■『仮面ライダーストロンガー』感想まとめ4■


“誰が 何といっても 俺は
俺は 藤兵衛 立花藤兵衛だ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーストロンガー』 感想の、まとめ4(16〜20話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・  〔まとめ8〕 ・ 〔総括〕


◆第16話「吸血ブブンガー 悪魔のプレゼント!」◆ (監督:山崎大助 脚本:松岡清治)
 「オリエンテーリングとは、地図と、磁石だけを頼りに、定められたチェックポイントを通過して、 目的地にゴールインするスポーツである」
 たぶん夏休みだから、謎の少年ヒロシくんとオリエンテーリングに参加していたユリ子と藤兵衛は何故かブラックサタンの襲撃を受けて右往左往していた所、 別行動で海岸を走り回っていた茂と遭遇。
 奇械人ブブンガーにさらわれそうになったヒロシ少年を助け、「坊やの為にオリエンテーリングを続けてくれ」と力強くエールを送る茂。
 怪人をやっつけようと吹き上がる少年をたしなめ、「オリエンテーリングを続けなさいって言われたでしょ」と凄むユリ子。
 その言葉に、「そうか……よし、続けよう!」と重々しく頷く藤兵衛。
 ……いったい何が起こっているのでしょうか(笑)
 奇械人を茂に任せ、へとへとになりながらもゴールインした3人は参加賞を受け取るが、それこそがブラックサタンの恐るべき罠であった!  その夜、参加賞を受け取った子供達の枕元にブブンガーが現れると次々とその血を吸い、4人の子供達はふらふらとホテルを出て行ってしまう。
 「おまえ達は俺と同じ、ブブンガーになるのだ」
 どうやら子供を怪人化して、抵抗できないストロンガーを抹殺する作戦だったようですが、途中でストロンガーに踏み込まれてしまい失敗。 前半ヒロシ少年をさらおうとしたのは、少年に何か秘密があるわけではなく、純粋な尺稼ぎだった模様(^^; 豪快です。
 子供達を救い出してブブンガーと戦うストロンガーだが、そこへタックルと藤兵衛を人質に取ったキュアゼネラルが、 今日も海の男ポーズをキめながら登場。てっきり《独自の美学》で組織の作戦を台無しにするタイプかと思われたシャドウですが、 美学の適用範囲が猫の額ほどで素敵です(笑)
 人質を取られて無抵抗でブブンガーの針に刺されるストロンガーだったが、我慢の限界に達したのか、 突然の「エレクトロ・ファイヤー!」で反撃。
 ……あまりの事に思考停止してしまったのか、人質に手を出そうともせず、戦況を呆然と見つめていたシャドウは撤退。 取り残されたブブンガーは、電キックを受けて海の藻屑と散るのであった。
 「大首領。残念ながら、ブブンガー作戦は失敗しました」
 「ゼネラル・シャドウ。気を落とすでは無い。次なるライダー抹殺作戦は、既に立ててある」
 「ライダー抹殺作戦」
 「そうだ。これこそストロンガーを恐怖の底に叩き込む作戦なのだ。楽しみに待つが良い」
 今回の作戦立てたの、あんた(大首領)かぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
 ブブンガーが最初から最後まで何をしたいのかわからなかった事に、深く納得です。
 ナレーション「ストロンガーを倒す為にと、大幹部になった恐るべきゼネラル・シャドウ。その胸には、 更に次なる恐怖の対策が秘められている。負けるな、仮面ライダーストロンガー!」
 いや今回、シャドウは多分、何も作戦に噛んでいなかったような……。
 次回――炎の紳士・キュアタイタン、まさかの復活?! 予告に凄いカットがあったので、とりあえずそこに期待(笑)

◆第17話「怪談 悪夢の復活祭」◆ (監督:折田至 脚本:伊上勝)
 ここ数話、低調でしたが、いや今回面白かった……! 町内の肝試し大会に参加する子供達、 という如何にも夏休みエピソードで始まって油断していたら、そこから怒濤の展開。 見所も盛り沢山というか盛り沢山すぎて途中で勿体なくなってくるレベル(笑)
 「俺はコウモリ奇械人よ。この町内の人間は、みんな死んでもらう」
 と、お化けに混じっていたコウモリ奇械人が言い出した時には真面目にどうしようかと思いましたが。
 そんな大雑把なコウモリ奇械人ですが、今回面白い部分の一つがそのデザイン。 よくあるコウモリマークぽい意匠を顔面と後頭部にあしらった上で一つ目、胴体と腕に黄色いライン、 背中の翼はアクションを考慮して軽量化したのか、テニスラケットのような網目という、コウモリ怪人としてはかなり奇抜なデザインで、 顔に赤、胴と腕に黄、ベースは黒、という色彩も鮮烈。難点は自己申告が無いとコウモリだとわからない事ですが、シルエットも格好良く、 今作ここまでの中でもかなりの傑作怪人だと思います。
 そこへ城茂、シャドウ、ユリ子が次々と現れ、珍しく茂とユリ子がバトルで連携アクション。 新BGMから新挿入歌を用いてのスピーディーな殺陣でストロンガーが変身し、コウモリと激突。
 「さあ言え! シャドウのアジトを!」
 ストロンガーはコウモリの背中を踏みつけながら金網に押しつけ、口を割らないと見るや投げつけからのエレクトロファイヤーで電流爆破デスマッチ。 弱った所に得意の小キック連打を浴びせ、腕を捻りながら、
 「もっとパワーアップしてやろうか? コウモリの丸焼きが出来るぜ」
 とノリノリで、70年代という事を考慮しても、やはり城茂は鬼畜度の高いヒーローだと思います(笑)
 たまらずコウモリが撤退し、シャドウのものと思われるトランプを見つけた茂とユリ子は、 『ヘンゼルとグレーテル』よろしくそれを追っていくと、怪しげな教会に辿り着く。
 モーニング姿の奇械人達が棺を運び込んだ教会の中に入ると、そこでは何故か困ったおじさんがオルガンを弾いており、棺の蓋を開くと、 中にはなんと、爆死した筈のタイタンおじさんの遺体が! そして棺の中に敷き詰められていた花に触れた茂の血がタイタンの上にこぼれると、 それを口にしたタイタンが、甦る!
 「城茂、岬ユリ子、タイタンは百目タイタンとして甦った。必ず貴様等二人の命は貰うと約束する」
 巨大な一つ目の周囲に小さな幾つもの目が増えたニュータイタンは、パワーアップがわかりやすい上で、グロテスクさが非常に秀逸。
 タイタン蘇生に関しては首領の声で、殺した者の血を吸う事で甦るブラックサタン悪魔の復活祭の儀式の効果であると説明されるのですが……もしかして、 科学力よりオカルト技術の方が優れているのではないか、ブラックサタン。
 茂は藤兵衛をユリ子に任せて教会を走り去った車を追うが、乗っていたのはタイタンではなく囮のコウモリ奇械人。 車から身を乗り出したコウモリがわざわざ車の屋根の上に登り、走る自動車の上で取っ組み合う、というアクション。 ……さすがにまあ、ゆーっくっり走ってますが(笑)
 そして茂はコウモリを車から投げ落とすと、走る自動車の上に仁王立ちして変身!
 変化球として非常に決まり、ここ数話が嘘のように、密度の濃い展開が続きます。
 ストロンガーとの一騎打ちを望むコウモリだが、タイタンおじさんは実は教会に隠れている、と口を滑らせたばかりに、 当然のように路傍に置き去りにされる(笑) ストロンガーがユリ子達を助けに急いでバイクで戻ろうとしている頃、 教会では藤兵衛が正気を取り戻し、如何にして洗脳されてしまったかを丁寧に説明…………スタッフは、このおじさんの使い方に、 本気で困っていませんか。
 従来の藤兵衛の役割は、いわば人間関係の中継ターミナルだったわけですが、 物語をロードームービー形式にした事でターミナル機能が消失した結果、神出鬼没にして心神喪失、幾つかの役割がユリ子と被っている、 その上で目立った特殊能力は無い、と使い勝手が悪いどころか使い道が無いキャラクターになってしまいました(^^;
 コメディリリーフとしては不自然すぎて、8割方笑えない領域になっているのも困った所で、これなら、 茂とユリ子の掛け合いに力を入れてくれた方が良かったのではないかとも思う所。
 世界観を繋ぐシンボルとしての必要性はあったのでしょうが、いっそ3話に1回ぐらいの登場だったらまだ良かったのですけど、 そういうわけにも、行かなかったのか……。
 もはやブラックサタンにも持て余されている雰囲気の漂う藤兵衛を連れて教会を脱出しようとするユリ子だが、その前に、 今の今までじっと物陰に体育座りしていたタイタンおじさんが登場。
 タイタンおじさんはユリ子の攻撃を片手で軽くあしらい、更に電波投げ完全無効。
 「俺が休んでいる間に少しはマシになったと思ったが、少しも進歩してないようだなタックルくん」
 変身した百目タイタンはデコピン一発でタックルを一蹴し、相手がタックルにしても、やたら格好いいぞ(笑)
 「俺が留守中、たるんでおらんかったろうな」
 そして捕らえたタックルをアジトに運び込むと、いきなりの嫌な上司モードを発動(笑) 毒薬入りの海水で溶けて大爆死したのが、 有給取って温泉旅行でリフレッシュしてきたみたいな扱いになっており、ここに来て、意外と凄いぞブラックサタン。
 「大きな口を叩くな」
 そこに何故か、藤兵衛を運んでくるシャドウ。さっそく険悪な雰囲気になった二人はお互いの人質を取り合って口論になり、 大首領に止められる。
 「ブラックサタンの大幹部二人が争ってなんになる。戦う相手は、仮面ライダーストロンガー、ただ一人。 二人のどちらがストロンガーを倒すか、それを競争してみろ」
 最後の「競争してみろ」が、冷酷な上司の至上命令というより、仲裁に入った物わかりのいいおじさんの「やってみなさい」 みたいなイントネーションになっており、大首領が、凄く、人格者みたいです(笑)
 ……いや大首領、海で溶けた幹部の死体を回収してわざわざ人と金を割いて復活作戦とかやってくれるので、 無能だけどいい人という疑惑がどんどん上昇しておりますが。無能だけど。
 既にコウモリ奇械人に策を与えてある、と抜け目なく作戦の主導権を奪ったタイタンは、大首領命令で人質二人を使っていい事に。 ……うんまあ、そのおじさんの方は、そのままダストシュートに捨ててしまっても問題ない気はしますけど。
 「シャドウ。ストロンガーは、今日限りであの世行きだ。はっは、悪く思うなよ」
 「ふん……カード占いによれば、ストロンガーの運命は、おまえの手では死なないな」
 絶対、占い、してない……!
 幹部の対立というのも色々ありますが、この二人、いがみ合いのレベルが低すぎて面白い(笑)
 独自の美学を持った新幹部みたいな形で鳴り物入りで登場した後、 あっという間に不意打ち・人質上等の卑怯者に転落していたシャドウですが、同じレベルで罵り合う対象が登場した事で、 急角度で思わぬキャラが立ちました。
 タイタンは教会へ戻ってきたストロンガーに音声で人質の場所を告げ、荒野へとバイクを走らせたストロンガーは、 その眼前に花畑を目にする。
 「おや……綺麗な花だ」
 そんなストロンガーを高い所から見下ろすタイタンおじさん。
 「コウモリ奇械人が撒き散らした花とも知らぬストロンガーよ、荒れ地に乗り入れろ。地獄の口がぽっかり開いて待っている」
 ストロンガーとタイタンの言動から、てっきり、花畑をよけたら卑劣な罠が発動する……のかと思ったら、

 オートバイに乗ったまま
 躊躇無く真っ正面から
 「綺麗な花」を踏むストロンガー。

 ちゅどーん!

 その途端、大爆発が起こり、ストロンガーは空中ジャンプでこれを回避するも、着地した際に踏みつけた花が爆発し、 思わず笑ってしまうレベルの連鎖大爆発の煙に飲み込まれる……。
 ここ、背後で爆発→前転で回避→続けて左右で爆発→更に続けて前方(回避した方向)で爆発、しているのですが、 編集のブレがなく、物凄く至近距離で爆発していないか(^^;
 「はっはっはっはっははは、花畑だ、地雷の花の。ふふふふふふふ」
 ストロンガーは多分花を避けない、という城茂の鬼畜ぶりを読み切った恐るべきタイタンおじさんの罠!
 ヒーローの鬼畜さが、劇中で悪の組織によって実に見事に利用された、素晴らしいシーンです(笑)
 ユリ子と藤兵衛を縛り付けたジープも地雷原へ向かって発進させられ、藤兵衛、目隠しされながらも必死にハンドルを操って地雷原を回避する、 とちょっと活躍。しかしそれでも地雷原に突っ込みそうになるジープだったが、 スキル《爆破無効》により復活したストロンガーがギリギリでそれを止め、二人を救出。
 この光景にタイタンおじさんは余裕綽々で立ち去って、ストロンガー達はコウモリ&戦闘員とバトルになり、 戦闘員をもぎ離す藤兵衛は、もしかして自動車に乗っている時は全てのステータスがUPするのか。
 そして期待に違わず、次々と地雷花畑に投げ捨てられ、次々と爆死していくブラックサタン戦闘員。
 火薬って、本当にいいものですね。
 前半に続いて、新挿入歌の効果もあってかスピード感のある殺陣が秀逸。コウモリ奇械人の鋭い翼に多少苦しむストロンガーだったが、 電タッチで翼を破壊してから、電キックで爆殺。
 「しくじったなタイタン……ふはははははははは」
 アジトでは、暇なので占いをしていたシャドウが、低いレベルで喜んでいた……!(笑)
 第13話で突然の退場劇だったタイタンが、わずか3話のインターバルで復活。話数的には織り込み済みの復活だと思われますが、 一度退場させる事で、新幹部と復活、両方のインパクトを作る事に成功。難点は、肝心の退場エピソード含め、 ここ数話の出来がやたら雑だった事ですが(^^;
 第13話はあまりに酷かったので、タイタンの強化復活自体は、割と嬉しいです。急速に微妙な感じになっていたシャドウも、 張り合う相手が出来て生き生きとしてきましたし。
 にしても、シャドウの勝手で駄目になった第14話のタイタン葬式にわざわざストロンガーを呼んでいたのって、 本来あそこでタイタン復活させるつもりだったのか(笑) それは、大首領も、ちゃんと仕事してよ! と怒るわけです。
 次回も引き続き怪談シリーズで、「しかしそこには、沼は存在せず、一人の、 痩せた老人が立っているだけであった」という予告ナレーションが凄く謎。
 ウルトラマンシリーズに何かこういうのがあったような……と思って調べたら、 『ウルトラマンエース』に<夏の怪奇>シリーズと<冬の怪奇>シリーズがあり、 『ウルトラマンタロウ』には<日本の童謡から>がありました。

◆第18話「怪談 底なし沼」◆ (監督:折田至 脚本:伊上勝)
 沼のほとりでキャンプする子供達が幽霊に怯え、翌日、引率の先生が沼に潜ろうとすると怪しげな老人が現れて忠告するが、 結局潜った先生は奇械人デンキエイに襲われてしまう……所まででOP含めて5分使っており、夏のホラー演出なのですが、 さすがに長い(^^;
 助けを呼びに行った子供達は茂と出会うが、戻ってくると何故か干上がっている沼。そこに出てきた老人の案内で、 子供達は助けた先生を介抱しているという山小屋に向かうが、沼があった筈の場所に出現した怪しげな祭壇を調べていた茂は、 鉄鎖に囚われてしまう。全てはタイタンによる、底なし沼で溺死作戦だったのだ!
 例の如く例のようにこの罠を力尽くで突破した茂は、倒れている老人を助けるが、その正体はデンキエイ。ストロンガーに変身し、 ジャンプ中に「天が呼ぶ!」をやる、変則パターン。
 デンキエイはストロンガーの攻撃を受ける度にその電気エネルギーを吸収していき、 初めて一般怪人に苦戦したストロンガーは沼の中に逃げ込んだ所を、
 「馬鹿め、俺の、電気ショックを受けてみろ!」
 と積もり積もったブラックサタン怪人の恨みの篭もった、エイ電気ストリームを受け、今までの因果応報で大爆発!
 一方タイタンを追ったユリ子は、戦闘員に憑依された子供達とデンキエイの攻撃を受けて囚われてしまい、シャドウは、 今日も暇なので本部で占いをしていた。
 「シャドウ。タイタンから報告が入った」
 「どうせストロンガーに敗れたのでしょう。カードに出ている」
 「デンキエイがストロンガーを殺したとの事だ」
 「まさか?!」
 凄い勢いで、ただの、働かない人に……!(笑)
 その頃、今夜の晩飯を釣りで調達しようとした藤兵衛は沼にぷっかり浮かんでいた茂を拾い、茂がここまでやられるのも珍しいが、 藤兵衛が役に立ったのも珍しい。負傷を押して山小屋へ向かい、既にユリ子の姿が無かった事に焦る茂を止める姿には、 往年の風格も少しばかり甦っております。
 ユリ子の手がかりを求める二人だが、そこへトランプ通信を飛ばしてくるシャドウ。
 「城茂、やはり生きていたな。俺は安心したよ。喜ばしい事だ」
 「何故だ。俺の死を願う筈のおまえが、どうして喜ぶ?」
 「俺の目的が残されているからだ。タイタンごときに手柄を立てられては、俺の立場が無くなる。ついでに囚われたユリ子は、 この奥の製材所で処刑寸前だと教えてやろう」
 つ・い・で(笑)
 茂と藤兵衛はユリ子の救出に急ぎ、ほくそ笑むゼネラル・シャドウ。
 「ユリ子の処刑にも失敗すればタイタンめ、さぞかし悔しがる事だろう。ライバルは蹴落とせだ!」
 時速300kmオーバーで小物峠を攻めまくるキュアシャドウですが、生け贄の儀式を嫌がるぐらい子供好きなので、 子供を利用するタイタンの作戦が許せなかったんですよきっと!(涙)
 まあそもそも大首領が余計なレポートをしなければこんな事態は招かなかったのですが、ますます膨れあがる親切だけど無能疑惑。 ……恐らく本人は巧みなマネジメントをしているつもりなのに、すべからく裏目に転がる……って、まさか、 ブラックサタン大首領は、某役立たずさんの親戚か?!(待て)
 製材所ではユリ子が電ノコで丸太ごと真っ二つの危機に陥っていたが、それをギリギリで食い止めるストロンガー&藤兵衛。
 「あの沼で貴様、くたばらなかったのか!」
 「デンキエイ! 俺は最高級の改造人間だという事を忘れていたらしいな!」
 今明かされる、衝撃の真実!
 ストロンガーが圧倒的な強さを誇り、ブラックサタンがそのストロンガーに匹敵する改造人間を作り出せないのは、 ストロンガー制作に最高級SR素材を消費してしまい、再現不能の為だった!
 今回もタックルとストロンガーが連携アクションを見せ、おじさんも結構活躍。 製材所の動力電気を盗んでエネルギーを回復したストロンガーは、エイとの電力勝負に押し勝って電キックで撃破するのだった。
 「シャドウ! よくも邪魔してくれたな」
 「さぁ……何の事かね」
 この人、マジ最低だ!(笑)
 幹部同士の対立が生まれたと思ったら、情報を流して足を引っ張るという実に安直な方向に行ってしまったシャドウですが、 どちらかというと、せこい暗躍はタイタンおじさんの方が似合ったような。今回に限っては被害者になった事で、 むしろタイタンの方が堂々として見えて困ります(^^; 果たしてキュアシャドウは、 ここ数話で自ら水たまりに落として踏みつけにした誇りとか美学とか戦士らしさとかを取り戻す事が出来るのか!
 次回も怪談シリーズで
 「そこで、落ち武者幽霊の正体を知った彼らは、四次元の世界へと連れ去られてしまう」
 という予告ナレーションが激しく謎ですが、今回蓋を開けたら謎のナレーションままだったので、次回も多分そのままだ!

◆第19話「怪談 呪われた古城!」◆ (監督:内田一作 脚本:伊上勝)
 タイタンおじさん、OPクレジット復帰。
 呪われた古城扱いを受ける浜松城を調べにやってきた子供3人が、同じく調査にやってきた藤兵衛と出会って4人でうろうろしていると、 人魂が飛び交い、城内に閉じ込められてしまい、不気味な雰囲気の中、落ち武者の幽霊が……! という正調ホラー演出で展開。
 「見ろ……見るのだ……催眠4次元世界ぃ」
 そして崩壊(笑)
 落ち武者の正体は毒ガマ奇械人だったが、そこへ出てくる城茂。
 「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花 か……ブラックサタンの奇械人!」
 城茂は基本時代劇キャラなので、舞台風の登場の仕方と言い回しが良く似合い、これだけで何となく楽しいのはズルい(笑)
 「幽霊話で人を近づけず、この城で何を企んでいる。ブラックサタン!」
 珍しく茂が行動の脈絡を自ら説明すると(なお、藤兵衛はどう考えても囮偵察要員)、そこに現れるタイタンおじさん。
 「その目的を、知りたいか。地獄の土産に聞かせてやろう」
 「なに?」
 珍しく教えてくれて、茂ちょっぴり動揺。
 「この地方の人間を、毒ガスで1人残らず殺してやる」
 予想を遙かに超えて超大雑把なのですが、ブラックサタンはホント、スケールの統一感すらなく、 その場その場の思いつきで日本に嫌がらせをする組織だなぁ……。
 毒ガマの吸盤攻撃に苦戦するストロンガーだったが、水中戦でのエレクトリックファイヤーでなんとか撃退。 タイタンは逃げてきた毒ガマに、「毒ガマ! のびている立花藤兵衛を湖に叩き込め!」と指示を出す謎の展開。
 たちばなとうべえ56のひみつ!
 とうべえは毒ガスがきくがしなない!
 とうとう簀巻きにされて湖に放り込まれる藤兵衛だったが茂に助けられ、茂は藤兵衛を運び込んだホテルで、 ユリ子&前夜の少年と接触。藤兵衛の看病をユリ子に任せて医者を呼びに行こうとする茂だったが、そこに閃くトランプ爆弾。
 駐車場の車に巨大なトランプが立てかけられているのが超シュールで、 今作ここまででもトップクラスの衝撃映像(笑)
 医者を呼びに行こうとしていた事など忘れてトランプが運転する車を追う茂だが、 無人の遊園地に入り込んだトランプはシャドウの姿に変わると、ロープウェーで展望台へとおさらばし、 何故かそれをモーターボートで追うストロンガー。
 意味はわかりませんが、遊園地! ロープウェー! モーターボート! と、 何となく画面にハッタリを出したい時に持ち込まれるギミックが惜しげも無く投入される豪華まる得トリプルランチセット状態。
 「俺の力を、見せてやるぞ!」
 何をするのかと思ったら、シャドウ、ロープウェーから眼下の湖に向けて爆弾投下(笑)
 それはどう見ても、ブラックサタン兵器開発班の力です!
 その頃、ホテルではユリ子と少年が苦しむ藤兵衛を看病していた。
 「もうすぐお医者さんが来るわ」
 来ません。
 取捨選択としては難しい所ですが、茂はホント、人間の扱いが雑だと思うんですよ……。
 その時、外から響く怪しい金属音。
 「あの音は……?」
 ホテルの石垣を登ってくる、落ち武者!
 内角抉り込むようなシュール映像が連発しますが、タイタンおじさん復活編からここまでやたらサービス満点で、夏か、これは、 夏の力なのか。
 正体を現すガマ奇械人に立ち向かったタックルは、毒ガスであっさり昏倒し、何故かさらわれる。
 一方展望台では、シャドウとタイタンが見つめ合っていたが、そこへ高笑いで割って入るストロンガー。
 「ストロンガー、タイタンにはブラックサタンの目的がある。おまえの相手はシャドウだ」
 睨み合う二人に、下から声をかける百目タイタン。
 「ストロンガー! シャドウと戦い勝った時は、鬼岬に来い。毒ガマが、タックルを人質に待っている」
 「タックルが……しまった!」
 反目するタイタンとシャドウがお互いの目的の為にお互いを利用する一方、 何故かタイタンがタックルを人質にした上で作戦行動地点にストロンガーを呼び寄せる言動をする事で、 シャドウにプレッシャーをかける結果になっているという、嫌がらせなのか何なのか、 繋がっていないのに噛み合ってしまっているやり取りが妙に格好良く、このまま友情パワーに目覚めそうな勢いです。
 「まず鬼岬にはゆけまいな」
 「なに? ゆくとも!」
 ここ数話タイタンに食われ気味だったシャドウが久々の立ち回りを見せるのですが、展望台の柵の外側でのアクションには、 見ていて面白いというよりヒヤヒヤします(^^;
 「シャドウ……分身!」
 シャドウは2体(×3?)に分身する秘技を披露。
 「ふふふふははははは、俺がなぜシャドウと呼ばれているか。それは、影を持つからだ。ふふふふははははは」
 分身攻撃に翻弄されたストロンガーは、高い所に現れた本物の目つぶしトランプを受けて崖から転落……毎度やたら苦しみますが、 目つぶしトランプは、裏に辛子でも塗ってあるのか。
 苦しむストロンガーは「とどめの、トランプショット!」を受けて大爆発し、 それをTV観戦していたタイタンおじさんは「シャドウめ! しかしこれでストロンガーは消え、 邪魔者はなしだ」と毒ガス作戦を再起動しようとするが、鬼岬に怪しげなモーターボート接近の報が入る。 突然の戦闘員遠隔通信によりモーターボートを待ち受けるガマだったが、それは回復した藤兵衛の操縦した囮で、その隙に茂が、 大の字磔毒ガエル責めを受けていたユリ子を救出。
 ……珍しく人質解放に作戦を用いるのですが、藤兵衛がいきなり超回復しているので色々と台無しです(^^;
 囮に引っかかり狼狽するガマ達の頭上、崖の上に格好良く並んで立ったタックルとストロンガーの声が響く。
 「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ! 悪を倒せと俺を呼ぶ! 俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
 から、珍しいダブル「「とう!」」で着地し、戦闘員を蹴散らしていく2人。 タックルにひねり飛ばされた戦闘員が側転からバック転でそれを回避したと思ったら待ち受けていたストロンガーに背後から攻撃を受ける、 というのは繋がりが鮮やかで秀逸アクション。
 ストロンガーは、被害者タックルの助言が効いて(?)毒ガス攻撃をかわすも、またも吸盤攻撃を受けてピンチに。
 「苦しい……息ができない……」
 割とホント、単純にいやらしい攻撃に弱い(笑)
 何とかそれをしのぎ、ジャンプ攻撃の打ち合いの末、最後は電キック。さすがに前半ストロンガーが強すぎたと思ったのか、 徐々に苦戦するようになっていますが、ブラックサタンの方で強化手術が一般化してきたという事でしょうか。
 ストロンガーに破壊されると悔しいから自分でやる、とタイタンは毒ガス製造工場を自爆させ、その後に現れるゼネラル・シャドウ。
 「無事だったのか城茂。今度会う時は必ず仕留めてやる」
 「間抜けめ! 何がストロンガーを倒すだ。大口を叩いてヘマばかりやりおって」
 「うるさい!」
 「二度と手出しをするな」
 「ふふふふははははは」
 シャドウは何故か笑いながら去って行き、やはり、二人の間に、男の友情は生まれないのであった!
 延々と意味不明な展開が続くのですが、サービス満点で要素盛り沢山の為に妙にテンポ良く進むという、 後の世に言う「魔空都市」的エピソード(笑)
 次回、ナレーションが殺す気満々だが、果たしてタイタンおじさんは生き残る事が出来るのか?!

◆第20話「恐怖の大砂漠! 二人の藤兵衛!?」◆ (監督:内田一作 脚本:伊上勝)
 大砂漠(多分、ディシプリン・マーチだったり魔王と戦ったり女刑事が水着でマシンガン撃ったりする事でお馴染みの中田島砂丘) を馬で行くストロンガー、に被さるギターと口笛のBGMという、西部劇風の演出でスタート。
 百目タイタンがストロンガーに決闘を申し込んだ事がやたらにナレーションで煽られ、 雰囲気に合わせてコーディネートしてきた百目タイタンウェスタン仕様とストロンガーの激突の末、 エレクトロファイヤーvsファイヤー返しでダブルノックアウトとなり、タイタンは辛うじて撤退。
 「俺の体を直せるのは……原子力研究所の、立木博士しかない……」
 気を失った茂は藤兵衛に運ばれて研究所へ運び込まれるが、なんとその立木博士は藤兵衛と瓜二つであった!
 この後の台詞を見ても茂は立木博士と面識は無かったようですが、どうやら、 万が一の用心として“俺の事を直せそうな科学者”をチェックした上で多額の献金なり何なりを行っていたようで、 自信家だと思ったら意外と用意周到です(笑)
 その頃、タイタンもアジトでひっくり返っていた。
 「タイタンを死なせるわけにはいかん。立木博士はどうした」
 先日、ストロンガーがイベント限定Sレア素材で合成した最高級の改造人間なので再開発不可能だという衝撃の事実が判明しましたが、 恐らくタイタンも別のイベント限定Sレア素材で合成した為、二度と作れないので死なせるわけにはいかないのです。そしてどうやら、 立木博士はSレア修理職人。
 「まったく世話の焼かせるやつだ」
 社長命令に従って立木博士の拉致作戦を指令しつつ、ひっくり返っているタイタンをくさすシャドウが面白すぎて、シャドウはホント、 こんな方向で輝く事になるとは夢にも思いませんでした(笑)
 そして研究所へ派遣されたブラックサタン構成員は、ちょうど研究所の前でジープに乗り込んでいた藤兵衛をさらっていた。

 タイタン、風前の灯火。

 ……予告の時点からわかりきったお約束ではあるのですが、ブラックサタン、とことん情報の共有されない職場。まあ、 端からストロンガーに抹殺されているので、ブラ通(社内誌)の発行と回覧が間に合っていないのかもしれませんが!
 「ふふふふ、俺の占いに逆らってストロンガーと戦うから、そんな目に遭うのだ」
 苦しみ呻くタイタンを笑いものにするシャドウは、どちらかというとむしろ一騎打ちを挑まないといけない立場の気がしますが、現在、 あらゆる占いを駆使して最高の吉日を探している最中なのです、ハイ。
 そこに藤兵衛が連れてこられるが、さすがに幹部の知力を見せつけ、一目で気付くシャドウ(笑)  改めて奇械人アリジゴク(久々の目出し怪人)が派遣されるが、爽やかに修理完了した茂と接触。
 「奇械人を知っている……さては貴様は」
 「城茂だ!」
 茂は謎の赤い紐を振り回すアリジゴクと戦闘になるが、その間に現れたシャドウがユリ子を一撃で気絶させると博士をあっさりさらってしまう。 アリジゴクはまさかのキャストオフ(胸のアーマーを外して手動で投擲攻撃)を見せるも、 アジトの情報をもらすだけもらして撤退し、改めて、奇械人はパワーを2倍にしたら知力が二分の一になった疑惑が募ります。
 茂とユリ子は、藤兵衛と立木博士の救出の為に大砂漠へ向かい、一方、藤兵衛も独力で脱出に成功。 日本国内だけど大砂漠という設定なので、なんか死にそうになっている藤兵衛と、水をがばがば飲んで茂に怒られるユリ子だったが、 ようやく砂漠で感動の再会を果たす。
 茂とユリ子が「オヤジさん、本当に良かった……!」みたいな感じなのですが、やはりフラグを立ててイベントを起こす為には、 日々のエンカウントによる地道な好感度上昇が大事。
 だがそこへ、藤兵衛をつけていたシャドウと戦闘員が現れ、 茂は奇械人アリジゴク(地形適正:砂地S/地中S)の蟻地獄に飲み込まれて気絶。以前に、水中も駄目、空中も駄目、 後は地中か……と書いたような記憶があるのですが、砂漠を歩き回らせて疲労させる作戦(???)と合わせ技とはいえ、割と有効でした、地中。
 ユリ子も変身しようとするが本日2回めのトランプ直撃を受けて気絶し、一行は大ピンチに。 そこへ手術の無事終了したタイタンおじさんが現れると、じっくり力を奪っての処刑を宣言し、 3人は熱砂の砂漠をジープで引きずり回された上に生き埋めにされてしまう。
 ジープで引き回すシーンはなかなか迫力にして、座席のタイタンおじさんが、物凄く楽しそう。
 「アリジゴク、後はお前に任せる」
 病み上がりの体で髪のセットもそこそこにわざわざ出てきて、ねっとりこってりいたぶってやると宣告した割に、 ジープではしゃいだら満足してしまったのか、面倒になってきて部下に丸投げするおじさん(笑)
 タイタンはその堪え性の無さを克服できれば、もっとまともな職場で大活躍できたと思うのですが。
 それはそれとして、砂漠に埋められて直射日光にあぶられ、かつてなく死にそうになる3人。目を覚ました茂はアリジゴクに水を頼むが、 アリジゴクはこれ見よがしに水筒の水を茂の目の前の砂上に振りまいて見せる……だが
 「エネルギーチャージ! ぬかったなアリジゴク。水のショックで俺の力を取り戻させたんだ」
 それは茂の計算通りであり、地中に染み込んだ水を利用して復活した茂はストロンガーに変身。 長めの戦闘の末に最後は電キックを炸裂させて奇械人を倒すと、アジトに突入して立木博士を救出。 放棄されたアジトは大首領によって爆破され、どうにも詰めの甘いタイタンおじさんは歯がみするのであった……。
 2話続けて、歯車が幾つか外れても気にせず全力疾走、みたいなエピソードでしたが、 シャドウを急速に面白くしている要因である復活タイタンがさくっとリタイアしないでホッとしました。 幹部の対立は面白要素の基本とはいえ、この2人がここまで激しい化学反応を起こすとは、本当に予想外でビックリです(笑)  タイタンおじさんには出来る限り頑張っていただきたい。
 次回――大きな真珠貝から海中戦闘員現る!
 今に始まった事ではないですが、ストロンガーの予告って30秒喋りっぱなしなので毎度濃い上に時々適当な事を口走るのですが、 今回はいつにも増して早口かつおかしなテンションで果たしてストロンガーは海中で変身して罪も無い海女の母子を救う事が出来るのか!  川の中とか池の中はむしろ得意フィールドだった気がするのですが、苦手なのか、塩水。

→〔その5へ続く〕

(2016年5月15日)
(2017年3月16日 改訂)
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