■『仮面ライダーキバ』感想まとめ4■


“1人1人奏でる音が 違うように運命もそう
僕はただ 僕だけの未来への地図を描いてゆく”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーキバ』 感想の、まとめ4(19〜24話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ3〕 ・  〔まとめ5〕
〔まとめ6〕 ・  〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕




◆第19話「フュージョン#オーラの嵐」◆ (監督:舞原賢三 脚本:井上敏樹)
 1986年――チェックメイト・フォーのルーク再び。
 「ウェディングドレスか……美しい。タイムプレイの始まりだ」
 花嫁を狙うルークは結婚式場を阿鼻叫喚の惨劇の場へと変え、戦いを挑んだ通りすがりのゆりは一蹴される。前回登場時、 圧倒的な強さを見せたルークですが、今回もタイムプレイの標的以外には興味も薄く、ゆりを一顧だにしない強さが痛烈。
 2008年――バンドマン健吾再び。
 カタツムリを集めていた渡は不良学生に絡まれるが、その時、滑り台の上で 熱気バサラ 健吾が吠える。
 「おまえらみたいなクズに名乗る名前はない。そのかわり……俺のロック聞かしたるわ!」
 今作では希少な善人にして、渡のお友達だったので、再登場は良かった。 若干喧嘩別れぽい感じだったのはまるっきり忘れているようですが、渡は日々アップロード方式ですし、健吾も近い感じなので、 あまり気にしない方向で。
 「ロックとは……キバや」
 キバの戦いを見てロックを感じてしまったらしい健吾は、キバを探していたが、そこに現れる妖怪ボタンハンター。
 「キバは人類の敵だ」
 以前から繰り返されている名護さんの主張ですが、今回はやや追加され、「かつて、キバは人類を破滅へと追い込もうとした。 ファンガイア以上の脅威」との事。
 そこへ更に恵が現れ、
 「もしかして、キバはかつてのキバとは違うのかもしれない」
 と、自分を何度も助けてくれたキバをフォロー。
 どうやら過去(作品構造から言えば、22年前か)にも、キバが存在していた模様。
 巻き込まれた渡も引き連れ、健吾の知り合いの有名な霊能者にキバの居場所を聞きに行く4人だが、 気合いだけ激しい霊能者は特に役に立たず。しかし何故か渡が気を失い、その体に、音也の魂?が憑依してしまう。
 というわけで、体は渡、中身は音也、の音渡が2008年でふーらふーら。
 あまりに酷いきっかけですが、こういう展開は、きっかけ酷くても音渡が面白ければ、まあ面白いからいいか、 とならない事もないのですが、正直、肝心の音渡があまり面白くない。
 何が悪いかと考えていたのですが、もともと音也自身が“過剰に自分を演じているような男”なので、 渡を演じている役者さんが音也の憑依した渡を演じているけどその音也が自分自身を演じているような男、 と二重三重に芝居がかりすぎているのが問題なのかな、と。その為、物語の中に、 登場人物として巧く着地していない。
 渡になったり音也になったりを行き来しつつ、2008年の誰かの肉体に入っている事に気付く音渡は、メイドカフェを堪能。 その途中で渡に戻り、ブラッディ・ローズの響きに、渡はキバット変身。
 レディバグファンガイアってなんだろうと思ったらテントウムシだそうで、言われてみると納得。 なおここまでファンガイアは人間体を演じた役者さんがそのまま声をあてていましたが、今回は人間体がなく、声は中尾隆聖が担当。 また今回から、バッシャー召喚に出撃シークエンスが追加。ファンガイアはバッシャーの射撃を受けて逃げ出し、渡、再び音渡へ。
 その頃、健吾はキバの事を知ろうと名護さんに絡んでいた。
 「君、いくつだ?」
 「……21」
 「私は22だ。おっさんと呼ぶのはやめなさい。不愉快だ」
 まあ名護さんは、健吾に関してはボタン全部むしり取った上に簀巻きにして川に流しても許されると思います。
 2人は逃走中のテントウムシと遭遇、更に恵もやってきて、恵と名護さんが19話にして初のコンビ攻撃。犬猿の仲ながら、 戦闘でのコンビネーションは鮮やかと、プロフェッショナルらしい所を見せました。……まあ名護さんの方は、 恵を助けるどころか放置してキバに殴りかかるなど、色々とアレな前科がありますが!
 恵は名護が取り落としたイクサナックルを拾うが、イクサへの変身に一歩を踏み出す事が出来ない。イクサに興味を持つテントウムシは、 気絶した名護と健吾を両脇に確保する。
 「この2人は貰っていく。返してほしければ、イクサとして戦いに来い」
 1986年――音也は次狼からイクサナックルをちょろまかし、ルークへの復讐を求めるゆりにそれを預ける。 イクサナックルを手にルークへと挑むゆりだったが、その威圧感に立ちすくみ、イクサに変身出来ないまま、 ルークを逃がしてしまう……。

◆第20話「夜想曲#愛の救世主」◆ (監督:舞原賢三 脚本:井上敏樹)
 クイーンは格好良かった。
 以上。
 ……みたいなエピソードです正直(^^; 音渡にノれるかノれないか、という所もありますが。
 テントウムシに捕まり、ふん縛られた名護さんと健吾、倉庫に転がされる。
 妖怪ボタンハンター、すっかり燃えないゴミ扱い。
 そしてそんなゴミ2人に、極限状態で生まれる変な絆。
 「おっちゃん……ただ嫌な奴や思うてたけど。けっこうロックしてたやないか」
 「俺は俺の理想郷を創りたいんだ。一点の汚れもない美しい世界を」
 おっさん→おっちゃんになっているのは、健吾なりの譲歩なのか。
 そしてロウヒーローみたいな夢を語り出す名護さん。潔癖な教条主義者という人格は描かれていましたが、 これまでファンガイアと戦う動機には触れられていなかった名護さん、思った以上に誇大妄想で、 悪の組織の幹部にふさわしい人材でした。
 我ら! 世界を! 素晴らしき! 青空にする為に!!
 名護さんは絶対、「俺の理想の為の礎になりなさい」って、部下を率先して自爆させるタイプ。
 一方、2人を人質にされた恵は、肉体的には問題が無い筈なのに左足が動かない症状に苦しんでいた。病室を訪れた音渡は、 それは 心から名護がどうでもいい イクサとして戦う自信の無さから生じた仮病だ、と指摘する。
 1986年――ルークを探して結婚式場を張るゆりと音也だったが、音也はゆりと見間違えて黒衣の女性に声をかけてしまう。
 「どなたかに間違えられたのは初めてですけど……あまりいい気持ちじゃありませんわね」
 「……失礼。…………俺様とした事が……あがっちまったぜ」
 そこへルークが現れ、音也は体当たりを敢行するも、弾き飛ばされ気絶。イクサナックルを手にしたゆりは、 変身できないままその場を逃げ出してしまう。花嫁に迫るルークだったが、突然、光の鞭で弾き飛ばされる。
 「真夜……!」
 そこへ姿を見せたのは、ルークを怯えさせる、黒衣の女。
 その正体は、チェックメイト・フォーのクイーン。
 「ファンガイアでありながら人間を愛するとは……馬鹿ね」
 ルークが標的にした花嫁は、実はファンガイアであった。ルークを退かせたクイーンは逃げ出す花嫁へと迫り――
 「貴女は掟を破った。貴女の、夜が来る」
 その背に浮かび上がる、夜と、真紅の月。
 左手から放たれた光は一撃でファンガイアを結晶化させて打ち砕き、クイーンは舞い散る黒い花びらとなって姿を消す……。
 音也が思わず見惚れる程の美女にして、あのルークを怯えさせる女、としてクイーンが強烈なインパクトで登場。 花嫁の始末を「仕事」と言っているので、どうやらファンガイアの異端者を成敗する始末人のようですが、何よりあのルークを退かせた、 というのが戦闘ヒエラルキーとして強烈です。これはルークのインパクトが強かっただけに、非常にわかりやすくなりました。
 そして真紅の月と、消え方が格好いい。
 川辺で黄昏れるゆりに声をかける音也。
 「泣きたいなら泣けばいい」
 「何を言ってる」
 「本当は……怖かったんだろ? ……それでいい。自分の弱さをわかれば、それでいいんだ」
 「あんた……もしかしてその為に、イクサを私に渡したのか」
 イクサになれなかった自分の弱さを認めたゆりは、音也の肩で泣く……音也の格好いい所は、肝心の所では、 交換条件を持ち出したりは決してしない事で、主人公として当然の一線といえば一線ですが、いい所。
 そんな2人の距離の縮まりを目撃してしまうガルルさん(笑)
 (……あ、あれ、CG回収ミスった?!)
 2008年――泥だらけになりながら懸命にリハビリを続ける恵は、音渡がイクサナックルを焼き捨てようとした瞬間、 咄嗟の動きでそれを回収する。
 「自分の弱さを受け入れろ。普通の人として生きるか、あくまで戦士として生きるか。――それにしても似てるなぁ……ゆりに」
 イクサになれるかなれないかではなく、自分自身の力を受け入れる事……一つの壁を乗り越えた恵は、もう待っていられない、 とおいしくいただかれそうになった名護と健吾を、ギリギリで救出。
 「あたしは、戦士として生きる! 生きてみせる!」
 恵はテントウムシに叩きのめされながらも名護達の解放に成功し、名護へとイクサナックルを投げ渡す。
 「それは貴方のものよ……今はまだね」
 名護さんはイクサ変身。恵は借りたイクサブレードでファンガイアを滅多切りにし、最後はイクサがイクサダイナミック。 だが倒れたテントウムシは、巨大ツボ化。今回このまま出番が無いのでは……と危惧された主人公がようやく現世に戻り、 キバット変身からドラゴン城を召喚し、イクサもショベルを召喚。
 ドラゴン城がくわえたショベルカーを上に乗せて勢いで合体攻撃をし、最後は勢いによるダブルライダーキックで撃破。
 キバとイクサの初の共闘にして初のダブルライダーなのですが、完全に勢いと成り行き任せで、物語的盛り上がりは一切なし(^^;  物語としては、恵さんのバトルがハイライトだったのでしょうが。
 精神が元に戻った渡は、工房で音渡が作ったバイオリンの型を発見するが、まさかそれが、父の魂が残していった物だとは、 思いもよらないのであった……。
 そして1986年――闇の中を真紅の月に照らされながら歩くクイーンの周囲を、1羽のメダルコウモリが舞っていた……。
 音渡がキバットに対し、「おまえ……もしかして、キバットバット2世の子供か?」と尋ねているのですが、 クイーンと一緒に居たメダルコウモリが、キバットの父である可能性は高そうです。 クイーンの登場で大体パーツのはまり方は見えて来ましたが、さて、そこへ向けてどう転がしていくのか。
 次回、次狼、反撃に出る。そして合コンへ。

◆第21話「ラプソディー#指輪の行方」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)
 2008年――極限状態でロックな絆を感じた健吾は、名護さんに弟子入りしようと土下座を敢行していた。
 「あんたはほんまもんのロックンローラーやぁぁぁぁぁ!!」
 「待ちなさい。君たちは何か勘違いをしている。俺はロックンローラーではない。むしろ、嫌いだ」
 渡も一緒に頭を下げるが、さすがの名護さんも、ロック魂を注入してほしいと迫られて困る(笑)
 「仮に、君の言う通りだとして。月謝はどうする」
 1986年――。
 前回、ゆりルートのCGを回収し損ねた次狼は、婚約指輪でイベントを強制的に進めようとする。
 貴男、好きと嫌いとか前に、せめて、身元と本職を(笑)
 首領Sに許可は取ったと言っていますが、首領の許可を取らないと組織内恋愛とか出来ないのかやはり。むしろ、 戦闘員の交際とか首領が適当に決めます感も出ていますが。
 次狼のプロポーズを嬉しくは思いながらも、婚約をすんなりと受け入れられないゆりは、友達に相談。
 ゆりさんに! そんな話を相談する! 女友達が居たなんて!!
 「かっこいー。ゆり、お願い。私にも幸せを分けて」
 「え?」
 「合コンよ合コン」
 名護「なに? 合コン?」
 2008年――健吾、月謝代わりに合コンを企画。
 「合コン……噂には聞いている。盛りのついた男と女が、体に悪い飲み物を飲みながら、不道徳な行為に及ぼうとする、不埒な会合だと」
 恵がこれに興味を持って渡を巻き込み、一同は合コンに参加する事に。
 〔渡・健吾・名護/恵・女A・女B〕
 というメンバー構成の時点で、何かがおかしい。
 そして1986年では、〔音也・次狼・力/ゆり・ゆりの友人・ゆりの友人の友人〕というこれまた面妖なメンバーで合コンが開催され、 さっそく、音也と次狼が火花を散らしていた。
 「組曲#父と子の合コン」みたいな非常に困った展開を、テンポの良さで強引に見せていくという、ある種の職人芸(笑)
 1986年では、腹の減った力がゆりのお友達をぺろりといただいてしまい、自分が服を売った相手を狙うカメレオンファンガイア (表の顔はブティック店長)との戦いで、真の姿を初披露。
 フランケンはハンマーキバ同様、重量感のあるアクションが意外な格好良さ。
 2008年では、渡が人見知りな上に押しの弱い“新聞を5誌取っている同士”として、 合コン会場だった焼き肉屋のドジな店員・鈴木深央となんとなく仲良くなる、とフラグを構築。
 渡が珍しく女性に積極的に声を掛けたのは、父の魂の残滓の悪影響なのか。そして目の前の蝶にふらふらと誘われてしまった音也の背後で、 押しの一手でイベントをがんがん進めて行く次狼はエンディングに辿り着けるのか――。
 軽いノリの展開の中で、力がぺろっとゆりのお友達を食べてしまっているのは、良くも悪くも今作らしい所。改めて、 次狼達も人間の事は餌としか考えていない、という部分を一つ強調して入れてきました。
 ……あ、2008年でもイクサとキバがカメレオンと戦って、逃げられました! 迷彩能力は、定期的に便利です。

◆第22話「序曲#運命の交差点」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)
 1986年――音也は合コンで知り合った女に騙され、ミツグくん扱いを受けていた。
 ……音也の事なのでわかった上で女に騙されるのは別に構わないという事なのかと思ったら、本当に騙されていた様子(^^; まあ、 騙されていたとわかった後は、別にそれでいい、となるのですが。
 2008年――意外といい所を見ていた健吾は深央をデートに誘うが、強引すぎてフられてしまう。 「自分を変えたい」深央は渡に付き合ってもらって、自分で選んだ洋服を買おうとする。店員の勧めを断って自分の選択で洋服を買い、 流されてしまいがちな自分を変える一歩を踏み出す深央だったが、その店は、服を買った客を食べる性癖を持つカメレオンファンガイアの店だった!
 1986年――首領Sからの情報でブティックの客が危ないと聞いた音也は、自ら服を購入し、女装。駆けつけたゆりの助けもあり、 カメレオンの撃退に成功する。
 2008年――冷麺をひっくり返してとうとう焼き肉屋をクビになってしまった深央に迫るカメレオンファンガイア。だが、 深央に組み付いたカメレオンは「こ、この女……」と不可思議な反応を示す。そこへ駆けつけたキバは迷彩攻撃に苦戦するが、 ドッガハンマーを召喚。ハンマーには何故かセンサーがついており、迷彩を見破って超電磁ハンマーで撃破するのだった。
 登場の遅かったハンマーですが、フォームチェンジの3フォームの中では一番格好いいかも。
 1986年――池のほとりで選択肢を出す次狼。
 「聞かせてもらおうか、答を。イエスか、ノーか」
 「確かに、あなたのことは、嫌いじゃない。でも……今は……結婚は無理だ」
 「それは戦士として無理なのか? それとも、女としてか?」
 「それは……。とにかく……この指輪は、返す」
 「――その指輪は外れない。俺とおまえは運命で結ばれている。その、証拠だ」
 ところがそこへお邪魔虫にやってきた音也が、ゆりの指からすんなりと指輪を外してしまう。
 「おまえたちの間には、何の運命もない」
 そのまま、池へ投擲。
 訴えられても、知らないゾ。
 ガルルさんは、改めて音也を闇討ちして千切りにしても良さそうなものですが、なんだかんだで始末に行かないのは、 ルークの登場後は、一応、戦力の頭数と見ているからか。話の都合……と言ってしまうとそれまでですが、まあ何となく音也に関しては、 じゃれあう相手としては認めている節もあり。基本、ガルルさんに殴られても平気で茶々入れに来るの、人類に希少だろうしなぁ(笑)
 2008年――22年前、音也が呪いの指輪を捨て去った池のほとり。お洒落なカフェテラスで、渡は深央の相談を受けていた。 思い切って外見を変えるも結局バイト先はクビになり、簡単に自分は変えられないと落ち込む深央はアクセサリーも外すが……
 「でも、指輪だけはしておこうかな……渡さんが選んでくれたんだもん」
 その言葉に、指輪を深央の指にそっとはめる渡。
 わざと全て外してから改めて渡に水を向ける辺り、意外とテクニシャン、鈴木深央。しかし渡のストライクゾーンは高め設定だ!  そしてお休みしている間にエネミーが増加した女子高生は反撃に出る事が出来るのか?!
 「あの……似合ってます、とっても」
 外された指輪と、填められた指輪――それは、如何なる運命の交差点なのか。……次回、クイーン再び。
 ゲストヒロインの鈴木深央は単発ゲストかと思いきや、色々と意味深な伏線が張られ、引っ張る様子。 店長にクビを宣告されて店のエプロンそのままで外に走って行く辺り、ドジとか人見知りとか以前に、 もっと深刻な部分でダメな子っぽいのですが、果たして真っ当な社会人になる事は出来るのか。
 演ずる芳賀優里亜は、『555』の時は当時15歳という事もあり、ふっくらした感じが目立ちましたが、すっきりとした美人顔に。 今後どういった形で物語に関わっていくのか、次の登場が楽しみです。

◆第23話「変奏曲#永遠の逃亡者」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹)
 「わからないわ……。誇り高きファンガイアでありながら、なぜ下等な人間を愛するのか」
 人間を愛したファンガイアを処刑して回るクイーンだが、これが“お仕事”として成立している辺り、意外と事例が多そうで困ります。 まあ、ルールが出来る程度には事例がある故に、仕事になっているという言い方も出来ますが。 イクサのデザインモチーフは聖職者だそうですが、クイーンの衣装は、修道士モチーフか。 出来ればあのデザインならロングスカートを主張したい所ですが、走ったりする事を考えると仕方ないか。
 1986年――祝・マスター34歳。
 ゆりはともかく、何故か凄くテンション高い次狼は、マスターを好きすぎます。
 ……おニャン子で繋がった、ソウルメイトだからか。
 そんな喫茶店には、国家権力によりガード下から強制立ち退き処分を受けた力とラモンが、新しいバイトとして雇われる事に。
 そして音也は、通りすがりのクイーンをナンパしている所を、ゆりに目撃される。
 「あんた、運命運命、いったい何人、運命の女が居るんだ」
 「細かい事を気にするな。運命の女は腐るほど居る。だが、滅茶苦茶運命なのは、おまえだけだ」
 「こいつは滅茶苦茶軽い男だ」
 「黙ってて! あなたには、関係ないんだから!」
 次狼、雑な扱いを受けてちょっと固まる。
 「俺は、全ての女性の小指と赤い糸で結ばれている。だが、全ての指が赤い糸で結ばれているのは、おまえだけだ」
 そんないつものやり取りと並行して描かれる、地味めのカップルの謎のメロドラマ。別れ話の後、出て行った女が踏切で黄昏れていると、 電車が通り過ぎた後に追いかけてきた男が立っていて、1年前、出会いのきっかけの会話を叫び合うとか、変な力が入っていますが、 だから今作はどこへ行きたいのか。
 実は、女を愛していながら煮え切らない態度を取っていたのは、男がファンガイアゆえだった、というのが今回のキモ。 覚悟を決めた男は、愛する女が側に居る限り、クイーンから逃げ続ける事を心に誓う……。
 2008年――渡と深央の仲を焚き付ける恵。
 「恵さんはどうなんですか? 彼氏とか居ないんでしょ」
 渡に失礼な断言をされる(笑)
 が、事実なので言い返す事が出来なかった。
 「どんな人がタイプなんですか?」
 「頭が良くて運動神経抜群で、顔もスタイルもちょーーーイケてて、信念持っている完璧な男?」
 「名護さんじゃないですか」
 即答する渡、春の力か、今回は超キレキレです。
 「馬鹿言わないでよ!」と言いつつ、ちょうど入ってきた名護さんに、ちょっと照れる恵。マスターも生暖かい目で見ていますが、 ……ん? そっちいくの?
 なお健吾は、すっかり名護さんの下僕状態で付きまとっていた。そして2人の、今回の出番はここだけであった。
 継続的に出てくれると嬉しいなぁとは書きましたが、思いの外、健吾がレギュラー化。そして正ヒロイン候補の出現と共に、 静香が出てこなくなりました(^^; 可哀想な保護者……。
 超久々にモデルの仕事シーンが入った恵は、急病の同僚の代打として、深央をモデルの仕事に誘う事に。渡の声援もあり、 見事にモデルの仕事をこなす深央だが、撮影現場から撮影用のネックレスが盗まれる。追いかけた渡の前に現れる、クマのファンガイア。 ガルルキバを蹴散らして逃亡したクマは人間の姿に戻ると、病床の妻の首にネックレスを仕掛けるのだった……それは、 22年前のあのカップルだったのである……。
 1986年――音也の誕生日に、自作オムライスを食べさせるゆり。
 ゆりの心が自分から離れつつある事に焦りを抱いた次狼は、最近捨て置いていた音也に直接襲いかかる。……前回の感想で、 音也を仕留めるのは辞めたのだろううか……と書いた途端にダイレクトアタック来ました(笑)
 「ふはははははは、聞こえるか? お前のレクイエムが。さらばだ紅音也」
 生身の音也がかなうべくもなく、ガルルによってずたぼろにされた音也は、遂に、川流れ。
 「ゆりは、俺のものだ……。これで俺のものだ」
 掟破りのダイレクトアタックで恋のバトルに勝利を確信する次狼だが、主人公属性を処理する時は、 崖から落としたり川に流してはいけないって、小学校で習わなかったのか。

◆第24話「皇帝#ゴールデンフィーバー」◆ (監督:石田秀範 脚本:井上敏樹)
 1986年――音也を処分したつもりの次狼は、ゆりに猛ラッシュ。とうとう、 二人きりの山奥でハッピーウェディング子作り3カ年計画で産めよ増やせよ地に満ちよ集団農場ウルフェン族ばんざーい計画を発動し、 百合を山奥に拉致。
 「まさに、2人だけの世界だ。ふふはははははは!!」
 一方、川を流れていた音也は下流でカップルに拾われ、一命を取り留めていた。目が覚めるとすぐ動けるようになる辺り、 いわゆるひとつのG並みの生命力です。クイーンに発見されたカップル男がクマに変身した所に行き会わせた音也はクマに自転車を投げつけ、 これ幸いとクマ逃亡。結果として、それと知らずに命の恩人であるクマを助ける事になった音也は、 仕事の邪魔をされたクイーンから平手打ちを受ける事に。
 「ほんのお礼よ」
 「んー、面白い。あんな女は初めてだ。…………もう一度お願いします!」
 本当にご褒美だった。
 クイーンを追った音也は、ゆりのオリジナリティ溢れる料理を試食して好意を抱いてしまった力に遭遇する……。
 2008年――今度は指輪を盗んだクマ男はボタンハンターに追われる羽目に。 名護と健吾を振り払って逃げ切ったクマ男は病院に辿り着き、病室で妻に指輪をはめる。クマを追いかけた渡は病室の2人を目撃し、 人間の女を愛し続けるファンガイアの存在を知るのだった。
 ファンガイアである男の方は老けないからいいとして、女性の方も同キャストにした都合もあったのでしょうが、 奥さんの病気メイク(&老けメイク)が強調しすぎて、絵としてちょっと辛い(^^;
 絶対安静の妻の最後の頼みを聞き、22年前に2人で埋めた合歓の木の元へ向かおうとする夫婦。渡はそれを手伝い、 新しく弁当屋でアルバイトを始めた深央に、配達の車を借りる。夫婦は大きく成長した合歓の木と再会し、 人間ではない事を告白しようとした夫の背中で、それをとっくに理解していた事を伝え、妻は静かに息を引き取るのであった。
 んーーーーー、ファンガイア恋愛相談所特別執行官クイーン、ファンガイア恋愛鉄の掟を知りながら人間を愛したクマ男、 22年間を共に生き続けた上でのどうしようもない別離、とプロットは悪くないのですが、どうも素直に楽しめないのは、 作り手の側の露悪的混ぜっ返しが露骨すぎるからかなぁ……。
 前回の妙なメロドラマに尺を取った上で、でも前回のメロドラマがあるから今回この展開が活きるでしょ? みたいな感じだけど、 実はあそこまでやらなくても充分に筋だけでこの展開を面白く見せられるだろうし (脚本にも演出にもそういう能力はあるという信用はしている)、実はそれをわかった上で敢えてメロドラマをやってみた感じというか。
 で、そのメロドラマは敢えて入れるほど面白かったかというと、別にそういうわけではない。
 そういうわけではないのに、わざと入れているという構図(あくまで推測ですが)は、どうにもひねくれすぎな気がします。
 もう少し、ストレートでも良かったような。
 妻を看取ったクマ男の元へ現れたのは、雰囲気をぶち壊す事には定評のある信念の男、名護啓介。半ば錯乱状態のクマ男はファンガイアの姿で突撃し、 名護さんはイクサ変身。深央の手を取って逃げる渡だが、その途中、深央の左手に不思議な紋章が浮かび上がる……。
 1986年――
 「ゆりぃ! ゆりぃぃぃ! 見せてやる! 俺の、愛の力を……!」
 一周回って音也のような事を言い出した次狼は半狂乱でゆりに迫るが、そこへ駆けつける音也。次狼はとうとう、 ゆりの前で狼の姿に変身し音也を一方的に叩きのめすが、戒めを脱したゆりは、音也をかばって覆い被さる。
 「私はこの男を、紅音也を愛してる!」
 次狼 BAD END!
 やはり、イベントは地道にこなさいといけません。自分のいい男っぷりに驕っていた次狼、痛恨のCG回収ミス!
 一応、めげずに地道にイベントこなしていた音也に、ゆりの気持ちが傾きつつある描写は続いていたわけですが、正直、 ゆりさんの告白はかなり唐突。というかこれ、決め手になったの、首領Sの「いいじゃん、 丁度いいからおまえ達くっついちゃえよ」という適当なパワハラだと思われます(笑) 首領Sに先に許可を得る、 という絡め手から攻めた次狼の自業自得ともいえるのですが、あれ恐らく、女心的に決定打だったのではないかと。
 ガルルは「自分のものにならないのならば、いっそ……!」とゆりに迫るが、結局はゆりを手にかける事は出来ず、 山奥へと姿を消す……。
 なんだかんだでガルルさんが、自力でブレーキをかけたのは良かった所。
 ところで今、イクサ持ってるの、誰?
 2008年――度重なるバージョンアップを重ねた信念のイクサ、クマに完膚なきまでに叩きのめされる。 渡の制止の声も聞かず、完全に錯乱状態のクマは何故か執拗に深央を狙い、深央が木に叩きつけられた事で、激怒する渡。
 「キバットぉ!!」
 そして、その怒りに反応するかのように、ドラゴン城に異変が起こる。
 「なになに、この音?」
 「タツロット、動く」
 「キバの感情に反応している」
 警報の鳴り響くドラゴン城を飛び出し、やたらに強いクマに大苦戦するキバの前に飛んできたのは、小さな竜。
 「テンション・フォルテッシモ!」
 「だ、だれ?」
 キバットも知らない子竜がキバの両肩の鎖を噛みちぎると、そこから広がる翼。コウモリのエフェクトと共にキバの全身に追加装甲が加わり、 真紅のマントを纏った金色のキバが誕生する!

 人呼んで、パチスロキバ! (※多分違う)

 金+赤、というてかてか配色になった黄金キバですが、顔が格好悪くなりました(^^; そしてカルテット……。
 「ウェイクアップ・フィーバー!」
 パチスロキバは空中に浮かび上がると、鳳凰脚でクマを粉砕。瀕死のクマは妻の亡骸の元へ向かうと、その手を重ね合わせた所で、 砕け散る。そしていつの間にか姿を消していた深央が、何故かその最期を見つめて無言で去って行くのだった……。
 「クイーンの力は永遠に受け継がれていくもの。おまえは決して逃れる事はできない」
 と、1986年のクイーンの台詞があり、どうやら深央は2008年のクイーンのようですが、果たしてどう動くのか。 そしてゆりに告白された音也の前に、今度は力が立ちはだかったりするのか。失意の次狼は、おニャン子クラブを慰めに余生を過ごすのか。 パチスロキバについて説明はあるのか。これまでのパターンだと、多分、ない。

→〔その5へ続く〕

(2015年7月22日)
(2017年9月17日 改訂)
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