■『仮面ライダーストロンガー』感想まとめ3■


“口笛高くやってくる 強い男はストロンガー
仲間はタックル 電波投げ”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーストロンガー』 感想の、まとめ3(11〜15話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第11話「カメレオーン! 悪魔のフィルム!?」◆ (監督:山崎大助 脚本:伊上勝)
 …………いや、まあ、その、なんだ……もはやあらすじを書く事に疑問を感じる領域で破綻している事ってありますよね?
 来日したアラブ某国王(演:大月ウルフ)とその王女の命を狙うブラックサタンの奇械人カメレオンだが、城茂の妨害を受け失敗。 すごすごと逃げ帰り、開始3分にして始まるタイタンのお説教。
 「申し訳、ありません。今度の作戦は、失敗です」
 割り切り早すぎるぞこの怪人(笑)
 「今一度国王に近づいて、殺せ!」
 「しかし、厳重な警戒をどうやって国王に近づきます?」
 なんでそんな弱気なんだ(笑)
 だがタイタンは、間抜けな部下が役に立たない時の事を考えて、既に次善の策を用意していた。その指示に従い、 カメレオンは執拗に映画監督への憑依を目論む。
 どうして映画監督に憑依しようとしていたのか? というと、最終的に、冒頭で茂が国王父娘を助けた際、 離ればなれになってしまい捜索中の王女らしき姿が撮影したフィルムに映っているので確認してほしい、 と国王の下へフィルムを持ち込む為なのですが、フィルムを渡すシーンで特に映画監督だから信用されるという要素が皆無な為、 本編の70%程度の意味が虚数空間に飲み込まれました。
 そもそも茂が国王を助けた際、王女と離ればなれになってしまった、というのが全く強調されないので、 いきなり王女が映画撮影の現場を一人でフラフラしているというシーンのスペース演出ぶりが物凄いのですが、 再びカメレオンを蹴散らしてそれを保護した茂が「今は危ないからお父さんの元へ戻ってはいけない」と王女を藤兵衛に預ける為、 状況はカオスを通り越して真っ白な無に。
 「城茂、貴様の為に、目的の途中で死んでいった仲間の仇を、討ってやる!」
 「なにぃ〜。冗談言うない。そうそう仇を取られたんじゃ、こっちの命が幾つあっても足りねえやい」
 という殺伐とした会話は面白かったですが(^^;
 そんなこんなで整理不能の紆余曲折の末、タイタンに一杯食わされたストロンガーが「恐るべき相手だ……さすが、 ブラックサタンの大幹部」と急な強敵アピールを行い、上映されたフィルムの中からカメレオン奇械人が出現して国王の命を狙うが、 すんでの所で駆けつけたストロンガーと戦闘に。
 これまでの戦いから、全属性無効ないし抵抗持ちだと思われたストロンガーに《毒液目つぶし》が有効な事が判明し、
 「しめたーっ!」
 と快哉を叫んだ怪人は、ストロンガーを挑発してビルの屋上から落とそうとする(笑)
 だが後一歩の所で失敗に終わり、電キックで吹っ飛ばされて爆死。……根本的な所では、ビルから落ちたぐらいでは死なないと思うのですが、それ。
 ちなみユリ子/タックルは、話の流れと全く関係ない所でブラックサタン戦闘員と戦っていたが、 ラストに出てきたので、何とか勝利を収めたようでありました。戦闘員には勝てるぞタックル!
 最後に、部下の頭が悪すぎて駄目です、と報告するタイタンに対し、ブラックサタン最強の奇械人が生まれつつあるので待て、 と首領が告げ、不穏な気配を漂わせて続く…………………………不安しかない。
 脚本・撮影・編集、の全ての段階で30%ずつ酷くしたら90%酷いものが完成しました、みたいな酸鼻極まる出来で、 ここまで来ると、ラッシュフィルムの時点で誰も止められないほどスケジュールが切羽詰まっていたのだろうか、と思いたくなります。

◆第12話「決闘! ストロンガーの墓場!?」◆ (監督:山崎大助 脚本:伊上勝)
 公園でブラックサタンの危険性を訴える老人を見て同情するユリ子だが、もしかしたら罠かもしれない、 とクールな態度で様子を伺う茂。ところがそこへ、悪の秘密結社の存在を知るとテンションの上がる男、立花藤兵衛が通りすがってしまう。
 「その通りだ!」と老人と一緒に盛り上がるが、今度は老人が「ブラックサタンに殺された」と言っていた息子が現れて、 老人を家に連れ帰っていく。首をひねりながらも、上がったテンションの収まらない藤兵衛は一人で演説を続行しようとするが、 そこへやってくる怪しげな救急隊員。
 「みなさん、お騒がせしてすみません。この人は精神病院から脱け出してきたんです」
 「馬鹿な事言うな! ……そうか、貴様達ブラックサタンの奴等だな!」
 リアルすぎてヤバい(笑)
 藤兵衛はそのまま救急車で連れて行かれてしまうが、救急隊員達は案の定ブラックサタンの戦闘員で、それを止める城茂。
 「貴様は城茂!」
 戦闘員は覚えている辺り、ますます、 奇械人への改造手術にともなう脳の一部への深刻な影響が懸念されるので科学班は再来週までにレポートをまとめて総務課まで提出するように。
 「オヤジさん逃げろ!」
 と救急車の中の手を引くと、出てきたのはなんとタイタンおじさんという絵は非常に面白かったです。 そしてハンカチで手をぬぐうおじさん(笑)
 タイタンの口から、ユリ子が追った老人の息子はブラックサタン最強のクモ奇械人だと知らされる茂。
 「クモ奇械人にとっては、相手が違うんで不足だろう」
 「なんだと? ユリ子だって電波人間タックルだ。そうむざむざやられてたまるか」
 そこは、信頼しなくていい(笑)
 ストロンガーとタイタンの戦いが始まるが、悪の秘密結社の幹部を目撃してテンションが限界値を突破した藤兵衛、 タイタンに背後からの組み付きを敢行。
 「ストロンガー、早く行け! タックルを助けろ! 俺は死んでもいい!」
 テンション上がりすぎです。
 急ぎタックルの元へ向かう茂だが、時既に遅く、タックルはクモ奇械人に敗北していた。クモ男の後を追った茂は墓地に誘き出され、 用意されたストロンガーの墓に対して「その墓を見ろ」と言われて思わず見たところを背後から襲撃を受ける。……最強の奇械人、 いきなりの小物臭全開。
 クモ奇械人のデザインは、中身の入ったメインの腕から、その下についた左右2本ずつの腕にヒモが繋がっており、 メインの腕を動かすとそれに合わせて計4本の腕が動く事でクモ脚を表現しつつ、そのヒモに蜘蛛の巣の意匠を組み込んでおり、 秀逸といえば秀逸なのですが、間抜けといえば実に間抜け。
 “最強の奇械人”という触れ込みでなければ、これはこれで有りだったとは思うのですが(笑)
 クモ奇械人は、冒頭でタイタンのパイロキネシスを防いでみせた蜘蛛の巣ガードを用いるが、あっさりと電ショックでダメージを受ける(笑)
 ブラックサタンは本気で、地方統一モードからやり直した方がいいと思うのですが。
 そこへ現れたタイタン怪人が、ユリ子と藤兵衛を人質にしている事を告げるとクモを引きずって退却し、今回もサポートが大変そうです。
 「口ほどにもない。なにがブラックサタン最強の奇械人だ」
 毒づくタイタンだが首領命令で強化手術を行い、今度こそクモとストロンガーに決着をつけさせるべく、茂を埠頭の貨物船へと誘い込む。 そこではクモ奇械人が、輸出される食料に毒ガスを注入するという作戦を行っており、ガス装置を起動させてデッキへ出るクモだが、 なぎ倒されている戦闘員を見てまあビックリ☆
 「やられてる?! い、いったい誰が」
 ……貨物船におびき出すって言ったでしょう。
 相変わらず奇械人の電子頭脳はメモリが不足しすぎですが、タイタンもタイタンで、 どうして大事な作戦実行中の貨物船を誘導ポイントに設定したのか。 そしてそもそもクモ怪人を“最強”と自慢げに語っていたのは首領その人という所から始まり、もう何度書いたかわかりませんが、 駄目すぎるぞこの組織。
 ガス装置を破壊し、ユリ子と藤兵衛を救出したストロンガーは、クモ奇械人と激突。「パワーが倍になっている」とか言った割に、 苦戦したのは5秒ぐらい(笑) タックルは戦闘員を相手に藤兵衛を連れて戦闘する事により、一般人より遙かに強い事をアピール。 演出努力の方向が後ろ向きすぎる上に、露骨に比較対象にされた藤兵衛がまたコメディに寄り過ぎてしまい、 互いにとってあまり良くない形になった気がします(^^;
 一方、本日もはめ技と名高い弱キック連打でクモ奇械人を追い詰めるストロンガー。
 「ストロンガー、上がってこい!」
 「よーし」
 高い所から挑発されたので、おもむろに辺りを見回すと、「エレクトロ・ファイアー!」で電流を流し、 落ちてきた所に電キック。クモ奇械人は哀れ海の藻屑となって大爆死するのであった。
 ホント容赦ないよこの人。
 「パワーを2倍に上げてもストロンガーは倒せなかった。……奇械人をもっと強化せねば」
 頭脳をな!
 前回よりはマシでしたが、わざわざ引っ張った“最強の奇械人”が案の定すぎるというか、もはや案の定すぎて予想外レベルでしたが、 あまりに弱すぎて何の盛り上がりも生まれませんでした。タイタンおじさんと茂との会話で「今回の奇械人はものが違うからタックルが危ない」 みたいなニュアンスがあるのですが、タックルが奇械人に勝てないのは平常運行ですし。 11−12話と今作初参加の監督でしたが、急に呼ばれてこれまでの本編を一切見ずに急遽1週間で2話撮影したのではないかぐらいの勢い(^^;
 次回、おじさんラストバトル?

◆第13話「一ツ目タイタン! 最後の逆襲!!」◆ (監督:内田一作 脚本:伊上勝)
 タイタンおじさんラストバトルでしたが、残念な出来(^^; これで3回連続、ぐだぐだだなぁ……。
 真夜中、壁に張り付いた変な目玉マークから出てきた戦闘員に襲われる茂。タイタンおじさんは茂の変身前を狙おうとするがさくっと変身されてしまい、 そこに現れる奇械人エレキイカ。
 意外にも、ストロンガーには電気攻撃が通用した!
 「エレクトロ・ファイヤー!」
 エレキイカにも、電気攻撃が通用した!
 タイタンと奇械人はすごすご撤退するが、ストロンガーは突然、瀕死の戦闘員より「タックルの兄さんから」の手紙を渡される。 なんと、行方不明になったユリ子を探してブラックサタンに潜入したタックル兄は、タックルの無事を知るも正体がバレて危機に陥っていたのだ。
 その状況で悠長に戦闘員に手紙を託して自分の危地を伝えるタックル兄の行動にツッコミ所が多すぎてこれは勿論罠なのですが、 逆にこれで罠で無かったら、正気の戦闘員をストロンガーが惨殺していた事になってしまい、誰もそこに問題を感じなかったのか(^^;
 しばらく、罠では無い、という体裁で話が進むので、どちらに転んでも非常に困った事になっています。
 当然のように他人宛の手紙を読んだストロンガーは、 タックル兄を救う為にブラックサタンの怪人製造工房へと向かうが、余計な伝言を残した為に、 先へ向かったタックルが例のように例の如く怪人に苦戦。一緒に洞窟に逃げ込んだ茂とユリ子は、 そこで戦闘員に追われていた人物――ユリ子の兄、守と出会う。
 「すると、あなたは?」
 「城茂」
 「仮面ライダー、ストロンガー!」
 「とも呼ばれています」
 100%自称だったと思うのですが。
 一方、本部で護摩行をしていたタイタンおじさんは(タイタンは途中から少しオカルト絡みの描写が付加されるのですが、 特にキャラクターの深みには繋がらず)、更なる強化手術を受ける事で体内温度8万度からその3倍、 24万度の熱量を持った最強の改造火の玉人間になると、何故か茂に金でブラックサタンと和解しないかと、交渉を持ちかける。
 「馬鹿にするな! 金なんか欲しかったら元々改造人間なんかにはならん!」
 「まあそう言うなぁ。実は俺も、今大変困っている」
 どうしてそんな、出先で財布を開けたら1000円札しか入っていなかった、みたいなノリなんだ(笑)
 「しかし、君をやらなけりゃ、俺は死刑なんだ」
 「死刑」
 「だからどうだ。お互いの平和と利益の為に」
 「やだな。おまえの事情など俺は知らん」
 勿論さっくり決裂する交渉ですが、当然タイタンも本気に見えず、かといって何か時間稼ぎの都合があったような描写もなく、 シーンそのものが果てしなく謎です(^^;
 おじさんがメガネ外して結構長く喋るので、退場前に、役者さんサービス的な意味だったのかもしれませんが……なおタイタンおじさんは、 色眼鏡を外すと確かに、34歳で通用しない事もない。
 タイタンおじさんの攻撃で負傷した守を運ぶ茂とユリ子だが、実は本物の守はとっくに死んでおり、 その正体は守に変装したエレキイカと判明。更にそこに、背広を脱いだタイタン怪人が現れる。
 「作戦に汚いも綺麗もあるか! 俺はおまえを倒す事に命を賭けている。騙すヤツが利口で、騙されるヤツが馬鹿なんだ!」
 誰を騙せていたかというとユリ子ぐらいなのですが、そもそもユリ子(タックル)は騙す必要が特に無いので、 タイタンは何を目指していたのか。エレキイカがストロンガーに組み付いている所をまとめてミサイル攻撃するタイタンだが、 イカだけ死亡し、遂に直接対決する、ストロンガーとタイタン。
 「タイタンのパワーは24万度。貴様の2倍だ。タイタンパンチ!」
 3倍強化されたタイタンは、謎の理屈でストロンガーをまさかの圧倒。あらゆる電気技を防ぎ、電キックにカウンター投げ。
 「24万度……?」
 しかしこの余計な発言で水が弱点だとバレてしまい、海に投げ込まれて溶けて爆死。
 …………え。
 そもそもタイタン、罠によって茂を呼び寄せた筈なのですが、どうして自分の弱点フィールドに(笑)  火力を3倍にしたら、知能が3分の1になってしまったのか……!
 ブラックサタンの夜明けは遠い。
 そして東映特撮名物(?)、岬守の突然の墓が海辺に建てられるのですが、まあ、親族(ユリ子)が居るのでOKでしょうか。
 「タイタンは死んだ。次は……」
 それを見つめ、トランプをめくる謎の渋い声……次回、新幹部ゼネラル・シャドウ登場、でつづく。シャドウは今回手元しか見せず、 次回予告でも姿は秘密、というのは良かったところ。
 1クールの締めを飾るタイタン退場編でしたが、せめて奇械人を出さずに強化タイタンvsストロンガーに絞れば良かったのに、 何故か怪人も出してしまった為、タイタンが非常に雑に死亡。デザインは面白かったし、 おじさんと茂の絡みは第1話からじわじわ継続していただけに、残念な事になりました。

◆第14話「謎の大幹部 シャドウの出現!」◆ (監督:内田一作 脚本:海堂肇)
 奇械人の素体とするべく、囚人を護送するパトカーを襲うブラックサタン。囚人役の丹古母鬼馬二さんが、劇中の台詞通りに、 4人の人間を殴り殺せそうで迫力満点。
 爆発音に気付いて現場にやってきたストロンガーに山林を飛び回る戦闘員が襲いかかり、まずは戦闘員がひと味違う、 という演出なのですが「今日の敵は今までとは違う。何かあるぞ」とストロンガーに言わせてしまってちょっと残念(^^;
 ストロンガーは「トランプ・吹雪!」により目くらましを受け、巨大なスペードのKから出現したのは、 フェンシング選手をモチーフにしたと思われる白ずくめの怪人、ゼネラル・シャドウ!  透明なメットの中にはミュータントピエロとでもいった顔が透けて見え、黒に白いスカーフのワンポイントだったタイタンから、 白に赤い襟元と唇の目立つシャドウ、と色彩の変化がなかなか鮮烈で、幹部デザインは引き続き秀逸。
 声は柴田秀勝さんなのですが、この当時(1975年)で既に超渋い声なので、いったいお幾つなのかと思ったら、 1937年生まれで当時38歳。……去年も普通にアニメで声聞いたけど、もう80歳に手が届くのか!
 シャドウはトランプ大魔術でストロンガーを翻弄すると「おまえはタイタンの葬式の日に死ぬ」と言い残して姿を消し、 2週連続でストロンガーが正面から苦戦し、ブラックサタンは、幹部の戦闘力は割と高い事が判明しました。
 苦節1クール、遂にいい所が見つかったよ!
 シャドウは基地へと戻り、隠し扉を開くのをチラ見していた戦闘員を「態度が悪い」とトランプでお仕置き両断。
 第1話でもタイタンおじさんが根性焼き(8万度)で戦闘員をお仕置きしており、幹部の冷酷さの表現なのでしょうが、 折角の新幹部を初登場回から前任者と被せて良かったのか(笑)
 囚人はこれまでになく凄惨な映像で改造手術を受け、誕生するゴリラ奇械人。ブラックサタンは葬式の生け贄とするべく子供をさらい、 それを助けようとする茂とユリ子だが、ゴリラ地震パンチによる地割れ攻撃によりその行方を見失ってしまう。
 子供を探す二人の前に、変装して川で釣りをしていた藤兵衛が「この辺りが怪しいと思って見張っていた」と出てくるのですが、 いったいこの人は、何を見て、何と戦っているのでしょうか。やっぱり精神病院から(以下略)。
 ストロンガーは川を流れてきたブラックサタンの立て看板を見つけ、上流で行われていたタイタンの葬式会場に辿り着くが、 その前にシャドウが立ちはだかり判明する衝撃の事実。
 「俺は大幹部を引き受けたが、しかし根っからのブラックサタンではない。おまえを倒したいばっかりに引き受けた。世界一は俺だ。 世界一は一人でいいのだ」
 ゼネラル・シャドウは外部からのスカウトだった!

 急募!
 職種:大幹部(作戦指揮出来る方)
 交通費・危険手当・各種保険の適用アリ。特別賞与・昇給は活躍次第。ライダーストロンガーと戦いながら、 世界征服を目指すお仕事です。腕に覚えのある方、我々と一緒に世界を影から支配してみませんか? まずは気軽にアジト見学希望から、 随時受付中。お問い合わせはブラックサタン人事部××まで。

 シャドウは茂にトランプを引かせ、茂が引き当てたのはジョーカー。
 「ジョーカーは万能のカードだ。今日は勘弁してやる。子供達を返してやれ」
 生け贄の儀式を気に入らないシャドウは《独自の美学》を発動するが、ゴリラはそれに反抗して子供をさらっていき、 追いかけた茂とロープウェーアクション。激闘の末、ストロンガーはゴリラを倒し、子供達は無事に親元へ戻るのであった。
 そしてシャドウは大首領から葬式の不首尾を怒られるが、社員募集にそんな業務内容は書いていなかったと返し、 タイタンおじさんは死んだ後まで不憫な扱いを受け、次回へつづく。
 新幹部の登場編で演出は凝っていましたが、話自体はこれといって面白くはなく。目的の為に手段を選ばないタイタンに対し、 ストロンガーとの戦いにこだわり独自の美学を持つシャドウという対比をされましたが、《独自の美学》は定番の地雷なので、 少々不安(^^; なお今回最大の失敗は、ゴリラ奇械人より改造前の丹古母鬼馬二さんの方が怖かった、 というこれに尽きます(笑)

◆第15話「死を呼ぶシャドウのトランプ!!」◆ (監督:山崎大助 脚本:鈴木生朗)
 奇械人の名称に、そのまま(クラゲ、クワガタなど)・一ひねり(ガンガル、トラフグンなど)・属性+素体(ヨロイガメ、 エレキイカなど)と3パターンあるのは、開発班のこだわりなのか、単に大雑把なだけなのか気になる今日この頃。 ……まあなにぶんブラックサタンなので、書類審査用に仮の名称を書いておいたら、大首領が適当にハンコ押して認可されてしまったとか、 そんな気はしますが。
 重力制御法を発見した黒木博士がブラックサタンのクワガタ奇械人にさらわれ、 夏らしい服装になった茂の前にはゼネラル・シャドウが立ちはだかる。茂はシャドウのトランプが顔に張り付いて目つぶしに苦しみ、 予想外の弱点属性が固定化。もしかして意外と、単純な落とし穴とかに弱いのではストロンガー。
 「一足遅かったな城茂」
 目の見えない茂の前で岩に片足を乗せ、波止場のナイスガイポーズをキめたゼネラル・シャドウは、 既に黒木博士がブラックサタンの手に落ちた事を告げる。
 「諦めて引き下がる事だ。さもないと命を落とすぞ」
 そこへやってきて、茂をかばうユリ子。
 「城茂。残念だが、死んでもらおう」
 え? あれ? シャドウさん?!
 シャドウの目的としてはこちらの方が正しいのですが、30秒前まで警告で済ますみたいな態度だったので、 ユリ子とイチャイチャしているのにイラッと来て殺意のトリガーが押されたようにしか見えません(笑)
 これ、シャドウの正体が死んだ筈のユリ子兄とかだったら面白いけどなぁ……。
 「女を相手にする気は無い。やめろ」
 タックルを軽くあしらったシャドウは茂にサーベルを一閃するが、それをヘルメットで防ぐ茂。
 「貴様、目が見えるのか?!」
 「ははは、俺の罠にとうとう引っかかったな」
 一瞬でも! 城茂に! 弱点が固定化されたと思った私が浅はかでした!!
 まあ、見えないつもりで近づいてきたシャドウの背中にエレクトリック・ファイヤー! とかしなかっただけ、 良心的だと思いたい(「罠」だというなら、本当はそうするべきでしたが)。
 茂はストロンガーに変身し、戦闘員を残してシャドウは帰宅。今回気付いたのですが、 シャドウの衣装の背中は背びれのようなデザインになっており、顔のデザインと合わせると、 トカゲ人間(爬虫人)的なイメージが入っているのでしょうか。
 アジトではクワガタ奇械人が博士を拷問中で、そこへ戻ってくるシャドウ。
 「待て。おまえには痛めつけるぐらいの知恵しかないのか」
 ハイ。前任者はそれで退職に追い込まれました。
 シャドウの指示で博士の娘を人質に取ろうとするクワガタだがそこにはタックルが先回りしており、 タックルを追い詰めるとそこに現れる城茂…………なんだろうこの、罠にはめられた感じ(笑)
 タックル、そそくさと隠れるし。
 ユリ子を知らないで茂を知っているというやや珍しいパターンのクワガタ奇械人(脚本も演出もその場のやり取りのノリ優先で、 全く統一しようという気配が無いのが凄い(笑))とストロンガーがぶつかり合い、ストロンガー、 空中での伸身ひねりからパンチを浴びせる「ウルトラパンチ」を披露。
 たまらず車で逃走したクワガタをバイクで追うストロンガーだが、そこへシャドウが部下のサポートにやってきて再び戦闘に。 ここから、クワガタが3体ぐらい居るのではないかという勢いで怪人の出入りが激しくなり、かなり雑な展開(^^;
 甲虫らしさをアーマーで表現し、両腕がそのまま巨大な1対のハサミになっているという、 クワガタ奇械人がそれなりに見栄えするデザインだったので、戦闘の映像そのものは悪くなかったですが。
 また、戦闘員に囲まれた藤兵衛がやけになって電波投げ!をすると何故か戦闘員が吹っ飛び、首をひねっていると、背後にタックルが、 というのは、状況としてはギャグをやっている場合ではないのですが、演出としては面白かったです(笑)
 娘と共に黒木博士を救出するストロンガーだが、シャドウは博士すら囮に使って基地を爆破し、ストロンガーを亡き者にしようとする。 ストロンガーはなんか雑な装置で電ショックを無効化され、脱出できないまま基地が大爆発するが、特に何の説明もないまま復帰すると、 襲い来るクワガタ奇械人を蹴散らすのであった。
 一応脱出サスペンスで盛り上げておいて、脱出のくだりは本当に一切説明が無いというのは、さすがに酷い(^^;
 ブラックサタンが小型の重力制御装置の開発に成功(ただし大型化には博士の協力が必要)を見せた上で、 シャドウが俺が狙うのはストロンガーの命だけだから博士とかどうでもいい、とまとめて爆殺しようとするのは、話が破綻しているのか、 意図的な伏線なのかは、判断の付きかねる所です(^^; もともと外部の人間であるシャドウが、 意識してブラックサタンの強大化を邪魔しているようにも取れますが、さて。
 ところでシャドウといえば、胸につけている黒い布地のGマークが、遠目に黒猫のワッペンに見えて困っています。 細かいお洒落ポイントに気を遣う、奇術の剣士・キュアゼネラル!

→〔その4へ続く〕

(2016年4月7日,2016年5月15日)
(2017年3月16日 改訂)
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