■『仮面ライダーキバ』感想まとめ6■


“Judge it,King 紡がれてきた
運命のSaga その腕にゆだねられた”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーキバ』 感想の、まとめ6(31〜36話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第31話「喝采#母に捧げる変身」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹)
 前回に続き、OPナレーションが、キバットとタツロットの掛け合いに。
 1986年――ゆりに治療を受けるお馬鹿カルテット。ゆりは「あたしに考えがある」と、イクサナックルをその手にする。
 一応前回、次狼達の正体を見ている筈なのですが、ゆりさん、メンタル太い。
 2008年――宝くじを連続で当てた恵の弟・光秀はニュースで取り上げられ、バカ(猪)に狙われる事に。
 そして名護さんと渡は、
 「まさか……君がキバだったとは」
 割とストレートに話し合いをしていた。
 「キバというのは人類の敵になる可能性があると聞いていたが、君なら大丈夫だろう」
 ……あ、あれ、意外とフレンドリーだ。これまでずっと、「キバは人類の敵! ファンガイア以上の脅威!  見つけたら即座にデリート!」ぐらいの勢いだったのですが、随分と穏やかになりました。それにしても散々、 「キバ滅殺」を主張していたのに、「敵になる可能性があると聞いていた」レベルの根拠だったのか名護さん…… 誰に吹き込まれたんだ名護さん……。
 「力の使い方さえ間違えなければ、それでいい。私の弟子になりなさい」
 て、そっち行くのかーーーーーー(笑)
 明らかに渡を丸め込んでキバの力を自分の目的の為に利用しようという目論みしか感じない名護さん、渡を再び弟子に勧誘。 喫茶店を訪れた健吾はそれを耳にしてしまい、健吾はどうするのか、と問い返す渡だが……
 「彼にはもう、興味がない。いや、もともと無かった」
 うん……まあ、元々押しかけだし、そこは正直、名護さんは悪くないと思います(笑)
 「もう、誰も信じられん。名護さんも、渡も」
 雨の中に飛び出す健吾。
 「なんでや……なんでこうなったんや。夢も、友達も、尊敬した師匠も……全部失ってもうた……。 俺はこれからどないしたらええんやぁ!!」
 そこに現れる、首領S。
 「流した涙はいつか乾く。大切なのは、これから何をするかだ」
 また適当な事を言いに来たーーーーー。
 健吾逃げてーーー。
 心の隙間に忍び込まれ、良いように利用されて鉄砲玉にされるか人体実験の犠牲になる未来しか想像できなくて、 健吾の人生が風前の灯火。
 恵は母ゆりの残した資料でルークの弱点が右肩である事を発見し、名護にイクサのレンタルを迫るが、断られる。
 そしてルークは今日も、いい事をしていた。
 「もういい事は充分にやったぁ。後は死んで、天国に行くだけだ」
 渡は深央に健吾について相談し、かつて友達になるもすぐに別れてしまった少年・タイガの事を思い出す……。 だがチェックメイトフォーの招集がかけられ、突如、姿を消す深央。
 キングがシルエットで登場し、ビショップさんはノリノリですが、1人は仕事をする気が全く無く、 1人は死ぬ気満々です。それでいいのかチェックメイトフォー。
 1986年――ゆり等の三文芝居に乗せられたルーク、イクサに変身。

 待てそれは、孔明の罠だ!!

 何の前振りも説得力もなく登場人物同士が出会うのは、もはや『キバ』世界では特に不思議な事ではなく、 そういう因果の法則が支配している世界観ではあるのですが、さすがにここは、いきなりな遭遇の仕方から、くさすぎる三文芝居まで、 あまりにきつく、重要な展開だけに工夫が欲しかった所。
 史上最強のイクサとなり、妖怪三銃士&音也&ゆりを蹴散らすルークだったが、イクサシステムが稼働限界に達し、 反動で大ダメージを受ける。
 わかっていたネタですが、これは、あまりに酷い(笑)
 音也とゆりが楽しそうにイクサのデメリットを語るのですが、貴方達は、それでいいのか。
 なおここでさらっと、「着用時間が長すぎるとダメージを受ける」と言っており、以前の「着ただけで死にそうになる」よりは、 バージョンアップしているようです……ちょっぴり。
 「紅先生が子猫ちゃんの為にお手本を見せてやる」
 ナックルを回収した音也はイクサへと変身し、大ダメージを負ったルークへと改めて挑む――!
 2008年――光秀に猪が迫り、それを助けようと立ち向かう恵だったが、いつものごとくピンチに陥り、それを助ける名護イクサ。
 ……名護さんが恵さんを助けたの、劇中初ではなかろうか(笑)  猪と戦うイクサだが、更にそこにルークが登場。
 「俺を倒してくれ。俺は、天国に行きたいんだ」と滅茶苦茶な事を言いながら恵に襲いかかり、恵さん、本日2回目の天国行き寸前の所に、 今度はキバが助けに現れる。キバはエンペラーとなり、2vs2マッチから、対戦相手を入れ替え。激しい戦いの末、 ライジング剣がルークの腹部を刺し貫く。
 1986年――「ゆり! トドメはおまえが刺せ」
 2008年――「恵、トドメは君が刺しなさい」
 ――今、二つの母への想いが重なり、ゆりと恵がイクサへと変身する!
 ゆりイクサはルークの攻撃に苦しむも、母への想いをバネに反撃に転じ、ルークの左肩を粉砕。 イクサ後遺症と度重なる攻撃により大ダメージを負ったルークは倒れ、砕け散る。
 「俺は死なない。いずれまた甦り、ゲームを続けるからなぁぁぁ!!」
 どうやらルークは、一定以上のダメージを受けると自動的に休眠状態に入り、その後復活するという迷惑な仕様の模様。
 「覚えておけ。おまえが何度甦っても、私が倒す。その時私がこの世に居なくても――――私の魂がおまえを倒す!」
 まるでその声が22年の時を越えて届いたかのように、奮闘する恵イクサは連続攻撃で、母が与えた傷跡であるルークの左肩を突き、 大ダメージを与える事に成功。最後はイクサダイナミック三連斬りでルークを撃破するという、大金星。
 凶敵ルークを打ち破ったのは、戦士の魂と誇りを抱き続ける、2人の戦乙女であった……。
 そしてゆりはもうわけわからなく、絶滅危惧種達にモテていた。
 なお、
 青い人:職場の常連客連続殺人事件の真犯人。
 紫の人:友人を殺害。
 緑の人:夜道でいきなり襲ってきた。
 なのですが、それでいいのか。
 2008年――すっかり蚊帳の外だったが、エンペラーは、一生懸命猪と戦っていたんだよ!
 そして、それを見つめる深央。
 「あれが、キバ」
 エンペラーはラッシュ攻撃で猪を追い詰めると、フィーバー・キバまっしぐらで撃破。
 うーん、猪は折角面白かったのに、ルークとまとめ売りされてしまい、3話目での扱いが雑だったのは残念。
 ビショップからアンクレットを渡された深央は、その力?により、クイーンファンガイアへと変身。 恋愛条項違反者をジャッジメントする以外のもう一つの仕事――仲間を狩るキバを倒す為、問答無用でその背中に飛び蹴りを入れる!
 クイーンファンガイアは、まだ全体の造形がハッキリ映っていませんが、お花系?な感じ。
 深央がすっかりファンガイア寄りになってきましたが、ここから先は、運命に抗う事を諦めつつある者(深央)と、 運命に抗う事を選ぶ者(渡)の物語になっていくのか……? まだ渡には、抗うべき運命も見えていない感じですが。
 次回、いよいよタイガ=キング登場の模様。恵から報告を受けた首領Sが「キング…………タイガか」と、 既にその存在を知っている事を匂わせるなどますます怪しくなっていますが、襟立健吾のバッドエンドはどれだ?!
 新展開を前に麻生母娘に焦点を当てつつ、キング登場の前座の形で、ルークがリタイア。
 まあ、22年前の仕様を考えるに、終盤復活する可能性も否定できませんが、果たして天国へは行けたのか。 若干この「天国へ行きたい」と変な方向へ狂うルークと、麻生母娘を次のステップへ進ませる因縁の解消としてのルーク撃破、 というのは噛み合わなかった感じ。ゆり&恵の見せ場回なら見せ場回で、もっとスッキリした展開でも良かったのにな、とは。
 しかしキバは、過剰に悪ノリしすぎずに今回ぐらいの真っ当な構成で作れば、 過去と現在を行き来する特性を活かしつつ充分にアベレージをキープしながら面白く進められたと思うのですが、色々、 リアルタイムでのあれやこれもあったのでしょうが、捻りすぎ、というよりも、捻くれすぎという感がどうにも強い(^^;

◆第32話「新世界#もう1人のキバ」◆ (監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹)
 爽やか系若社長・登太牙登場。
 ……駄目だ渡、金も、地位も、女性の扱いも、みんな負けてる!!!
 背後から蹴りを入れてきたクイーンファンガイアを迎撃した渡は、道端に倒れている深央を発見。お互いが相手に与えた傷を、 それと知らずにお互いで治療してきゃっきゃうふふ。
 クイーンファンガイアは、天使と悪魔とホウセンカ、みたいな感じ。
 いやなんか、黒い弾丸で目標を囲む攻撃が、種を飛ばしているように見えて。
 (パールシェルファンガイアで、真珠貝にフラミンゴのモチーフが入っているとの事)
 1986年――ルークを倒してスッキリした音也とゆりは、ますますバカップルだった。
 そして音也、遠回しに結婚を匂わされ、激しく動揺する。
 音也の演奏をコピーして華麗にバイオリンを弾きこなすクイーン、この時点で子持ちだった事が発覚。 まあそもそもファンガイアなので見た目通りの年齢ではないわけですが、少々ビックリ。
 ファンガイアのキングとの間に生まれた子供――その名を、太牙。その赤子は、2008年で太牙の会社で重役を務める男に託される。
 また、恐竜城がクイーンの(或いは先代キングの?)屋敷である事が発覚しました。……関係性を考えると、もしかして毎度、 太牙さんちの会社のビルから出撃していたのだろーか(笑)
 2008年――渡と太牙、砂場で再会。
 名護の指示で強盗犯人を捕まえようとして暴行を受ける渡を通りすがりに助け、格好良く殴り倒すのかと思ったら、 一方的に殴られるけど異様な迫力で相手が怯えて逃げ出す、というちょっとした変化球で登場。
 砂遊びをしながら旧交を温める2人だが、まさか1人の女性を巡る関係だとは、お互い知るよしもないのであった……。
 ファンガイアの掟により婚約関係にある深央を、デートに誘う太牙。押しは強いけど、割と紳士。ただし、 従業員勢揃いで貸し切り状態のレストランでパエリアを食べさせるというシチュエーションに、深央さんは間違いなく引き気味。
 「キングの、僕の仕事は、人類の進化に貢献しそうな者を抹殺する事なんです。人類が、ファンガイアの脅威にならないように」
 会社で視察した新素材の研究者を、餌食とする重役。それこそが太牙の言う“投資”であった――。
 重役を演じるのは、河合宏でジョージ真壁な和興さん。鹿っぽいファンガイアですが、とりあえず、 ジョージファンガイアという事にしておこう(おぃ)
 「なんでなんだ? 教えてくれ。なんで人間を愛してはいけないんだ?!」
 ビショップからの指示でお仕事に向かうクイーンだが、亀ファンガイアの言葉に、トドメを刺しきれずに逃してしまう――。
 なぜ人間を愛してはいけないのか。
 なぜ人間の進化を阻まなければならないのか。
 ファンガイアとしては、餌である人間の管理、という視点だけなのかもしれませんが、ひっくり返して、人間とは何か、 という部分も描いてくれるなら楽しみで、期待したい。
 1986年――真夜と再会した音也の前に姿を見せる、力。
 「その女、危ない。証拠を見せる」
 毎度の事ながら唐突ですが、前回の戦いを経て、友情パワーで結ばれたのか。
 フランケンに変身した力の前で、真夜は、クイーンファンガイア(赤)の姿を見せる――。
 2008年――ジョージファンガイアの投資活動に反応して出撃したキバだが、ジョージに苦戦してエンペラーに。というかもう、 ノーマルキバは何の役にも立たないので、キバットさんはリストラしていいと思います!
 最初からタツロットをベルトに填めよう!
 激しくぶつかり合うエンペラーとジョージ。そしてその戦いを見つめる、もう一つの影があった――。
 と、新ライダーがちらっと出てきて次回へ続く。予告など見る限り、かなり格好良さそうな感じで、期待。
 長らく色々と引っ張ってきましたが、いよいよ過去と現在のピースが揃い、物語が走り出しました。音也に近づく人妻、 深央に迫る若社長、果たして勝負を決するのは、金か、センスか、それとも愛か。若社長の第一印象は悪くなく、次回、 どんな感じで描かれるか楽しみです。

◆第33話「スーパーソニック#戦いのサガ」◆ (監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹)
 1986年――友情パワーでクイーンに挑むも、当たり前だが一蹴される力。
 音也の前でファンガイアとしての真の姿を曝しても平然としているクイーンは、ストラディバリに師事していた事があると自称し、 音也の腕にふさわしいバイオリンを、音也自らの手で作るように勧める。
 2008年――ジョージとエンペラーの戦いを見つめる、“もう1人のキバ”。 戦闘の余波で落下してきた巨大な瓦礫をキックの一撃で粉砕してみせたその正体は、渡の再会した友人、登太牙であった。
 ファンガイア内部でもどんどん、仕事の出来ないダメな子扱いを受ける深央は渡を心の支えにしていくが、 何も知らない太牙により「婚約者」と「友人」として紹介される2人。
 渡はどん底まで落ち込み、静香は「二股かけていたのねこの淫売!」と怒りを燃やし、深央は勢いで「渡が好き」と告白。
 しかし、恋愛イベントのあまりのジェットコースターぶりに現実の厳しさを刻み込まれた渡は、そんな深央を拒否してしまうのであった。
 もう少し引っ張るのかと思いましたが、深央と太牙の関係は、思いの外早く渡に突き付けられる事に。
 まあ、表の人間関係以外に、キバとファンガイアとしての関係もあるので、引っ張りすぎずにテンポを早くする形か。
 少々複雑になってきましたがそれぞれの視点でまとめると、
 渡:初恋の人といい感じに進んでいたが、なんと婚約者がこの世でたった1人の友人だった! 絶望した!
 深央:周囲の決めた婚約者が居るのを黙って好きな相手と付き合っていたらバレてしまい、保護者から罵倒を受けた!  そうよ私は恋も仕事も何もかもうまく出来ない女!
 太牙:婚約者はダメな子だけど可愛い。再会した友人はダメな子だけどいい奴。金も地位も力もあるから、僕は何の不満もない。
 若社長、圧倒的勝利感……!
 太牙はこのまま、人生の勝者路線を突き進んでもいいし、婚約者と親友がデキていたショックで豹変してもいいし、 どう転んでも面白そう(笑) 自分が恋敵とは知らずに「相手の男と話をつけてやる」と渡を焚き付けたり、 「貴女がダメな子でも僕が居るから大丈夫」と深央のフォローに回ったり、 好きな相手を駄目にするタイプっぽいですが、そんな好意の表し方と、 ファンガイアにとっての障害を排除するキングとしての姿勢が、全く地続きなのは、面白い。
 「知ってますよね? 先代のクイーンがたどった、悲劇的な運命を。……貴女は必ず――太牙様を不幸にする」
 年の功か、深央に不幸を呼ぶ女の匂いを感じ取ったジョージは密かにその抹殺を図ろうとするが、それを阻む太牙。 人間の姿のままエネルギー波で吹き飛ばし、影から何匹もの蛇が出てくる、というのが格好いい。
 1986年――音也、クイーンにバイオリン製作を習い、ちょっと、ドキドキ。
 「命を……魂を込めなさい……私と貴方の……2人の魂を注ぎ込むの……」
 愛の城への闖入者に、入り込めない世界を感じてしまったのか、外へ出て泣き崩れるゆりさん。
 ゆりさんは、乙女回路に火が点いた途端に最強の敵が現れて、さすがに可哀想(^^; 誰が恵と光秀の父親になるかわかりませんが、 多少はフォローが欲しいなぁ。ただ、次狼を除くと、フォローになるほど引っ張って出しているキャラクターが居ないわけですが。 負け戦が図面通りの割には、そのピースが空きっぱなしなのは気になっていたのですが、しっかり埋められるのか、 投げっぱなしにされるのか(^^;
 一応、周囲に男は居るけど、中年と化け物だけなのが、如何ともしがたい。
 2008年――深央の粛清対象が、自分の投資対象でもあった事を知る太牙。
 再び亀を抹殺しようとする深央だったが、「教えてくれ。なんで人間を愛してはいけないんだ?」 という問いかけに言葉を返す事が出来ず、またも亀を逃がしてしまう。
 投資として亀を抹殺しようと現れたジョージの前にはキバが立ちはだかり、ドッガフィーバーを発動。原点の野球に戻り、 一本足打法からトドメの振り下ろしてジョージを瞬殺。
 一応、過去と現在を繋ぎ、奥のあるキャラクターだったのですが、鬼畜エンペラーにさっくり粉砕されてしまいました。 ハンマーに関しては、ノーマルキバの時の必殺技の方が格好良かったり。
 そして、逃げ出した亀の前に立った太牙は常に左手を覆っている手袋を外す……そこに刻まれていたのは、キングの紋章。
 「ファンガイアとしての誇りを失いし者。王の判決を言い渡す――死だ」
 太牙はサガークを召喚し、“もう1人のキバ”、仮面ライダーサガへと変身する!
 サガークは最初、空飛ぶ円盤に見えたのでガ○ラ的なモチーフかと思ったのですが、途中の影から蛇の演出を見るに、 とぐろをまいた蛇、でサガ+スネーク、という所でしょうか。
 サガは銀+黒、という渋いベース配色に、チェスの駒のイメージと思われるごつい肩のデザインが合わさり、なかなかの格好良さ。 ベルトに差し込んだ変身アイテムから刃が伸びて細剣になり、構えはフェンシングスタイル。仮面ライダーとしての先達は、 Xのライドルスティックでしょうか。
 ……そういえば、ライジングイクサのバージョンアップ変身に何か見覚えがあると思っていたのですが、Xの「セタップ」か(笑)
 サガの構えと共に世界は夜へと変わり、浮かび上がる月、そして真紅の紋章。細剣からビーム紐が伸びて亀の体を貫き、 上空に浮かんだ紋章に向けてジャンプをするので何事かと思ったら、紋章にビーム紐を引っかけて相手を釣り上げてから滅殺するという、 まさかの『必殺!』(笑)

 南無阿弥陀仏

 どうしてそうなったのかさっぱりですが、キングは、三味線屋だった。
 劇中で描写が出ないままリタイアしましたが、もしかしてルークは必殺「骨外し」とか使ったのか。
 ビショップの武器はかんざしだったりするのか。
 ファンガイアの闇は深い。

◆第34話「ノイズ#破壊の旋律」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)
 そういえば前回、久々に喫茶店のマスターが出てきたと思ったら首領Sが出てこず、今回は首領Sが出てきたと思ったらまたマスターがお休みで、 単純に、お金の問題?? まあ、2人とも出す必然性も特には無いのですが。
 1986年――音也は青い体験中。
 今回ずっと青い体験中。
 可哀想なゆりさんは、同棲中の筈なのに、間女モード。
 2008年――イケメンズのテーマをハミングしながら、ケーキを作る渡。
 「今日は僕の失恋記念日なんだ」
 いっけん壊れていますが、もともとの社会不適格ぶりを思うと、家に火をつけたりしないだけ、だいぶメンタルに成長が見られるのか。 リアルからの残酷な仕打ちを乗り越えようと、無理にはしゃぐ渡の失恋パーティに付き合う、名護と恵と静香。
 「君がフられて実に嬉しい。こんな嬉しい事は、3年ぶりぐらいだ。これで君も戦士として、集中できるわけだなからな」
 師匠は、どこまでも駄目な人だった。
 「君をフるなんて、いったいどんな女なんだ」
 真相を理解しないまま怒りに燃える若社長は渡を励まそうとし、何故か深央との遊園地デートに渡を付き合わせる。
 失恋した友人を励まそうとして取った行動が、自分と婚約者のデートに混ぜるって、 1200%意味がわからないのですが、社長! せめて! 秘書課の可愛い女の子を呼ぶとか!  深央にお友達を連れてくるように言うとか!
 ……深央さん、たぶんお友達居ないけど!!
 …………どっちを向いても駄目だーーーーー。
 貴重な友達の頼みを断れずに付き合う渡は、よそよそしい態度を取りながらも、太牙の好きではないアトラクションに、 深央と2人で乗る羽目に。
 「私が本当に好きなのは……」
 「僕も同じ気持ちです」
 「え?」
 「僕も太牙くんが大好きです」
 「良かった。渡くん楽しそうで」

 社長の目はどこに付いているのかーーーーー!!

 ハイスペック若社長は、変な性癖で下げられるのではなく、爽やかさをキープしたまま、 天然のスカポンタン路線に乗りつつあるのは、実においしい所。キャスティングも良く、いい感じです。
 友達の少ない3人が次のアトラクションを探していたところ、平和な園内に現れた暴漢が客を人質に取り、 それを追って現れるBハンター。
 また名護さんが逃がしたのか。
 Bハンターは暴漢の隙をついて人質の救出に成功するが、普通に殴り負ける。名護さん危うし、というその時、 飛び込んできた迷彩ズボンの男が暴漢を制圧すると、ついでに名護さんを蹴り飛ばす。
 そこに立っていたのは――すっかり面変わりした襟立健吾だった。
 「みんなに紹介しよう。青空の会の新しいメンバーだ。よろしくな」
 「襟立、健吾だ」
 口調まで変わった健吾に対して、こんな素人を加えてどうするのか、と抗議する名護だが、健吾に問答無用で殴られる。
 「素人のパンチも避けられないのか、ボタン男」
 反論できる所が、一つも無い。
 様変わりした健吾に関し、
 「夢を失った人間は時として、とてつもない力を発揮するものだ」
 と首領Sがまたさらっと適当なコメントを付けていますが、どう見ても、○の穴的な所で殺人レスラーに改造されています。
 トレーニングのノルマを果たさないと電気ショックを受けたり、毎晩首領を称え良心を削ぎ落とされる洗脳ソングをヘッドホンで3時間聞かされたり、 「食事が出来るのは生き残った方だけだ!」と昨日まで訓練所で共に汗と涙を流し合った同期との殺し合いを強要されたり、しています。
 素晴らしき青空の会の洗脳調教を受け、立派な戦闘員となったデビル健吾に「おまえは偽物の友達だ」と切り捨てられた渡は深く落ち込み、 深央と太牙の事にも思い悩む……そんな渡の惑いに反応するかのように、弦が切れ、ヒビが入るブラッディローズ。
 その頃、クイーン辞職を願い出た深央は、ビショップから先代クイーンに会う事を勧められていた。
 更に、若社長の悩み相談にも乗るビショップさん。
 「彼女、誰か他に好きな人が居るんじゃないかな」
 段々、ビショップさんは悪い人ではない気がしてくる今日この頃です。
 ここで少しキバ回りの設定が明かされ、ビショップによると太牙は「キングであり、闇のキバの正統な継承者」。そして闇のキバとは、 「ファンガイアの王が纏う鎧」。
 どうやらキバは、ファンガイアが更に強化変身?しているような存在で、キバに変身できるという事が、キングであるという事?の模様。
 “もう1人のキバ”の素性を気にするビショップは、遂に渡と直接ご対面。
 「なぜ君がキバを持っているのですか? 君の母親……そして父親は、いったい誰です?」
 ……あれ、もしかして、キバットさん最重要人?物?
 ビショップは渡を殴って踏むと、ファンガイアの姿に変身し、そこへやってきた名護さんがライジング。だがイクサの前には、 謎の女ファンガイア(キノコ?)が姿を見せる。
 「ごめんなさい。あなたの命、いただきます」
 それは、進化生物研究所の神田博士に囚われて従属させられ、博士の考案した個体能力移植実験により、 他のファンガイアの力を吸収して強化されたファンガイアであった。その力はライジングイクサを圧倒し、蹂躙する。
 名護さんがすっかり、一時期の音也のような燃えないゴミっぷりなのですが、…………えー……もしかして、 過去に跳んだ時に、空気感染したのか。
 渡はエンペラーとなり、ビショップと激突。ビショップは事務仕事担当の為か、それなりに強いけど、ルークほどの圧倒的な力ではない、 といったバランスの描写。エンペラーは、キノコにざっくり刺殺されそうになっていたイクサを何とか救い、 ビショップはフィーバーキックを回避して逃走。
 前回のルーク同様、エンペラーが必殺技を放とうとした所で態度に変化を見せましたが、フィーバーには何か秘密があるという伏線か。
 一時撤退したキノコの前には太牙が立ちはだかり、サガに変身。ライドルホイップ(違う)でキノコを振り回すが、逃げられてしまう。 ここで入る、サガ用と思われる挿入歌が格好いい。
 そして深央は、暗い洞窟で先代クイーンと接触する――その姿は、隻眼であった。
 てっきり先代クイーンは死去しているのかと思っていたのですが、枯れた感じで生きていました。色々な鍵を握りすぎているので、 巧く使わないと話がしらけてしまいますが、いったいぜんたい、どんな状態なのか。
 キノコファンガイアを操り、太牙が“投資”の視察に向かった進化生物研究所の神田博士は、元・青空の会。 「ファンガイアをもってファンガイアを倒す」という方針の違いから青空の会を抜け(た事になっており)、接触した首領Sが 「そんな事はやめろ」と忠告をして、悪いのは青空の会ではないからね、とメタ的に言い訳の予防線を張っているのですが、 両方とも真っ黒にしか見えません。
 そもそも、対比として語られているイクサが、数々の非道な人体実験の産物ですし。
 善悪の境界線が一筋縄ではいかない今作に、いよいよ、ファンガイアを食い物にする人間、という明快な「人間の悪」が登場。 「世界はいずれ私のものになる」というその真意はどこにあるのか。
 人間を食べるファンガイアが悪ならば、ファンガイアを殺すキバは善なのか。
 わかり合える異種族が居て、わかり合えない人間も居る。
 果たして、“人間”とは何なのか。
 ややこしい構成にややこしいテーマ――いよいよ物語の全貌が見えてきた感じです。
 父が子に託した“想い”とはいかなるものか、というのも気になる所。
 それにしても、若社長フィーチャー編ではあるものの、長らく引っ張ってきた因縁を解消したし、大金星の見せ場も作ったから、 とここ数話の恵さんの扱いの粗雑さはさすがに引っかかる所(^^; ただの浮かれたお姉さん状態(笑)
 そしてもっと酷い生ゴミ扱いを受ける妖怪ボタンハンターに救済はあるのか。お客様、 お客様の中に音也ウイルスを消滅させるワクチンをお持ちの方はいらっしゃいませんかー?!

◆第35話「ニューアレンジ#飛翔のバラ」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)

 名護さん、リストラ

 イクサを解任され、健吾に突っかかるもまたもあしらわれる名護さんは最高です。
 「なんだったら、俺の弟子にしてやろうか?!」
 意味も無く名護さんを踏みつける健吾を誰も止めない辺りが、素晴らしき青空の会の体質を現していて最高です。
 名護さんの落ちぶれ展開は、度々口にしつつも色々と怪しい名護さんの“戦士”としての真と芯と心を問う流れになるのでしょうが、 名護さん悲惨……とか、健吾が性格悪くなりすぎ……とかよりも、首領Sは本当に人間のクズだなぁ という感想しか出てこないのが困り物です。
 強化実験を受け続ける女ファンガイアは、体内に埋め込まれた爆弾を回避すると、博士を殺害。 その目的は人間を利用した自分の強化であり、博士に良いように使われているように見えたのは、あくまでフリだったのである、 と特に面白くもなく。
 ブラッディローズを修復するも、音に満足がいかず、何かが足りないと悩む渡の前に現れる次狼。
 「なんですかあなた。勝手にあがりこんできて」
 凄く、不審者扱いを受ける。
 35話にして、渡と次狼の始めての遭遇なのですが(渡が気絶している間の接触はあったけど)、非常にあっさりで、 それでいいのか(^^; とりあえず渡が、次狼達に関しては全く知らないらしい事は改めてはっきりしましたが。
 不審者扱いにもめげず、次狼はブラッディローズに込められた最後のピースを渡に教える――それは、祈り。
 ネックレスとイヤリング、深央にあげるならどちらがいいか、と渡に相談し
 「どっちも似合うと思うよ」
 「そうか! 両方あげればいいんだね! 渡くん、君のアイデアは最高だ!」
 という所に辿り着く若社長が、相変わらず面白すぎ、かつそこはかとなくダメな人。
 だが、その深央が更なる力を求めるキノコ女にさらわれてしまう。進化生物研究所へ連れて行かれたに違いない、 と向かおうとする太牙に、一緒に行くと食い下がる渡、
 「僕も深央さんが好きなんだ」
 と、遂に告白。
 それを聞いた上で、一緒に救いに行こうと決断する若社長、格好いーーー。
 しかも若社長視点だと、渡の事は一般人だと思っているわけで、それでもなお、友の意を汲もうという男気です。渡視点から見ると、 太牙を一般人だと思っているわけですが。ついでに深央も一般人だと思っていて、深央は渡を一般人だと思っているわけですが、 この辺りの主観の違いの折り込みは、さすが井上敏樹の十八番。
 互い主観で一般人の筈が、ファンガイアを見てもまるで驚かない事に関してはノータッチですけど(笑)
 力を奪われそうになっていた深央を助け出した渡は、キバに変身。キバとキノコが戦っているのを目撃した太牙は、「キバ、 おまえの力を試してやる」と羽の生えた巨大な蛇のような怪物を呼び出し、自らは逃げたキノコの前に立ちはだかる。
 「貴様に王の判決を言い渡す。――死だ」
 キバは蛇に押しつぶされ、気絶して渡の姿に。その時、ブラッディローズが鳴り響き、それを持ったタツロットが飛んでくる。
 1986年――
 「最後にバイオリンに込めるの。あなたの祈りを」
 クイーンに導かれ、バイオリンを完成させた紅音也は、その魂を込めて、祈りを捧げる。
 (人間はみな、心に音楽を奏でている。俺はその音楽を、守りたい……)
 2008年――
 ブラッディローズを手にした渡は、父の祈りを聴く。
 「わかった。父さんの祈りが。僕の祈りは――」
 バイオリンを手にし、祈りを重ねる渡。
 (僕は僕の音楽を見つけたい。そうすれば、もっと強くなれると思うから。そして、僕の音楽でみんなを幸せにしたい)
 今作のキーワードとして改めて「人間はみんな音楽」を使ってくれたのは良かったし、ここで、 バイオリンを奏でる渡がそのままエンペラーキバになる、というのは格好良かったです。 その後すぐにキバドラゴンに変身してしまうのが勿体なかったけど(^^;
 いきなりの空中怪獣大決戦で、キバドラゴンは飛行蛇を撃破。サガもキノコを一蹴。キノコ、散々パワーアップした筈の割には、 逃げ回っているだけでほぼ何もせずに死亡(^^;
 …………あれ? 前回、このキノコに、手も足も出せずに完敗した人がいたような。
 ………………気のせい、たぶん、何かの気のせい。
 名護さんは、最高だから!!
 キバの更なる覚醒に合わせるかのように、ドラゴン城の壁が崩れ、中から 古物商の死体 一振りの剣が現れる。
 そしていずことも知れぬ洞穴で、崩れ落ちる先代クイーン。
 「会いたい……渡……」
 いきなりサガが召喚獣を呼び、キバはドラゴンに変身しましたが、スーパーバイクも一回きりしか出ていない今作、 このネタがこれっきりにならないかどうかが心配です(笑)
 それにしても、シナリオ(物語)が気に入らないのだろうか、というレベルで、長石監督に、あまり熱が感じられないなぁ(^^;

◆第36話「革命#ソードレジェンド」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:井上敏樹)
 ドラゴン城の中に隠されていた剣――それはファンガイアのキングの魔剣、ザンバットソード。 ラモンと力がそれを抜いてみようとするが、主を選ぶ魔剣を、抜く事が出来ない……。
 一方、資料室送りにされた名護さんは、神社にお参りしていたところ、恵から嫌がらせを受けていた。 おみくじを引くも凶・凶・大凶と連発し、

 「よこしなさい……小吉をよこしなさい」

 は酷い名言すぎる。
 なおこのシーン、見方によっては名護さんと恵さんが凄くいちゃいちゃしていて、一部の需要を満たします。しかし恵さんは、 ヒロインの座から蹴落とされるの、一瞬だったな……(遠い目)。
 1986年――バイオリンを完成させた音也はクイーンに「もう会わない」と告げ、以前の約束を果たす為に、 バーで即席コンサートを開演。音也がクイーンの為に作った曲を奏でる中、ネズミファンガイアと戦うゆりさんが、 負け犬ヒロインまっしぐら。
 そろそろ、(力が欲しいか?)とか聞こえてきそうです。
 2008年――渡、近所からの苦情に自ら謝罪し、真人間への道を一歩踏み出す。
 ビショップは先代クイーンを訪問し、「紅渡なるものをご存じか」と質問。
 先代クイーンが力を奪われる原因となった、人間との恋愛――その際にもしや子供が生まれたのでは、と思い至るビショップ。 ここまでの状況証拠に加え、立場上握っている知識と情報があってそれを思いつかなかったビショップさんは思ったよりトンチンカンな人なのか、 或いは、ファンガイアとしてはあまりに想像を絶する事だったのか(たぶん後者)。
 若社長は遂に深央にフられ、よりにもよって渡に相談。
 「大変なんだ……深央さん、他に好きな男が居るらしいんだ」
 いちいちリアクションが面白い方向に行く若社長と渡は、深央の好きな人物を確かめるべく、ストーキングを開始。
 (深央さんの好きな人って、いったい誰なんだろう)
 一応、一回告白されているんだが、渡……。
 そこへやってきたのは、健吾@迷彩。やっぱり友達のいない深央は、 健吾が青空の穴で再教育を受けていた事を知らず、まさかの恋愛相談。だが、立派な戦闘員と化した健吾に逆に告白されて痴漢行為を受け、 そこへ深央の好きな相手が健吾だと誤解した若社長が姿を見せる。
 あ、なんか、わけわからなくて面白くなってきた(笑)
 一触即発の若社長と健吾の間に渡が入って事なきを得るが、渡は健吾に殴られる。落ち込む渡は再び現れた次狼に城の中に招かれ、 壁の奥から出てきたザンバットソードを引き抜こうとするが…………抜けなかった。
 30話以上引っ張って、初めてのお城、初めての妖怪トリオとの接触なのですが、実にあっさり(^^;
 城からとぼとぼ出てきた渡は、太牙と別れた深央と出会うが、いきなり走ってきたネズミに殴られて気絶する深央。 渡はエンペラーに変身し、フィーバー竜巻螺旋蹴りで瞬殺するが、何故か続けて2体のネズミが現れ挟撃を受ける。 それを目にした太牙が変身し、キバとサガが痴情のもつれから初の激突。何とか逃げ出した渡は倒れた深央を助け起こし、 改めて告白を受ける。そしてキバを探していたサガ/太牙は、その告白を聞いてしまう……。
 「そんな……まさか」
 本当にショックな顔している若社長が、素敵。
 太牙はひたすらぐいぐい、好感度を上げに来るなぁ。
 1986年――先代キング@ビジュアル系、帰宅。
 ……あれ、クイーンの言動や行動からすっかり故人だと思っていたのですが、普通に生きていました(^^; これは、 過去編のラスボス扱いになるのか。

→〔その7へ続く〕

(2015年8月30日)
(2017年9月17日 改訂)
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