・クワガタ・バルタンにつづく、石堂『80』動物(園)シリーズでしたが、 「怪獣をリモコン操作」する“子供の夢”の部分の表現がこれまでで一番美しく(とにかく今回は飛行シーンの特撮が素晴らしい)、 石浜朗さんの好演も効いて、『80』通常運行の粗はありつつも、割と楽しめたエピソードでした (東條監督とは演出のテンポ感が合うので、それも良かったのかも)。
 次回――サブタイトルは更なる地平へと突入する!

◆第42話「さすが! 観音さまは強かった!」◆ (監督:東條昭平 脚本:石堂淑朗)
 ナレーション「この人相の悪い二人連れは、いったい何をしに、この静かな、大谷石の里に姿を現したのだろうか」
 (間髪入れず)
 ナレーション「説明しよう!」
 ……なんか、とうとうナレーションさんまでキャラが変わっているような(笑)
 そして、
 ナレーション「俗に言われる安政の大地震がこれだ!」
 でアバンタイトルが終了し、凄い勢いで独自の道を切り拓いていきます。
 人相の悪い二人連れの目的は、江戸時代の泥棒が隠した千両箱。巡り巡ってそれが埋まっているのは、 どうやら巨大な観音像の足下らしい、とあたりをつけた2人組は不信心にも観音像の足下を地下から掘り返す一方、 観音像へのお参りを欠かさない少年の夢枕に観音様が立ち、不審を感じる少年の姿が、やたらサスペンスフルに描写されて、 怪獣の気配だけはAパートから漂わせておく演出。
 大谷採石場跡で磁場の異常を感知したUGMから調査に向かった矢的とチーフは、この少年と知り合って少年の家に投宿する事になり、 ロケ地でもある採石場に始まって、大谷石を取り上げ、名物料理が紹介され、一応、観光タイアップ回なのか……? (次回からこんな感じで、「ご当地グルメユニバース」に移動したらどうしよう……)。
 その夜、涙を流す観音様を夢に見た猛と少年は観音像の元へ向かうが、時既に遅く、 人相の悪い二人連れが使ったダイナマイトにより巨大観音像が大地に倒れると、その足下に封印されていた怪獣が甦ってしまう!
 少年周りは妙にサスペンスを煽る演出をされていたものの、ここで日常パートから怪獣バトルの緊張感に切り替わるのかと思いきや、 目覚めたばかりの怪獣は大谷石に蹴躓くと自打球によりダメージ。
 むしろコミカル成分が濃度を増して“不穏な気配の積み重ね”と完全なすれ違いが発生し、 『80』名物《本編班と特撮班の意思疎通が微妙に取れていない気がする》が炸裂。
 UGMからはキャップと下っ端ーズが出撃すると、どういうわけか久々の実戦飛行をからかわれたキャップが直後に操縦ミスで墜落しかけるギャグが入って、 基本中の基本設定すら忘却の海に投げ捨てる勢いで歴史が改竄されていきます (キャップが歴戦の古強者でないと、そもそも矢的との出会いが起こらないので……)。
 …………もしかすると、既に本物のキャップとチーフは別の星に連れ去られていて、 今地球に居るのはUGMの内部崩壊を目論む敵性宇宙人の擬態なのでは。
 チーフと矢的は、怪獣と戦闘機の戦いを見上げる人々を避難誘導するわけでもなく一緒になって棒立ちで見つめ、 戦闘機が火炎放射を仕掛けると「熱いのは大歓迎」とナレーションさんが説明を入れ、話のトーンも演出のタッチも全く安定しないまま、 何処へ行くのか遠い星から来た男。
 UGMの劣勢を見た矢的は物陰で80に変身し、強烈なドロップキックを浴びせると、 本日は足下を狙った攻撃から馬乗りになって散々に殴りつけるが、群衆の中の老人(大谷の里の古老ポジション)がひたすら、 近代兵器でも80でもなく「魔物を退治できるのは、神か仏のお力だけじゃ」と観音様の登場をあおり、気がつくと80大苦戦。
 出現した怪獣のいつにも増した脅威が強調された上でなら、まだ納得が行く流れなのですが、 出現直後にギャグ・ギャラリー付き・破壊活動に繰り出すわけでもない、と強敵アピールが全く無い為、 怪獣というより“特定の封印が必要”な怪異扱いで、しかし、泥棒が千両箱を隠したくだりは語られても、 観音様が怪獣を封印している伝承などは一切語られていない為、物語のピントが宇宙の海で行方不明 (どこにあるのかといえば、「大谷」ではあるのですが……)。
 人々の声を受けた80は地面に倒れた観音像へと必死に手を伸ばし、おーっと、掟破りの観音像で後頭部をフルスイングだーーー!!  となるのかと思ってドキドキしましたが、倒れた観音像を立ち上がらせると不思議な光が放たれて、 沈静化した怪獣は再び地下に封印され、さすが!  観音さまは強かった!
 (※今回の怪獣は公募作品の入選作だったとの事で、ナレーションで能力が解説されたり、やたら80を苦しめたり、 最後は封印で終わるのは、その為だったのかもしれません)
 観音像を封印として安置した80は飛び去っていき、貴重な情報提供役となった気がする少年は、 UGMの大サービスにより憧れのアイドルと対面し、観光タイアップ×アイドル出演が謎の悪魔合体。
 夢が叶った少年は間近で見るアイドルにやに下がり、「明日から貴様のあだ名は「たれ目くん」だ!」 と今回大暴れのナレーションさんが朗らかなのかなんだかわからないオチをつけて、大困惑を撒き散らしながら、つづく。
 次回――の予告は本編視聴後のお楽しみ(?)として、 Aパートにおける布石どころか本編の基本設定までもが怪獣出現後に高速で解体されていった末にサブタイトルに収束し、 少年が憧れのアイドルに会いたいだけが残って拾われる、“凄い”といえば、“凄い”エピソードでした。

◆第43話「ウルトラの星から飛んで来た女戦士」◆ (監督:湯浅憲明 脚本:水沢又三郎)
 (※脚本の水沢又三郎は、江連卓の別名義との事)
 冒頭から謎の円盤とそれを追跡する未知の戦闘機部隊のドッグファイトが描かれ、撃墜された円盤の元に向かったUGMは、 生存者と思われる謎の少女を発見するが……矢的に迫る突然の投げ槍!
 襲撃者の正体は宇宙遊牧民ガラガラ星人であり、そろそろ終盤という事でか矢的はウルトラ知識の口を滑らせまくって城野隊員にツッコまれ、 意識を取り戻すも記憶を失っていた少女(演じるのは、『科学戦隊ダイナマン』立花レイ役の印象が強い萩原佐代子さん!)は、 キャップに「星涼子」の仮名を与えられてUGMに保護される事に。
 キャップ……それは昔どんな関係だった女の名前なんですか、キャップ。
 甲斐甲斐しく涼子の世話を焼く城野だが、お礼にとプレゼントされたブレスレットが仇になってガラガラ星人にさらわれてしまい、 ヒロイン力が急加速。
 「ウルトラの星の使者、ユリアン王女、どうかな気分は」
 囚われの城野の前に現れたガラガラ星人のボスは、ブレスレットだけを目印にして城野=ユリアンと壮絶に誤解しており、 萩原佐代子さんの出演もあって、同じ『ダイナマン』から「科学戦隊の司令官、山下博士はいただいた!」を思い出してなりません(笑)
 「ユリアン王女、ウルトラマン80は、どこに居る? どんな姿になっている?」
 えええ??
 「ウルトラマン80?」
 「おまえは、ウルトラマン80に会いに来た筈。奴は、どこで、何をしてるんだ?」
 ユリアン(城野)から情報を手に入れようと凄むガラガラボスですが、これまで80地球人モードの正体は 侵略宇宙人業界の常識だったので、あまりの情報収集能力の低さに涙で前が見えません。
 だから、新しい星に着いたらまずはスペース酒場に行って情報を集めてってあれほど言ったでしょ?!
 一方、城野がさらわれた事を知った矢的は、後輩Bと涼子を連れてガラガラ星人のアジトに乗り込もうとするも迎撃を受けるが、 爆発を避けた際のショックで涼子は「私はウルトラの星のユリアンよ!」と記憶を取り戻す。
 なお矢的先生は、「ウルトラの星から地球に来た時に、君はまだちっちゃな女の子だった」と供述しているのですが、 人間への擬態にウルトラ族としての年齢や外見が反映されるのかとか、あなたウルトラの星を離れてどれぐらい経っているんだとか、 そもそも矢的先生の女性観が……とか、色々と疑問がありすぎるので聞き流す事にしたいと思います。
 「矢的、ガラガラ星人はあなたを殺す為に地球にやってきたのよ」
 「なんだって、俺を?」
 「ええ。ウルトラの星を侵略しようとしたガルタン大王は、あたし達に反撃されて、王子を喪ったのよ。 ガルタン大王はその復讐の為に、ウルトラマン80を殺そうとしているの」
 ツッコミどころが多すぎて貧血になりそうですが、だから、 新しい星に着いたらまずはスペース酒場に行ってウルトラの星の戦力指数を確認してってあれほど言ったでしょ?!
 ろくな情報収集能力も持たない(が地球人にもバッチリ存在を知られている)宇宙遊牧民が、 気軽に戦闘民族ウルトラ人に抗争を仕掛けないで下さい。
 そして、「王子を喪った復讐の為」と「ウルトラマン80を殺そうとしている」の間に物凄い飛躍があって何も繋がっていないのですが、 よくわからないけど王女らしいユリアンと親しげだったりする80、実は母星に帰るとウルトラ貴族の一員だったりするのでしょうか (そうだとすると、悪の宇宙人ネットワークに動向が筒抜けなのも、重要人物であると監視されている可能性が急浮上し、 バルタン星人の動物園作戦の意味もまた変わっては来ます)。
 それはそれとして、母星を襲撃したら返り討ちにあったので遊学中の身内を襲うぜ、の発想がせこすぎて、 経緯全体の重量感を完膚なきまでに破壊し尽くしており、コミカル要素は後輩Bにまとめて最低限に留め、 深刻な調子で盛り上げようとする展開とは裏腹に、敵が「これまでにない強敵」ならぬ「これまでにない身の程知らず」で、 どうしてそうなりましたか。
 後輩Bを置き去りにして矢的と涼子はガラガラアジトに突入し(僕は人間のやり方でやるぞ、 と棒高跳びの要領で防御柵を飛び越える矢的ですが、気軽に同じ行動を促されていた後輩B、下手すると死んでたぞ……)、 人質にされた城野と再会。
 だが、ガラガラ星人の不意打ちに気付いた城野が突然のスーパージャンプを見せると、矢的をかばって槍に刺されてしまう!
 「猛危ない!」
 「……エミ!」
 急に名前で呼び合う謎のハイテンションから、80としてガラガラ星人どもを皆殺しにしちゃって、と託された矢的は80に変身し、 同じく巨大化したガルタン大王と激突。
 襟飾りやマント風のパーツに鞘から剣を引き抜くアクションなど、凝った造形が強敵感を醸し出し見映えはする大王ですが、 やっている事は「宇宙のど田舎からやってきた勘違い小悪党」(せいぜい宇宙山賊の親玉)なので、 大きな転機を窺わせるエピソードの敵としては、どういう視線を向ければいいのか困ります(笑)
 剣からのスパーク攻撃で80を追い詰めたかに見えた大王だが、死んだフリ戦法からの反撃で大事な剣を折られると、 80必殺の飛び蹴りが顔面に炸裂。もんどりって地面に転がった所に必殺光線を叩き込まれ、復讐の念も虚しく、 地球で塵と化すのであった。
 だがその残した傷跡は大きく……
 「ユリアン、城野隊員は?!」
 「あらゆる手を尽くしたけど、駄目だったわ」
 えええええ。
 とばっちりのとばっちりのとばっちりぐらいを受けて城野隊員の命の炎は燃え尽きようとしており、 宇宙山賊程度の悪意で退場者が出るのがシニカルなリアリティともいえますが、フラグは立てまくっていたとはいえ、 本当にこの敵のエピソードで良かったのか、と急な展開に目が白黒。
 薄々、矢的=80と気付いていた事を明かした城野は、地球の為に必要な80を守れた事を後悔していないと告げると、 涼子にUGMの隊員になってくれるように頼み、絶命。
 「城野……君はよくやった」
 さすがのUGMも今回はシリアスなリアクションに徹して打ちひしがれるのですが、 つい最近まで山の怪異と相撲を取ったり空飛ぶ宇宙怪鳥の背に乗った少年をぼうっと見上げていたりしてばかりだったので、 急に人死にの出るユニバースに移動してきて、こちらのチューニングが追いつきません。
 スケジュールの都合など諸事情で降板が決定したのでせめて華々しい退場回を用意した、などもありそうで前後関係はわかりませんが、 かくして城野隊員はコツコツ貯めてきたヒロイン力をバーストさせ、新ヒロイン登場の犠牲となったのであった!
 「エミ……約束するよ。地球の平和の為に、俺は力一杯戦っていくよ」
 「エミさん、あたしもあなたに約束します」
 その結果として、2クール目からずっと欠落していた矢的猛の行動理念が取り戻されるのが皮肉な副産物となりましたが、 未来ある生徒達の存在に代わり、未来を閉ざされた者との約束で魂の熾火に薪をくべた矢的猛が完全に新生し、 果たしてその戦いの行方や如何に。
 ……前回に続き今回も、色々とぶっ飛びすぎてちょっと面白い、の領域に突入したエピソードでありました(退場劇はさておき)。
 そしてお楽しみの前回の次回予告を視聴………………最初から最後まであらすじ喋ったゾ(笑)
 本編視聴後に見ると、あまりにあまりで大爆笑する「次回予告の新たな楽しみ方と面白さ」が生まれるレベルで、 コメント欄で予告に関するアドバイスを下さったNさん、ありがとうございました!
 次回――酔っ払った職場の先輩とウルトラファイト!

◆第44話「激ファイト! 80vsウルトラセブン」◆ (監督:湯浅憲明 脚本:吉田耕助)
 少年サッカーの会場に乱入する暴走族、というだいぶ困惑する冒頭から、逃げ惑う女性を思い切り轢く更に困惑する展開から、 サッカーボールを蹴り込んで暴走族の一人がバイクで転げると報復の為に思い切り少年を轢く動揺する展開から、 「トドメを刺してやる」と轢き殺しにいくとんでもない展開から、 何故か劇中これまで一度も乗った事のないバイクにUGMの制服姿でまたがった矢的が止めに入る意味不明の展開で、 暴走族は悪びれる事なく逃げ出し、物凄く気分の悪いままOPに突入し、どうしてそうなりましたか。
 少年は意識不明の重体となり……『ウルトラマン』第20話「恐怖のルート87」を意識的に下敷きにしたのか、 世相を取り込んだら偶然似たのかはわかりませんが、社会派のスタンスが強めだったり各話のバラエティ性が高いシリーズにしても、 幾ら何でもやり過ぎ。
 元より明確に人死には出る世界観ではありますが、怪獣でも宇宙人でもなく地球人の無法者集団の乱暴狼藉は単純に感じが悪いだけですし (「スリラー」でもなければ「サスペンス」でもない)、幾ら前回からまたユニバースを移動したにしても、 ここ数話の雰囲気とトーンがかけ離れすぎて、ついていきにくい事この上ない展開。
 重体の少年が大好きなウルトラセブンのソフビ人形を握りしめていたメタ要素から『ウルトラセブン』本編の映像が入り、 首が飛び、首が飛び、胴体が千切れるゴア表現が連発(笑)
 久々に見ると、溢れ出る体液の表現があったり、切り口が生々しくてちょっと驚きます。
 暴走族を徹底的に捜査したいと申し出た矢的に、冷たい反応を返すとみせてキャップは「特別に休暇を与え」、 ダンディーな対応ですが場合によっては「休暇中の隊員が勝手にやった事」として処理される予定です。
 (僕は地球を第二の故郷だと思っている。地球人以上の能力は、地球人として暮らしていくためには不必要なんだ。ユリアン、 もし君が本気で地球に住む気なら、地球人と同じ暮らしをする事だ。地球人と一緒に、走り、笑い、泣く。それで始めてわかりあえるんだ)
 どうやら隊員見習い、みたいな形でUGMに所属する事になったらしい涼子が気軽にウルトラテレパシーを用いるのを矢的はたしなめ、 涼子/ユリアンと対比する形で、矢的/80の、地球(人)への想いと地球人として生きる上でのモットーが明らかになったのは、 遅すぎましたが大変良かった点。
 犯人グループはあっさりと面が割れ、その弟や矢的が謝罪を要求するのですが、 完全に殺人未遂なので何やらちぐはぐであり、 人間の犯罪に基づく少年姉の重苦しい慟哭を繰り返し見せつけられるのも辛い。
 またも暴走族に逃げられてしまう矢的だが、危篤に陥った少年の憎悪が大事なセブン人形に乗り移ると、 主題歌に乗せて実体化した生き霊セブンが暴走族へと襲いかかり、メンバーの一人を鷲掴みから思い切り地面に叩きつけ…… 基本設定でセブンが身長40メートルとの事なので、腕の高さからとはいえ振りかぶって加速をつけてアスファルトの地面に直撃して…… まあ、死んだ。
 生き霊セブンは逃げる暴走族を追いかけながら市街地に大破壊を巻き起こし、困惑しながらもUGMは出動。 生き霊側に然るべき理由があって、悪人に因果の報いを与えようとしている構図なのですが、 そのとばっちりで破壊されいてく日常の規模が大きすぎて、セブンと80のバトル以外の事はどうでもいい感が物語全体から吹き出します。
 「敵の正体が何者でも、これ以上暴れさすわけにはいかん!」
 緊急事態だからOKという事なのか、涼子はテレパシーでセブンが生き霊である事を確認し、矢的は80に変身。 遠くの星から来た職場の先輩のそっくりさんのキックのフォームから生き霊セブンの正体に気付いた80は、 涼子にその確認を頼んで確証を得ると、復讐の為にセブンを暴れさせる事でセブンを大好きな他の子供たちの心を傷付けるのは良くない、 と説得に成功。
 生き霊セブンは80に撃破され、暴走族はUGMに泣いて謝り、少年は無事に助かってサッカーに復帰。 暴走族主犯の弟でありサッカーのライバルであった少年と固く握手を交わすのですが、 その少年の兄は死亡したか廃人になったか刑務所に入ったかの3択なので、全然ほがらかにサッカーしている空気ではないような。
 試合を観戦する矢的は、少年姉に鼻の下を伸ばして涼子にテレパシーでツッコまれ……今作歴代3人目、 ウルトラ族の真ヒロイン登場という事で、ちょっとジェラシーを入れて可愛げとポジションを強調する意図だったのでしょうが、 なにぶん前回の「猛危ない!」「……エミ!」の直後なので(涼子の立場の変化を考えると、 半年〜1年ぐらい経っているのかもですが……)、矢的先生が久々に最低になってしまって、 本当にそれで良かったのか。
 次回――不屈のバルタンガッツ!

◆第45話「バルタン星人の限りなきチャレンジ魂」◆ (監督:野長瀬三摩地 脚本:石堂淑朗)
 缶蹴りを楽しむ小学生目がけて突っ込んでくる暴走族……じゃなかった、無駄に分身モーションを披露しながら現れるバルタン星人。
 「ふはは、怒れ、怒れぇ! もっと怒れ、ふふははは、ふははは!」
 ブロック塀の上に立って子供たちを見つめるバルタン星人は下卑た高笑いをあげ……うん、石堂脚本だと思いましたよ!(笑)
 「殴れ! いがみ合え! 人間みな仇! 一日一悪! ……ゆ、UGMが……!」
 路上で取っ組み合いの喧嘩を始めた小学生に声援を送るバルタンは、UGMの車を見るとそそくさと逃げ出し……もしかして、 ウルトラマン先輩に同胞が絶滅タイムを喰らってからずっと地球上を彷徨っていた生き残りとか、 凄く、可哀想な奴なのかもしれません。
 「ふふははははは……これが喧嘩の元になるとは、お釈迦様でもご存知あるめぇ。うはは、うはははははは……」
 ……凄く、可哀想な奴なのかもしれません。
 「よろしい、儂はこの少年の心を利用して、再びこの地球で、大暴れしてやるぞ」
 カメラ少年宅のベランダで高笑いするバルタン星人は、少年の自尊心を満たす為の偽UFO写真を撮影させ、 友人グループにそれを自慢した少年は、1枚きりの写真をあげつらわれて却って立場が悪くなる事に。
 引っ込みが付かなくなった少年がUFOの写真を捏造しようとし始めるのはなかなか風刺的で、 石堂脚本はこういう方面で突然切れ味を垣間見せるのが恐ろしいところではあります(慣れるまで、だいぶ時間がかかりましたが……)。
 「ふははは、出番ですよか。ふははは、ふははははは」
 ひたすら笑い声の下卑たバルタンは、少年の母親に変装するとインチキ写真の制作に協力すると言い出し、 少年を更なる誤った道へと誘導。ノリノリで円盤を放り投げると、念動力を使って地球人には不可能なトリック写真を完成させるが、 宇宙人反応を追うUGMの車を見るや、すたこらさっさと逃走し、ここまで弱者の戦術を徹底されると、 大方の自意識過剰な侵略宇宙人よりは好感が持てます(笑)
 少年の写真を現像したUGMでは、そこにトリックが無い事を確認すると、 バルタン星人は超小型UFOを使って子供を味方に付けようとしている! と超解釈が飛び出し……段々と、
 「ホリ・フミオとかいう小僧が、100点を取っておりますが」(『仮面ライダーストロンガー』第6話「先生に化けたクラゲ奇械人!」)
 みたいな方向の面白さになってきました。
 「UFOは子供の夢。そこへバルタンはつけこもうとしている」
 の?!
 写真を少年に返却した矢的は、UFOは神仏みたいなもので「居ると思っている人には居るし、居ないと思っている人には居ないんだ」 と信心と未確認飛行物体を超常現象扱いで一括りにして仲違いを丸く収めようとするが(なにぶん矢的先生なので、 方便なのか本気なのか判断が付きにくいのが困ります)、反発するカメラ少年は絶対にUFOを呼ぶと宣言。
 「ふははははは! 子供と子供が喧嘩する! 男と女が喧嘩する! 家と家とが喧嘩する! そして、おしまいには、 国と国が喧嘩する。ミサイル発射! シュリケン、しゅっしゅ! 日本は滅びる! 地球は滅びる!」
 錯乱の兆候を漂わせつつも子供同士の些細な諍いの中に“人間の業”の本質を見て大変遠大な計画を立てるバルタンはカメラ少年の心に呼びかけ、 少年らの前にとうとうバルタンUFOが出現。……どうやら、 少年らの争いで発生したマイナスエネルギーを媒介にして異次元空間からUFOを召喚したようなのですが、 UFOの上から地面に降り立つと人間大で、それで、何を、するつもりなんだ。
 本編10分以上かけて小型UFOを一つ呼び出し、やおら少年たちに凄む姿が大変間抜けなのですが、そこに駆け付ける矢的猛。 バルタンは子供達をゲル状に固めると袋に詰め、人質にして逃走を図るが、撃った(笑)
 前々から高出力の疑いがあったUGM光線銃ですが、その一撃でバルタンUFOは木っ葉微塵に弾け飛び、本当にそれで、何を、するつもりだったんだ。
 真っ逆さまに地上へ転落し、怒りのあまり巨大化(袋持ったまま)したバルタンは、 満を持してかの有名な笑い声をあげるとハサミから光線を放ち、ビルを木っ葉微塵に破壊し、人質を取られて攻撃を封じられるUGM。
 「袋に子供が入ってる。撃つな!」
 ついさっき撃った人は80に変身し、連続側転からの素早い立ち回りを見せるもバルタンの人質戦法に怯むが……また撃った(笑)
 思わず光線技で対抗してしまうバルタンは、人質の存在を思い出して懸命にアピールするが……また撃たれた。
 人質の存在は10秒しか認識できない、生粋の戦闘民族であるウルトラマン80は、バルタンバルカンの直撃を受けて倒れるが、 カラータイマーの鳴り響くその時、
 ナレーション「初代ウルトラマンから習った、バルタン星人への必殺技、ウルトラスラッシュを思い出したのだ」
 確か原典では、バルタン星人特攻のスペシウム光線を克服した二代目対策として、容赦なく真っ二つにしてみた、 とかだったような記憶がありますが、とにもかくにも80はウルトラスラッシュを放ってバルタン星人を両断し、 子供たちも無事に回収するのであった。
 生死の境を彷徨った子供たちはさすがに反省し、「フリスビーはもうたくさん」でオチ。
 ひたすら小悪党のバルタン星人、明後日の方向に危機感を募らせるUGM、人質を物凄く雑に扱う矢的先生、 などなど激走の忙しいエピソードでしたが、個人的に途中から“70年代東映特撮みたいな面白さ”のツボに入ってしまい、 つまりこれはアレです、悪の組織の駄目な作戦がある一線を越えた時にむしろ面白くなってしまう現象(笑)
 『ウルトラマン80』としてそれで良かったのかはさておき、次回は、レッドキング登場!  とだいぶ露骨な路線変更になっておりますが、サブタイトルも第37話「怖れていたバルタン星人の動物園作戦」 のセルフパロディになっており、どこへ行くのかウルトラマーン。

◆第46話「恐れていたレッドキングの復活宣言」◆ (監督:東條昭平 脚本:平野靖司)
 ナレーション「疲れていたマージンは、玩具と本物を間違えてしまったのだ」
 で、レッドキングが復活する『ウルトラマン80』3倍濃縮みたいなエピソード(笑)
 セルフパロディのサブタイトルにも何やら苦し紛れ感が漂うのですが、恐れていたのは上の方からのオーダーなのでは説。
 少年少女が立入禁止の洞窟の中で発見した謎の壺から、
 「あかさたなんなんまみむめもん」
 の呪文に応え、封印されていた魔人マージンが復活。きれい好きの魔人は、 街の掃除の報酬として子供達に好きなものをプレゼントするが、人の善悪とはかけ離れた存在であるが故に、 集めたゴミをまた散らかしてから再び掃除するマッチポンプも気にせずにほいほいとプレゼントを渡してしまう。
 マージンの行動は謎の怪音波としてUGMにキャッチされ、その捜査を続ける矢的と涼子は、 高所から転落した少年をウルトラキャッチ。その際に負傷した矢的を涼子は光の国から持ち込んだメディカルガンで治療し、 地球でウルトラ族の技術をみだりに使うの良くない、と矢的が再び涼子を諭し……「宇宙的後進文明である地球人に対し、 軽率にウルトラ族の技術を見せたり与えてはいけない」というニュアンスはわかるのですが、 そもそも“超文明の超人が超能力で地球人を救う物語”なので、 「郷に入っては郷に従え」を合言葉に「超技術」を否定すると、必然的にウルトラマン80そのものの否定に繋がってしまうので (シリーズとしてはこのテーゼを掘り下げた作品もあったと思いましたが)、 地球人離れしたウルトラキャッチの直後に先輩風を吹かす矢的先生の説得力が無。
 では少年を見捨てていいかといえば、それが出来ないからこそ矢的はウルトラマン80をやっているわけであり、 “奇跡の安売り”を戒める一方で、“恣意的な奇跡”から逃れられない80/矢的猛の抱える自己矛盾に直撃してしまうのは、 今作の構造と相性の悪い題材であったようには思います。
 この題材を成立させる為には、“奇跡の理由”を、行使する矢的と、行使される地球人の双方に関して描く必要が出てくるのですが、 その点は一種自明の理として物語の前提条件に組み込まれてしまっているので、 そこを「地球人」と「超越の力」に再び分離して掘り下げていったのが、90年代のシリーズ作品の一面でありましょうか。
 なお矢的先生はメディカルガンを見て怪訝な顔で「なんだいそれは?」「それは君の星から持ってきたのかい?」 と意味不明の供述をしており、ユリアンが絡むと、時空間の乱れが深刻化していきます。
 魔法の壺の存在を知る矢的たちだが、悪ガキたちがレッドキングを呼び出してしまい、壺は混乱の中で砕け散ってしまう (マージン……)。小学生グループ同士の諍いは、悪ガキが咄嗟に妹を助けるのに協力してくれた事で丸く収まり、 蒔いた揉め事の種をしっかり片付けようという意識は一貫しているのですが、片付け方が毎度雑なのは凄く『80』(笑)
 出撃したUGMの戦闘機はあっさり撃墜され、80変身。激しいファイトの末、噛みつき攻撃を受けた80は思い切りはたき飛ばされ、 カラータイマーが点滅を始める大ピンチ。
 この危機にメディカルガンを使おうとする涼子だが80はそれを拒否し、
 ナレーション「80は、子供たちに楽をしてはいけないという事を見せたかったのだ」
 マージンの件と絡めて伝えたい事はわかるのですが、そもそも劇中の子供たちがメディカルガンの存在を認識していないので、 ものすっごいメタ発言になっています!(笑)
 気合を入れて立ち上がった80は、連続の投げ飛ばしからウルトラスパーク飛び蹴りを決めると必殺光線でフィニッシュし、 派手に砕け散るレッドキング。
 「ま、もう済んだことだから仕方がないが、今度魔法の壺を見つけたら、ちゃんと届けるんだぞ」
 主体を小学生にすると、巻き起こされた怪獣被害を有耶無耶にしないといけなくなるのも難儀ですが、なんとなくチーフが丸く収めるも、 実際に届けたら「こらこら、悪戯電話はやめなさい。UGMは遊びじゃないんだ(がちゃん!)」だった事は想像に難くないので、 大人はみんな嘘つきだ!
 子供達が反省する姿を見て涼子はメディカルガンを矢的に預け、 「欲に溺れて分不相応な力を振り回すといずれ手痛いしっぺ返しを受ける教訓」と 「社会の成熟度を逸脱した技術は人の為にならない科学倫理」が童話を媒介に接続されるのですが、そこに更に 「ウルトラ族は地球人文明とどう接するべきか」を加えた結果、地球人類の自助努力に意識の強い矢的先生、 という新たな生命体が誕生する事に。
 また、3話前に城野隊員が殉職した世界で「これさえあれば、どんな怪我でも病気でも、へっちゃら」 なメディカルガンを持ち出すのは具合が悪いというか、メディカルガンでも治療不能な致命傷であったと解釈は可能にしても無神経で、 今作ここまでの積み重ねとあれこれ噛み合わず、欲張りすぎて主題がスッキリまとまらない着地になってしまいました。
 ……それにしても、最終クールにして、矢的が若きウルトラ族の教師として機能するのは、 今作ここまでの迷走を考えると非常に皮肉ですが、これはいったい、未練なのか面当てなのか。
 「ウルトラ族(の超技術)」と「(消耗の果てに退場する)マージン」を重ねるのは、雑な対比といえば雑な対比である一方、 かつてこの星を去ったウルトラセブンなどを念頭に穿った見方をしようと思えば幾らでも出来るところでありますが、 そこでマージンとウルトラマンをハッキリ分けるものは“明確な自由意志”であって、 では地球のどこに守るべき価値――奇跡を起こす理由――を見出すのか? をレンジに入れていたのかいないのか、 といったエピソードでありました。
 次回――なんか、また、予告でほとんど喋ったような……(笑)

→〔まとめ7へ続く〕

(2021年4月6日)

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