■『仮面ライダーW』感想まとめ1■


“また誰かが 突然ドアをたたく
事件の予感 Welcome Windy city”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーW』 感想の、まとめ1(1〜6話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。そこはかとなくヒートメタル色。


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◆第1話「Wの検索/探偵は二人で一人」◆ (監督:田崎竜太 脚本:三条陸)
 怪しげな施設から少年を連れ出そうとする2人組。怪人に加えて戦闘ヘリまで出てきて、いきなりの激しい銃撃戦という、面白い冒頭。
 「悪魔と相乗りする勇気、あるかな?」
 「おやっさん」が凶弾に倒れる中、連れ出した少年に誘われるまま、ベルトをはめる青年。 絶叫→無音→変身後のアップ→巻き起こる竜巻が全てを吹き飛ばす、と非常に格好いい入りから、OPで本編スタート。
 OPは、風にたなびくマフラー、という古典の要素を押し出しつつ、途中でイラスト調になったり、面白いタッチ。 毎度の事ですが第1話は、アバンタイトルから色々と、手探りの中で作品の雰囲気を出していこうという見せ方が楽しい。

 ――1年後・“風都”(ふうと)。

 鳴海探偵事務所を訪れる一人の少女に声をかける、えらく気取った青年。
 「うちにぃー、用か?」
 「ねえ、ハードボイルドってなに?」
 「いかなる事態にも、心揺れない、男の中の男の生き方。それが……ハードボイルドだ」
 『長いお別れ』(レイモンド・チャンドラー)を手に語る青年は、なんだかとてもダメそうです。
 特撮+探偵というと、未だに涼村暁(『超光戦士シャンゼリオン』)を思い出してしまう所ですが、あれとは、 また別の方向でダメそうです。
 権利書を手に事務所からの立ち退きを要求する少女は、「おやっさん」の娘・鳴海亜樹子。そこへ旧知の女性が現れ、 探偵は失踪した彼氏捜しの依頼を受ける事に。
 ゲストの女性は、『魔法戦隊マジレンジャー』(2005)で天空聖者ルナジェルを演じていた山内明日。この方もなんというか、 基本的に幸薄そう。
 「俺は左翔太郎。私立探偵だ。この街では、小さな幸せも、大きな不幸も、常に風が運んでくる。 街の幼なじみ津村真里奈の依頼は……まさに舞い込んだ一陣の風、だった」
 「なにひとりでナレーションしてんねん!」
 主人公の職業説明から、聞き込みシーンで街のあちこちにある様々な風車を見せつつ、浸り系の主人公・翔太郎と、 ツッコミ役になりそうな亜樹子の絡み。この辺り、半端にやらずに主人公が滑りきっているのがいい所です。基本的に、 いい歳してフィリップ・マーロウを夢見ているオトナは、碌な物では無いと相場は決まっています。 そんな二人は常識では考えられないようなビルの倒壊事件を目撃。
 「ドーパント……か」
 どうやらこの超常の事件と関わっているらしい翔太郎は相棒のフィリップと連絡を取っている内に、 事件の犯人と思われるマグマドーパントと遭遇。攻撃の回避手段が、腕時計から鋼線が出る定番アイテムというのが嬉しい。 伸ばして地上に降りようとして逆のボタンを押してしまうとかも、面白くなりました。
 「ビルが溶け、人が死ぬ。この街では、よくある事だ。はははははは、ま、我々の仕事のせいだがね」
 ここでドーパント事件に関わっているらしい見るからに悪の金持ち・園咲家が登場し、お姉さんが冒頭の怪人である事が判明。 悪の秘密結社ならぬ悪の秘密一家が登場しましたが、《平成ライダー》で組織だった悪の集団が初期から姿を見せるのは割と珍しいでしょーか。
 個人的には、こういう方が、落ち着きます(笑)
 翔太郎を叩き出そうとした亜樹子は事務所の奥の隠し扉に気付き、 そこで壁一面のホワイトボードにマグマについて書き記している奇矯な少年・フィリップと遭遇。 マグマの研究をタコ焼きで上書きしてしまう。
 フィリップが調べていたのは、今回のドーパントの力の源と思われる《ガイアメモリ》について。 手にした人間を超人――ドーパントへと変貌させるガイアメモリ。翔太郎とフィリップは如何なる理由からか、 風都の街でこのガイアメモリを追いかけているのであった……と、大阪から来た権利保有者を質問役に置く事で、 スムーズに基本設定を解説。
 タコ焼きフィーバーが無事に終了し、“星の本棚”と呼ぶ脳内無限図書館にアクセスするフィリップに、 翔太郎が足で稼いだ情報を入力し、マグマドーパントの次の標的を検索・推測。現場へ向かった翔太郎はそこで、 ガイアメモリの力によってドーパントへと変貌する彼氏と遭遇する。
 「止めてやるよ、俺が。……いや、俺たちが」
 翔太郎が現場でベルトをはめると、隠し部屋のフィリップの腰にもベルトが生じ、二人はベルトにメモリをセット。それにより、 翔太郎の姿は1年前と同じ、サイクロンジョーカーへと変身する。

「「さあ、おまえの罪を数えろ」」

 台詞は格好いいけど、ポーズは微妙に決まっていない(笑)
 風を巻き起こすサイクロンジョーカーは、途中でフィリップが勝手に右のメモリを入れ替え、ルナジョーカーに。 手や足がぐにんぐにん伸びるルナジョーカーは、一言でいうと、気持ち悪い。二言でいうと、 とても、気持ち悪いです。
 マグマを痛めつけた所で再びサイクロンに戻り、必殺技を発動。
 「マキシマムドライブ・ジョーカーエクストリーム」

 て、体半分ズレたーーーっ?!

 サイクロンジョーカーの必殺キックによりメモリブレイクされ、人間の姿に戻る彼氏だったが、 地中から現れた謎の巨大生物に食らわれてしまう。それを追う為、翔太郎は事務所を呼び出し、 幽体離脱気味のフィリップと亜樹子を乗せたまま、事務所からスーパーメカ発動、という所でつづく。
 フォームチェンジ1回にスーパーメカ出動まで、と1話としてはかなり盛りだくさん。詰め込み具合としては、 巨大ロボ戦まで入れてくる戦隊に近い物量。探偵物、というのは好きな基本設定なので、どんな展開をしていくのか、楽しみです。

◆第2話「Wの検索/街を泣かせるもの」◆ (監督:田崎竜太 脚本:三条陸)

 見所は、全裸ベルト。

 あと、尻(待て)

 いややっぱり、全裸ベルト(だから待て)

 色々あったのですが、史上最強のガイアメモリセールスマン・霧彦さんが全て持っていってしまいました。
 霧彦さんヤバい。
 物語は、前回の人物相関図からわかりやすくスタート。
 やってきたスーパーカーが怪獣と戦うが怪獣は逃亡し、死体で発見される彼氏。 共犯者による口封じと見た翔太郎はウインドスケール社襲撃事件を引き続き調べるが恐竜頭ドーパントの攻撃を受け、 コウモリとクワガタの小型サポートメカを使用。集めた情報からフィリップが“星の本棚”で検索し、 浮かび上がった共犯者の名前は――そもそもの依頼人、津村真里奈。
 恐竜メモリと体質の合う人までわかるとか、フィリップ、超便利。
 フィリップは安楽椅子探偵の役回りなので超便利なのは良いのですが、真里奈が元ウインドスケールのデザイナー、など、 視聴者に提示される前から翔太郎だけが知っている情報でいきなり真犯人が特定されてしまうという展開は、かなり雑。 後半のアクションパート優先の尺配分にしたのでしょうが、もう少し、丁寧に進めて欲しかった所です。
 ウインドスケールを解雇された二人はガイアメモリを売人から手に入れ、共謀して支店や会社を襲撃。 だが彼氏はガイアメモリの力に呑み込まれて暴走を始め、真里奈は彼氏を始末する為に、翔太郎に捜索を依頼したのであった。
 話し合いで真里奈を止めようとする翔太郎と、メモリの力に呑み込まれた真里奈に殺されそうになるだけだ、 とドライな対応を勧めるフィリップが対立。画面の両サイドで対論をぶつけ合うという演出は良いのですが、演技がたどたどしいので、 かえって辛い(^^;
 「おかしいな。情に流される事なく行動する鉄の男。それが君の大好きなハードボイルドでしょ。やっぱり、 本当の君は煮え切らない半熟卵なんだね。言うなれば――ハーフボイルド」
 激高した翔太郎はフィリップを殴ると、メモリを置いて外へ。
 ……対立、早い。
 翔太郎は小型メカで真里奈のハンドバッグを切り裂く(犯罪です)と、ガイアメモリを確認して真里奈を追求。 卑劣な上司がどうしても許せなかった……と翔太郎に抱き付いて泣き落としをはかる真里奈だったが、翔太郎はそれをもぎ離す。
 「昔言ったろう。俺はこの街で誰一人泣いてほしかねえんだ。おまえは、この街そのものを泣かしてる」
 翔太郎のヒーローとしての立ち位置を“風都の人々の為”と置き、同時に譲れない一線を指定。パーソナルで納得しやすい正義の背景にしつつ、 ヒーローとしてのちょっとした飛躍も巧く含めました。
 「……ふふふ、あははははは、なーんだ、ポーズだけじゃなかったんだ。意外と――血も涙もない人」
 ズバッと言われて、翔太郎、ちょっとショック(笑)
 真里奈は片肌脱いでガイアメモリを装着すると、恐竜頭ドーパントへと変貌。
 「素敵な翔ちゃん、愛してる。だから……食ってあげるわ」
 暴走するでか頭の攻撃で瓦礫の下敷きになる寸前、W車が翔太郎を助け、中からフィリップが降り立つ。
 あ、フィリップはてっきり、事務所から外へ出ない引きこもり体質かと思っていたのですが、外、出られるのですね。
 それを見て、罰の悪い顔になる翔太郎……こんなのばかりだ(笑)
 「なんだよ……今頃」
 「散々考えたんだけど、どうしても答が見つからなかった。僕はなぜ殴られたんだい?」
 どこかズレたフィリップは手を伸ばし、ケンカなど無かったかのように翔太郎を助け起こす。
 「半分力貸せよ。――相棒」
 ……和解、早い(笑)
 「なんだおまえら?」
 「僕たちは二人で一人の探偵さ」
 「行くぜ、フィリップ」
 ――『サイクロン』『ジョーカー』――
 「「変身!!」」
 道の真ん中で幽体離脱して倒れるフィリップ……を拾う亜樹子。でか頭は瓦礫を吸収して恐竜モードに大型化。 亜樹子が気絶したフィリップを連れて乗り込んだパトカーを引きずりながら大暴れし、ひたすら騒ぎ続けるヒロイン (マスコット?)。
 半ばギャグ処理なので緊迫感は薄いのですが、2話にしてここまで命の危機に陥り、 クライマックス中延々と大騒ぎしているヒロインキャラも珍しいような(笑)
 CG恐竜戦では、バイクのチェイスシーンから、W車・リボルキャリーでバイクの後部メカを換装して飛行マシンに、とメカ見せ。 支援メカでマシンが換装するとか、かなりメタルヒーローっぽいギミック。
 半分こチェンジは、火炎パンチを放つヒートジョーカーと、金棒で戦うヒートメタルが登場。かなりグイグイと見せてきますが、 今作の特色であるのと、フィリップと一緒に戦っている事を強調する意図でしょうか。
 最後はヒート金棒アタックでTレックスメモリを打ち砕き、落下する真里奈と亜樹子を、二つの意識があるのを利用して、 翔太郎とフィリップがそれぞれ救助。一瞬、半分に分かれて助けるのかと思いましたが、 さすがにそこまではやりませんでした(笑)
 パイロット版というと、車を何台壊してくれるのか、なんて事を期待しながら見る癖があるのですが、車はあまり壊れず、 CGとエキストラに予算が回された作り。1話冒頭の戦闘ヘリに始まり、2話クライマックスは恐竜登場から空中戦まで盛りだくさんで、 CG演出は歴代でもかなり多めでしょうか。一方で、ビル崩壊事故などでエキストラをかなり多く使っており、 人間の数で全体のバランスを取ったという感じ。
 こうして二人で一人のハーフボイルド探偵により二つのガイアメモリがブレイクされている頃、 長女・冴子の夫として見初められた噂のセールスマン霧彦さんが、園咲家に迎えられていた。

 全裸で。

 最初、上半身裸だけが映されて、お義父さんに挨拶に行くにはちょっとオカしいけど、半裸までだったら割とあるし、 一家揃ってドーパント状態でお出迎えだからそういう風習もあるかもしれない……と思ったら、下も脱いでいた!
 山内明日さんの、セクシー変身が、かき消された…………!
 脚本も、演出も、おかしい!!
 全裸にベルトを装着した霧彦さんは、園咲家の者だけが得られる、特殊なガイアメモリを渡される。
 「これで死ぬ場合もある。言い残す事はあるかね」
 「自慢の婿の誕生です。お義父さん」
 霧彦さんが、面白すぎて、凄い(笑)
 一発で、ここまで持って行かれたキャラは、久しぶりです。霧彦さんはもう、応援せざるを得ない……!
 そして鳴海探偵事務所では、ハードボイルドを気取りたい年頃の翔太郎が、古風にタイプライターで報告書を作成中。 ここで半分こヒーローの名前が「ダブル」と自己申告され、亜樹子は探偵事務所の所長として居座る事に。 押しかけ所長を加えた二人で一人の探偵は、ハードボイルドを目指しながらハーフボイルドに、 人々を狂わせるガイアメモリという闇に挑んでいく事になるのだった……。
 と、翔太郎とフィリップの関係に関してはやや詰め込みすぎた感はあるものの、相当アクションを充実させつつ、 善玉側/悪玉側のキャラクターを並べて互いの基本方針まで見せた辺りは、見事にやり抜きました。2話後半は山内明日さんの熱演もあり、 大人になる過程でどこか捻れてしまった女と、大人になりきれないハーフボイルドな翔太郎との対比が、巧く出て締まりました。
 探偵バディものを“二人で一人のライダー”としてまとめたアイデアは面白く、 フォームチェンジを出し惜しみしないでドンドン見せてくれる所は好みです。メカ関係は、派手に出てきたと思ったら、 その後さっぱり出番が無くなる、というのはままあるので、保留(笑)
 どちらかといえばごてごて路線だった《平成ライダー》では異彩を放つ、つるっとした造形のWは、ポスト『ディケイド』の新シーズン、 というのを強く意識したデザインでしょうか。チェンジといいキックといい衝撃の半分こでしたが、モチーフはもしかして、 人体模型とかだったりするのか(笑) スカルマンだと考えると、これもまた原点回帰といえば原点回帰ですが。 インパクトの強い配色もキカイダーの系譜といえば系譜で、かなり色々と、入れてみた気配(石ノ森ヒーローのエッセンスを全身に散りばめているとの事)。 たなびくマフラーはもとより、街中に印象的に配置された風車、というのも初代ライダー(ベルトの風車に風の力で変身する)への意識を感じる要素ですが、 “街もの”というのも好きな基本設定なので、風の街・風都という舞台が如何に使われていくのかも楽しみです。

◆第3話「Mに手を出すな/天国への行き方」◆ (監督:諸田敏 脚本:三条陸)
 園咲家の妹・若菜は、フィリップも気にいっているラジオのパーソナリティ。
 セクシーな姉と、裏表の激しい小悪魔系の妹の姉妹とか、いったい誰の趣味による陰謀なのか。
 そんな若菜姫のラジオでも度々投降コーナーで話題になる、幻のカジノ・ミリオンコロッセオ。 一夜にして莫大な金を稼ぐ事が出来るという天国のカジノは果たして実在するのか……翔太郎は和菓子屋の夫婦から、 「豹変してしまった娘がミリオンコロッセオに関わっているらしいので調べてほしい」と依頼を受ける――。
 ハードボイルドに決めたい翔太郎と何かとやかましい亜樹子の凸凹コンビは娘の尾行に失敗、 情報屋の仲介で“天国のカジノから帰ってきた男”と接触するが、豪邸に住んでいた男は落ちぶれており、 フィリップと連絡を取っていた隙にマネードーパントによる取り立てを受けて倒れてしまう。天国のカジノ・ミリオンコロッセオは、 ドーパントの運営する悪魔のカジノだったのだ。
 「家族……我が家……」というキーワードにフィリップがフリーズするなどあったものの、変身してマネードーパントを捕まえるダブル。
 「おまえはいったい、何者だ」
 「俺はダブル! 街の涙をぬぐう、二色のハンカチさ」
 変なポーズで格好つけて、手を放す。
 「はっ、くだらん。私は馬鹿と金にならないやつは相手にしない主義でね」
 謎のドーパントの横槍もありマネーに逃げられてしまう翔太郎。更に実家の通帳を持ち出そうとした和菓子屋娘に怒った亜樹子が突撃し、 身辺を探っていたのがバレてしまう。
 「お金と家族、どっちが大切なのよ!」
 ここで「家族」をキーに、顔芸担当だった亜樹子が、物語へ絡む事に。……多分。 父親とのあれこれとかありそうですし、ここで怒りを見せたのは、単なる義侠心だけではないと思われる所ですが。
 肝心要の秘密は、“ミリオンコロッセオへの行き方”にある――翔太郎はラジオ局へ赴くと、 ミリオンコロッセオ絡みの投稿に出てくる地名をチェック。ついでに若菜姫からサイン付きブロマイドを貰って、ひゃっほーーーい♪
 ……翔太郎の、“残念な二枚目”路線は、とてもいいと思います(笑)
 その後、サイン付きブロマイドをフィリップに渡して、相棒へのお土産とはいい所あるなぁ、と思ったら、 自分の分もしっかり確保していました。
 なまじ顔が格好いいだけに、この残念加減は、とてもいいと思います。
 フィリップの“星の図書館”にチェックした地名を次々と入力した結果、 路線バスに偽装したミリオンコロッセオ行きの闇のバスが運行されているという推測が浮かび上がる……とこれは非常に面白く流れました。 フィリップがバスの運行ルートを導き出し、有力地点で張り込んでいた翔太郎はバイクでバスを追うが、 途中で運転手に気付かれてチェイスシーンへ。派手な幅寄せで転倒した翔太郎はなんとかバスに張り付くが、その中には、 着飾った亜樹子が乗り込んでいた。
 亜樹子を見つける所まで含めて、ドタバタアクションとしてテンポよく展開。 小道具の蜘蛛でマネードーパントの攻撃をかわした翔太郎は走行中のバスの上からヘルメットを投げ捨てると、 帽子を被ってから変身。
 ハードな男の……譲れないこだわりです。
 バイクとヘルメットは多分、魚心水心な関係の刑事さんが、何とかしてくれるのでしょう。刑事役のなぎだ武は、 芸人さん起用時にままある、やや過剰演技なのですが、作品として全体にオーバーアクション&芝居がかったキャラクターが多いので、 その辺りも織り込み済みではありましょうか。2話で「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ」(お約束)突っ込んでいたけど、台本通りなのか、 アドリブだったのか。
 「今日をミリオンコロッセオとやらの、閉店日にしてやるぜ」
 マネーの銭投げ攻撃に対しメタルサイクロンにチェンジしたダブルは金棒でコインを弾いて追い詰めるが、 実はマネーの腹に詰まったコインは、客の生命力から作られていた! マネーを倒すとその客も死んでしまう、 という事実に動揺した所に反撃を受け、更に「我が家……家族……」 というキーワードに過去?を思い出したフィリップが動作不良に陥った所をスーパーコイン爆弾を受け、吹っ飛ぶダブル。
 幾つか事情が重なったとはいえ、3話にして主人公が敗北、というのは結構珍しいよーな。
 叩くだけ叩いて満足したマネードーパントは、馬鹿で貧乏なダブルを置いて悠々と去って行き……その頃、 亜樹子はミリオンコロッセオへ客として潜入する事に、成功してしまっていた。

◆第4話「Mに手を出すな/ジョーカーで勝負」◆ (監督:諸田敏 脚本:三条陸)
 冒頭の見所は、爆炎の中でも、変なステップ踏んでいるダブル。
 「あれは、あいつの家族……?」
 翔太郎にも覗き見えた、フィリップのビジョン。家族の情報を求め、星の図書館を彷徨うフィリプだが、 手にした本のページは引き裂かれていた。手に入らない過去に混乱するフィリップを気遣う翔太郎だが、 そこへミリオンコロッセオへ侵入していた亜樹子から、連絡とコウモリメカを使っての中継映像が入ってくる。
 そこでは和菓子屋の娘がオーナーとサシで勝負をして1億円を溶かした挙げ句、命をチップとした最後の勝負に敗北し、 生命力をコインとして吸い出されてしまっていた。怒りの亜樹子はマネーにスリッパアタックを敢行し、危機に陥る。
 その頃、園咲家では婚礼の準備が進められていた。
 「霧彦くん。婚礼を行う前に、君を一発殴らせてくれるかな?」
 「まるでホームドラマですね」
 軽い洒落かと思ったら
 「ふっふっふ、園咲家の者は、皆、我らミュージアムの中枢。この街の、いや、全ての人類の統率者だ。君が、 ナスカメモリの能力を極めているかどうか、それを確かめねば、式を、あげさせられん」
 お義父さん、本気でした。
 テラーメモリを手にする義父だったが、若菜姫が代理を請け合い、クレイドールドーパントへと変貌。
 「気取った男のメッキを剥ぐの、私だーいすき。うふふ」
 余裕を取り戻した霧彦さんはクレイドールの飛び道具を、変態回避。どうして今頃、大股広げて、『マトリックス』回避なのか、 霧彦さん。最後はクレイドールのパンチを真正面から受け止め、試験に合格。
 クレイドールを見せつつ霧彦さんの力も見せ、そんな霧彦さんが思わず後ずさるテラーの底知れぬ力も見せ、と濃厚なシーン。 また、翔太郎達とは関係なく、園咲家の方は園咲家の話が動いている、というのはいい所です。
 亜樹子がマネードーパントを挑発した結果、ガイアメモリをチップ代わりにフィリップと翔太郎がカジノに乗り込む事となり、 それぞれライフコインとガイアメモリを賭けて、ルーレット勝負が始まる。完璧な計算で次々と出目を読んで5連勝をもぎ取るフィリップだったが、 オーナーが口にした「家族」という言葉で再び動作不良を起こし、出目を読み損ねてしまう。
 一方、つつがなく進行する結婚式。
 「お父様、私、幸せよ」
 「ああ、世界一幸福な家族だ、我々は」
 フィリップ「家族なんて、興味が無いっ」
 成る程、随分と悪玉側の結婚式を大きく取り上げるなぁと思ってはいたのですが、それぞれ含みのありそうな悪の秘密一家と、 フィリップの失われた思い出を繋げる、と来たのは面白い流れ。となると、鳴海探偵事務所は疑似家族の形を取っていくのか。
 集中力を欠いたフィリップが連敗で追い込まれ、選手交代を宣言した翔太郎は、謎の人物・サンタちゃんに貰っていたトランプで、 全てを賭けたばば抜きの勝負を申し出る。だが、翔太郎の視線やわずかな動きを読み、 加えて巧みなカード捌きで完全にゲームを支配するオーナーに翻弄され、窮地に陥る。 事態を把握しながらも手を出す事が出来ず絶望するフィリップに対し、翔太郎は勝負を諦めない。
 「大丈夫さ。黙って見てな。おやっさんが言ってたぜ。男の仕事の8割は決断だ、そっから先はおまけみてえなもんだってな。 俺はたとえ無謀でも、おまえを守って勝負すると決めた。だから、結果がどうだろうと悔いはねえ。 おまえは……おやっさんから託された時代な相棒だからな」
 それでも無理だ、と言うフィリップに炸裂する、亜樹子のスリッパ。
 「君たち、2人で1人じゃない」
 「そうだ……俺たちはダブル。2人で1人だ。いつも2人で1人だよな、フィリップ」
 何かを閃いた翔太郎はフィリップに目配せし、その意味を悟るフィリップ。 オーナーの巧みなカード捌きで翔太郎の左手がジョーカーへと伸びたその時、素早く動いた右手がエースのカードを弾き飛ばす。
 「残った札はいらねえ。俺自身が、ジョーカーだからな」
 翔太郎の表情を完全に読んで引く札を支配するオーナーに対して、こっそりとWドライバーを填める事で意識を繋いだフィリップが、 右半身を操って翔太郎が引こうとしたのとは逆の札を引いたのだった!
 前回、ドライバーをはめていると意思疎通が可能であるのを見せたのが、しっかり伏線として機能。
 「良く気付いてくれたじゃん、相棒。……この勝負」
 「あたし達の勝ちね!」
 「だから格好いいとこ取るなよおまえは!」
 おやっさん絡みの台詞の所で第1話冒頭の映像を引き、翔太郎とフィリップの2人の相棒関係を補強しつつ、 亜樹子の意味もしっかり作った所は、非常に秀逸。また、翔太郎の中における、おやっさんの存在の大きさを随所に折り込み、 鳴海探偵事務所が、不在のおやっさんも含めて一つの形になりました。
 オーナーはマネードーパントへ変身し、2人にさっとメモリを差し出す亜樹子。 亜樹子は少しバランスを失敗するとただ鬱陶しいだけのキャラになってしまいますが、今回の所は面白く収まっており、 今後も巧く使っていってほしい所です。
 「「さあ、おまえの罪を数えろ」」
 逃走するマネーをバイクで追い詰めたダブルは、サイクロンジョーカー→ルナジョーカー→ルナメタルとチェンジし、軟+剛で、 メタル鞭を発動。しばかれたマネーは「家族」を持ち出してフィリップの動揺を誘おうとするが、フィリップは既にそこに、 新しいデータを手に入れていた。
 「家族……家族。それなら代わりがある。ちょっと冴えないけどね」
 最後はヒートメタルからマキシマムドライブ、燃える鉄棒・メタルブランディングが炸裂して、メモリブレイク。 翔太郎達はオーナーから回収したライフメダルを人々に返し、天国のカジノは店じまいとなるのであった。
 後日――報告書を記す翔太郎の耳に届くラジオ。
 「今日のお題は、仮面ライダーです。投稿、すっごい多いです。バイクに乗って怪物を倒す超人! ふふ、いや、若菜信じてます」
 先日の戦いで、バイクに乗ってマネードーパント追うダブルの姿が、風都の人々に目撃されていたのだ。
 それを聞き、テンションの上がる翔太郎。
 「やったーーー! 若菜姫に笑われたぁ! 仮面ライダーだってよぉ。俺たち、いかがわしい都市伝説扱いされてるぞ!」
 なぜ、嬉しそうなのか(笑)
 「2人で1人の仮面ライダー」
 「「ダブル!!」」
 おおここで、「仮面ライダー」の劇中定義付けもやってくるとは、これはお見事。
 どだい、ブランドタイトルとしては圧倒的なネームバリューを持つも、2000年代に劇中で再定義付けをして自称させるには苦しく、 作品によっては最初から投げ捨てていた「仮面ライダー」という名称ですが、“都市伝説による他称”という形を取る事で、 強引さを減じ、物語の中に収めてきました。
 翔太郎とフィリップの相棒関係、おやっさんと亜樹子を加えた鳴海探偵事務所という場所が劇中で一つの形を無し、 「仮面ライダー」という都市伝説の超人が生まれる。そして園咲家は婿を迎え、一つの家族が街を覆う悪意として明確になる、 と盛りだくさんの内容が綺麗にまとまり、面白かったです。ラジオの噂に始まってラジオの噂に終わる、という構成も秀逸でした。

◆第5話「少女…A/パパは仮面ライダー」◆ (監督:黒沢直輔 脚本:三条陸)
 第二風都タワー計画を推進する市会議員・楠原みやびに、ボディガードを依頼された翔太郎。 年端もいかない実の娘を政治パフォーマンスに利用する議員のやり方が気に入らない翔太郎だが、 突然の銃撃にダブルに変身して母娘を守る。
 「パパ……? 来てくれたのね! パパぁ!」
 「ぱ、ぱぱ?!」
 なぜか娘からパパ扱いを受ける、仮面ライダーダブル。娘の手にしている仮面ライダー(?)のフェルト人形が、 ミラーワールドで戦っていそうなデザインでとても不吉です。
 見えざる敵の曲がる弾丸にダブルはメタルで防御に専念。
 棒術ってアクション的にけっこう見栄えがして好きなのですが、《平成ライダー》でも他にクウガ青ぐらいな気がするので (U電王はどちらかといえば槍っぽい使い方)、玩具的には微妙なのか。確かに、手持ち武器なら剣だろう、 というのはわかりますが(笑)
 議員襲撃事件の背後には、第二風都タワーの建設が望ましくない園崎家の暗躍があった。翔太郎は霧彦さんと初の擦れ違い、 そして楠原議員の夫が、昨年殺されていた事を知る。もともと第二風都タワー建設を推進していたのは亡き楠原夫であり、 妻は夫の意志を継ごうと議員になってなりふりかまわぬ活動を続け、娘には「第二風都タワーの為に働けば、 お父さんが助けに来てくれる」と嘘を吐いていたのだった。
 ダブルが掴み取った弾丸をフィリップが分析した結果、それは金属ではなく生物の歯である事が判明。 写真に写らない見えざる狙撃者の正体――それは撮影の出来ない水中に潜んだアノマロカリスドーパントであった!
 ここまで、マグマ、T−レックス、マネー、テラー、クレイドール、などなど、生物から無機物、 自然現象に感情?と好き放題のドーパントですが、モチーフの自由度が広がった上で特殊能力と紐付けされ、 デザインと配色のバリエーションが豊富なのは嬉しい所。スタイリッシュ路線も悪くはないけど、個人的にはこれぐらい、 怪人は色彩豊かな方が好みです。
 なおアノマロカリスドーパントは、モチーフがそもそも怪人(怪獣)ぽい見た目ゆえ、何だかほぼまま(笑)
 「おまえの頭脳は100点満点なんだがよ、いつも妙に間が悪いんだよな!」
 タイミング悪く議員達は水際におり、慌てて変身したダブルは銃撃から議員を守ると、サイクロントリガーにフォームチェンジ。 トリガーの強力な射撃により水中のアノマロカリスドーパントをいぶりだすと、 探偵アイテムのクワガタにヒートメモリを差し込んで火炎クワガタアタックで攪乱。 トドメは改めて衝撃の半分こキックによりメモリブレイクに成功する。
 だが、その正体は翔太郎が怪しんでいた人物ではなかった。そして水辺に潜んでいたもう一体のアノマロカリスドーパントの攻撃が、 議員に迫る……!
 探偵アイテムをガイアメモリで強化出来るというのは、色々と使いでがありそうで面白そうなギミック。そして次回、 地上絵しか思いつかないけどなぜ地上絵なのか、本当に地上絵なのか、という史上最強のセールスマン霧彦さんもといナスカドーパントと、 ダブルが激突!

◆第6話「少女…A/嘘の代償」◆ (監督:黒沢直輔 脚本:三条陸)
 ダブルはルナジョーカーの伸縮ハンドでアノマロカリスドーパントの攻撃から議員母娘を無事にガードするが、 本命のアノマロカリスには逃げられてしまう。
 成る程ルナ、レスキューにも使えるというのは、便利。
 これ以上娘を巻き込むのはやめるべきだと議員に忠告する翔太郎だが、議員は考え方を曲げない。 いつか取り返しのつかない事態になる前に、父の死という真実を娘に伝えるべきだ、 と考える翔太郎は娘の描く仮面ライダーの絵に目を留め、ついつい「仮面ライダーと友達」という自分の嘘を続けてしまう。
 歪な母娘関係の始まりは、父の死でふさぎ込んだ娘に、父親からお守りの人形が届いた、という母親の優しい嘘であった。
 「パパは、風都の平和を守る、仮面の騎士になったのよ」
 ……それで、そんな不吉なデザインだったのか(笑)
 (嘘と偶然が、この子の心を救ったんだ……。俺がもし本当の事を言えば、この子は……)
 案の定、ごくあっさりとほだされる翔太郎。まあこの辺りは、翔太郎のいい所です。
 「相変わらずハーフボイルドだねぇ。まさか、楠原あすかの為に、嘘に付き合うっていうんじゃないだろうね」
 「う……うるせえよ」
 フィリップの調べで、確保した犯人が使っていたガイアメモリは、完成前の実験品であった事が判明する。つまり黒幕は、 ガイアメモリを買った客ではなく、流通させる組織に関わる人間――そう、実は第二風都タワーの建設予定地の地下には、 ミュージアムの管轄するガイアメモリの工場があったのだった。真のアノマロカリスメモリの使い手である工場長は霧彦に協力を頼むと、 議員娘を誘拐。さらわれる娘に何とか発信器を取り付けてダブルに変身する翔太郎だが、その前にナスカドーパントが立ちはだかる。
 「やあ、仮面ライダーくん。一目君を見た時から、ずうっと思い続けてきたんだ。真っ二つに割ってみたい、とね」
 剣を扱うナスカに対し、ダブルはヒートメタルで対抗。
 「私の街から、消え失せたまえ」
 「風都は貴様等の街なんかじゃねえ」
 ナスカのオーラ斬りを受け止めたダブルはヒートトリガーにチェンジすると、相討ち覚悟の零距離射撃でナスカを撃破。 そのダメージでフィリップが意識を失ってしまい、翔太郎は生身で発信器の反応を追う事に……と、刑事ドラマ風疾走シーン。
 ここは霧彦さんの台詞が伏線で、オーラ斬りに対して禁断の半分こ回避が発動するのかとドキドキしたのですが、 さすがにそこまではやりませんでした。
 かくて待望のダブルvsナスカの第一ラウンドは、ダブルの優勢勝ち。
 「こんなイカれた反撃を……バカな! ……いや、馬鹿なのか? 馬鹿だからこそか」
 霧彦さんはいかにも、あまりにも予想外の攻撃だったんだ! とおっしゃってますが、 ダブルの側は強敵だったので一か八かの反撃を行った、というよりも、時間が無かったので手っ取り早く片付けた、という感が強く、 割と無様な負けっぷりと言わざるを得ません(^^; そもそも、羽まで出した派手なオーラ斬りを防がれた上に、 ヒートパンチを顔面に食らってましたし。
 初戦闘にして強さ見せの機会を無残にキャンセルされた霧彦さんには、第二ラウンドでの雪辱を期待したい所です。
 楠原娘を助けに追う翔太郎の方では、亜樹子がお酢を飲ませて事務所のフィリップが意識を取り戻し、ダブル変身。 娘を人質に呼び出された議員が危機一髪の所に駆けつける。
 この前のシーンで娘が「嘘だよね!」みたいな事を言っていて微妙に前後の会話が合わないのですが、 これは犯人が「父親は俺が殺した!」みたいな事をはっきり言うシーンが変更ないしカットされたのか(そう受け取れる台詞はあるけど、 娘が理解するには弱い)。この後の、そこにダブルがパパとして助けに来る、という展開は、 そういう台詞(シーン)があったと考える方がしっくり繋がりますし、有ると無いではシーンの意味の濃さが変わる。
 「パパを、信じているよな、あすか」
 「うん」
 ダブルは撃ち出したビームすら曲げるルナトリガーによる曲撃ちで、人質にされた楠原娘を救出。 追い詰められたアノマロカリスは巨大化し、サポートマシンを呼んだダブルは水上バイクモードでのチェイス戦の末、 ルナトリガーのマキシマムドライブを発動。
 「「さあ、おまえの罪を数えろ。――これで決まりだ」」
 次回予告のフレーズを入れてのフルバースト乱射で、アノマロカリスを撃破し、メモリブレイクに成功するのであった。
 ――残った問題は一つ。
 「パパぁ!」
 もうこのまま、楠原議員と結婚するしかないのか。
 人生の岐路に立たされる翔太郎だが、楠原議員は「パパは風都のみんなを守らないといけないから、もう行かせてあげて」と娘を説得。 頷いた娘はパパに、いつも出かける時の挨拶をせがむ。そんなものは知るわけがなく硬直する翔太郎だったが、 事前に楠原父について調べていたフィリップがダブルの右半身を動かし、楠原父がやっていたように娘の頭を撫でる、といい話で締め。
 そしてパパは、変な水上バイクで走り去って行くのであった(笑)
 (――楠原みやびは、議員を引退し、第二風都タワー計画は無期延期となった。だが、親子は別の新しい何かを手に入れたと、 俺は信じてる)
 こういったエピソードは一歩間違えると上っ面だけのいい話になってしまうのですが、 翔太郎のある種素朴な人の良さと格好つけたがり体質、そんな翔太郎のパターンを読んでさりげなくフォローするフィリップ、 と2人のキャラクターの方に軸足を置く事で、うまく『ダブル』という物語の中で収めました。 サブタイトルのダブルミーニングもスパイスとして効いています。
 またそれとなく、翔太郎は楠原議員にいいように利用されていた感じなのが、今作らしい(笑)
 (――いつの日か、そう遠くない未来に、母は娘に本当の事を話すのだろう。その日が来るまで、俺たちは彼女の夢を裏切れない。 ……仮面ライダーダブルの使命が、また一つ、増えちまった、て事さ)
 小粋に締めようとして酔っ払い気味のオチも綺麗にはまり、3−4、5−6、と今作の雰囲気がしっかり定まってきて順調な立ち上がり。
 黒沢監督は初めて見ましたが、テンポ良くまとまっていました。楠原親子の回想シーンが、部分を切り抜いた非現実的な映像だったのが、 印象的。若菜姫は1話から舌打ちで特徴づけされていましたが、今回、事あるごとに冴子の目元のアップになったのは、 それに対応する形の差別化という所でしょうか。

→〔その2へ続く〕
(2014年11月19日)
(2017年3月21日 改訂)

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