■『仮面ライダーストロンガー』感想まとめ5■


“走れ電流ぶち込めパンチ
前だ後ろだそら行くぞ
怒りの電気ストリーム”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーストロンガー』 感想の、まとめ5(21〜25話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・  〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕
〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・  〔まとめ8〕 ・ 〔総括〕


◆第21話「鮫ヶ島 海中大決戦!」◆ (監督:折田至 脚本:村山庄三)
 鳥羽湾をクルーザーで周遊していた茂は、海女である母親が海中から戻ってこないという少年に助けを求められて海へ潜ると、 そこでブラックサタン海底基地の入り口を発見する。
 アクアラング装備の茂と戦闘員の戦いはどうやら本当に水中で撮影されており、妙に凝った映像。 さすがに奇械人が出てくるとセットになり、変身するストロンガー。
 ……あれ、次回予告のあおりは?!(笑)
 海中であっさりと変身したストロンガーはサメ奇械人と一当たりすると、両者地上へ。
 サメ奇械人は全体が白色、頭部が普通にサメモチーフの上で、襟元に赤い口内と牙の意匠が入っており、 遠目に見るとサメが大きく口を開いているように見える、というのがなかなかお洒落。その繰り出す攻撃は、 サメの頭の形をした右腕による、
 「シャーク牙!」 (格好いい市川治ボイスで)
 ストロンガーを倒して大幹部の座をいただくと豪語するサメはなかなかの強さを見せ、 更に少年が戦闘員に捕まった事に気を取られてしまうストロンガー。
 「シャークロケット!」 (格好いい市川治ボイスで)
 直撃を受けたストロンガーは海に転落し、この報告に沸き返るブラックサタン本部。
 「ははははは、でかしたぞ百目タイタン。ストロンガー殺しの賭けはおまえの勝ちだ」
 いつの間にか、共同プロジェクトから賭けレースに。
 だが、シャドウが遠隔トランプカメラで茂が生きている映像を映し出す。
 「馬鹿者! またしてもしくじりおって。もういい。ストロンガー殺しはシャドウに任せる」
 大喜びしたのが恥ずかしかったのか、大首領、とうとう怒る。
 「待って下さい。大首領! 第二の手は打ってあります」
 「やかましい」
 タイタンおじさんが復活してからのブラックサタンは、やり取りがいちいち面白いなぁ……あんな駄目組織が、 こんな面白組織に変わるなんて。
 改めてストロンガー抹殺を任されたシャドウが首領命令で出撃した頃、藤兵衛とユリ子はフェリーのステマをしていた。
 「あー、いい空気、いい気持ちだ」
 「そうね。東京−松阪間を、こんな素敵な気分で旅が出来るなんて、最高ね」
 「一緒にくれば良かったのになぁ。なーにやってるんだ茂のやつは」
 そこに、泳いでやってくる茂(笑)
 フェリーに引き上げられ、辿り着いたホテルで治療を受けようとする茂だが、そこへ母親の居場所がわかったと少年が現れ、 茂とユリ子は少年の案内で鮫ヶ島へと向かう。例のごとく雑な扱いで置き去りにされた藤兵衛は、ボートに飛び乗ろうとして失敗し、 かなり凄い勢いで海ダイブを敢行。
 まさか本当に飛び込むとは思いませんでした(笑)
 島で待ち受けていたシャドウとストロンガーがまたも一騎打ちを繰り広げ、 もっぱら占いと嫌がらせの人と化していたシャドウにもう一度光をキャンペーンなのか。だがそこに、 ユリ子と少年を人質に取った百目タイタンが乱入し、不快さを露わにするシャドウ。
 「タイタン! 汚い手を使うな」
 あ、この人、自分に都合の悪い時だけ美学を発動するタイプだ。
 タイタンに捕まり処刑されそうになる茂とユリ子だが、ストロンガーとの勝負にこだわるシャドウによって解放され、 脱出しようとするも見事に落とし穴に。
 「はははははははははは、城茂、こういう事もあろうかと思い、おまえをつけさせたのだ地獄へ行け!」
 タイタンおじさん、一枚上手だった(笑)
 海女の母子と共に地下に閉じ込められた茂とユリ子は灯台ごと木っ端微塵にされそうになるが、 ストロンガーとタックルの全エネルギー集中パンチという、初めての合体技で脱出に成功。そうとは知らないタイタンおじさんは、 灯台の爆発を見て大喜び。
 「はははははは! 勝った! ストロンガー殺しは俺の勝ちだ! 出航用意!」
 鐘を鳴らす演出もはまり、タイタンおじさんのガッツポーズが凄く可愛い(笑)
 だがそこへ響く、例の口笛。
 「天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ。悪を倒せと俺を呼ぶ。俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
 タックルも個別に高い所でポーズを決め、クライマックスバトルがスタート。変身した百目タイタンに苦戦したストロンガーは、 タイタンのファイヤーボール(手榴弾)を受けて倒れてしまう。孤立したタックルは追い詰められ、タイタンに踏みにじられるが、 停泊したフェリーの鎖の上を歩いてこっそり船上へ向かうストロンガー。
 完全に大逆転の流れから、一度苦戦を挟み、BGMも途切れた事で物凄くテンポが悪くなったのですが、 この映像をどうしても取りたかったのでしょうか。
 ストロンガーが横から飛び込んだ所で再び軽快なBGMが流れだし、逆にタイタンを追い詰めるストロンガーだったが、 そこへ鮫が助っ人に飛び込み、水中戦へ。サメ奇械人の渦巻き地獄に苦しめられるストロンガーは岩を掴んで体当たりでそれを破り、 船上に上がった所で待ち受けていたタックルのチョップがサメに炸裂。更に電波投げまで決めた上でストロンガーがトドメの電キックを放って撃破し、 祝・タックル、奇械人相手に初めての活躍。
 「くそぅ……またしてもやられたか」
 「めでたしめでたしだ、ふふふはははははは」
 「なにぃ?」
 「ストロンガーは、俺が殺す」
 「大きな口を叩くな。ストロンガーは俺が殺すのだ」
 「出来るかな、おまえに。ふふふはははははは……」
 その光景を見て、ひたすら駄目な感じに煽り合う大幹部2人であった……。
 最後は助けた海女の母子から名物の伊勢エビを貰い、何故か鳥羽湾を漂流していたらしい藤兵衛が出てきて、つづく。
 ナレーション「かくてストロンガーは、強敵、サメ奇械人を倒した。だがその時、シャドウとタイタンは、ストロンガーを倒すべく、 新たな決意を固めていた」
 低レベルな罵り合いが、明日に向けた希望みたいに綺麗にまとめられた!!
 ブラックサタンとサメ奇械人が、鳥羽湾の海底基地でどんな計画を進めていたのかについては一切語られず (ただの常設アジトなのかもしれませんが)、たまたま観光に来ていた茂とユリ子がブラックサタンと遭遇戦をしました、 というようなほとんど内容の無いエピソード(^^;
 茂の水中戦・藤兵衛の海ダイブ・ストロンガーの鎖渡り、など力の入った映像が目立つのですが、 脚本に内容が無かったので映像の方で頑張ったのか、映像が色々やりすぎて話の筋が削られまくったら骨しか残らなかったのか、 一体全体なんだったのか。
 次回――
 「宿敵、城茂を倒すべく、30倍にパワーアップした百目タイタンは……」
 どうしてそんな、一つ、二つ、沢山、みたいな大雑把な数字で改造するのか(笑)

◆第22話「12時00分 ライダー死刑!?」◆ (監督:加島昭 脚本:鈴木生朗)
 冒頭から白覆面のブラックサタンオートバイ部隊が強調され、茂がオートバイに乗っている時間も長いのでバイク回かと思いきや、 後半のバイクアクションは多分使い回しの映像という、謎の展開。オートバイ視点のカメラとか、 速い動きのカメラワークを取り込んでいるのは、初登板の監督が特徴を出してきた部分でしょうか。
 茂がオートバイ部隊に翻弄されている頃、更なる強化手術を受け、30倍パワーを得る百目タイタン。
 「タイタンよ、儂が信頼しているのは、おまえ1人だ」「雇われ根性のシャドウとは、比べものにならんな」
 と、そんなタイタンをやたらに煽り始める大首領。
 ユリ子と藤兵衛は雨宿りに入った怪しい廃屋で奇械人ケムンガに襲われて粘着糸でラッピングされてしまい、 そこへ稲光をバックに窓を突き破って飛び込んでくる茂が格好いいのですが、ここで変身後の「天が呼ぶ……」のシーンも、 以前の使い回しのように見えます(^^;
 ストロンガーは、不死身のケムンガ電気無効(自己申告)を蹴散らすが、その間にユリ子と藤兵衛はタイタンに連れ去られてしまう。 2人がアジトで吊され拷問を受けている所に姿を見せるゼネラル・シャドウ。
 「城茂は奴の独特の能力で、もうこの方角を嗅ぎつけたぞ」
 最高級の改造人間であるストロンガーの体内には、ブラックサタンコンパスが内蔵されているのだ!
 茂が毎度ブラックサタンの悪事に感づく秘密が明かされましたが、“方角”しかわからないので、毎回ふらふら彷徨っていたのか(笑)
 なおユリ子と藤兵衛をタイタンがさらった事を茂に教えたのはシャドウなので、 シャドウ的にも作品的にもどこまで本気なのかさっぱりわからない困った台詞なのですが、 場所は教えていないのに確かに茂がアジトの方向へ移動してきているので、最高級の改造人間、恐るべし。
 タイタンはトラックでユリ子と藤兵衛を処刑場へと運ぶが、根性を見せた藤兵衛が自力脱出し、道に転がっていた所を拾うストロンガー。 藤兵衛必死の頼みを聞きいれたストロンガーは、藤兵衛を後ろに乗せてその案内で処刑場へとバイクを走らせ、 待ち受けていたバズーカ部隊を背後から強襲すると、逃げ惑う戦闘員を背中から轢きまくる。
 ここで地味に凄いのが、足を乗せる所もないカブトローの後部に藤兵衛を乗せて、本当にバイクを走らせている事。前回今回と、 小林昭二さんの体当たり演技が続きます。
 待ち伏せを蹴散らしてタイタンと対峙するストロンガーだったが、突然、背後から藤兵衛がストロンガーに襲いかかる。 ユリ子のお弁当で心の傷が回復してきたのか、今回の藤兵衛はやたらタフで男らしい……と思ったら実は毛虫の変装だった、 という酷いオチ(笑)
 ストロンガーは百目タイタンと毛虫に挟まれて危機に陥り、タイタンのファイヤーボールは、顔面の目玉を投げつけている事が判明。 百目タイタンに電キックをキック返しされたストロンガーは、ケムンガに電パンチを浴びせるも粘液糸に絡め取られ、 もろともラッピングされて繭の中に閉じ込められてしまう!
 「いよいよ、ライダー最後の時だ」
 行動不能に陥ったストロンガーを、超エネルギー爆薬で処刑しようとするタイタン……とライダー未だかつて無い大ピンチ、 で初めての完全つづく。
 次回――何故かまたも水辺で戦うタイタンの運命や如何に?!(ストロンガーは、 主人公という事を差し引いても心配するだけ凄く無駄な気がするので心配しない)

◆第23話「地底王国の魔王!!」◆ (監督:加島昭 脚本:鈴木生朗)
 毛虫奇械人もろとも繭の中に閉じ込められたストロンガーは、タイタンにより超エネルギー爆薬を仕掛けられて大ピンチに陥るが、 その時、導火線を切ってしまうトランプの人。
 「シャドウ! 邪魔立てすると許さんぞ」
 「邪魔はせん。ただ、ちょっと聞いておきたい事があってな」
 どんな矛盾した発言でも力強く言う事で押し切る、それこそが男の美学。
 「この繭の中にはライダーストロンガーが居るには違いないがケムンガも居る筈だ。一緒に殺す気かね?」
 まさか、悪の幹部からそこにツッコミが入るとは(笑)
 「それがどうした。ブラックサタン大首領の至上命令とあらば、部下の命などものの数ではない」
 「成る程――それがブラックサタンのやり方か」
 シャドウは嫌がらせをするだけして姿を消し、タイタンおじさんは導火線に再び点火。一方繭の中では、 ケムンガがじわじわとストロンガーの息の根を止めつつあった。
 「これでいい。間もなくストロンガーは窒息して死ぬ」
 私てっきりケムンガ承知の上の自爆作戦だと思っていたのですが、ケムンガは違う方法でストロンガーを倒そうとしていた事がわかり、 シャドウの台詞に意味が出る事に。
 そして今度こそ大爆発が起こり、超エネルギー爆薬の説得力として、 火薬の爆発に加えてユリ子達を映したカメラを揺らして土砂の巻き上がりを表現したのは、好演出。
 ……ところが。
 歓喜の万歳を決めたタイタンおじさんにもたらされる衝撃の情報。
 ケムンガの繭は電気だけでなく高熱や圧力も無効化する無敵の防御力を誇り、 超エネルギー爆薬でも傷1つ付ける事が出来なかったのだ!
 てっきりいつものストロンガーは最高級の改造人間だから無敵である理論かと思ったら、むしろ敵の怪人の繭が無敵だった!  というのは意表を突かれて面白かったです(笑)
 仕方が無いのでタイタンは、繭を処刑場から地下数千メートルの奈落の底へたたき落とし、 ユリ子と藤兵衛は磔放置プレイにしてアジトへと帰還。ところが日が落ちて寒さに震える二人の元に、 通りすがりの占い師ゼネラル・シャドウが現れると藤兵衛にカードを引かせ(ここで磔の藤兵衛が口でカードを引くのも好演出)、 ハートのエースが出たので二人の縄を切断。いぶかる二人に、シャドウはその理由を語る。
 「理由は、3つある。第一、占いが助かると出た」
 待て。
 「第二、俺は人質を取るようなやり方は好かん」
 おい待て。
 「第三、俺はストロンガーを倒せればいい。そしてそのストロンガーは、生きている」
 ……これまでも言動・行動・美学の全てにおいて色々と疑問の多かった占い将軍ですが、この人あれだ、 物事の前後や因果関係を都合のいいように入れ替えた上で、 入れ替えた事そのものを完全に忘れて改変した脳内事実を心の底から信じ込める完全無欠のサイコパスだ。
 恐らく第15話−第17話において人質を取っていた件に関しても、「あれはブラックサタンの流儀に合わせてみただけ」 という後付けの論理武装が、本人の中では確固たる事実にすり替わっており、毎度確信的に「ストロンガーは生きている」 と言うのも根拠はなくて、自己中心的な思い込みがたまたま正解だっただけだ……!
 そんなシャドウから茂が奈落の底へ落とされた事を教えられた二人は懸命に崖を降りようとしてユリ子が藤兵衛を叱咤するのですが、 いやもう貴女、変身して一人で行きなさい(笑) そして二人は足を滑らせて真っ逆さまに落ちていき……映像的には完全に死亡。
 一方、アジトで首領にストロンガー抹殺報告を行っていたタイタンおじさんだがそこにお邪魔虫シャドウが現れ、 二人はストロンガーの死を確認する為に、タイタンが支配する地底王国へと降りていく。
 なんと、サブタイトルの「地底王国の魔王!!」とは、タイタンの事だったのだ!
 謎のサブタイトルだと思っていたら本編でしっかり回収されてビックリですが、 タイタンを大物扱いする事でそのタイタンが忠誠を誓うブラックサタンの株も押し上げるという力技です……遅かった気はしますが。
 なおここで、地底行きエレベーターの中で豪華な椅子にふんぞり返ってタバコをくゆらせるタイタンと、 その横でトランプをシャッフルするシャドウという絵が、無駄にコンビ感溢れていてやたら格好いい(笑)
 色彩が対になっているので並ぶと栄えるというのはあるのですが、それにしてもポーズまで決まりすぎで、今回の白眉。
 その頃、地底王国の氷の谷に転がる繭の中で、ストロンガーはケムンガと抱き合っていた。
 「ん? ……暖かくなってきた。そうか、こいつを暖めれば蛾になって繭から出るに違いない」
 今回、謎の面白さだな!
 茂は電気ストリュウムで毛虫を暖め、サナギから羽化した毛虫怪人は繭を割って毒蛾の怪人に超力招来!  エネルギーを消耗して変身できない茂は氷柱落としで毒蛾を生き埋めにする事に成功するが、戦闘員に追い込まれてマグマの谷へ。 そこへ現れたシャドウに地底湖へ誘導された茂はユリ子と再会するが、それは毒蛾怪人の変身……と毛虫(毒蛾)奇械人の特殊能力なのか、 普通に人間に変身するのですが、憑依路線は諦めるのか。
 毒蛾をふりほどいた茂は、奇跡的に生きていたユリ子と藤兵衛に今度こそ再会。
 「何やってるんだ! 早く、助けてくれ〜」
 「何度か騙されてるからな……本物なんだろうな?」
 緊迫した展開の中にギャグが1つねじ込まれた後、茂は二人を救出すると、
 「宇宙からエネルギーは貰った。行くぞ!」
 と謎の供述をして変身。盗電はともかく、水が砂に染み込むショックとか、宇宙線(太陽光線?)を浴びたからとか、もしかして茂も、 思い込みで自家発電しているのではないか。
 そもそも自分の説明書を読んでいない筈ですし……信じる力は超能力!
 久々の主題歌バトルで反撃スタートし、羽化したら《電気無効》が消えたらしい毒蛾奇械人は電キックであっさり爆死。 繭から出たら氷の谷に蹴落とされていた件、について特に恨み言を述べるわけでもないので前半のシャドウのくさしは意味を失い、 その上で弱体化、とあらゆる意味で毛虫のままで良かった(笑)
 もはや弱点を克服したという30倍パワーのアピールなのか、何故か湖の中から百目タイタン@ガンマンスタイルが登場し、 ストロンガーと決戦スタート。
 (30倍だと……? 無理にエネルギーを入れている。どこかに裂け目があるはずだ)
 苦戦するストロンガーだが、ダブルキックで肩の弱点を攻撃し、エネルギーを抑えきれなくなって自壊ダメージを受けたタイタンはマグマの谷へと逃亡。
 「マグマの谷で勝負してやる! 来い!」と煽っておきながら、辿り着いた途端に苦しみ呻いて「ストロンガー……私の負けだ。君は、 強い……」とか言い出すので罠丸出し過ぎる詰めの甘さが命取りになるのが、実にタイタン(笑)
 「ストロンガー……最後の、握手を……」
 百目タイタンは敢えてそれを受け入れたストロンガーをマグマに落として玉砕しようとするも、失敗。
 「ブラック、サタン……ばんざーい……!」
 そのまま爆発するのではなく、頭部がぐにゃっと潰れて体中からエネルギーが噴出した状態でマグマの中に落下、 となかなか衝撃的な最期。第13話のリタイアは余りに余りでしたが、お約束の断末魔も含め、今回は大幹部らしい散りざまを見せました。
 「いかん、マグマが噴出する。急いで地上へ逃げるんだ」
 どうやって逃げるのかと思ったら

 凄い普通にジャンプで脱出しました。

 地底王国は大爆発したマグマに飲み込まれて消え、かくして因縁の敵・タイタンおじさんは今度こそ還らぬ人となるのであった。
 (タイタン……敵ながら大した奴だった)
 ノーサイドの精神!
 そしてシャドウも、いつの間にか脱出していた。
 「シャドウよ。タイタンも所詮はそれだけのものだったな。やはり信頼するのはおまえだけだ。誓ってストロンガーを倒せ」
 適当な事を言ってシャドウも手のひらの上で転がしているアピールする大首領ですが、 信頼できるのは臨時雇いのフリーランスだけって、どこまで悲しい組織なんだブラックサタン……!
 「はっ。そのお言葉、有り難く承ります」
 タイタンの形見(?)の目玉を手にしていたシャドウが最後に剣を抜いて一回りするので、 タイタンの目玉を切り裂く演出かと思ったらそういう事でもなく、ポケットにしまっていたとしたら、更なるコンビ復活はあるのか(笑)
 前半、良い感じに無理を通して道理を引っ込める展開で突き進んでいたのですが、後半、 地底湖に移動する辺りで作り手が正気に返ってしまった感があり(撮影順は勿論違う筈なのですが不思議な事に)、やや失速。 そのまま突っ切ってくれたら1つ上のステージに行けた気がして、惜しい(笑)
 いっそユリ子と藤兵衛は磔のままで最後に助け、地底王国からのジャンプ一番大脱出はストロンガー1人の方が説得力が増したとも思うのですが、 さすがにそういうわけにはいかなかったか(^^;
 突然の酷すぎるリタイア→まさかの復活→急速にブラックサタンが面白くなる、と大活躍だったタイタンおじさんは、 最終的にかなり好きなキャラになりました。ありがとう、タイタンおじさん! さらば、タイタンおじさん!

◆第24話「怪奇! 無人電車が走る!!」◆ (監督:折田至 脚本:鈴木生朗)
 藤兵衛は再び東京−松阪間のフェリーに乗り、茂とユリ子はバイクで移動中。3人の合流予定地点は鳥羽、といういきなり困惑する展開(^^;  鳥羽湾ロケで2話しか消費しないと勿体ないという事情があったのでしょうが、やたらに地名を強調する事も合わせて、凄く謎移動になっています。
 その道中、線路上に無人の電車を発見した茂とユリ子は、やたらテンションの高い奇械人の襲撃を受ける。
 「俺こそブラックサタンのエース、ハサミカニだ!」
 電車の乗客は、蟹の幻覚泡(微妙に尺稼ぎを感じる、踊り狂う奇械人達の絵がしばらく流れる)を浴びて気絶した所を、 ブラックサタン要塞島建設の為の奴隷としてさらわれていたのだった。
 「天が呼ぶ!」の所で空を映し湖を映しまたストロンガーに戻るという変化球演出が入り、タックルも「えい、やー、 とうっ!」と変身するが、蟹の泡を食らって戦闘不能になってしまう両者。自称エースは伊達ではなく、奇械人がまさかの大金星。
 その頃、ニュー美しまホテルでくつろいでいた藤兵衛は占い将軍の接触を受け、 お互い知らない間にブラックサタンの作戦が進行している事を知る。怒りのシャドウはアジトに戻って抗議するが、 それを撥ね付ける大首領。
 「ブラックサタン直系の幹部でもないおまえに、口出しは許さん」
 「それが大首領の本音か。今までまんまと俺を操ってきたつもりだろうが、そうはいかんぞ」
 多分この一週間の間に、社員食堂のメニューを占いで決めるとか、次の作戦担当を占いで決めるとか、 ブラックサタンの活動資金を投入する株を占いで決めるとか、 好き勝手やっていたシャドウにプレッシャーをかけようと自前の戦力を動かして釘を刺してみた所、勢い余って叛旗を翻されてしまう、 大首領、安定の裏目ぶり。
 某役立たずさんとの血縁関係の究明が待たれます。
 社長シンボルにトランプショットを決めたシャドウは、密かに藤兵衛を助けて蟹のアジトへと向かわせる。 アジトでは蟹が捕らえた茂を首ちょんぱしようとしていたが、そこに大首領が「新たな最高指揮官が赴任するから茂の始末はその指示を待ち、 おまえは要塞島の建設を急げ」と横槍を入れ、その間にやってきた藤兵衛が茂達を救出してしまうという、 大首領、本日2回目の裏目。
 世の中、金も口も両方出そうとするとろくな事が無いようです。
 タックルと藤兵衛が子供達を逃がし、ストロンガーは要塞島建設現場(実際に海辺のやたら広い工事現場で撮影しており、 良いロケーション)で蟹と再戦。電キックで凶器のハサミを吹っ飛ばされた蟹は、逃げ出した所でシャドウと遭遇する。
 「ゼネラルシャドウ様! 助けて下さい!」
 だがシャドウは、「誰に断ってストロンガー襲ってんの?」と逆に蟹を詰問。
 「俺は、あんたの部下ではない」
 と強気に突っぱねる蟹だが、迫ってくるシャドウを前に、「新しい最高指揮官が来るから仕方ないんスよ」と言い訳をし、 数秒の間に変わり身が早すぎます(笑)
 「最高幹部だと? 誰だそれは」
 「知りません。俺は本当に知らないんです。は?! ストロンガーが来る! 助けてくれ!」
 「ふん。俺の知った事か」
 「ゼネラル・シャドウ! くぅー」
 シャドウが姿を消し、背後の山の上にストロンガーが登場した所で再び戦闘用BGMが流れ出し、 ヒーローの鬼畜ぶりがいやが上にも盛り上がります(笑)
 「ハサミガニ、逃がさんぞ!」
 トドメの電キックを受けた蟹は、だだっ広い工事現場で泡を吹きながら景気よく大爆死。
 「新しい最高幹部とは誰だ……? 大首領が俺を必要としないならば、俺の方にも考えがある」
 そういう時こそ占えばいいと思うのですが、当たらないとわかっている占いは美学として最初からやらないシャドウであった。 そしてブラックサタンのアジトでは、謎のシルエットが……。
 2クール目も終わりが近づき、タイタン殉職→シャドウ退職?→新幹部就職、と立て続けの急展開でなかなか盛り上げます。
 次回――予告時点で捕まっているユリ子と藤兵衛!
 「そして、救出を試みた城茂も、サタンの陰謀にはまって、遂に、電気椅子に縛られてしまう」
 え? 効くの?!

◆第25話「死ぬな!! 電気椅子の城茂」◆ (監督:山崎大助 脚本:鈴木生朗)
 ブラックサタンの新たな最高幹部デッドライオンが登場し、しれっと向かい合って会話しているシャドウの面の皮が毎度の事ながら超合金。
 前回からやたら「直系」「直系」と強調されるのが引っかかっていたのですが、あれか、ブラックサタンって、 「○○会系○○組」みたいな組織形態なのか。
 そんな直系幹部のデッドライオンは、組織で大首領に最も信頼されている者の証、素敵なサタンのペンダントを自慢してシャドウと揉め、 凄く乙女です。
 「きーっ! 悔しい! 私の事は遊びだったのね!!」と、 二股かけているのかと思ったら別の本命が居たという怒りを嫉妬の刃に乗せてライオンに向けるシャドウだが、 そこに奇械人アルマジロが乱入して逃走。アルマジロは甲羅の模様がステンドグラス風、腹の側はゴムっぽい質感の真緑という、 一風変わったデザイン。
 今回は那須ビューホテルに居た藤兵衛と由利子は、不審な火山活動を探りに向かった茂を追いかけて山へ向かうが、 アルマジロの襲撃を受ける。茂が出てきてアルマジロを退けるが、慌ててロープウェーで逃げ出したユリ子と藤兵衛は、 ロープウェーの支柱の上という凄まじい場所に立つデッドライオンに捕らえられてしまうのだった。
 これ、よく、撮影許可して貰えたなぁ……(^^;
 ホテルに戻った茂は、2人に会いたければ所定の場所に来い、というブラックサタンからのメッセージを受け取り、
 (ブラックサタンの招待状。奴等の本拠地に乗り込む、願ってもないチャンスかもしれんぞ……よーし)
 ユリ子と藤兵衛が人質になりすぎて、茂の中の興味ゲージが0に近づいています。
 リゾートホテルもの恒例のショー見物の後、ステージに暗闇が降りると囚われのユリ子と藤兵衛が姿を見せ、 虚を突かれた茂は鋼鉄の椅子に拘束されると、そのままアジトへと連れ込まれてデッドライオンとご対面。
 サブタイトルから、頭の悪すぎる最高幹部が、茂を電気椅子で処刑しようとして叩きのめされるのかと思ってドキドキしたのですが、 茂が拘束されたのは電気椅子は電気椅子でも、電気吸収椅子だった! という衝撃の展開。
 このままでは全ての電気エネルギーを吸い尽くされて戦闘員以下の雑魚改造人間になってしまう……必死に窮地を打開しようとする茂は、 室内を見回してある物に気付く――それは、最高幹部として初のストロンガー戦に胸躍らせるデッドライオン(乙女)が、 部下達の気持ちを明るくしようと処刑部屋に飾った花瓶と花だった!
 茂の目配せに気付いた藤兵衛とユリ子が花瓶をひっくり返した事で電気吸収椅子の配線がショートし、 電気エネルギーを回復した茂はストロンガーに変身して反撃スタート。戦いの中で、偶然、大事なサタンのペンダントを掴み取ってしまう(笑)
 「緊急事態発生! シャドウが反乱を起こした。最高幹部は、ただちに大首領の元に、出頭せよ」
 そしてそんなタイミングで、ペンダントから通信を送ってしまう大首領、もはや宇宙の法則のごとき裏目。
 慌ててペンダントを取り戻そうとするライオンだがストロンガーはそれを阻止し、無情に響き渡るせっつく声。
 「繰り返す。最高幹部は、直ちに大首領の元へ出頭せよ」
 大首領、お願いだからもうやめてぇぇぇ(涙)
 とうとうライオンはペンダントを取り戻すのを諦めて本部へ戻り、アルマジロは電キックで適当に処理。 ペンダントの中に組織の最高機密が隠されている事を知らされたライオンはその奪還を厳命され、 反乱を起こしたとされるシャドウは何故か、ストロンガーと大首領の激突を狙っていた……。
 如何にも繋ぎのエピソードといった内容でテンポも悪く、今ひとつの出来。 結局無視された火山活動は何をするつもりだったのか気になりますが、最近、ブラックサタン、何の作戦も実行できていないような(笑)
 次回――大首領の正体、よりもストロンガーがずっとペンダントぶら下げて戦っているのが気になります。果たして、 愛の争奪戦の行方や如何に?!

→〔その6へ続く〕

(2016年5月15日)
(2017年3月16日 改訂)
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