■『仮面ライダーキバ』感想まとめ3■


“逃げられない 逃げちゃいけない
始まる Destiny's play”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーキバ』 感想の、まとめ3(13〜18話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・ 〔まとめ4〕 ・  〔まとめ5〕
〔まとめ6〕 ・  〔まとめ7〕 ・ 〔まとめ8〕




◆第13話「未完成#ダディ・ファイト」◆ (監督:田村直己 脚本:井上敏樹)
 毎度「素晴らしき青空の会」と書くのが面倒くさいので略称を悩んだ末、
 「世界を素晴らしき青空にする嶋護の、会」通称、SSS会(モノローグ:杉田智和)というのが思いついたのだが、 どうだろう(何が)。
 或いは、素晴らしき青空の会→S・A・K→サッカー、とか。
 そんなわけで恵からイクサの敗北について報告を受ける首領Sだったが、興味は体脂肪率にしかなかった。
 恐らく、体脂肪率の数字が神のお告げとか何とかで、組織の方針が決まるに違いありません。
 全てはBMIの為に!
 その頃、渡はバンドマン健吾の家でお好み焼きをご馳走になっていた。この二人の、友達になっていく感じ、は割と好き。その帰り道、 怪しい眼鏡の男・三宅に声をかけられた渡はデビューを持ちかけられるが、「僕なんかより健吾さんを」と辞退する……。
 1986年――次狼以外の2人の異種生命体の素性が、マーマン族最後の生き残りラモン、フランケン族最後の生き残り力(りき)、 と判明。思った以上に、みんな絶滅寸前でした。
 次狼は2人にマッサージと靴磨きをさせながら、「いずれ我がウルフェン族は復活する。ふふふははははははは」と高らかに哄笑。 『響鬼』に出演していた方という事で狙い通りではありましょうが、過去編は次狼の役者さんのウェイトが大きいけど、 実に好キャスティングで、人間の渋さと獣の狂気を巧く演じています。
 そんな次狼はプールでゆりとリハビリ中、溺れたふりをしてアハハウフフ空間を展開する。
 女子高生か。
 だが、広がる桃色ワールドを邪魔するストーカー(紅音也)。22年後ならそろそろ警察に被害届を出せそうな案件ですが、時代はまだ、 それほどストーカー犯罪に厳しくないのでありました。
 2008年――渡は家に招いた健吾に、自分の夢は父を越えるヴァイオリン作りだと告白。
 「なんでロック始めたんや」
 「僕を、救ってくれたからです」
 受け身で引っ込み思案の渡が、はじめての友達に対してきっぱりと自分の意志を告げる、ここは格好良かった。
 渡の弾くバイオリンの音色に感銘を受けた健吾は、自分も渡にバンドの夢を押しつけていた事を謝り、それぞれの夢に対して頑張ろうと、 友情を再確認する。健吾、この作品に初めて出てきた、まともないい人だ。
 だがそんな健吾は帰り道、怪しい眼鏡の男・三宅に声をかけられる……「君は……ダイヤの原石だ!」。
 一方、作品の良心かと思わせた華々しい登場から見事に転がり落ち、キバに負けたショックで目の据わった名護さんは、 賞金首への過剰な暴力で、逮捕。
 なんかもう、ヒーローが逮捕されていいのか、とか、そういうツッコミはする気にもなれない今作ですが、 こんなにさらっと逮捕されたヒーロー?は珍しいような(笑)
 そして現場に居たにも関わらず、警官に対して一切フォローしない恵さん、酷い。
 1986年――人を襲おうとするガルルを止めに入る音也。
 「忙しいヤツだな。おまえが守るのは、ゆり、だけじゃないのか」
 「俺は全ての人間の女の味方だ。おまえは化けもんなんだから……化けもんの牝とつきあってろ」
 「貴様に何がわかる……!」

 その一言が次狼の逆鱗に触れ、お見苦しい映像と化した音也、モザイクをかけられる。

 これは、歴史的な偉業達成かもしれない。
 2008年――三宅の話を聞いた健吾はデビュー資金を稼ごうと工事現場で働き始め、それを知った渡も一緒に働き出す。 夢を応援する……と若者に声をかけてまわる三宅、その正体は、サイのファンガイアであった。
 「素晴らしい。夢に懸ける、君の情熱はやはり本物だ。その情熱、私が心ゆくまで、あじわってあげましょう」
 サイは後援を約束していた絵描きの卵をぺろりといただき、その気配に気付いた渡はキバット変身。
 三宅は、舌なめずりする時の表情とじゅるり、という効果音が素敵。 過去シリーズでは『龍騎』に出演経験のある神保悟志さんが演じていますが(オルタナティブゼロ大好き)、 ファンガイア人間体のキャスティングがしっかりしているのは、今作のとてもいい所。
 サイファンガイアは黒ベースで肩が盛り上がったごついデザインに、 極彩色のステンドグラス風意匠が散りばめられたアンバランスが非常に格好いい。 固い装甲のサイに対してキバはバッシャーを召喚するが水弾も効かず、姿を消すサイ。その毒牙が健吾の身に迫っている事を、 渡はまだ知らずに居た……。
 1986年――音也をモザイクにした次狼は結局人間を捕食するが、そこへ追いすがる、体力とタフさだけはアルティメット級の音也。
 「よお子犬ちゃん。まさか本当に人間を食ってるとはな」
 「おまえか。懲りないヤツだな」
 「おまえもファンガイアと同じってぇ事だな」
 「違うな。俺は誇り高きウルフェン族。その最後の生き残りだ」
 次狼によるゆりとの子作り5カ年子孫繁栄計画を聞いた音也は、「ふざけんな」と怒りの頭突きを炸裂させる。
 異形のものから人知れず愛する女を守っている男、と考えると格好いい音也ですが、一歩間違えなくてもストーカー、 一歩間違えるとサイコキラーな為、ゆりさんの男運の悪さだけがひたすら輝きを放ちます。
 激怒する次狼に今度こそ仕留められそうになる音也だが、その時、失敬していたイクサの変身アイテムを装着。
 「俺のゆりには手出しはさせない――変身」
 苦節1クール、とうとう仮面ライダーへと変身する音也。
 「なかなかいい着心地だ。快感」
 音イクサは次狼のパンチを受け止め、変身した青狼すら圧倒。拳から放たれた爆熱イクサフィンガーがガルルを捉え――る?!  という所でつづく。

◆第14話「威風堂々#電撃パープルアイ」◆ (監督:田村直己 脚本:井上敏樹)
 爆熱イクサフィンガーを何とか回避したガルルさんは逃亡し、イクサ着用の反動を受けた音也は倒れて気絶。 これでまがりなりにも「イクサシステムが完成した」とか宣う首領Sは、完全に頭オカシイ。
 2008年――首領Sの力で早くも釈放されていた名護さんは、「俺は負けてない。負けたのはイクサだ!」と、凄い理論を発動。 そんな名護に、嶋は「もうすぐイクサは新しい力を獲得する」と告げる。
 喫茶店の壁に飾ったお皿の数が減って1986年に……と、初参加の田村監督が、前回今回と時間移動で新しい演出。
 1986年――イクサシステムを盗まれたと次狼から聞かされたゆりは音也からそれを取り返そうとするが、 全身の苦痛に耐えてやせ我慢をする音也は、素直に返そうとはしない。
 一方、三宅はこの時代でも、夢に向かう若者の情熱を、文字通りに食い物にしていた。
 アトリエに捕食した犠牲者達の写真と記念品を飾って並べている、というのがとても嫌な感じ。
 「素晴らしい……まさにここは、夢の墓場だ」
 そして戦利品も増えた22年後……三宅が次に狙うのは――健吾だった。
 「もうすぐだ。もうすぐまた新たなコレクションが加わる」
 静香に頼まれて三宅の周辺を探った恵は、その周辺で複数の若者が消えている事から三宅がファンガイアではないかと疑惑を抱き、 それを渡に伝える。三宅の後を追ってアトリエに辿り着いた渡は、そこで三宅の正体と嗜好、健吾が次の標的である事を知り、 怒りに燃える。
 「おまえだけは……おまえだけは絶対に許せない――変身」
 珍しく渡が感情を昂ぶらせて変身に繋がるという、キバとしてはかなり格好いい変身なのですが、そうか、 キバは渡が1人で突っ込むと、キバット待ちしないと変身できないのか(^^;
 倒れた状態から持ち上げた右手で、がしっとキバットを掴むのは格好良いカットでしたが。
 1986年――激痛に苦しむ音也の前に姿を見せる次狼。
 「イクサを返せ。そうすれば、楽に殺してやる」
 「馬鹿な。俺の命にかえても、おまえは倒す」
 音也はちょっと初代ライダーっぽいポーズで変身し、再び、イクサと青狼が激突する……!
 2008年――キバから逃れたサイは、倉庫でひとり練習中だった健吾を喰らおうとするが、それを食い止めるキバ。 だがサイはその装甲と突進力でキバを上回る力を見せる。
 追い詰められたキバは紫の薬を注入し、まさかの、ハンマー召喚。 主人公の武装としてはかなり珍しい気がするハンマーですが、翌年の『シンケンジャー』も大型武器振り回す系だったり、 子供受けしそうな装備として『モンスターハンター』シリーズ辺りへの意識が入り出した頃でしょうか。
 あと今更ですがこれ、それぞれに対応したホイッスルをキバットが吹いている、という事なのか。
 呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーんしたのは、最初からOPに居てちらりと顔見せなどもしながら、 謎のバイク追加装甲より後回しにされた流しのマッサージ師、フランケン族の力。その宿る武装は、超重量級のドッガハンマー!
 完全に意図的なものでしょうが、これでキバは、ノーマル(赤)・スピード系?(青)・飛び道具(緑)・重装甲(紫)と、 各フォームの色と特性がクウガと同じに。ガルル青だけ、若干、特性がよくわかりませんが(^^;
 紫キバはハンマーの連打でサイを打ち砕き、今回もバンク必殺技的な派手なエフェクトの超電磁ハンマーでサイを粉砕。
 戦闘後、渡と健吾の絡みが無いのですが、折角のお友達なので、このままフェードアウトせずにもう少し引っ張ってほしいなぁ。
 1986年――ガルルを追い詰めていた音イクサだが、妖怪半魚人もといラモンの奇襲攻撃を受けてしまう。
 「僕、参上」
 ガルルとバッシャーのダブル攻撃を受けた音イクサは着用時間も限界に達し、変身が解けて倒れる音也に迫るガルルのキバ。 危うし音也、このまま二度とモザイクが外れなくなってしまうのか?!
 ようやく出てきたと思ったイクサが現代編で逮捕されたと思ったら、過去編で音也がイクサに! というのは、 今作の特色を活かした面白い構成。ただこーなんか、音也には白が似合わない気がして仕方ありません(笑)  苗字にして息子のカラーですが、やはり音也は色で言うと赤、それもワインレッドの系統という気がします。
 一方、白の似合う男・名護さんは首領Sからイクサの新しい力を見せられていた。見た感じ重機めいていますが、 やはり勝利の鍵はデカさなのか。しかし敵は実は、お城持ってるぞ! その内、目元だけモザイクかかりそうで心配な名護さんの、 明日はどっちだ!

◆第15話「復活#チェックメイトフォー」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)
 前作『電王』で、序盤の傑作3−4話、劇場版、最終3話、と要所要所を締めた長石監督が『キバ』参戦!  時間移動は西暦のテロップ表記と、かつてなくざっくり圧縮(笑)
 1986年――ゆりがやってきて、音也はあわやモザイクの危機を回避するが、イクサナックルを次狼に取り返されてしまう。 一方街では、がたいのいい男が「罰ゲームだ……俺は俺に罰を与える!」と叫びながら電線を掴んでひっくり返ったと思ったら、 声をかけてきた通行人を「退屈だ。何か面白い事はないのか」と捕食していた。男はファンガイアであり、その手の甲には、 塔を思わせる入れ墨が刻まれていた――。
 さすがに入院した音也は、結果的にイクサの人体実験のサンプルに。
 やたら広めの個室ですが、恐らく、SSS会(世界を素晴らしき青空にする嶋護の会)の息のかかった病院だと思われます。
 一応見舞いに来たゆりさんを、懲りずにナンパする音也。
 「病名は――恋の病だ。特効薬は――おまえだ」
 「あなたの病名は――馬鹿だ。馬鹿につける薬はない」
 2008年――渡と静香は川で溺れそうになっていた記憶喪失の大男を拾って家に連れ帰る事に。
 箸の使い方もわからず手づかみで食事しようとする、まるで赤ん坊のような大男にほだされた2人は成り行きで面倒を見る事に。
 「体が大きいから……大ちゃん」
 1986年――ファンガイアに見つからないように、ガード下で地道に日銭を稼いでいる力とラモン。 種族最後の生き残りである事を相当気にして生きている様子ですが、どうにも、後ろ向きです(^^;
 そんな中、人生を明るく前向きにする為に子作り計画を推進する次狼は、自分以外のウルフェン族が殲滅された日の事を思い出す。 それを行ったのは、右手の甲に塔の入れ墨が刻まれた男……ゆりの母親の仇と同一人物であり、 セルフ高圧電流デスマッチのファンガイアであった。
 「桜か……美しい。タイムプレイの始まりだ」
 塔の男は時計のスイッチを入れると、次々とピンクの服を着た人間を襲撃。この情報にゆりは囮作戦を決行し、 襲撃を受ける寸前まで行くが、塔の男は時間切れで攻撃を中止。
 「俺は俺に罰を与える」
 再び、自ら電線を掴む男(笑)
 また新しいMが出てきました。
 そして道に倒れた所に声をかけてくれた通行人を捕食……とても、困ったファンガイアです。
 囮作戦の途中に音也を見舞って、要望に応えてなんだかんだであーんしてあげるゆりさん、根はいい人というか、病人には優しい。 ……さすがに、母の形見にして、所属組織がどう考えても未完成で人体実験中のイクサシステムが原因に見えるのを、 気にしているのかもしれませんが。
 塔の男は、宝くじ売り場を見ていて思いついた、新たなタイムプレイを開始。
 「おいおまえ、宝くじで3000万以上当たった事あるか」
 ハードル高!
 「は? なんなの? ナンパのつもり?」
 さすが、今作で最もモテる女、麻生ゆり。声をかけてくる男は基本的にまず、ナンパフォルダにドロップします。その後で、 男が母の仇、復讐の相手だと気付くゆりだったが、タイムプレイ中の男は別の標的を求めて姿を消してしまう。
 そして……当たった人、居た!
 「ゲームクリアだ。俺は俺に、ご褒美を与える」
 2008年――渡のバイオリン作りを手伝おうとして余計な手出しをして怒られた大ちゃんは、 自転車のチェーンが外れて困っていた女性を助ける。大ちゃんを探しに来た渡を背負って家に帰るシーンでの、満開の桜並木が、 如何にも長石監督。
 1986年――塔の男は、甘味食べてた。
 ここまで“変態”寄りの多かった今作ですが、ここで力強く“キチガイ”が登場し、塔の男はいちいち面白すぎます。
 「最高だ」
 「見つけたぞ。母さんの仇!」
 だがそこへやってきたゆりが、容赦なく甘味を破壊。怒った男の攻撃でゆりは気絶し、駆けつけた次狼は、 その男が自分の復讐の相手でもある事に気付く。
 「貴様ぁ……チェックメイトフォーのルークだな」
 ファンガイアの姿を露わにする、塔の男・ルーク。そして次狼も、狼の姿へと変じ、両者は激しくぶつかり合う。
 2008年――頭痛に苦しんで紅家から姿を消した大ちゃんは、ファンガイアへと変貌し、その正体は、ルーク。
 ルークファンガイアは、両肩に旗が立っているワンポイントがお洒落。
 ブラッディ・ローズの響きに渡は出撃し、キバット変身。いきなりガルルセイバーを召喚し、 ここから1986年と2008年がシンクロして戦闘。
 激怒演技が素晴らしく格好いい次狼はイクサに変身するも惨敗。キバの方もやはり惨敗。 ルークが凄まじい力を見せつけて両者大ピンチ――という所で、以下次回。

◆第16話「プレイヤー#非情のルール」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹)
 キバを追い詰めたルークは頭痛で撤退し、1986年では次狼が逃亡。捨て置かれたゆりさんはイクサナックルを拾い、 ルークは新たなタイムプレイを開始する……。
 2008年――勝とうが負けようが戦闘の事はすっぱり忘れる渡、前回助けた定食屋の娘と再会し、蕎麦打ちに興味を持った大ちゃんが、 アルバイトとして働き始める事に。大ちゃんと娘さんは何となくいい感じになっていき、菓子折持って「大ちゃんを、くれ!」 と紅家を訪れるお父さん。外堀から定食屋の跡継ぎにされそうになる中、大ちゃんは噴水の音に刺激を受けて、記憶の一部を取り戻す……。
 1986年――次狼は退院した音也の前に現れ、協力を要請。今度の敵がゆりの母親の仇だと知った音也は、それを受け入れる。
 相容れない2人の男の間に立つ、公立朝日病院の看板の使い方が素敵。
 敵はファンガイアの頂点に君臨するチェックメイトフォーの1人、ルーク。自らにルールを科した殺人ゲームを行い、成功すれば褒美を、 失敗すれば罰を、自分で自分に与えながら永い時を生き続ける、桁違いに強く、そしてイカれたファンガイア。
 この難敵を打ち破るべく、孤独な狼と変態音楽家は即席コンビを組み、まずはゆりからイクサナックルを回収。 音也がゆりさんを首筋チョップでさっくり気絶させるのですが、2人揃って、気絶したゆりさんを道に放置とか、扱いが割と雑だ(笑)
 麻生ゆり、敵どころか味方にまで、叩かれずにはいられない女(ちょっぴり不幸)。
 2008年――喫茶店を訪れた渡は、恵が調べていた未解決ファンガイア事件の資料の中に、大ちゃんが口にした「赤いタイルの噴水」 の写真がある事に気付く。そこは1986年にルークが暴れた場所であり、 タイルについたルークの爪痕を目にした大ちゃんは記憶に刺激を受けて苦しみだす……。
 恵さんは15−16話における登場シーンがこの、資料調査でお疲れで「老けました?」と渡に言われるという酷い場面だけなのですが、 リアルでも忙しかったりしたのか(笑)
 まあ、ゆりさんヒロイン度アップ編という事で、出番少なめにしたというのはあるでしょうが。
 1986年――ゲームの標的を追い詰めようとするルークの前に、立ちはだかる音也と次狼。
 つい10分ほど前に結託した即席コンビですが、マッスル+グラサンの次狼と、スーツの伊達男という音也の2人が並ぶと、 絵的に思わぬ格好良さ。
 「悪いな。ゲームは終わりだ。……いや、新しいゲームだ。俺がおまえを――倒す」
 次狼がイクサに変身して殴りかかるが、吹っ飛ばされて変身解除。音也がナックルを拾うがそこに復帰したゆりがやってきて―― しばき倒される。
 首領Sは早く、ゆりさんに飛び道具をあげた方が、いい。
 激怒した音也はイクサに変身し、次狼も狼の姿に。
 しかし、ガルルさんはわざわざ音也に共闘を呼びかけるぐらいだから何か策でもあるのかと思いきや、予想外に正面突撃(^^;  前回、半魚とフランケンの2人に、道端に咲く花のようにひっそり生きたいと言わせておく事で、 手を借りられそうな相手が音也しか居なかった理由付けはされているのですが、それにしても筋力過剰です。
 ゆりさんも感情的になっていようがいまいが突撃ヒャッハーの人ですし、Shit!  このパーティにも、知力が足りないヨ!!
 音イクサ&青狼の格好いい共闘ですが、2人がかりでも全くルークの相手にならず。 変身も解けて仕留められそうになる2人だったがそこでタイムプレイが時間切れ。ルークはセルフ電流デスマッチの為にその場を立ち去り、 後には無力な3人が転がるのであった……。
 2008年――過去の自分の痕跡に記憶を刺激されて苦しみだした大ちゃんは、娘さんに連れ帰られるが、そこでファンガイア化。 定食屋の客、お父さん、そして娘さんを次々と捕食する。
 大ちゃん=ルークによる悲劇はどこまで描くのかと思いましたが、作品としてかなり好意的に描写していた父娘まで、容赦なく消化。 カエル回で、「わかりあえるファンガイアも居るんだ」という要素を盛り込んだ後だけに(あの人もあの人でかなり問題ある感じでしたが)、 いっそう痛烈。
 ブラッディ・ローズの響きに呼ばれた渡はその光景を目撃し、目覚めた大ちゃんに蹴り飛ばされる。
 「22年前……俺は眠りについた。長い眠りのせいで、記憶を失ってたみたいだな。我が名はルーク。 偉大なるチェックメイトフォーの1人」
 「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ!」
 大ちゃん=ルークはファンガイアの姿を現し、目の据わった渡はキバット変身。
 「おお、おまえがキバを受け継ぎしものか。面白い」
 怒りのキバだったが、ルークの力は圧倒的で、手も足も出ないまま追い詰められてしまう。
 「とどめだ。いでよ、地の底で眠る、我が同胞達の魂よぉ!」
 久々に、巨大怪獣が出現し、ドラゴン城も出撃。そしてそこへ、新たな力を得たイクサが現れる。イクサの新たな力――その名は、 パワードイクサ。先のアタッチメントが恐竜の顔めいた、見た目白い油圧ショベルに乗り込んだイクサは、 まずは恐竜城を投げ飛ばす(笑)
 「見なさい。イクサの新しい力を」
 名護さん、すっかり、乗り物に頼るように(涙)
 イクサ&パワードイクサはファンガイア怪獣の攻撃を華麗に回避すると、爆弾の連続投擲で撃破。 ドラゴン城は気絶したキバを回収すると飛び去っていき、渡は次狼にお姫様だっこされて城の中へと運び込まれるのだった……。
 ルークとイクサの新しい力にどう折り合いを付けるのかと思ったら、イクサは怪獣担当となりました。ルークを落とさず、 イクサを少し上げ、忘れがちだったドラゴン城にも出番を作り、と巧い構成。
 特に、せっかくテンション上がった名護さんがルークに完封負けして、廃人にならなくて本当に良かった。
 同時に、ルークがイクサバージョンアップの踏み台にならなかったのも良かった所。
 ルークは久々に、これはどうやって勝つのか、という絶望的な力を見せつけてくれる幹部キャラで、大事に使われてほしい。 チェスの駒の基本的なランク付けだと、ナイトやビショップよりも上ですし。 音也&次狼が共闘したところをノーダメージ粉砕という見せ方が衝撃的で素晴らしかった。
 で、そんな凶悪なルークはどうして22年も眠っていたのか(単に、飽きたから、という可能性もありそうですが)、 「キバを受け継ぎしもの」とは何なのか、22年間を直接繋ぐキャラクターの登場で、 物語の謎の部分が見える形で転がってきたのも良かった所。
 13−14話に続き、渡の変身に焦点を当ててカタルシスを作る構成に、長石演出のテンポと絵作りも加え、面白かったです。 基本構造がひねっているのだし、このぐらい素直でいいと思うんですよ(笑)
 次回、やっぱりイクサはショベルカーと合体するのか?! 油圧式名護さんに期待して待て!!

◆第17話「レッスン#マイウェイ」◆ (監督:石田秀範 脚本:米村正二)
 ルークに完敗して気絶した渡はドラゴン城内に運び込まれ、薔薇の花びらの海に横たわる という少女マンガ体験の中、夢うつつに次狼の「音也との約束」という言葉を耳にする……が、目覚めると屋敷の2階で、 今回も渡と召喚獣達の絡みは無し。どうやら次狼が音也との約束で息子を守っている? とかそういった案配のようですが、 キバットさんの存在含め、キバ方面は未だに謎だらけ。
 ここまで、作品として“ライダーの存在”そのものを謎にして引っ張っているのは、かなり珍しいか。 それがどこまで物語の牽引力としてミステリーの軸になっているかというと、若干、微妙ですが(^^;
 今作のミステリー要素は、面白くないわけでも気にならないわけでもないのですが、二つの時間の流れを追う変則構成に加え、少々、 弾丸を撃ちすぎて一つ一つのインパクトが薄い。というか、色々ありすぎて一個一個が段々どうでもよくなってしまうというか(^^;
 全体的にとにかく、“要素”の多すぎる作品ではあるのですが。
 日常に戻ったものの、さすがに、大ちゃんの件を引きずる渡。
 「僕がいい人だと思う人は、みんなファンガイアで……もうわからなくなってきったんだ、僕はいったい何の為に戦ってるのか」
 大丈夫、さすがに名護さんはファンガイアではないと思うぞ! 最近、いい人でもないけど!
 「ああもう、面倒な事は考えるな!」
 キバット、思考停止を要求(笑)
 物凄くストレートに、主人公に戦闘マシーン化を要求してきましたよこのコウモリ。
 まあ、キバットの場合、ポジションがハッキリしない(背景がわからない)ので、発言にあまり重みはないのですが。
 その頃、そんな名護さんは現金輸送車の襲撃犯を食い止めようとしていたが、ボタンを引き千切るのに失敗(笑)  反撃を喰らった上に車で逃げた犯人を追いかけ、マラソンを開始していた。
 そして渡は、書き置きを残し、旅へ……。
 1986年――音也に頼み事をする、ゆり。
 「俺が欲しいならいつでもくれてやる。さあ、俺を弄ぶんだ、ゆり!」
 だが、ゆりの頼みはもちろん音也の折檻ではなかった。
 知り合いの少女のバイオリンの教師をしてほしいと言われて嫌がる音也だったが、ゆりとのデートを交換条件に承諾。
 「安心しろ。俺は全ての女性のタイプに適応できる。しかも対象年齢問わずだ!」
 と高らかに宣言するが、癖の強い少女に振り回され、過去編は主に音也と少女のドタバタで展開。
 2008年――風の向くままツーリング中の渡は、湖岸でアーチェリーを練習中の女性と出会い、何となく気に入られる。
 ……その頃、名護さんは犯人を走って追いかけていた。
 女性に連れられ、一緒にジムに向かう事になった渡は、そこで恵と遭遇。……大して、遠くまで旅に出ていなかった。
 ……その頃、名護さんは犯人を走って追いかけていた。
 段々と保護者じみてきた恵と女性による渡の奪い合いが発生した結果、2人はジムの競技で対決する事に。
 ……その頃、名護さんは犯人を走って追いかけていた。
 「ボタンだ……ボタンだ……俺のボタンだ……ボタンをよこせ!」
 すっかり幽鬼のようになった名護さんだが、犯人の正体は、なんとフラワーな感じのファンガイア。 名護さんはちょっとウルトラ怪獣チックなデザインのファンガイアに蹴り倒される。
 ジムでは、女が過去にファンガイアの襲撃を受け、トラウマを抱えている事が判明する。 恵は女がアーチェリーの前日本代表・倉沢だと気付き、意気投合。フラワーファンガイアが自転車乗りを襲う気配に気付いた渡は、 躊躇いながらもキバット変身。そこへ妖怪ボタンおいてけ状態の名護さんも走ってきてイクサ変身。
 前々回から何故か風邪気味のキバットが不調でガルルを召喚するが、イクサが誘導電波を放射し、 飛んできたガルルセイバーを奪い取ってしまうという、衝撃の『バビル2世』展開。 ガルルセイバーを手にしたイクサは猛然とファンガイアとキバを切り刻む……!
 名護さんがひたすら、酔っ払いみたいなのですが、未調整のパワードイクサの後遺症とかでしょーか。

◆第18話「カルテット#心の声を聴け」◆ (監督:石田秀範 脚本:米村正二)
 「ファンガイアが警察に逮捕されちゃった場合って、どうしたらいいんですか?」
 「何らかの手は打つ。警察の上層部にも、素晴らしき青空の会のメンバーは居る」

 ハイここ、重要な証言なので、各自、録音の上で複数のメディアに記録を分散して保存しておくように。

 ひーーーはーーー状態でキバを滅多切りにしていたイクサ、銃撃の追い打ちを決めた所で、 横からフラワーファンガイアのビームを喰らう(笑)
 だから名護さん、ファンガイアを無視するのをやめなさい、てあれだけ言ったのに……。
 キバとファンガイアはその間に姿を消し、すっかりバーサーカー状態で柱を叩く名護さん。……さっぱりよくわからないのですが、 ボタンを奪えなかったショックで大事な回路が故障したという事で良いのか。それにしてもあんまりすぎますが。
 そして渡は、「やだ、もうやだ……もう、戦いたくない」と地面に転がっていた。
 1986年――音也と次狼はビリヤード勝負中。ビリヤードでも華麗なダンディぶりを見せつける次狼だったが、音也、 折れたキューで奇跡の逆転勝利。これで少女に見直されるかと思ったがゆりがやってきて、 これまで散々出鱈目を口にしていた事がバレてしまう。
 前回今回と、過去編は次狼をギャグの世界に引き寄せつつのドタバタなのですが、どうも、音也と少女の絡みが面白くなりません。
 2008年――フラワーファンガイアに狙われる倉沢。戦いを嫌がる渡はブラッディ・ローズの響きに耳を塞ぎ、 男らしく単独出撃しようとしたキバットさんは、体調不良で床に転がる。
 男を見せ損ねたキバットですが、単身でも戦おうというほどに、ファンガイア退治に使命感を持っている模様。 ……こんなナリなので失念していましたがもしかしてキバットも、二枚目の人間体を持った異種生命体だったりするのでしょうか。 ……うむそれは、見たいかもしれない。
 倉沢の危機に駆けつけた恵は、久々に本領を発揮して、一方的に叩きのめされる。
 ええそれでこそ、我らが恵さんです(おぃ)
 そこへ妖怪ボタンハンターが現れ、イクサ変身。
 「おまえの命、神に返せ!」
 決め台詞も乱暴にラッシュ攻撃を叩き込んで追い詰めると、 人間の姿になったファンガイアのボタンを奪おうと殴る蹴るの執拗な暴行を加えるが、そこへ警察がやってきて、 ファンガイアは強盗として逮捕されてしまう。
 「ボタン、俺のボタン……!」
 止めようとする警官を殴り飛ばし、公務執行妨害でまたも逮捕されそうになる名護、そして今回も、 名護さんのフォローを全くしない恵であった(笑)
 この後、暴走状態の名護は覆面姿でパトカーを襲撃し、強盗ファンガイアの身柄を確保すると、遂に念願のボタンを入手。 喜んでいる所を殴り飛ばされて地面に転がる。
 えー…………名護さんの優先順位が、
 キバを倒す >>> ボタンを手に入れる >>> ファンガイア退治
 になっているのですが、キバに敗北したショックで、ボタンフェチがレベルアップして、 奪ったボタンにしか欲情できない体質とかになってしまったのでしょーか。
 渡はファンガイアに襲われて怪我をしても練習を続ける倉沢から、かつてある人から貰った言葉をきっかけに、 誰かに「やれ」と言われた事ではなく、自分の「やりたい事」をやるようになったのだ、と聞かされる……。
 1986年――オーディションに合格した少女の為に、音也はバイオリンを弾く。
 「俺からの最後のレッスンだ。これからは本当にやりたい事だけをやるんだ。心の声に、耳をすませろ。心の声に」
 なお、ゆりさんとのデートはこぶ付きでノルマ達成されました。合掌。
 2008年――
 「心の、声……僕の、本当にやりたい事……」
 ここで、1986年のバイオリン少女と、2008年のアーチェリー倉沢が同一人物であり、 倉沢は音也の言葉で今の道に進んだという事が判明。
 判明、といっても最初から見え見えでひねらず、ですが。
 別にひねらないのは構わないのですが、外見変わらないファンガイアではなく、過去編の人間がそのまま年齢を重ねて現代編に登場する、 というのは今作これまでメインでは無かったシチュエーションだったので、正直、もっと面白く使ってほしかった所。
 そして計算上、30歳前後の倉沢さんを「おばさん」呼ばわりしていた事がハッキリしたわけですが、 恵さんは10年後に物凄く後悔すると思う。
 倉沢の言葉を聞き、自分の戦う意味と改めて向かい合う渡。自分が本当にやりたい事はバイオリン作りなのは間違いない。だが、 キバとしての戦いは、ただただ強制されたものだったのだろうか……?
 「……僕は、戦えって声がするだけで、戦ってきたのかな。ねえ、父さん」
 「そうじゃねえだろ。ようく、思い出しな」
 「そうだ……僕は、僕の心の声は……」
 震えるブラッディ・ローズの弦に、さっぱりした顔で走り出す渡。
 「僕は自分の心の声で戦ってきたんだ! これまでも、そしてこれからも、大切なものを守るために!」
 えー、あー、うーん…………。
 湖岸では、トラウマを振り切った倉沢が、ファンガイアをアーチェリーで狙い撃ち。割と思いっきり、 矢が突き刺さっている絵は面白い(笑) だが所詮はただの人間、フラワーに追い詰められる倉沢だったが、そこへキバが参上。 体調不良のキバットは出血大サービスで3体を同時召喚し、3つの召喚獣を同時に憑依させたキバは、CLIMAXフォームに!(違います)

 同時召喚により、右腕緑・左腕青・胸紫になるのですが…………不細工。

 胸部装甲のとってつけ感が非常に良くないと思う(^^;
 見た目残念だが、3つの特殊装備を使いこなすカルテットフォームは連続攻撃でフラワーを追い詰め、 前ダッシュ野球キックで撃破する。
 ……それにしてもフランケンは、片言なので台詞は少ないし、そもそも出番が少ないし、 フォームチェンジは2回目にしてまとめられてしまうしで、扱いが残酷すぎる。
 色々あったけど、間接的に父の言葉に救われ、渡すっきり、というエピソードなのですが、どうにも首をひねる内容。
 渡の戦うモチベーションは、明示されずにだいぶ引っ張ったネタだったのですが、幾つかかき回した末に、 「戦えという声に言われるがままに戦ってきたつもりだったけど、本当は自分で戦いたいから戦ってきたんだ!」と、 何の回答もなく1周ぐるりと回ってしまいました(^^;
 その「心の声」、渡の「大切なもの」が肝心な筈なのですが、描いているようで実は全く描いていません。
 渡が人間社会大好きならともかく、自称“此の世アレルギー”だったわけで、 人間社会に思い入れの乏しかった筈のバイオリンキチガイの引きこもりにとって、何が大切なものなのか、そこは抜け落ちたまま。
 ここ数回の渡の変化、積極的な他者との関わりによって“大切なもの”が生まれて……という流れならまだわかるのですが、 それなら、「過去の自分は言われるがままに戦ってきたけど、今の自分は自分の意志で戦っている」 という“変化”の部分を重視した流れになる筈で、その意図も含んでいるのでしょうが、物語構造の中に組み込みきれていない。
 物語としては、“大切なものが出来た”ではなく、“大切なものがあった”という構成になってしまっています。 そして後者であるならば、“大切なもの”(これは、1話以前からの、という事になる)を劇中で描き出さなければ、 このエピソードの意味がありません。勿論、“実は大切だったもの”が何かというのは汲み取れない事はありませんが、 今回に関して言えば、構造上それをもっと前に押し出さないと、劇的なクライマックスに繋がりません。
 その上で、「心の声」という安易でファジーな単語をキーワードに使ってしまったのが、ますます中途半端。
 だいたい、「人間はみんな音楽」という奇天烈な名言を生み出した音也が、「心の声」では、まともすぎます。まともな上に、 面白くない。
 メインライターが16話連続で書いた事もあり、登場人物に強い癖がついていてサブライターの書きにくさというのはあったかと思いますが、 それなら何故、主人公の再起と改めての動機付けを描く重要エピソードを、ここで初参戦のサブライターが担当したのか。
 まあ、2巡目から演出の変化、ここ数話は物語構成の立て直しがあったので、作品全体の変化の一環なのかもしれませんが、 すっきりしない形になりました。
 そしてさっぱりよくわからなくなったのが、名護さん。
 結局、誰からもフォローが入らないまま妖怪ボタンハンターと化していましたが、何がしたかったのか。 キバに負けたショックでああなってしまったというならわかりますが、 前回パワードイクサで気持ちよくファンガイアモンスターを撃破した筈なので、そこからどうしてぷっつんしてしまったのか、 まったく繋がりません。
 単純にトラウマの暴走という事なのかもしれませんが、そうだとしたら、あまりに積み重ねと描写不足。
 どうにも怪訝な顔にならざるを得ないエピソードになってしまいました。

→〔その4へ続く〕

(2014年9月3日,2015年7月22日)
(2017年9月17日 改訂)
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