■『仮面ライダー電王』感想まとめ5■
“流れ流れてぶらり旅 一期一会や巡り会い
憑ついて憑つかれて男咲き 人情育ち”
ブログ「ものかきの繰り言」の方に連載していた『仮面ライダー電王』
感想の、まとめ5(27〜32話)です。文体の統一や、誤字脱字の修正など、若干の改稿をしています。そこはかとなくキンタロス風味。
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〔まとめ1〕 ・ 〔まとめ2〕 ・
〔まとめ3〕 ・ 〔まとめ4〕 ・ 〔劇場版『俺、誕生!』〕
〔まとめ6〕 ・ 〔まとめ7〕 ・
〔まとめ8〕 ・ 〔総括&構成分析〕
- ◆第27話「ダイヤを乱す牙」(承前)◆ (監督:石田秀範 脚本:小林靖子)
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TV本編での劇場版の見せ方は、25〜27話にかけて劇場版のカットを幾つか挿入し、
27話ラストで奪われたデンライナーが走り去るシーンの後、戦闘シーン中心のダイジェストを入れる、といったもので、
厳密には27話→映画→27話→28話、という構造。
というわけで感想も無駄に変則的に凝ってみたのですが、リアルタイムだと映画公開翌日の放映なのに、
けっこう中身を見せていてビックリ。W電王の戦闘シーンもバッチリ出てきてしまいますし……まあ、
予告編のようなものといえばそうかもしれませんが。更によく考えると、幼年誌とかでは下手すると1ヶ月前に、
クライマックスの一番いい所まで公開されていたりするかもしれない(^^;
その上で映画本編のクライマックスは、W電王降臨→電王がいっぱい→「最後までクライマックスって意味だろう?」と、
三段仕掛けになっているのは、心憎い。
25−26話が2話使って劇場版の裏側を描きつつ通常のエピソードも展開するという離れ業だったのと較べると、
劇場版へダイレクトに繋がる前振りを1話に収める、という事で、前2話と同じような事はできないというのも含めて、
さすがに厳しい展開。終始バタバタとしてしまい、劇場版ネタの合間を強引にギャグで埋める、というような造りになってしまいました。
これには特に後半、劇場版のフィルムを割と使っているので(主にS電王vsモレクイマジン)、尺の調整が難しかった、
というのもあるかとは思いますが。
で、「あと8枚」宣言から劇場版展開で、侑斗が何枚、カードを使っているか、数えてみました。
22話 トータスイマジン戦
25話 スパイダーイマジン戦
(26話 物陰からスパイダーイマジンを狙撃)
27話 ブラッドサッカーイマジン戦
映画 神の路線乗り込み〜牙王戦・クライマックス救援
6枚?
26話が時間軸としては映画の裏側になるので、実際どのタイミングなのか、この為に変身していたのかどうか厳密には不明。
ただその前後のシーンと考えられる、良太郎拉致や事情の説明シーンでは変身を解除しているので、
この為に変身したとカウントしてよさそう。
あと、映画で神の路線に乗り込む時にわざわざ変身していたので、
ゼロライナーの時間移動の為にはゼロノスに変身して操作しないといけないのかと思っていたのですが、それだと枚数足りなくなるので、
そこは変身しなくても良いっぽい。
というわけで……残り2枚、でしょうか?
…………こ、こ、このままでは早々に、ただのプロレス好きで毎度コーヒーに多量の砂糖を投入しながらもミルクディッパーでいつもたむろしているモブ、
というか羽虫C?に成り下がってしまう……!
ピンチだ侑斗!
頑張れデネブ!
だがそこへ忍び寄るイマジンカルテット解散の危機?!
そんなこんなで激動の劇場版を経て、物語は後半戦へ――。
- ◆第28話「ツキすぎ、ノリすぎ、変わりすぎ」◆ (監督:石田秀範 脚本:小林靖子)
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何故か縁日モードのデンライナーで、侑斗の行動は牙王と戦う為の電王いっぱい作戦だった……と、TVと映画の繋がりをフォロー。
結果としてそれが勝利に繋がったが、オーナーはその影響を危惧していた。
「びっくりで済めば、いいですけどねぇ。イマジンとの繋がりは、案外、デリケートですから、
ああいう無茶は……あまり良い事では……」
と、劇場版後始末編。
良太郎と電王がいっぱいはTV本編に挿入したカットで何度か見せていますので、TV本編のみの繋がりとしては、
スムーズといっていい範疇でしょうか。
ひとまず状況が落ち着いて、すっかり忘れ去っていたもう一人の宝石泥棒・池に憑いたブラッドサッカーイマジンを追う良太郎。
池の望みも加藤と同じ「宝石を取り戻す」事だったが、実は加藤が逃亡時に隠した宝石は、池によってちょろまかされて売り払われていた(笑)
そんな事はどうでもいい、と相変わらずファジーなイマジン思考で、街に繰り出して次々と宝石を奪うブラッドサッカー。
駆けつけた良太郎はアックスフォームに変身するが、途中でキンタロスとの憑依が解けてしまう。ウラタロスもやはり憑依が出来ず、
モモタロスが憑いてなんとか、「俺、参上」。好調のソード電王の「必殺技パート5」が炸裂するも、
ブラッドサッカーの苦し紛れの飛び道具に不幸属性が反応して海に落ち、イマジンには逃げられてしまう。
そしてデンライナーでは、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスの体に異変が起きていた……。
「え……? 消える……? ウラタロス達が」
3人の体に起きた異変、それはジークが消えかけたのと同じ現象だった。
今の良太郎は、確かに3人の事を覚えている。だが、ここに居る良太郎はモモタロスを憑依させて牙王と戦っていた良太郎であり、
その時、U、K、R、を憑依させて戦った記憶を持っていない。そして3人はそれぞれ、
今の良太郎が忘れた時間の良太郎に憑いた状態となっているのだった。
故に今ここに居る良太郎と3人の記憶による接続は途切れており、3人はその存在を保つ事が出来ない……。
「とにかく、無理がありすぎましたねぇ、あれは」
侑斗に拉致されている間の記憶を良太郎が失っていたというのが、劇中のルールと合わせて伏線として機能。
過去から拉致した良太郎を気絶させた上でイマジンが憑依し戦闘に参加→良太郎は戦闘の記憶が無いまま元の時間に戻される→
戦闘中の記憶は失っている=憑依していたイマジンとの記憶の共有性(接触)が途切れる→という事の模様。
「ま、消えるっていうなら、しょうがないよね」
「え?」
「そうやな。じたばたしても、しゃあない」
「待って……」
「いいじゃねえか。ここも広くなるってもんだしよ」
「ちょっと待って!」
「なんで? 良太郎は凄く嬉しいでしょ。すっごく楽になるし」
「待っててば! 急にそんな事言われても……」
良太郎への優しさか、思わぬさばさばした反応を見せるイマジン達に、状況についていけない混乱もあってか、
良太郎はデンライナーから走り去る……。後を追いかけたハナ、そしてデネブからデンライナー組の状況を聞いた侑斗が見たのは、
河川敷で体をいじめるようなトレーニングに打ち込む良太郎の姿であった。
「僕……モモタロス達が憑いてなかったら、て思った事、あるんだ。何回も。
ウラタロスのせいで寝不足になるし、
キンタロスが憑くと、体中痣だらけになるし、
リュウタロスなんか、僕をやっつけて車掌になるって……
ありえないよ。
モモタロスだけで大変だったのに。
それでも…………
みんなの居るデンライナーが、好きみたいなんだ」
もともとトレーニングは一人でも頑張れるようにと始めた行為なので、
ここはイマジンとの戦いという側面も含めて肯定的な話をするのかと思いきや、
いや実際迷惑だしという良太郎の本音の話が出てくるのは、面白いところ。
良太郎とイマジン達の関係が落ち着いたと見えた所で大きく揺さぶりをかけて、改めて迷惑な憑依関係を見つめ直す。
その上でそれを肯定する良太郎だったが、その脳裏に不思議なイメージが浮かぶ。
「特異点に憑いてれば消えないと思ったけど、しょうがないか。ちゃんと嘘を教えられなくて、ごめんね、良太郎」
「ほんまやったらずっと前に消えとったはずや。居させてくれて、おおきに」
「お姉ちゃんと……」
慌ててデンライナーに駆け込む良太郎が見たのは――ひどく寂しい食堂車だった。
「消えたぜ……あいつら……」
良太郎の体からこぼれ落ちる砂を見たオーナーは、それがウラタロスたちの欠片、みたいなものかもしれないと告げる。
「なにかイメージすれば、形が残る――かも」
良太郎が手の中にすくった砂に想いを込めると、そこに生じたのは……携帯電話?
「なんだそりゃぁ?」
「ずっと、繋がっていれたら、と思って……」
「相変わらず、センスねえな、良太郎」
「ほんと、センスないね……」
ここで、この一連の会話の間フレーム内に映っていなかったナオミが、
カウンターの下に座り込んでリュウタロスの残したシャボン玉の玩具を吹いている、というカットが挟まるのは秀逸。
そしてハナもまた、あれだけ 殴り飛ばした 憎んでいた筈のイマジン達の消失に、
座り込んで声を殺して嗚咽していた……。
デンライナーが悲しみに染まる中、故買屋で問題の宝石を見つけてしまう池とブラッドサッカーイマジン。その値段、
300円で契約完了。イマジンが跳んだのは、2000年5月20日。池が故買屋に宝石を1000円で売却した日。
……人生で他にもっと、印象的な日はないのか(笑)
手始めにトレーニング中の空手部員の集団を蹴散らしたブラッドサッカーイマジンの前に、立ちはだかる良太郎。
その手に握りしめていた携帯電話を、そっとポケットにしまう。
「モモタロス……いくよ」
(ああ……二人だけとは、最初に戻ったみてぇだな)
「――変身」
相変わらず回避の得意なブラッドサッカーイマジン相手に、Mさんのテンションが下がっている事もあって、
ぼっこぼこにされるソード電王。
「くっそぉ、どうにもクライマックスにならねぇなぁ」
(でも、やらなきゃ)
「そうだな。代わりは呼べねえからなぁ」
(そうじゃないよ)
「ええ?」
(一緒だから、ウラタロス達も)
確かに、3人は消えてしまった。だけど、忘れていない。だから、繋がっている。一緒に、戦っている。
「くっそ……本当に消えちまったのかよ。ほんとにぃ! カメ! クマ! 洟垂れ小僧!
勝手にいなくなりやがって、このバカ野郎!!」
状況を見に来た侑斗が変身しかけるが、良太郎の想いを知って奮起するモモタロス、ブラッドサッカーを滅多切り。
超チンピラモードで、ひたすら滅多切り。
その時、着信あり。
「な、なんだ…………もしもし?」
「相変わらず乱暴だなぁ、先輩は」
(ウラタロス……?)
「カメ……なんでおまえ?!」
「そんな事いいから、この携帯使ってみてよ」
よくわからないが、携帯使ってみる。
なおこの時、会話する時間が不自然にならないように、S電王に切られたブラッドサッカーイマジンは画面外に一次退場しているのですが、
CGで吹き飛ばす余裕が無かったのか、中の人が物凄く自力で画面の外までごろごろ転がっています(笑)
ウラタロス達の欠片から生まれた携帯電話のボタンをS電王が押すと、そこから響く、ウラタロス、キンタロス、リュウタロスの声。
そして――
「モモ、ウラ、キン、リュウ――CLIMAXフォーム」
携帯電話から伸びた線路が宙に広がると電王の周囲を取り巻き、ベルトに携帯が合体。どこからともなく飛んできた、ロッド、
アックス、ガン、3フォームのマスクが、ソード電王の体に装着される!
「クマ、クマぁー!!」
たぶん史上初、新フォームへのパワーアップに怯えるライダー(笑)
右肩にロッド、左肩にアックス、胸部にガン、それぞれのマスクが装着され、更にソードフォームの顔も変形、
赤いゴーグル部分が更に広がり、その下から現れるもう一つの眼部。
「わぁー、皮がむけたぁーー!!」
皮だったのか。
という事は、今出てるの、中身?
最後に、何故か炎を纏って燃え上がるデンライナーが、周囲を疾走。
「今度は燃えてるぅ!」
外も熱いが、中も実際、暑いらしい(笑)
今ここに、本人の悲鳴とともに、電王クライマックスフォーム誕生!!
ここで入る「CLIMAX-JUMP」。
基本、戦闘シーンは「double-action」入れるのが約束事になっているところに、ここで「CLIMAX-JUMP」が来るのが、非常に格好いい。
室温上がるデンライナーの中のカットから前奏を入れ始め、ばしっと決まる主題歌。
ただでさえ複雑かつ伏線を散りばめまくった作品で、いつにも増して色々と錯綜する展開が続いていた中、後半戦の開幕を飾るにふさわしい、
ヒーロー物としての正統派の格好良さが炸裂。
(みんな……消えなかったんだ)
(そうらしいよ)
(良太郎、また世話になるで)
(でもこれ、気持ち悪い!)
「馬鹿野郎、気持ち悪いのはこっちだ!」
それぞれの一言に合わせて各フォームの動きをする、中の人、超絶演技。
「この、こけおどしがぁぁ!」
CLIMAX電王に斬りかかるブラッドサッカーだったが、カウンターで打撃技を受けて後退。
「泣けるで!」
「僕に釣られてみる?」
「答えは聞いてないけどね」
そしてクライマックス、フルチャージ。
「へっ、こうなりゃ、やけくそでクライマックスだぁ!!」
デザインも、やけくそ気味ですし!
各フォームの顔が右足へ集中して連結。
「行くぜ行くぜ行くぜぇ!」
のかけ声で必殺の飛び蹴りがブラッドサッカーイマジンに炸裂、撃破する。
ここでキックと来ましたか。
色々な都合で、必殺技が、キック→武器、と変化していく事が多い平成ライダーですが、武器→キックという、たぶん珍しいパターン。
先っちょがロッドフォームなのは、やはりキック系という扱いなのか(笑)
(よかったな、侑斗……)
「馬鹿馬鹿しいんだよ」
今回の事に少々責任を感じていたらしい侑斗ですが、この無茶苦茶加減を見ると、馬鹿らしい、と思って仕方がない(笑)
ちょっと今回の被害者。
そしてイマジン達は、クライマックスフォームに合体するだけではなく、どういうわけかデンライナーの中にも戻ってきていた。
「どうやら良太郎くんの熱い想いが、ウラタロスくん達を繋ぎ止めたみたいですねぇ」
それでいいのか(笑)
まあ、あくまで「記憶」の問題だというなら、「意志」の力で何とかなってしまうのかもしれませんが。
パワーアップ展開の都合から、劇場版らしさも考慮した上で逆算した構成ではないかと推測するのですが、そういう事で済ますのか、
のちのち引っかかりになるのか、今の時点では何とも言えませんが、気になる所です。
まあ物語としては、あそこで「CLIMAX-JUMP」かけた時点で勝ちです。
積み上げてきた諸々が美しくはまるのも良いですが、演出とか、音楽とか、演技とか、
そういうワンセンテンスが全てを乗り越える瞬間を見るというのも、気持ちがいい。
復活に浮かれる後輩達を邪険に追い払うモモさんだったが、食堂車を出た所で男泣き……していた所で、
同じく隅っこで泣いていたハナと目が合う(笑) 泣いていた事をばらしに戻って、チャンプの正拳で吹き飛ばされるモモタロス、
でオチ。
というかこれまで散々、デンライナーを壊さないように、とオーナーがイマジン達の喧嘩に苦言を呈していましたが、
最初に完膚なきまでにデンライナーの壁を破壊したのはチャンプという事になりました。
You are King of Kings!
- ◆第29話「ラッキー・ホラー・ショー」◆ (監督:田村直巳 脚本:小林靖子)
-
イマジンカルテット、前回の経験を踏まえて一緒に良太郎に入り込めるか、大実験。
「まぐれかどうか……ま、ためし釣りだね」
自分達で合図を取るもうまく行かなかったが、ナオミの鳴らした玩具の拳銃の音で、一斉に良太郎に憑依するカルテット。
…………4人が色々いりまじって、キムチ鍋と土手鍋とちゃんこ鍋と豆乳鍋を一緒にやってしまったような、なにか色々と大変な事に。
当初はM良太郎ベースだったものの、次々と主導権が移り変わり、仕草もめまぐるしく入れ替わる良太郎。
佐藤健も大変なら、撮影も大変というか、前回、高岩さんに無茶なハードルを飛ばせたので、今回は佐藤健に飛ばせてみようかみたいな、
若干、現場の悪のりを感じます(^^;
「ん……どうなんだよ、うまくいったのか?」
「あかん、なんか無理あるで」
「ねえ、狭いよ。僕が一番上になる」
どうやら主導権は上下にあるらしい(笑) ハナが必死にカバーし、羽虫Bが悪霊退散のアクションをする中、
スープと具材が入れ替わり立ち替わる大混乱の末、
「そういうたら……良太郎はどこいったんや?」
「あぁ! なんか、死にそうになってるよ……」
(みんな……僕、もう……)
「やべぇ……出ろぉ!」
良太郎はその場に倒れ、慌てて飛び出した4体は、デンライナーへ。
「失敗かぁ……うまいこといかねえなぁ」
だから、やってみないとわからない。
デンライナー組が馬鹿騒ぎをやっている頃、侑斗とデネブはカードが残り2枚となってしまった事に考え込んでいた。そんな時、
デネブの前に飛んでくる一枚のチラシ、それは……
中野ふれあい町会主催 肝試し大会
優勝賞金3万円!
副賞、ミルクディッパーの愛理さんとお茶する券
盛り上がる羽虫Aと羽虫B、そしてデンライナーではどういうわけか良太郎がイマジン達に大会への参加を呼びかけていた。しかし、
お姉ちゃん大事のリュウタロス以外は乗り気にならず、そこで「優勝したら、みんな一日ずつ、僕の体を使う権」を自ら賞品として提供し、
これで俄然盛り上がるカルテット。
そこまでして良太郎が大会に出場したがる理由――それは、皆の気持ちが一つになればうまく一緒に自分に憑依できるのでは、
という大実験の為であった。
ハナ「もしかして……あれ、気に入ってる?」
「うん。凄くいいよね、あの新しい電王」
満面の笑みを浮かべる良太郎。
時間の止まる車内。
「……え? なに?」
「良太郎、お前のセンスなぁ」
「泣けるでぇ」
良太郎、不満げ(笑)
と、ここで久々に、忘れかけていた良太郎のセンスネタ。あの凄まじいデザインを逆手にとって、物語とこう繋げられると、参った、
という他ありません(笑)
また、「うん。凄くいいよね、あの新しい電王」という時の良太郎の表情が非常に素晴らしく、冒頭の大実験もそうですが、
ここに来て抜群に増す佐藤健の存在感に、スタッフが安心して色々なハードルを要求し、佐藤健という役者がそれに応えているのが、
非常にいい方向に作品を加速させています。
しかしまさか、作中で良太郎が初めて積極的に肯定する電王がらみのギミックが、CLIMAXフォームとは……!
この流れは、見事にしてやられました。
かくて肝試し大会当日……羽虫Aと羽虫Bは張り切りすぎてスタートを待たずに熱中症でリタイアし、なぜかデネブも参加する中、
無駄に盛り上がるイマジンカルテットは、順番に憑依してゴールを目指す事に。
幽霊ちょっと苦手、とこのところ上昇気味のヒロイン度を更にアピールしてみせるハナだったが、
「こういう勝負事は、黙って見てられなくて」
修羅が勝った。
幽霊をノックアウトしたチャンプがルートを外れて早々とリタイアする中、
町内会凝り過ぎの肝試しに挑戦する良太郎&イマジン達だったが、大騒ぎの末にチェックポイントを間違えて失格。
というかえらく難易度高いのですが、町内会はこれ、クリアさせる気あるのか。今流行りの生存率0%なのか。
賞金の3万円は打ち上げの飲み会費用に一部使われますという堕落したオチなのか!
そんな暗黒肝試し大会に参加する、手にあざのある不審な男、そしてイマジンの影。
イマジンの匂いにモモタロスが気付いて良太郎が駆けつけるが、イマジンは白骨死体(見るからに模型)を破壊し、男の願いを叶えて契約完了。
2005年12月5日――男はこの肝試し大会の会場となった廃校で強盗を行い、動かなくなった被害者の死体を隠していた。
その後、死体は見つからず警察に追われる事もなかったが、死体を隠した場所で肝試し大会が行われると知って、男は自ら参加すると共に、
イマジンにその死体の始末を願ったのであった。
良太郎が過去へ跳ぶ一方、イマジンの事を侑斗に伝えるも、直後に肝試しのお化けに悲鳴をあげるデネブ。
それを脳波?で聞いた侑斗はデネブがピンチになったと勘違いして貴重なカードを消費して変身。
会場に駆けつけて真相を知り――深々と落ち込む(笑)
酷いネタで消費されてしまったカードですが、侑斗のデネブへの本音、というのがベタな手法ながら真っ当に描かれている、のがいい所。
こういう、そつのない仕事も重要。
2005年では、過去で実体化したワスプイマジンが一暴れ。
「もう一度試してよ、あれ絶対いいと思う」
CLIMAXになりたい良太郎だが、皆の反応は冷たく、プラットフォームのまま逃げ回る羽目に(笑)
なんとなくスクラムを組んでみるカルテットだが上手く行く筈もなく、ひたすら逃げ回る良太郎。
結局CLIMAXを諦めて別個に憑こうとするイマジン達、誰が行くかで揉めた挙げ句に、
「おまえら、じゃ」
(んけん?)で心が一つに(笑)
……CLIMAXフォーム、先週あんな格好良かったのに、たった一話で凄く残念な感じに。
ここで、良太郎のピンチに皆の心が一つになるのかと思いきや、全くそうならないのが酷い(笑)
一応みな、良太郎のオーダーに応えようとしつつ、そろそろ助けにいかないと、という行動理念は重なっているのですが。
簡単に絆の力が持続されないのは、実に今作らしいところです。
「よぉ、待たせたな。クライマックスはこれからだ!
……てやっぱこれ気持ちわりいよおい!」
(みんな、ひとつになれたんだ……)
「…………まあな」
CLIMAX電王は登場するや否や、各ヘッドが左手に移動し、アックスヘッドが先端になって放たれるクライマックスパンチでワスプイマジンを滅殺。
これぞまさしく、
必殺・滝○国電パンチ
(前回、このネタを思いついたがキックだったので使えなかったらしい)
ギミック的に、他のヘッドが先端になるキックもあるのかな……とは思っていたのですが、先になるヘッドごとに、部位/技が違う、
というのは面白い。
イマジンを倒した良太郎は強盗の被害者を助け起こすが、その人物はなんと、肝試し大会の主催者である町内会長であった!
町内会長は実は幽霊……なわけはなく、男が殺したと思った被害者(町内会長)はそもそも死んでおらず、強盗の犯人を見つけ出す為に、
今回の肝試し大会を主催して、待ち構えていたのだった。
2007年では犯人の特徴的な痣を見て町内会長の呼んだ警察によって男は逮捕され、
しかし自分が殺人までは犯してなかったと知って男はスッキリ、犯人逮捕で町内会長もスッキリ、肝試し大会は有耶無耶。
賞品の行方や如何に?!
そして一話完結のコミカルな話の裏で、ゼロノスのカードは残り1枚、という深刻な事態になっていた……。
基本コメディ寄りながら、
CLIMAXフォームを経てなんだかんだで以前より和気藹々となったデンライナー組/どうにも素直じゃない繋がりのゼロライナー組
消滅の危機を乗り越えたデンライナー組/カードの残りに追い詰められるゼロライナー組
というのがしっかり対比されて展開。
デンライナー組の雰囲気が終始弛緩しているのに対し、逆にゼロライナー組はきりきりと切羽詰まっていき、その中で、
侑斗のデネブへの本音がわかりやすく描写される、と珍しい1話完結の中で、綺麗にまとまりました。
田村監督は『アギト』以降(確か)ちょくちょく参加していますが、悪くはない。特撮系ではないラインが混ざる所が面白かったのが、
どちらがどちらに近づいているのかは別に、あんまり目立った差異はなくなってしまいましたが。まあ、
グラビアポーズのナオミのお尻越しにイマジン撮るのは、ローテ監督にはやりにくい仕事だったかとは思いますが、
やっていいのかはさておき(^^;
- ◆第30話「奥さん花火どう?」◆ (監督:田村直巳 脚本:小林靖子)
-
愛理さんが三日かけて作った漢方ジュースの壮絶な匂いに、「あ……異臭がする」と警察を呼んでしまった大騒ぎがこじれ、
珍しく喧嘩中の良太郎と愛理。ミルクディッパーを出た良太郎はそこでデネブと衝突。
「野上……俺と……契約してくれ」
「え?」
前回、侑斗のカードを無駄に消費させてしまったデネブはその事でもう顔も合わせられないと深く落ち込み、
侑斗が変身せずに済むようにしようと良太郎とともに行動しようと考えたのであった。
「本当に大切なカードなんだ……」
その時、モモタロスがイマジンの匂いをかぎつけるが、そこへ向かおうとした良太郎は浮き輪の屋台に突っ込んでしまう。
良太郎の不幸とデネブの天然は、相乗効果でカタストロフを巻き起こす事が判明。
というか今、デネブが土手を後転で転がりながら、途中で膝入れてバック転したよ?!
ブルーバードイマジンに迫られる花火職人・寺崎トオルの元に駆けつけるM良太郎、とデネブ。
「俺、参上!」
「俺も、参上!」
デネブはソード電王を助けようとするが、背後から誤射(笑)
Mさん、不幸属性だから。
その間にブルーバードイマジンは逃げてしまい、
「嫌な事があったらコロコロ契約者変えんのかよ、便利な付き合いだな、てめえらは」
モモタロスはデネブにきつい一言。
良太郎が病院で寺崎から話を聞き出すと、寺崎の望みは「女房に花火を見せたい」というもの。
5年前……妻に相談せずにサラリーマンをやめて花火職人になった駄目人間であるところの寺崎に、
妻は生まれたばかりの赤ん坊をつれて別居。「男の俺から頭下げられるか」と、とても駄目人間な寺崎だったが、
5年かかって、今日初めて自作の花火を打ち上げてもらえる事となり、ふと妻子の事を思い出したのだった。
一応、今日自分の花火が打ち上がると別れた妻子に連絡はした寺崎だったが、自分から謝りはしない、とそこは頑な。まあ、
子供が生まれたばかりのタイミングで男の夢に走る駄目人間ではあるものの、
真面目に5年修行して花火を使って貰える所までになっているので、ほどほどの駄目人間なのか。
一方ブルーバードイマジンは、子持ちのOLを適当に火球で攻撃していた。
サブタイトル、そういう意味か(笑)
今回のイマジンは、1話完結の関係で、いつにも増して適当の極み。花火=自分の繰り出す火球、
というのはさすがに検察を納得させるのは難しいと思うのですが、いかがでしょうか。自己完結型であるブルーバードは、
自分の花火を打ち上げに行こうと病院を脱け出した寺崎をさらうと、強引に契約完了。寺崎が妻と大喧嘩した日――
2002年4月27日へと跳ぶ。
もう一人、こじれて面倒くさくなっているイマジンの方は、
「失敗したり迷惑かけたり喧嘩したり、ずっと一緒にいたら、よくあるよ。兄弟喧嘩……みたいなものじゃないかな。
何があったって、結局、本当に嫌になったりはしないんだ」
と、侑斗の所に戻るように良太郎に諭されるも拒否。
「戻りたいと思っているんでしょ、本当は」
「全っ然」
ここで、侑斗の得意の台詞が飛び出すところは、さすが。
最後は、「ごちゃごちゃ言ってねえで、さっさと戻れ!」とM良太郎に蹴りを入れられ、侑斗の所へ戻る事に。
「ごめん!」
と謝るデネブに対し、
「うるせえよ、いつまでもうじうじ言ってんな!」
侑斗は“最後の一枚”のカードを、川に投げ捨てる。
「こんな程度の事なんだよ! 全然大したことじゃねえ。わかったか」
これにて二人は元の鞘に。劇中でよく謝るデネブですが、今回は前回のラストからこじれこじれて、
最後の最後でデネブと侑斗を会わせて、今作の重要なキーである「ごめん」を改めて言わせる、という構成。
1話の中にかなり詰め込んでしまったのでどうしても忙しい印象なのですが、軽重は別にこじれた人達(寺崎夫婦、野上姉弟、
侑斗とデネブ)を多重に対比させ、乗り越えた二人(良太郎とモモタロス)を置きながら、全体を作品のキーワードで繋げるという、
テクニカルな一篇。圧縮度が高いので、敵イマジンとウラタロス達の扱いがぞんざいになってしまいましたが、
今回はテーマ的にある意味でMさん主役回なので、たまには先輩に花を持たせる方向で。
過去に跳んだソード電王は、ブルーバードの火球乱舞に、間合いが違いすぎて反撃に出られず思わぬ苦戦。
そこでCLIMAXフォームになりたくてなりたくて仕方がない良太郎。
「ありゃあもう無理だって」
(こないだ出来たじゃない)
「あれはだなぁ……心が一つっていうよりも」
(聞いたよ。だからあれよりはマシなの、ナオミさんに頼んであるから)
デンライナーでは、ナオミがウラタロス達に、ベストフレンドコーヒーを飲ませていた。
それを飲んだ3イマジン……心が一つに!
……この実験からわかる事は、良太郎、イマジン達のこと、信じてない(笑)
すっかり、荒んでしまいました。
コーヒーを絆に心を一つにしたイマジン達、今、CLIMAXフォーム、3度目の登場! そして今回、自分の担当パーツ以外は、
攻撃を受けても痛くない、という事実が判明。楽しそうにウラ、キン、リュウ、
の部分に火球の直撃を受けながらブルーバードイマジンとの間合いを詰めるCLIMAX電王であったが……多分これ、後で良太郎が痛い。
最後は、空へ逃げたブルーバードめがけて、ガン電王中心の必殺技、CLIMAXミサイルが炸裂。胸部が開いてミサイル乱舞で殲滅、
となかなかぞんざいで酷い。
現代では花火が無事に打ち上がり、妻子と再会する寺崎。
何この超できた奥さん。
野上姉弟も花火を見ながら何となく仲直りし(というかこの姉弟は、お互い、怒りが持続しないタイプだと思われます)、
そして侑斗とデネブは、格好良く捨てたカードを探して、川を必死に攫っていた。
肝試し・花火と、夏の風物詩ネタで軽めに一話完結、という、夏休み特別編的な2話。
と言いつつも、侑斗とデネブの関係とか、ゼロノスカード残り1枚とか、重要な事も盛り込まれてはいるのですが。
次回、愛理さんに近づく新たなる羽虫の影!
- ◆第31話「愛・ニード・侑」◆ (監督:金田治 脚本:小林靖子)
-
「望み通り、空も、飛べーる!」
イマジンによって高い所に宙づりにされ、落とされそうになっている男。対峙するデネブと侑斗だが、
残り1枚のカードを使用する事を躊躇している内に契約完了、イマジンに過去へ跳ばれてしまう。
後から駆けつけた良太郎がキンタロスを憑依させ、落下寸前に男を助け上げると、
アックスフォームに変身して過去――2004年7月26日へ。
冒頭から迸る気の抜けた歌声をバックに、オレの強さにおまえが泣いた。
今回、アバンタイトルの前座要員という事でイマジン(ラビットイマジン)は、以前の着ぐるみの再利用なのですが、
ハルパーっぽい武器を用いての戦闘はなかなか面白くなりました。
ダイナミックチョップでラビットイマジンを撃破した良太郎は現在に戻り、侑斗にカードについて問うが、侑斗は無言で去って行く。
ミルクディッパーに帰った良太郎を待ち受けていたのは……
「忘れるなんてひどいなぁ。君の婚約者になる男なのに」
借金をかたに愛理に婚約を要求する、
新たなる駄目人間、登場。
その男、藤代ファイナンス社長・藤代裕也。
なんというか、発想が江戸なのですが、
300年ぐらい前から来た時の旅人なのでしょうか。
身に覚えのない連帯保証人の証文により、1000万の借金を背負い差し押さえの赤紙まみれ、
物語始まって以来最大の危機に陥るミルクディッパー。だが……
「他から借りてでもお返しします。じゃあ」
愛理さん、押しつけられた指輪を笑顔で返却。
それはそうだ(笑)
痛烈なカウンターにくじけ、偽の借金を捏造して罠にかけたとべらべら喋ってしまうくどい系2枚目
(羽賀研二とかマイケル富岡の系統)の藤代、彼は2年前の愛理を知っていた。
「2年前のあんたは、桜井の事しか目に入ってなかった。だから引き下がったんだ。でももう今は、桜井はいない」
「桜井って、良太郎の友達の……?」
「ほら、覚えてもいないじゃないか。あんたの婚約者の、桜井侑斗だよ!」
困惑する愛理、良太郎から相談を受け、藤代ファイナンスのビルへと向かう侑斗。一方、
電王は自らその前に姿を現したアントホッパーイマジンを追っていた。
(もしかして、最初から僕たちを狙って……)
車両置き場で待ち構えていたアントホッパーイマジンの攻撃に、思わぬ苦戦をするガン電王。あくまで標的は“電王”であり、
特別ガン電王を狙ったわけではないようなものの、隘路に誘い込み、飛び道具の圧倒的な優位と軽快なステップを封じると、
結果的に作戦大はまり。更にもう一体のアントホッパーイマジンが姿を現し、挟撃でガン電王を追い詰めていく……!
「おまえたち、すっごいやな感じ。どっちも倒すけどいいよね。答えは聞いてない」
アントホッパーイマジンは、落ち着いた格好いい喋りと、ハイテンションでちょっと狂った喋りの2体で、OPの表記によると、
片方がアリで、片方がキリギリスとの事。縦半分で半身がアリ、半身がキリギリスが合体しているというデザインで、
それぞれ武器がショベルと、なんか波打った工具みたいなもの(バイオリンモチーフの模様)。
なお縦半分合体デザインの怪人というと、かつて『地球戦隊ファイブマン』後半の怪人(合身銀河闘士)がそうだったりしました。
サソリナマズギンとか、実にマッド。
愛理の件もあって意固地になるガン電王は、CLIMAXフォームにならずに二体のイマジンを倒そうとするが、得意のステップきを封じられ、
絶体絶命の危機に陥る……!
ここで、
「小僧がその気になりゃあ、すぐ飛べるって!」
と待機組3人が、良太郎が本当にピンチの時はコーヒーなんて不要、という台詞が細かく上手いところ。
果たして、追い詰められたガン電王の運命や如何に?!
細かい見所としては、
「貴様最初からそれが狙いだな!」
「知ってますよ。おたくの会社の黒い噂」
と珍しく腹から声を出して藤代の前に立ちはだかる羽虫ーズ。
……あっさり無視されましたが。
ちょっと気になったのは、藤代ファイナンスへ向かう良太郎と侑斗のシーン。
「おまえ、思い出してほしくないのか」
「忘れたままでいい筈ないと思っているよ。でも……思い出した時に、もしまた……多分、怖がっているのは僕なんだろうけど」
良太郎は侑斗に、“愛理の事情”(失踪のショックで桜井侑斗に関する記憶を全て忘れている)について説明した事は無かったと思うのですが、
割と唐突に、共通の前提の上での会話になっているような。
また、
「将来、自分の側に居る筈の人間が自分の存在も覚えてなかったら、おまえ、嬉しいか?」
と、侑斗も“若い頃の桜井侑斗”として、けっこうストレートな本音を告白。
劇場版を経て、良太郎と侑斗の距離感が近づいている表現も含めた会話の流れなのでしょうが、双方ややいきなりには感じました。
侑斗に関しては、台詞にもあるように、あくまで良太郎が受け入れてなかっただけではあるのですが、
ここまで表向きは愛理に対して好意的な発言をした事はない筈。この後に出てきたデネブが「友達っぽかったぞ!」と喜ぶように、
気を許しているという事ではあるのでしょうが、もうワンクッションあっても良かったかな、とは思います。
むしろまあ、改めて魔愛理空間のフェロモンに
脳がやられてしまった、という事な気もしますが。
チャンプ不在の中、ますます増大していく愛理さんのヒロイン力! 生き残るのは、誰だ?!
- ◆第32話「終電カード・ゼロ!」◆ (監督:金田治 脚本:小林靖子)
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絶体絶命の危機に陥ったガン電王を助けたのは、侑斗の指示でサポートに回っていたデネブだった。
デネブはなんとか電王をデンライナーへと運び込むが、リュウタロスは大きなダメージを負い、良太郎に至っては入院する事になってしまう。
敵が自分達を標的にしてきた=喧嘩売られた
という事でか、割と意気投合するイマジンズ。
一方、藤代ファイナンスの社長室へと飛び込んだ侑斗は、藤代にパンチ一発。愛理の奪還に成功し、その藤代には、
アントホッパーイマジンが憑依する……。
憑依藤代は、目が真っ黒でホラー。
良太郎を見舞い、ゼロノスのカードの秘密について話すデネブ。
「侑斗は変身するために、あるものを消費してる。とても、大切なもの……口では言えなくても、
侑斗は本当はカードを使いたくないと思っている。できるなら、ずっと」
一夜明け、藤代ファイナンスの不法行為を新聞記事にする事に成功する、羽虫AとB。
「やりましたよ、我々は」
……って、そもそもマスコミ関係者の尾崎はともかく、三浦はいったい何をしたのでしょーか(笑)
尾崎が一人の手柄にしないで「我々」と言うだけに三浦も何かしたのでしょうが、得意の催眠術で裏情報でも聞き出したのか。
まあ三浦は催眠術が見事に炸裂した手腕など見るに、阿呆だけど実はスペック高いという可能性は疑われる所です。
尾崎も昨日の今日で不正を暴く記事にするだけ、馬鹿だけど実はスペック高いという気もしますし。
だがそんなミルクディッパーに直接やってきた黒・藤代は、羽虫ーズを叩きのめすと愛理をさらい、良太郎を呼び出すメッセージを残す。
それを聞き、呼び出しの場所へ走る侑斗に、デネブが憑依。
「ゼロノスか……電王を呼び出した筈だが」
「最初に言っておく。今日の俺はマジだ」
一方、良太郎も連絡を受けて病院を大脱出……しようとするが、看護師に止められてしまった所でモモタロスが憑依し、
看護師を退ける。
「たまにはおデブにキャンディーの借り返してもいいよな。良太郎、後で体ぼろぼろになるぜ」
(いいよ、急ごう)
「ふっ」
デネブはアントホッパーの攻撃を食い止め、侑斗を愛理のもとへと向かわせるが、そこへ現れるもう一体……
という所で飛び込んでくるM良太郎。
「なんか今日はかゆくなる事ばっかしてんなぁ」
というか、劇場版以降のMさんの大活躍ぶりに、我々はこれは死亡フラグなのではないかと、ドキドキしておりますっ!
或いはまさにピーチさん、一皮剥けた、のか。
しかし、ピーチイマジンが一皮剥けたとするならば、アントホッパーイマジンはLVが20ぐらい上がっていた!
かつてない強さを誇る二体のイマジンに、真っ向から叩きのめされるS電王とデネブ。
一時期、他のフォームとの兼ね合いでS電王が弱体化した事がありましたが、それ以来の、電王大苦戦。不意打ち込みとはいえ、
4フォームで最強と目されるガン電王を倒しただけの事はあり、強い。というかもう多分、牙王より強い(^^;
「電王への刺客」という事でこれだけ強いのか、今後のイマジンの平均レベルが上がるのかは、次回以降次第ですが、
随分急に強くなりました。
そういえば今作、既に30話を超えるのに、指令電波の存在こそ明かされているものの、
イマジンに統一した黒幕的存在が居るのかどうか明確になっておらず、少々、敵のパワーアップがやりにくい作品ではあります。
それもあってか、そこは勢いで強引に誤魔化した感じに(^^; ただ電王が勢いでトンデモパワーアップしてしまったので、
他人に文句は言えない気がするというか(笑)
S電王とデネブが熾烈な戦いを繰り広げる中、愛理の元へ辿り着く侑斗。
「あら……桜井くん」
どこかぼんやりと、打ちっ放しの天井を見上げる愛理。
「天井の模様がね。星座みたいなの、それを見ていたら、昨日忘れていたこと、思い出して。
私がお店を守りたかったのは、あそこが私たちの全部だから。
私と……良太郎と……それから…………
それから、もうひとり……たぶん、もうひとり……………………
ゆ う と……」
無言で固まる侑斗の頬に向けて、ゆっくりと伸ばされる愛理の指先……。
しかし、その指先が触れる本当に寸前、響き渡る轟音に、桜井侑斗は走り出す。
「――侑斗は変身するために、あるものを消費してる。大切なもの」
それは……。
一方的に叩きのめされるS電王とデネブにとどめが迫るその時、ベルトを手に駆けつける侑斗。
「カードはお守りじゃないんだ。使う時に使わなきゃ、意味がないんだよ――――
変身!」
遂に最後のカードを消費し、変身するゼロノス。
「最初に言っておく。俺はかーなーり、強い!」
アントホッパーさん、前口上の間「待て」って、意外にいいイマジンだ(笑)
ここで戦いは、アントホッパー関vsゼロノス、アントホッパー鳥海vsS電王、に。金田回恒例バイクアクションで、
廃工場を走り回るS電王とアントホッパー。……ああそうか、藤代がわざとらしく微妙に似合わないオートバイに乗っていたのは、
ある種のセルフパロディ(ここで「ライダー」が出てくるといっけん重要なキャラに見える)かと思っていたのですが、
ここまでの長い伏線だったのか!
強力なアントホッパーにゼロノスも苦戦するが、最後はボウガンの不意打ちからフルチャージのコンボで撃破。
そしてS電王はリュウタロスの回復により、CLIMAXへ。
……喧嘩の対象が自分達になったので、みんな積極的に変身しました(笑)
「コーヒー無しでもてんこ盛りだぁ、行くぜ行くぜ行くぜ!」
CLIMAXフォームへと変身し、優位になった途端に凄く上からになるチンピラ(笑)
「見せてやるぜぇ……必殺、俺の必殺技。クライマックスバージョン!」
最後は、特に変形なしで、CLIMAXソードが炸裂。変形のしようがないのですが、折角なので、
ソードの時もなにか変形してほしかったなぁ。…………更に剥ける、とか。
31話冒頭に始まって、愛理と侑斗の物語を中心に展開しつつ、アクションてんこ盛りという構成。愛理と侑斗に関しては、
どちらかといえば侑斗が明言を避けていた部分をハッキリさせて、後半の展開へ向けてわかりやすくした、という感じでしょうか。
なんか色々、ダダ漏れになった、というか。
戦いを終え、消滅していくゼロノスのカード……
アントホッパーの憑依が解けて工場の隅っこで体育座りしていた藤代は、
「なんなんだいったい。なんだってこんな目に。まさか、桜井の呪いじゃ……ん? 桜井、て誰だ? ん?」
桜井侑斗の事を忘れ去る。
そして愛理もまた……
「もうひとり…………あら? もうひとり? わたしと、良太郎と……おばあちゃん?」
「姉さん……」
「あら、良ちゃん」
まるでいつも通りの笑顔で良太郎を迎えながら、その唇は、侑斗の名前を口にする事は、無かった。
…………これは、ゼロノスへの変身は、他者の持っている侑斗の記憶、を消費している、という事でしょうか。
愛理さんに関しては、カードの影響と、自己防衛の為に封じた記憶と、タイミングが判定しにくい所ではありますが。
『電王』ワールドが「人の記憶」=「時間」という事は、桜井侑斗は“自分がその時間にいたという事”、すなわち、
文字通りに存在を賭けて戦っているという事でしょうか。
まだ明言されてはいませんが、一気にグッと重くなりました。
て、それはデネブも大反省です、土下座です、家出です。
ここで侑斗が色々と面倒くさいのが、自分の存在を消費しながら戦っているから、という事が判明し、色々な糸が繋がる事に。
どうしてそんな事になっているのか、と、正しい時間軸の桜井さん、との関係はまだ謎のままですが。
とすると、前回少々違和感を覚えた良太郎と侑斗の会話は、良太郎が「桜井侑斗が消えたショックで愛理が桜井侑斗に関する記憶を封じた」
と考えているのに対し、侑斗は愛理が桜井侑斗を覚えていないのは「カードの為」
(だから大して消費していない内に名前まで忘れられていた事に最初毒づいた)だと考えていて、いっけん会話が繋がっているようで、
実はお互いの前提が微妙にズレていた、という事だったのかしら……?
……これは、とりあえず若干の願望込みで一つ予測を立てておくと、
愛理さんが自己防衛で封じた記憶はカードの影響を受けていなかった、とか、そういう事に最終的になるのかな……?
当面の問題は、これで侑斗が、立派な無職になった事です!
ただのプロレス好きの甘党に!
どうするどうなる。
――しかし、急展開はこれだけに収まらない模様。
次回、チャンプ、新生。
というか、捨て身の作戦でヒロイン強奪へCLIMAX?!
→〔まとめ6へ続く〕
(2013年11月7日)
(2017年5月28日 改訂)
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