■『仮面ライダーキバ』感想まとめ5■


“No one ever knows 僕の音
どこまでも進化する
まだ知らない自分が目覚めてく……Supernova”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーキバ』 感想の、まとめ5(25〜30話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕 ・  〔まとめ4〕
〔まとめ6〕 ・  〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕




◆第25話「ファンファーレ#女王の目醒め」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:井上敏樹)
 1986年――ゆり、音也ルートへ。
 顔写真だけ並べる、或いは人物相関図だけ見ると二枚目選り取り見取りなのですが、
 次狼:渋くて格好いい大人の男。 (※ただし人喰い狼)
 :凄腕マッサージ師。 (※ただしフランケン)
 糸矢:たぶん金持ち。 (※ただしファンガイアの上に変態)
 紅音也:天才バイオリン奏者。 (※ただしバカ)
 ……なんだろう、この残念ハーレム。
 「おまえの作ったものはぜーんぶ俺が食べる。死ぬまでな」
 自宅で作ってくれたオムライスにぶちぶち文句を言いながらも、しっかりと殺し文句は放つ音也。そんな音也に、 ゆりはこれまでのお詫びとお礼を込めて、腕時計をプレゼント。
 初めてのプレゼントに、
 From YURI
 って、薄々そんな気はしていたけど、ゆりさん、ヘビー級。
 2008年――引き続きいい雰囲気の渡と深央を茶化す面倒くさいお姉さん。
 「じゃあお姉さんが、デートのプラン立ててあげよっか」
 「余計な事するのはやめなさい。男女交際など2人には早すぎる。汚れた頭をクリアにし、人類の為に、世界平和の為に、 君たちが出来る事をまず考えなさい」
 名護さん、最初の一節は正しかったのに……。
 1986年――姿を消した次狼は、イクサナックルを首領Sに返却する。
 てっきりファンガイアと戦う武器として持ち逃げするのかと思いましたが、紳士ぶりを発揮。 傷心でファンガイアへの復讐どころではなくなり、おニャン子クラブを支えに人里離れた山奥で生きるのか。
 次狼の欠けた穴を埋めるべく改めて素晴らしき青空の会にスカウトされた音也は、イクサナックルを受け取る。
 ……それ、使う度に死にそうになるけどな!
 自分が浮かれすぎでないかと考え込むゆりと、海へ行く事を音也は約束。そして、 少女時代のゆりが思い出の海でなくした指輪を見つけてみせると誓う。
 「俺を信じろ。奇跡を起こしてやる。愛の奇跡だ」
 2008年――素晴らしき青空の会では、イクサの更なる強化計画が進んでいた。
 「イクサは更に強くなる」
 ……というか最近、ほとんど役に立っていないような。
 合わせて首領Sは装着者について再考慮、最近役に立たない名護の降格を検討していた。
 「最近の名護くんの行動は目に余る。自分の中の弱さを知る者が、本当の戦士だ。名護くんにはそれが欠けている」
 1986年――ルークは暇だった。
 一方、クイーンは今日も風紀委員のお仕事に励んでいた。
 「ねえ? 教えてくれない? なぜファンガイアでありながら人間を愛するの? どうして貴方のようなものが後を絶たないの?」
 粛清完了の後、クイーンは通りすがりの音也と出会う。
 「1度目偶然2度奇跡、3度目必然4運命……そう、まさに運命。と言いたいところだが、すまんな、俺の運命の女はもう、 決まっているんだ」
 ナンパ、しなかった!
 25話にして音也にも、節度があった事が発見されました。今まで少し誤解していたよ、音也……。
 そこへルークが現れ、バラの花を胸ポケットにさしていた音也はタイムプレイの標的にされるが、 それと知らずにクイーンの手を掴んで逃亡。
 「どうやらおまえ、相当やばい奴に狙われてるらしいな」
 「私が? どうして?」
 「いい女は狙われるもんだ。ま、心配するな。俺が守ってやる。おまえがお姫様なら、俺が城だ」
 「私を守るって……どうして? 死ぬかもしれないのに」
 「男とはそういうもんだ」
 この、正義とか悪とかではなく、格好つける事に命を懸けるのが、音也の(結果的な)ヒーロー性でありますが、 この辺りは何か他の形で、もう少し前半からわかりやすく見せておけば、物語の軸になった気はします。 ゆりとの関係性が落ち着いた事で、ようやく音也が掴みやすくなったというのは、構成の難が出た点。
 で、クイーン=風紀委員で気付いたのですが、そうか、『キバ』は、学園物だと思えばいいのか!(え?)
 音也=何故か憎めない落第生 ゆり=真面目なクラス委員 次狼=バンカラ転校生 名護さん=学園の支配を目論む生徒会長  恵=人気はあるけど「彼女にするのはちょっと……」と思われている先輩
 みたいな(何が)。
 2008年――バイト先の弁当屋の人々が次々に見えざるファンガイアの餌食となり、深央は渡に「もう会えない」と別れを告げる。
 「ちょっと渡、誰この人?! いったい何がどうなってるの?!」
 という台詞がメタにリアルすぎて、可哀想すぎるな、保護者(静香)……。
 渡は久々にお風呂で体育座りし、タツロットは城を抜けだして紅家に居る事が判明。 またタツロットの台詞で「なにしろエンペラーフォームはキバの真の姿」とあり、キバの鎖は何らかの封印であり、 エンペラーフォームはタツロットによってそれが解放された状態であるとわかりました。タツロットが何かは、さっぱりわかりませんが。
 渡を遠ざけるも、思い悩む深央の前に現れる、痩せた神父風眼鏡――ビショップ。
 「運命からは逃れられませんよ、クイーン」
 割とあっさり、深央=クイーン、と明言され、深央はビショップから、ファンガイアの風紀を乱す恋愛条項違反者リストを渡される。
 「お願いです。クイーンとして生きて下さい」
 会話の流れからすると、深央はクイーンの力を押さえ込んではいたものの、クイーンである事には自覚的だった模様。その上で、 ファンガイアとしての力を振るいたくない、風紀委員の仕事をやりたくないらしい深央はリストを焼却するが、 それをお久しぶりにして4回目?ぐらいの登場の変態蜘蛛に目撃されてしまう。
 「役立たずのクイーンは、死ぬしかないな」
 この辺り、ファンガイアが一枚岩ではないのか、或いは、今のクイーンが死ねば新たなクイーンに風紀粛正の力が委譲されるから問題ないのか、 深央に襲いかかる変態蜘蛛、そしてサメのファンガイア。
 恵が蜘蛛にカウンターでラリアットを決めてみせるも、名護さん(燃えないゴミは水曜日)はイクサベルトを蜘蛛に奪われ、 深央に追いすがる蜘蛛とサメだったが、その前に立ちはだかったのは、傷心の渡。
 蜘蛛とサメに2対1で苦戦するキバだったが、エンペラーフォームになると、サメを文字通りに瞬殺。 蜘蛛はイクサベルトを奪ったまま逃亡するのであった……。
 今回のビックリドッキリメカ的に、実にノルマっぽく登場したキバでしたが、エンペラーになった途端に、 必殺技発動でサメを一切の抵抗の余地無く滅殺するという凄まじい力を発揮。もはやイクサとか、デコピン一発で倒せそうな勢いです。
 ところで蜘蛛は、クイーンが真面目に風紀のお仕事をすると、人間のストーカーをした罪で、粛清されるのではなかろうか(^^;
 デートや同棲は駄目だけど、ストーキングはOKなのか、ファンガイアルール。
 1986年――成り行きで逃走中の音也とクイーン。音也が様子を窺いに別行動を取った間に、逆から回り込んできたルークは、 クイーンに気付く。
 「クイーン! まさかあんたが一緒だったとは。どういう事だ?」
 ここまで素で気付いていなかったルーク、面白すぎます(笑)
 そんなルークにクイーンは敢えて、ゲームを続行して自分を追いかけるように指示。
 「知りたいの。なぜ人間を愛するファンガイアが多いのか。人間とはなんなのか」
 ルークの承諾を得ぬ内に、戻ってきた音也の方に走るクイーン。
 「あ」
 ルーク、面白すぎます(笑)
 音也はイクサに変身するがルークも変身し、当然のように一方的に叩きのめされる事に。 愛のパワーを得たぐらいでは全く太刀打ちできないルークの強さは相変わらず素敵。為す術も無く敗北して変身の解けた音也は気絶し、 クイーンに揺り起こされるが……
 「おまえ……誰なんだ。いや、俺は……誰なんだ?」
 なんとビックリ、 イクサシステムの副作用 ルークの攻撃で受けた衝撃で、 音也は記憶を失っていた! (演出でダメージシーンの強調あり)
 そこまでやるか、という意味でまさかの展開(笑)
 「一つだけ、覚えている事がある。俺には愛する女がいた…………」
 腕時計に刻まれた文字を、見つめる音也。
 「ゆり」
 「――ええ。私が、ゆりよ」
 そしてクイーンは、艶やかに微笑むのだった……。
 音也の立ち位置が定まった事で過去編が少し落ち着いたと思ったら、そこからまさかの場外乱闘。さてこのネタ、 どのぐらい引っ張るのか。後半戦の軸になるのは、過去と現在、2人のクイーンになりそうですが、クイーンは両方とも、 キャスティングがいいのは、良い所。果たして元祖ヒロインたる麻生母娘は、ここから逆転の一打を放てるのか。そしてもはや、 立場を失いつつある静香は革命を起こせるのか。粗大ゴミと化した次狼、不燃物として処理される寸前の名護さん、 2人はあの輝きを取り戻せるのか――。

◆第26話「メトロノーム#記憶のキセキ」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:井上敏樹)
 「決心がつきましたか。貴女はクイーンとしての運命を受け入れなければならない」
 再び深央の前に現れたビショップさんは、えらい早口というか滑舌が微妙というか。
 「私には、人を愛したという事が、そんなに大きな罪だとは思えません」
 「いずれ貴女の前に新しいキングが現れます。その時までに貴女は完全なクイーンとなってなければならない」
 ビショップは蜘蛛に深央の抹殺を依頼していたが、その真意は生命の危機に陥る事でのクイーンの覚醒にあった。ビショップは更に、 クイーンの力に揺れる深央が見逃したファンガイアと人間のカップルを物凄いビームで消滅させ、深央を精神的に追い詰めていく。
 チェスの駒の格でいえばルークの下、ナイトの上になるビショップですが、人間の姿のまま、その力の一端を見せ、実力をアピール。 チェックメイト・フォーはそれぞれ、とにかく強い、という見せ方は好みです。
 1986年――ノリノリで音也を襲おうとするがクイーンに止められるルーク。
 「ルーク、ゲームはもうおしまい」
 「どういう事だ?」
 ルークは毎度、驚いた顔に可愛げがあって、どんどん、萌えキャラになっていくなぁ(笑)
 「今面白い事になってるの。もしかしたらわかるかもしれないわ。愛というものの秘密が」
 ゆりを称するクイーンは音也にバイオリンを渡し、それを弾いた音也は、海で指輪を探す約束について思い出す。
 2008年――ビショップビームで負傷した深央は紅家に逃げ込み、その枕元でバイオリンを奏でる渡。とここは、 親子の演奏が格好良くシンクロ。
 「深央さん、僕、強くなります。深央さんを守れるぐらい、強く」
 26話にしてようやく、渡に確固たるモチベーションが生まれました。が、深央は再び姿を消してしまう……。
 1986年――音也とクイーンは海へ行き、指輪を探す為に海へ飛び込む音也。
 「不思議な生き物ね。人間って……」
 いやそれは、そいつだけです。
 そこへ音也を探すゆりがやってきて、クイーンは問いかける。
 「ねえ、教えて。人を愛するって、どういう事? 教えて。人に愛されるって、どういう事?」
 「人は、愛する事で、今日を生きる。愛される事で、明日を生きる」
 ゆりは海に潜っていた音也を発見して引っ張り上げ、音也は海の底で見つけた指輪を手に、記憶を取り戻す。
 「人間って……ほんと面白い生き物だわ」
 記憶喪失ネタは引っ張って面倒にはせず、愛のキセキで元の鞘に。そしてクイーンは、人間に興味を持ち始める。……凄く、 人間の中でもイレギュラーなサンプルに目を留めてしまったのが気になりますが。
 2008年――深央を守る恵と名護に対して、蜘蛛、イクサに変身。イクサナックルを左の手の平に押しつけるのって、 静脈認証でもしているのかと思っていましたが、割と誰でも変身できてしまう事が発覚しました(^^; それでいいのか、イクサ。
 恵が蜘蛛イクサにハニートラップを仕掛けてイクサベルトを奪い返し、名護はイクサに変身するが、 蜘蛛には結局逃げられてしまう。
 深央を見つける渡だが、そこへやってくる蜘蛛。お互いの力を見せる事の出来ない2人だが、渡の危機に遂に目覚めるクイーンの力。 その力に恐怖して逃げ出した蜘蛛だが、その前にはいつの間にやら先回りしたキバが立ちふさがる。
 「許さない。深央さんは、僕が守る」
 キバは一切の容赦なくいきなりエンペラーフォームになると、ガルルセイバーにスロットをくっつけるガルルフィーバーを発動。 ……とうとう、次狼は、召喚も、されなくなった!!
 ……や、都合により顔が出てこなかっただけで、飛んできた剣の中には次狼が入っているのかもしれませんが。……どうなのでしょう。 ……これで何もしていないと、完全に、毎日トランプで遊んでいる穀潰しなのですが。
 ガルルフィーバーは、柄からロケット噴射という一発ネタは非常に面白かったです(笑)
 ロケット噴射剣で両断され、1話から数えて4エピソード目の登場となった変態蜘蛛、遂に大爆死。
 その頃、名護さんは度重なる失態を反省、泣きべそかきながら自分の未熟さを認めイクサベルトを返却しようとしていた。 その反省の弁を聞いた首領Sは「自分の弱さを認めた君は真の戦士で、今こそ本当にイクサにふさわしい男になった」 と改めてベルトを名護に預けるが……勿論、嘘泣きだった(笑)
 まあ、首領Sに人を見る目が無いのは今に始まった事ではないですし、それらしい事を言って悦に入っている人という事が改めて証明されましたが、 学園ドラマで言えば、“生徒に慕われていると思いこんでいる体育教師”みたいな。
 こうしてビショップによるクイーン覚醒計画は失敗に終わった……かに見えた、が、 愛のキセキでしぶとく生き延びて恵の写真を手にしていた蜘蛛の前に、深央の影が落ちる。
 「貴方、人間の女を愛してたのね。――貴方の、夜が来る」
 クイーンの力を受けた蜘蛛、今度こそ、今度こそ、完全消滅。
 ストーカー行為も、ファンガイアの風紀を乱す行為として許されませんでした!  これで蜘蛛は、第1話の冒頭で劇中初のファンガイアとして登場し、自らの最期で前半戦のフィナーレとクイーンの覚醒を飾るという、 大活躍。特に好きなキャラというわけではありませんでしたが、ここまで繋げて使いきってくれたなら、満足です。
 それにしても、この展開の前振りの為とはいえ、蜘蛛にさえトドメをさせなかったガルルフィーバーの意義っていったい……。
 過去編で音也が落ち着き、現在編では渡に戦う意味が生まれと、ようやくにしてダブル主人公の軸が定まり、 話の骨組みが定まりました。少々引っ張りすぎた気はしますが、ここで2クールが終了し、クイーンそしてキングを巡る後半戦へ、 という構成は綺麗。……ただどうしても、ここまでの道のりが蛇行して迷路に過ぎたとは思います(^^;
 次狼自体は格好いいのですけど、次狼周りはどうしても、話を必要以上に混線させたかな、と。 時間が取れない時の名護イクサの雑な扱われっぷりも、その弊害といえますし。このサイドの要素をどちらかに絞れれば、 もう少しスッキリしたのかとは思いますが。商業的要素を物語に取り込むに際して、さすがにトリッキーに過ぎたか。
 次回、遂に悪の組織・素晴らしき青空の会に法の手が伸びる……!

◆第27話「80’S#怒れるライジングブルー」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)
 反省した演技で首領Sを丸め込み、新たにバージョンアップしたイクサナックルを手に入れた名護だったが、 素晴らしき青空の会の周辺に暗雲が立ちこめる。
 麻生恵、強盗容疑で逮捕。
 首領S、殺人容疑で逮捕。
 遂に官憲の手が伸びたとしか思えませんが、首領Sは脱税容疑とかの方がリアルで良かったなぁ (リアルすぎます)。
 これは、素晴らしき青空の会に恨みを持った者による陰謀なのか?
 ひとり残された名護は背後関係を調査しようとするが、女性を襲うカニファンガイアに遭遇し、イクサ変身、から携帯電話をかけての、 ライジング。
 強化アイテムを渡されて、始まって5分でいきなりニューイクサがお披露目されるとは思いませんでした(笑)
 ライジングイクサは角が変形してサイドに開き、平成ライダーで言うとアギトと似た顔に。色彩は青みを増し、 全体的によりどっしりとした感じで、胸部には撃ったら爆発しそうなジェネレーターが露出。……これ、 「名護くん、君の戦士の勇気は忘れない(ぽちっ)」ってやって、首領Sが遠隔自爆させる用のイクサ融合炉とかにしか見えないのですが。
 ライジングイクサはその圧倒的な火力でカニを粉砕するが、武器の威力による反動が大きすぎて、自らも吹き飛んでしまう。 そんな名護の身辺にも迫る警察の手。しかしそこは、警察に囲まれるのが3回目ぐらいの男・名護啓介。 慣れた感じで警官を薙ぎ倒した名護は、近くに停めてあった車に乗り込んで強引に発進させるが、 その運転手こそが素晴らしき青空の会を陥れた事件の黒幕・棚橋(小川敦史!)であった。
 「私は22年前、青空の会のせいで夢を奪われ……人生を奪われた」
 かつて画家であった棚橋は、22年前、クイーンをモデルに絵を描き最高の傑作をものにしようとしていたが、 イクサに殴られて昏睡状態に陥ってしまう。1年後、棚橋は社会復帰を果たすが既にモデルの姿はなく、画家としての閃きも失われていた。 それから21年間、復讐の為に生きてきた棚橋は警察上層部をも動かす力を手に入れ、今遂に、 素晴らしき青空の会を地獄に落とすべく動きだしたのであった。
 あえて陰謀の真相を話し、名護をより苦しめようとする棚橋の手によって全国指名手配を受けた名護は、逃亡中に次狼と遭遇。
 「おまえにチャンスをやろう。過去を変えるチャンスをな」
 次狼と“ある人物”との、青空の会を守るという約束の為ドラゴン城に招かれた名護は、時の扉をくぐって1986年へと飛ぶ!
 ――……そこではゆりと音也が、同棲の準備とかしていた。
 次狼の軽い嫌がらせか、普段の行いが悪いのか、橋の欄干の上に飛び出す事になった名護は音也と一緒に川に落ち、紅家に拾われる。
 1986年8月10日――目を覚ました名護に対し、今日は二人の同棲開始記念日、 といきなり全力全開ライジングでのろけ始めるゆりさん。
 大事なネジが、指輪の代わりに海の底に沈んでしまったようです。
 「不純だ。不純極まりない。結婚前の若い男女が、一つ屋根の下で暮らすなど、不純すぎる」
 2008年――姿を消した名護を探し回る健吾を、心配する渡。
 深央の登場でヒロインの位置があまりに遠くなったからか、健吾について「ひょっとしたら最後の友達かも」と煽り、ほ、 他にも友達居るよ、そんな可哀想な生き物じゃないよ、という反論に「いるの?! どこに?! どんな人?!」と、 きついボールを投げまくる静香ちゃん。少し、可哀想な感じにもなってきましたが、もう、生き残る道はこれしかないのか。
 そして渡は、幼い日の初めての友達「タイガ」の事を思い出す……。
 1986年――棚橋から絵のモデルの為に演奏をしてくれないかと依頼された音也(たぶん、 いつも公園で演奏している暇そうな人だと思われた)は一度は断るが、絵のモデルであるクイーンの頼みで、 人間ジュークボックスを引き受ける事に。ぷっつん芸術家カテゴリという事なのかもしれませんが、 割と酷い依頼を真っ正面からぶつける辺り、棚橋さんも結構浮き世離れしています。
 キャンパスに筆を走らせる棚橋、ソファに横たわるクイーン、その後ろで演奏する音也、というのは凄く、変な画に(笑)
 その様子を窺っていた名護はセミファンガイアに接触。踏まれていると音也に助けられ、1986年のイクサの正体が、 音也である事を知る。
 なお音也は割とあっさりセミを蹴散らしており、だいぶイクサでの戦いに慣れてきている模様。または、 イクサの方も少しずつバージョンアップを重ねているという事か。
 2008年――名護を探す健吾がカニに襲われ、渡・変身。
 ジンジン来た健吾の演奏をBGMに戦う……のかと思ったら、曲が足りませんでした(笑)
 カニ泡を浴びて苦しむキバだったが、エンペラーフォームになると、面倒くさいといわんばかりに回し蹴りでカニを瞬殺。 ……あまりにエンペラーが強すぎて、他のフォームが前座としての意味すら失いつつあります(^^; カ、カルテット……。
 もはや作っている側に説得力をもたらそうという意識が感じられない、ものすごーく出鱈目な時間移動でしたが、見ている側も、 なんかもう『キバ』だし……とそこに何かを求める気がしなくなっていて、恐ろしい(笑)

◆第28話「リクエスト#D.C.#時を変える戦い」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)
 「俺は未来から、2008年から来た、素晴らしき青空の会の戦士だ!」
 力強く宣言するも、可哀想な人扱いを受ける名護さん。実際、それとなく可哀想な人かもしれないので、 フォローが難しくて困ります。
 自分のイクサナックルで変身でもしてみせればいいのでは……と思ったのですが、執拗に音也からイクサナックルを奪おうとしているし、 過去に戻った時点で、何らかの修正作用によりイクサナックル08’は名護さんの手元から消えているという事で良いのでしょか。 それとも前回、警察に捕まりそうになった時に拾われてしまったのだったか。
 描写が錯綜していて、この辺り、自信が無い(^^;
 2008年――「もう青空の会は、終わりかもしれないな」
 ブタ箱にぶちこまれた首領Sは、普段のうのうと過ごしている為か、割と打たれ弱かった。
 だが、素晴らしき青空の会が無ければ人々をファンガイアから守る事が出来ない…… 面会で激励を受けた首領Sは渡と健吾を臨時会員に任命し、ファンガイアキラーを託す。
 紅家の前で、渡と健吾が武器の練習をするのですが、どう見ても、銃刀法違反です。
 うまく法の抜け道をつく設計なのかもしれませんが、少なくとも銃モードは明らかに人間を殺傷可能な火力なのですけど、 ほいほい渡してそれでいいのか。悪の秘密結社だから、それでいいのか。ファンガイアキラーは、所有者が生命活動を停止したり、 一定時間以上手を触れない状態が継続すると、自壊して証拠を隠滅する仕様です。
 健吾が意外と達者に武器を使ってみせるのですが、扱い方について恵さんを参考にしたという事なのか、 二人とも構えが微妙に女っぽくて面白い(笑) それにしても健吾、まさかここまで闇の深みにはまってしまうとは……。 そろそろ田舎に帰らないと、いつの間にかアジトの留守番を任されて、襲撃してきた敵もろとも自爆スイッチであぼーんとかの役を割り当てられるぞ!
 1986年――棚橋を守ろうと周辺をうろつき回る名護さんは、すっかり危ない人になっていた。
 音也の演奏を邪魔した事で、人間の生み出した芸術のみには価値を見いだすクイーンに平手打ちを受け、ストーキング。
 ……え、あれ? 名護さんも、そっち側の人だったの?!
 或いは、クイーンの平手打ちに、男のハートメーターを上昇させる特殊効果があるのか(笑)
 「おまえには遊び心がない。心の余裕が無い。張り詰めた糸は、すぐ切れる。そういう事だ」
 音也に翻弄される名護は、ゆりを襲撃するが、逆にひねられる(笑) 人質に取ったつもりが拘束を外され、 音也と二人のW正義の鉄拳を喰らって崩れ落ちる名護さん……普通に逮捕です。
 そこへ通りすがったクイーンは「貴方の手は人を殴る為にあるんじゃない。でしょ?」と音也を気遣い、女として危険を感じるゆり。 まあ確かに、音楽家が体育、良くない。
 「ねえ、教えて? 恋をするってどういう気持ちなの? なぜ人は恋をするの?」
 目を覚ました名護に問いかけるクイーン。
 「勘違いするな。俺は恋などしない」
 「なんだ。そうなの。じゃあもう、いいわ」
 「待って! …………ください」
 名護は立ち去ろうとしたクイーンに、バウンティハンターとなって初めて得たボタンを、縁起が良いのできっとお守りになる、 と渡そうとする…………て、駄目だこの人ぉぉぉぉぉぉぉぉ。
 1・そもそもどこのおっさんの付けていたボタンなのか
 2・その理屈で縁起が良く感じるのが本人だけすぎる
 3・根本的に気持ち悪い
 どう考えても、呪いのアイテムです。
 「やっぱり面白いのね、人間って。大事にするわ」
 いやそれも、凄く特異な例です、クイーン。
 そこへセミのファンガイアが現れ、クイーンの正体を知る名護。クイーンはボタンを手にすると、黒い花びらとなって姿を消す……。
 「さよなら、俺の初恋」
 ハイ消えた、早かった。
 セミの目的、それは仕事をせずに遊び歩いているクイーンに職場復帰をせっつく事にあった。 どうやら1986年でも風紀を乱す恋愛条項違反者が続出しているようですが、ファンガイア、裏切り者が多すぎないか。 それはクイーンも、ストレス解消とリフレッシュの為におかしな方向へ行く筈です。
 画家である棚橋を直接抹殺しようとするセミだが、音也が駆けつけてイクサ変身。その光景を目にした名護は、 イクサが間違って棚橋を攻撃したわけではなく、セミを倒そうと放ったイクサフィンガーの余波で棚橋を傷つけてしまった事を知り、 敢えてイクサの攻撃を妨害する事で棚橋を救出。これにより歴史は変わり、名護は現代へと戻っていく――。
 2008年では、暴れるカニに渡と健吾が立ち向かっていた。前回前半でライジングイクサバスターを浴び、 後半ではエンペラーキバの必殺回し蹴りを食らい、それでも生きているカニって、もしかして物凄く強いファンガイアなのでは。
 歴史が変わった影響で逮捕されていない事になった恵が駆けつけ、健吾とまさかのコンビネーション攻撃。 健吾が武器を持ちっぱなしなのですが、歴史の弾力的な作用により、青空の会の構成員という事になってしまったのでしょうか。
 渡はこっそりキバに変身してカニを追い詰めるが、歴史が変わった事で生き残ったセミの強襲を受け、挟み撃ちを受けてピンチに陥る。 そこへやってきたのは、現代へと帰還した名護さん。
 「ファンガイア、その命、神に返しなさい」
 ライジングイクサは、イクサ波動砲から反動を利用した三角飛びキックでセミを撃破。
 「どうだ、これが俺の遊び心だ!」
 なんだかますます、ダメになってしまったような……。
 エンペラーキバは次狼をフィーバーし、ガルルツインセーバーでカニを撃破。ガルルさん、今回は役に立てて貰えました。……まあ、 元々の歴史ではイクサ86’に倒された事を考えると、セミ、ファンガイアの中でもかなり弱かったと思われますが。 ロケット噴射で反対側にも刃が生じての、いわゆるビームナギナタ的なツインセーバー自体は、格好良かったです。
 戦いが終わり、喫茶店でくつろいでいた名護は、支払いをしようとした渡がぶちまけてしまった財布の中身に、 自分が真夜にプレゼントしたお守りのボタン(呪いのアイテム)を見つける。
 「子供の頃、母さんからもらったお守りなんです。縁起がいいからって」
 これをやりたい為だけの、前後編だったのか……(^^;
 ――いつか、どこか――
 「タイガ」と名前を呼ばれる赤ん坊にかしづくビショップ。そして、その“母親”として部屋に入ってきたのは……クイーン・真夜。 複雑に絡み合う運命の鎖は、果たしてどこへ繋がっていくのか……。
 これまで、どうしてそうなるかはともかく、察しはついてもハッキリとはしていなかった渡の素性に繋がる鍵が、 過去に戻った名護さんのボタン(呪いのアイテム)だった、というのは面白かったですが、エピソードとしての出来自体は残念。 ゲストの棚橋も放り投げっぱなしですし。
 27話の
 「昔のイクサがアホやったから、先生に迷惑がかかってるんや」
 「出来る事なら22年前に行って、俺が過去のイクサに成り代わりたいところだ」
 というのはむしろフラグで、過去に行った名護さんが何かやらかすタイムパラドック的な展開かと思いきや、 普通に音イクサのミス(と言っていい範疇の行為)でしたし。音イクサならやりかねない、 という方向性に見せてそうでは無かったという構造だったのかもしれませんが、 むしろ音イクサは肝心な所ではやらかさないキャラクターという認識で見ていたので、誤誘導そのものに違和感があって、 「実は……」が全く面白く感じませんでした。
 とりあえず次回、名護さんが恵さんに
 「恵、ちょっと俺の後頭部を踏んでみなさい」
 とか言い出さない事を祈ります。

◆第29話「聖者の行進#我こそキング」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹)
 石田秀範×井上敏樹って、元々お互いの過剰装飾を面白がりすぎてあらぬ方向へ行きがちなのですが、石田×井上×『キバ』は、 食い合わせが悪すぎるなぁ。
 好みもありますが、演出がやり過ぎで正直ノリにくい。
 2008年――深央と再会し、かつてなく風呂場で浮かれる渡。
 深央の登場によりヒロイン候補ピラミッドの底辺まで蹴り落とされた静香は嫉妬に狂い、渡と深央のデートの邪魔をするなど、 ただの駄目かつ嫌な娘になっていた。コミカルな演出で誤魔化していますが、勝手に出た電話を取り次がないとか、 やっている事はかなり悪質です(^^;
 そして前回ファンガイアとの戦いで怪我をして入院した健吾は、指の具合がおかしい……と嫌な引き。
 一方、恵を心配して実家の呉服屋に連れ戻そうとする弟・麻生光秀が登場。
 首領S、多額の寄付金に目がくらんで恵を売る。
 「心配するな。君を辞めさせたりはしない」
 「じゃ寄付金は?」
 「貰っておく」
 「それでいいんですか?」
 「有耶無耶にする」
 …………首領Sは、劇中でも完全に人間の屑である事が隠されなくなっており、段々、ネタにしづらくなってきました。
 なお弟の寄付金は宝くじを当てた事によるものだそうで、麻生家が資産家という事ではない様子。
 既に死去が言明されている麻生ゆりですが、少なくとも子供を2人産んでいる事がわかりました。86年の成り行きが成り行きなので、 場合によっては恵は養子の可能性もあるかと思っていたのですが、どうやらそういう事ではない模様。……まあ、 滅茶苦茶複雑な家庭環境という可能性もありますが。
 その頃、街ではテンガロンハットの男(ファンガイア)が、占い師や手品師などを次々と襲っては胃袋に収めていた。
 「無から有を生み出すその力……本物か?」
 どうやら、何らかの目的で「特殊な能力を持っている(と自称している/ように見える)人間」を襲っているようですが…… バカだ。
 なお、演じているのは、『ブレイド』終盤を好演で締めてくれた役立つクワガタアンデッドこと窪寺昭。変な服装だけど、格好いい。
 1986年――紅家を掃除するゆり。2人はすっかり、ただの同棲バカップルと化していた。
 だがゆりは、母の仇であるルークを倒せずにいる事に焦りを覚え、今の幸せを素直に受け入れられずにいた。そんな時、 失恋山籠もりから帰還し、自然石割りを習得したのかしないのかルークと戦うもけちょんけちょんにされた次狼が、力、ラモン、 そして音也に招集をかける。ここで力とラモンの正体を知るも、「ゆりの為」という殺し文句で、 音也は対ルーク総力戦へ参加を決意する……。
 なお次狼の立てた作戦は、4人でかかれば怖くない。

 もう駄目だ。

 戦う前から全員の命が風前の灯火みたいな計画だったが、作戦の内容を詰める前に音也と次狼はルークと遭遇してしまう。 音也はイクサに変身するも例のごとく例のように粗大ゴミのような扱いを受け、その光景をゆりが目撃する――。
 失恋レストランから久々の登場となった次狼ですが、おニャン子クラブを心の糧に傷を癒したのか、 ゆりを心から愛していた自分に気付いたという事なのか、音也とのやり取りは、以前のじゃれ合いレベルに。
 それはそれで悪くないのですが、そこへ至る葛藤とか過程をざっくり飛ばし気味なのも、今作の困った所です。もう一歩二歩、 詰めてくれれば見ている側も登場人物の感情に乗っかりやすいのですが、概ね「ま、ほら、わかるだろ?」で進んでいってしまうので、 置き去りになりがち。その上で過去と現在が交錯しつつ様々な要素が盛りだくさんなので、悪循環が累積しています。
 ……次狼に関してはいきなりルークに突撃している辺り、フラれたショックで「みんな星になってしまえ」状態という危惧もありますが。
 2008年――閃いたタイムプレイを過去に行っていた事を思い出し、ゲームのアイデア枯渇に苦しむルークは、 公園で絵本の読み聞かせを耳にする。
 「そうか。いい事をすれば天国に行けるのか。天国……きっと楽しい所に違いない。よし、天国へ行くぞ。それにはまず、 いい事をしなければ」
 ルークはまあ……面白いから許す!(笑)
 「いい事をしよう」と、トラックに轢かれそうになった子供を助けたルークは、恵と遭遇。 母が追いかけてきた仇敵ルークを遂に目にした恵は激高してルークに立ち向かうが、勿論、半殺しにされる。
 過去と現在でルークと戦う母と娘の映像ががシンクロし、そのシンクロした映像が、殴られたり引きずられたりで、 こんな酷いシンクロのさせ方は初めて見ました(^^; 麻生母娘の本領発揮という感じではありますが(おぃ)  この辺り、母娘がフィーチャーされているのは、映画合わせという事もあったのか(OPで、キバットが映画に言及)。
 一方、渡は手品師を食い殺したテンガロンハットの男と接敵。「いずれチェックメイト・フォーのキングになる」と自称する男は、 猪ファンガイアへと姿を変える――。

◆第30話「開演#キバの正体」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹)
 エンペラーと互角の戦いを見せる猪は「決着はキングの座についてから」と姿を消し、ルークは「もっといい事をしなければ」と、 恵を殴るだけ殴って帰宅。1986年では、次狼がサングラスをかけてルークを挑発し、何とかゆりの身を守る。
 ルークは“物語に都合良く滅茶苦茶”なのですが、その滅茶苦茶さ加減がしっかりキャラクターとして成立しているのが良い所です。
 猪ファンガイアの目的、それは人間の手で育てられているというファンガイアのキングを探し出す事にあった。 人間として育てられていても、キングには何らかの特殊な力が目覚めている筈。それを倒し、 自らがキングとしてファンガイアの頂点に立つ、という野望を持つ猪は次々と占い師や手品師をその牙にかけ、 ビショップ(暑そう)と接触する。
 ビショップいわく「野心が強すぎる」為にチェックメイト・フォーになれなかったという猪ですが、 えー……バカだからではなくて? ……と思ったけど、ルークもバカだった。
 ……クイーンは仕事しないで遊び歩いているし、もしかしたら、凄く、ストレスの溜まる激務なのかもしれない、ビショップ。
 まあここでは、これまで出れば瞬殺だったエンペラーとまともに戦闘になる猪の実力の理由付け、という感じですが。
 ところで、これまで〔クイーン・ルーク・ビショップ・ナイト〕で「チェックメイト・フォー」だと思っていた(キングは別枠) のですが、〔キング・クイーン・ルーク・ビショップ〕で、「チェックメイト・フォー」なのかしら。
 2008年――退院した健吾だが、腕の怪我の後遺症で以前のように指を動かせなくなり、ギターの道を断念せざるを得なくなっていた。 渡がこれを黙って嘘をついていた事に激怒した健吾は、2回目の絶交宣言。
 どう考えても責任があるのは、素人に適当に武器を持たせてファンガイアとの戦いにかり出した首領S なので、渡は首領Sの後頭部にドッガハンマーの一撃くらい決めても許されると思います。
 深央とは連絡が取れず、健吾との友情には特大の亀裂が入り、悩める渡の前に立つのは、元師匠。
 久方ぶりのスーパー懺悔タイムが発動し、何故か2人で、風呂に。
 渡の相談を受けた名護さんの話から、渡の恋が真剣なものだと知った静香は、深く反省。渡と深央を引き合わせ、 渡の準備していた寄席デートへ送り込む。
 「やっぱり私は、渡のお母さん役かな♪」

 静香:リタイア

 前回外道に堕ちすぎて、ファンガイアの餌食になりかねないレベルまで負債を貯めていた静香ですが、正気に戻って一気に借金返済。 まあ実際の所、酷い目に遭って気分のいい立ち位置のキャラではないので、洒落の範疇でしたという事で済ませてこれは良かった。
 深央/クイーンはちょっとした突っつきから洒落にならない展開に入る可能性の高い劇物なので、これはホッとしました。
 ただこれで、渡の真人間レベル上昇に応じて“日常との接点”だったり“駄目人間の保護者役”だったりという、 劇中の存在意義が失われつつあった静香は、ほぼ完全に意味を失い、場合によっては本当に物語からもリタイアか。 華やぎ分は充分に多いですし、これ以上、賑やかし要員が必要な作品でも無いですし(^^;
 そして、変にこの後作中で意味を持たせられるよりは、このままリタイアした方が安全という気もしないでもない。
 擦れ違いとわだかまりの解消する渡と深央だったが、そんな2人が寄席に入っていく姿を、ビショップが見ていた。
 「クイーン……まさかあの男と」
 ……ビショップは段々、娘を心配するお父さんみたいになってきたな!
 1986年――嘘の情報でゆりを遠ざけ、ルークを探す音也。凄く通りすがり気味のクイーン(暑そう)と遭遇するが、 遂にルークを発見し、法螺貝で愉快な仲間達を招集する。
 クイーンがかつてなくぞんざいに、ほぼモブキャラのように出てきて邪険な扱いを受けるのですが、 「今の件が片付いたらソロリサイタルしてやる」という音也の約束が伏線で、どうしても出したかったのか(^^;
 「ど派手に行くぜおまえら!」
 ルークへ一斉に襲いかかる音也と獣なカルテットだったが……全然、駄目だった。
 4人をあっさりと一蹴し、かけていたサングラスを奪ってゲームクリアしたルークは大満足で帰宅し、 後には4つの生ゴミが転がるのであった……。
 2008年――モデルの仕事だけでは懐が厳しいのか、何故かADのバイトをしていた恵は、ルークと接触。 そして番組の撮影中だったセ○的なマジシャンが、猪の餌食になる。恵を気絶させたルークは猪と戦い始め、そこへライジングイクサ、 更にキバが参戦。
 さすがにほどほど活躍を見せるライジングイクサだったが猪に逃げられ、ルークにフィーバーしようとしたエンペラーキバだが、 その姿を見たルークは何故か笑いながら姿を消す。
 果たしてルークは何を考えているのか……変身を解除したキバは、渡へと戻っていくその光景を、名護に見られてしまう。
 「紅…………渡くん……」
 「名護さん」
 サブタイトルの「キバの正体」は、「キバそのものの正体」にようやく触れられるのかと期待したのですが、「キバ=渡」がバレる、 という話でした。しかしここまで引っ張って、バレた理由がほぼ“渡が迂闊だった”でいいのか(^^; 恋は人を油断させるのか。
 あと名護さんは、今持っている情報をベースに真面目に関係情報を集めれば、事の全貌に辿り着けそうな気がするのですけど、 実はあまり頭を使った事がないので、ただのフィジカルモンスターという可能性はなくもない。
 そしてビショップは見ていた。
 「うーん、これは興味深い。まさかあの男がキバだったとは。皮肉な運命ですね」
 過去も現在も何も解決しないまま、ヒーローサイド完敗で続きましたが、予告を見る限り3話構成でしょうか。このままだと健吾は、 呉服屋に引き取られそう。
 次回――誰が一番生ゴミなのか。

→〔その6へ続く〕

(2015年7月22日,2015年8月30日)
(2017年9月17日 改訂)
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