■『仮面ライダーストロンガー』感想まとめ8■


“ゴー ゴー レッツゴー 輝くマシン”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーストロンガー』 感想の、まとめ8(36〜39話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ5〕 ・ 〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・  〔総括〕


◆第36話「三人ライダー対強力デルザー軍団!」◆ (監督:内田一作 脚本:大野武雄)
 続々登場する先輩ライダー達に加え、今作の5人ぐらいで回している怪人声優もデルザー軍団に一挙投入され、敵も味方もフルキャスト。
 長らくアジトでふんぞり返っていたシャドウは指揮権をマシーン大元帥に奪われ、遂に始まるデルザー軍団の日本侵略作戦。
 「いよいよ、日本総攻撃を開始する。デルザー軍団の手で、日本中を火の海で覆い尽くすのだ!」
 「四日市……続いて東京」
 恐らく当時、公害問題(四日市ぜんそく)などもあって工業地帯としての知名度が高かったのでしょうが、かつてここまで、 フィクションにおいて四日市が重要な扱いを受けた事があったでしょうか(笑)
 四日市には既にヨロイ騎士が向かっており、ストロンガー対策を任せられた磁石団長は、 幼稚園バスを暴走させて茂と藤兵衛を誘き寄せる。
 磁石団長は磁石系としてはオーソドックスなデザインながら、S(極)とN(極)をあしらった棒状の武器がお洒落。 叫び声が「しゃいーん!」としか聞こえなくて、某鉄の爪を思い出します(笑)
 風見先輩に教わったのか、走行中のバイクに乗ったまま変身を披露したストロンガーは幼稚園バスを救出し、磁石団長と激突。 マグネットパワーに引っ張られた上にミニ磁石を浴びせられて磁力で体内の回路を破壊されそうになるが、 藤兵衛のアドバイスによって電気を流して磁極を反転させる事でこのピンチを脱出。
 昔の事を思い出した影響か、藤兵衛が急速に魂の輝きを取り戻していきます。
 反撃に転じるストロンガーだが、マシーン大元帥にいびられたストレスを解消しようと、磁石団長を嗤いにシャドウが現れ、 おまけにわざわざ、四日市を狙っている事を教えて帰宅。
 「さしずめ、四日市の石油コンビナートなんかは、丁度いい場所だからな」
 「いかんせん四日市じゃ……」
 ひたすら続く、四日市のステマ……ステマ?
 前回ぐらいから茂と藤兵衛がいつの間にやら東京に居る事になっているのですが、 タイアップ回以外でこれだけ地名が連呼されるのは割と珍しいと思われ、彼我の距離感が意味を持つ事と、 デルザー軍団の作戦の大規模さ、そこへ駆けつける先輩ライダー達の頼もしさ、と幾つかの要素が強調されています。
 同刻・四日市――そこではデルザー軍団のヨロイ騎士が、コンビナートに爆薬を仕掛けていた。
 「四日市を火の海に包み、全てを、灰にしてやる!」
 「それまでだ! ヨロイ騎士!」
 だがそこに、スペインからやってきた神敬介が立ちふさがる!
 「大変身!!」
 前回、V3先輩は主題歌インストだったのに、Xの主題歌は歌詞入りで流れるのは、歌唱力の問題でしょうか(笑)
 Xのライドルスティックとヨロイのサーベルがぶつかり合い、ヨロイはちゃんとマインゴーシュと二刀流なのが素敵。 ヨロイ戦闘員を蹴散らしていくXだったが、ヨロイの放った高速熱線により仕掛けられた爆薬の一つが起爆してしまい、 吹っ飛ぶコンビナート(の一部)。
 ここで先輩ライダーが出てくると一方的に勝利を収めるのではなく、一筋縄ではいかないデルザー軍団の力を見せて、 敵味方の総力戦の雰囲気と説得力を強く出してきたのは、良いバランス取り。
 続けて再び高速熱線を放とうとするヨロイだが、どこからか飛んできたロープがその動きを封じる。
 「待て!」
 「誰だ、おまえは!」
 「はははは!!」
 うーん、立て続けにこういう人達が出てくると、悪の軍団も大変だなぁ(笑)
 そして高い所に現れた男は、いきなり、脱・い・だ!
 「アーーマーーゾーン!!」
 各ライダー、登場→(脱衣)→生身バトル→変身→バトル、とサービス満点。Xとアマゾンの共闘によりヨロイは逃亡し、 四日市コンビナートの爆破被害を最小限に抑えられたデルザー軍団は、仕切り直しで本命の東京を攻撃目標とする。ここで、 生の目出しを生かして、目をつぶって考え込む大元帥、という絵は、なかなか面白い演出。
 磁石男爵はアジトの設備で強化したマグネットパワーを用いて2機の飛行機を墜落させ、 ここでも黙ってやられっぱなしではないデルザー軍団の恐ろしさが描かれます。
 藤兵衛からの情報と磁力探知機によりアジトを発見した茂だが、その前に立ちはだかるヨロイ騎士。
 兜の造形と紫マントが、今見ると微妙にヴァンプ将軍(『天体将軍サンレッド』)を思い出させるヨロイ騎士、 掛け声の「かっちゅー!」が凄い(笑)
 そこへXとアマゾンが駆けつけてヨロイと戦い、ストロンガーは磁石の元へ。ここで3人ライダー対応の挿入歌(若干、 元からあったBGMに無理矢理歌詞を乗せた感じもあるけど)が流れて、二つのバトルが同時展開。
 ヨロイは、「上がってこい!」と高い所から挑発したら更に高い所に上がられ、物凄く高い所から思いっきり投げ落とされる着ぐるみ。
 最後は、チャージアップしたストロンガーが超電ジェット投げ(ジャイアントスイング)した磁石に向けて、 Xとアマゾンがヨロイを投げつけ、空中で衝突してもろとも大爆死。

 鬼だ。

 がっちり手を合わせる3人+1だが、倒した筈の改造魔人の「我々は不死身だ」発言が不気味に響き渡り……つづく。
 デルザー軍団が更に2人出てきたと思ったら、先輩ライダーも2人現れ、数には数、力には力、の大活劇がテンポ良く進行。 これまで、デルザー軍団を一騎当千の強者達と描いてきたのも功を奏し、それなりの緊張を維持したままオールスターバトルが転がっています。 また、やはり生の役者さんを一回見せておくと変身後の存在感が段違いで、とにかく華やか。 問答無用の派手さと楽しさが全体に溢れています。
 ところでどうでもいい余談ですが、『X』の主題歌の歌詞をずーーーっと「銀の仮面に黒マフラー 光に輝く海と海」 だと思い込んでいて、改めて確認して物凄くビックリしました(^^;
 次回――君こそ仮面ライダー4号だ!

◆第37話「ライダー捕わる!デルザー万才!!」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
 デルザー軍団は秘密兵器、地震発生機をテストし、特に説明も言及もなくしれっと復活しているヨロイ騎士と磁石団長。 地震発生機は期待通りの成果を上げ、団長と騎士は富士ダムを目指す。
 会議室の壁に貼られた日本地図の上に、デルザー軍団と書いてあって、凄く気になります。 後ろに赤い文字?が見えるので、正確には「デルザー軍団○○○」っぽいのですけど、文字が読み取れず。
 不審な地震を調べていた茂は、地震発生機をジープに積んで移動中の騎士と団長を発見してその後を尾行。発生機、 車の荷台に積んで持ち運び可能な代わりに現地まで行かないと地震を起こせないのは、高性能なのか何なのか。
 デルザー軍団を止めようと飛び出す茂だが、謎の男に邪魔されている内に逃げられてしまい、謎の男は覆面の戦士に変身。
 「あいつらは、俺のものだ!」
 「デルザーの新しい仲間かっ」
 そんな仮面のライダーは居ない! とばかりに口出しの覆面戦士に暴力でお返しする茂。……確かにその人、 ロープ軍曹とかに見えない事もない。
 茂もストロンガーに変身して激しく戦う両者だが、そこへV3先輩が現れて戦いを止めると、 覆面の戦士はギリシャからヨロイ騎士を追ってやってきた戦友ライダーマンであると紹介し、 先輩命令でがっちり握手を交わした2人は仲直り。
 先輩ライダー登場も3回目という事で変化をつけたのでしょうが、いみじくも、 仮面ライダーは元をただせば怪人であるというテーゼが浮き上がり、ここの誤解による戦闘という展開は面白かったです。
 デルザー軍団の企みを探る3人だが、茂の前にはゼネラル・シャドウが姿を見せ、随分久々となる直接対決。
 「デルザー軍団がマシーン大元帥のものとなった今、俺の目的はただ、貴様を殺すだけなのだ!」
 ライバル候補を蹴落として美味しい汁だけいただこうと思っていたら偉い人が出てきて強権発動により窓際に飛ばされました、 という悲しすぎる告白(涙) 息をするように適当やっていたツケがまとめて返ってきて、凄く、教育的です(笑)
 シャドウの瞬間移動に翻弄されるストロンガーだが、振り回していたパンチがまぐれ当たり(笑) どう見ても、 気配を感じて背後を殴ったらクリティカルヒット、には見えないのですが、実際の演出意図がどうだったのかちょっと気になります。
 「言え! マシーン大元帥の行方を。そうすればお前を助けてやろう」
 「ほ、ほ、本当か……」
 「仮面ライダーの、名に誓おう」
 先輩達との出会いを経たストロンガーが改めて「仮面ライダー」という名の意味を自分自身に刻み、 台詞に合わせてシャドウから奪ったサーベルを振り回すアクションも鮮やかで、非常に格好良いシーンなのですが、 対する相手が猿芝居すぎて素直に飲み込めなくて勿体ない(笑)
 そこを見て見ぬフリすれば、これまでで屈指の名シーン。
 両手をあげて命乞いのポーズを取っていたシャドウは、大元帥の行動をベラベラ喋ると、自ら案内を買って出る小悪党モードを発動。
 その頃マシーン大元帥は、地震発生機すら陽動に使って、再び東京を火の海にしようとしていた。……大元帥、 田舎から上京して都会で酷い目に遭った過去でもあるのか、何やら東京に対する個人的怨恨を感じます。
 盗んだトラックに大量のTNT火薬を積んで基地に突っ込ませるという、人工地震に比べて凄く地味な作戦を手作業で展開する大元帥だが、 シャドウに案内されたストロンガーに妨害を受け、負け惜しみの捨て台詞を残して逃走(笑)
 多分、地震発生機の制作に予算を使いすぎてしまったのです!
 戦闘員のバイト代だってタダじゃないんです!
 大元帥の妨害に成功したシャドウは、当然のようにしれっと退散。
 「城茂、ちょいとおまえを利用したまでの事よ。シャドウは負けたのではない」
 結局この人、タイタンおじさんと似たもの同士だったのではないか(笑)
 しかも忠誠心の代わりに功名心しか無い分、おじさんより駄目な人のような。そして伊上脚本だと、 立場の悪くなってきた幹部の一人称が「(自分の名前)」になるのは何故なのか。
 一方、風見志郎と結城丈二は富士ダムに辿り着いていた。
 「デルザー軍団でも、俺と風見さんの姿を見れば、恐れをなして逃げるでしょう」
 あなた方ホント、体育会系の上下関係だな!
 後輩を遠くて面倒くさいダム上方の探索に向かわせた風見先輩はダム湖を見つめて佇んでいたが、デルザー軍団の姿は見つからない。 報告に戻った結城丈二、「人っ子1人見当たらない」と言うのですが、 ダムに人っ子1人見当たらないのはむしろ凄く怪しい気がしてならず、知力が物凄く下がってませんか。 いったいギリシャで何をしていたのか。
 デルザー軍団の狙いを見誤ったのか……と考え込む風見と結城だが、ヨロイ騎士と磁石団長はもっと高い所に陣取って2人の様子を窺っていた!
 思えば相手より高い位置を取る事を基本とするヒーロー戦術において、むしろ高い位置に居る相手に強いというストロンガーは、 異端のヒーローなのかもしれません。
 騎士と団長は地震発生機をスイッチONし、局所的に発生した地震により富士ダムは崩壊、 風見と結城はダムの崩壊と水流に飲み込まれてしまう。
 事前にわざわざ台詞で、ダムが崩壊したら「下流にある3つの都市が全滅する」 と強調した上でダムを崩壊させるという衝撃の展開でここに来てデルザー軍団が立て続けに凶悪な戦果を上げ、 これはライダー皆で立ち向かわなくては感を盛り上げてきます。
 下流に流された風見と結城を探すヨロイ騎士だが、ここは先輩の貫禄を見せ、変身して姿を見せるV3とライダーマン。 だが磁石団長の下へ向かったV3は地震発生機で作り出された地割れに飲み込まれてしまい、ヨロイ騎士に立ち向かったロープ軍曹、 じゃなかったライダーマンは、普通に敗北してしまう。
 茂を妨害・デルザーを発見できない・特技を見せるシーンさえ与えられないとライダーマンの扱いが酷い……(笑)
 仮面ライダー2人を捕まえて意気上がるデルザー軍団は祝杯をあげるが、つまらなそうな窓際が1人。
 「俺の乾杯はストロンガーが死んだ時だ」
 という台詞だけは格好いいんですが。
 「その、ストロンガーを殺ってもらうぞ、シャドウ」
 「まだその時ではあるまい」
 「嫌とは言わさん。おまえがストロンガーに、俺の作戦を邪魔させたのは、わかっている」
 裏工作バレてたーーー。
 「黙れ! 殺せというならいつでも殺してみせる」
 裏切り者扱いを受けいよいよ立場の悪くなってきたシャドウは手元を狂わせ、愛用のトランプが散らばると、 表になったのはスペードのA。
 (死のカード……馬鹿な……!)
 「行け、シャドウ」
 (俺が死ぬ……? 馬鹿な……死ぬのはストロンガーだ!)
 身から出たサビに埋もれ、自分の蒔いた種でトリックの海に溺れつつあるシャドウは、 先輩を助けに向かうストロンガーの前に立ちふさがる。
 「今度こそ最後の勝負だ。貴様を殺らねば、俺が危なくなった。行くぞ!」
 なんて切ない決闘理由(笑)
 ストロンガーとシャドウは向かい合って構え、そして、キガン山に浮かぶ巨大な顔――次回、ライダー軍団大ピンチに、 いよいよあの2人が帰ってくる!

◆第38話「出現!ライダー1号2号!!」◆ (監督:山田稔 脚本:伊上勝)
 「シャドウの生き甲斐は貴様の死だ!」
 生き甲斐さえその場のノリという、ある意味で哀しい男ゼネラル・シャドウは、ストロンガーの電キックを大量のトランプで回避すると、 トランプ分身で翻弄し、必殺の爆破大魔術を発動。だが《範囲爆発耐性》持ちのストロンガーはこれを凌ぎきり、チャージアップ。 超電ドリルキックからの超電稲妻キックと、シャドウパワーによる必殺の突きが交錯し……拮抗した戦いの軍配はストロンガーに上がる。
 「デルザー軍団、ばんざーーーーい!」
 ストロンガーに深手を負わせるも、ゼネラル・シャドウ遂に大爆死。
 最終的には相手が悪かったという感じの呆気ない敗死となりましたが、 末期の台詞まで心にも無い事を叫びながら散るというのは、トリックスターの面目躍如といえそうです。
 重傷を負った茂は、両者の決着を高みの見物していたデルザー軍団の3人に捕まってしまい、 「ゼネラル・シャドウの仇を討ってやる」と剣を抜くヨロイ騎士が、意外にいい人(笑) だがマシーン大元帥はそれを止め、 茂を人質にXライダーとアマゾンを誘き寄せようとする。
 磁「Xライダーと、アマゾンも捕まえれば、仮面ライダーは全て、生け捕り!」
 ヨ「いや待て。仮面ライダーには、1号と2号というのが居たそうだ」
 マ「そんなものは伝説だ」
 残り2人のライダーへの伝令役として、ストロンガー、V3、ライダーマンを捕らえた事を藤兵衛に告げるデルザー軍団。
 「信じられなければ、証拠をその目で見るがいいぜ!」
 荒野に立つ藤兵衛を三段階でズームアウトしたと思ったら、画面手前にバイクのタイヤがフレームインし、 改造魔人軍団デルザー3が3ライダーのバイクに乗って登場という絵は、ここに来て素晴らしく面白かったです(笑)
 動かぬ証拠を見せつけたデルザー3は奪ったバイクで走り去り、日本占領計画を着々と進行していく。
 「この2カ所を押さえれば、日本占領は、90%成功だ」
 地図上の指の位置を見るに、大阪……と八王子?なのですが、八王子にいったい何が。
 磁石団長とヨロイ騎士が重要制圧目標に向かい、滝に吊った茂を餌にXとアマゾンを待ち受けるマシーン大元帥。だがそこに、 ヨロイと磁石がXとアマゾンに妨害された、と報告がもたらされる。仮面ライダーの後輩を後輩とも思わぬ非情な態度(なおこの場合、 滝に吊るのは風見先輩にするべきでした!)に憤るマシーン大元帥は茂をマシンガンで蜂の巣にしようとするが、 目を離した瞬間に忽然と消失している茂。
 「ぬぅ?! 誰だ、ロープを切ったのは!」
 「俺だ! ――仮面ライダー1号!」
 「なんだと?! ん、おまえは?!」
 「仮面ライダー2号!」
 茂を救い出したのは伝説の戦士、アメリカとインドからそれぞれ日本へ戻ってきた仮面ライダー1号と2号であった!
 いよいよ満を持して1号と2号が登場し、それを招くほどの茂の大ピンチは、宿敵シャドウ最後の一撃によるものだった、 という形にする事で、シャドウの退場が伝説の呼び水として機能し、劇中の存在ウェイトに帳尻を合わせたのは良かったと思います。
 1号と2号はあっさりと大元帥を取り押さえてアジトへ案内させ、V3とライダーマンの監禁場所を白状させる。 「うっかりあげてドカンとも限らない」という判断から、「おまえが開けろ」と指し示した扉の方へ乱暴に投げつける姿には、 歴戦の勇士の心の荒み具合が良く出ています(笑)
 だが大元帥は、扉を開けるフリをして仕掛けを作動させて床から緊急脱出。
 「馬鹿め! 裏の裏をかいたのだ! アメリカやインドからはるばるくたばりに来るとはご苦労な事だな、ふわははははは!」
 毒ガスが噴出し、アジトに閉じ込められる1号と2号だが、外からストロンガーがドリルキックで壁をぶち破り、 主人公が一方的に助けられる形にならないように、ここでバランス取り。
 「こんな事だろうと思いました!」
 これが、せこい敵と戦い続けて磨かれた、現役の勘!(笑)
 1号は掲示板に貼り付けてあったデルザー軍団の作戦計画書を入手し、次なる標的へ急ぎ向かう3人だが、 マシーン大元帥が途中の吊り橋を大爆破。その程度の事では死ななかった3人はしばらくマシーン組と戦うが、 気がつくと2号だけが置いていかれ、1号とストロンガーは磁石団長の元へと向かう。 そこにヨロイ騎士が立ちはだかって1号はヨロイを担当し、茂は以前に用いた気絶した戦闘員のなりすまし作戦で磁石を不意打ち。
 この辺りで尺が余ってしまったのか、爆破作戦を決行中の磁石団長と戦闘員のコミカルなやり取りが思いっきり緊張感を削いでしまったのはかなり残念 (岩石男爵の際の二番煎じになってしまいましたし)。また、 一番大物の筈のマシーン大元帥が作戦現場から最も離れた地点でライダー2号とマッチアップするなど、 位置関係と力関係がちぐはぐになってしまいました。
 地震発生機は恐らくXとアマゾンによって破壊されたのかと思うのですが、キャスティングの都合か、 そういった一方その頃シーンを挟めなかったのも勿体なかった部分。前々回までは、ライダーとデルザーの増員を対応させられていたのですが、 ここに来てライダーの方が多くなるとどうしても戦力バランスが悪くなってしまい、最後の調節をするラスボス一歩手前という事もあり、 話のまとまりが悪くなってしまいました(^^;
 ストロンガーvs磁石団長、ライダー1号vsヨロイ騎士、ライダー2号vsマシーン大元帥、3局の戦いが続き、 そして口がパカパカするキガン山の謎の顔……。果たして自由と平和を守る戦士達の、戦いの行方は如何に?!
 次回――
 「さて次回、デルザー軍団の大首領が、いよいよその姿を現す。巨大な手足は、7人の仮面ライダーを踏み潰し、そして、 投げ飛ばす。ゆけ! 7人ライダー! 力を合わせ、世界平和の為に戦おう。次回、仮面ライダー、最終回。 「さようなら! 栄光の7人ライダー!」に、ご期待下さい」
 いわゆる、第一期仮面ライダーの完結という事で、それを意識した予告ナレーション。予告の映像も格好良く、いよいよ、最終決戦。

◆第39話「さようなら!栄光の7人ライダー!」◆ (監督:石森章太郎/山田稔 脚本:伊上勝)
 前回の続き、3局のバトルからスタートし、最終回らしいなかなか派手な攻防。 ストロンガーと1号はそれぞれ磁石団長とヨロイ騎士を倒すと2号の救援に向かい、 さすがにちょっぴり格上の扱いを受けるマシーン大元帥。
 「待て! 大元帥!」
 「む、ライダー1号!」
 「動けば仲間の命はない!!」

 

 敵幹部を人質に使う仮面ライダー1号、というこのシーンを見られただけで、『ストロンガー』39話分の価値があった感(笑)
 1号とストロンガーは叩きのめしてふんじばった磁石団長とヨロイ騎士を突きつけ マシーン大元帥が2号に向けていたマシンガンを下げさせる。冷たい態度の大元帥に磁石とヨロイは命乞いし、 「もう、諦めよう」「そうするか」など、やたらコミカルな展開から、急に高笑いする大元帥。
 「貴様等、忘れているな」
 「何をだ?!」
 「馬鹿者。よーく考えてみろ。貴様等の仲間、V3と、ライダーマンが捕まっている事を忘れたのか」
 「何?!」
 ……あ、忘れてたよセンパイ……。
 「仕方があるまい」と嫌々人質交換に応じる1号だが、その寸前、Xとアマゾン、更に2人に救出されたV3とライダーマンが姿を現し、 遂に勢揃いした7人はデルザー3をぐるりと取り囲む。「デルザー軍団も」「これで終わりかのう」と思われたその時、 キガン山の人面岩の目から凄いビームが放たれ、デルザー3は逃亡。
 「はーーーっはっはっはっははは!! 見たか7人のライダーども。デルザー軍団は未だ滅びずだ。まだ人質を取ってあるのを忘れるな」
 「まだ人質を……」
 「もしや……」
 「わかるか」
 「うぬらの育ての親だ」
 「立花のオヤジさん!」

 なんというヒロイン力。

 「デルザー……復活!」
 キガン山から不気味な声が響くと地の底からブラックサタンの怪人軍団が甦るのですが、荒わし師団長、 どうしてそこに(笑)
 戦闘員の乗ったジープに案内された7人ライダーは待ち受ける再生怪人軍団と激突し、大集団戦がスタート。 後年の作品ならライダーの必殺技が次々と繰り出される所でしょうが、パワーアームやライドルスティックを使うわけでもなく、 概ね純粋な肉弾戦。登場回の扱いがあんまりだと思われたのか、ライダーマンが若干目立っている気はします(後は1号)。
 混戦の隙を突いてストロンガーは藤兵衛の救出に向かい、その背後で再生怪人軍団はライダー大爆発により雑に木っ端微塵。 どのぐらい雑かというと、この爆発でヨロイ騎士と磁石団長もまとめてリタイアするぐらい雑(笑)
 かくなる上はと玉砕をはかるマシーン大元帥だが、ストロンガーに掴みかかるも投げ飛ばされて大爆死。遂に改造魔人は全滅し、 デルザー軍団の野望は絶たれた……。
 場面は、7人の息子達に囲まれて目を覚ます立花藤兵衛、という藤兵衛主観のシーンに切り替わり、 シリーズへの貢献度もあってでしょうが、“仮面ライダーを繋ぐ男”としての藤兵衛の存在がかなりクローズアップされた演出。
 演出といえば全編とにかく、7人のヒーローを等分に映し、台詞を配分するのが大変そう(^^;  1人1人がそれぞれの物語を背負ってきた主人公であり、それを一緒に体験してきた子供達が居るからこそ、 全員をヒーローとして出来る限り公平に扱う、という姿勢は最終回として素晴らしいですが。
 藤兵衛の言葉でキガン山に向かった7人ライダーの前で、目を開く人面岩。
 「我こそはデルザー軍団の大首領」
 そしてキガン山を崩壊させ、その内側から、巨大な岩石の魔人が出現する!
 「7人の仮面ライダーの諸君、それぞれ儂の声に、聞き覚えがあるのではないかな」
 「ショッカーの首領!」
 「そしてまた」
 「ゲルショッカーの首領!」
 「ある時は」
 「デストロン!」
 「そしてまた」
 「GOD!」
 「ゲドン!」
 「ブラックサタンの首領!」

「その通り。7人の仮面ライダー共通の敵。
それが儂なのだ。1人残らず大首領が始末してやる」


 全てを統合する納谷悟朗(笑)
 東映的にいうとつまり、七つの顔を持つ大首領=多羅尾伴内=片岡千恵蔵という事でいいのか。
 ちなみに、GODとゲドンの首領の声は納谷悟朗ではないそうで、Xとアマゾンの記憶が混濁しているというよりも、 大首領の姿と声自体が、各ライダーによってそれぞれ違う姿に見えて聞こえているのかもしれません。
 岩石大首領vs7人ライダーは、とにかく巨大な敵という事で、足・拳・顔面、という各パーツvs仮面ライダーという構図になり、 巨大首領の凄さは伝わってくるものの、そもそも仮面ライダーが巨大な敵と戦うの向きでは無い為、盛り上がりは今ひとつ(^^;
 桁違いの巨体と強さの大首領に苦しむライダー達は、エネルギーを結集し、大首領の体内へ。そこで見た大首領の中枢は、 一つ目のついた巨大な脳であった。
 「儂は地球を捨てて宇宙の果てに帰る。その前に7人のライダー、死ねぇ!」
 大首領はボディごと自爆して姿を消すのですが、台詞だけ考えると負け逃げというか、結局倒してはいないような。まあ、 初代『仮面ライダー』の最終回もそんなにスッキリしたラストでなかった覚えがあるので(幼少期に再放送で見た朧ろな記憶ですが)、 ある種のお約束でしょうか。
 出来れば必殺キックの一発ぐらい打ち込んでは欲しかった所ですが、仮面ライダー世界のあらゆる納谷悟朗声は、 具象化した悪意の概念のようなものなのでしょう。
 なおこの時、地球上にわずかに残った大首領の切れ端は、翌年サタン帝国を率いるも、 影から生まれた 不審者 ヒーローによって散々な目に遭う事になるのですが、それはまた別のお話。
 「終わったのか…………長い長い戦いが」
 7人+藤兵衛は消滅した大首領の爆発跡を見つめ、今、長きに渡る仮面ライダー達の戦いは、一つの終わりを迎えたのであった。 7人のヒーロー達が順々にアップで映され、そこで流れ出すBGMは…………え? ちょ、ちょっと待って?  落ち着いて、嘘だと言ってよジョニーーー!!

あーかい あかーい(棒)

 どういうわけか、よりによって宮内洋の歌声(『仮面ライダーV3』主題歌)をバックに、 バイクで走る7人の映像から各ライダーの名シーン(?)ダイジェストへ。使用されている映像がどう見てもスチール写真だったり、 スチールはスチールで雑誌の余白部分がそのまま映っているような気がしたり、バックで流れているのが宮内洋の歌だったり、 エンディングシーンが不穏すぎます(笑)
 ナレーション「平和と正義の、7人の戦士、仮面ライダー。彼らは、地上に悪のある限り、その勇姿を現すに違いない。だが、 今は去って行く。さようなら、仮面ライダーよ。さようなら」
 そのままダイジェストシーンがV3の内に締めのナレーションが入るのでどうしようかと思いましたが、 ナレーションが閉じるのに合わせて歌が『レッツゴー!ライダーキック』に切り替わり、残り全員の活躍シーンも紹介されて、 心底ホッとしました(笑)
 7人ライダーはマフラーをなびかせながらバイクでいずこともなく走り去り、夕陽でエンド。
 とにかく7人のライダーが素顔で並ぶ絵は豪華なのですが、話運びよりも、 7人のヒーローを等分に撮影する作業にエネルギーを使い果たしたような内容(^^;
 こうなってみると、前回ストロンガーとシャドウの決着をしっかり付けたのには、 実質的な『仮面ライダーストロンガー』のクライマックスという大きな意味があった事がわかります。シャドウ、 どさくさに紛れて爆死しなくて本当に良かった。
 最終的に、面白いとか面白くないとか通り越して、“7人のライダーが揃って大首領を葬り去る事に意味がある”という話になりましたが、 看板シリーズにひとまずの幕を下ろすにあたってオールスター映画の形を取り、現役ヒーローの香りを纏う7人の男達が一堂に会するというのは、 良い物を見させていただきました。
 ブラックサタンがあまりにあまりだった為、『仮面ライダーストロンガー』という作品そのものが、 第1期《仮面ライダー》をまとめる踏み台になってしまった感はあり、最終盤もう少し、 ストロンガーの特性を押し出して完結させて欲しかったなぁというのはありますが(名乗りとか)、城茂の外連味は面白く堪能でき、 70年代ライダーを一作、完走できて良かったです。
 「その秘密はおまえ達には明かさん!」
 他、何かあれば総括にて。

→〔総括へ続く〕

(2016年6月3日)
(2017年3月16日 改訂)
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