■『仮面ライダーストロンガー』感想まとめ1■


“天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ!
悪を倒せと俺を呼ぶ!”


 ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダーストロンガー』 感想の、まとめ1(1〜5話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。

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◆第1話「おれは電気人間ストロンガー!!」◆ (監督:塚田正煕 脚本:伊上勝)
 長坂秀佳がパイロット版を担当したメカニックライダーX(ただし不評で早々と路線修正)、野性味溢れる大自然のライダーアマゾン、 と試行錯誤を繰り返してきた初期《仮面ライダー》シリーズ後半の最後を飾る今作は、初回から、 主人公の相棒として女性の改造人間(電波人間タックル)が登場し、スカートをひらひらさせながら戦うという新機軸。一方、 人間の耳の中から虫の足のようなものが覗くと怪人に変身する、というのは怪奇風味で原典『仮面ライダー』らしさを意識した節が見えます。
 変身したその怪人が、初回だというのに見れば見るほど笑えるデザインなのですが(^^;
 どうして、どうして、お腹に子供つけているのだ奇械人ガンガル……!
 答:カンガルーだから
 1話通して、画面に映る度にお腹の子カンガルーが気になって仕方ないという、恐るべき映像の罠。
 ガンガルはともかくとして、砂浜を走るホバークラフトを追いかけるバイク、というのは、乗り物の特性を活かして迫力のある映像でした。 思い切って主人公を通りすがりの謎の風来坊風味にし、背景説明を完全に後回しにした事もあり、 バイクアクションなどはインパクトを押し出す気合いの入った演出。
 秘密組織ブラックサタンによるシージャックを阻止した城茂と岬ユリコの二人は、姿を消した奇械人ガンガルを追ってとあるホテルに辿り着くが、 ユリコが睡眠ガスを浴びてさらわれそうになってしまう。それを阻止した茂はガンガルを追い詰めるも逃げられてしまい、 ガンガルの正体に気付いて先回りしたユリコだが、ガンガルにがっつんがっつん殴られてあえなく気絶。
 ……弱い、弱いぞタックル……!
 70年代では、女子供も吊されたりしばかれたりというのは珍しくありませんが、囚われのユリコ、まさかの、 逆さ吊り。
 そこへ茂が現れて救出すると、両腕をスパークさせて仮面ライダーストロンガーに変身。子カンガルーの頭突き攻撃に苦戦しながらも、 ストロンガー○○の秘密的な能力でこれを打ち破り、ブラックサタンの陰謀を防いだ二人は、どこかへ走り去っていくのであった……。
 ストロンガー○○の秘密的な表現は一種のお約束なのでしょうが、能力を用いて「敵の攻撃の秘密を見破る」のは良いのですが、 「だからといって特に対策を立てるわけでもなく反撃で勝利してしまう」為、 ギミックを使用した所でノルマ達成すると後の展開への繋がりは特に考慮されない、というのは今見ると勿体なく感じるところ。
 物語の形としてはバディスタイルっぽい体裁なのですが、初回からタックルがピンチ要員すぎて感覚としてはアシスタント的な扱いなのか。
 まあ、タックルを改造人間にした事でかえってストロンガーとの差別化を図らないといけなくなってしまった為に、 凄い勢いでストロンガーの踏み台にされているからなのですが。……どちらかというとバディというより、 噂に聞く縛られ系ニンジャ白影さん(『仮面の忍者赤影』)的な要員なのか。
 ところでくしくも同時期に『ザ・カゲスター』の配信をしていたのですが、こちらも東映ヒーローでは割と珍しい男女のバディスタイルで、 『ストロンガー』(1975)『カゲスター』(1976)と時期も続いており、何か世間でその手の作品が流行っていたのかなぁ。 なお何故か、ブラックサタンとサタン帝国も被り気味。

◆第2話「ストロンガーとタックルの秘密!」◆ (監督:塚田正煕 脚本:伊上勝)
 「仮面ライダーストロンガー・城茂は、自ら進んで改造手術を受けて、電気人間となり、日本の平和と正義を守るため、 世界征服を狙う悪の組織・ブラックサタンを倒すべく、敢然と立ち上がった!」
 初代からのお約束を踏襲しているのでしょうが、せっかく茂の素性を謎にしているのに、 OPナレーションで凄まじく台無し(笑)
 今日も出てくる謎の風来坊。
 「逃げても無駄だ!」
 と言った直後に車に轢かれる戦闘員。
 ……え?
 美人の相棒が居るからって、なんて酷い罠を。
 と一瞬思ったのですが、さすがにそんな事はなく、それは通りすがりのタイタンおじさんが口封じの為に事故に見せかけて部下を轢き殺したのであった。
 「急に車の前に飛び出しましてね、かわしようが無かったんですよ。それにしても……消えるとは只事ではありませんな」
 タイタンおじさん、肝が太すぎて、明らかに怪しい人に(後に茂の目を引きつける為の故意と判明)。
 どうやらブラックサタンの現場指揮官らしいタイタンの人間体は、色眼鏡とフィルター付きのタバコがトレードマーク。 脱税常習犯の実業家、みたいな目つきの悪いおじさんで、後の作品で例えるとクライムボス(『ジャッカー電撃隊』)っぽい雰囲気。 ……つまり概ねただのおじさんで、作品全体の中で、ここだけ妙に渋い。
 正体の方は、黒い頭に一つ目・漆黒のスーツ・純白のスカーフ、という大胆な色彩とデザインがなかなか格好いいのですが。
 ブラックサタン戦闘員が見張っていた灯台が怪しいと中に入り込んだ茂は、 不法侵入して机を漁っている姿を職員に普通に目撃される。が、
 「失礼ですが、あんたは?」
 と何故か逆に相手を詰問して職員の身体検査(笑)
 怪しいのはおまえだ。
 ……えーなんか、変な意味で凄く面白くなってきたのですが第2話。
 ユリ子を灯台の監視に残し、怪しい男(タイタンおじさん)の正体を突き止める為、ホテルに戻る茂……今回一番驚いたのは、 ブラックサタンも茂も、前回から引き続き三河湾を望む伊良湖岬で活動中で、前回と同じホテルに滞在していたという事(笑)  タイタンに至っては前回、ガンガルの正体がバレそうだからホテルの人間は全員、毒ガスで皆殺しだとか大雑把な事を言っていたのに、 平然と滞在を続けている辺り本当に根性が太い。
 ところが灯台内部に狼怪人が現れ、職員の体を奪い取ってしまう。奇械人は虫のような姿になって人間に乗り移りが可能で、 どうやら前回の花屋のおじさんもガンガルに体を奪われていただけの模様。戦闘員も車に轢かれた際に虫のような姿になっており、 関連づけられています。
 タイタンの依頼を受けたブラックサタン本部の調査で茂の正体が判明し、ここからストロンガー誕生の秘密に迫る回想シーンに。
 ――大学生だった城茂は、ブラックサタンの改造手術の失敗により殺されてしまった親友・沼田五郎の仇を討つために、 自らブラックサタンに乗り込んで改造を志願。「カブトムシの強力な力を植え付け、内蔵の代わりに、 発電装置をセットした」改造電気人間ストロンガーとなると、事前に身につけていた自己催眠装置で洗脳を防ぎ、 ブラックサタンに立ち向かうのであった。
 手袋を外すと人間離れした銀色の塊になっており、素手で物に触れるとあちこちスパークしてしまう、 というのは改造人間らしさとその特殊能力を見せて、格好いい演出。友の復讐の為にそこまでやる男、 という茂の悲壮さも良く出ています。
 「ブラックサタン! 俺は今日から戦うぞ!」
 ブラックサタン首領に宣戦布告した茂は、通りすがりにこれもブラックサタンに囚われていた岬ユリ子を救出。
 「俺はストロンガー…………仮面ライダーストロンガーだ!」
 「仮面ライダー?」
 「そうだ。ブラックサタンと戦う、自由と平和の戦士だ」
 ちょっと考える溜めがあってから「仮面ライダー」と名乗るのですが、直接的に繋がっている世界観なので、 わかった上で自らの覚悟としてシンボルとなるヒーローを名乗る事にした、という理解でいいのか。
 そして同じく改造手術を受けており、電波人間タックルに変身したユリ子と共にアジトを脱出した茂は、 ブラックサタンとの戦いに身を投じる事になるのだった――。
 (あの時から、正義の為にブラックサタンと戦っている俺だが……)
 今日は、ホテルで、ハワイアンショーを楽しんでいた。
 ではなくて、タイタンおじさんを監視していた。
 だが、茂より一枚上手のタイタンおじさんはいつの間にか姿を消すと、狼怪人に作戦の発動を指令。 狼怪人は灯台から妨害電波を放射する事で沿岸を通るタンカーを次々と沈没させる計画を始めようとするが、 そこに職員の娘が弁当を持ってやってきて、一発で正体を見破られてしまう。 灯台の外で揉める父娘に割って入ったユリ子は怪人の正体を指摘してタックルに変身するが、今回も、弱い……。だがその時、 口笛の音色とともに茂が登場。
 「天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ! 悪を倒せと俺を呼ぶ! 俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー!」
 狼、ほぼ何も抵抗できないまま瞬殺(笑) 回想シーンメインの為か、凄く酷い扱いです。
 城茂は今のところ、ギターこそ持っていないものの、造形に<渡り鳥>シリーズが入っている感じ。東映ヒーロー的には、 ジロー→イチロー→城茂→早川健、という流れなのでありましょうか。
 この辺り、途中に『仮面ライダーX』が挟まっている事を考えると、メインライターの変遷が〔『キカイダー』(伊上→長坂)・ 『キカイダー01』(長坂)・『X』(長坂→伊上)・『ストロンガー』(伊上)・『ズバット』(長坂)〕となっており、 伊上勝と長坂秀佳が間接的に殴り合いをしているようにも見えます(笑)
 何故か第1話では入らなかったEDが今回は入りましたが、それにしても、物凄く説明的な次回予告だなぁ……(^^;

◆第3話「スリラーハウスが子供を呼ぶ!!」◆ (監督:内田一作 脚本:鈴木生朗)
 中江真司さんの重々しいナレーションで「スリラーハウスが、子供を呼ぶ」と読まれると、無駄に怖い(笑)
 説明ナレーションでブラックサタンの活動にいちはやく気付き、富士山麓は富士急ハイランドへバイクを走らせる城茂。 ……これは一応、徐々に東京に近づいているのか? 新番組のスタートにロケ連発で、気合いのほどが窺えます。
 そんな茂の姿を、路肩に止めたジープから見つめる中年男が一人。
 「おお! ……あいつだ! 腕はまだまだだが、俺が鍛え直せば、世界一のオートバイレーサーになれるぞ」
 その名を立花藤兵衛。台詞から鑑みるに素質あるバイク乗りを探してハイウェイに張り付いていたようで、 夢を追いすぎて困ったおじさんです。
 ブラックサタンの待ち伏せを受けた茂は戦闘員のネット攻撃を受けて思わぬ苦戦をするが、 日本一場慣れした一般人こと立花藤兵衛が助太刀に入り、反撃。サソリ怪人が登場してストロンガーに変身し、エレクトロファイヤー、 電気マグネット、の新技を披露。
 逃げ出したサソリ怪人が進行中の作戦……それは、遊園地のスリラーハウスで子供達の度胸や精神力をテストし、 合格した子供達をさらってブラックサタンのレンジャー子供部隊を設立するというものであった!
 今回も中年男性(スリラーハウス支配人)に取り憑いていた奇械人。人間の脳に入り込んでいる奇械虫、 それが耳の穴から出てくる場面など、怪人の出現シーンの描写が克明に。支配人の異常に気付いた職員がさくっと殺される辺り、 実に70年代。
 「ブラックサタンの匂いがするからって来てみたけど、てんでのんびりしてんじゃないの」
 呑気な発言の直後に、観覧車の中でその職員の死体を発見したユリ子は茂と合流。 茂が「この死体は俺に任せておけ」と請け負うのですが、本当に任せていいのか。その辺りの扱いは、凄く雑っぽいのですが茂!
 園内を調べるユリ子は、兄達が中に入ったまま戻ってこないと泣く少女と出会いスリラーハウスの中に潜入するが、 サソリ怪人の麻酔銃の餌食となり今日もさくっと行動不能に。少女ともどもジェットコースターで轢き殺されそうになったその時、 響き渡る口笛の音。
 「誰だ! 貴様は城茂か!」
 自己完結。
 「その通り! 城茂よ! どうやら俺の出番らしいんでね!」
 高い所で見得を切るヒーローの後ろでゆっくり観覧車が回っている映像がなかなかシュール。
 ストロンガーは反磁力線でジェットコースターを反転させる事でユリ子達を助け、 遊園地回なので次々とアトラクションを交えながらの観光戦闘。足漕ぎボートのプールの周りに雪が積もっていて、 水落ちする人たちがとても寒そうです。観覧車をほぼ真下からに近いあおりで撮ったと思ったら、 ストロンガーの攻撃を受けてサソリ怪人がタラップから落下してくるというのは、大迫力の映像。
 勿論中身は入ってないでしょうが、大きさからすると、着ぐるみをそのまま落としている感じですし。
 ……なおユリ子は、物の見事にずっと麻酔で眠っていた。
 サソリ怪人はまたも逃げ出し、子供達をさらったトラックを追うユリ子は、藤兵衛と接触して強引に女の子を預けると、 タックルに変身してトラックを止める大活躍! だが荷台にはサソリが隠れており、今回はちょっと反撃するもやはり死にそうになった時、 響き渡る例の口笛! 高い所でオートバイからしゅたっと飛び降りるストロンガーの姿が映り――
 「天が呼ぶ! (正面から早いズームアップ!)
  地が呼ぶ! (右サイドから早いズームアップ!)
  人が呼ぶ! (左サイドからゆっくりズームアップ)
  悪を倒せと俺を呼ぶ。 (ロング映像に戻ってそのままゆっくりと画面右へ歩き出す)
  聞け悪人ども! (怪人の顔にズームアップ)
  俺は正義の戦士、仮面ライダーストロンガー! (再びロングでストロンガー、溜めを作ってから、 決めポーズ)
  とう!」
 ジャンプ→着地から主題歌がスタートし、タックルを救出して始まる、ストロンガーvsサソリ!  ストロンガーはサソリのチェーンハサミに首を挟まれるが、
 「芸はそれだけか? それじゃこっちから行くぞ!」
 ストロンガーが強いのか、サソリが弱いのか、あっさりとチェーンを切断すると、高圧電流攻撃エレクトロファイヤーを浴びせ、 金属の上を逃げると、容赦なく電撃で追撃(笑) トドメに必殺の電キックが炸裂し、哀れサソリ怪人は爆発四散するのであった。
 ……なんだか段々、このノリが癖になってきそうです。
 今作ここまでちょっと面白いのは、作戦指揮官であるタイタンと現地工作員のリーダー格である怪人という分業体制が確立しており、 怪人の特殊能力とブラックサタンの作戦に特に関連性が無い事。そういう点で怪人の造形が自由になっているとは言えるのですが、 結果としては、タイタンおじさんの印象が強くなる一方で、怪人の役に立たない用心棒感が強くなっています(笑)
 そして、怪人が倒されても継続して実行可能な悪の作戦、はあまり特撮ヒーロー物と相性が良くないのがわかります(^^;
 1−2話では、大きなSマークのついた真っ黄色のシャツ姿だった城茂はお着替えして、大きなSマークのついた真っ青のシャツ姿に。 羽織ったジャケットの背中と袖には薔薇のイラストがプリントされており、地味にイカれた服装です。
 (このSは、ストロンガーのSでも、茂のSでもなく、バイクなどで撮影協力のスズキのS、との事)
 ところでOPでは完全無視で心配しましたが、EDでは歌詞にも映像にもちゃんとタックルが入っていて、ホッとしました(笑)

◆第4話「悪魔のオートバイ暴走作戦!!」◆ (監督:折田至 脚本:松岡清治)
 自動車を次々と囲んで事故に遭わせていく暴走族、という困った映像の連続からスタート(^^;  フィクションにしてもあまりこういうのは、面白がれません。それを影で操っていたタイタンおじさんは、 自ら運転する車で茂の追跡を阻む。
 「やあ、失礼。免許を取ったばっかりでね」
 どっちがどっちのストーカーかわからなくなってきたよおじさん!
 その頃、ユリ子が乗り込んでいたスクールバスが暴走族に囲まれ、運転を代わったユリ子が見事に切り抜けるのかと思いきや、 ユリ子なので結局事故るのであった。なお、どうしてユリ子がスクールバスに乗り込んで小学生と一緒に合唱とかしていたのかは、 最後まで見ても謎のまま(^^; フレアスカート姿なので変装して乗り込んでいたのかと思ったのですが、話の成り行きを見る限り、 今回、全くの偶然で事件に巻き込まれています。
 通りすがりの警察官を殺害する為に、暴走族に憑依していた怪人ゴロンガメと戦闘員が正体を現し、 目を覚ましたユリ子はタックルに変身。
 「私は電波人間タックル! ブラックサタンの悪事を暴く、自由と平和の戦士!」
 「ガラパゴス島のゾウガメを、ブラックサタンの奇械人工場で特殊加工した俺の甲羅は、鋼鉄よりも堅いんだ!」
 ……一瞬、亀怪人が対抗して名乗りをあげるのかと思ったのですが、自己PRでした。
 今日もタックルが怪人に叩きのめされた所で口笛が響き、白いとっくりにSマークの城茂が登場。
 「覚えたって無駄だぜ。おまえとの付き合いはこれっきりだろうからなあ!」
 逃げ出した亀は一度本部へ戻ると、暴走族を利用して日本中で交通事故を多発させて社会を恐怖のどん底に落とす作戦を続行するべく、 再出撃。その頃、テーマソングをBGMに、今日も今日とて理想のバイク乗りを探していた藤兵衛は、問題の暴走集団に目を付ける。
 「あれだ! あれこそ、俺の探している一流レーサーの候補だ!」
 ……駄目だこの人。
 集団を追った藤兵衛は、声をかけたら絡まれたので、数々の悪の組織を相手に磨いた拳で反撃(笑)
 ……駄目だこの人。
 結局は袋だたきにされてしまうが、そこに現れたユリ子が颯爽と男達を蹴散らし、逃げていく暴走集団。しかし……
 「こら! なんだって余計な事をしてくれるんだ」
 「え?」
 藤兵衛は逃げた男達を追う為、ユリ子のバイクを盗んで追跡。
 駄目だこの人。
 ところがそこに亀怪人が現れ、体を奪われた藤兵衛は、暴走集団のリーダーとして帰還。立花藤兵衛が、タックルのバイクに乗って、 救急車を事故らせる、という凄い地獄絵図が展開。
 「この俺を倒したら、あの子達の命は無いぞ。それでもいいのか」
 ブラックサタンが操る暴走集団を追い詰めるも救急車を人質に取られるストロンガーだが、その時、 車の屋根に降り立つ赤と黄色の変な影。
 「電波人間、タックル!」
 タックルは救急車を取り囲む戦闘員を蹴散らし、ストロンガーの窮地を救うという相棒らしい活躍。
 「そっちは任せたぞ」
 「OK!」
 からOPではなくED(歌詞でタックルに言及している方)が流れ出す、というのが綺麗にはまり、 続けてタックルの戦闘も長めの尺で入って、クライマックスでタックルがまもとに活躍している姿が、なんか嬉しい(笑)  3話までは完全にピンチ&前振り要員だったタックルに対する、なんだかんだのストロンガーからの信頼も垣間見え、 格好いいシーンでした。
 ゴロンガメは甲羅の中に頭と手足を引っ込め、亀タイプお約束の回転攻撃を仕掛けるも、 ストロンガーに空中キャッチされると地面に刺され、元アメフト部の鮮やかなフリーキックを受けて川にドボン。
 「ここまで来てみろぉ!」
 と水棲怪人らしく煽ってみるが、
 「よぅし、行くぞ!

 でぇんき・ストリぃぃム!!」

 当然とばかり水中に放電される(笑)
 「ぐわぁぁぁぁ」
 「どうだ電気ストリームの味は。ボルトを上げるぞ!」

 ストロンガー、鬼・畜。

 ――電気ストリームとは、ライダーストロンガーの2本の腕、つまり、プラスと、マイナスを入れる事によって、 水中に強力な電流の渦を流す技である。
 電気属性の相手に一番やってはいけない事をやってしまった亀、無残に大爆死。
 (……駄目だあいつ……)
 その光景を見たタイタンおじさんは、無言でタバコを左右に振り、渋い顔で帰宅するのであった。
 子供達を乗せた救急車は無事に発進し、正気を取り戻してそれを見送った藤兵衛は改めて茂に目を付けるのだが、 去って行く茂とユリ子に取り残される……と、意外と藤兵衛との関係は引っ張ります。 まあ今のところ情熱に燃えすぎて周りが見えないバイク泥棒の変なおじさんでしかないので、確かにあまり関わり合いにはなりたくありません。
 あまり楽しめない映像に始まり、話そのものはこれと言って面白くなかったのですが、 相棒らしい活躍を見せるタックルから容赦なさすぎるストロンガーまで、クライマックス戦闘が非常に楽しかったです。
 次回――学校給食に迫る罠!

◆第5話「ブラック・サタンの学校給食!?」◆ (監督:折田至 脚本:松岡清治)
 もがき苦しむ男がトラックに両サイドから挟まれて殺される、と掴みはインパクト大だったのですが、 茂が3回変身して2回「天が呼ぶ……」をやり、アメフトのユニフォームの背番号が途中で変わり、 怪人はストロンガーを相手に人質を取る度に片っ端から毒を飲ませてしまい、 無駄に多い場面転換による変な尺稼ぎと頭の悪すぎる怪人で話の流れがズタズタ、 と前々回富士急ハイランドで楽しみすぎてロケの日程がギリギリになり、2日で作りましたみたいな回。
 茂の友人が小学校の先生である意味がほとんど無いし、その友人とは別に同僚教師を登場させる意味は全く無いし、 夜の学校を訪れて「大学でアメフト部に居た先生(名前知らない)がここに居ませんか?」と聞くユリ子が不審者すぎるし、 「○○先生の事ですか?」と返ってきて「その○○の友人(茂の事)がここに来てませんか?」と遠回りすぎる会話を繰り広げるユリ子は、 改造の影響で脳の一部に深刻なダメージを負ってしまったのではないかと不安になります。
 怪人トラフグンが給食に猛毒を入れ、苦しむ友人と生徒達の姿を見て、
 「なんだよこのざまは。おまえらしくもないぞ」
 「いや、面目ない」
 「しっかりしろよ君達も。あの時のタックルの勢いはどうしたんだ!」
 と宣う茂も、励ますというより状況を理解していないようにしか見えず、改造の影響で脳の一部に深刻な(以下略)。
 また、子供達は熱演なのですが、友人の教師の苦しむ演技が軽くて、本当にただの腹痛にしか見えないのも困った所。
 そして、田舎の小学校の給食に、即死するわけでもない毒を入れて回るブラックサタンは何をしたいのか。 前回は暴走族を操って交通事故を煽っていましたが、段々、日本国民に対する大がかりな嫌がらせみたいになってきました。
 「邪魔が入りました、タイタン様」
 「誰が戦えと言った!」
 というやり取りは面白かったですが(笑)
 そのトラフグンが落とした毒薬のカプセルから医者が解毒剤を完成させ、給食センターに向かった茂とユリ子は陰謀の阻止に成功。 トラフグンは電気マグネットでミサイルを反射された所に電キックを受けて爆死するのであった。
 「トラフグン……敗れたり」
 いやそれ、格好良く言っても駄目だからおじさん!
 ちなみにタックルとストロンガーのやり取りで、
 「どうしたんだ、戦闘員ごときに」
 「最初に、奇械人とぶつかったのよ」
 今作のわかりやすい戦力ヒエラルキーが明確にされました(笑)
 通りすがりの困ったおじさんこと立花藤兵衛は初めてストロンガーと接近遭遇して会話もするのですが、 特に何かのきっかけにはならず両者の関係に進展は無し。あまりに平然と接しすぎて茂も何も疑問を感じなかったようで、 そのまま相模湖の小学校に置いていかれてしまいました。噂によると藤兵衛は、 アマゾン(大介)に逃げられたショックで心に深い傷を負ってしまったそうですが、その影響で脳の一部に深刻な(以下略)。

→〔その2へ続く〕

(2016年4月7日)
(2017年3月16日 改訂)
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