■『仮面ライダーオーズ』感想まとめ5■
“Sun's uP 君の手で
Crush Crush 打ち倒せ
不安な夜から 朝日救い出す まで”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーオーズ』感想の、
まとめ5(第25話〜第30話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。
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〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・
〔まとめ8〕
- ◆第25話「ボクサーと左手と鳥ヤミー」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子)
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左拳の骨折で引退するボクサー・岡村にセルメダルを投入する、アンクに酷似した左手。
岡村から生まれたヤミーが後輩ボクサーに襲いかかると、後輩ボクサーの左腕が黒ずんで使い物にならなくなり、
ヤミーはそこから生じた羽を岡村の左手へと突き刺す……そして、駆けつけたオーズとバースと後藤の前で、
オウムのヤミーへと成長する。
「鳥の、ヤミー……?!」
ちなみに最初、伊達さんの「アンコ」ネタと引っかけて「インコ」ヤミーなのか……! と妙に感動していたのですが、オウムでした。
全く関係ありませんでした。インコとオウムの区別があっさりと付く後藤さんは、家で文鳥でも飼っているのか!
(待てそれは危険なフラグだ)
バースとオーズ、初めての並んで変身は割とさらっと流され、火を噴くオウムに苦戦する2人。
バースはいきなりのブレストキャノンを放とうとするがオウムは岡村をさらって飛び去ってしまい、
後藤は現場に先回りしていたアンクに、オウムはアンクが作ったヤミーではないか、と疑念をぶつける。
アンクは後藤の問いに明確な答を返さずに立ち去り、伊達さん大旋風と、後藤さん修行の日々が一段落し、
再び“グリードとしてのアンク”に焦点が戻る、急展開。
「おまえは疑わないのか? ……鳥は、確かに俺のヤミーだ」
「いい加減おまえがやりそうな事かどうかぐらいはね」
後藤が率直に疑惑の眼差しを注ぐ一方、相棒の ねじ曲がった性格 ヤミーと戦う意志を信じる映司、
という良い会話があるのですが、どうしてそこでパンツ姿なのか映司よ。
オウムは次々とボクサーを襲い、姿を消すアンク。
「火野、あいつがグリードだって事、忘れるな」
…………今頃気付きましたが、「火」野映司、ってアンクの属性と合わせていたのか!?
バースはオウムと交戦し、着々と、まともに援護射撃が出来るようになっている後藤さん。その上で、
伊達さんが軽い感じで構えているのに対し後藤さんは前屈み気味、と差異をつけているのが細かい。
映司の前に現れたアンクはタジャドルセットを渡しオーズも変身するが、同じ火属性で決め手に欠ける事もあって、
空中戦で撃ち落とされて敗北。援護しようとしたバースのセルバーストもアンクに邪魔され、3人はやむなく一時撤退する事に。
「あいつを倒されたら困る」
オウムを守るような行動を取るアンクの真意とは……でつづく。
ボクサーの語りや懊悩に、やたら荘厳なBGMをつけて正直合ってないのですが、ボクシング好きなのか、監督。
そのボクサー・岡村役はなかなか好演なのですが、顔が、凄く誰かに似ていて、終始気になってしまいました。うーん、誰だっけ、この顔……。
- ◆第26話「アンクとリングと全部のせ」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子)
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前回から妙に、人物のアップでカメラ揺らすカットが続いて、ちょっと見づらい。
「おまえ自分に鈍感すぎ」
本職の伊達さんに治療を受ける映司、岡村のパンチドランカー症状を聞いてこれまで以上に映司の体調を気にする比奈、と、
“やたら湿布を貼られるヒーロー”である火野映司の積み重ねが、じわじわと不吉な未来を想起させ、この辺りやはり、
今作に『クウガ』リビルド的な要素を感じる所。
「俺さー、金貯めなきゃなんないから、あんま深入りしないつもりだったんだけど、そうもいかねぇか」
お金第一と言いながらなんだかんだ世話を焼いてくれる伊達さんですが、ここで伊達のお節介が個人の関係(後藤しかり、映司しかり、
比奈しかり)から生まれているのに対し、ほぼ赤の他人であるボクサーの為に重傷の体で立ち上がろうとする映司が、
実は「個人」を見ていない、いっけん無限のお人好しに見える映司が伸ばす手は「相手」よりも「行為」が重要である、
という部分が浮かび上がってきます。
もともと伊達明は、火野映司という存在の陰影をくっきりさせる照明としての役割を持つキャラクターなのですが、
伊達が映司達と関わっていくに従ってその対比として、誰にでも手を伸ばせるというのは、
あらゆる他人が等価であるという映司の欠落がいよいよハッキリとしてきました。
だから映司は、自分を省みずに手を伸ばす対象が「今朝会ったばかりの刑事」でも全く頓着しないし、
「肘の先からだけの怪物」相手でも、正面から話し合い共闘も出来る。
そうやって手を伸ばし続ける事が何かというならば、映司にとってのそれは、“執着”ではないか、という気がしてきました。
あまり過去作品を引き合いに出すのもよろしくないとは思うのですが、映司は小林靖子の過去作品で近いキャラを探すと、
腑破十蔵(『侍戦隊シンケンジャー』)なのだろうなーと。
…………は?! 映司って本当は、内戦に巻き込まれた時にミサイルの直撃で死亡していて、
現世に物理的な影響を与えられるほどの強い残念の塊なのでは。そう考えると、その日のパンツと小銭だけで、
国境を越えて羽ばたける事にも納得できます!
……はまあ冗談にしても、映司がはぐれ外道に近い存在なのではないか、というのは私の中で凄くしっくり来るものが(笑)
そしてそうだからこそ、等価の他人の中でアンクだけに、「色彩を持った人外」としてむしろ人間相手よりも近い距離で接する事が出来ているのかも。
伊達の言葉を聞いた後藤店員はオーズについての情報を得る為、修行生活から鴻上ファウンデーションへの復職を決意するが、
その頃ドクターはなぜか、マスター知世子をストーキングしていた。
「似ている……生き返ったかと思うほど」
その手帳に挟まれていたのは、知世子と瓜二つの女の古い写真。
「姉さん!」
どうやらドクターはシスコンだったらしく、まさかの知世子さん、ヒロインレースに参戦?!
なお現在の所、トップを行くのは映司です。
オウムヤミーによって岡村は左拳を取り戻し、リングに立ちたいという渇望と欲望を自ら認める。
(1ラウンドでいい……もう一度だけリングで!)
ヤミーはタイトルマッチで対戦する筈だったチャンピオン武田をさらい、対峙する2人。高い所で様子を窺っていたら、
ゴング代わりにオウムに火球をぶつけられるアンク(笑)
アンクの狙いは、オウムがセルメダルを持ち帰る先――オウムを作った存在を突き止める事、であったが、
逆にコアメダルを狙うオウムの攻撃を受けてしまい、ちょっぴり肉弾戦。右腕の先+身体能力ブーストだけではかなうべくもなくアンクがピンチになったその時、
バイクで駆けつける映司。
…………なんか超久々に、ヒーローらしい登場だったような(笑)
「おまえのやる事は、だいたいわかるって言ったろ。本気で俺に邪魔されたくないなら、こんなメダル残さないしな。
俺は万が一の保険だろ。メダルを守って、おまえを助ける為の」
「……ふんっ、持つべきものは使える馬鹿、だな」
「使いすぎ」
メダルキャッチからスキャニングを格闘戦に組み込み、格好いいタトバ変身。
時同じくして倉庫のリングでは岡村と武田の幻のタイトルマッチが始まり、2人は伊達と後藤の言葉にも試合を止めない。
「……たく、どいつもこいつも。人間てのは自分の命より欲しいものがあんだから、始末に悪い。後藤ちゃん行くよ。
あっちのドランカーも助けないと」
今回随所で、映司とボクサーを重ねる台詞が連発されているのでさらっと口にされていますが、伊達さん視点で見た場合、
目に届く範囲ならのべつまくなく手を伸ばし、人助けの軽重と自分自身との天秤がわからなくなっている映司の事を、
人助けドランカーだと言っており、結構きつい一言。
全体的には映司とボクサーの重ねは、多すぎて上手い事言ってやった感みたいな雰囲気が強いのと、
ヒーローの戦いとボクシングを重ねるという事自体がもう一つしっくり来なかったのですが、ここはびしっとはまりました。
オーズは前回ラストの負傷の影響で苦戦しており、そこに参戦するバース……て、結局、
映司のヒロイン度がまた上がった(笑)
バースは全部載せのフルアーマーバースを発動し、その攻撃でオウムの動きが止まった所に、
オーズがシャウタコンボからタコ足ドリルよいやさーーーで撃破。サブタイトルに組み込まれているのに前座扱いのフルアーマー(^^;
……なんかもう、バランス考えないで全部載せてみました、という見た目はあまり格好良いとは言いがたいのですが!
その頃、ボクサー2人も勝負を終え……
「どうやら魔法もここまでらしい。……でも、もう一度立つよ。リハビリして。本当の、俺の拳で……死ぬならリングの上だぁ!!」
「それまで……タイトル守っときます」
なんだか困った人が誕生していた。
いやまあ、自分一人の問題なら構わないのですが、前回は被害ボクサーの事を気にしていたのに、
今回サンドバッグを叩いている内に何もかも忘れている岡村さん。被害ボクサーの腕が治っているか確認していないのにこれなので、
凄い困ります。欲望そのものは白でも黒でもなく同じメダルの裏表に過ぎない、という今作の姿勢としては清々しく一貫しておりますが。
幻の試合を終えて憑き物が落ちるのかと思ったら、俺は俺の欲望の為に死ぬまで生きる! という結論になり、
物語的にはそれが肯定も否定もされず投げっぱなしにされるのが、凄く『オーズ』。
とりあえず、前回岡村の引退会見を仕切ったジムの会長さんは、スパナで急所殴るぐらいは許されると思います。
欲望は自己責任で。
「アンク……おまえ以外に、鳥のヤミー作れる奴がいるんだよな。そのせいでおまえは、他のグリードとは違う」
「俺の目的は一つだ。必ず完全に復活――いや、それ以上の体を手に入れる。それまでオーズは必要だ」
果たして、アンクの秘密とは――“アンクと酷似した左手”は、映司とアンクの後ろ姿をじっと見つめ、
鴻上ファウンデーションでは咆哮パティシエが、赤い羽の為のバースデーケーキを作るのであった……。
大きな謎が浮上した所で、次回、通算1000回記念お祭り回前編(999回)。
物語も折り返し地点という事でか、後半戦への大きな布石を置きつつ、ここまでの『オーズ』にかかっていた靄が確信犯である事、
その中心には、火野映司の抱える自己の希薄さがある事、が濃厚に詰め込まれたエピソード。
たぶん映司、道でコンタクトを落とした人を助けるのも、銃を持った犯罪者に追われている人を助けるのも、
同じ感覚でやってしまうのだろうなーと。
自分の重さを見失っている映司は、助ける相手の重さの違いをわかる事ができない。だから、手を伸ばすけど引っ張れない。
手を取った相手が表と裏のどちらに自分の体を引き上げるかは、映司には左右できない。
「手が届くのに手を伸ばさなかったら、死ぬほど後悔する。それが嫌だから手を伸ばすんだ。それだけ」
それだけ。
劇構造そのものが、映司とシンクロしているようですが、後半、今作がどこへ行くのか、楽しみにしたいと思います。
- ◆第27話「1000と映画と戦闘員」◆ (監督:石田秀範 脚本:米村正二)
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「あと1回で仮面ライダーが1000回を迎える。素晴らしい!」
というわけで、《仮面ライダー》シリーズ通算1000回記念(今回は999回)スペシャルネタ回。
……到達が4クール目とかでなくて良かった、としみじみ思う所ですが、まあ、その時は、さくっとスルーしたのか。
冒頭から力強くメタな発言をした鴻上は、これを記念して映画『仮面ライダー対ショッカー』を撮ると宣言。
「映司、帰るぞ」
当然のように無視しようとするアンクだが、コアメダルの情報を交換条件に持ちかけられ、これまたさくっと翻意。
「仮面ライダー・火野映司は改造人間である」
「へ?」
「彼を改造したショッカーは、世界征服を企む、悪の秘密結社である」
「あぁ?」
石ノ森調の絵で描かれたオーズが出てくる紙芝居であらすじが説明され、伊達を監督に、いつものメンバーで映画撮影に挑む事に。
(やはり似ている……死んだ姉さんに)
知世子さん目当てにカメラマンを引き受けたドクター、アホな回なのに、一応伏線を拾う(笑)
基本、メタ発言に始まり、派手な扮装でバカ騒ぎしながら映画を撮影する、
というギャグ回を通り越して無かった事にされてもおかしくないような内容なのですが、
ショッカー戦闘員・千堂の欲望からヤミーが生み出され、前半に1回、後半に1回、
戦闘もきちっとこなすというフォーマットに従った作りにまとまっており、米村正二が重用される理由の一端を垣間見る気がします(笑)
ひたすらパンツをアピールし続ける映司、大ボス役にノリノリのアンク、絶叫する伊達、知世子にじわじわ接近を図るドクター、
やけに嬉しそうに戦闘員を演じる比奈、ハイテンションで唄う知世子、定時に帰る里中、俺はゴミだ……と世界の中心でへこんでいく後藤、
と映画がドンドン奇天烈になっていく中、赤いオウムのヤミー、そして千堂の欲望から生まれたイカジャガーヤミーが出現。
「これが俺のショッカー怪人!」
特別出演の為の特別出演シーンで、千秋と森下千里(いったいどういう特別出演なのかと思ったら、芸名に「千」の付くゲストだそうで……
正直凄く、内輪ウケになった感)がしばらく暴れた後、映司とアンクが到着。記念回という事でか冒頭からバイクが強調されていたのですが、
ここでもしばらく2台のバイクでヤミーをいたぶり、普段やらないので、なんか、酷い(笑)
そして今日の映司はなんか……忍者みたいなファッション。
バースも参戦するが、そこにオウムが乱入。赤いオウムを生け捕りにしたいアンクが戦況を混乱させ、援護に来た後藤も、
汚名返上に気負うあまり、前のめりダッシュ射撃からの零距離射撃を見せようとして負傷。遂に、
イカジャガーとオウムの挟撃を受けたバースが倒れてしまう。シャウタを発動したオーズはバースを助ける為に手近のオウムをせいやーーーし、
アンク口あんぐり、で次回へ続く。
- ◆第28話「1000と仮面ライダーと誕生日」◆ (監督:石田秀範 脚本:米村正二)
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イカジャガーは墨をはいて逃走し、ネタ回だと思って油断していたらかつてないダメージを負う伊達。
それでも映画への情熱に燃える伊達は撮影に復帰し、製作は佳境に入るが、千堂の家ではその欲望から更に戦闘員ヤミーが誕生していた……。
前回はネタの勢いとレギュラーメンバーの弾けた馬鹿騒ぎが意外と面白かったのですが、後編に入って、全体的にだれてきてしまいました(^^;
映司の昭和ライダー風衣装や、正統派ヒロインを演じる比奈、など、普段と違うスパイスは悪くないのですが、
バカな劇中映画のアクションシーンを、真っ当に見せられても、あまり面白くはなりません。ネタ回としての勢いが薄れるのにともなって、
段々と濁った水たまりのように。
また前回に続いて、特別出演ゲストのシーンを強引に挟み込んでくる事で、テンポの悪さに拍車。
撮影中、ライダーに対する牙を剥き出しにした千堂はオーズに襲いかかり、歴代戦闘員ヤミーを召喚。
大量の戦闘員(平成のワームなど含む)に囲まれるオーズという無茶苦茶な殺陣になるが、袋だたきにされたオーズはタジャドルを発動し、
ひっひっひそいやーーーで、まとめて一掃。
そこへイカジャガー、そしてカザリが姿を現し、バースが変身するも負傷で苦戦。
「俺は石だ……頑固で、無口で不器用で……ただ石には石のプライドがある」
撮影中の諸々で久々にストレスが積み重なった結果、目の据わった後藤は必殺の石頭でカザリに突然の頭突きをたたき込み、
バースのピンチを救う。
「弾けたな、後藤ちゃん!」
頭突きはCGでギャグ気味に表現されたのですが、左手に握りしめていた石で殴打した方が面白かったような。……いや、
後藤店員の表情と言動的に、ヤバすぎる映像になったかもしれませんが。
それはそれで。
一方、イカジャガーに苦戦していたオーズも、巨岩を投げ飛ばす比奈の援護攻撃に助けられる。
「私の力が、役に立った!」
うーん……。
前回今回と、比奈の怪力失敗ネタと後藤の無能ネタを繰り返して二人を落ち込ませ、その末にクライマックスで、
という流れなのですが、根本的な所で、比奈を戦闘で役に立たせてはいけなかったような。
ここまでの描写で言うと、ウヴァから逃走する時に役立った、がギリギリのラインであり、比奈の怪力で怪人に実質的な直接攻撃を行う、
というのは、ラインを踏み越えてアウトな表現ではないかと思います。
加えて、比奈が怪力という乙女の悩みを、ここでこんな形で前向きに克服してしまうのは、物語として良いのか。
エピソード単位で言っても、後藤と比奈を一緒に落ち込ませてそれを最後に逆転する、という仕掛け自体が面白くないですし
(後藤と比奈にも、後藤と比奈の悩みにも、重なる余地が極めて薄いので同調が弱い)、
ネタを振り回したら思い切り空振りした上に余計な線を踏み越えた感があり、米村正二が批判されがちな理由の一端を垣間見る気がします(^^;
「戦闘員にとってライダーはいわば、越えるべき壁。ショッカーでもないやつに、倒されてたまるか……」
ヤミーの正体がメダルだと知った千堂はオーズを援護し、そこに出てきた鴻上ディスプレイの指示により、バースはセルメダルを1000枚投入。
フルアーマー武装が個別に合体してバースのアクションに合わせて動くという、バース蠍座クロスが発動。
カザリを一方的に殴り倒すバースサソリはアイデアも面白くて割と格好いいのですが、メダル投入に非常に時間がかかり、
ギャグ回でしか発動できなさそうなのが気になります。
カザリは逃走し、イカジャガーは、シャウタとサソリメカのコンビ攻撃で撃破。
最後はがっちり握手をかわすオーズと千堂というシーンに劇中映画のクレジットが流れ出してメタに落とし、
エピソードそのものを曖昧な扱いにして終了。このオチは、白日夢的で良かったと思います。
というわけで、鴻上主催の茶番は終わり、気を取り直して次回、いよいよ物語はアンクの体の秘密に最接近する――紅い右手、
そして左手、鳥のヤミーを放つのは、いったい何者なのか?!
「おまえは俺だぁ!」
・
・
・
はっ?!
そういえば:ウヴァの出番が無かった。
- ◆第29話「姉と博士(ドクター)とアンクの真実」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子)
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グリードと手を組んでこそこそやっているようだけど私の欲望を邪魔するようなら考えがある、
と鴻上会長から警告を受けたドクターはカザリと接触。残りのコアメダルも吸収するように促すが、カザリも簡単には丸め込まれない。
「私が望むのはその終わりなんです。世界の良き終末。人も世界も、終わって初めて完成する。終わりを恐れているようでは、
君も大した器では――」
カザリは挑発するドクターにメダルを投入し、生まれたヤミーはドクター姉の墓にすがりつくと、街へと移動。
道行く女性に次々と痴漢行為を働き、シャチパンダヤミーへと変貌。可愛がりすぎたぬいぐるみ、
とでもいった歪んでグロテスクな風貌のパンダシャチはバースと戦うも逃亡し、
ドクターが姉の面影を見る知世子の居るクスクシエへと近づいていく……。
パンダ……パンダは、黒属性?? 動きはガメル系っぽくはありますが。
ドクターはクスクシエに迫るパンダの前に立ちはだかり、コートの下に大量に身につけていた缶ドロイドで対抗するも負傷するが、
そこにバースが駆けつけ、パンダは逃亡。ドクターは店の中で爆発音を聞いて様子を見に来た知世子に助けられる……。
一方、鳥のヤミーを作り出す存在の気配を追っていたアンクと映司は、その途中でカザリと遭遇。
タジャドルでカザリとぶつかり合う戦闘中、大量の赤い羽が舞い散り、右腕が欠け、炎を操る、
翼を持った赤いグリードがその姿を現す!
「映司! そいつ潰せ! 潰せ……潰すんだよ!」
「やっぱり僕の思った通りだ。あれが、アンクが腕しか復活できなかった理由」
オーズと赤いグリードの力は拮抗し、タジャドルは変身解除。そして、二人のアンクが、その存在を認識する。
「居た……僕だ」
「僕だと……? 誰が僕だ!」
「僕だよ」
「笑わせんな。おまえは俺だぁ!」
主導権争いが発生するが、アンク@右腕からは一気にセルメダルが吸い出されてしまって大ピンチ、で次回へつづく。
前回−前々回の事は置いておいて、後半戦の開幕という事で場面転換と情報の出し入れが多く、最初期を思わせるテンポの重い展開。
ドクター話とアンク話を同時進行するのはややきつかったような気がします(この辺り、特別編のあおり、という感じですが)。
そんな中、衝撃的だったのは、アンク@90%が、まさかの捨てられた子犬系美少年演技。
変な話、想像されるアンク@グリード体に声をつけるなら、CV:三木眞一郎的なイメージを持っていたので、当惑しております。
というかアンクはそもそもは美少年ポジションで、ちょっと背伸びして粋がって盗んだバイクで走りたいお年頃の反抗期の魂部分が右腕がうずいて、
お、俺に近づくなーな感じで凝縮されて、あんなねじれた性格で独立してしまったのか。
或いは、分離?時に精神年齢も分割されており、合計すると、真アンクは、
CV:中田譲治みたいな感じになるのか、現在、オーズが使えるメダルは――!
あ、後藤店員が復職して、里中の部下になりました。
- ◆第30話「王とパンダと炎の記憶」◆ (監督:田崎竜太 脚本:小林靖子)
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とりあえず、アンク@ヤンキーとアンク@美少年が、OPのクレジット表記で両方とも「アンク」表記になっており、
文字にするとややこしい事この上ないのですが、ここは伊達さんの「餡子」を採用するしかないのか。この時の為の、
周到な伏線だったのか。
餡子ーーーーーーーー。
漢字で書くと、餃子に似ているなぁ。
そんなわけで、ダイソンばりの吸引力を誇るアンク@90%に吸い尽くされそうになる餡子だったが映司が何とかそれを助け、
シャウバに変身して逃亡。
カザリは、支配力の高い肉体を持ち、ヤミーを作り出す事も出来ながら、800年前の記憶を持たないアンク@野良に接触し、
アンク@ボディは人間の少年の姿を取る事に。
クスクシエに運ばれたアンク@手乗りは、タイミング良く情報交換にやってきた伊達を交え、
体力回復の為のセルメダルと交換に過去を語る事に。そして事務仕事の合間にメダルの情報にアクセスしようとしてバレバレだった後藤も、
鴻上会長に呼ばれて800年前のオーズの真実を聞かされる……と、設定説明のターン。
800年前、欲望から生まれたグリードに対し、コアメダルを用いて戦ったオーズ――その正体は、
グリードを作り出した国の王であった。そして、その王に協力し、他のグリードと対立したグリードが、アンク。
アンクは、800年前もまた、オーズの協力者だったのだ。
だが、コアメダルの力を揃えて神にもなろうとした王は、オーズの力を使いすぎて暴走。結果として、
数多のコアメダルとグリードごと封印される事になる。その際アンクは右腕だけが封印に巻き込まれ、
記憶や精神も封印された側のコアメダルに宿っていたのだが、外に残った体も消滅しないまま残ってしまう。その為に、
右腕だけながら過去の記憶とねじくれた精神を持ち狡知に長ける手乗りアンクと、
グリードとしての能力を強く有しながらも精神的に幼稚な野良アンクとに、分離してしまったのだった。
「800年の間に育った、自分を求める、まさに欲望の塊! それはコアメダルを抜いた途端に解放されぇ、
まさに新しい命の誕生だったぁぁ! ハッピーバースデー!!」
一切悪びれる事なく、年末年始のヨーロッパ旅行で持ち帰ったアンクのミイラを甦らせて世に放った事を語る鴻上会長を見つめながら、
俺この人から給料もらっていて良いのか、という顔になる後藤さん。
世界を救う男への道は、まだ遠い。
毎度の事ですが、鴻上会長が喋るか喋らないか、で設定にまつわる情報公開を操作するのは、スマートではない所。結局、
鳥ヤミー絡みの元凶も鴻上という事になりましたが、メダルを出したり隠したりも含め、あまり好きな手法ではありません。
その頃、負傷したドクターを車に乗せた知世子は、かつてドクターが暮らしていた屋敷で、亡き姉の話を聞く。
この二人、「先日お目にかかりましたね」的な気配が一切無いのですが、やはり、
ヘブンズトルネード 映画撮影なんてなかったのか(笑)
「物語がエンドマークで完成するように、人もまた、死で完成する」
結婚前夜に火事で死んだ姉の言葉を語るドクターは、知世子の優しさから逃れるように彼女を屋敷から追い出し、
ますます上昇するマスター知世子のヒロイン度! 天然・ほだしスキル・強固なマイワールド、と揃っていて割と最強系なのですが、
果たして、鴻上会長との頂上決戦はあるのか。
ドクターの思慕の念に反応するかのようにパンダシャチが活動を再開し、ヤミーの元へ向かう、映司達。
「アンク。肝心な事まだ聞いてない。おまえと、もう一人のおまえが一つになったら、どうなるんだ」
「…………多分、弱い方が消える。当然消える気はないがな」
意外と軽快に動くパンダ戦では、タジャバオーズ(ジャさえあれば火球を撃てる事が判明)
が時間稼ぎをしている間にバースがゲージを溜め、ブレストキャノンで撃破。
屋敷ではドクターの回想により、姉を失いたくないあまり、
結婚を機に自分を突き放そうとした姉の寝室に火を放ったのはドクター自身である事が判明。
「そう、私の中の姉さんはいつも笑顔をたたえている。優しく微笑んでる。死んで初めて完成する――」
ドクターが世界から目を逸らし、人形の中に見つめていたのは、変わる可能性を失った理想――そして、自らの欲望だけで築かれた、
他者との関係。
そこへやってくるカザリと子アンク。
「そろそろ答が出たかと思って。僕と組むかどうか」
「答は出ていました最初から。世界は早く終わらせなければならない。美しく、優しい内に。いずれ、その人を醜く変える前に。
――良き終わりを」
ドクターは研究所の自爆スイッチをぽちっとなし、大量の缶ドロイドで愛好する絵だけを運び出し、鴻上ファウンデーションから離反。
ここに、ドクター−カザリ−子アンク、によるドクター組が誕生し、仁義なきメダル争いは、新たな局面を迎えるのであった!
病的な奇人変人だったドクターの背景が明かされ、ラスボス争いにエントリー。今のところ、鴻上も、ドクターも、
どっちもどっちという感じですが、ここからどう転がるか。現状、◎鴻上 ○ドクター ▲4クール目に出てくる凄いグリード
という面白くない予想で。
それにしても、4話連続(実時間1ヶ月)、主人公(映司)にピントが合ってないまま話が進んでしまうのは、
良いのか悪いのか(^^; 個人的にはようやく映司のポイントが掴めた所だったというのもあり、
映司から焦点が外れっぱなしというのはどうも、設定の重さに振り回されすぎて物足りなく感じてしまう前後編でありました。
→〔その6へ続く〕
(2016年10月2日,2016年10月19日)
(2017年4月24日 改訂)
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