■『ウルトラマン80』感想まとめ2■


“何を泣いてる 涙をおふき
君は弱くは ないはずだ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『ウルトラマン80』 感想の、まとめ2(9話〜16話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第9話「エアポート危機一髪!」◆ (監督:湯浅憲明 脚本:阿井文瓶)
 マドンナ先生が教頭から甥っ子との見合いを執拗に勧められ、落ち込む矢的を突然焚き付ける校長と、 何とかしてやろうとお節介を始める生徒達。ラブコメ要素が矢的先生の為に暗躍する生徒達の好感度アップに繋がり、 学園要素の“楽しさ”にもなったのは良かったのですが、肝心のカップルへの好感度が低いので、どうも盛り上がりきれず(笑)
 そこは考えないで楽しんだ方が良い部分ではあるのでしょうが、 一寸先は強制送還の身の上で地球人の女性といちゃいちゃしたい矢的先生を、前向きに受け止める事がどうしても出来ません!
 ウルトラ族を超越的存在と見れば、世界各地の神話に登場する神様的な地球人女性観なのかもしれませんが……それ、やっぱり、 好感度には繋がりにくいですし。
 生徒達の後押しもあってデートの約束を取り付ける矢的だが、よりにもよってそんな日に怪獣が出現して九州に出張する事になり、 説明もそこそこに迎えの車に乗り込む矢的は生徒達からも誤解を受け、許すまじはキャップ、そして校長なり……!
 デートをすっぽかされた京子先生がプライドをいたく傷付けられ 深く静かに激怒している事に全く気付かないぼんくら矢的は生徒達から一斉に駄目出しを受けるが、 UGMの攻撃を逃れた怪獣の脅威は、九州から東海、そして東京へと迫っていた……。
 教頭の差し金で教頭甥っ子(演じるは堀内正美さん)を成田空港に迎えに行く事になった京子先生だが、空港に怪獣が出現。 石油タンクを襲撃していた怪獣が唐突に成田空港を襲うのは話の都合があまりにも丸出しになってしまい、 冒頭からブリーフィングシーンなどを入れていただけに、残念さの目立ってしまったところ。
 UGMから連絡を受けた矢的は、京子先生とその後を追った生徒達の危機を知り空港で合流に成功するが、迫り来る怪獣を前に、 変身不能のジレンマと直面する事に。
 ナレーション「しかし、人前で変身すると、猛は地球を去らねばならないのだ」(今回二回目)
 話の成り行き以外にも、UGMに所属している事は秘密だよなど基本設定の説明も繰り返され、今回やたらとナレーション多め。
 ナレーション「猛は、人目から逃れて、変身しようとした」
 いや、そこわざわざ言わなくても……みたいなものから登場人物が「逃げられた!」と言っている側からナレーションで 「逃げられてしまった」と念押しするものまで加えて、あまりにも多用されるのでちょっと困惑するレベル。
 マドンナ先生と生徒達を建物に避難させた矢的は、外に飛び出し物陰に隠れて変身しようとするも、 生徒たちから「先生一人で逃げんのかよ……?!」みたいな事を言われてしまい、 根本的なところで凄く信頼感ないな……!
 いやまあここは、命の危機だからこそ信頼できる先生に側に居て欲しい気持ち、と受け止めるべきところではあるのでしょうが。
 ナレーション「猛は困った。子供達から、逃げると思われては。みんなに見られてもいい。ウルトラマン80に変身しようと決心した。 たとえ地球から去る事になっても、人々を救わねばならないと思ったのだ」
 説明も、細かい(笑)
 地球との別れを覚悟した矢的は生徒達と京子先生にそれぞれ声を掛け、 最終回のような盛り上がりを作ってくるシリアスなシーンなのですが、編集時に機材トラブルでもあったのか、配信の方の問題だったのか、 口の動きから完全に一拍遅れて声が入る驚愕のズレが発生し、腹話術みたいな事に。
 戸惑う生徒達を残して火を噴く怪獣に向かって突撃していく矢的だが、 結果として炎に巻かれた事で変身の瞬間を目撃されずに済みました、というのもナレーションが丁寧に解説してくれました。
 火炎放射の特撮は迫力のあった怪獣は、色々な恨みの篭もった80に切り刻まれて、大爆殺。
 後日、マドンナ先生は「ウルトラマン80が、私の恋人です」と言い出す事で、 直接の上司からのお見合いを断る難度の高いミッションを、夢見がちだが仕事に生きる宣言で達成。
 このやり取りを覗き見して、「私、恋人が出来たんです」の時点で何故か自分の事だと思い込んで舞い上がるぼんくらぶり を発揮した矢的先生@ストーカー気質を、生徒達がなぐさめて、つづく。
 秘密の三重生活×学園要素を活かすには、熱血教師の説教展開よりも、 複数の生徒達を引っかき回し役として使ったドタバタ喜劇の方が面白い、というのは見えてきましたが……次回、 恋愛に色々と難ありの矢的に女の影?!

◆第10話「宇宙からの訪問者」◆ (監督:湯浅憲明 脚本:土筆勉)
 空前のスピードで地球に降下した未確認物体――その正体は、ウルトラマン80の幼なじみ、アルマ。 矢的の家に上がり込んだアルマは周囲に騒動を引き起こし、学校で妻帯疑惑の持ち上がったストーカー矢的は、 独身を証明する為に京子先生を強引に家に引きずっていき……
 「もう逃げないって約束してくれますね」
 台詞が既に、犯罪者です。
 ところが矢的の部屋にはまるで愛妻が手を掛けて作ったような料理が並んでおり、 「僕の奥さんは、京子先生に決まっているじゃないですか。いや〜、感激だなぁ。僕の為に、 こんなにおいしそうな料理を用意してくれるなんて」と現実を見失った笑顔を浮かべる矢的、じゃなかった、 前回に続いて女のプライドをいたく傷付けられたマドンナ先生、大激怒。
 ……普通に、最低ですね。
 アルマは地球人の心を次々弄ぶとなにやらそれをメモにつけ、矢的先生の女性観が色々と歪んでしまったのは、この女のせいなのか……?
 教室では、アルマが持ち込んだ魔法の鉛筆を巡って喧嘩騒ぎになり、さすがに見過ごせなくなった矢的に問い質されたアルマは、 銀河共和同盟の惑星調査員の任務として地球を訪れた事を告白。
 「各惑星の生物の存在価値を調査し、不必要とされた場合は強制的に消滅させる権利を持っている。そうだったね」
 とんでもない発言が飛び出し、いわゆる「愚かな地球人、しかし……」テーマなのですが、矢的先生の普段の言行が言行だけに、 地球人で駄目なら、ウルトラ人も駄目なのでは……? という気がしてなりません(笑)
 まあ、銀河共和同盟に問われているのは倫理観ではなく「存在価値」なので、 ウルトラ人は宇宙の用心棒として存在価値を認められているのかもしれませんが……というか、 「強制的に消滅」って、“闇の文明”の烙印を押されて、ウルトラ戦士を送り込まれることを指すのでは……?
 アルマの監査も、わざと不和を煽っておいて「やっぱり駄目。地球人はなんて醜いの!」とノルマを稼ぐ為のマッチポンプ感が甚だしく、 一体どことどこが癒着しているのか……。
 アルマがもっと超然として、ウルトラ人さえ理解できないような倫理観で動いている種族などであればもう少し飲み込みやすかったのですが、 なにぶん根っこの倫理観や思考の土壌が矢的と同族の筈なので、銀河共和同盟の超越感が大きく薄れてしまい、 「地球人に存在価値はあるのか?」と、「80の幼なじみがやってきた!」が相性最悪の組み合わせ。
 先進文明種族が、後進文明を宇宙的規模で保護ないし監視しているというのはSF的には定番のテーゼなのですが、 あまりにもカジュアルに文明を消滅させていそうで、今作ここまでの世界観からすると、むしろ光の国の敵なのでは……? 感も凄い事に。
 「地球人は反省を繰り返しながら、闘争心を克服しようとしているんだ」
 「よくわからないわ」
 そしてこの女、「反省」という言葉を知らないぞ……も、そんな必要がないほど完成された種族、と捉えるには、 同族の矢的先生がアレなので、アルマ及び所属機関の凄く駄目な感じが増す事に。
 ……いや或いは、矢的先生(80)がウルトラ人として特別駄目な可能性もありますが。
 矢的先生は授業を通して生徒が反省する姿をアルマに示し、正直、ここの理屈はさっぱりわからなかったのですが (魔法の鉛筆が効果を発揮した事実への反証がまるで出来ていない上、実は鉛筆は先生のものでした、 のいったい何が生徒達の心を動かしたのか……)、アルマは納得。ところが、 アルマの連れ歩いていた空飛ぶサザエ状の宇宙生物ジャッキーが、地球人のマイナスエネルギーを吸収した状態で動物園のゾウと融合した事で、 ゾウが巨大な怪獣ズルズラーへと変貌してしまう。
 ……つまりこれは、銀河共和同盟の怪獣兵器。
 UGMは怪獣に攻撃を仕掛け、今回の特撮監督である川北紘一さんのアイデアだったのか、今までにない眩しい弾着。 同じく派手になった気がするエフェクトで変身した80は、小型化すると怪獣の体内に飛び込む定番のミクロネタで、 血管の中でジャッキーと戦うと外に追い出す事に成功し、怪獣は元のゾウに戻って一件落着。
 「反省」を学んだアルマは地球を80に託してジャッキーと共に星の世界へと帰っていき、後日、怪獣となったゾウを見学する矢的たち。 そして本気になったマドンナ先生は、お弁当にサザエの壺焼きを詰める女で、オチ。
 ……たぶん本来の意図とは違う気がするのですが、「登場人物ほとんど駄目人間」系のエピソードだと思うと、 面白かった気はします(笑) ……いや、まあ、80そのものは地球に来た志といい命がけで戦う姿といい元来は高潔な人物な気はするのですが、 仮想地球人としての矢的猛人格に問題があるのか、色々なしがらみを離れてやってきた遠くの星で素が出てしまっているのか。

◆第11話「恐怖のガスパニック」◆ (監督:深沢清澄 脚本:平野靖司)
 ……突然、物凄くスッキリするキャストクレジット。そして、「東シナ海に浮かぶ尖閣諸島」から始まるナレーションに、 ちょっとドキドキ。
 尖閣諸島の一つに建造された天然ガス貯蔵基地に小型の怪獣が出現。出撃したUGMは、矢的(マドンナ先生のストーカー) が現場の作戦指揮を執り、ハラダ(中学生爆殺未遂犯)が怪獣が食糧とするガスを用いて海岸へと誘導し、 何やら岩の後ろからセブンが飛び出してきてウルトラファイトが始まりそうな絵面の中、 タジマ(気球作戦のスナイパー)が見事な狙撃で大爆殺。上々の任務遂行を喜んだキャップ(ダンディー)は4人に特別休息を与え、 美しい砂浜で、制服姿ではしゃぐ隊員達。
 ……悲しい……悲しすぎる……。
 ハラダが不思議な貝殻を拾ってジョウノ(オペレーター)が持ち帰るが、「それじゃあ僕は明日学校がありますので」 と報告書を提出して退勤した矢的が、廊下に倒れているジョウノを発見。原因は軽い一酸化炭素中毒であり、 ジョウノが持ち帰ってきたものは、美しい貝殻などではなく、爆殺した筈の怪獣の細胞片だったのである!
 「現場で物を拾ったんだったら何故報告しなかった」
 あ、キャップは、そこから怒るのか(笑)
 不用意な行動から問題が発生した事を注意するのではなく、不用意な行動そのものを注意するのが、さすが歴戦の古強者 (大阪の陣現役世代)で格好いい。
 「ばかもん! 貴様はUGMの隊員じゃないのか? それとも、ただのロマンチックな普通の男だったのか?」
 弁解するハラダをキャップは一喝するが、快復したジョウノが罰を受けるなら自分にも同様の責任があると言いつのり、 結果としてハラダとジョウノは外出禁止命令を受ける事に。
 ジョウノが抗弁するとちょっと舌鋒が鈍るキャップ、紳士ゆえに女性を叱責できないのか、 ジョウノ隊員の背後に強力なコネクションでもあるのか(この後も、ジョウノ隊員は妙に態度に余裕があるのは、 根っこのところで肝が据わってるからなのかもですが……)。
 「お前達にはやってもらう仕事がある」
 懲罰だけで終えずに、怪獣の細胞分析という任務を与えるキャップだが、ハラダはさっそく愚痴りはじめ……とことん、 駄目な奴ですハラダ。
 ジョウノがキャップの真意を伝えてそんなハラダの尻を叩く一方、UGM基地内部で成長した怪獣は既に東京都心に移動しており…… ガス施設の爆発が手前の目撃者まで飲み込むシーンが、大迫力の合成(爆発が画面手前まで迫り来るのと、 それに吹き飛ばされる目撃者のジャンプのタイミングが素晴らしい)。
 ハラダとジョウノの分析により、怪獣の分裂と成長を防ぐには凍結させるしかないと判断が下され、 急遽製造が進められる冷凍ビーム弾。だがその完成を前に東京上空が荒天に覆われ、 怪獣に落雷が直撃して爆発・分裂の可能性が生まれてしまう。この危機に居ても立ってもいられなくなったハラダは、 命令違反を承知で飛び出すと戦闘機で怪獣上空を周回飛行し、命がけで避雷針の代わりになろうとする!
 UGM〜都心部の被害を考えると相当のやらかしですが、ここで行動派の隊員が命を懸けて更なる大惨事を防ごうとするのは、 それなりに納得のできる因果応報に収まり、UGM掘り下げ回として巧く機能。
 続けざまに落雷を受けて戦闘機が墜落寸前、矢的は80に変身するとハラダを救出し、そして、自らも避雷針に!
 叩きつける嵐の中、ガスを貪り食う怪獣の横で、避雷針として立ち尽くすウルトラマンという映像が物凄く、 更に怪獣がそんな80に嫌がらせの毒ガスを浴びせてくる、色々と突き抜けた展開。
 ウルトラマンの扱いとしてはかなり変化球ですが、ここまで思い切りよくやってくれると、一つの面白さが生まれます。
 また、先にハラダの行為を命がけの行動としてシリアスに描いているので、80の行為もしっかりと命がけに見えるのが、巧い連動。
 落雷と怪獣のガス攻撃によりカラータイマーが点滅を開始して史上最大のピンチに陥る80だが、 間一髪で間に合った冷凍ビーム弾が怪獣に直撃。80は凍りついた怪獣を持ち上げると宇宙へと飛び出し、 すかっとビームを叩き込んで消滅させるのであった。
 後日、命令違反で隊員資格取り消しかも……とうなだれるハラダだが、上層部から下された処分は、休日返上。
 「ジョウノ隊員は一ヶ月、ハラダ隊員は半年間、休みなしで勤務につくこと」
 ……懲戒免職の方がマシなのでは。
 シベリア支部送りを恐れるあまり、UGMでバリバリやりたいです! と口にしていたハラダは皆にからかわれ、 朗らかな笑いが響くブリーフィングルームを外から映し、出入り口の扉が閉まる、という演出も効いてコミカルにオチ。
 学園要素が完全に排除されてUGM中心の作劇となり、ようやくキャップ以外のメンバーを覚える気がする程度に出番と色づけ。 構成がスッキリした効果もありますが、後にアニメ畑で活躍する平野脚本が、ハイキング回に続き、 複数キャラクターの掛け合いを面白く見せてくれたのは良かったです。
 ……学園要素がドタバタコメディという活路を見出しつつあった矢先だけに困惑もありますが、次回、一応、 サブタイトルに「転校生」で、矢的先生のストーカー、じゃなかった、学園生活は果たしてどうなる?!

◆第12話「美しい転校生」◆ (監督:深沢清澄 脚本:広瀬襄)
 学校・復活!
 下駄箱にラブレターを発見した博士(セミレギュラーの眼鏡キャラ)は年頃の男子らしく胸をときめかせるがそれはクラスの女子4人による悪戯で…… 君ら、最低だな!
 緊張の面持ちで待ち合わせの場所に向かった博士を笑い物にしてやろうと待ち受ける最低な女子たちだったが、その寸前、 見知らぬ少女・ミリィに声をかけられた博士は、ラブレターの頭文字を勘違いして、ミリィに街を案内する事に。
 悪戯が空振りに終わった女子カルテットは自分たちの遊びを邪魔されたと逆恨みの炎を燃やし……君ら、アルマより最低だな! (作品としては、色々と帳尻があっている気がするのが何とも言いがたいですが)
 転校生だったミリィに早速因縁をつける女子カルテットだが、それを見かけて割って入り、男を上げる博士。
 「メダカは何を着たってメダカさ! 金魚にはなれやしない!」
 ……若干、罵倒が行き過ぎな気はしますが、そもそも女子たちの仕掛けていた悪戯がトラウマ級ではあり、しかしここで、 事情を知らないまま報復を遂げ結果的に一皮剥ける博士はまだともかく、 誰に諭されるまでもなく打ち捨てられる女子たちの悪意だけが宙ぶらりんに取り残されるのが、今作の大変困ったところ。
 中学生の他愛の無い悪戯(とは思えませんが)と捉えるにしても、虚構性の高い物語の中に「悪意」 を持ち込んだならば相応の責任を取る(決着を付ける)べきではと思いますし、特に今作、既に焦点が外れかけているにしても、 怪獣の発生原因を「悪意」と置いたにも拘わらず、あまりにもその扱いが無頓着。
 また、今回限りのキャラはともかく、セミレギュラーといえるファッションを女子カルテットに加えて好感度を一緒に下げる必要性がどこにあったのか、 ひたすら困惑が募ります(ただし、今回で学園の存在が消失する為、好感度の問題も一緒に存在しなくなる事に)。
 クラスで深刻ないじめに繋がりかねない問題が浮上していた頃、暢気に自転車のタイヤに空気を入れていた矢的は、 自転車に仕掛けられていた爆弾で二階まで吹き飛ばされるが、ノンちゃんから体を張ったギャグ扱いを受けていた。
 塾をさぼった博士がミリィと遊びに出かけた事で教育ママの博士母が学校に乗り込んでくるが、 矢的は博士とミリィを擁護する論陣を張り……ヒーローフィクションとしては、 そこをこそ怪獣エンタメと融合する事で巧く寓話に仕立て上げてほしいわけなのですが、いざ教育や家庭の問題になると、 ほぼ火を通さずに突っ込んでくるのが、今作の本当に困ったところ。
 時代の要請や、シリーズとしての新機軸など、当時なりの事情もあったのでしょうが、今見るとどうしても、 別に《ウルトラ》タイトルでそれを見たいわけではないのでもう少し調理を……と思ってしまいます。
 結局ミリィは侵略宇宙人で、博士を休日デートに誘い出したのはUGMの観測装置を誤魔化す仕掛けを施す為であり、 それに気付いた怒りの矢的は宇宙人の秘密基地へと乗り込んでいく……チェックのワイシャツ姿で。
 今まで見た、怒れるヒーローが敵の基地に正面から突入していくシーンの衣装、としては一番とんちきかもしれません (大切な生徒を弄ばれた教師としての怒りも示して敢えて、かとは思うのですが)。
 博士を愛しているのは真実だと弁解するミリィだが、侵略活動を止める事はかなわず、密かに火口で育てられていた怪獣が孵化。 全宇宙支配の足がかりとして地球を前線基地にする為に邪魔な80を抹殺する、 極めて壮大な計画の第一歩として誕生した怪獣ゴラは80と互角の光線技を打ち合うが、最後はあっさりと連続光線に倒れ、沈黙。
 ミリィは矢的に博士への別れのメッセージを託して姿を消し、ミリィとの思い出を胸に博士は前を向くのであった……。
 〔正体を隠した侵略者・星を越えた悲恋〕アイデアを、学園物として〔転校生・淡い(初)恋〕にコンバートした上で教育論を振り掛けたのですが、 どれ一つとしてアイデア同士を噛み合わせる為のひねりが無いので個々の要素が綺麗に混じり合わず、 これといって葛藤も変化も描かれていないが約束事として博士を愛してしまったミリィが侵略やめようと言い出すも上官(?) に怒られると結局は怪獣を80にけしかけ、怪獣そのものは明らかにただの侵略兵器なのに、 これは悲劇的な戦いであると主張したかったのか妙に悲痛な叫びで倒れ、ミリィに関しては結末を語られない(恐らく、 光の国の裁判所送りか)のですが、そもそも母星の目的は全宇宙の支配とか言っており、とってつけたような恋愛・ とってつけたような悲劇性・とってつけたような情状酌量が剥き身のままで机の上に置かれ、 いやそこから調理の手を加えてほしいのですが……と、『80』の悪いところが全部出た、みたいなエピソードでした。
 1クール分のじわじわした積み重ねもあって、博士に寄り添い、 さすがにあまり余計な事は言わない矢的先生の姿などはそんなに悪くなかったのですが、これにて学園要素とはお別れとの事で、 さらば桜ヶ丘中学!

◆第13話「必殺!フォーメーション・ヤマト」◆ (監督:湯浅憲明 脚本:阿井文瓶)
 冒頭から怪獣サラマンドラ登場で、燃え上がる街。そしてUGMのオペレーションルームには、 制服組以外の分析班メンバーが登場し……冷や飯を食らい続けること5年、この3ヶ月あまりに次々と出現した怪獣、 そして暗躍する侵略宇宙人への対策として防衛補正予算が国会を通過し、ようやく、念願の増員です……!
 これで、クレームの電話や怪文書への対応から解放される……筈……!
 UGM関係者の増員の他、総じて特撮シーンが凄く強化されているのは、学園関係の予算が特撮班に回ってきた為……? と考えると、 凄く身も蓋もないですが。
 矢的の独断専行もあったものの無事に怪獣を撃破して帰投するUGMだが、 そこにヨーロッパ支部のUGMキャップが暗殺されたとの凶報がもたらされる。 それは怪獣サラマンドラを操っていたゴルゴン星人の仕業であり、 秘密の隠れ家でゆったりと安らぎの時間を楽しむオオヤマキャップにも、迫り来るその毒牙。
 どうやら、大人の隠れ家としてホテルの一室に長期滞在しているらしきキャップ、 クラシック音楽をレコードで聞きながら海外の新聞に目を通し、サイフォンでコーヒーを淹れたりして、 超ダンディー。
 歴戦の戦士の勘により、撃って死んだら地球人だ! 撃って溶けたら異星人だ!と暗殺者を撃退するキャップであったが、 射殺したゴルゴン星人(見た目、骸骨ゴリラでなかなか印象的)の死体が地球人そっくりの姿に偽装され、 解剖の結果も地球人と寸分違わなかった事から誤射による殺人容疑をかけられ、基地で拘禁処分を受ける事になってしまう。
 これまで、ウルトラマン80を異次元空間に閉じ込める・地球人に嫌がらせをして暴力的だと認定する・ レーダーを攪乱して密かに怪獣を育てる、など幾つかの地球攻撃計画がありましたが、 UGMの経験値不足を突いて各支部のキャップクラス(恐らくいずれも先の戦いを生き残った精鋭兵士)を標的とし、 返り討ちの可能性も考慮して二段構えの作戦を仕掛けているゴルゴン星人は、なかなか用意周到。
 キャップの無実を証明しよう、と同僚たちを鼓舞する矢的は、基地施設の前で騒ぎ立てる群衆の中に、 ホテルで騒ぎを大きくした者達を発見。謎の光線で射撃する事によりゴルゴン星人の正体を暴き、 学園を失った矢的隊員が、大変アグレッシブ。
 UGMの機能不全を狙った作戦が頓挫したゴルゴン星人は急ぎサラマンドラを再出撃させ、 〔戦闘機が撃墜される〕も〔怪獣の攻撃で爆発するビルを内部テナント視点で見せる〕も珍しくない映像ですが、 〔撃墜された戦闘機がオフィスビルに突っ込む→内部視点に切り替わっての爆発〕は、組み合わせの妙で面白いシーンでした。
 防衛隊の戦闘機が次々と撃破されていく中、矢的の奮闘で冤罪の晴れたキャップは、矢的と共にスペースマミーで出撃。 移ろいやすい群衆が喝采を浴びせるシーンが挟まれ、一度は怪獣を倒した分離攻撃――命名:フォーメーション・ヤマトを仕掛けるが、 ゴルゴン星人に一度見た技は通用しない! とキャップ機が空中でむんずと掴まれて放り投げられると、 物凄い勢いで矢的機と正面衝突。
 番組史上最高に、これは死んだ……な衝撃のシーンですが、咄嗟に矢的は80に変身してキャップを救い、これは、もう、 実質正体バレなのでは(笑) この後キャップ、自機と衝突して吹っ飛んだ筈の矢的の事を探しも気遣いもせずに、 地上から80の戦いを観戦していますし……せめて気絶したキャップを地面に横たえるとかにしておけば良かったと思うのですが。
 サラマンドラバルカンを大胸筋シールドで受け止めた80は火炎放射もバリアで防ぎ、本日は防御力をアピール。 そうこうしている内にガス欠となるが、ふらつきながらも渾身の超打点の高い蹴り(もはや、中二階ぐらいから飛び降りている勢い) を浴びせると、目から怪光線でフィニッシュ。
 ナレーション「ウルトラマン80は、怪獣や、ゴルゴン星人が再生しないように、全ての怪獣細胞を灼き尽くした」
 突然のサングラスビームでしたが、ナレーションが、さらっと凄い事言った。
 ゴルゴン星人の野望は絶たれ。キャップも無事に職場に復帰。これを喜んだ基地司令が隊員にディナーを振る舞うと申し出るが、 矢的はそれを拒否。一瞬、上官からの食事の誘いを断るとは何事だという顔になる偉い人だが、 矢的はキャップに特訓の時間を作ってもらった事を語り、オオヤマくんと特訓なら仕方ないよね、と相好を崩す偉い人。
 かくしてUGM一同は豪華ディナーを捨てて笑顔でキャップとの特訓に向かい、結束高まるUGMには、休暇も報償もいらない!
 明確な路線変更があったとの事ですが、学園要素が消滅して良くも悪くもすっきりした構造になり、 オーソドックスな防衛組織vs侵略宇宙人ものとして展開。突然スナイパーする矢的に脈絡がなく、 ゴルゴン星人の正体に関してウルトラ知識のみで強引に解決してしまった感が強いのは残念でしたが、キャップファンとしては、 キャップの出番が多くて大変良かったです。
 次回――予算の付いたUGMに更なる増員?!

◆第14話「テレポーテーション! パリから来た男」◆ (監督:湯浅憲明 脚本:阿井文瓶)
 「チーフは人間じゃありません。今、目の前で消えました」
 「消えたからって人間じゃないとは言えん」
 そう、ニンジャかもしれない!
 キャップの後輩にあたるUGM隊員イトウがヨーロッパエリアから極東エリアに転任してくるが、その乗っている筈の戦闘機が、突如、 空中で姿を消してしまう! 消えた戦闘機はUGM本部上空に出現すると滑走路に着陸し、 キャップに身分を保証されてチーフに就任したイトウは、怪現象について全く説明しないまま、隊員たちの猛特訓を開始。
 戦闘機の空中機動を中心に力の入ったミニチュアワークが続くのですが、 〔空中で消失→基地上空に突如出現→滑走路に強行着陸→身分証明もせずに本部にズカズカ侵入〕してくるイトウが無茶苦茶すぎて、 これ、入り口のところで撃たれても仕方ないと思うのですが、というかむしろ警備、仕事して。
 そしてそんなイトウの存在を「俺の顔見知りだから」で基地全体に承認させてしまう、キャップのカリスマ。
 新キャラ登場のインパクトをミステリアスな展開で彩る狙いだったのかもしれませんが、虚実どちらに転ぶかドキドキするというよりも、 面食らって話の流れに取り残される事に(しかも、イトウ擁護派がキャップ、不審派がハラダなので、綱引きが成立していない)。
 実はイトウはテレポーテーション能力で餌となる人間を集める怪獣を追いかけ続けており、 テレポーテーション能力を徹底的に研究した結果、 相手のテレポーテーションを逆に利用してその精神波の流れを読み取れるようになっていてもうニンジャという事でいいのかもしれません。
 「チーフ、僕を殴って下さい」
 同じUGMの仲間を疑った事を恥じた矢的は、消えた学園生活に代わり、ひとり青春ドラマを発動。
 「無理もないさ。俺はいちいち説明せんからな」
 自ら不測の事態を招いているイトウは何故か誇らしげに俺ルールを語り、幾ら上官命令は絶対の軍隊的組織にしても、 「特に理由もなく必要な説明をしない上司がチームに無駄な不和と混乱を巻き起こすが実は全て正しかった」という、 個人的に凄く苦手なパターン。
 事情を把握したイトウの行動を黙認しているキャップまでまとめて駄目上司フォルダに入った上に、 矢的が青春ドラマを堪能している間に放置されたハラダが突入してきた事で怪獣が目覚めてしまうなど頓珍漢な展開が続き (催眠状態の人々が銃をちらつかせると黙々と倉庫から出て行く絵も大変間抜け)、今回ばかりは、 イトウをエイリアンと疑い尾行したハラダが一番まともですよ!
 怪獣のテレポーテーション破りを一発で成功させるキャップは格好良く、 最後に日本支部時代のイトウの恥ずかしい小話が紹介されて和やかにまとめられるのですが、今後もイトウが、説明の足りない鬼軍曹 (しかし常に正しい)路線で進むようだと辛く、新メンバーの登場早々に大きな不安。

◆第15話「悪魔博士の実験室」◆ (監督:広瀬襄 脚本:阿井文瓶)
 6ヶ月の宇宙巡航からスペースマミー(複数隻あるらしい)が地球に帰還し、地球防衛軍広報担当員・セラがお土産として持ち帰ってきたのは、 小型の恐竜のような宇宙生物。弱った姿を見かねて地球に持ち帰ってきたセラだが、イトウチーフからは「軽率だぞ」と当然の批判を浴び、 美しいビーチで制服姿ではしゃぐ悲しみの特別休暇回と導入のアイデアが実質一緒なのですが、どうしてそうなりましたか。
 ハラダの身を襲った悲劇の記憶も冷めやらぬ中、小動物的な怪獣に情が移ってセラの肩を持つ矢的と城野のぽんこつぶりが酷いですが、 ドライなイトウの説得を諦めた城野は、キャップに直談判。
 「宇宙生物だって生き物です。キャップ、助けて下さい」
 「城野隊員のお父さんに、一度見て貰ったらどうかな」
 どうにも城野隊員には甘い疑いのあるキャップですが……城野隊員の父親(演:佐原健二!)は宇宙生物学の権威だと明かされ、 本当に、超強力なコネ持ちでした(笑)
 宇宙生物は、小型で性格も穏やかなミューと判明するが、宇宙生物の家畜化を研究しているナカガワ博士(演:山本昌平!) がミューに目をつけると実験を強行し、爛々と輝く瞳が悪役の迫力たっぷり。
 投薬により人間大となったミューは研究所から逃亡するも城野隊員により連れ戻されるが、再び迫るナカガワの魔手。
 「私の本当の実験の威力を見せてやろう。マンモスのように巨大、番犬のように忠実に、おまえは人間の奴隷となるのだ」
 激しい電流を浴びたミューはとうとう巨大化して内部から研究所を吹き飛ばし、大迷惑。
 「大成功だぁ!!」
 歓喜のナカガワは勿論ぷちっと踏みつぶされ、投薬の副作用により凶暴化して暴れ回る怪獣ミューにより、瓦礫の山と化していく都市。
 「射殺しておかないからこんな事になっちまったんだ!」
 ここまで悲劇的な巨大化に至る道筋をじっくりと描いていたにも拘わらず、 事情を把握しようがないイトウになんの工夫もなく正論で叱責させてしまうので視聴者からの好感度が無駄に下がり、 それはそれとして実際に街が炎上崩壊している真っ最中に「悪いのは欲に狂った人間だ」と一席ぶつ矢的も何やらズレており、 やはり人類は、強制的に消滅させるべきだったのか。
 研究所も120%管理不行き届きな上に派手に吹き飛ぶし、城野と矢的が攻撃を躊躇っている内に次々と撃墜されていくしで、総員大損。
 80が適度に殴りつけ、城野の子守歌説得で沈静化したミューは80の謎光線で元の大きさに戻り、ウルトラ解決。 さすがに80が回収して宇宙に飛び立ちましたが、元々「親とはぐれて宇宙に一匹だけとなった可哀想な生物」と情を移していたのに、 どう始末つけるのか……諸々の伏線を考え合わせると、スペースマミーが冒頭で通りがかった、怪獣墓場行き?
 「宇宙に住んでいるのは我々だけじゃない。我々が、宇宙の主人でもない。宇宙を我々の利益のままに動かそうとしてはいけない。 今度の事は、いい教訓だった」
 「……ミューを連れてきたのは、間違いだったんですね」
 「宇宙は、我々の想像を遙かに超えて広い。……しかし、たった一つ共通したものがある。それは――愛ってものだ。セラ、 君がミューを連れてきたのは愛の為だったし、一度怪獣になってしまったミューを助ける事ができたのも、愛の力だった」
 宇宙と地球を繋ぐ、普遍的なものがある――と最後はキャップがなんか綺麗にまとめ、 矢的と城野の肩に手を置いて励ましたところを広報のセラがぱしゃりと写真撮影。キャップの説諭をUGMニュースに載せると息巻き、 これでまた、組織内でのキャップの人気が上がって、 全世界の地球防衛隊員からトラックに山積みのバレンタインチョコが届いてしまう!
 新レギュラーとなったイトウが、これまでキャップが担っていた“シビアな上官”の役割を請け負う事になったのですが、 多少の無茶やきつい事を言っても超格好いいので許されていたキャップと比べると、今のところ、 損な役回りが本当に損、となっており、早めにキャップとの役割分担を落ち着かせてそれなりに良いところも描いてあげてほしいです。
 次回――予告ナレーションが加速をつけて壮大ですが、果たして、城野隊員はこのままヒロインの座を奪取する事が出来るのか?!

◆第16話「謎の宇宙物体スノーアート」◆ (監督:広瀬襄 脚本:平野靖司)
 宇宙で発見された雪の結晶のような構造物――宇宙展で公開されて話題沸騰のスノーアートから、 謎の電波が発信されている事に気付いたUGMはその調査に向かい、無骨なチーフさえ、その美しさに心を奪われる。が……
 「あれを見ているとね、魂を吸い込まれそうな、怪しげなところがあるんだよなぁ」
 「やっぱり、美しいものに毒なんてなかったでしょ」
 「うーん……しかしなぁ……魔法というか、魔力っていうか……なんか変なんだなぁ」
 不穏な気配を感じたUGMは、宇宙展の責任者が詳細な調査を拒む事から、閉館後の会場に身を潜めて、調査を敢行。ところが、 赤外線を放射した途端にスノーアートが砕け散り、損害賠償だ!と矢的の顔が引きつるよりも早く、 中から漏れ出したガスのようなものに触れた城野が、奇怪な宇宙生命体に憑依されてしまう。
 その頃、UGMでは謎の電波の解読に成功し、地球人類がスノーアートと名付けたものは、 他の生命体に憑依して強力な念動や催眠波を操る宇宙の悪魔デビロンを閉じ込めた檻であった事が判明。果たして、 UGMは城野隊員を救う事が出来るのか……悩めるキャップのアップが素敵。
 街にはデビロンが出現すると、念力で次々と車を破壊し、悪のテレパシーにより市民に暴動を起こさせ……大事は大事なのですが、 普段、歩くだけで街を破壊していく生物と戦っているので、微妙に規模が小さく見えて困ります(笑)
 UGMは現場に向かい、やむをえない状況とはいえ、洗脳により襲いかかってきた一般市民を、 思い切り顔面を殴り飛ばして無力化するハラダ!
 タジマもタジマで、鳩尾に膝蹴りを2発叩き込んでいるし、君ら、 もうちょっと……マスコミに写真撮影された時に言い訳が効きそうな技は習得していないのか。
 射殺命令を受けた防衛隊も続けて到着し、城野を救おうと体を張ってそれを止めるUGMだがこれといって策はなく、 ここまでの筋は割と面白かったのですが、UGMが無為無策でいたずらに混乱を広げ、矢的とチーフは棒立ちのカットが連発し、 非常にテンポが悪くなってしまったのが残念。
 UGMの制止むなしく遂に発砲されるが、怒りのデビロンはいきなり巨大化。退避中にさりげなく単独行動を取った矢的は80に変身し、 結局、悩んでいるだけでUGMが城野救出の為に何も出来ないのは極めて物足りなく、 ただただ事態の混迷を招くばかりに。
 そこから、再び洗脳された隊員たちが凄い化粧で戦闘機に乗り込んで80を攻撃するのは、面白い要素ではありましたが。
 集中砲火を浴びる80だが、デビロンがエアーポケット状態(デビロンを封印した宇宙人からのメッセージで伝えられた弱点なのですが、 要するに超能力を行使し続ける為に息継ぎが必要な模様)に入った事で窮地を脱し、 いちいち洗脳が解けるのがデビロンにしてみるとかなり厄介な弱点で、基本的にデビロン、堂々と正面から出てくるのではなく、 搦め手から攻めてこそ真価を発揮するタイプなのでは。
 覚悟を決めた80はチョークスリーパーでデビロンを呼吸困難に陥らせる事で城野から分離させると、 自らに憑依させてデビロンとの精神判定に勝利。宇宙空間で分離すると、背後から光線を放って勝利を収めるのであった。
 ナレーション「こうして事件は解決した。しかし、いつまたデビロンのような生物が、宇宙から運ばれてくるかもしれない。いや、 もう既に君の周りの人間に、宇宙生物が取り憑いているのかもしれない。諸君、気をつけて」
 ほぼ全ての事象がナレーションで説明されるエピソードでしたが、本部でのほのぼシーンの後、最後に軽く語りかけで終わるのは、 古典ウルトラマンを意識した狙いでしょうか。
 後半の展開があれこれ雑なのが残念だったものの、複数のキャラのやり取りでそれぞれに愛嬌を与えていく手並みが平野脚本は鮮やかで、 今日的な視点から見やすいのは長所。
 次回――南海の二大怪獣で前後編。

→〔その3へ続く〕

(2021年2月5日)

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